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フィアー・ゲーム リュウセイルート ~ 第4話 ~

〈vs テンザン〉

[T5]

連邦軍兵「う、うわああっ!  こ、攻撃してきたっ!!」
イルム「あわてるな!  落ち着いて回避行動を取れ!」
連邦軍兵「は、はいっ!」
イルム(チ…!  ここで撃墜されたら、積み荷に また変なジンクスがついちまうぜ)
(戦闘)
リュウセイ「あ、あの空飛ぶロボット、 輸送機に攻撃を仕掛けやがった…!」
ライ「ならば、 敵と見なしていいようだな」
イングラム「各機へ。 所属不明機への攻撃を許可する」
ライ「了解」
アヤ「わかりました!」
リュウセイ「こ、攻撃って… 実戦かよ…!?」
ライ「どうした、リュウセイ?  …怖じ気づいたのか…?」
リュウセイ「だ、誰が!」
ライ「これからの戦いは、 お前が遊んでいたゲームや シミュレーターとは違う…」
ライ「死にたくなければ、 俺の後ろに下がっていろ」
リュウセイ「いや、俺だってなぁ!」
テンザン「何だぁ、 あのパーソナルトルーパー…?  他のに比べて様子が変だな」
所属不明兵「テンザン、 連邦のPTが迎撃態勢に入った!  撤退するぞ!」
テンザン「…よし、ここらで試しに 対PT戦ってのもやってみるか。 戦闘データ収集にもなるしよ」
所属不明兵「な、何だと!?」
テンザン(それに パーソナルトルーパーとの戦闘は ゲームでしかやったことがねえからな)
所属不明兵「テンザン!  こちらの命令に従え!」
テンザン「だから、 うるせえっつってんだろ!!」
所属不明兵「!」
テンザン「俺は好きにやるんだよ!  ゲームを楽しむんだよ!」
テンザン「おめえらの上だって、 それを承知の上で俺をこいつに 乗せてんだぜぇ?」
所属不明兵「く…!」
テンザン「わかったんなら、 あんたらは輸送機と残りの PTを攻撃しろっての!」

[リュウセイ]

リュウセイ「来た!!」
テンザン「ヘヘッ、 こいつ…ビビってやがんのか?  それとも、ビギナーか?」
テンザン「いよーし、 栄光のPT撃墜マーク一つ目!  ゲットだぜ!」
(戦闘)
リュウセイ「な、何とか… 生き残った…か」
テンザン「チェッ、仕損じたか。 それにしても、あいつ…機体の 動きがバーニングPTくせえな」
テンザン「………」
テンザン「ヘッ、まさか…な」
リュウセイ「こ、これが… 本物の戦闘…人間相手の 戦闘だってのかよ…!?」
テンザン「初心者だからって、 遠慮はしないぜぇ?」
リュウセイ「!!  このままやられてたまるか!!」

[リュウセイ 2回目]

テンザン「おいおい、死ぬのが 怖いってのはわかるけどさ…」
テンザン「もうちょっと盛り上げて くれないと、つまんねえんだよな」

[ライ]

ライ「この機体… パーソナルトルーパーではない。 全く別系統の機体だというのか」
テンザン「ほ~お、連邦にも 骨のある奴がいるらしいな」

[アヤ]

アヤ「ここで、この機体を 止めなければ、リュウが…!」
テンザン「何だぁ?  こいつの動きも素人くさいな」
テンザン「この程度の パイロットがPTに乗ってんなら、 連邦は俺達の相手じゃねえなあ」

[撃墜]

リュウセイ「や、やったか…!?」
テンザン「あらら… ゲームオーバーかよ。 お遊びが過ぎたようだな」
テンザン「ま、しょうがねえ… こいつは所詮テストタイプだし、 腹も減ったし」
テンザン「じゃ、あばよ」
(テンザン機が爆発、他敵機が撤退)
イルム「やれやれ、 何とか助かったか」
イルム「それじゃ…隊長、ライ。 伊豆で会おうぜ」
(タウゼントフェスラーが撤退)
リュウセイ(………)
リュウセイ(…敵のパイロットは… 脱出したのか………)
リュウセイ(…だけど、 やられたのが俺だったら……)
リュウセイ(…俺は…… 生き延びられてたんだろうか……)

[伊豆基地 格納庫]

アヤ「リュウ、今日はよく頑張ったわ」
リュウセイ「でも、俺は…」
アヤ「…自分勝手な行動や、 命令違反はしなかったじゃない」
ライ「…当たり前のことだがな。 しかし、俺達のチームはどうやら解散されずに 済みそうだ」
リュウセイ「………」
ライ「俺は口先だけだと思っていた。 そして、お前が逃げ出すか、動けなくなるともな」
リュウセイ「ライ…」
ライ「…命令に従って戦闘に参加し、 生き残ったことは評価してやる。 だが、それ以外は…」
イルム「…相変わらず厳しいね、ライ」
ライ「イルム中尉…」
イルム「久しぶりだな。 左手は…もう馴染んだか?」
ライ「…ええ」
リュウセイ(馴染んだ…? どういうことだ?)
イルム「お前が噂のルーキー… リュウセイ・ダテか」
リュウセイ「は、はあ」
アヤ「…アヤ・コバヤシです。 中尉の方のお噂はかねがね」
イルム「俺の噂?」
アヤ「ええ。以前、イングラム・プリスケン少佐が 隊長を務めていた特殊部隊PTXチームの メンバー…」
アヤ「そして、テスラ・ライヒ研究所の重鎮、 ジョナサン・カザハラ博士のご子息と」
イルム「ああ、そっちの方の噂ね」
アヤ「?」
イルム「これ、俺のDコンの番号。 気が向いたら、連絡よろしく」
アヤ「は、はあ…」
ライ「…そういう所は相変わらずですね、中尉」
イルム「俺なりの礼儀って奴でね。 じゃ、今からイングラム少佐の所へ行ってくるわ」
ライ「先程のアンノウンの件ですか」
イルム「まあ、それ以外でもな。 ちょいと面倒なことになるかも知れねえぜ」
ライ「………」

[伊豆基地 司令室]

イングラム「…ラプターはテスト中の事故が原因で、 廃棄処分になったと聞いていましたが?」
レイカー「いや。 私の権限で密かに月のマオ・インダストリー社へ 修理を依頼していたのだ」
イルム「で、俺が修理の終わったビルトラプターを 月から持って帰ってきたってわけですよ、少佐」
イングラム「なるほど。 だが、お前が戻って来た理由は それだけではなさそうだが」
イルム「うっ…」
イングラム「大方、浮気でもして リンを怒らせたのだろう?」
イルム(あ、相変わらず鋭い…)
ハンス「しかし、司令… 修理したとは言え、ビルトラプターは欠陥機です。 再使用には賛成しかねますな」
ハンス「それに… あのヒュッケバインのような事故を いつ引き起こすかわかりませんぞ」
イルム(よく言うぜ。 あんたのおかげでキョウスケの奴が どんな目に遭ったか…)
イングラム「ビルトラプターは 再チェックを行い、問題点があれば改修します」
イングラム「それでよろしいですね、ハンス中佐?」
ハンス「フン…まあいい」
レイカー「ところで、 T5を襲った所属不明機のことだが…」
イングラム「あの機体は、パーソナルトルーパーと 全く違う系統だと思われます」
ハンス「以前に、 軍の偵察機が接触したという 謎の人型ではないのか? あ?」
イングラム「データを検証しましたが、形が違います。 AGX-05ではありません」
ハンス「そうか……」
レイカー「…イングラム少佐、 君の見解を聞かせてもらおうか」
イングラム「あの人型機動兵器は、 F-32ないし同系列の戦闘機を ベースにした物と思います」
レイカー「しかし、 戦闘機ならともかく、人型機動兵器の開発が 可能な所は限られているはずだ」
イングラム「ええ。 パーソナルトルーパーの開発元である 月のマオ・インダストリー社…」
イングラム「そして、 超闘士グルンガストを開発した テスラ・ライヒ研究所…」
ハンス「大方、アンノウンを開発したのは、 テスラ研ではないのか?」
ハンス「あそこの研究者達なら、 突拍子もない機体を作りかねん」
イルム(まあ、そう思われても仕方ないか。 グルンガスト零式なんざ、まさにそうだからな)
レイカー「イルムガルト中尉… 君の父上はテスラ研に所属しておられたな」
イルム「ええ、まあ…そうですが」
レイカー「何か話を聞いていないか?」
イルム「いえ。 仮に、あの手足つきの飛行機を開発したのが テスラ研だとしたら…」
イルム「父は、いの一番に 自分へ自慢しているはずですからね」
レイカー「では、残る所は…」
イングラム「テスラ研を創設した天才科学者… そして、EOT研究の第一人者でもある ビアン・ゾルダーク博士…」
イングラム「彼が責任者を務めるEOTI機関です」
レイカー「………」
ハンス「………」
イルム「………」
レイカー(ビアン・ゾルダーク… そして、EOTI機関か……)


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