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折れた翼、砕けた爪 キョウスケルート ~ 第1話 ~

【デモイベント『ホワイトスター』】

[不明 (ネビーイーム内)]

???(イングラム)「………」
???(イングラム)「ここは……どこだ?」
???(イングラム)「俺は……」
???(イングラム)「俺の名はアウレフ……いや……」
(モニターオン)
???(ユーゼス)「………」
???(イングラム)「……!」
???(ユーゼス)「……緊急非常コードの発信は、 誤作動ではなかったようだな」
???(イングラム)「お前は……?」
???(ユーゼス)「……今、この時に憑依したか……。 因縁、だな……」
???(ユーゼス)「だが、今なら取り込めるやも知れぬ……」
(短い感応)
???(イングラム)「ぐうっ!」
???(ユーゼス)「お前に枷を与える。 今度こそ、我の傀儡となるがいい」
???(イングラム)「う……ぐ………」
???(ユーゼス)「……禁断の地より踏み出でし者がいる。 彼らは、自ら結界を破ったのだ」
???(ユーゼス)「これで我らはあの星に干渉できる……」
???(イングラム)「ううう……う……」
???(ユーゼス)「だが、愚帝や監査官共より先に 手を打たねばならぬ」
???(ユーゼス)「切り札を手に入れるのは、 我らゴッツォであらねばならぬ」
???(イングラム)「くぅ……ううう……!」
???(ユーゼス)「任務を遂行せよ、アウレフ・バルシェムよ。 我は遠き地より、それを見守ろう……」
【デモムービー『ホワイトスター』】

EPISODE 1
Divine wars

新西暦 179年
太陽系冥王星外宙域

〔戦域:暗礁宙域〕

(ヒリュウとジガンスクード出現、メギロートが出現しながらあちこちに爆煙)
ダイテツ「本艦の 損害状況を報告せよ!」
ショーン「第4から第9ブロック、 第2艦橋大破。第1、第2主砲、 共に使用出来ません」
ダイテツ「ジガンスクードは!?」
(ジガンスクードが四方を見回す、動作音)
ショーン「正体不明機に 包囲されて身動きが取れません」
ダイテツ「ぬうっ…!」
ショーン「艦長、 彼我戦力差が大きすぎます。 ここは撤退すべきでしょうな」
ダイテツ「おのれ…!  手も足も出んとは、このことか!」
ショーン「虫に似たあの物体は 明らかに我々より高度な技術で 作られています」
ダイテツ「ならば、異星人…!?」
ショーン「…おそらくは。その上、 多勢に無勢……さらに、敵機の 大きさと数から考えて…」
ショーン「母艦、あるいは機動要塞が 近くにいるのかも知れません。 …このままでは非常に危険です」
ダイテツ「うぬっ…!  ようやく人類が外宇宙へ 足を踏み出したというのに…!」
ショーン「お気持ちはわかります。 ですが、ここは撤退を」
ショーン「これ以上、 ヒリュウに損害を受ければ……」
ショーン「地球どころか、 火星へ戻ることも 不可能になりますぞ?」
ダイテツ「…やむをえん!  ジカンスクードを回収し、最大戦速で この宙域から離脱する!」
ダイテツ(この屈辱……忘れんぞ!!)

新西暦と呼ばれる時代。
人類が宇宙へ本格的に進出してから約2世紀が経過していたが、
人々の生活そのものは21世紀初頭とさほど変わっていなかった。

それは、旧西暦時代に地球へ落下した二つの隕石による被害と
混乱のため、人類の進歩が一時的に停滞したからであった。

そして新西暦179年。
アイドネウス島に第3の隕石『メテオ3』が落下した。

メテオ3の調査を行ったビアン・ゾルダーク博士は、それが
人工物であり、何者かの意思によって地球へ落とされたもので
あると確信した。

何故ならメテオ3は、L5宙域に突如出現した後、地球へ
落下……しかも落下前に減速していたことが判明したからである。
また、メテオ3の内部には他者に閲覧されることを前提とした
状態で、人類にとって未知の物質と技術情報が封入されていた。

それらはエクストラ・オーバー・テクノロジー……「EOT」と
呼称され、地球連邦政府上層部の面々で構成された「EOT特別
審議会」とビアンが責任者を務める「EOTI機関」の厳重な情報
管理の下、さらなる調査が進められた。

そして、何者か……すなわち地球外知的生命体が使用していると
思われる全長10メートル以上の有関節型機動兵器のデータが
発見された時点で、ビアンは彼らに対し強い警戒心を抱いた。

ビアンは、地球外知的生命体がEOTを人類へ提供した目的を
推測し、それが達成されるまでの過程に、侵略行動が組み込まれて
いる可能性が高いと判断した。

また、彼は地球外知的生命体…コードネーム「エアロゲイター」
による侵略の危機を連邦政府や連邦軍に訴えた。事態を重く見た
ノーマン・スレイ少将は、地球圏防衛計画を表明。エアロゲイター
に対抗し得る人型機動兵器「パーソナルトルーパー」の開発が開始
されることになった……。

《地球連邦軍極東支部伊豆基地》

[伊豆基地 司令部]

ハンス「…以上だ。 お前には、この機体のテストをしてもらう」
キョウスケ「中佐…質問が」
ハンス「何だ? 言ってみろ」
キョウスケ「資料を見ました。 この機体…ビルトラプターは、可変時の安定精度が 極めて低い…」
キョウスケ「とても実戦テストが できる代物だとは思えません」
ハンス「実戦テスト? 馬鹿なことを言うな。 標的の戦車にはペイント弾しか装填されておらん」
ハンス「せいぜい機体が汚れるぐらいだ。 貴様が掃除すればよかろう?」
キョウスケ「…実弾でなければいいと いうわけではありません」
ハンス「貴様、私の命令が聞けないというのか?  あ? キョウスケ・ナンブ曹長」
キョウスケ「いえ。…やれと言われればやります。 そこに命を賭けることに異論はありません」
キョウスケ「ただ、被弾するにせよ、回避するにせよ… 危険はつきまとうことになります」
キョウスケ「今の不完全な状態では、 戦闘データも満足に取れません」
キョウスケ「にも関わらず、 貴重な新型パーソナルトルーパーのテストを 強行する意味があるのかと…」
キョウスケ「そう疑問に思っているだけです」
ハンス「事情を知らぬ一兵士が 生意気な口を利くな」
キョウスケ「しかし、ゲシュペンスト2号機は 無理なテストがたたって…」
キョウスケ「機体ごと行方不明になったと 聞いていますが?」
ハンス「実験を重ねてこその戦果だ。 そんな噂に踊らされるとは、案外肝の小さい男だな」
キョウスケ「……」
キョウスケ(現状では、制空権を確保出来る パーソナルトルーパーの開発が急務だというのに…)
ハンス「さっさとテスト場へ向かえ、 キョウスケ・ナンブ曹長」
キョウスケ「…了解、失礼します」
(扉が開閉する・キョウスケが立ち去る)
ハンス(気にいらんな…あの男。 まあいい、欠陥機を押しつけられたのだからな…)
ハンス(…マオ社に負い目を作る絶好の機会… あの男には、そのための生け贄になって もらわねばな…)
ハンス(クク…フフフ…)


第1話
折れた翼、砕けた爪

〔戦域:伊豆基地周辺〕

(71式戦車バルドング×2、F-28メッサー×2が出現)
オペレーター「ビルトラプター、 フライヤーモードで離陸しました」
オペレーター「ターゲットドローンの 配置完了。AI設定確認、異常なし」
イルム「よう、準備はいいか? キョウスケ」
(ビルトラプター(FM)が出現)
キョウスケ「いつでも構いません」
イルム「よし。データは こっちで取っておいてやる」
キョウスケ「よろしくお願いします、 イルムガルト中尉」
イルム「ビルトラプターは、 初の可変型パーソナルトルーパーだ。 くれぐれも無茶するなよ」
イルム「レイカー司令の留守中に 事故でも起こしたら、 後で面倒なことになるからな」
キョウスケ「了解です」
ハンス「では、始めろ。 …好きにやってかまわん。 どうせペイント弾だ」
キョウスケ「…了解」
ハンス(そう、当たれば落ちる…な)
(作戦目的表示)

〈キョウスケの初戦闘〉

キョウスケ「…機体バランスが取りにくい…。 月の人間の重力感覚がおれ達とは 違うせいか…?」
キョウスケ「どうもなじまんが… 仕方がない。やってみるか…!」
(戦闘)
キョウスケ「ペイント弾…!?  いや、今のは…実弾か…!」
キョウスケ「ハンス中佐!  こちらキョウスケ・ナンブ曹長です。 ハンス中佐…!」
(基地に通信)
オペレーター「中佐、パイロットから エマージェンシーコールです!」
ハンス「つなぐな。試作機なのだから、 調子が悪いのは当たり前だ。それに、 最近の若いのは泣き言ばかりで困る」
イルム「何言ってんです、中佐!  ドローンに実弾が装填されてるって 話、俺は聞いてませんよ!」
ハンス「フン…いちいちそんなことを お前に報告する義務があるのか?」
イルム(! こ、こいつ…!)
キョウスケ「…くっ、どういうことだ?  …どうあれ、切り抜けなければ ならんということか…!」

〈敵機全滅〉

ハンス(…頃合いか)
ハンス「キョウスケ曹長、 なかなかの腕前だな。次は… 緊急時変形テストをしてもらおうか」
イルム「何だって!?  あんた、どういうつもりなんだ!?  今の状態で変形なんかしたら…!」
キョウスケ「中佐、説明して下さい!  何故、ドローンに実弾が…!」
ハンス「いいからテストを行え。 それとも、怖いのか?  あ? キョウスケ・ナンブ曹長…」
キョウスケ「…了解。 ラプターの緊急時変形を試します」
キョウスケ(どうやら… はめられたらしいな)
キョウスケ(ちっ、運を天に 任せるしかないということか)
イルム「やめろ、キョウスケ!  戻って来い!!」
ハンス「中尉、越権行為だぞ」
イルム「ふざけるな!  あんた、キョウスケを殺す気か!?」
ハンス「口の利き方に気をつけろ、 イルムガルト中尉…」
キョウスケ「…くっ、ままよ…!」
(ビルトラプターが橋の南側の海上へ移動し変形しようとするが異音)
キョウスケ「変形…しきらない…ッ!」
キョウスケ「ぐ、うおおっ!」
(ビルトラプターが一度上昇し、爆発)
イルム「キョウスケッ!!」
オペレーター「緊急事態発生!  ビルトラプターが海中に!!  曹長! キョウスケ曹長っ!」
ハンス「何ということだ。 …おお、あのような優秀なパイロットを 失ってしまうとは…」
ハンス「これはマオ・インダストリーに 厳重な注意と抗議をせねばならん」
ハンス「イルム中尉、 すぐに機体を回収し、月へ送り返せ」
イルム「!」
ハンス「いいか、今回の件はマオ社の責任だ。 そのことをリンに…貴様の かつてのパートナーに伝えておけ」
イルム「あ、あんたは…!」
オペレーター「中佐!」
ハンス「何だ?  指示が聞こえなかったのか?  ビルトラプターを回収して…」
オペレーター「パイロットの生存を 確認しました!!」
ハンス「な…何だと!? あの爆発でか!?」
イルム「キョウスケ!  応答しろ、キョウスケ!!」
キョウスケ「う…うう…」
ハンス(ぐ、ぐうう… 何という悪運の強い奴…!)
ハンス(やむをえん…。 事故を理由にあの男…この極東支部から 放り出すしかあるまい…面倒な)
キョウスケ「どうやら…無事…らしい。 う……アバラは何本か…持って いかれてるか…」
キョウスケ「また…生き残ったらしい。 …やれやれ…」


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