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フォルミッドヘイム

[バレリアネア塔最上階]

(不安定になっているクロスゲートの前、キュオン、エイゼル、ヘンネがいる)
キュオン「うわ~、ここまで来ちゃったよ?」
エイゼル「…………」
ヘンネ「エイゼル、 このやり方が、本当に正しいのかい?」
ヘンネ「……ゲートを不安定にさせるってことは、 普段閉じている所が開くってことだ」
キュオン「う~ん。 そのせいで、いろんな人がこっちに 入ってきちゃってるよね」
エイゼル「…………」
ハーケン「フッ、幹部クラスが勢ぞろいか」
小牟「現れおったな、 秘密戦隊サーベルタイガーめ」
キュオン「特殊任務実行部隊 オルケストル・アーミーだよ!」
ヘンネ「まさか、あんたらとここで やりあうことになるとはね」
ヘンネ「……容赦はしないよ!」
神夜「ま、待ってください!  展開が早すぎること極まりないです!」
ハーケン「あんたがその気なら、 すぐに始まっちまうけど、いいのかい?  ……スカルボス」
エイゼル「…………」
エイゼル「何が言いたい。異界の狩人よ」
ハーケン「お仲間のキャットガイから、 あんたに聞けと言われたのさ」
ハーケン「…………」
ハーケン「……“自分の国の王を殺した張本人”に、 真相を教えてもらえ、とさ」
エイゼル「…………」
ヘンネ「なんだって?  おい、エイゼルッ!」
キュオン「エイゼルが……王サマを!?  え? うそ、シュタール王って…… 戦死じゃなかったの!?」
エイゼル「…………」
エイゼル「カッツェから聞いたか」
零児「やりあうのは簡単だ。 ……どちらかが倒れるまで戦えばいい」
アシェン「それでいいのかという疑問はあります。 この世界に堕ちたネバーランドは、 我々とは無関係ではあらせられません」
エイゼル「…………」
エイゼル「20年以上前……」
エイゼル「この世界に、異界から “方舟(はこぶね)の断片”が堕ちた。 それがすべての始まりだった」
キュオン「断片というか……“前半分”だよね?」
アシェン「23年前とすると、 ロストエレンシアに“後ろ半分”が 堕ちた時期と一致します」
エイゼル「当時、この世界を治めていた、 我らの王……シュタール・ディープは、 この方舟の技術に興味を持たれたのだ」
エイゼル「方舟には、異界の“転移技術”と “機動兵器”のデータが収められていた」
ハーケン「機動兵器ってのは ナハトやアーベントのことか」
ヘンネ「エイゼル、“転移技術”については、 あたし達は聞いたことがないよ?」
エイゼル「方舟は、エンドレス・フロンティアの “外”の世界から、こちらに来た。 ある技術…“次元転移装置”によって」
エイゼル「完全ではないまでも、 どのような世界に移動するのか… ある程度は定められたようだ」
零児「“ゆらぎ”を人為的に操れる装置…… みたいなものか」
KOS-MOS「その技術を、フォルミッドヘイムは 手中に収めたのですか?」
エイゼル「そうだ。 その技術を解析し、クロスゲートに 転用するまで10年」
エイゼル「そして“ある世界”への門を 開くことに成功したのだ」
小牟「その流れからすると、ある世界とは…… ここではないどこか、じゃな?」
ハーケン「ファンタスティックな話だ。 ……それが“アインスト”と呼ばれる 連中の世界ってわけか」
エイゼル「……そうだ。 その姿がどのようなものか、貴様らは 知っているはずだ」
エイゼル「シュタール王は、その力を気にいられた。 ……そして、軍を率いて、自らその世界に 赴いたのだ」
エイゼル「方舟のデータから造り出された “ナハト”と“アーベント”……」
エイゼル「そして“アークゲイン”を護衛としてな」
ハーケン「アークゲイン……? 初耳だな。 そいつもデータから造ったのかい?」
エイゼル「アークは方舟に積まれていた兵器だ。 腕に刀、脚に砲を持つ、紺碧(こんぺき) の格闘戦用アンドロイド」
アシェン「む……?」
ハーケン(海底のヴィルキュアキントで見た… ディープブルーのあいつか…!)
エイゼル「………………そして、王は戻った」
神夜「そ、それで…… それで、ど、どどどうなったんですか!?」
エイゼル「…………」
エイゼル「……我が処断した」
錫華「待たぬか!  ものっそい経過の省略ぶりであるぞよ!」
小牟「気を持たせておいて…… なんちゅう残忍さじゃ」
ハーケン「OK、残酷スカル。 ……これ以上、話すつもりはないと?」
エイゼル「…………」
ヘンネ「エイゼル、アンタ……マジなのか?  シュタール王を……?」
キュオン「あいつらがハッタリ言ってる だけじゃないの?  こっちをコンランさせようとしてさ」
エイゼル「ヘンネ、キュオン……。 この戦いが終わったら、真実を話そう。 あの戦争の真実と……」
エイゼル「“アインスト”という存在について」
キュオン「……この人たちにも聞かせるの?」
エイゼル「カッツェが認めた者たちだ。 ……だが」
エイゼル「“知りすぎた力無き者”は、 例外なく、必ず災いをもたらす」
エイゼル「もし彼らがそのような存在ならば…… ここで処断せねばならぬ」
ヘンネ「……了解。本気で潰しにいくよ」
キュオン「わかった!  個人的な恨みも込み込みで、キュオンの フルパワー、丸出しでいくよ!」

【ヘンネ・ヴァルキュリア、キュオン・フーリオン、エイゼル・グラナータとの戦闘】

ヘンネ「ちっ…… ドゥルセウス封墓でやりあった時より、 さらに戦力アップしているとはね」
キュオン「ばかーーーっ!  キモキザ! 煩乳! マグロ! 抉腹!  邪神! 悪趣味! 腐女狐~~!」
エイゼル「ナハト、アーベント…… そして、その討伐のために開発された ファントムまでも手にしている、か」
ハーケン「ああ。 ……遊びや、単なる好奇心で、 こんな所までくるわけないだろ?」
アシェン「……あの戦争の復讐を果たしに 来たわけでもありません」
零児「俺たちもまた、そのアインストなどと 同様に、この世界の外から来た者だ」
KOS-MOS「なんとしても、 戻らなければならないのです」
(KOS-MOSの目が青い)
KOS-MOS「……待っている人がいます」
エイゼル「…………」
エイゼル「いいだろう。 これもまた、運命なのだろう」
エイゼル「ヘンネ、キュオンも聞け」
ヘンネ「……わかったよ、ボス」
キュオン「この人たちは、悪い人じゃないと 思うから……いいんじゃないかな…?」
キュオン「戦いが終わったら、トモダチだよね!」
錫華「ふむ、ようやく丸くなりおったか。 手間をとらせおってからに」
小牟「そのわりには、このリトルウィッチに、 あり得ない罵倒をされた気もするがのう。 ……ついさっき」
神夜「ぼ、ぼんにゅう……!」
エイゼル「…………」
エイゼル「シュタール王が、“アインスト”の 世界から帰還されたあとの話だったな」
ハーケン「OK、そういうことさ。 ……あんたらのキングに何があった?」
エイゼル「戻ってきたのは、王と…… 3体の護衛だけだった」
神夜「“孤狼”と“堕天使”と…… え~と、“闇騎士”ですね」
零児「あんたは行かなかったのか?」
エイゼル「我は、王の留守を預かっていた」
エイゼル「……思えば、我も同道すべきであった。 もし行っていれば……あのようなことには ならなかったかもしれぬ」
アシェン「“あのようなこと”……とは?」
エイゼル「…………」
エイゼル「シュタール王は、 もう“彼ではなくなっていた”のだ」
錫華「彼では……ない?」
錫華「む……! もしや守天などと同じく、 精神を操られていたのではあるまいな?」
エイゼル「違う。戻ってきたのは…… 彼の姿をした“何か”だったのだ」
キュオン「何かって……なに?  え? 王サマじゃなかったってこと?」
エイゼル「……そうだ」
エイゼル「そして、その“何か”は、突如…… 戦争を起こした。 ……“静寂の世界を創る”と言ってな」
ヘンネ「それが、あの戦争の発端だって……!?  エイゼル、聞いてないぞ!」
エイゼル「……気付いたのは、終戦直前だ。 それを全軍に伝えられると思うのか?」
エイゼル「今までの戦いは間違いであったと。 我々は正体もわからない“何か”に従い、 ここまで戦争を継続してしまった…と?」
ヘンネ「ぐっ……」
KOS-MOS「疑問には思わなかったのですか?」
キュオン「……キュオンはその頃、 一番後方の砲撃班だったんだよね」
ヘンネ「あたしは最前線の傭兵部隊さ。 ……戦場のド真ん中で戦っている兵隊が、 “偉いさんが偽者かもしれない”……」
ヘンネ「そんなバカげたことを考える余裕が あると思うのか?」
小牟「……ま、そりゃそうじゃな」
エイゼル「このフォルミッドヘイムでは、 王の命令は絶対だ」
エイゼル「そして、“それ”は完全に王と同一の 存在に見えた」
ハーケン「それに気付いて、あんたは……」
エイゼル「疑問を持ったのは我だが、 調べたのはカッツェだ」
エイゼル「“それ”は、正体を現した。 そして、我がオルケストル・アーミーは、 “それ”と戦闘状態になった」
神夜「戦いはどうなったんですか!?  勝ったんですか!? 結末やいかに…!?」
零児「落ち着け、姫さん」
エイゼル「……勝つには勝った。 とどめを刺したのは……我だ」
エイゼル「隔離塔……ノース・オリトリアでの戦い。 だが、当時のオルケストル・アーミーは その戦いで……壊滅状態となった」
エイゼル「我はシュタール王を戦死と発表し、 エルフェテイル北部のハウゼン公と 休戦協定を結んだ」
エイゼル「カッツェは戦争によって生まれた 難民を救済するために除隊し…… 国を去った」
アシェン「それが、ジャイアント・マーカスと いうことだったりするのでしたか」
エイゼル「残った我はオルケストルを再編し、 無益な戦争を起こした戒めと……」
エイゼル「なにより、アインストとの世界が 再び通じぬよう、この世界につながる すべてのゲートを封鎖したのだ」
ヘンネ「それが…… 『10年戦争』の真実ってやつなのか」
キュオン「あれ?  アハトとナーベントとゲークアインは?」
ハーケン「ナハト、アーベント、アークゲインな。 ……そいつらはその時、どうなったんだ?」
エイゼル「おそらくは、アインストによって 改造が施されていたのだろう」
エイゼル「異常な戦闘能力と自己修復能力を 身に付けていた」
エイゼル「そして、こちらの制御下から外れ…… 何処かへ姿を消した」
小牟「とんだ突然凶暴進化じゃな。 まあ、たっぷり味わわされたがのう」
錫華「消えた“からくり”たちが、 今になって現れて、楔石を狙う理由は?」
キュオン「それを調べるために、キュオンたちは エルフェテイルに舞い降りたんだよん」
ヘンネ「アンタらとハチ合わせて、 やりあうはめになったけどね」
エイゼル「アインストたちが、別のゲートを通って やって来ているのは間違いない」
KOS-MOS「ヴァルナカナイの海底遺跡…… ヴィルキュアキント」
アシェン「ナハト、アーベント…… そしてアークゲインがいたことを 考えれば、正解でござりますだろう」
ハーケン「サブキャットリーダーは、 あんたが意図的にゲートを不安定に していると言った」
ハーケン「なぜそんなことを?」
エイゼル「アインストの世界につながっている ゲートは、このフォルミッドヘイム だけではない」
エイゼル「それがどういうことなのか…… 貴様たちも知っていよう」
ハーケン「エスピナ城…… エルフェテイル北部は、ミルトカイル石に よって、事実上壊滅した」
錫華「滅魏城も似たような状態であるな」
アシェン「ロストエレンシアの シュラーフェン・セレストにも同様に、 ミルトカイル石が出現しています」
エイゼル「このバレリアネア塔のエネルギーを 開放すれば、つながったすべての世界の クロスゲートに干渉できるのだ」
神夜「この塔には、そんな力が?」
神夜(“不死桜”と……同じ……?)
エイゼル「研究の結果、ミルトカイル石は クロスゲートからエネルギーを 得ていることがわかった」
エイゼル「すべてのクロスゲートから 安定したエネルギー供給ができぬなら 奴らの侵攻を食い止めることができる」
零児「だが、カッツェは、 それには危険が伴うと言っていた」
エイゼル「……それは理解している。 だが、時間を稼ぎ……その間に アインストを駆逐するしか方法がない」
神夜「…………」
神夜「エイゼルさん。 ……ひとつ、方法があります」
神夜「私に……いえ、 神楽天原に任せていただけませんか?」
エイゼル「む……?」
ハーケン「カグヤ、何かグッドプランがあるのか?」
神夜「…………」
錫華「もしや……?  神夜よ、そちが考えていることは……」
神夜「錫華ちゃん、 とりあえず武酉城に戻りましょう。 ……話はそこで。……ね?」
錫華「……わかった」
エイゼル「……貴様らが地上に戻れるよう、 大地の防御用電磁バリアを解除し、 キュアモス樹のゲートも開放しよう」
キュオン「パーソナルトルーパーは、 3機とも全部捕まえたんだよね?  そうなると……」
ヘンネ「残った前大戦の遺物は…… アークゲインだけか」
ハーケン「OK、オルケストル・アーミー。 そいつについては、心当たりがある」
ハーケン「カグヤ、タケトリ・キャッスルで 用事を済ます前に、俺たちの世界に 寄ってくれ」
神夜「どうするんですか? 心当たり?」
アシェン「ロストエレンシアの…… 『ネバーランド』ですね、艦長」
ハーケン「ああ、間違いなくアークゲインは、 アシェンやカルディアと同じシリーズ…… おそらく“W00”のはずだ」
零児「なるほど、 奴が潜む可能性があるということか」
小牟「古来より、 犯人は現場へ戻る……と言うしのう」
エイゼル「……『ネバーランド』か。 ならば、これを持っていくがよかろう」
KOS-MOS「これは……カードキーですか?」
エイゼル「うむ。 艦内で発見されたものだが、このキーに 該当する扉は見つからなかった」
アシェン「これは……『レベル3』……!」
ハーケン「ビンゴ!  確かあったな、オペレータールームの 真正面に、レベル3のハッチが」
ハーケン「サンクス、エイゼル。 俺たちは俺たちで、奴を追ってみるさ」
ヘンネ「エイゼル、 あたし達はどうするんだい?」
エイゼル「……ヴァルナカナイ近辺を中心に、 アインストの足取りを追う」
キュオン「じゃあキミタチ、またね。 ……豊乳のお姉ちゃんもね」
神夜「ありがとう、キュオンちゃん。 …あ、いっぱい牛乳を飲むといいですよ?」
キュオン「え……?」
キュオン「そ、そ、そんなに気にしてないよ!  チョーシ乗るな! ヒョーロクダマ!」
神夜「ひょ、表六玉……」
キュオン「…………」
キュオン(……牛乳、か)
錫華(……牛乳、か)
小牟(……牛乳、か)
エイゼル「フッ……。 また会おう、ハーケン・ブロウニング」
(キュオンとヘンネがワープする)
[貴重品“LV3カードキー”を手に入れた]
(エイゼルがワープする)
(黄色の電界が消え、キュアモス樹へのクロスゲートが安定する)
アシェン「艦長、ロストエレンシアですね?」
ハーケン「ああ、急ごう。 ……あまり時間はなさそうだ」
零児「そうだな、 オルケストル・アーミーとの決着が ついたのは、確かに重畳だが……」
小牟「逃げた沙夜やT-elos、 それにアークゲイン……じゃな」
ハーケン「OK、クロスゲートへ向かおう」
KOS-MOS「カグヤ、 先ほど言っていた“方法”というのは なんでしょうか?」
神夜「え? あ……ちょっと、色々あるんです」
神夜「まあ、いいじゃないですか。 ロストエレンシアに急ぎましょう!」
錫華「…………」

〔ノース・オリトリア〕

???「弱き者たちよ…… ……まだその時ではない……」
???「……異界への門が開く時…… 再び訪れるがよい……」


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