ハーケン「ここがリューグー・アイランドか。
こっちの方までは来たことがないな」
錫華「ふむ、当然である」
錫華「そちのように怪しげな輩(やから)どもを
この龍寓島を守る「裏玄武」が黙って
通すはずがないぞよ?」
アシェン「その胸に貼り付いた海苔(のり)、
引っぱがしてくれる」
ハーケン「仲間内でケンカの売り買いをするな」
ハーケン「カグヤ、
ここにあんたの師匠とやらがいるんだな?」
神夜「はい。
もっと奥にある“詰所(つめしょ)”に
いるはずです」
ハーケン「OK、とりあえずはそこだな」
ハーケン「…それにしても、変わった街だな。
わざわざ、こんな海に出っ張った所に
作る必要もなかろうに」
錫華「この龍寓島は、すぐそばにある交鬼門を
監視するために造られた島である」
錫華「13年前に起こった戦争……
その戦火がこの世界に及ばぬようにな」
アシェン「『10年戦争』は3年前に終結しました。
それでもまだ監視を?」
神夜「はい、時々なんですけど、門をくぐって
エルフェテイルから異形の者たちが
入り込むことがあるんです」
神夜「天狗やカマイタチ…
この世界の住人と似ているんですが、
明らかに別種の妖物たちが」
ハーケン「それは気になるな。
俺たちの世界にも、ミュータントやら、
壊れた戦闘マシンがうろついてるが…」
ハーケン「隣の世界から、となると話が違うな」
アシェン「エルフェテイルは、現在は戦争から
復興しつつあっちゃうという話ですが?」
錫華「人間と、我ら式鬼一族との確執も
ないわけではない。
どこも問題を抱えておるぞな」
ハーケン「ん? へそプリンセスは、
なんでその状況で、デカプリンセスの
お目付け役なんてのになったんだ?」
錫華「…………」
錫華「…女の秘密を聞きたがるとは、
不潔である」
アシェン「だ、そうです」
ハーケン「OK、話したくなきゃいいさ。
さっさと情報を訊きに行こうぜ?」
???(乙音)「お待ちしておりました。……姫」
神夜「はい! お師匠様もお変わりなく!」
ハーケン「このニンジャガールが、
プリンセスの師匠……Missオトネか」
アシェン「意外と普通でしたね、艦長」
錫華「何を期待しておるのか。
神夜を越えたら普通に通報されるぞよ」
乙音「む? おぬしたちか…
旅先の姫を見つけたというのは」
乙音「武酉城より報告は聞いている。
……世話になった」
ハーケン「かまわないさ。ギブ&テイクでいこう」
ハーケン「俺たちは情報がほしい。
黒光りのナイスガイ……ファントム。
その他もろもろの情報をな」
乙音「黒き亡霊か。…よかろう」
(話を聞いた)
ハーケン「なんだって…?
エルフェテイルが音信不通……?」
乙音「左様。
斥候(せっこう)を何度か出したが…」
錫華「向こうはどうなっておるぞよ?
出自のわからぬ妖物どもの流入も
相変わらずのようであるが?」
乙音「それもわからぬ。
誰一人として戻らぬ故な」
ハーケン「……何かあったな、こいつは」
乙音「それと関係があるかはわからぬが、
2日ほど前……」
乙音「“黒き亡霊”が交鬼門を越え、
エルフェテイルに渡った」
ハーケン「……ファントムが?」
錫華「裏玄武は何をしておったのか。
そのような輩から、交鬼門を守るのが
使命であろうに!」
乙音「言葉もない。
手傷こそ負わせたが、我々も大きな
痛手を受け…結局は取り逃がした」
ハーケン「ちっ…奴の所在はわかったが…
よりによって、エルフェテイルか」
アシェン「音信不通というのも気になります。
……あの戦争から3年……もしや?」
ハーケン「考えたくはないがな。
……行くしかないか」
ハーケン「俺たちはあのクロスゲートをくぐっても
かまわないな?」
ハーケン「それとも、戦って通らないといけない
ルールでもあるのかい?」
乙音「……好きにせい。
おぬしらには、姫を保護してもらった
恩もある。」
ハーケン「OK、ニンジャ・ミストレス。
じゃあ勝手に通らせてもらうぜ」
ハーケン「プリンセス・カグヤ。
残念ながら、ここでお別れだ」
神夜「え!?
ハーケンさん…どうしてですか!?」
ハーケン「どうしてもこうしてもないさ。
…俺たちはハンターだぜ?」
アシェン「ターゲットの所在が判明した今、
それを追うのは当然のことでありんす」
乙音「姫、あなたは武酉城へお戻りください。
楠舞皇(なんぶおう)が心配して
おられます」
神夜「…………」
ハーケン「そういうことだ。
面倒なことは下々の者に任せて、な」
ハーケン「短い間だったが…楽しかったぜ?
笑って別れよう、カグヤ。
……アディオス」
(ハーケンが立ち去る)
神夜「さようなら……です」
錫華「行きおったか。
まったく、軽薄で騒々しく、かつ
チャラチャラした勘違い男ぞな」
錫華「乙音よ、神夜はわらわが預かる。
かまわぬな?」
乙音「……問題ない」
ハーケン「さて……
とっととエルフェテイルに渡るとするか」
アシェン「よろしいので?
まだ報奨金をいただいてませんが」
ハーケン「……あの場で言ったらカッコ悪いだろ?
あれだけ涼しげに別れを告げておいて
「あ、お金の件ですけど」とは言えんさ」
アシェン「そんなどうでもいい理由で、報奨金を
もらってこなかった…などと報告したら、
副長にかじられます」
ハーケン「フッ…わかってないな、アシェン。
ああいう態度が意外と女心にグッと
来るのさ」
ハーケン「向こうから届けてくれるかも
しれないぜ?」
錫華「……今どき、かような手で落ちる
女子なぞおらぬわ、痴れ者め」
神夜「ハーケンさん……」
アシェン「いえ、まんまとグッとされた人も
いるようですが」
ハーケン「ほらな?」
ハーケン「…じゃなくて、どうしたんだ、二人とも。
帰ったんじゃなかったのか?」
神夜「あ、そうでした。
私たちも…エルフェテイルに行きます…!」
ハーケン「おいおい、何があるかわからんって
オトネも言ってただろ?」
神夜「楠舞家には、18歳を迎えたら、
全国を行脚(あんぎゃ)して見聞を
深めるという“しきたり”があります」
神夜「ちょっと危険だからやめるなんて…
カッコ悪いですから♪」
錫華「わらわ的には、楔石がどこから
来たのか調べるつもりである」
錫華「今一番怪しいのは…
やはりエルフェテイルであるゆえにな」
錫華「それに、神夜を悪い虫から守るのも、
お目付け役たるわらわの職務である」
ハーケン「ちっ…好き勝手言ってくれるぜ。
まあ、これも成り行きか」
ハーケン「OK、ダブルプリンセス。
人数が多い方が、にぎやかでいいさ。
新たな大地に行くとしようか…!」
裏玄武・上忍「頭領……
神夜姫さまが、先ほどの賞金稼ぎと
合流されました」
裏玄武・上忍「いかがいたしますか?」
乙音「…捨て置け。
ただし、監視は怠るな」
裏玄武・上忍「……御意」
(上忍が立ち去る)
乙音「…………」
乙音(姫……)