神夜「着きました!
ここが武酉城(たけとりじょう)です!」
ハーケン「相も変わらず、でたらめな大きさだな。
ま、絶景ではあるが」
神夜「え?
ハーケンさんは来たことがあるんですか?」
ハーケン「ああ、実はちょくちょく来てるんだよ。
取引先があるんでな」
神夜「取引先…?」
アシェン「まあ、今回は姫を取引するわけですが」
ハーケン「フッ、そういうことになるな」
神夜「や、やっぱり…
戻らなくちゃダメ…ですか?」
アシェン「色目を使っても無駄です。
艦長は金の亡者でありんすですので」
ハーケン「俺の印象を無意味に悪くするな。
…いくぞ」
ハーケン「プリンセス、ちょっと寄り道していくぜ?」
神夜「あら? ここって……」
ハーケン「よう、シロウいるかい?」
士浪「なんだ? 店先で何を騒いで……」
士浪「おっと、ハーケンか?
しばらくぶりじゃないか」
士浪「何か、いい物でも掘り出したか?」
ハーケン「掘り出しモノというよりは、
寝てたのを引っ張ってきただけさ」
神夜「あ、はい…寝てました」
士浪「ほほう! これは上玉………」
士浪「…って、おいハーケン!
このお方、神夜姫さまだワンッ!」
士浪「ん、ゴホン…ご無事でしたか、姫」
神夜「おかげさまで。
がんばってますね、大旦那さん」
士浪「大旦那はやめてください、神夜さま。
別に跡継ぎがいるわけでもないので…」
ハーケン「オーダンナ?」
アシェン「データ検索結果によると、
親子でショップ経営をしている場合、
親の方に付ける敬称みたいなのです」
神夜「だってほら、
時々やってくる“猫さんの商人”って、
士浪さんの娘さんじゃないんですか?」
士浪「…………ッ!!!」
アシェン「戦闘力、なぜか上昇中」
士浪「“あんなの”を娘と思っていたとは…ッ!」
士浪「姫でなければ、花咲抜刀牙を食らわせて
いるところだワンッッ!」
神夜「ひゃあ!
きょ、強力極まりなさそう…!」
ハーケン「そりゃ見てみたい気もするが、
落ち着けよ、ミスター。
…誰のことなんだ?」
士浪「これは…失礼しました、姫さま」
士浪「ゴホン……そいつは琥魔(こま)。
北にある『龍寓島(りゅうぐうとう)』を
中心に動いている行商人だ」
士浪「客を客とも思わん、商売人の風上にも
置けぬ性悪な駄猫(だねこ)……
会ったら気をつけろ、ハーケン」
ハーケン「バケネコの娘…キャットウーマンね。
ま、覚えておくさ。
じゃ、また今度寄らせてもらうぜ」
士浪「ああ、いつでも来な。
万屋(よろずや)『大判小判』は、
年中無休だからな」
(店を出た)
ハーケン「では、プリンセス。
お城の方にまいりましょうか」
神夜「はい……」
ハーケン「ナンブキングか…
ちょっと緊張するな」
アシェン「くれぐれも
無礼な言動は慎みやがれです、艦長」
???(讃岐)「待たせてすまぬな、
ロストエレンシアの若者よ」
讃岐「私が楠舞讃岐(なんぶ・さぬき)…
この神楽天原を治めておる者だ」
讃岐「娘の件、聞いておる。
迷惑をかけてしまったようだな」
ハーケン「いえ、たまたま我々が探索していた場所で
出会っただけです」
ハーケン「さあ、ダディがお待ちかねだぜ?
プリンセ……」
ハーケン「ん? おい、彼女はどこ行った?」
アシェン「先ほど、あとから行くからと、
町に下りて行きましたが」
ハーケン「普通に行かせるなよ…!
あと、先に言え」
ハーケン「申し訳ない、キング。
すぐに探して連れて来ます」
讃岐「…いや、いい。
あれの行く先ならわかっておる。
不死桜(ふじざくら)だろう」
ハーケン「フジザクラってのは……」
アシェン「たしか、このシティそのものとも言える、
巨大な桜の木を指していると思われます」
讃岐「その通りだ、からくりの娘よ。
やはり…母親は必要だと言うことか」
ハーケン(……母親?)
讃岐「いや、こちらの話だ。
不死桜の祭壇は、下りればすぐにわかる。
すまぬが……」
ハーケン「OKです。プリンセス・カグヤは、
すぐにお連れいたしましょう」
ハーケン「ですが…彼女は“旅の途中”だと
言っていました」
ハーケン「報奨金をかけてまで連れ戻すというのは、
賞金稼ぎにはありがたい話ですが、
キナ臭い感じがしますが?」
讃岐「さすがは、“さすらいの賞金稼ぎ”と
呼ばれた、ジョーン・モーゼスが二代目に
選んだ男……鋭いな」
讃岐「今、各世界で問題になっている『楔石』
以外にも、この国では問題が多くてな」
讃岐「東の滅魏城(めぎじょう)…
そして、突然現われる“黒き亡霊”だ」
ハーケン(黒き亡霊……ファントムのことか。
クロスゲートを自由に行き来していると
いうのは、本当らしいな)
アシェン「メギ・キャスルは、“シキオニ”と
呼ばれる種族の本拠地だと、
データにはあります」
讃岐「そう、式鬼たちの城だ。
もう10年以上も経つというのに…
守天(しゅてん)は諦めておらぬでな」
讃岐「それに、錫華姫(すずかひめ)も、
あそこに行ったきり、戻ってこぬ。
どうしているのか…」
ハーケン「ふう、こいつは早いところ退散した方が
良さそうだ」
ハーケン「一介の賞金稼ぎが首を突っ込むには
荷が重そうな感じになってきた」
アシェン「そう思います」
讃岐「ははは、すまぬ。
年寄りのグチなど、若者には
退屈極まりないだけだな」
讃岐「報奨金は用意しておこう。
神夜を連れて来てほしい」
ハーケン「OKです。今しばらくお待ちを」
ハーケン「たしか、フジザクラ…だったよな?」
アシェン「はい、
桜の根元あたりにあるとのことです」
ハーケン「まったく、
勝手に抜け出して…何をやってるんだ?」
(祭壇前に神夜がいる)
神夜「………………」
ハーケン「お、見つけたぜ?
ワンダリングガール」
アシェン「…後ろからスソを引っ張って、
まろび出させますか?」
神夜「え? あ、ハーケンさん」
ハーケン「困るな。あんたを送り届けないと、
ミッションが完了しない」
アシェン「ボーナスも入りませんので」
神夜「す、すいません……。
お母さまにお祈りするのを
忘れてたので…」
ハーケン「マザー…って、この木がか?」
神夜「…そう言ってもいいかもしれません」
ハーケン「………?」
ハーケン「…訊いちゃまずいことだったか?
だったら、謝らせてもらうぜ。」
神夜「…………」
神夜「ハーケンさんは…優しい人ですね。
錫華ちゃんにも紹介しなくちゃ」
ハーケン「おいおい、
さっきからわからないことだらけだぜ?」
神夜「あ、すいません。
彼女は私が小さい頃からのお友達で、
お目付け役ってことになってる人です」
アシェン「ずいぶんな兼任っぷりですね。
ですが、旅は一人だったりしましたが?」
神夜「錫華ちゃんは今、滅魏城に行ってます。
なんでも、故郷の一大事…とかで…」
ハーケン「メギジョウにスズカ…
さっき出たな、その名前」
ハーケン「そこが故郷ってことは、スズカってのは…」
神夜「はい、式鬼一族のお姫様なんですよ♪」
アシェン「姫が姫のお目付け役をするというのは、
どうなんですか?」
神夜「そ、そう言われましても…」
ハーケン「さっきキングに会った時、スズカは
そのメギ・キャッスルに行ったきり、
戻ってきてないとか言ってたぜ?」
神夜「え!?
私がロストエレンシアに渡る前に
行ったんですよ!?」
アシェン「問題が起こっているとも聞きました。
…ヤバいのでは?」
神夜「…………」
神夜「ハーケンさん、ごめんなさい。
ちょっと見てきます」
神夜「待っていてください。
そうしたら、お金もお支払いできます」
ハーケン「…………」
ハーケン「まあ、賞金首のファントムをここで
捜すのも悪くない、か」
神夜「ハーケンさん…?」
ハーケン「OK、プリンセス・カグヤ。
もう少しだけ、お供をつとめさせて
いただきましょう」
ハーケン「よろしいかな?」
神夜「わあ、
それは心強いこと極まりない感じです!
よろしくお願いします!」
ハーケン「フッ、よせよ。照れるぜ」
アシェン「…天然の策士、恐るべし」
アシェン「艦長、データを検索したところ、
メギ・キャッスルは、ここから東に
位置していたりいなかったりしてます」
ハーケン「わかった。士浪の店で準備を整えてから、
出発するとしようか」
ハーケン(また厄介事に首を突っ込むことに
なりそうだ。これも…性分か)
ハーケン「ここがメギ・キャッスルか。
なるほど、雰囲気があるな」
神夜「あらら…? これってどういうこと?」
アシェン「どうかしましたか?」
神夜「何年か前に、錫華ちゃんに連れられて
来たことがあるんですけど…」
神夜「その時には、こんな『楔石』は
生えてなかったんです」
ハーケン「そう言われると…
こいつは確かに、あちこちで確認されてる
ミルトカイル石だな」
アシェン「ですが艦長、ここにある石からは、
エネルギー反応がありませんのでした」
神夜「つまり…ニセモノということですか?」
ハーケン「そうとも限らんぜ?
たとえば…電池切れ、とかな」
アシェン「この城のどこかに、そのパワーが
使われていると?」
神夜「ん~、お台所で火を使う時とか…?」
ハーケン「フッ、あと空調の管理とかな」
ハーケン「OK、ともかく先に進もう。
早いところ、あんたのお目付け役、
オーガプリンセスに謁見しなけりゃな」
錫華「守天! 聞いておるのか!
なぜ答えぬ!」
守天「…………」
錫華「守天!」
守天「錫華よお…。
もう一度、俺様と一緒に夢ェ見ねえか?」
錫華「…本気で言っておるのか?
ここで何をしておるのか知らぬが、
この滅魏城は、わらわの故郷でもある!」
守天「…………」
錫華「それをこんな『楔石』だらけにするとは、
不届き千万!
わらわ的に許すわけにはゆかぬ!」
守天「もう少しなんだよ、錫華…。
もう少しでモノになるんだ。
力を…再び、俺様たち式鬼一族に…」
錫華「守天っ!」
ハーケン「お、なんだなんだ?」
神夜「あ! 錫華ちゃん!」
神夜「ハーケンさん、あのおなか丸出しの子が
錫華ちゃんです」
ハーケン「なるほど、いいラインだ…」
アシェン「艦長、
二人して同じ方向に行かないでください」
アシェン「会話の内容からすると、向こうにいる
大男が、この城の主であるシュテンの
ようですが?」
錫華「む? 神夜…?」
錫華「神夜!
一体どこをほっつき歩いておった!」
神夜「え、え~と、ちょっと隣の世界まで…」
錫華「まさか、ロストエレンシアにか!?
守天といい、そちといい、
一体どういうつもりであるか!」
ハーケン「おっと、怒りは美容の敵だぜ?
腹ビューティー」
アシェン「その通りです。
どうぞ落ち着いてくださいませなのです、
胸板姫」
錫華「ぐっ…無礼なっ!
神夜! そちはどういう…!」
神夜「ま、まあまあ、錫華ちゃん。
説明すると長くなっちゃうから…」
守天「侵入者か。
まったく、新しく雇った守備隊は
何をやってやがる…!」
守天「…まあいい。錫華、また来な。
俺様は、いつでもおまえを待ってるぜ」
錫華「待たぬか、守天!
トンチキどもの邪魔が入ったが、
わらわの話はまだ終わっておらぬぞよ!」
守天「…帰れ。俺様は目指す」
守天「…………修正する。世界を…………。
静寂の…………」
錫華(む…? 守天…?)
(守天が奥へ立ち去る)
ハーケン「おっと、行っちまったぜ?
追わなくていいのかい?」
錫華「追うに決まっておろう。
ここを出て北に進めば、大門が……」
錫華「……というか、そちは何者ぞよ?」
(説明した)
錫華「ふむ……
ロストエレンシアの方でも『楔石』が
現れておるというのか」
神夜「そうなの。
大きな鉄の飛行船の中なんて、
よりどりみどり極まりなかったのよ?」
錫華「ふむ、なるほど」
錫華「で、どういうわけかチャラチャラした
軽薄男と、下品な「からくり」を
引き連れている…というのであるな?」
ハーケン「…クールと言ってほしいね」
アシェン「そのヘソ、パテか何かで埋めてくれる」
神夜「ま、まあまあ……。
ともかく、錫華ちゃんとも会えたんだし、
終わり良ければすべて良しです!」
錫華「相変わらず、よく言えば前向き、
悪く言えば何も考えておらぬな…」
錫華「よいよい。
これも縁、わらわが使ってやろうぞ?」
錫華「この滅魏城に大量にわいておる『楔石』、
ロストエレンシアのものとも関係あるやも
しれぬしな」
錫華「ここを出て、北側の階段の先に門がある。
守天はその先におるはずぞよ?
ついて参れ、皆の衆。」
(錫華が立ち去る)
神夜「は~~い!」
(神夜が立ち去る)
ハーケン「どっちがプリンセスなんだか。
…ああ、どっちもか」
[錫華姫が仲間に加わりました。]
錫華「この大門を越えれば、守天が……む?」
ハーケン「ミルトカイル石にブロックされてるが…
通れるのか?」
???(琥魔)「というか、ここは通行止めでございます!」
神夜「あ、行商人の……琥魔さん!」
ハーケン「こいつが、シロウが行ってた
イーヴル・キャット…“性悪な駄猫”って
奴か」
琥魔「嫌ですわ、お客様。
あんなカビ臭い腐れ駄犬の言うことを
真に受けるなんて」
神夜「しょ、性悪かも…」
琥魔「それはそうと、ここは通せないのです。
この城の主人から、誰も通すなと
申し付けられておりまして」
錫華「守天に?
琥魔よ、どういうことであるか!」
アシェン「…金で雇われた、
と見るべきなのでしょうです」
神夜「琥魔さん!
世界中でおかしなことが起きてるんです!
それを確かめなきゃ…」
琥魔「おかしいのはアンタの格好ニャ。
それを確かめるのが先ちゃうんかい」
神夜「…………」
神夜「……やっつけましょう、ハーケンさん」
ハーケン「…やれやれ」
ハーケン「OK、まあそういうわけだ。
こっちも遊びじゃないんでな。
…通してもらうぜ?」
琥魔「わかりました。私も今は雇われの身。
いただいているお給金の分は、きっちりと
働かなければなりません」
ハーケン「なるほど、プロってわけか。
気に入ったぜ、キャットガール」
琥魔「…でもまあ、あの筋肉ダルマよりも
払うっちゅうなら、話は別だがニャ」
アシェン「性格的には問題があるようですが」
錫華「バケネコ風情が、わらわの邪魔を
しようなどと、笑止千万である」
ハーケン「というわけで、交渉は決裂だ」
琥魔「わかりました!
では、ぶちのめして、身ぐるみ
はがさせていただきま~す!」
【琥魔、アインストシェーデル×2との戦闘】
琥魔「いやあ、皆様お強い!
では、そこらで一杯やってから帰ります!」
アシェン「雇われたのではなかったのですか?」
琥魔「もうお給金分は働きましたし、
痛いのもイヤでございますし」
琥魔「それに『楔石』があるから、
どの道進めはしないニャ」
(琥魔が消える)
錫華「あ! こら、待つぞよ!」
神夜「…もういなくなっちゃいました」
ハーケン「ちっ、無駄にやりあっちまったな。
……アシェン」
アシェン「はい」
ハーケン「さっきのヘルキャットと一緒にいた、
骨のようなモンスター…分析できるか?」
アシェン「やってみましょうなのでございます」
神夜「どうしたんです? ハーケンさん」
ハーケン「いや、ちょっとな」
アシェン「艦長、簡易的なものですが、
分析終了しました」
アシェン「……過去交戦記録がある生物の中には
該当するものはありません」
アシェン「強いて言えば…ミルトカイル石の成分と
酷似しちゃってます」
錫華「みるとかいる…『楔石』と似ておると?
そんなものが、なぜこの城に?」
神夜「どういうことなんでしょう?
不可解極まりないです…」
ハーケン「ミルトカイル石と関係あるモンスター、
謎のトルーパー、Mr.ファントム……」
ハーケン「本腰を入れて調べる必要があるかもな」
ハーケン「カグヤ、
この国で他に情報を集められる場所は?」
神夜「え~と……。
“お師匠様”のところ…ですね」
ハーケン「師匠?」
錫華「楠舞家直属の忍者部隊、
『裏玄武(うらげんぶ)』の頭領……
乙音(おとね)である」
錫華「嘆かわしいことではあるが、
最近はこの滅魏城の者たちとの、
小競り合いが続いていると聞く」
錫華「わらわ的にも、今この城で何が起こって
いるのか、確かめたい気分である」
ハーケン「OK、決まったな。
そのニンジャマスターに会ってみようか。
…場所は?」
神夜「この世界の北西…交鬼門を守っている島、
『龍寓島(りゅうぐうとう)』です」
アシェン「露出姫の師匠……
エラいことになってそうですね、艦長」
ハーケン「ああ、楽しみだぜ」
ハーケン「…だが、どうも別の意味でエラい目に
遭いそうな予感もするがな」