…現実の世界。
…時空を越えた過去。
…剣と魔法の世界。
…神の住まう国。
…悪魔が治める地。
本来、交わる事のない様々な世界。
それぞれの世界で起きている事件…
そのすべてが、やがて来る大きな
戦いの火種であるという事に…
まだ誰も気付いていなかった。
…その頃、
渋谷での戦いを終えた
特務機関『森羅』のエージェント、
有栖零児と小牟達は、
『森羅』本部へと急いでいた。
(通話中音の後、電話を切る)
零児「ちっ…やはり駄目か」
小牟「おかしいのう…
ウチは24時間営業じゃなかったっけか?」
小牟「…も、もしかして、営業時間…変わった?」
零児「そんなはずがあるか」
シオン「あの、どうしたんですか?」
零児「…本部と連絡がつかない」
KOS-MOS「電波障害などは無いようです」
零児「気が利くな」
零児「となると…“奴ら”か」
小牟「秘密結社『シャドルー』…」
小牟「わしらの事を知っとったっちゅう事は、
何か悪さをしている可能性が高いのう」
小牟「最近流行り始めた『眠り病』についても、
何か知っておるかもしれん」
M.O.M.O.「眠り病…ですか?」
零児「厳密には眠る…というより、昏倒に近い」
零児「生きてはいるが、意識は無いらしい…
というものさ」
零児「原因は不明。“何者かに魂を抜かれた”
なんて突拍子のない説もあるが、今の
この世の中だ」
零児「それを否定する事もできん」
シオン「私達が来てしまったこの世界…
何か大変な事が起こってるみたいね…」
シオン「KOS-MOS、他に何かわからない?」
KOS-MOS「現時点では情報不足です」
KOS-MOS「この場所で得られる情報はないと
思われます」
零児「いちいちごもっともだ。…よし、行くか」
小牟「あ…そうじゃ、そう言えば…
さっき戦っとった時…」
シオン「なにか他に…気になる事でも…?」
小牟「うむ。…ええと、たしかモモといったの?」
M.O.M.O.「え…? あ、はい」
小牟「おぬし、スカート短すぎ。
…ヒヤヒヤもんじゃぞ」
M.O.M.O.「あ、あの…ごめんなさい」
シオン「戦闘で気になったところって、
そこなの!?」
零児「…そいつは無視していい」
零児「とりあえず本部に直接行くしかないか」
零児「そうだ、その前に…
少し付き合ってほしい所がある」
シオン「え…?」
三島財閥ビル
零児「三島財閥ビル…
その前で待ち合わせている連中がいる」
零児「ここの問題を片付けた後で行くつもり
だった所でな」
シオン「かまいません。
私達は急にここに来てしまったわけ
ですから…」
小牟「いかんのう。男は狼じゃ。
ホイホイついていくもんじゃないぞ?」
零児「異世界から来た人間に、おかしな
情報を吹き込むな」
零児「三島のビルに行く。遅れるな」
ナムコシアター
小牟「ふむ。ここからじゃと『ナムコシアター』
の前に出るのが早かろうて」
ワンダーモモ「どうもありがとう!」
ワンダーモモ「またいつか…
またいつか、ここに帰ってきます!」
ワンダーモモ「さよならは言いません!」
ワンダーモモ「感謝の気持ちだけを届けます!
どうもありがとう…!」
(歓声)
さくら「あ~あ、終わっちゃったね…」
かりん「仕方ありませんわ」
かりん「“閉鎖都市指定”を受けた渋谷の
すぐ近く…これだけの人が集まる劇場では」
さくら「でも、よく最終公演のチケット取れたね」
さくら「…言ってみるもんだ」
かりん「ご存知ありませんでしたの?
このナムコシアターの建設には、
我が神月財閥も関わっておりますのよ」
さくら「そうなの!?」
さくら「何でもやってるんだね」
かりん「当然ですわ。
日本はおろか、世界の政治、経済界に
あまねく知れた、神月コンツェルン…」
かりん「その手は当然、兵器開発からエンター
テインメントまで、あらゆるジャンルに
伸びておりますのよ」
かりん「『万事において、常に勝利者であるべし』
…この家訓は、物理的な打倒のみを指す
言葉ではなく…」
さくら(うわぁ…
これ始まっちゃうと長いんだよねえ…。
なんか話題を変えないと…)
さくら「ん~…でもこれで、ワンダーモモと
フェリシアちゃんのコラボ・ライブの
予定もなくなっちゃったね」
かりん「…触れてはいけない所に触れましたわね、
さくらさん」
さくら「へ…?」
かりん「米メトロシティのミュージカルスター、
フェリシアの来日」
かりん「そして、『ワンダーモモ』とのコラボ、
“バトルミュージカル”…」
かりん「軽~く言ってくれましたが、我が財閥が
どれだけの利益を見込んでいたか…
あなた、おわかりですの?」
さくら(あちゃ~、これも地雷なのぉ?)
さくら「あ、あの~、神月さん? 近くでご飯
食べていかない?」
さくら「続きはそこで。ね、ね?」
かりん「話の途中ですのに…仕方ありませんわね」
さくら(ふぅ…。
コレってもう高校生の会話じゃないよ…)
桃「………」
桃(これで…全部終わり、か)
桃(やっとここまで…
ここまで来たっていうのに…)
桃(フェリシアさんとのライブのために…
すごくたくさん練習してきたのに…)
桃「でも…仕方ない、か…」
???(アマゾーナ)「…そう、仕方ないのよ。神田…桃」
桃「えッ!? だ、誰!?」
桃「もう閉館したのに…!」
アマゾーナ「………」
桃「アマゾーナ…!?
どうしたの? 最終公演はもう…」
アマゾーナ「………」
桃「…あなたは…違う!? 誰!?」
アマゾーナ「神田桃…ドルアーガ様に会ってもらう」
桃「な…なにを…言ってるの!?」
桃「ドルアーガ…様…!?」
アマゾーナ「神田桃…おまえに拒否権はない…」
アマゾーナ「抵抗するなら…手足の一本や二本
斬り落としてでも…連れて行く…」
桃「…ど、どうして…!?」
アマゾーナ「………」
(桃が後ろを向く)
桃「だ、誰かっ! 誰かいませんかっ!」
アマゾーナ「無駄だ…
おまえの叫びは、誰にも届かない…」
???(ベラボーマン)「…一人を除いては、ですが」
アマゾーナ「……ッ!」
桃「えっ!?」
アマゾーナ「貴様…何者…!?」
ベラボーマン「ベラボー、参上…!」
桃「ベラボーって…べ、ベラボーマン?」
桃「超絶倫人…ベラボーマンなんですか!?」
ベラボーマン「お迎えに上がりましたよ、神田桃さん…」
ベラボーマン「いえ、“ワンダーモモ”」
桃「…え?」
アマゾーナ「…勝手なマネをしないでもらおう…」
ベラボーマン「桃さん、彼女は?」
桃「アマゾーナ…。
私のライバル役の子なんですけど…
さっきから、変なんです…」
ベラボーマン「…悪魔に魅入られたようですね」
桃「あ、悪魔…?
何を言ってるんですか…?」
アマゾーナ「神田桃は…ドルアーガ様の“生贄”となる
強い魂の力を持つ者…」
桃「イケニエ!? な、なんの事なの!?」
ベラボーマン「そして、あなたは悪魔に狙われています」
ベラボーマン「『超変身物質』の力を引き出せるほどの
強い力を持つがゆえに」
桃「超…『超変身物質』…!?」
ベラボーマン「詳しいお話と名刺交換は後ほど、
今はとにかく外へ…!」
ベラボーマン「神田桃さん…あなたはそこで、一つの決断を
しなければなりません」
桃「…決断…?」
フェリシア「…あらら…間に合わなかった…?」
キング『ああ。定刻通りであれば、終わってから
1時間というところか』
フェリシア「もう…キングさん、どういう事!?」
キング『どうもこうも、仕方がなかろう…』
キング『“怪物騒ぎ”で飛行機が遅れた…
それ以外に何がある?』
フェリシア「…ないケドさぁ」
フェリシア「はぁ…
来月のコラボ・ライブは無期延期だし、
今日は今日で間に合わないし…もう!」
キング『問題は世界規模で起こっている…
怒ったところで我々がどうこう
できるわけではない』
フェリシア「黙って待ってるしかないって事?」
キング『主は見ておられる。
このまま放っておかれるはずもない』
フェリシア「…まあ、そうだけど…」
キング『ところで例の怪物騒ぎ…
君は関係ないのか?』
フェリシア「…正直、変な気配は感じるよ」
フェリシア「ただ…ん~、なんか臭いが違う感じ?」
フェリシア「キングさんも鼻は良さそうだし…
わかるでしょ?」
キング『…これはマスクだ』
キング『だが、よくない流れだな。“シブヤ”の
件もある』
フェリシア「だからこそ!
最終公演にあわせて挨拶に来たってわけ」
フェリシア「なのに間に合わないなんて…!」
フェリシア「あげくに、お忍びで来ちゃったから、
帰ったらマネージャーに怒られちゃう…」
フェリシア「そんな可哀想なあたしの事も考えて?」
キング『…無理矢理付き添いで連れてこられた
私の事も考えろ』
フェリシア「ま、まあまあ…
そうむくれないでよぉ、キングさん」
フェリシア「そんなにキバ剥き出しちゃいやん」
キング『…これはマスクだ』
フェリシア「まだいるかなぁ? 桃ちゃん」
キング『閉館から1時間…
まだ大丈夫ではないのか?』
フェリシア「だよね。とりあえず楽屋に忍び込もうよ」
キング『堂々と正面から入ればいいだろう。
とりあえずは警備員に…』
フェリシア「……キングさん、待って」
キング『ん…?』
フェリシア「よっと」
(フェリシアがドレスを脱ぐ)
キング『おいおい、
こんな往来で服を脱ぐな!』
フェリシア「…往来? どこが?」
キング『何を言って…』
キング『む…? 人の…気配が…?』
フェリシア「気配ならするよ。
同類というか…“人以外”の気配ならね」
(クラブフェンサーが出現)
キング『なんだ、着ぐるみ?』
キング『ナムコシアターのアトラクションか?』
フェリシア「半分当たりだよ、キングさん」
フェリシア「…中に入ってるのが人間とは
限らないけどね」
キング『まさか、巷で騒がれているモンスターだと
いうのか?』
フェリシア(桃ちゃん…ここで何があったの…!?)
(キングとフェリシアがペアユニットに)
キング『彼らは、シアターから出てきた…』
キング『まずいかも知れんぞ、フェリシア』
フェリシア「わかってるよ!」
フェリシア「それにこいつら…結構強いよ!
普通の人間だったら…」
キング『…手遅れになっていなければいいが』
フェリシア「また誰か来る!」
(ベラボーマンと神田桃が出現)
ベラボーマン「さあ、こっちですよ、早く!」
桃「ま、待ってください!」
フェリシア「あれって…桃ちゃん!?」
桃「え!? フェ、フェリシアさん!?」
桃「どうしてここに!?」
ベラボーマン「あなた方は…」
キング『フェリシア、このマスクマンも…』
フェリシア「ううん、この人からは人間の臭いがする」
フェリシア「桃ちゃんを…助けてくれたの?」
ベラボーマン「外に連れ出しただけですよ。
助けるのは…これからです」
ベラボーマン「それに彼女を助けるのは、彼女自身
ですしね」
桃「え? それって…どういう意味ですか?」
(アマゾーナ他が出現)
アマゾーナ「逃しはしない…神田桃」
キング『追って来たのか!?』
桃「ど、どうしたらいいんですか!?
ベラボーさん、私は…」
ベラボーマン「神田桃さん…
“ワンダーモモ”に変身してください」
桃「え…!?」
キング『ちょっと待ってくれ、Mr.マスクマン。
ワンダーモモというのは…』
フェリシア「言いづらいんだけど…」
ベラボーマン「………」
桃「そうです…無理です!
だって…だって、ワンダーモモはお芝居の
キャラクターなんですよ!?」
ベラボーマン「いいえ、違いますよ」
ベラボーマン「…あなたの心にいるもう一人のあなた、
それがワンダーモモなんです」
桃「もう一人の…私…?」
ベラボーマン「そう。『超変身物質』は、心の中の
もう一人の自分…」
ベラボーマン「“守るべき者のために強くありたい”
という自分自身を導いてくれる」
ベラボーマン「かつての…そして今の私のように」
桃「…新田…四丁目事件…」
ベラボーマン「今、世界では何かが起こっている。
愛すべき人のために、守るべき家族の
ために…」
ベラボーマン「あなたに、この力を」
アマゾーナ「神田桃…私と来てもらう…!」
桃「…アマゾーナ…」
桃「………」
桃「…変身…!」
(神田桃がワンダーモモに変身)
キング『…か、変わった!?』
フェリシア「ほ、ほんとだ…! 桃ちゃん…!」
フェリシア「じゃないや…ワンダーモモ!」
ワンダーモモ「フェリシアさん…!」
フェリシア「やろうよ!」
フェリシア「“バトルミュージカル”…
今、ここで…っ!」
(ワンダーモモとベラボーマンがペアユニットに)
(春日野さくら&神月かりんが出現)
さくら「ほら! やっぱり!」
さくら「わあ、ワンダーモモだよ、神月さん!」
かりん「ファンサービスの野外アトラクション?」
フェリシア「にゃ? 誰?」
さくら「ちょ、え? うそ!?
フェリシアちゃんだよ~! ほら神月さん!
ねえねえねえねえ!」
かりん「見ればわかりますわよ!
はしゃがないでいただけませんこと?」
かりん(…それにしても、なぜ周りに人が
おりませんの?)
かりん(それにこの空気…)
ベラボーマン「まずいですね…」
ベラボーマン「あなた方! ここは危険です!
避難してください!
これはアトラクションではありません!」
さくら「なんか、一番特撮ヒーローみたいな人が
いるけど…」
かりん「…ベラボーマン!?
かつて新田四丁目を救った、超絶倫人!?」
(ベンジャミン大久保彦左衛門が出現)
さくら「わっ!」
キング『まだ来るのか!』
ベラボーマン「な…! あ、あれはッ!?」
ワンダーモモ「ベラボーさん?」
フェリシア「あれ…?
こいつらからは何の臭いもしない…」
ベラボーマン「…皆さん、あれも敵です」
ベラボーマン「アンドロイド、つまりロボットです」
キング『そんなものまで出てくるとは…』
(ベンジャミン大久保彦左衛門を見る)
ベラボーマン(間違いありません…
ベンジャミン大久保彦左衛門)
ベラボーマン(爆田軍団のロボット兵士が、なぜ今頃に
なって…!?)
さくら「な、なになに!?」
かりん(前に呼んだ資料…
私の記憶に間違いがなければ、
あれは爆田軍団のアンドロイド…!)
かりん(ここ最近の魑魅魍魎騒ぎ、爆田軍団、
そしてベラボーマン…
一体どうなっておりますの?)
かりん「さくらさん、一度退きますわよ」
かりん「…状況が不透明すぎますわ」
さくら「…退けないよ」
かりん「ちょっと、聞こえませんでしたの!?」
さくら「退けないよ!
困っている人がいるのに、相手の強さが
わかんないから逃げ出すなんて」
かりん「さくらさん!」
さくら「そんなの“あの人”なら絶対しない…!」
かりん「ふう…」
かりん「…その名前が出てしまったら、
もう何を言っても聞きませんわね…」
かりん「仕方ありません、庶民のあなたを置いて
逃げ出すなど、神月家の恥」
かりん「お付き合いいたしますわ」
???(ジョーカー)「おンや~~?」
???(ジョーカー)「すぐに帰ってくるかと思いきや…
どうにも苦戦しているようですねェ」
キング『なに…? 誰だ! どこにいる…!』
(ジョーカーとムゥが出現)
ジョーカー「ふぅ~む、よろしくないですねェ」
ジョーカー「ザベルちゃんも失敗したらしいですし、
思ったより抵抗が激しいようで」
キング『な、なんだ!? 丸い…ピエロ?』
ワンダーモモ「敵…!? ちょっとかわいいけど…」
ジョーカー「おお、あなたが“生贄”の方ですか。
お褒めにあずかり、恐悦至極」
ジョーカー「これは失礼…ご紹介が遅れました。
ワタクシはジョーカーと申しまして、
以後、お見知りおきを」
ベラボーマン「…生贄…あなたも狙いは…」
ジョーカー「ええ、そちらのヘルメットを被った可憐な
少女…引き渡していただければ、すぐにでも
退散いたしますよ、ハイ」
ワンダーモモ「な、なんで…私を…」
ジョーカー「いやあ、強い魂を持っているピュアガール
を集める…そういう仕事でしてねェ」
さくら「ちょっとぉ! わけわかんないよ!」
ジョーカー「無関係の方は黙っていて…」
ジョーカー「…ん? んん? んん~~!?」
さくら「わ、な…なに?」
ジョーカー「これは…すばらしい! のほほほほ!」
ベラボーマン「まさか…その娘さんを!?」
ジョーカー「ご名答!
“予定の遅れ”は“予定よりも多い生贄”で
補う事にいたしましょうかねェ!」
フェリシア「…来るよッ!」
フェリシア「みんな気を付けて!
こいつ、ふざけた態度に見た目だけど…
強いよ!」
キング『彼も悪魔の仲間か! ぬう…神よ…』
かりん「何の事だかは存じませんが…
どうやらさくらさん?
目を付けられたようですわよ」
さくら「え? なんで!?」
ジョーカー「あなた自身がその理由を知る必要は
ありませんよ。のほほほほほ…」
(有栖零児&小牟、KOS-MOS、シオン&M.O.M.O.が出現)
ジョーカー「おや~ン? どうにもお客様を出迎える
事が多いですねェ」
ジョーカー「いやはや、面白いには面白いですが」
シオン「ここでも…戦闘が!?」
零児「ちっ、どうしてこうも次から次へと…!」
小牟「“閉鎖都市指定”から外れておる地域
とはいえ、ここでも問題が起こっとるんか」
小牟「…気をつけい、零児。
ふざけたカッコじゃが、かなり格の高い
妖物じゃぞ」
かりん(あの紅いジャケット…あれは?)
ワンダーモモ「敵…じゃないみたいですね」
ベラボーマン「油断は禁物です。
見た目通りに人間とは限りませんから」
KOS-MOS「その通りです」
M.O.M.O.「そ、そうですね…」
小牟「正論じゃな」
零児「話がこじれる。人間以外は引っ込んでろ」
零児「戦っているのは民間人なのか?」
キング『君たちは…味方なのか!?』
零児(ちっ、どうしたものか。説明がつくか?)
零児「………」
零児「…俺達は警察関係の者だ。
民間人はここから避難してくれ!」
さくら「警察が来てくれたよ! 神月さん!」
かりん「警察関係者? 違いますわね」
かりん「その紅いジャケット…
特務機関『森羅』のエージェントですわね」
零児「なに…? なぜそれを?」
かりん「ほほほ、
我が『神月財閥』の情報網を甘く見ないで
いただきたいですわ」
かりん「『森羅』…
古来より、怪異・妖物に対抗してきた組織」
かりん「陰陽道、修験道をベースに、様々な
秘術・兵装を持っている」
零児「………」
かりん「『悪・即・斬』の上、『誠』の一文字を
背負って、逆らう者は皆殺し…
その鬼神のごとき戦いぶりは…」
シオン「…え? えええっ!」
フェリシア「こ、怖ッ!
そんな人達まで出てきちゃったの!?」
小牟「あの…わしも長くやっとるが…
ウチってそんな組織だったっけ?」
小牟「な、ならず者戦闘部隊?」
零児「…後半はおかしいが、素性がバレてる事に
変わりはない」
零児「なるほどな『神月財閥』のご令嬢か」
零児「それに…ベラボーマンだと?」
ベラボーマン「………」
小牟「どうやら本物みたいじゃのう。
かつてのヒーローの復活…っちゅうわけか」
零児「他にも有名人がいるようだな」
小牟「ミュージカル『この世は私のもの』で
一世を風靡したフェリシア」
小牟「それにあっちのデカい豹男は、
プロレスラーのキング…の、二代目じゃな」
小牟「CWAでのマイク“マッチョ”ハガーとの
タイトルマッチ…ありゃすごかったのう」
零児「…詳しいな、お前」
小牟「見くびるな。
伊達に勉強はしとらんのじゃ」
零児「…深夜番組と、TVゲームに漫画…
あとインターネットがか?」
KOS-MOS「それらは一般的に“娯楽”というジャンル
に分類されますが」
小牟「どれ一つとして、昔はなかったんじゃ!
ほっとけ!」
零児「フッ、あとは女子高生やら異世界から来た
ロボットか。…無茶苦茶だな」
ジョーカー「のほほほ。楽しそうなお話の途中、
申し訳ありませんが…ワタクシも忙しい身
でしてねェ」
ジョーカー「仕事があるというのは、まったく
ありがたい話でして」
零児「そいつは重畳」
零児「だが、こっちも次の予定が詰まってる。
…お互い様だ、気にするな」
アマゾーナ「来てもらうわ、神田桃」
ワンダーモモ「なぜ…なぜ、あなたが…!」
ベラボーマン「気をしっかり持って、桃さん。
彼女は悪魔に心を奪われてしまっています」
ワンダーモモ「どうしたら…
どうしたらいいんですか?」
ベラボーマン「戦うしありません…」
ベラボーマン「彼女のためにも、戦うしか!」
アマゾーナ「邪魔だてするなら…斬り捨てる…」
さくら「こ、この人…本気!?」
かりん「この目、隠す気のない殺気…
さくらさん、油断は禁物ですわよ!」
アマゾーナ「………」
小牟「ふむ。
心ここにあらず…という感じじゃのう」
零児「人間か?」
小牟「それは間違いなしじゃ。
スリーサイズは、わしの見立てでは…」
零児「余計な情報はいい」
零児「正気に戻すには…とにかく気絶させる
しかないか」
アマゾーナ「私の邪魔をするのか…」
KOS-MOS「心神喪失状態であると確認」
KOS-MOS「…外部からの操作により、身体活動が
行われていると予測します」
ジョーカー「見込みがあると思っていたのですが、
もう少し慣れが必要ですねェ」
アマゾーナ「………」
ワンダーモモ「目を覚まして! お願い、アマゾーナ!」
アマゾーナ「………」
(アマゾーナが撤退)
ワンダーモモ「そんな…!」
ベラボーマン「…これが始まりです、桃さん…」
ベラボーマン「ワンダーモモの戦いのね」
ワンダーモモ「これが…ロボット!?」
ベラボーマン「ベンジャミン…大久保彦左衛門。
忍者をモデルにしたアンドロイドです」
ワンダーモモ「オ、オークボ…? え?」
ベラボーマン(爆田博士…確かに今、行方はわからなく
なっていますが…)
ベラボーマン(なぜ今になって…?)
小牟「こやつら…からくりのようじゃの」
小牟「ふむ…そうか…」
零児「流行ってるのか?」
小牟「ちゃうわ」
小牟「こやつら、数年前の『新田四丁目事件』
の時と同型のカラクリじゃぞ」
零児「爆田博士の…だと?」
シオン「この人…アンドロイドだわ!」
M.O.M.O.「KOS-MOSさんと同じ…ですか?」
シオン「この世界…見る限り、技術・産業レベルは
私達の世界に比べて、はるかに低いはず」
シオン「なのにこんな…」
M.O.M.O.「悩んでる場合じゃありません、
シオンさん!」
M.O.M.O.「戦わなきゃ!」
ジョーカー「ふむ。アナタがいなければ、もっと
簡単なんですがねェ」
ベラボーマン「そう言っていただけると、やる気も
出るというものです」
ベラボーマン「モチベーションが下がっては、
仕事はできませんから」
ジョーカー「これはこれは、可愛らしいお嬢さん方」
ジョーカー「特にアナタ…アナタですよ!」
さくら「え、え~と、
ピエロに知り合いはいませんけど…」
かりん「強い魂がどうとか…私の魂がさくらさんに
劣っているとでもおっしゃいますの!?」
ジョーカー「いえいえ、“強さ”は申し分ないですよ」
ジョーカー「ただねェ…」
かりん「はっきりおっしゃいなさい!」
ジョーカー「ピュアさが…」
さくら「…あ~」
かりん「さ・く・ら…さんッ?」
さくら「いや、敵はあっちあっち!」
ジョーカー「おや?
アナタは…どうやらご同類のようですねェ」
フェリシア「あたしは確かにダークストーカーだけど、
あんたなんかと一緒にしないでよね!」
ジョーカー「アナタは…ええと、ハーフですか?」
キング『…これはマスクだ』
ジョーカー「アナタ…
なんとなくおかしな気配がしますねェ」
零児「くだらんハッタリを使うな」
ジョーカー「いえいえ、アナタの…その傷ですねェ…」
小牟「言うな」
ジョーカー「おやおやン…?」
零児「小牟、かまうな。…いくぞ、ピエロ野郎」
ジョーカー「おやおや~ン?
なんとなく、こちらの世界の人っぽく
ないですねェ」
シオン「う…あ、あなたもね」
ジョーカー「う~ん、いけませんねェ」
ジョーカー「こっちの世界でも、手強い方は
いらっしゃるようだ」
キング『のらりくらりと…やりにくい相手だ』
キング『なかなか優秀なヒールだな』
ジョーカー「のほほほほほ」
ジョーカー「調子に乗ったヒールは、ベビーフェイスに
コテンパン…というのが世の常でして」
ジョーカー「今回は顔見せという事で、退散する事に
いたしましょう」
ジョーカー「いい素材も見つけましたし、楽しみは
とっておくに限りますからねェ」
ワンダーモモ「………」
零児「素材だと? どうするつもりだ」
ジョーカー「いやいやいや、何も命を取ろうという
わけではございません」
ジョーカー「少ぉ~し、眠っていただくだけですので」
ベラボーマン「…魂を失い、昏睡状態になる…
という事ですか?」
M.O.M.O.「その症状…前にアリスさんが言ってた…」
零児「『眠り病』…!? まさか、おまえが!?」
ジョーカー「さて? 何の事やらわかりませんねェ」
ジョーカー「この世界でその状態がどう呼ばれているか
など、興味ございませんので」
ジョーカー「のほほほほ」
さくら「あいつが『眠り病』の犯人!? 待って!」
かりん「さくらさん!?」
さくら「前に島津先生が言ってたんだよ!
原因を突き止めなきゃって!」
ジョーカー「ではでは、ア~ディオ~ス!」
(ジョーカーが撤退)
さくら「追いかけなきゃ!」
かりん「さくらさん!
島津って…ジャスティス学園のですの!?」
(春日野さくら&神月かりんが撤退)
小牟「こ、こら! 待たんか!」
KOS-MOS「追跡しますか?
私の移動速度なら追いつけますが」
零児「…いや、駄目だ」
零児「同時に問題が起こり過ぎてる」
零児「応援がなければ対応しきれん…
今は本部へ急ぐしかない」
(ベラボーマンとワンダーモモが別れ、ベラボーマンは変身を解く)
M.O.M.O.「索敵…終了しました」
M.O.M.O.「付近にこれといった反応はありません」
シオン「モモちゃん、ご苦労様」
シオン「有栖さん、これから…どうするんです?」
三島財閥ビル
零児「俺達はこのまま三島財閥ビルへ向かう。
この場は『本部』に…」
零児「…ちっ、そうか。音信不通だったな」
KOS-MOS「この場は、私達と同様に、引率により
現地へ直接向かうしかないと思われますが」
零児「…相変わらず的確な意見だ」
零児「先にいなくなった女子高生の二人は
どうしようもないが…」
中村「そうですねえ」
シオン「あ、あなた…誰ですか…?」
中村「え? ああ、これはどうも」
(中村等が有栖零児&小牟に隣接)
中村「名刺をどうぞ。私、こういう者です」
小牟「ええと…『中村等(なかむら・ひとし)』
…保険会社の営業マン?」
ワンダーモモ「あなたが…ベラボーさんですね」
フェリシア「…ふ、普通~。…むしろ地味?」
キング『失礼だぞ、フェリシア』
M.O.M.O.「でも…すごくいい人そうです」
中村「いやあ、ははは。照れますなあ」
零児「ベラボーマン…いや、中村さん。
なぜ、今になってあなたが?」
中村「…神田桃さんは、悪魔に狙われています」
中村「それを…助けるために参りました」
小牟「『眠り病』の正体…
あのピエロが言っとった“魂を抜く”とか
いうやつじゃの」
零児「見た事のないタイプの奴だったな。
…何が起こっているというんだ…?」
零児「…ともかく、状況が知りたい。
本部まで同行をお願いする」
零児「神田桃さん…いいね?」
(ワンダーモモが変身を解く)
桃「…はい」
フェリシア「あたしも送っていくよ!」
キング『おい、フェリシア…』
フェリシア「だって、これに関わったあたし達も
重要参考人でしょ?
一緒に行かなきゃ。ね!」
桃「フェリシアさん…」
小牟「ふう。旅は道づれ、世は情け…
人生ラクありゃ、クク88」
小牟「さて、どうも嫌な予感もするが…これから
どうなるかのう」
零児「行ってみなければわからんさ」
零児「それから九九は81だ」