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帰るべき処へ(後編) ~ 第28話 ~


第28話
帰るべき処へ(後編)

〔戦域:山間部の荒地〕

(敵味方とも27話終了時と同じ配置
ティス「な、何で あいつらがここに……!」
アクセル「………」
ラウル「アクセル・アルマー…… 生きていたなんて……」
アクセル「ラウル・グレーデンか。 ……久しいな」
ラウル「!」
アルフィミィ「ご無沙汰しておりますの」
リューネ「アルフィミィ……!」
アクセル「ラウル、おれ達の因縁は…… あの時、ここと似て非なる場所から 始まったんだったな」
ラウル「……そうだ」
ラウル「アクセル、お前はまだ…… エクサランスの時流エンジンを……?」
アクセル「いや、もう必要はなくなった。 ……おれ達シャドウミラーは…… 敗れ去ったのだからな」
ラウル「なら、どうしてここに来た!?  理由がないはずだ!」
アクセル「理由……か。そうだな……」
アクセル「この混沌と闘争の世界…… 図らずもそうなりつつあるこの世界…… その行く末を見たくなった」
ラウル「何……!?」
アクセル「……それと、もう一つ。 異なる手段で転移したはずのおれ達は、 奇しくも同じ世界にたどり着いた」
アクセル「あの時消えたはずの…… もう1機のエクサランスもだ」
ラウル「……!」
アクセル「これは単なる偶然か?  ……もし、そうでないとしたら?」
ラウル「……何らかの力、何者かの 意思が介在した可能性がある、と?」
アクセル「あくまでも可能性だ。 ならば、その先に待ち受けるのは?」
ラウル「それを見極める……。 それが“選んだ”道か? アクセル」
アクセル「……ああ。 すべて捨てるつもりだったが…… そうさせてくれない奴がいてな」
リューネ「……もしかして…… それがアルフィミィなの?」
アルフィミィ「私がここにいるのは アクセルのおかげ……。 アクセルがここにいるのは私のせい……」
アルフィミィ「でも、 私達が選んだ道は、似ておりますの」
ティス「それで?  前みたいにあたい達と戦うっての?」
アクセル「敵対する理由もないが、 貴様らに味方する理由もない」
アクセル「だが、 どちらかを選ばねばならんのなら…… 戦うことになる、これがな」
ティス「あっ、そう。 あたい達の邪魔をするんなら、 容赦しないからね!」
アクセル「……おれもそのつもりだ」
ラウル「俺達を…… 助けると言うのか、あんたが?」
アクセル「勘違いするなよ、ラウル。 馴れ合うつもりはない。 ……自分の身は自分で守れ」
アルフィミィ「こう見えて、 アクセルは結構いい子ですの。 ちゃんと戦ってくれますのよ?」
ラウル「アルフィミィはともかく、 アクセル……あんたは……!」
リューネ「ラウル!  今はあんたの妹を守ることが先決だよ!」
ラウル「わ、わかった!」
コウタ「………」
リューネ「コウタ、しっかりしなよ!  ここでやられたら、あんたの妹は どうなるのさ!」
コウタ「……!」
リューネ「助けられる可能性は ゼロじゃない! 落ち込んでる 暇なんてないよ!!」
コウタ「そ、そうだ……!  こんな所で立ち止まっちゃあ いられねえ……!」
コウタ「ショウコを助けるためにも、 ここはやるしかねえっ!!」
(コウタに『気迫』)
コウタ「ティス! デスピニス!  てめえらをブッ倒し、ショウコを 必ず取り戻すっ!!」
デスピニス「………」
ティス「ふふん!  やれるもんなら、やってみな!」
コウタ「ロア!  後できっちり説明しろよ!!」
ロア「……ああ、わかっている」
フィオナ「ラウル……いったい何が……?」
ラウル「フィオナ、お前はそこを動くな。 必ず守ってやる」
フィオナ「う、うん……」
ティス「余計な奴が増えたけど…… このチャンス、逃がしはしない!  行くよ、デスピニス!」
デスピニス「……ええ」
(作戦目的表示)

〈テュガテール or エレオスのHP70%以下〉

デスピニス「ティス、 ハガネとヒリュウ改が……!」
ティス「!」
アクセル「……奴ら、か」
(ハガネ、ヒリュウ改、アルトアイゼン・リーゼ、ライン・ヴァイスリッターが出現、出撃準備)
エクセレン「キョウスケ…… これって、どういう状況?  あの2機、どう見たって……」
キョウスケ「ペルゼイン…… それに、ソウルゲインか」
キョウスケ「だが、 パイロットまで同じとは限らん」
アルフィミィ「残念ながら、同じですの」
エクセレン「アルフィミィちゃん……!  ホントにあなたなの!?」
アルフィミィ「はい。 正真正銘、まっさらな私ですの」
マイ「アルフィミィが……生きていた……」
シャイン「で、でも、あの時に……」
アルフィミィ「あなた達二人のお言葉…… 今でも覚えておりますのよ?」
シャイン「………」
アルフィミィ「あなたは、 私のことを立派なお仲間だと…… おっしゃって下さいましたの」
マイ「………」
アルフィミィ「あなたは、 私の居場所がきっとあると 言って下さいましたの」
エクセレン「アルフィミィちゃん……。 そうよ……そうなのよ、あなたは……!」
アルフィミィ「エクセレン…… あなた達の“想いの力”に触れ……」
アルフィミィ「アクセルと出会えた私は、 そうやってここにおりますの」
エクセレン「アクセル……?  じゃあ、やっぱりソウルゲインには……」
アクセル「そうだ、 エクセレン・ブロウニング……。 そして、ベーオウルフ……」
アクセル「いや、キョウスケ・ナンブ」
キョウスケ「アクセル・アルマー…… まさか……生きていたとはな」
アクセル「素直な感想だ。 おれもそう思っているのさ、これがな」
マサキ「何であいつがこんな所に……!?  それに、どうしてリューネ達と!?」
リューネ「あの二人に 助けてもらったって言うか、 何て言うか……」
リューネ「ともかく、 今のアクセルは敵じゃないよ」
マサキ「本当かよ!?」
カチーナ「あの野郎、 どういう風の吹き回しなんだ!?」
アクセル「信用できんのも無理はない。 ……気に入らなければ撃っても構わん」
アクセル「とは言え、 その場合は避けさせてもらうがな」
カチーナ「何ィ?」
キョウスケ「いいだろう、アクセル。 ……ぬかるなよ」
アクセル「貴様こそな」
アルフィミィ「さて、やろうか! ですの」
エクセレン「わお、 何か凄いことになってない?」
アラド「凄いっていえば……あれも!  エクサランスがもう1機いるッスよ!?」
(フィオナ機を指す)
カーラ「ホ、ホントだ!」
ユウキ「ラウル、もしかして……!」
ラウル「ああ、フィオナだ。 俺の妹が戻って来たんだ」
ユウキ「……!」
レーツェル「……レフィーナ中佐、 直ちにあのエクサランスの回収を」
レフィーナ「わかりました。 艦を前へ! 周辺の機体はカバーを!」
(ヒリュウ改がフィオナ機に隣接し、フィオナ機が撤退)
ラウル(よし……!  これで気兼ねなく戦える!)
ユウキ「フィオナの帰還…… そして、アクセルとアルフィミィ。 いったい、この事態は……」
カーラ「うあ~、 色んなことがありすぎて、 ワケわかんなくなってきたよ」
リューネ「実はまだ……」
コウタ「リューネ、その話は後だ!  今はあいつらを!」
リューネ「わ、わかったよ」
フォルカ(コウタ……何かあったのか?)
カイ「む? あれは……」
(量産型ウェンディゴを指す)
カイ「ドナ・ギャラガーの ウェンディゴ…… あれを何故、奴らが?」
カイ「デュミナスは ツェントル・プロジェクトと 関係があると言うのか?」
ギリアム「その可能性は 完全に否定できませんが……」
ギリアム「何らかの手段で 奪取したと考える方が 妥当でしょう」
ティス「くっ……!  あいつら、勢揃いしちゃったよ」
ティス「こうなったら、 あたいらも増援を……」
(テュガテールに通信)
ティス「!」
ラリアー「……ティス、聞いて。 Gサンダーゲートがこっちに 戻って来てないんだ」
ティス「えっ!?」
デスピニス「そんな……!」
ラリアー「マインドコントロールが 解けかかっているのかも知れない。 すぐに追って」
ラリアー「代わりをそっちに送るから。 デュミナス様は、あれを やらせるつもりなんだ」
デスピニス「えっ……!」
ティス「……ちょうどあいつらが 勢揃いしてるし、使い時かもね。 わかった、あたい達はエミィを追うよ」
デスピニス「………」
ティス「行くよ、デスピニス!」
デスピニス「……デュミナス様は、 もうあの人を……?」
ティス「あんた、まさかあいつに 同情してんじゃないだろうね!?」
デスピニス「………」
ティス「あいつは人形なんだよ!  邪魔者を始末するための!」
デスピニス「……わかってる……」
ティス「なら、さっさと行くよ!」
デスピニス「うん……」
(テュガテールとエレオスが撤退)
コウタ「あ、あいつらっ!!」
ラウル「逃げた……のか?」
アクセル「……状況からすれば、 正しい判断だが……少し引っかかるな」
アクセル「W17、いるな?  トレースはできるか?」
エクセレン「………!」
アルフィミィ「エクセレン……?  キョウスケ、W17というのは…… しちゃったりなんかして、の人ですの?」
キョウスケ「……ああ、ラミアだ」
アクセル「………」
アクセル「……死んだ、か?」
キョウスケ「……わからん。 だが、すでに死んでいる……というのが 正しいかも知れん」
アクセル「死んだなら、そう言えばいい。 言い方を変えたところで、 その事実は……」
(ハガネにアラート)
エイタ「艦長! 上空に転移反応あり!  どんどん増えて行きます!」
テツヤ「敵の増援か! 各機、迎撃準備!」
エクセレン「キョウスケ……!」
キョウスケ「ああ……来るぞ」
(ヴァルシオン改・タイプCFとバルトール、ミロンガが大量に出現)
ラミア「転移完了。目標確認……」
アイビス「あのヴァルシオンは……!」
ヴィレッタ「前回、 ラミア少尉が乗っていた機体ね」
アクセル「……ラミアだと?  すでに死んでいる、というのは……」
ラミア「ここから先は通さん。 相手になってもらおう」
コウタ「何っ!?」
キョウスケ「今度は奴らの盾になろうと いうわけか……ラミア」
ラミア「そう…… それが今回、私に与えられた任務だ」
タスク「喋り方が前の時と違う……」
ラーダ「ええ、 以前のラミアに近くなってる……?」
キョウスケ「それも まやかしかも知れん……!」
エクセレン「キョウスケ、 あまり思い詰めないでよ……?  そんな状態じゃ、どうにも……」
アクセル「フッ…… どういうことかと思えば…… 皮肉な話だな、こいつは」
アクセル「おれの見込み違いだったか。 ……W17」
ラミア「………!」
アクセル「あの時と立場が逆転したな。 嫌な気分だ。貴様に望みを託した レモンを裏切るのか……!」
ラミア「……アクセル……アルマー……。 レモ……ン……?」
アクセル「キョウスケ・ナンブ、 貴様がおかしな物言いをした 理由はわかった」
アルフィミィ「キョウスケ、 あの人は……もう……?」
キョウスケ「わからんと言ったぞ。 おれは一度しくじった。 だが……」
アクセル(珍しく熱くなっている。 ……危険な感じだな、こいつは)
アクセル(救出を しくじったという意味なら…… おそらく、二度目はあるまい)
エクセレン「キョウスケ、やるのね……?」
カチーナ「……決めたみてえだな、 キョウスケ」
キョウスケ「ええ。 このチャンス、逃がしはしない……!」
エクセレン「そうね」
ブリット「自分達も手伝います」
タスク「ヴァルシオンを何とかすりゃ、 カードをめくる方法は色々あらあな」
リュウセイ「協力するぜ、キョウスケ中尉」
ゼオラ「私達も……!」
キョウスケ「すまん、みんな……頼むぞ」
カイ「よし……!  各機、バルトールを蹴散らし、 ヴァルシオンの動きを止めろ」
カイ「どんな罠が仕掛けられているか わからん。油断するなよ」
ラトゥーニ「はい……!」
キョウスケ「行くぞ、ラミア……!  これが……最後の勝負だ……!」
エクセレン「だから、待っててね……!」
ラミア「……任務再確認……攻撃開始」
アクセル「……アルフィミィ」
アルフィミィ「何ですの? アクセル」
アクセル「……ヘタを打てば、 まとめてやられる可能性がある。 ……一撃で極めねばならん」
アルフィミィ「え? まとめて……?  どうやってですの?」
アクセル「説明している時間はないが、 おれが詰める時は……フォローを頼むぞ」
(作戦目的表示)

〈vs ラミア〉

[キョウスケ]

キョウスケ「ラミア、これで終わりにする。 ……どのような結果になろうともだ!」
ラミア「結果は同じだ、 キョウスケ・ナンブ」
キョウスケ「それを変えるために、 おれはここまて来た……!」

[エクセレン]

エクセレン「ラミアちゃん!  あなたの居場所はそこじゃないのよ!」
ラミア「デュミナス様は私を救い、 新たな役目を与えて下さった……」
エクセレン「そんなのは 本当の救いの手なんかじゃない……!」
エクセレン「自分の道を 自分で否定させるようなものを、 救いの手などとは呼ばせない……!」

[アラド]

アラド「少尉が生きてさえいれば、 後は何とでもなる!」
ラミア「甘い予測だな、アラド・バランガ。 そして、無謀だ」
アラド「甘くても、無謀でも!  それでもおれは、今まで 生き抜いてきたんだ!」
アラド「やってやるさ! 今回だってな!」

[ゼオラ]

ゼオラ「おそらく、 これが最後のチャンス…… 必ず少尉を取り戻してみせる!」
ラミア「愚かだな。そんなことを 私は望んでいないというのに……」
ゼオラ「今のあなたはそうでしょう!  でも、本当のあなたなら!」

[カイ]

カイ「デュミナスの狙いは わかっている……!」
ラミア「ならば、 何故、私を助けようとする?」
カイ「お前が俺の部下だからだ!  それに、こんな手が通用せんことを 奴に教えるためだ!」

[ラトゥーニ]

ラトゥーニ「危険な賭けでも…… やるしかない……!」
ラミア「そうだ…… それでいい、ラトゥーニ・スゥボータ」
ラトゥーニ(……やはり、少尉は……)

[アクセル]

ラミア「アクセル・アルマー…… 何故、お前が生きている?」
アクセル「運が良かっただけだ。 貴様こそ、いいザマだな。W17」
アクセル「デュミナスの手先に 成り下がったとはな。 ……あいつが聞いたら、何と言うかな」

[HP70%以下]

ラミア「規格外の存在は、 デュミナス様が作り出す秩序を乱す…… 故に排除する」
シャイン「ほ、本気ですのね……!」
ラトゥーニ「デュミナスは、 私達が何をするか承知してる……」
ラトゥーニ「それを逆手に取った策を 用意しているはず……」
マイ「逆手って……」
シャイン「ま、まさか!?」
ラトゥーニ「でも、 コンパチブルカイザーとエクサランスが ここにいる以上……」
ラトゥーニ「早々に その手を使ってくることはないはず……」
コウタ「なら、俺とラウルが 囮になりゃいいんじゃねえか!?」
アヤ「でも、それは危険よ!」
ラウル「いや、やるよ。 ここでラミアさんを助けるために」
コウタ「ああ!  デュミナス一味のやり方は 気に入らねえ!」
コウタ「ショウコを取り戻すためにも、 俺はやる! こんな汚ねえ手が通用 しねえってことを奴らに教えてやる!」
ラミア「………」

[HP40%以下]

ラミア「この期に及んでも、 ヴァルシオンのコアを狙って来ない、か」
ラミア「やはり…… お前達は同じ過ちを繰り返すのだな」
イルム「チャレンジ精神って奴が 旺盛なんでね、俺達は」
クスハ「私達のやっていることが 過ちかどうかは、結果が出てみないと わかりません……!」
ラミア「……結果、か」
アクセル「フッ……やはり、甘いな」
ラミア(ATXチーム、特殊戦技教導隊…… いや、キョウスケ・ナンブとエクセレン・ ブロウニングだけでも排除できれば……)
ラミア(ハガネとヒリュウ改の戦力削減に つながる……)
ラミア(コードATA…… ASH TO ASH……発動準備)
アクセル「………」

[HP10%以下]

ラミア「……頃合いか……」
ライ「ヴァルシオンの動きが 止まった……!」
ロア「……コウタ」
コウタ「わかってる!  ラウル! ヴァルシオンを捕まえるぞ!」
ラウル「ああ!」
(エクサランスとコンパチブルカイザーがヴァルシオン改・タイプCFに隣接、ヴァルシオン改・タイプCFが北東端へ移動)
コウタ「すり抜けた!?」
ラミア「お前達の行動は、予測済みだ。 そして……」
(アルトアイゼン・リーゼとライン・ヴァイスリッターが北東端へ移動)
ラミア「この隙を突き、 お前達がそうくることもな」
エクセレン「キョウスケ!」
キョウスケ「くっ! まだだ……ッ!」
ラミア「そして、もう一度来る。 だが遅いぞ、キョウスケ・ナンブ……!  コードATA、お前達もろとも……」
アルフィミィ「アクセル!  予測座標を送りますの!」
アクセル「わかった……!  ソウルゲイン、最大出力ッ!」
(ソウルゲインが北東端へ移動)
ラミア「……!」
アクセル「W17……。 そうだ、それがこの状況では最善だ。 ……コードATAが、な」
ラミア「……私が倒れても、 デュミナス様の目的達成に影響はない。 私の役目は、お前達の足止めだ」
アクセル「役目は果たした、か。 未練はないのか?」
ラミア「未練だと?  お前は何を言っているのだ?」
アクセル「……自分を持たない、 持つことが出来ない貴様は……」
アクセル「出来がいいだけの…… ただの人形だ、W17」
ラミア「人形で結構だ。私は……」
ラミア「……Wナンバーは…… そのために……造られた……」
アクセル「……この世界に 貴様の居場所はなかったということだ」
アクセル「……レモン…… 最高傑作は、貴様が求めたものには ならなかった……これがな」
ラミア「……う……うう……」
アクセル「ATAなど使わせん。 せめてもの情け……おれが一撃で堕とす」
キョウスケ「……!  よせっ、アクセル! ラミアは……!」
アクセル「甘いぞ、キョウスケ・ナンブッ!  ATA……灰を灰に還すものの威力、 知らんとは言わせんッ!」
アクセル「組織の中核たる貴様が そのザマで、この先の戦いを どうやって勝ち抜くつもりだ……ッ!」
キョウスケ「……ぐっ……!」
エクセレン「でも……でも……!」
ラミア「ア……クセル……隊長……」
アクセル「……!」
エクセレン「ラミアちゃん!?」
アクセル「………」
ラミア「……私……は…… Wナンバー……以外の…… 何者かに……」
ラミア「何者かに……なりたい…… でござい……まし……」
クスハ「少尉の様子が……!」
アルフィミィ「アクセル、何とか…… 何とかしてあげられませんの!?」
アルフィミィ「私も自分自身に なりたかった……それを叶えて くれたのは……あなた……ですの」
アクセル「………」
アクセル「……ソウルゲイン、 物言わぬ、おれの戦友よ」
アクセル「新たなステージに進もうとする 貴様の仲間のために…… その力をおれに示せ……!」
キョウスケ「アクセル……!?  どうするつもりだ!」
アクセル「黙って見ていろ、 キョウスケ・ナンブ」
アクセル「一か八かになるが…… 『コードDTD』を起動させる」
エクセレン「ディーティーディー!?  ラミアちゃんに何を……!?」
アクセル「DUST TO DUST。 熱暴走によるリミッター解除だ。 ……ATAよりも優先される、これがな」
アクセル「W17、 貴様と行方不明になったW07…… 2体にだけ実装されていたはずだ」
ラミア「その通り……です」
アクセル「それを外部から作動させる。 それがどういうことか…… W17、わかっているな?」
ラミア「……は……い……」
エクセレン「どういうこと?  熱暴走って、そんなことしたら!」
アクセル「奴にかけられた 呪縛を解く方法は、おそらくこれだけだ」
アクセル(外部からの作動…… それには奴の神経中枢が焼き切れる 寸前までの熱量が必要……)
アクセル(出力調整は 勘に頼るしかない……やれるか?)
キョウスケ「……アクセル。 あいつを……ラミアを救いたい」
キョウスケ「おれは…… あの時、あいつを助けてやれなかった。 居場所を守ってやれなかった……」
エクセレン「キョウスケ……」
アクセル「………」
アクセル「おれを信じろ。 貴様らが紡いだ、奴の生きる道……」
アクセル「おれが再びつなぎ止める」
アクセル「レモン…… W17に……ラミア・ラヴレスに 力を与えてやってくれ」
アルフィミィ(ああ…… また……ソウルゲインに“力”が 集まっていく……!)
アクセル「そして、ソウルゲイン!  貴様にはおれが力を与えてやる……ッ!」
(ソウルゲインがヴァルシオン改・タイプCFに隣接)
【強制戦闘】
アクセル[麒麟]vsラミア[防御]
(アクセルは残りHPぴったりのダメージを与えてヴァルシオン改・タイプCFを撃破、ヴァルシオン改・タイプCFが爆発)
ゼオラ「ああっ!!」
アラド「ラ、ラミア少尉……!!」
アクセル「………」
アクセル「返事をしろ、W17」
ラミア「……はい……隊長……」
ラミア「……私は…… ラミア……ラヴレス……です。 レモン様が……付けて下さった……」
アクセル「そうだ、忘れるな。 貴様はあいつの希望だ。 今までも……そして、これからも」
アクセル「二度と忘れるな、 ラミア・ラヴレス」
ラミア「はい……隊長」
(ソウルゲインがアルトアイゼン・リーゼに隣接)
アクセル「……キョウスケ・ナンブ。 後は貴様にまかせる」
キョウスケ「アクセル、お前は…… これからどうする?」
アクセル「……さあな。 少なくとも、やらねばならんことがある」
アルフィミィ「そうですの。 あなた達にはあなた達の、 私達には……私達の」
エクセレン「アルフィミィちゃん、 それは私達と一緒じゃ……ダメなの?」
アルフィミィ「これは私が やらなければならないことですの。 そして……」
アクセル「貴様らにしか出来んこともある。 ……そういうことだ、これがな」
アルフィミィ「そういうことなの、ですの」
アルフィミィ「キョウスケ…… エクセレン……それではご機嫌よう」
キョウスケ「……アクセル」
アクセル「む……?」
キョウスケ「この借り…… いつか返させてもらうぞ」
アクセル「……フッ。 貴様とおれが往く道が…… いつか交わる刻がくれば、な」
(ソウルゲインとペルゼイン・リヒカイトが撤退)
キョウスケ「………」

《テスラ・ライヒ研究所》

[テスラ・ライヒ研究所内]

(扉が開閉する)
ラーダ「……みんな、お待たせ」
ブリット「ラーダさん、カザハラ所長、 ラミア少尉は……!?」
ジョナサン「検査は終了…… ウィルスの類は見つからなかったよ」
ラーダ「神経中枢にはかなりの負荷が かかっていたようなのだけど……」
ラーダ「DTDという オーバードライブ・システムの発動で、 一種の自浄作用が起きたようなの」
エクセレン「それって、 自分で自分を直しちゃったってこと……?」
ジョナサン「まあ、それに近いな。 デュミナスも彼女のメイン・コンシャスネスを 完全に書き換えることは出来なかったと見える」
キョウスケ「アクセルが言っていた 一か八か……そういうことか」
ジョナサン「ただ、 ODEシステムと物理的結合をしていたせいで、 生体部分の破損箇所が多いが……」
ジョナサン「ここの施設なら、 修復にそう時間はかからない」
アラド「じゃ、じゃあ……!」
ラーダ「ええ。彼女は元に戻るわよ」
エクセレン「わお!」
ゼオラ「良かった……!」
クスハ「ええ、本当に……」
カイ「ふう~、一時はどうなることかと思ったが……」
ラトゥーニ「結果は出ました……私達が望む形で」
ブリット「キョウスケ中尉……賭けに勝ちましたね」
キョウスケ「いや、勝ったのはおれじゃない。 最初の踏み込みを外した時点で、 すでに勝敗は決していた」
キョウスケ「あのままラミアが自爆していたら、 おれはすべてを失っていた。 ……自分の命だけではなく、お前達の命も」
エクセレン「ふふ、そう……かもね。 インチキディーラーのおかげよね」
キョウスケ「そうだな、とんだサマ師だ。 アクセル・アルマーと……アルフィミィは」
クスハ「……あの、ラーダさん。 ラウル君の妹さんは……?」
ラーダ「怪我はしているけど、命に別状はないわ。 意識もしっかりしてるし…… 今、ラウル達と話をしてる所よ」
アラド「ラージさんとミズホさんも一緒に?」
ジョナサン「……それなんだが、実は……」
ゼオラ「……?」

[テスラ・ライヒ研究所内]

フィオナ「……そうなの……。 色々と大変だったのね」
ラウル「ああ。 でも、お前が無事に戻ってくれて良かった。 てっきり死んだと思ってたから……」
フィオナ「実は……あたしも。 ストライカー・フレームは 使い物にならなくなっちゃったし……」
フィオナ「でも……自力じゃないとは言え、 あたしは時間と空間を超えたんだね」
フィオナ「父さん達の研究は、無駄じゃなかった……」
ラウル「そうだけど…… 俺達の時流エンジンが招いた事態を 軽視するわけにはいかない」
フィオナ「ええ……」
カーラ「まあまあ、今日の所は湿っぽいのはなし。 ラミアさんも戻ったし、一件落着ってことで。 ね? ユウ」
ユウキ「ああ」
フィオナ「あの……。 兄が色々とお世話になったみたいで…… お礼を言わせて下さい」
カーラ「いいよ、そんなにかしこまらなくっても。 ラウルはあたし達の仲間だもん」
ラウル(でも……手放しでは喜べない。 フィオナが戻っても、コウタの妹は……)
フィオナ「……どうしたの、ラウル?」
ラウル「あ、いや……。 とにかく、お前は身体を治すことに専念してくれ」
フィオナ「あなたの話を聞いたら、 そんなこと言ってらんないわよ」
フィオナ「その……デュミナスってのを 止めなきゃ、あたしみたいな目に遭う人が 増えるかも知れないでしょ」
ラウル「あ、ああ……」
フィオナ「ところで、ラージとミズホは?  あたしのアージェント・ファイターを 見てもらわなくっちゃ」
ラウル「そう言えば、姿を見てないな……」
(扉が開閉する)
レーツェル「………」
カーラ「あ、レーツェルさん」
レーツェル「ラウル……私と一緒に来てくれ。 重要な話がある」
ラウル「は、はい……」
フィオナ「あの……私は?」
レーツェル「君はここで休んでいたまえ。 後で改めて話をする」
フィオナ「わかりました……」

[テスラ・ライヒ研究所内]

ダーナル「そ、それで、後ろから何者かに 頭をいきなり殴られまして……」
ジョナサン「……その後、彼が意識を取り戻し、 研究所へ帰って来たのがつい先程なのだ」
ロバート「で、でも、俺は彼と格納庫で会いましたよ!」
マリオン「私も姿を見かけましたわね」
フィリオ「なら、研究所にいた彼はいったい……」
フォルカ「……アルコだ。 奴は類い希なる変身術を会得している」
ジョナサン「そして、 ラージ君とミズホ君を連れ去ったと言うのかね?」
フォルカ「ああ。 アルコの主、激震のミザルはデュミナスと 通じている……間違いなく奴らの謀だ」
ラウル「そ、そんな!  せっかくフィオナが戻ってきたってのに、 ラージとミズホが!?」
ラウル「くそぉっ! くそぉぉぉぉぉぉっ!!」
ユウキ「ラウル、落ち着け」
ラウル「ユ、ユウキ……!!」
ユウキ「気持ちはわかる。 が、今ここでお前が暴れても、 何の解決にもならない」
ラウル「う……!」
アヤ「……ラミア少尉を操るだけでなく、 そんな手まで使ってくるなんて……」
カチーナ「チッ! 虫酸が走るぜ、ったくよ!」
レーツェル「だが、問題はそれだけではない。 例の黒い戦闘機に乗っていたのは、 コウタの妹だったそうだ」
カチーナ「な、何ィ!?」
リオ「そ、そんな!」
リョウト「本当なんですか!?」
レーツェル「……ああ」
コウタ「………」
フォルカ(コウタ……)
コウタ「……ロア、約束だ。説明してくれ」
ロア「わかった……。 モニターのスイッチを入れてくれ。 それを介して、話をする」
コウタ「……ああ」
(モニターオン)
ロア「………」
カーラ「あ、あれが……!」
マサキ「……ロアなのか」
ロア「そうだ」
ギリアム「………」
ギリアム(ロア・アーマーもそうだが…… 彼をどこかで見たような気がする……)
レーツェル「では、ロア…… まず黒い戦闘機のことについて聞かせてくれ」
ロア「あれの名はGサンダーゲート…… かつて、コンパチブルカイザーと共に 俺達が使っていた物だ」
テツヤ「俺達……?」
ロア「ああ。 俺には……エミィという名の妹がいた」
コウタ「何……!?」
ロア「そして、俺とエミィは こことは異なる世界で……宿敵と戦い続けていた」
レフィーナ「その宿敵とは?」
ロア「異次元の扉を開き、 様々な世界の支配を目論む邪悪な存在……」
ロア「決まった形を持たず、 その時々で姿を変える闇黒の想念集積体……」
ロア「俺達は奴と幾度となく戦いを繰り広げ、 ついに決戦の時を迎えた」
ロア「激闘の末、奴を追い詰めたが…… エミィが乗っていたGサンダーゲートは破壊され、 俺も深傷を負った……」
ヴィレッタ「………」
ロア「そして、俺は捨て身の攻撃を仕掛けた。 次元の扉を開き、逃亡しようとした奴に カイザーで突撃したのだ……」
マサキ「じゃあ、 あんたが身体を失ったのは……」
ロア「そう、その時だ。 俺とカイザーは次元の扉を突き抜け、 この世界へ“落ちて”きた」
コウタ「その場に居合わせたのが……爺ちゃんか」
ロア「ああ」
コウタ「………」
ロア「俺は……奴と運命を共にするつもりだった」
ロア「だが、俺の魂とカイザーは残った。 奴にも同じことが言えるかも知れない…… そう思った俺は……」
ジョナサン「ロア・アーマーとコンパチブルカイザーを アズマ博士に託したのか」
ロア「そうだ。 そして、破壊されたはずのGサンダーゲートが デュミナスの手先となって現れた……」
ロア「やはり、奴は生きている。 そして……俺を追って、この世界へ現れるかも知れん」
フィリオ「何故、君の宿敵はカイザーを?」
ロア「己の力をより完璧なものにするためだ。 コンパチブルカイザーも奴も、自由自在に 次元の扉が開けるわけではない……」
ロア「だが、三つの力が一つになった暁には……」
ギリアム「システムXN以上の 次元転移装置が誕生するというわけか」
ロア「……その力は未知数だ」
ギリアム「だろうな。 カイザーとGサンダーゲートだけでも、 フィオナのエクサランスを引き寄せたのだから」
ロア「あれは…… あの場所とエクサランスというファクターが 揃っていたからこそ起きた現象なのだろう……」
フォルカ「……ロア、 コウタにお前がいるように…… ショウコにもエミィがついているのか?」
ロア「いや…… 浅草の時も、先程の戦いでも妹の意思を 感じることは出来なかった……」
ロア「おそらく、エミィはもう……。 残ったのは彼女の鎧とGサンダーゲートだけ なのだろう……」
コウタ(そうだったのか、ロア…… お前も俺と同じような思いを……)
リューネ「じゃあ、 デュミナスがコウタの妹を必要としたのは、 Gサンダーゲートのパイロットにするため……?」
ロア「ああ。 コウタがロア・アーマーを装着したことを知って……」
ロア「ショウコが エミィ・アーマーに適合すると考えたのだろう」
コウタ「俺とショウコが お前達のアーマーを着られるのには、 何か理由があンのかよ?」
ロア「………」
ロア「俺とお前の魂が、シンクロしたからだ。 そして、同じ現象がお前の妹とエミィ・アーマーにも 起きたのだろう……」
コウタ「………」
ライ「これまでの話をまとめると、 ロアの宿敵とデュミナスには 何らかの関係があるようだな」
レーツェル「うむ」
ロア「……俺はこの世界に来て 初めてデュミナスを見たが……」
ロア「彼女が言っていること、 やろうとしていることは、奴と似ている」
ラウル「……!」
ロア「もしかしたら…… デュミナスは、俺の宿敵をこの世界に 呼び寄せようとしているのかも知れない」
ギリアム「カイザーとエクサランスという『鍵』を使い、 次元の扉を開いて、か……」
ゼンガー「……ロア、お前の宿敵の名は?」
ロア「………」
ロア「『ダークブレイン』だ」

『ヴァイサーガ』を入手した。


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