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震える大地 ~ 第19話 ~

〈アンドラスのHP50%以下〉

マグナス「ええい、 本当に面倒くさくなってきたぁ~!  それに腹も減ったぁ~!」
マグナス「こんな街、 偶然手に入れただけよぉ~!  惜しくはねぇ~!」
マグナス「フォルカ、 お前は殿を務めろぉ~!」
フォルカ「……わかった」
(アンドラスがダイゼンガーの方を向く)
マグナス「おい! そこの鎧野郎~!」
ゼンガー「む……!」
マグナス「よくも 処刑の邪魔をしてくれたなぁ~!  必ず仕返しをしてやるぅ!」
マグナス「必ずなぁぁぁ!  グハハハハハ!!」
(ヤルダバオト、ソーディアンズ・ダガー以外の敵機が撤退)
レーツェル「追う必要はない。 函館地区の解放を優先するぞ」
フォルカ「……」
コウタ「残ったのはてめえだけか!  さっさとケリをつけてやるぜっ!!」

〈ヤルダバオトのHP20%以下〉

フォルカ「ぬうっ……!」
コウタ「あいつ…… 前に戦った時より手応えがねえ……!」
ロア「ああ」
(ヤルダバオト、ソーディアンズ・ダガーが撤退)
マサキ「あいつ、逃げやがったぞ!」
ゼンガー「……」
コウタ「チッ! 追うぞ、ロア!!」
ロア「いや、 ここはこの街の確保を優先すべきだ」
コウタ「だけどよ!!」
ロア「コウタ、俺達だけで 戦っているわけではないのだ」
ロア「それに……追ったところで ソーディアンの内部には入れん」
コウタ「ワープは出来ねえのかよ、 ワープは!」
ロア「あの距離は…… 今のカイザーでは無理だ」
コウタ「くそっ……!  ようやくショウコの手掛かりを 掴んだと思ったのに!!」
ゼオラ「コウタ……」
レーツェル「アイアン3より各機へ。 周辺を警戒しつつ、待機せよ」
ゼンガー「承知した」
カーラ「でも、連邦軍が来る前に 撤退するんでしょ?」
レーツェル「ああ。 一応、お尋ね者の身なのでな、我らは」

《日本 函館地区 立待岬沖(クロガネ)》

[クロガネ ブリッジ]

副長「艦長、 連邦軍部隊が函館地区内に入ったようです」
レーツェル「コウタ達は?」
副長「先程、帰還しました。 また、食材の確保も完了しております」
レーツェル「では、潜航開始だ。 針路、8-2-2。深度100」
副長「はっ」
ゼンガー「……レーツェル、次の目的地は?」
レーツェル「犬吠埼沖だ」
ユウキ「犬吠埼…… 百里基地に何か用事でも?」
レーツェル「いや。 コウタの祖父、アズマ博士からの申し出でな…… コンパチブルカイザーのオーバーホールを行う」
ユウキ「それで東京の近くまで行くというわけですか」
レーツェル「ああ」
カーラ「コウタの家って、浅草だったよね。 あたしも行ってみたいなぁ」
ユウキ「観光目的じゃない」
カーラ「でも、サンバカーニバルとかやるんでしょ。 出てみたいなぁ」
ユウキ「戦時下だ。開催されないだろう」
カーラ「そっか……。 ユウにあたしのセクスィなサンバ衣装、 見せたかったのになぁ」
ユウキ「……持ってるのか?」
カーラ「うん。 ほら、あたし、ダンスとかやってるから」
ユウキ「……」
カーラ「あ! 今、想像したでしょ?  いいよ~、いつでも見せてあげるよ~」
ユウキ「え、遠慮しておく」
レーツェル「……話を戻していいか?」
ユウキ「す、すみません。どうぞ」
レーツェル「犬吠埼沖の後は、 テスラ・ライヒ研究所へ向かう」
レーツェル「エクサランスの新フレームのこともあるし、 我らのDGGも総点検が必要な頃だからな」
ゼンガー「今後に備えるということか。 ……現状では修羅の攻勢に対応しきれんからな」
レーツェル「修羅の出現地点には 共通点があまりない。戦略上、重要な拠点へ 現れることもあれば……」
レーツェル「何もない所へ転移してくることもある」
カーラ「つまり、結構適当だってことですよね」
レーツェル「ああ」
ユウキ「ラージの仮説…… 修羅がダガーの機能を完全に把握しているわけでは ないという説は、正しいかもしれませんね」
ゼンガー「だが、 奴らは転移攻撃によって地球側の要所の制圧を 目論んでいることに違いはないはずだ」
レーツェル「ああ……それ故、軍は迂闊に動けん。 奴らがいつどこへ転移してくるかわからんからな」
ユウキ「唯一の救いは、修羅が月やコロニーに ほとんど手を出していないこと……」
カーラ「けど、何でなんだろうね。 一番手近な所なのに」
ユウキ「ソーディアンは 強固な結界で守られた巨大な宇宙要塞だ。 故に宇宙の拠点を必要としていないか……」
ユウキ「地球……大地に執着があるのかも知れんな」
レーツェル「大地に執着、か……」
カーラ「レーツェルさん、 ヘルゲートの方は相変わらずなんですか?」
レーツェル「ああ。 ステルスシェードとイージスの盾を展開して、 沈黙を続けている。迂闊に手が出せん状態だ」
ゼンガー「いずれにせよ、この状況を打開するには、 先にソーディアンを衝かねばならんか……」
レーツェル「結界破りの方法については、 ギリアムの方で考えがあるようだ」
ゼンガー「本当か?」
レーツェル「ああ。 彼は今、テスラ研にいる。詳細は行って直接聞こう」
ゼンガー「承知した」

[クロガネ 食堂]

(扉が開閉する)
コウタ「よっ! みんな、函館土産だ。 イカ飯を買ってきたぜ」
アラド「やったぁ!」
シロ「お、おいらの分は!?」
コウタ「心配すんな、ちゃんとあるよ。 ……ゼオラ、すまねえがみんなの分を 温めてきてくれねえか?」
ゼオラ「う、うん。わかったわ」
ラウル「……コウタ、無理してないか?」
コウタ「何でそんなことを聞くんだ?」
ラウル「いや…… あの『髪の毛』を逃がしてしまったから……」
コウタ「ああ、そのことか。 もういいんだ」
マサキ「いいって、お前……」
コウタ「今回で、 ショウコがソーディアンにいるってのが 確実になった」
コウタ「なら、後はあの結界をブチ破る方法が わかるのを待つだけだ」
マサキ「……そうか」
コウタ「それに、ヘルゲートへ行って、 ラミアって人の仇討ちもしなきゃならねえしよ」
アラド「うん……」
マサキ「……アラド、顔を上げな」
アラド「………」
マサキ「お前の気持ちはわかる。 俺だって、悔しいさ」
マサキ「けど、カーラ達と一緒に話したろ。 いつまでも落ち込んでるわけにはいかねえって」
アラド「わかってるッス……」
マサキ「なら、顔を上げて、いつものお前に戻りな。 ラミアの無念を晴らしたいなら、そうするんだ」
アラド「はい……」
ラウル(そうだ……俺も立ち止まってはいられない。 フィオナのためにも……多くの人達の 命を救うためにも)
コウタ「………」
ラウル「ともかく…… コウタ、あまり今回みたいな無理はしないでくれよ」
クロ「そうニャ。 いくら変身できるって言っても、 一人じゃ危ニャい時もあるニャ」
コウタ「ああ、わかったよ」
コウタ(ショウコ……もう少し辛抱してくれ。 ソーディアンの結界をブチ抜く方法が 見つかったら……)
コウタ(すぐに助けに行ってやるからな……!)

[クロガネ 艦内]

(キー操作)
ラージ「……こうすれば、 動弁系のフリクションを軽減できます」
ミズホ「わかりました。採用させてもらいます」
ラトゥーニ「大腿部関節ギアの空転を防ぐには、 このTCSプログラムを使って……」
ミズホ「ありがとう、ラトゥーニ」
ラージ「では、統合しましょう」
(キー操作)
ミズホ「この数値なら……いけますね」
ラージ「ええ、許容範囲内です」
ミズホ「じゃあ……」
ラージ「これで設計は終了。 後は部品の調達と組み上げですね」
ミズホ「はい」
ラトゥーニ「ミズホ、このフレームの名前は……?」
ミズホ「もう考えてあるの。 接近戦用がライトニング、砲撃戦用がエターナル。 ……どうかしら?」
ラトゥーニ「いいと思う……」
ミズホ「ありがと。 この二つのフレームを装着すれば、 エクサランスは特機並の力を発揮できる……」
ミズホ「予定にはなかった物だけど、 この戦いを早く終わらせるためには これが必要……」
ラージ(そう……切り札が。 時流エンジンを守り抜くための……ね)


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