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争覇の宴(後編) ~ 第17話 ~

[不明]

???(アルフィミィ)「…………」
???(アルフィミィ)「消えかけた……命…… 消えかけた……私……」
???(アルフィミィ)「世界を……変える…… 想いの力……あなたが強く……想う…… ……哀しくて……温かい……力」
???(アルフィミィ)「私が……私であるために……」
???(アルフィミィ)「あなたの想いの力…… お借り……致しますの……」
???(アクセル)「……レモ…………ン……」
???(アクセル)「おれ……は……」

[トーチカ1 内部]

アクセル「う……!」
エリック「おお、眠り王子のお目覚めかの」
アクセル「……!」
エリック「まあ、良かったでの。 ワシは男とチッスする趣味はないんでの」
アクセル「貴様は……誰だ?  それに、ここはどこだ?」
エリック「ワシはエリック・ワン。 ここは連邦軍の特殊研究機関……トーチカ1での」
アクセル「連邦軍の……だと!?」
エリック「そうじゃ、アクセル・アルマー」
アクセル「おれの名前を知っているということは…… 所属も、か?」
エリック「んむ。 お主がどこから来たのか……それもの」
アクセル「……」
エリック「ホワイトスターの中で 朽ち果てておったソウルゲインを、 クライウルブズが回収し……ここへ運んでの」
アクセル(クライウルブズ…… “向こう側”での敵に助けられたのか)
アクセル「おれは深傷を負っていたはずだ。 この身体……貴様らが治療したのか」
アクセル「大した医療技術だ。 あの状態からここまで……」
エリック「治療? 何を言っておるんじゃ?」
エリック「ワシらが焼きついたコックピットハッチを こじ開けた時……お主は無傷での」
アクセル「何だと……!?  馬鹿な、そんなはずがない! おれの手足は……」
エリック「記憶が混乱しておるようじゃの。 お主がケガをしていないことは、コックピットを 開けた瞬間にわかったでの」
アクセル「何……?」
エリック「素っ裸じゃったからの。 外傷がなかったのは、一目瞭然での」
アクセル「おれが? どういうことだ……!」
エリック「知らんの。脱いだのはお主じゃろ。 死を前にした時の、シャドウミラー式の 儀式かなにかかの?」
アクセル(……嘘を吐いている感じではない。 おれに何が起こった……?)
エリック「ほっほっほ。 お主が女じゃったら眼福だったんじゃがの」
アクセル「……服は?  おれの血ぐらいは付いていたんじゃないのか?」
エリック「見てみい、付いてはおらんじゃろ?  ……今、お主が着ているのがそれじゃ」
アクセル「………!」
エリック「それはおぬしの横に畳んで置いてあっての。 洗濯したてのようにキレイじゃったぞ。 シャドウミラーとは、随分綺麗好きな部隊じゃの」
アクセル(何者かが、ソウルゲインに?  あり得ないが……説明がつかん……)
エリック「おお、そうじゃ。 大切なことを言い忘れておったでの」
アクセル「何……?  教えろ、おれの身体に何が……」
エリック「……お主の裸を見たのは ワシとその他数人での。男だけじゃから、 恥ずかしがることはないでの」
アクセル「……そんなことはどうでもいい」
アクセル「質問ついでに、もう一つ教えてもらおう。 ……何故、おれを助けた?」
エリック「ん~、まあ、用があったのは むしろお主の機体の方じゃがの」
アクセル「……ソウルゲインを使って何を?」
エリック「新型開発の参考にしようと思っての。 ワシがかつて設計した機動兵器を破壊するためにの」
エリック「じゃが、 修羅共のおかげで材料が手に入りにくくなっての」
アクセル「修羅……?  聞いたことがないが……新しい組織か何かか?」
エリック「んん、そうか。 お主はずっと眠っておったから、知らんで当然かの」
エリック「修羅はの、 お主と同じく別の世界から来た者達での」
アクセル「な……に?」
エリック「ソーディアンという巨大な剣を根城にし、 世界中で暴れ回っておる」
エリック「まあ、大戦争という状態ではないがの。 あちこちでひっきりなしに戦が繰り広げられて おっての。迷惑この上ない」
アクセル(戦争状態の継続…… おれ達が目指したものを……そいつらが?)
(扉が開閉する)
連邦軍兵「ワン博士」
エリック「んむ。 ……アクセル、お主にはこれから 独房へ入ってもらうことになるでの」
アクセル「……」
エリック「わかっておると思うが…… やってきたことがアレじゃからの。 大人しく従ってもらえると助かるでの」
アクセル「……暴れるつもりなどない。 おれの戦争は……あの時に終わったのさ、これがな」
アクセル(……そう、終わるはずだった。 助かるはずのない傷を負って。 そのおれに……何が起きた?)
アクセル(レモンの声が聞こえたような気がしたが…… まさか、な)

[トーチカ1 中央管制室]

ニブハル「……シュタインベック氏は イェッツトに多大な関心を持っておられます。 ただし……」
ミタール「フラットフィッシュの件か?」
ニブハル「ええ。私も報告書を読みました。 培養槽が3基行方不明になったそうですね」
ミタール「ああ」
ニブハル「培養槽ごとなら、 自分で逃げ出したとは考えにくい…… 何者かに奪取された可能性が高いですね」
ミタール「そちらに何か情報は?」
ニブハル「入って来ておりません」
ミタール「DCの残党…… あるいは、異星人だという線は?」
ニブハル「それでしたら、 こちら側にも何らかの情報が入るはず」
ニブハル「私は修羅か…… それに関係する者の仕業ではないかと考えています」
ミタール「彼らに あれを制御する術があるというのか?」
ニブハル「それはわかりません。 が、フラットフィッシュ・プランは 破棄されましたし……」
ニブハル「修羅による争乱のおかげで例の事件が うやむやになりましたから……あの怪魚が 出てきたとしても殲滅すればいいわけで」
ミタール「……」
ニブハル「ともかく、 あなた達はウェンディゴ、フラットフィッシュと 失敗が続いています。気をつけて下さい」
ニブハル「無論、修羅にもね。 ツェントル・プロジェクトの成果物は、 シュタインベック氏の計画に必要なのですから」
ミタール「承知している。 フラットフィッシュの失敗を教訓にし、 イェッツトを物にしてみせよう」
ニブハル「期待しています。 それから……シャドウミラーの アクセル・アルマーが目覚めたそうですね」
ミタール「ああ」
ニブハル「折を見て、こちらへ移送を。 シュタインベック氏が彼から 色々と話を聞きたいそうなので」
ミタール「……了解した、ムブハル補佐官」
ニブハル「それでは」
(通信が切れる)
ミタール(……何故、シュタインベックが アクセル・アルマーと話を?  彼が転移者だからか……?)
(アラート)
ミタール「む!?」


第17話
争覇の宴(後編)

〔戦域:トーチカ1周辺〕

(アラート)
スタッフ「Nブロック上空に転移反応!  数は4!」
ミタール「ピンポイントで このトーチカを狙ってきたか……」
(南西端にソーディアンズ・ダガーが4機出現)
エルデ「ザパト博士、ダガーが現れました」
ミタール「修羅共が来るぞ。 クライウルブズを出撃させろ」
スタッフ「しかし、 現在整備中の機体が多く、 出せる数が限られていますが…」
ミタール「構わん。 テルグムとフロンスも出す。 ……エルデ、ウェンディゴは?」
エルデ「マーダレット・バージョンの AI0の搭載は完了しています」
エルデ「ですが、 あれを出してよろしいのですか?」
ミタール「緊急時だ。 出撃させてくれたまえ」
エルデ「……はい」
(ウルフ1、8、9とフロンス、テルグム、ウェンディゴが出撃)
エルデ(さあ、AI0…… 結果を出してみせなさい)
フォリア「やれやれ、 狼のお供がトンボにヤゴ、サルとはね」
ヒューゴ「ウェンディゴ・プランは 例の事件で凍結されたはずだ。 担当者が変わったのか?」
フォリア「知らん。 俺達は研究棟の方には入れないからな」
フォリア「それより、あの猿共…… バルトールみたいにこっちへ 襲いかかってこないだろうな?」
(アルベロ機に警報)
アルベロ「修羅共が来るぞ!  迎撃用意!」
(ハルパスとボフリィがソーディアンズ・ダガーの間に出現)
修羅兵「野郎共、あれが目当ての砦だ!!  邪魔者をブチのめせぇぇ!!」
修羅兵「おおう!!」
フォリア「コウモリにカメレオンか。 こっちは虫とサル…… まるで動物園だな、こりゃ」
ヒューゴ「前回と言い、今回と言い…… やはり、奴らの狙いはトーチカか」
フォリア「まさか。偶然だろ、偶然」
アルベロ「ウルフ1より各機へ。 ラウンド・スタートだ」
アルベロ「修羅は無人機に任せろ。 我らは先行し、ダガーを破壊する。 増援を来させるわけにはいかんのでな」
ヒューゴ「ウルフ8、了解!」
フォリア「ウルフ9、了解!」
フォリア(メカザルなんかに 手柄を取られてたまるか。 見てろよ……!)
(作戦目的表示)

〈フロンス撃墜〉

フォリア「虫が落ちたぞ!」
ヒューゴ「テルグムとフロンスは、 戦力としてあまり期待できない みたいだな」
フォリア「元は偵察用のUAVだろ。 囮になってくれりゃあいいさ」
フォリア(……俺にとっちゃ、 その方が都合いいしな)

〈敵機5機撃墜〉

修羅兵「オラ!  てめぇら、気合入れやがれ!!」
修羅兵「奴らに ナメられるわけにはいかねえ!!」
修羅兵「もう砦なんざどうでもいい!  奴らを血祭りにあげてやれぇぇ!!」
アクセル「……奴らが修羅か」
エリック「うんうん。 あんな風に各地で暴れておるようでの」
アクセル「空間転移を行って、か。 統制のない動きだ。 あんな連中が転移装置を扱っていると?」
エリック「あやつらのロボット…… 修羅神と言うんじゃがの。 あれ自体に転移装置はついておらん」
エリック「先にダガーが現れての、 その結界の中に修羅神が 転移してきおるでの」
アクセル「……そのダガーとやらがいれば、 双方向の転移も可能というわけか」
エリック「そうみたいじゃがの、 修羅も使い方をよくわかって おらんようでの」
エリック「ピンポイントで 転移してくる時もあれば、 適当な時もあるでの。ホッホッホ」
アクセル「……質問ばかりで悪いが、 連邦軍の対応はどうなっている?」
エリック「んむ、苦労しておるようでの。 転移がアレじゃから、修羅に襲撃された 主要拠点はまだ数少ないが……」
エリック「それ故に あやつらの動きが読みにくくての」
エリック「しかも、相手が軍人だろうが、 民間人だろうがお構いなし」
エリック「占拠されたり、 壊滅状態に陥った街も いくつかあるらしいでの」
アクセル「……」

5EP

アルベロ「ウルフ8、9!  ダガーの全機撃墜を急ぐぞ!」
(ソーディアンズ・ダガーの共鳴)
アルベロ「むっ!」
フォリア「チッ、新手が来る!」
(ボフリィとハルパスが出現)
修羅兵「うははははは! 瞬転、成功!  さあぁ~、暴れまくりぃぃぃ!!」
アルベロ「これ以上の増援を許すな!  ウルフ8、9! 俺に続け!  ダガーを最優先で破壊する!」
ヒューゴ「了解!」

〈敵機全滅〉

フォリア「……これで終わったか?」
ヒューゴ「ダガーが現れる気配もない。 何とかしのげたようだな」
ミタール「……エルデ。 なかなかのものだな、AI0は」
エルデ「当然の結果と言いたい所ですが、 いくつか問題点が見受けられました」
ミタール「確かに……。 JO反応を何回か見せていたな」
エルデ「並の機体では、 マーダレット・バージョンと言えど 追従しきれません」
ミタール「ソフトが良くても ハードが悪い……と言うのか?」
エルデ「ええ。AI1には、 現行機種を凌駕した機体を ご用意下さるようお願いしますわ」
ミタール「そのつもりだ」
エルデ「私は…… イェッツトでも構いませんわよ?」
ミタール「……」
アルベロ「ウルフ1より各機へ。 ラウンド・エンドだ。 トーチカへ帰還するぞ」
ヒューゴ「ウルフ8、了解」
フォリア「ウルフ9、了解。 ……ところで、隊長。 後で少しお時間をいただきたいのですが」
アルベロ「……いいだろう」
(クライウルブズが撤退)
ティス「……ったく。 あいつら、学習能力ってものが ないんだから」
ティス「けど、 駒として使えそうなのも見つけたし…… 例の反応源は多分あそこだね」
ティス「よ~し、次はあたいが……」

[トーチカ1 内部]

アクセル「…………」
アクセル(修羅……奴らの闘争は…… おれ達が目指していたものと違う)
アクセル(あれは制御された戦争ではない。 無秩序……そこから生み出されるものは、 単なる破壊に過ぎん……)
アクセル(腐敗を粛正するのではなく、 世界をただ混乱させるのみ……)
アクセル(……いや、 変わらないのかも知れんな、こいつは)
アクセル(平和による腐敗…… 戦争による破壊……どちらにせよ、 失われるものは数多く存在する)
アクセル「……レモン、 ならば……おれはどうしたらいい……?  わけもわからず生き残ったおれは……」
(精神感応)
アクセル「!!」
???(……感じ……ますの……。 かつての……同胞を……)
アクセル「何だ……!?」
???(……でも……彼は…… 変えられて……しまっておりますの…… もう……私の言葉も……届かない……)
アクセル「この声…… まさか……まさか、あの時の……!?」

[トーチカ1 格納庫]

フォリア「どうしても……ですか? 隊長」
アルベロ「ああ」
フォリア「自分は ここ最近のミッションでスコアを上げています。 命令違反も犯しちゃいない……」
フォリア「なのに、何故駄目なんです?」
アルベロ「お前が つまらん拘りを捨て切れていないからだ」
フォリア「いえ、自分が隊長の息子だからでしょう?  贔屓をしていると思われたくないから……」
アルベロ「フォリア」
フォリア「……!」
アルベロ「俺がそんな認識を持っていると?」
フォリア「……」
アルベロ「アビリティ・データを踏まえた上での判断だ。 Mk-II改型の補充機が来たら、イーサンに回す。 ……以上だ」
(扉が開閉する・アルベロが立ち去る)
フォリア(くっ!  まだ足りないってのか、親父……!)
フォリア(いったいどうすりゃ 俺を認めてくれるって言うんだ……?)
(扉が開閉する)
ヒューゴ「……どうした、フォリア?」
フォリア「何でもない。放っておいてくれ」
ヒューゴ「……」
(爆発)
ヒューゴ「!!」
フォリア「な、何だ!?」
ヒューゴ「この振動は……爆発だぞ!!」


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