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捧げられた負念体 ~ 第39話 ~

《地球近海(鋼龍戦隊)》

[ハガネ ブリーフィング・ルーム]

シュウ「ヴォルクルス教団の預言者ヨーテンナイは 時間停止によりラ・ギアスを破滅させる 『静死の柩』計画を実行に移し……」
シュウ「私やマサキ達はそれを阻止すべく、 彼女の居所へ突入し、激戦の末に打ち倒しました」
シュウ「ところが、直後に巨人族が現れ、 私達は敗走を強いられたのです」
イルム「巨人族…… ラ・ギアスへ行った時、聞いたことがあるな」
アヤ「確か、古代に滅亡した超知性体だったわね」
アイビス「その残留思念が、ヴォルクルスになったんだっけ」
シュウ「ええ。巨人族の王、『カドゥム・ハーカーム』は 三邪神……すなわち、破壊神サーヴァ・ヴォルクルス、 調和神ルザムノ・ラスフィトート……」
シュウ「創造神ギゾース・グラキオスの本来の姿であり、 クロスゲートを通じて異世界から 古代のラ・ギアスに到来し……」
シュウ「そこに生息していた人間に叡智を授け、 支配した存在だったのです」
イルム(おいおい、最後の方は聞き覚えがあるぞ)
トーヤ(シャナ=ミアから聞いた話と似てる……)
ライ「もしかして、カドゥム・ハーカームが クロスゲートを造ったのか……?」
シュウ「不明です。 これは私の推測ですが、彼にとってクロスゲートは 単なる移動手段に過ぎず……」
シュウ「それ以外の使い方を知らない、 あるいは何らかの理由によって 利用できないと思われます
シュウ「つまり、クロスゲートが誰によって 何のために造られたか……」
シュウ「何故、ラ・ギアスに設置されたか、 それがいつ行われたのか、謎なのです」
エクセレン「ヒアリングをミスっちゃったって感じ?」
アーマラ「主に無礼な口を利くな」
エクセレン「そんなつもりじゃなかったのよ。 ごめんね、アーマラちゃん」
アーマラ「ちゃんは余計だ」
エクセレン「あららん、眉間に皺を寄せてばっかだと、 可愛いお顔が台無しよん?」
アーマラ「ば……馬鹿なことを言うな」
アラド(ええっと……こんなキャラだったっけ?)
イング(以前のアーマラからは想像できない反応だ……)
アクセル「下らん話を挟むな。 続けろ、シュウ・シラカワ」
シュウ「ええ。カドゥム・ハーカームから聞き出せたことは いくつかあります」
シュウ「彼の本当の目的は、剛力剛念を持ち、 来たるべき試練に打ち勝つことが出来る 強靭な知的生命体の育成であり……」
シュウ「その場として、特殊な閉鎖空間である ラ・ギアスが最適だったそうです」
シュウ「しかし、遙かな昔、ラ・ギアス人は 想定外の知恵や力を持つに至り、一部の者達が さらなる叡智を求め、巨人族に反逆しました」
シュウ「それは、ラ・ギアス人が巨人族の支配から 脱するための戦いに発展し……最終的に 人間側が勝利を収めたのです」
シュウ「そして、敗れた巨人族の怨念は邪神を生み出し、 長きに渡って様々な災厄をもたらすことになりました」
ギリアム「カドゥム・ハーカームが復活した後は?」
シュウ「ラ・ギアスはさらなる危機へ追い込まれました。 彼らを倒しても、その怨念が三邪神となり……」
シュウ「それらもまた倒されると融合し、巨人族となって 復活を果たすため、通常の手段では 完全に消滅させることが出来なかったからです」
シュウ「しかし、マサキが風の精霊サイフィスとの 交信に成功したおかげで、有効な対処方法が 判明しました」
シュウ「そして、彼は精霊憑依を行ったサイバスターで 精霊界に存在する全エネルギーを結集し……」
シュウ「負の存在である巨人族と相反する精霊の力によって、 カドゥム・ハーカームを撃滅したのです」
アイビス「凄い……マサキがそんなことを……」
マサキ「だけど、その代償が大きかったんだよ」
シュウ「そう……ラ・ギアスに存在していた精霊の力は カドゥム・ハーカームと相殺され、魔装機神操者にさえ 感じられなくなるレベルにまで低下し……」
シュウ「魔装機神や魔装機を始めとする 精霊の力を利用していた機関は、 その機能を喪失したのです」
リュウセイ「それで、マサキは今のサイバスターが 精霊の加護を受けてねえって言ったのか」
シュウ「巨人族との戦いが終わり、しばらく経った後…… 私はラ・ギアスと地上の行き来が 以前のように出来るかどうか、調査しました」
シュウ「ヨーテンナイによって、2つの世界は 完全に遮断されてしまったため、つながりが 元通りに回復したか……」
シュウ「または何らかの影響が出ているか、 見極めようとしたのです」
シュウ「しかし、結果的に安全なゲートを開くことは出来ず、 私はクロスゲートを通って、地上世界へ 赴くことにしました」
シュウ「また、それは私が開発したイミテイション・ リチュオル・コンバーターによって……」
シュウ「サイバスターが地上で以前のように動き、 戦えるかどうか、テストを行うためでもあります」
マサキ「まあ、戦闘は出来たがよ…… 負念をチャージしなきゃならねえし、 それにはリスクが付きまとう」
クロ「精霊の加護を受けてた時と 真逆のことをやってるようなものニャ……」
シュウ「一時凌ぎの手段であることは認めます。 別の改善策を考えなければなりませんね」
マサキ「頼むぜ。何回もクロスゲートの境界空間へ 入るのは御免だからな」
アヤ(マサキがシラカワ博士に頼む、だなんて…… 2人の間柄は変わったみたいね)
シャイン「あの、ラ・ギアスでお世話になった 他の魔装機神や魔装機操者の方々は……」
リューネ「みんな元気だよ。ヤンロンやテュッティ、ミオは ラ・ギアスのクロスゲートを監視してる」
トーヤ「すみません。俺からも質問していいですか?」
シュウ「どうぞ」
トーヤ「もしかして、カドゥム・ハーカームの頭部に 光る輪が付いていませんでしたか?」
シュウ「その通りですが……何故、あなたがそれを?」
トーヤ「実は……」

(シャナ=ミアの部屋)

シュウ「なるほど…… フューレイムとカドゥム・ハーカームには いくつか共通点がありますね」
シャナ=ミア「もしかして、同種の存在なのでしょうか」
シュウ「あなた達の母星にクロスゲートがあった以上、 その可能性は高いと思われます」
リューネ「でも、フューリーのカドゥム・ハーカームは いい奴みたいだね」
マサキ「ああ、人間の味方になる巨人族もいるってことか」
シュウ「シャナ=ミア皇女殿下、実に興味深いお話でした。 地上へ来た甲斐がありましたよ」
シュウ「フューレイムの魂が宿る グランティード・ドラコデウスに クロスゲートを封じる力があるのなら……」
シュウ「それは地上だけでなく、ラ・ギアスの未来に 大きな影響をもたらすことになるかも知れません」
シャナ=ミア「影響とは、いったい……」
シュウ「この戦いで見極められればいいのですが」
マサキ「なら、このまま鋼龍戦隊に協力するってんだな?」
シュウ「ええ。リューネもよろしいですか?」
リューネ「うん。ラブルパイラなんて物を見ちゃった以上、 放っておけないからね」
シャナ=ミア「トウ=ヤ。一連の事態を収拾するために、 私もグ=ランドン一派以外の者達と戦いましょう」
シャナ=ミア「それが、ヴォーダの門を封印する力の発現に つながるかも知れません」
トーヤ「……わかった」
シュウ(知的生命体が存在する惑星にクロスゲートが存在し、 そこからカドゥム・ハーカームが現れたのなら……)
シュウ(フューレイムのように 何らかの形で存続している者が 他にもいるかも知れません)
シュウ(はたして、彼らは我々にとって敵か、味方か……)

[ハガネ 戦隊司令公室]

ダニエル「シャナ=ミア皇女の件だが…… それでクロスゲートを閉じる可能性が 向上するのであれば、申し出を認める」
ダニエル「彼女の身柄は鋼龍戦隊預かりとし、 事態収拾後に再度封印を試みよ」
ダニエル「その間、彼女をフューリーの皇族として 公式に遇することはない」
マイルズ「はっ」
ダニエル「また、ギント・キタウミ大佐の件だが、 事情は理解した」
マイルズ「戦場において、指揮系統を混乱させる行為は 看過できませんでしたので」
ダニエル「正論だが、現在は非常事態である。 そちらの判断は間違っていないが、 ギント・キタウミ大佐の処分は保留する」
ダニエル「直ちに彼を復職させたまえ」
マイルズ「………」
ダニエル「不服か?」
マイルズ「鋼龍戦隊のような特殊な戦力を 有効活用するためには、現場における 視野の狭い判断を制限する必要がある……」
マイルズ「私が戦隊司令として着任する前、 議長が仰った言葉です」
ダニエル「そうだったな」
マイルズ「私はそれを胸に、 職責を全うしてきたつもりですが」
ダニエル「私の言葉には、君が気づいていない もう一つの意味がある。君自身が視野狭窄に 陥ることがあってはならんということだ」
マイルズ「……!」
ダニエル「ガディソードとの決戦は、時間との戦いでもある。 巧遅よりも拙速が尊ばれる時、ギント大佐の 経験と技量を欠くわけにはいかん」
マイルズ「………」
マイルズ「……了解しました。 ギント・キタウミ大佐の謹慎を解き、 ハガネの指揮を執らせます」
ダニエル「それでいい。 あと、連邦政府のラブルパイラへの対応だが……」

(ヒリュウ改 食堂)

カイ「会議ですっかり食事時を逃してしまった。 ……すまんな、お前まで付き合わせてしまって」
ラミア「いえ」
ヒューゴ「カイ少佐、ラブルパイラへの対応は 決まったんですか?」
ユウキ「我々が攻略作戦を担当するのでしょうか?」
ラミア「お前達、少佐はこれから食事を取るのだぞ」
カイ「いや、食べながらで良ければ、教えてやる。 箝口令は出ていないからな」
フィオナ「あ、じゃあ、あたし達が食事を取ってきます。 手伝って、デスピニス」
デスピニス「はい」
(足音・フィオナとデスピニスが立ち去る)
カイ「さて……現在、地球連邦政府とガディソードの間で 交渉が行われている」
カイ「連邦からの要求は、 ラブルパイラの武装解除と明け渡し要求だ」
ユウキ「そのようなもの、ヘルルーガ・イズベルガが 受け入れるとは思えませんが」
カイ「ああ。 これは連邦軍がラブルパイラ攻略作戦の 準備を整えるための時間稼ぎだ」
カイ「そして、その間、我々はラブルパイラを 監視することになる。ヘルルーガ達を不用意に 刺激せぬよう、距離を取ってな」
ヒューゴ「クロスゲート監視艦隊は?」
カイ「我々より後方の宙域で待機するそうだ」
ユウキ「では、ラブルパイラが空間転移や ゼモン・モルター発射の兆しを見せた場合は?」
カイ「その時は一斉攻撃だ。 今の所、ガディソードは動きを見せていないが、 我々だけでラブルパイラへ突入することもあり得る」
ヒューゴ「……時間と運の勝負ですね」
カイ「ああ」
(足音)
フィオナ「少佐、食事をお持ちしました」
カイ「すまんな」
デスピニス「皆さんの飲み物も一緒に。コーヒーと紅茶ですが…… ユウキさんには、これを」
ユウキ「ミネラルウォーター……?」
デスピニス「はい。 ここの紅茶よりは、この方がいいと思って……」
ユウキ「的確な判断だ。礼を言う」
フィオナ「ふふっ、 デスピニスはみんなの好みを把握してるのよ」

[ハガネ ブリッジ]

(扉が開く)
ギント「……情況を報告してくれ」
エイタ「艦長……!」
アヅキ「謹慎が解けたんですね!」
テツヤ「お待ちしていました。 現在、ラブルパイラの周辺には二個小隊ほどの 機動部隊が哨戒行動を取っている模様」
テツヤ「それ以外に目立った動きはありません。 本艦及びヒリュウ改は、敵対空兵装の 推定射程外にて監視行動を継続中です」
ギント「了解した。 副長、オペレーター諸君には心配を掛けたな」
テツヤ「いえ、あの時の艦長のご判断がなければ、 我々は……」
(アラート)
エイタ「艦直上に空間歪曲現象が発生!  デブデダビデの光輪の前兆と酷似!」
テツヤ「こんな時に!」
ギント「総員、第一種戦闘配置!」


第39話
捧げられた負念体

〔戦域:地球周辺宙域〕

(中央にハガネとヒリュウ改がいる)
エイタ「アンノウン、識別! クリスタルドラグーン!」
テツヤ「奴め、単独で何を……!」
エイタ「3時方向、仰角5より真っ直ぐ!  レンジ3に侵入!」
(北西端にクリスタルドラグーンが出現)
クリスタルドラグーン「………」
テツヤ「機動部隊各機、出撃せよ!」
(出撃準備)

状況選択

スーパーソウルセイバーがFF換装で出撃した
スーパーソウルセイバーがGG換装で出撃した
スーパーソウルセイバーは出撃していない


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