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ランナウェイ・ゴースト ~ 第19話 ~

[ヒリュウ改 ブリーフィング・ルーム]

ヴィレッタ「アヤ、呼び出されたパイロットは揃っている?」
アヤ「ええ、全員います」
ヴィレッタ「博士は?」
アヤ「既に待機しています」
ヴィレッタ「なら、カイ少佐待ちね」
ライ(メンバーは特殊なマン・マシン・インターフェース…… T-LINKシステムシュンパティア、 サイトロン・システム搭載機のパイロットか)
ライ(もっとも、俺という例外はいるが…… SRXを運用するからだろうな)
クスハ「リュウセイ君、何の話か聞いてる?」
リュウセイ「いや、知らねえな」
ジョッシュ(俺達に特別な任務が与えられるのは確実か……)
テニア「ねえ、トーヤ。 どうしてカルヴィナが呼ばれてないのかな?」
トーヤ「さあ……」
テニア「メルアはわかる?」
メルア「ううん」
カティア「理由はおそらく、サイトロン・システム…… 私達はあれにリンク出来るから、このメンバーの中に 入れられたんじゃないかしら」
(扉が開く)
カイ「待たせたな」
ヴィレッタ「メンバーは全員揃っています」
カイ「では、始めよう。鋼龍戦隊の次の任務は、 ジャカルタのラマリス討伐だ。その際、ここにいる メンバーにある任務を遂行してもらいたい」
カイ「詳細については 伊豆のケンゾウ・コバヤシ博士が説明する」
テニア「……って、誰なの?」
ブリット「SRXやRシリーズを開発した SRX計画の主要メンバーで、 T-LINKシステムを作った人だよ」
クスハ「そして、アヤ大尉とマイのお父さんなの」
テニア「ふ~ん」
カイ「アヤ、博士を呼び出してくれ」
アヤ「はい」

(モニターオン)
ケンゾウ「SRXラボのケンゾウ・コバヤシだ。 各地に現れたラマリスは、深刻な脅威となっているが、 それは撃退しても出現を繰り返すことにある」
ケンゾウ「これまでの調査によれば、 彼らのほとんどは人口密集地に現れている。 仮説ではあるが、そこに人が……」
ケンゾウ「正確に言えば、人間の念が存在する限り、 出現し続けるのではないかと私は考えている」

リュウセイ「人の念を食って、増えてるってことか?」
ブリット「だけど、避難が完了した地域でも ラマリスは出現しているのに……」
ライ「人間の念以外にも活動源になる物があるのか?」

ケンゾウ「おそらく、それは繁華街などに淀む雑多な念…… いわゆる残留思念だろう」
ケンゾウ「あるいは、かつてのアインスト妖機人のような 人ならざるモノが放出するエネルギーも 彼らの糧となるかも知れん」
ケンゾウ「君達も知っての通り、 鋼龍戦隊がラマリスを殲滅した複数の地域において 彼らの再出現は認められていないが……」
ケンゾウ「融合して、カーナ・タイプになったという 共通点がある。それは、強い念に反応した上での 対抗手段なのかも知れん」
ケンゾウ「そして、より強烈な念をぶつけると、 彼らは吸収などの処理が出来ず、完全消滅する……」
ケンゾウ「そこで、私が指名した君達にチームを組んでもらい、 この仮説を検証してもらいたい」
ケンゾウ「なお、既に気づいている者もいるだろうが、 諸君らのほとんどは脳と何らかの形でリンクする マン・マシン・インターフェースの使用者……」
ケンゾウ「つまり、思念を何らかの形で別の力に変え、 放出することが出来る者達なのだ」

イング「僕達が念を集中してラマリスにぶつければ、 カーナ・タイプになるのか……」
リョウト「それだと、僕らが行った所にしか ラマリス・カーナが現れていないことが説明できるね」
クスハ「他の部隊にはT-LINKシステムや シュンパティアを搭載した機体がないから?」
リョウト「うん。それと、フューリーの機体に サイトロン・システムか、それに似た物が 積まれている可能性がより高まったよ」
ジョッシュ(そして、ファブラ・フォレースの建造者と シュンパティアのルーツに関する仮説の信憑性も……)
ヴィレッタ「ジョッシュ、今回の任務だが……」
ジョッシュ「意図は理解しています。 ただ、無理はさせたくありません」
グラキエース(リムのことか)
リム「大丈夫だよ、アニキ。 この間からシュンパティアを使うと クリスを感じるような気がするし」
ジョッシュ「だけど、あいつは……」
リム「ずっとずっと遠くへ行ってしまったのに、 あたしの傍にいて、守ってくれてるように感じる。 だから、悪いことにはならないと思う」
ジョッシュ「……わかった」
カイ「なお、次の作戦では お前達をアルファ・チームと呼称する。 リーダーはアヤだ」
アヤ「了解です」
クスハ「カイ少佐、質問があります」
カイ「何だ?」
クスハ「T-LINKシステムの適応者は 私達以外にもいますが、その人達は?」
ケンゾウ「それについては、私から答えよう。 彼らは万が一の事態が生じた場合に備え、 後方で待機してもらう」
クスハ(万が一……)
リュウセイ(ラマリス・カーナに取り憑かれちまうとかか?)
カイ「他に質問がないのであれば…… ヒリュウ改は空間転移装置を修復する間、 桃園基地に留まるため、ハガネのみで現地に向かう」
カイ「空間転移実行時間は1400。 転移出現後、60秒でラマリス集結地へ到達する。 以上だ」

[ハガネ 格納庫]

アヤ「みんな、10分後に機乗して、待機よ。 いいわね?」
クスハ「わかりました」
トーヤ「………」
ジョッシュ「どうした、トーヤ?」
トーヤ「他の人達はどうか知りませんが、 強い念をラマリスにぶつけろと言われても、 実際にどうすればいいのか……」
ジョッシュ「そうだろうな。実は、俺もさ」
トーヤ「え?」
ジョッシュ「俺は念動力者じゃない。 シュンパティアは俺の思念に反応するが、 念動力で何かをやる装置じゃない」
ジョッシュ「サイトロン・システムだって、そうなんだろう」
トーヤ「ええ、まあ……」
ジョッシュ「だったら、頭の中で何かの物体をイメージして、 それをラマリスへぶつける。俺はそうするつもりだ」
トーヤ「何かをイメージ……」
テニア「食べ物とか?」
メルア「チョコレートやクッキーなら、私にも出来そう……」
カティア「食べ物を投げるのは、よくないわよ」
トーヤ(……そんなやり方でいいのか?)
(足音)
リュウセイ「さっきジョッシュが言ったことは正しいぜ」
トーヤ「!」
ジョッシュ「リュウセイ少尉……」
リュウセイ「俺は光の剣をイメージして、敵に投げてる。 R-1の必殺技、天上天下念動爆砕剣…… T-LINKソードがまさにそれさ」
トーヤ「はあ……」
リュウセイ「後は呪文っぽい言葉を考えて、技名を叫ぶ。 破を念じて刃となれ、天上天下念動爆砕剣……ってな。 これ、重要なポイントだぜ」
テニア「あ、何かわかり易いかも」
リュウセイ「だろ?」
トーヤ(そういうものなのか……? 俺には自信がない)
ジョッシュ「プレッシャーを感じることはない。 俺達なら出来る、成し遂げられる……そう思うことも イメージ方法の一つさ」
トーヤ「それで何とかなるんですか」
ジョッシュ「なったのさ……ルイーナとの最終決戦で」
トーヤ「………」
ジョッシュ「気休めかも知れないが、君の周りには俺達がいる」
リュウセイ「ああ。頼ってくれていいぜ」
トーヤ「……そう言ってもらえると、少しは気が楽になります」
ジョッシュ「それでいい。 お互いベストを尽くそう、トーヤ・シウン」


第19話
ランナウェイ・ゴースト

〔戦域:ジャカルタ・ラマリスの集結地〕

(西側に大量のラマリスがいる。東端にハガネが出現)
テツヤ「艦長、ラマリス集結地に到達しました」
ギント「両舷停止。現在位置、高度でTD滞空
エイタ「ラマリス群の動き、さらに活発化!」
ギント「司令、フェイズ2に移行します」
マイルズ「うむ」
ギント「副長、機動部隊各機を出撃させろ」
テツヤ「了解。アルファ・チームより順次出撃せよ」
(アルファ・チームが出撃、Rシリーズは出撃後にSRXに合体する。 アリエイル機、ペルゼイン・リヒカイトが出撃、出撃準備)

グランティードのサブパイロットは
カティア テニア メルア


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