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鉤と剣 ~ 第17話 ~

《台湾 台北地区(鋼龍戦隊)》

[ヒリュウ改 ブリッジ]

マイルズ「……統合参謀本部の判断が下るまで、 カルヴィナ・クーランジュ少尉には 自室にて謹慎処分を命じる」
レフィーナ「はっ」
マイルズ「なお、ハガネへの空間転移装置の取り付けは、 明日中に完了する。その後、台湾までの転移を試みる」
マイルズ「それまで、ヒリュウ改は桃園基地で待機せよ。 我が戦隊の以後の任務については、合流後に伝達する」
レフィーナ「了解です」
マイルズ「では、以上だ」
(通信が切れる)
ショーン「……まあ、現状維持でしょうな」
レフィーナ「今回の件で明らかになったことが いくつかありましたからね……」
ショーン「それにしても、カーナ・タイプが フューリーの前にも現れたのは意外でした」
レフィーナ「そうですね。今の所、あれは私達の前でしか 目撃されていませんでしたから」
ショーン「我々と彼らに何らかの共通点があって、 それがカーナ・タイプの出現要因に 関わっているのかも知れませんな」
レフィーナ「私達とフューリーの双方が保有している物…… それは、サイトロン・コントロール・システムでは ないでしょうか」
ショーン「なるほど……フューリーの機体がグランティードと 同じシステムを搭載している可能性はありますね」
レフィーナ「ええ」
ショーン「そのお考えを上申なさった方がよろしいのでは?」
レフィーナ「仮定に過ぎませんよ」
ショーン「ですが、ラマリスには不明な点が多過ぎます。 彼らはどこから来たのか。何故、人口密集地に現れ、 そこから移動しないのか」
ショーン「そして、最終的に何をするつもりなのか…… 現状では判明しておりません」
ショーン「少しでも解明の糸口になりそうなことは、 然るべき所に伝えた方がよろしいでしょう」
レフィーナ「……そうですね」

[ヒリュウ改 艦内(通路)]

トーヤ「カルヴィナさん、少しいいですか」
カルヴィナ「……フューリー絡みの話?」
トーヤ「いけませんか?」
カルヴィナ「いえ、あんたは聞きにくると思ってたわ。 だけど、カイ少佐やギリアム少佐にも言った通り、 あたしもあいつに騙されていたのよ」
カルヴィナ「アリスターという男は、 死んだと思っていたんだから」
トーヤ「でも、実際にはそうじゃなかった」
カルヴィナ「だから?」
トーヤ「前に父のことを聞いた時、 あなたは期待に応えられないと言いましたよね」
カルヴィナ「ええ……あんたの父親のことはよく知らない」
トーヤ「本当に……そうなんですか?」
カルヴィナ「あたしが隠し事をしているとでも?  あんたの父親もアル=ヴァンも、自分の経歴を 嘘で塗り固めていた……」
カルヴィナ「それに気づかなかった あたしが愚かだったとでも言いたいわけ?」
トーヤ「そんなこと……」
カルヴィナ「……答えは同じよ。 あんたの期待には応えられない」
トーヤ「だったら……何故、アル=ヴァンは あなたに来いと言ったんです?」
カルヴィナ「その質問……そっくり返すわ。 あんたもあいつに同じことを言われたでしょう?」
トーヤ「それは……そうですが……」
カルヴィナ「あんたはセルドアの息子でしょう。 そっちこそ、何か心当たりがあるんじゃないの?」
トーヤ「……ないから、こうやって聞いてるんです」
カルヴィナ「相手を間違っているわ」
トーヤ「だけど……父はもう何も答えてくれません」
カルヴィナ「………」
トーヤ「でも、アル=ヴァンと一緒にいたことがある あなたなら……」
カルヴィナ「だから、何!?」
トーヤ「!?」
カルヴィナ「フューリーも、あいつらの計画も あたしは知らない!」
トーヤ「だけど、あなたは俺と違って、 アシュアリー・クロイツェルで……」
カルヴィナ「くどいわよ!」
(足音)
イルム「2人共、そこまでだ」
カルヴィナ「!」
アヤ「あなた達で言い争ったって、何もならないでしょう」
トーヤ「アヤ大尉……」
カルヴィナ「何か用……?」
イルム「ああ、上からのお達しだ。 お前はしばらくの間、自室で謹慎しろ」
カルヴィナ「冗談じゃない!  フューリーが現れたら、あたしは出る!  アル=ヴァンを討つために!」
アヤ「気持ちはわかるけど、落ち着いて」
カルヴィナ「大尉に何がわかるって言うの!?」
アヤ「……信じていた人に裏切られたことがあるのは、 あなただけじゃない」
イルムイングラム・プリスケンのことか……)
カルヴィナ「だから……!?」
アヤ「あなたにはいくつか選択肢があるわ。 さっき言った通り、アル=ヴァン・ランクスを討つ。 フューリーの正体と目的を追求する」
アヤ「あるいは、彼と向き合って真意を確かめる。 でも、ここで自暴自棄になって行動したら、 全ての道が閉ざされるわよ」
イルム「そうだ。 このタイミングで無断出撃なんぞやらかしたら、 目的が何であれ、離反を図ったとみなされかねない」
カルヴィナ「………」
イルム「今は大人しく処分を受けるんだな。 脱走者の追跡任務なんて、俺は御免だぜ」
カルヴィナ「……わかったわ。 あの男を殺せる可能性を減らしたくはないから」
(足音・カルヴィナが立ち去る)
イルム(やれやれ、あそこまで激昂するってことは…… やっぱり、アル=ヴァンとは単なる同僚っていう 間柄じゃないようだな)

[ヒリュウ改 ブリーフィング・ルーム]

キョウスケ「ブリット、クスハ。 先程、テスラ研のラドム博士から連絡が入った」
キョウスケ「クロガネが龍虎王やグルンガスト零式、弐式を 積み込み、伊豆へ向かっている。その後は ハガネで台湾へ運ぶそうだ」
クスハ「わかりました」
ブリット「弐式はともかく、零式は……」
エクセレン「リシュウ先生も参戦することになったのよん。 ハガネに乗って、ここへ来るって」
ブリット「そうですか。 後はゼンガー少佐が無事なら……」
エクセレン「アクセルやコウタ君も帰ってきたんだもの。 ボスだって、きっと……ね」
ブリット「でも、同じ所へ行ったという確証は……」
アリエイル「あの……ゼンガー・ゾンボルト少佐が 行方不明になったという話は聞いていますが、 どのような経緯だったのですか?」
キョウスケ封印戦争前、アクセルとコウタが 謎のゲートから異世界へ跳ばされた件は 知っているな?」
アリエイル「ええ」
キョウスケ「戦後、クロガネが同海域へ赴いて 調査をしていた時、再びゲートが開かれ……」
キョウスケ「敵性体の出現を想定して、 ゼンガー少佐がダイゼンガーで出撃したが、 機体に異変が生じた」
アリエイル「それはどのような?」
キョウスケ「制御不能に陥ったかのような動きを見せた後、 自らゲートへ接近したらしい」
アリエイル「………」
キョウスケ「その後、ゲートは消滅し、 ダイゼンガーはコントロールを失って落下…… だが、中にいたゼンガー少佐の姿は消えていた」
アリエイル「では、少佐はゲートの向こうへ……?」
キョウスケ「おそらくな」
エクセレン「そこじゃ、ゲートが3回も現れてるのよね。 俗にいう魔の海域じゃないかしらん」
クスハ「以前、アンザイ博士から 地球には異世界とつながり易い場所が いくつもあると聞きました」
エクセレン「まあ、ズバリそのままの クロスゲートなんて物もあるしね……」

[ヒリュウ改 艦内(艦内個室)]

ラージ「それで、僕の依頼は実現可能でしょうか」
マリオン「ジョナサン・カザハラ所長の許可は得ました。 ラインをフル稼働させれば可能ですが、 設計図などのデータは一切ありませんわよ」
マリオン「あなた達の申し出通り、全て破棄しましたから」
ラージ「その点については、ご心配なく。 アウトプットはまもなく終わります。 明日中にそちらへ送れるかと」
マリオン「なるほど、そう簡単に消去できない ストレージがありましたわね。 では、データを受け取り次第、作業を始めます」
ラージ「お願いします」

[ヒリュウ改 艦内(通信室)]

ギリアム「アル=ヴァン・ランクスは 今回も例の手を使いませんでした。 条件はまだ絞り切れていませんが……」
ギリアム「全てのソーン……ラフトクランズが、 確実にあれを行使するわけではないようです」
ギリアム「また、我らの動きを封じておきながら 手を下さず、グランティードだけを 運び去ったことから……」
ギリアム「結界を維持しつつ行動すると、 かなりのエネルギーを消耗するか、 機体に大きな負担が掛かると推測できます」
ジェイコブ「つまり、グランティードを戦域外へ 持ち出すことで手一杯だったと?」
ギリアム「ええ。 さらに、結界を展開できる時間は さほど長くないようです」
ジェイコブ「だが、万能の手ではなくとも、 こちらが不利であることに変わりはない」
ジェイコブ「フューリーの矛先が鋼龍戦隊ではなく、 我が軍の拠点に向けられ、あの手を使われれば 大敗を喫しかねないのだ」
ギリアム「仰る通りです。 現在、L&Eコーポレーションへの依頼とは 別の対策を準備しています」
ジェイコブ「聞かせてもらおう」
ギリアム「はっ。 中将もご存じの通り、フューリーは空間転移によって 軍勢を送り込んで来ていますが……」
ギリアム「今の所、単体で長距離の転移を成し遂げる機体は 確認されていません」
ジェイコブ「ああ、限定された空間内の物体を転移させる 大型装置を用いているのだったな」
ギリアム「ええ。彼らは撤退する際、戦域外に装置を送り込み、 それを使って拠点へ帰還していると思われます」
ジェイコブ「用心深いというわけだな」
ギリアム「もっとも、直接転移しているかどうかは不明ですが」
ジェイコブ「それで?」
ギリアム「今までフューリーは グランティードの奪還を二度失敗しています。 故に、次はより確実な手を打ってくるはず……」
ギリアム「鋼龍戦隊に奇襲を仕掛けて例の手を使い、 その場で事を成し遂げようとするでしょう」
ギリアム「そこで、特殊なマーカーを用意します」
ジェイコブ「……なるほど。言わんとしていることはわかったが、 決定打にはなり得ないのではないかね?」
ギリアム「相手が優秀であれば、躊躇するかと」
ジェイコブ「それでも、1回しか使えぬ手段だ」
ギリアム「ご指摘通りですが、短時間で用意できます」
ジェイコブ「ふむ……」
ギリアム「最も有効かつ簡単な対策は、 グランティードとベルゼルートを出撃させないか、 どこかに隠すことなのですが……」
ジェイコブ「だが、ギャスパル・ギラン元帥閣下は、 それを良しとしておられない」
ジェイコブ「リスクを承知の上で彼らを囮にし、 フューリーの情報を得よと仰っている」
ギリアム「それだけではないでしょう?」
ジェイコブ「鋼龍戦隊の実力を認めた上でのご判断だよ」
ギリアム「………」
ジェイコブ「ところで、こちらからも報告することがある。 アシュアリー・クロイツェルの本社と支社全てを 捜索した結果……」
ジェイコブ「セルドア・シウンが何度もドイツ支社に 足を運んでいたとわかった」
ギリアム「!」
ジェイコブ「まだ尻尾は掴めていないが ドイツ支社を重点的に捜査する。 何か判明したら、そちらにも報告しよう」
ギリアム「私からも探りを入れてよろしいでしょうか?」
ジェイコブ「構わん。同社の第3開発部部長である フランツ・ツェッペリンと連絡を取りたまえ。 おそらく、彼は何かを隠している」
ギリアム「了解です」

[ヒリュウ改 艦内個室]

カルヴィナ(……あの時…… アシュアリー・クロイツェルを見た時……)
カルヴィナ(あたしは絶望を怒りに変えた…… 涙を捨てた……復讐を成し遂げるまで……)
カルヴィナ(なのに……あいつは……)
カルヴィナ(もし、フューリーの人間が全て異星人だとしたら…… あたしは……あいつに……)
カルヴィナ(くっ……うう、う……!)

《日本 鹿島灘(クロガネ)》

[クロガネ ブリッジ]

クルト「監視ポッドの映像を確認できたか?」
オペレーター「はい、間違いなく空間歪曲現象です」
(扉が開く)
レーツェル「艦長、情況は?」
クルト「空間歪曲反応は徐々に強まっています。 映像でも確認しました。場所が場所だけに、 これは……」
レーツェル「ああ、ゲートが開く前兆かも知れん」
クルト「しかし、このタイミングは……」
レーツェル「単なる偶然か、我らの運か。 それとも、引き寄せる何かがあるのか……」
レーツェル「ともかく、例の海域へ急行しよう。 念のため、総員に第一種戦闘配置命令を 出してくれたまえ」
クルト「はっ」


第17話
鉤と剣

〔戦域:群島周辺〕

(中央にクロガネが出現)
レーツェル「……ゲートはまだ現れていないか」
クルト「空間歪曲反応は強まる一方です。 もうまもなく……」
(クロガネにアラート)
オペレーター「本艦上空に別の空間歪曲現象が発生!」
レーツェル「何……!?」
クルト「ゲートがもう一つ開くというのか……!?」
レーツェル「艦長、私はトロンベで出る」
クルト「はっ。お気をつけて」
(東側の小島の上に光の輪が出現し、デブデダビデが転移してくる)
デブデダビデ「ぶふふぅ、空間がたわんどるなぁ。 あの時と一緒だぁ」
クルト「あれは……大阪に現れた巨人か」
デブデダビデ「やはり、この辺りには何かあるぅ。 あいつらもそれを嗅ぎ付けて来たのかぁ?」
(アウセンザイターが出撃)
レーツェルダークブレインの残党……デブデダビデたったな」
デブデダビデ「まぁいい、邪魔者は片付けるまでだぁ~!」
レーツェル「ダイナ2よりアイアン3。 デブデダビデの相手は私がする。 クロガネはその場に留まれ」
クルト「しかし、レーツェル様だけでは……」
レーツェル「奴も空間歪曲現象を察知して来たのだろうが、 その後で何をするつもりなのか不明だ。 不慮の事態に備えるため、クロガネは動くな」
クルト「了解しました」
レーツェル「では……行くぞ、トロンベ!」
(作戦目的表示)

〈3PP〉

デブデダビデ「むむぅ? 反応がどんどん強まってきたぞぉ~」
(クロガネにアラート)
オペレーター「艦長、空間が裂けます!」
クルト「ゲートが開くのか……!」
デブデダビデ「これは間違いなく外界からの干渉だぁ~!」
(デブデダビデ、アウセンザイター、クロガネが空間歪曲現象が起こる方を向く)

<空中にゲートが開く>

(ゲートから3つの光点が北側の小さな島に着地する)

〔戦域:群島周辺〕

デブデダビデ「何だぁ、あれはぁ!?」
レーツェル「人間……なのか?」
ハーケン「ふう、次元転移装置のトラブルは いつものことだが……バトルの真っ只中か」
アシェン「そのようでございますようなのです。 何かやたらとデカい兵器がドンパチしとりますが」
ハーケン「ここに来たのは俺達だけか?  ちゃんと新西暦の世界なんだろうな?」
アシェン「おそらくは。どれが味方かサッパリですが。 アレとかどうでっしゃろか?」
(デブデダビデを指す)
ハーケン「何だ、ありゃ。随分とビッグなファットマンだ。 ボス、あんたの仲間かい?」
ゼンガー「……奴は違う」
ハーケン「ふう……じゃあ、転移は失敗か。 悪かったな、ミスター・サムライ」
ゼンガー「いや、感謝するぞ、ハーケン・ブロウニング。 ……ここはまさに、新西暦の世界だ」
レーツェル「あれはゼンガー……!  間違いない、戻ってきたのか!」
ゼンガー「レーツェル……それに、クロガネもここにいたとは」
ハーケン「どうやら、向こうは味方ってことらしいな。 あっちのファンキーなデカブツは?」
ゼンガー「いや、初めて見る輩だ」
アシェン「艦長、それよりも問題発生でごわす。 ……次元転移反応が消失。 要するに、ゲートが閉じやがりました」
ハーケン「……あんな転移の仕方をしたんじゃ当然か。 今度は俺達がエトランゼになるとは、 笑えないジョークだ」
レーツェル「あの2人は何者なのだ……?」
デブデダビデ「ぶふぅ、干渉していたのはあいつらかぁ~!?  捕まえて、どこから来たのか、何者なのか じっくりたっぷり調べてやるぅ~!」
デブデダビデ「サラヨコーセ、メシヲクーダ、 デブデダビデブー!」
(中央の海上に敵機が出現)
レーツェル「地球とゾヴォークの機体が混在しているな。 もしや、ギリアムから報告があったマッドネットに 操られているのか」
レーツェル「艦長、引き続き私が敵機を引き付ける。 クロガネでゼンガーを回収してくれ」
クルト「ダイゼンガーを射出した方がよろしいのでは?」
レーツェル「いや、それは危険だ。 デブデダビデが呼び出した機体は、マッドネットに 侵蝕されているおそれがある」
クルト「なるほど」
レーツェル「そちらも敵機に接触せぬよう留意してくれ」
クルト「了解です」
ハーケン「おっと、いよいよゴングが鳴りそうだな。 帰ってきたばかりだが、どうする? ボス」
ゼンガー「俺はクロガネに戻り、 我が愛機、武神装攻ダイゼンガーで打って出る」
ハーケン「OK、小ゼンガー。 アウェイの俺達は、あんたの艦に避難させてもらおう。 巨大メカ同士の戦闘じゃ、出る幕はないしな」
(指定ポイントを指す。作戦目的表示)

〈クロガネが指定ポイントへ到達〉

クルト「ゼンガー少佐の回収を急げ!」

[クロガネ 格納庫]

ゼンガー「ハーケン、アシェン、 お前達のことは艦長に話しておいた。 しばし待て」
ハーケン「気にするなよ。今回はゲストだ。 それに、首を突っ込めるバトルじゃないしな。 のんびりさせてもらうさ」
ゼンガー「うむ」
(足音・ゼンガーが立ち去る)
アシェン「……艦長、あれを見て下さいなのです」
ハーケン「ん? この艦のクルーか?  なかなかのプリティ・ガールじゃないか。 ウチの艦にもああいうのを……」
アシェン「ナメたこと言ってると、副長にかじられます。 そこじゃなくて、その上を見やがり下さい」
ハーケン「何だよ、でかいメカニックが並んでるだけ……」
ハーケン「何!? あの黒いメカは……ファントム!?  やけにビッグだが、間違いない……!」
アシェン「あれが、この世界のパーソナルトルーパー…… データが残ったりしたりしてます」
アシェン「W00専用として開発されたという、 PTX-002C、ゲシュペンスト・ハーケン」
ハーケン「俺の名前が付いたゲシュペンスト……。 この世界のミスター・ファントムってわけか」
アシェン「これも本物というよりはレプリカっぽく ありまするけども、大きさ的には オリジナルの設計図通り作ってあるっぽいです」
ハーケン「あの銃も、俺のマシンガン…… ナイト・ファウルとそっくりだ。 なるほど、何から何まで俺向きだ」
アシェン「そんで、どうなさっちゃいますか?  据え膳食わぬはどうこうって言葉もありますが」
ハーケン「そいつはブロウニング・ファミリーの 家訓だからな。何より面白そうだ。 ……なあ、ファントム」
アシェン「呼んでも答えないです、艦長。 あれは乗りこんで動かす物ですのっす。 ただのマシンですから」
ハーケン「OK、マシン・ガール。 パーティーに、まだ間に合うかもな……!」

〔戦域:群島周辺〕

(ダイゼンガーが出撃)
デブデダビデ「むむっ、あいつはぁ~!」
ゼンガー「面妖な道化よ、幕引きの時が来た」
デブデダビデ「ぶふふぅ!  馬鹿めぇ、俺様はダークブレイン軍団の 最高幹部だぞぉ~!」
デブデダビデ「つまり、強いのだぁ~!  お前など一捻り~! 捕まえて調べた後でぇ、 ギタギタにしてやるぅ~!」
ゼンガー「黙れッ!」
デブデダビデ「ぶふっ!?」
ゼンガー「そして、聞けッ!  我はゼンガー! ゼンガー・ゾンボルト!  悪を断つ剣なり!!」
デブデダビデ「大口を叩きおってぇ~!」
(ゲシュペンスト・ハーケンが出撃。デブデダビデがゲシュペンスト・ハーケンの方を向く)
デブデダビデ「むうっ? 何だぁ、あいつはぁ~!?」
レーツェル「タイプH……!」
ゼンガー「中で垣間見た時、もしやと思ったが…… やはり、ファントムに似ている」
レーツェル「誰が乗っているのだ?」
ハーケン「俺はハーケン・ブロウニング…… 人呼んで、さすらいの賞金稼ぎ。 ま、バウンティー・ハンターて奴さ」
レーツェル「ブロウニング……ゼンガーと一緒にいた男か」
ゼンガー「ああ。彼のおかげで、俺はこの世界へ戻れた」
ハーケン「もっとも、つまらんアクシデントで、 俺達ごとエンドレス・フロンティアから 放り出されちまってな」
レーツェル「エンドレス・フロンティア…… アクセル達が行っていた異世界か」
ハーケン「知ってるなら、話が早い。 あの赤ワカメにブラック・ブーメランは元気かい」
レーツェル「だが、何故、異邦人である君が そのタイプHを操縦できる?」
ハーケン「このブラック・ゴーストは、 元々俺のために設計されたマシンらしくてな。 動かし方はわかるのさ。……昔からな」
レーツェル「何……?」
ゼンガー「レーツェル、話は後だ。あの巨人を討つ」
ハーケン「こんなビッグ・マシンに乗ってバトルするのは 初めてだが……武器は使い慣れてる。 人手は多い方がいいだろ? ベイビー」
レーツェル「……了解した」
アシェン「艦長、ちょびっと調べましたが、 このゲシュペンスト・ハーケンはTC-OSの 設定がオリジナルと違っちゃったりしてるです」
ハーケン「ティーシーオーエス? 急に専門用語はよせよ。 何となく動かし方がわかるって程度なんだぜ?  何の略だ? そいつは」
アシェン「タクティカル・サイバネティクス・ オペレーティング・システム。 勝手にフォローしてくれそうな感じですわい」
ハーケン「それだったら安心だ。 ファントムは俺の言うことをよく聞いてくれるからな。 お前も頼むぜ? アシェン」
アシェン「まあ、気が向いたらサポートするっちゃです。 場合によっては飛び出して蹴ります」
ハーケン「OK、キックの鬼。程々にな。 ……それじゃ、パーティーの始まりだ!」
(作戦目的表示)

〈vs デブデダビデ〉

[ゼンガー]

デブデダビデ「悪を絶つだとぉ~? ぶふふぅ、笑わせるなぁ~!」
ゼンガー「ならば、その邪笑ごと 我が参式斬艦刀で切り捨てるまで!」

[レーツェル]

デブデダビデ「この俺様を止められると思うなぁ~!」
レーツェル「制止だけで終わらせるつもりはない。 この世界から去っていただく!」

[ハーケン]

デブデダビデ「お前は何者だぁ~!?」
ハーケン「ハーケン・ブロウニングだ。 こっちの世界は初めてさ。よろしく頼むぜ?」

〈デブデダビデのHP56000以下 or 11PP〉

デブデダビデ「むむぅ、腹が減ってきたぁ~!  今日はここまでにしておいてやるぅ~!  さらばだぁ~!」
(デブデダビデが撤退)
レーツェル「撤退したか……」
ゼンガー「レーツェル、奴はいったい何者なのだ?」
レーツェル「艦に戻って、話をしよう。 ハーケン・ブロウニング、君もだ」
ハーケン「OK、ダークホース。 ここまで首を突っ込んだんだ。付き合わせてもらうさ」

[クロガネ 艦内(ラウンジ)]

レーツェル「……なるほど。そういう経緯だったのか」
ゼンガー「もっとも、俺が向こう側へ 引きずり込まれた理由はわからぬままだが」
レーツェル「ギリアムの話では、デブデダビデが絡んでいても 直接の要因というわけではないようだ」
ハーケンエンドレス・フロンティアは様々な世界と つながってる。この新西暦の世界は、 極めて近く、限りなく遠い所にあるのさ」
レーツェル「だが、自在に行き来できるわけではなかろう。 それに、封印戦争の時、アクセル達は 想定外の場所へ帰還したと言っていた」
ハーケン「世界は思い通りになんてならないもんさ。 次元転移装置やゲートの機嫌が悪けりゃ、 それだけでどうなるかわからない」
アシェン「次元転移装置の機嫌がどういうわけか悪く、 私達は元の世界に戻れなくなっちゃられて おりますのです」
レーツェル(……口調も似ているのだな、彼女と)
ハーケン「ま、この世界にもクロスゲートがあるんだろ?  そいつを見つけ出して、ゴーホームといくさ」
ゼンガー「エンドレス・フロンティアにある物とは訳が違う。 あの世界へ帰還できる保証はない」
ハーケン「そこはギャンブルになるが…… 何もせずに降りるよりはマシだろ?」
レーツェル「我々の世界のクロスゲートは、宇宙に存在している。 周辺には連邦軍の監視艦隊がいるから、 容易に近づけんぞ」
ハーケン「なるほどね。強行突破ってわけにもいかんか。 ……こっちの連中に迷惑を掛けるのもな」
アシェン「私が、その監視艦隊とやらの外側から、 艦長をクロスゲートのブン投げましょうか?」
ハーケン「どんなスピードで飛んでくんだ、俺は」
レーツェル「ハーケン、我々はいずれ鋼龍戦隊と共に クロスゲートへ赴くことになるかも知れん」
レーツェル「そこで、提案がある。 エンドレス・フロンティアへの帰還手段が判明するまで 我々に同行する気はないか?」
ハーケン「スイートだな。 ……いいのかい? そんな簡単に信用して」
レーツェル「今、鋼龍戦隊にはアクセルやアルフィミィ、 コウタも参加している」
レーツェル「必要であれば、 ゲシュペンスト・ハーケンを使えるよう 私が根回しをしておこう」
ゼンガー「構わんのか、レーツェル?」
レーツェル「またデブデダビデに狙われる可能性もある。 単独で動かれるよりはいい。それに……」
レーツェル「彼らとは不思議な縁があるようだ。 お前の件を含めてな」
ゼンガー「確かに」
レーツェル「ハーケン、アシェン。 そちらにとっても悪い話ではないと思うが」
アシェン「さらに三食おやつ昼寝付きならば、 考えてやらんこともない」
ハーケン「OK、ダークホース。 新しいアドベンチャーの始まりとしては、 破格の条件だ」


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