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ダークプリズン ~ 第20話 ~


第20話
ダークプリズン

〔戦域:ヴォルクルス神殿地下祭壇周辺〕

ルオゾール「さあ、シュウ様。 モニカ様のお命をヴォルクルス様に」
シュウ「わかりました」
テリウス「クリストフッ!!」
シュウ「黙って見ていなさい、テリウス。 これが……私の真意です」
(ネオ・グランゾンがグランワームソードを投げる。ノルスをかすめ、ナグツァートに直撃)
ルオゾール「う、うおおおおおっ!?」
(ナグツァートから黒い煙のようなものが出て来て柱のようになる。ノルスがナグツァートの方を向く)
ガエン「なっ!!」
サフィーネ「シュ、シュウ様!?」
ルオゾール「な、な、何を……!!」
シュウ「フフフ……どうですか、ルオゾール?  信頼していた者に裏切られる気分は?」
ルオゾール「シュ……シュウ様……」
シュウ「あれだけ信じていたヴォルクルスの 生け贄になれるのですよ。 もう少し嬉しそうな顔をしたらどうです?」
ルオゾール「い、今……ヴォルクルス様の……名を……」
シュウ「ああ、呼び捨てにしたことですか?」
ルオゾール「そんな……ヴォルクルス様と契約を結んだ以上…… 逆らうことなど……覊絏が……」
シュウ「フッ、あなたのおかげですよ、ルオゾール」
ルオゾール「な……!」
シュウ「あなたの蘇生術が不完全だったおかげで、 私とヴォルクルスとの契約の記憶が消されたのです」
ルオゾール「ま……さか……」
シュウ「覊絏も同様……今はグランゾンの拘束具ではなく、 ヴォルクルスの力を応用する一種のコンバーターと なっています」
ガエン「シュウめ! やはり、俺の思った通りだった!  各機、攻撃を開始せよ! あの男を……」
(ヂーヱンはどれも動かない)
ガエン「何だ!? 機体が動かん!」
シュウ「無駄ですよ。 あなた達の靈装機に影縛りの術を 施しておきましたから」
ガエン「うぬっ、いつの間に!?」
シュウ「安心なさい、ガエン。先程も言った通り、 ヴォルクルスはちゃんと復活させますよ。 ルオゾールの命でね」
ルオゾール「……ヴォルクルス様を…… ふ……復活させ……どう……とい……だ……」
シュウ「ヴォルクルスは私を操ろうとしました。 私の性格は知っているでしょう? 自由を愛し、 何者も畏れない……それが、私の誇りでした」
シュウ「しかし、あの忌まわしき契約で 私の自由は奪われてしまったのです」
ルオゾール「……よ……もや……」
(ネオ・グランゾンがナグツァートの方を向く)
シュウ「いいですか、ルオゾール……」
(ネオ・グランゾンを真っ正面から見る)
シュウ「この世界で、私に命令できるのは……私だけなのです」
ルオゾール「お……おお……」
シュウ「ヴォルクルス……許すことは出来ません。 この手で復活させ、その存在を消し去ってあげますよ」
ルオゾール「……お……それ……おおい……」
(ナグツァートを覆っている黒い煙のようなものの量が増える)
ルオゾール「おおお……おがあお……」
サフィーネ「あ、あれは……!?」
シュウ「ルオゾールの苦悶や絶望、 そして、命と引き替えにして、 ヴォルクルス本体が顕現しつつあるのです」
ルオゾール「しゅ……ううう……」
シュウ「楽には死ねませんよ。 あなたには、もうしばらく苦しんでいただきます。 その感情が復活の鍵なのですからね」
ガエン「おのれ、シュウ……!!」
(ヂーヱンに緑の光、テリウス機、ノルスがガエン機の方を向く)
ガエン「!? 機体が動く!」
チカ「ええっ、何で!?」
(ネオ・グランゾンがガエン機の方を向く)
シュウ「復活しつつあるヴォルクルスの力によって、 靈装機の出力が上がりましたか……」
ガエン「シュウ!  ヴォルクルス様に、教団に背いた貴様を討つ!」
シュウ「ガエン、あなたは真実を…… あなたが信じてきた神の正体を 知りたくないのですか?」
シュウ「そして、自由を手に入れたくないのですか?」
ガエン「自由など、幻想に過ぎん!  それに、ヴォルクルス様を亡き者にしようとする 貴様を放擲するわけにはいかん」
ガエン「我が主に代わり、ここで貴様らを誅する!」
シュウ「愚かな……神の呪縛から逃れる機会を 自ら抛棄する気ですか」
ガエン「不遜な背信者が何をほざくか!」
シュウ「それがあなたの意志だと言うのなら、いいでしょう。 命じはしません。あなたの忠義がどこまで通用するか、 試してみなさい」
ガエン「言われるまでもない!」
シュウ「モニカ、テリウス…… ヴォルクルスを現世へ呼び出すには、 まだ時間が掛かります」
シュウ「ガエン達にルオゾールを渡してはなりません。 ここで彼らを食い止めますよ」
モニカ「わ、わかりました」
テリウス「あ、ああ」
サフィーネ「シュ、シュウ様……!!」
シュウ「サフィーネ…… 私に従えば、あなたも背信者となります。 その覚悟は出来ていますか?」
サフィーネ「は、はい!」
ガエン「サフィーネ!  ヴォルクルス様の名を冠していながら、裏切るか!」
サフィーネ「ガエン、私の主はヴォルクルスじゃないわ!」
サフィーネ「私が全てを捧げるのは、シュウ様ただ一人よ!」
(ナグツァートに纏わりついていた黒い煙のようなものが収まる。 ノルスがガディフォールに隣接。作戦目的表示)

〈vs ガエン〉

[シュウ]

シュウ「ガエン……今なら、私になら、 あなたが長年抱いてきた疑問を晴らせます」
シュウ「私に従えば、ヴォルクルスの正体を 知ることが出来るのですよ?」
ガエン「俺は……俺は、ヴォルクルス様に対して 疑念など抱いていない!」
シュウ「おや、そうですか。 ティーバの神殿でヴォルクルスの分身を 目の当たりにした時……」
シュウ「あなたは疑いを強めたのではないかと 思っていましたが」
ガエン「黙れ! 貴様の不軌は断じて許されん!  俺が裁きを下してやる!」

[サフィーネ]

ガエン「サフィーネ、もはや貴様に安住の地などないぞ」
サフィーネ「私はシュウ様と一緒にいられれば、 それで……それでいいのよ!」
ガエン「ならば、奴と共にここで死ね!」

[モニカ]

ガエン「今からでも遅くはない。 貴様をヴォルクルス様への生け贄にしてくれる」
モニカ「私は身も心もシュウ様に捧げております!  あなたの好きには出来ませんわ!」

[テリウス]

ガエン「貴様もヴォルクルス様の生け贄となるがいい!」
テリウス「お断りだよ、そんなの……!  僕は死ぬためにここへ来たわけじゃないんだ!」

〈ガエン機のHP70%以下〉

(ネオ・グランゾンに警告シグナル)
チカ「あっ、ご主人様! アルバーダ達が来ましたよ!」
シュウ「フッ、さすがですね。 私の見込みは正しかったようです」
(南端で出撃準備)
アルバーダ「クライマックスには間に合ったみてえだが、 どうなってんだ、こりゃあ!?」
アハマド「ルオゾールはいったい……!?」
シュウ「ああ、彼にはヴォルクルスの生け贄と なってもらいましたよ」
ヨン「えっ!?」
アハマド「ほう…… 教団に反逆したのか、大司教である貴様が?」
シュウ「ええ。この旅を始めた時から、そのつもりでした」
ヨン「シラカワ博士、あなたの本当の目的は……!」
シュウ「私を呪縛していたヴォルクルスを復活させ、倒し…… 自由を得ることです」
アルバーダ「!!」
シュウ「地上に出る前から、私はヴォルクルスの支配下に ありました。自分の意志で行動していながらも、 他者の思惑に従っていたような感覚……」
シュウ「今にして思えば、ヴォルクルスは私を操り、 己の糧の源となる混乱を地上世界でも 引き起こそうとしていたのでしょう」
アルバーダ「あの南極事件も、そうだってのか!?」
シュウ「私の意志が介在していなかったとは言いませんよ」
アルバーダ(そんな理由で納得がいくか……!)
セレーナ(アル……)
アルバーダ(俺は……俺は、心のどこかで シュウがヴォルクルスの手先になることを 願ってたのかも知れねえ……)
アルバーダ(そうなりゃ、 ミッション・デビルの第10項が適用される。 あいつをこの手で……)
アルバーダ(それで言い訳が出来るんだ…… 南極で死んだジェシカに……)
エルマ「セレーナさん、アルバーダさんの様子が……」
セレーナ「わかってるわ。プライベート回線を開いて」
エルマ「ラジャ」
アルバーダ(まだチャンスはある…… いくらシュウでも、ヴォルクルスには手こずるはずだ)
アルバーダ(それどころか、また操られちまう可能性だってある。 いや、そうなる前に奴の隙を突けば、俺は……)
セレーナ「アル!」
アルバーダ「! 何だ?」
セレーナ「今、立ち向かうべき“デビル”は ヴォルクルス? それとも、シュウ?」
アルバーダ「……!」
アルバーダ(二兎を追う者、一兎をも得ずってか……?  俺のわだかまりが、任務遂行の妨げになると……)
セレーナ「アル……生きて帰らなきゃ、意味がないのよ」
アルバーダ「そんなことはわかってる。 だが、奴を……奴を放っておいたら……」
セレーナ「ねえ、いつか私に言ったよね…… シュウの真意を知りたくなったって。 今、それが示されたじゃない」
アルバーダ「………」
セレーナ「ここでヴォルクルスと戦うことは、 シュウの目的だけじゃない、私達の任務や ラ・ギアスの命運にも関わってくる……」
セレーナ「大事なのは、どう割り切るか……心の拠り所を どう設定するかだって、言ってたじゃないの」
アルバーダ「………」
セレーナ「わだかまりを抱えて切り抜けられるほど、 この状況は甘くないよ。生き残るためには、 あらゆる手を尽くさないと……」
アルバーダ「ふん……ミッション・デビルとは、 よく言ったもんだぜ」
セレーナ「アル……」
アルバーダ「作戦名を付けた奴も、本物の魔神が出て来るたあ 思ってなかったろうよ」
セレーナ「………」
アルバーダ「たまには勇者の役をやってみるのも悪くはねえか。 何より、お前が言った通り、生きて帰らなきゃ 任務を果たすことが出来ねえからな」
アルバーダ(そうだ……。 奴がヴォルクルスの呪縛を断ち切ったら、 その次は何をするつもりなのか……)
アルバーダ(そいつを見極めるっていう仕事が増えたからな)
セレーナ(……もう大丈夫みたいね)
アルバーダ「シュウ、あんた…… 本気でヴォルクルスを倒す気なんだな?」
シュウ「ええ、賽は投げられました。 もう後戻りは出来ませんし、するつもりもありません」
アルバーダ「……わかった、手伝ってやるぜ。 あんたには約束を守ってもらわなきゃならねえからな」
シュウ「フッ……では、頼りにさせてもらいますよ」
アハマド(あの男、シュウへの敵意を抑え込むとはな)
ガエン「貴様ら……!」
アルバーダ「ガエン、悪いことは言わねえ。下がりな。 お前が俺達を快く思ってなかったのは知ってるが……」
アルバーダ「仲間として、協力したこともあったんだ。 出来れば、戦いたくねえ」
ガエン「何を言う。 この地へ踏み込んで、無事に帰れると思うな」
セレーナ「ヴォルクルスが出て来たら、 あんただって無事じゃ済まないかもよ?」
ガエン「言ったはずだ、それが神意なら受け入れるとな」
セレーナ「……生き方はそう簡単に変えられないか。 あたしもそうだったけどね」
セレーナ「でも、こっちにも退けない理由がある…… やるからには、本気で行くよ!」
(作戦目的表示)

〈vs ガエン〉

[アハマド]

ガエン「ソルガディなど、このヂーヱンの敵ではない」
アハマド「ふん、そうか?  上にいた連中は、さほど歯応えがなかったぞ」

[アルバーダ]

アルバーダ「ガエン……どうしても退かねえんだな?」
ガエン「ああ。貴様らを殺すことに何の躊躇いもない。 どのみち、最初から素直に帰すつもりは なかったからな」
アルバーダ「ま、そいつはわかってたが…… あくまでも俺達の邪魔をするんなら、 遠慮はしねえぜ!」

[セレーナ]

セレーナ「ガエン、手加減はしないよ。 ここで終わるわけにはいかないからね」
ガエン「ふん……ここまで踏み込んだことを 後悔しながら死ぬがいい!」

[ヨン]

ガエン「貴様らは色々と知り過ぎた。ここで死んでもらう」
ヨン「いえ、私にはまだ調べなければならないことが たくさんあるんです……!」

[撃墜]

ガエン「お、おのれ! 許さん、許さんぞ!!」
シュウ「脱出しなさい、ガエン。 あなたが真実と自由を欲するのなら」
ガエン「き、貴様! 俺に情けを掛ける気か!?」
シュウ「そうではありません。 あなたの望みを叶えて差し上げようと 言っているのです」
ガエン「お、俺の望みだと……!?」
シュウ「ええ、自分の胸にもう一度問い掛けてみなさい」
ガエン「き、貴様に! 貴様などに俺の何がぁぁぁ……!!」
(ガエン機が爆発)
セレーナ「ガエン……」
アルバーダ「………」
シュウ「彼は脱出したようですよ」
アルバーダ「何? 本当か?」
シュウ「ええ……ただ、この後で起きることを 目の当たりに出来ないでしょうが……」
シュウ「今の彼にとっては、その方が幸せかも知れませんね」

〈敵機全滅〉

(ナグツァートに黒い煙のようなものがまとわりつく)
ルオゾール「か……う゛ぉ……おお……」
シュウ「さて……頃合いですね。 皆さん、祭壇の近くへ集まって下さい。 ただし、サフィーネは後方へ」
サフィーネ「え……?」
シュウ「私の言う通りにするのです」
サフィーネ「……は、はい」
(味方機が祭壇の前に集まる)
ルオゾール「ううう……しゅううう……くる……く……」
シュウ「ご苦労様でした、ルオゾール。 あなたの役目は、もう終わりです」
シュウ「テリウス! 断章、第四段!」
テリウス「え!?  『生きとし生けるもの、皆、その神により……』」
(ナグツァートにまとわりついてる黒い煙のようなものが二重螺旋状になる)
ルオゾール「あおおおおおおおお……!!」
シュウ「……いよいよですね。 サフィーネ、あなたはそこから動かないように」
サフィーネ「い、いえ、私も……」
シュウ「あなたは正式ではないと言え、 ヴォルクルスとの契約を結んだ身です。 余程魔力が高くないと、操られますよ」
サフィーネ(そうか……ティーバで私は試されていたんだわ。 ヴォルクルスと戦うだけの勇気があるかどうか……)
サフィーネ(もし、あの時、戦っていなければ…… 私もルオゾールのように……!?)
サフィーネ(ああ……でも……私はそれでもシュウ様が……)
シュウ「……サフィーネ」
サフィーネ「シュウ様、私も戦います!  ヴォルクルスの名は、今を限りに捨てましょう!」
シュウ「いいでしょう。 ただし、あなたがヴォルクルスに操られた時は……」
サフィーネ「その時は、出来ればシュウ様の手で私を……」
モニカ(サフィーネ……)
シュウ「……わかりました。 さあ……ヴォルクルスが現れますよ」
【デモイベント『ヴォルクルス顕現』】
(祭壇の煙が多くなり、その中からヴォルクルスが出現)

<黒い煙のようなものに覆われた祭壇、煙の奥にヴォルクルスが顕現している>

テリウス「き……ききき、来たっ!!」
ヨン「あ、あれがヴォルクルスの……!」
セレーナ「真の姿ってわけ……!?」
シュウ「とうとう出ましたか……ヴォルクルス…… 長かったですねぇ……」
アハマド「フ……口の中がアドレナリンの味で一杯だ…… やはり、俺は戦いが好きなのだな……!」
アルバーダ「趣味の悪い化け物だぜ……崇める気にはなれねえな」

<ヴォルクルス>

ヴォルクルス「……ワガ……ネムリヲ……サマタゲ…… ヨビオコシタノハ、オマエ……タチカ……?」
シュウ「その通りですよ」
ヴォルクルス「……ホウビヲ、ヤラネバナランナ……」
ヴォルクルス「オ前達ノ……望ムモノ……」
(ヴォルクルスの目が光る)
ヴォルクルス「其レハ……死ナリ」

〔戦域:ヴォルクルス神殿周辺〕

(黒い煙のようなものは収まっている。祭壇の周りにヴォルクルスが多数出現。 ウィーゾルが黒い煙根ようなものに包まれ、空中へ)
サフィーネ「ああああっ!!」
セレーナ「サフィーネ!!」
サフィーネ「ああああああーーーっ!!」
モニカ「駄目よ、サフィーネ!!  そんなのに負けちゃ駄目ぇっ!!」
(ウィーゾルの纏わりついていた黒い煙のようなものが消え、ウィーゾルの形が変わる)
ヨン「ウィ、ウィーゾルの形が!!」
アハマド「変貌したぞ!!」
モニカ「サフィーネ!!」
シュウ「サフィーネ……やはり、ヴォルクルスに……」
モニカ「そ、そんな!!」
サフィーネ「あ……あああ……シュ、シュウ様……」
サフィーネ「お願い……です……私を……殺して……」
シュウ「……そうですか」
セレーナ「本気!? 助ける方法はないの!?」
シュウ「ヴォルクルスの支配から完全に逃れるには、 死を以て契約の記憶を抹消するしかありません。 かつての私と同じように……」
セレーナ「でも、サフィーネとヴォルクルスの契約は、 正式な物じゃないって言ってたじゃないの!」
シュウ「ええ……そこに望みを託すことは出来ます」
セレーナ「どうすればいいのよ!?」
シュウ「ウィーゾルはヴォルクルスの支配下に置かれましたが、 サフィーネ自身が完全にそうなるには、 まだ時間が掛かるでしょう」
シュウ「なので、可能な限り早くウィーゾルを行動不能にし、 彼女を引き離します」
セレーナ「わかったわ!」
シュウ「皆さん、ヴォルクルス本体は相手にせず、 サフィーネの救出に専念して下さい」
アルバーダ「本体を放っておいていいのか!?」
シュウ「おそらく、まだ完全な状態ではないのでしょう。 ですから、分身を召喚し、ウィーゾルを 支配下に置いたと考えられます」
エルマ「つまり、ヴォルクルス本体が動き出すまでに 若干の猶予があるということですね?」
シュウ「ええ」
アルバーダ「サフィーネ…… ここまで一緒に戦ってきた仲だ、助けてやるぜ」
アハマド「あの女がどうなろうと知ったことではないが…… ヴォルクルス本体との戦いを邪魔されるのは 心外だからな」
セレーナ「エルマ、行くわよ!」
エルマ「ラジャ!」
モニカ「サフィーネ……こんな所でリタイアするなんて、 許しませんですわよ!」
(作戦目的表示)

〈vs サフィーネ〉

[シュウ]

サフィーネ「シュ……シュウ様……」
シュウ「サフィーネ、ヴォルクルスの支配に抗いなさい。 私のように……」
サフィーネ「う、うう……く……!」

[モニカ]

サフィーネ「モ、モニカ……」
モニカ「サフィーネ、しっかりなさい!  私がシュウ様をとってしまいますわよ!  それでもいいの!?」

[テリウス]

テリウス「サ、サフィーネ……こんなことになるなんて……!」

[アハマド]

アハマド「サフィーネ、手加減はせんぞ!」

[アルバーダ]

アルバーダ「必ず助けてやる、サフィーネ!  だから、ちいと我慢しろよ!」

[セレーナ]

セレーナ「サフィーネ! ちょっとの間、辛抱してよね!」

[ヨン]

ヨン「サフィーネさんを助けるには、こうするしかない!」

[HP11000以下]

(ウィーゾルが黒い煙のようなものに包まれる)
サフィーネ「ああうっ!!」
モニカ「サフィーネ!?」
サフィーネ「ま……負けてたまるもんですか……!」
セレーナ「サフィーネの意識が!」
サフィーネ「うっ……くうっ……負けるもんですか……!  シュウ様と……シュウ様と……!!」
サフィーネ「シュウ様と!  ラブをメイキングするのよぉぉぉっ!!」
(ウィーゾルにまとわりついていた黒い煙のようなものが消え、ウィーゾルが元の形状に戻る)
アルバーダ「な、何をでけえ声で……」
ヨン「見て下さい! ウィーゾルが元に戻っています!」
セレーナ「もしかして……!」
シュウ「ウィーゾルが破壊される前に ヴォルクルスの支配をはね除けましたか。 見事ですよ、サフィーネ」
サフィーネ「はあ、はあ……シュ、シュウ様のためですもの…… これぐらい……」
チカ「サフィーネ様らしいなぁ……」
モニカ「……お下品」
エルマ「愛の力が成せる技ですね、セレーナさん」
セレーナ「爽やかに感動してる場合じゃないわよ。 ここからが本番なんだから」
シュウ「ええ、この波動……ヴォルクルス本体が 動き出すようですね」

<ヴォルクルス>

ヴォルクルス「我ガ……チカラ……取リ戻シタ……」
ヴォルクルス「コレデ……新タナ……下僕ヲ……」
ヴォルクルス「其レハ……オ前ダ……!」
(ネオ・グランゾンが黒い煙のようなものに包まれるが一瞬で消える)
シュウ「……無駄ですよ」
ヴォルクルス「………」
シュウ「私はあえて覊絏を排除せず、利用し…… あなたから力を引き出しつつ、 操ることに成功しています」
シュウ「つまり……このネオ・グランゾンは、 完全に私の物となっているのです」
ヴォルクルス「神ヲ畏レヌ……愚者メ……」
シュウ「もはや、あなたの覊絏は私を縛る枷ではなく…… あなたを倒すための剣となりました」
ヴォルクルス「神ニ刃向カウ者ニハ……輪廻ナキ死ヲ……」
シュウ「例え、神であろうと私を操り、 利用したことを許すわけにはいきません」
シュウ「私は、あなたによって堕とされた暗獄から脱し、 自由を得るために……あなたを倒します……!」
(作戦目的表示)

〈vs シュウ〉

[シュウ]

シュウ「この時をどれほど待ち望んだか…… 今こそ私の手であなたを屠り、 呪縛を完全に断ち切ります」
シュウ「これは、私にとって新生の儀式…… そして、あなたはその生け贄なのです」

[サフィーネ]

サフィーネ「ヴォルクルス……!  シュウ様が一緒なら、あんたなんて怖くないわよ!」

[モニカ]

モニカ「何という禍々しさ…… あのようなものが神などと……!」

[テリウス]

テリウス「ううっ、あれが本体…… 分身なんかとは桁違いだ……!」

[アハマド]

アハマド「フッ、シュウに感謝せねばならんな……!  ヴォルクルス……奴以上に戦い甲斐のある敵など、 滅多におらんわ……!」

[アルバーダ]

アルバーダ「さあて……勇者ランドール様を見習って、 邪神退治といくか!」

[セレーナ]

エルマ「分身を遥かに凌駕したエネルギー反応です!  近づいたら、何が起きるかわかりません!  気を付けて下さい!」
セレーナ「了解! まずは距離を取って、仕掛けてみる!」

[ヨン]

ヨン「このエネルギー反応…… あのようなものを生み出すこの世界は、 私達にとって脅威になり得るわ……!」

[撃墜]

ヴォルクルス「タ……タカガ人間ノ分際デ…… 神デアル私ヲ……倒スト……言ウノカ……」
シュウ「何が神です?  あなたも所詮、太古に滅びた種族の亡霊に過ぎません」
シュウ「亡霊らしく、冥府へと帰りなさい」
ヴォルクルス「私ハ……死ナヌ…… ワタシハ……オマエタチ……ダ……」
ヴォルクルス「オマエ……タチ……ノ……ミ……ライ…………」
(ヴォルクルスが大爆発)
シュウ「……例え、本物の神であろうと 私を操ろうとする存在は決して許しませんよ」
アルバーダ「や、やったか……!」
エルマ「ええ、ヴォルクルスの反応は消えました!」
セレーナ「アディオス、サタナス……」
ヨン(マ、マスター…… 私、何とか生き延びられました……)
アハマド「ふっ…… まさに命を懸けて戦うに相応しい相手だった」
テリウス「あんなのに勝ったなんて…… まだ信じられないよ……」
サフィーネ「……これで全て終わりましたわね、シュウ様」
シュウ「さて……どうでしょうか」
サフィーネ「え……?」
シュウ(ここへ来る前から怪しいと思っていましたが…… どうやら、あの者にとっては想定内の 出来事だったようですね)
サフィーネ「シュウ様?」
シュウ「……いえ、何でもありません」
サフィーネ「そう……ですか。 これから、どうなさるおつもりですの?」
シュウ「とりあえず、アジトへ戻りましょう」
アルバーダ「待て、あの場所は教団も知ってるだろ。 追っ手が来るんじゃねえのか?」
シュウ「教団がその気なら、とっくの昔に ここへ暗殺者達が送り込まれていますよ」
アルバーダ「だからって……」
シュウ「おそらく、しばらくの間は大丈夫でしょう。 もっとも、教団が動けば、それはそれで望む所ですが」
アルバーダ「………」
セレーナ「ねえ、サフィーネ。身体は何ともないの?」
サフィーネ「ええ、ご覧の通りよ。 ヴォルクルスに操られた時のウィーゾルは、 私好みのフォルムだったけどね」
セレーナ「えっ、あれが?」
サフィーネ「そうよ。 今度、ウィーゾルを改造することがあったら、 あんな感じにしようかしら」
セレーナ「……いい趣味してるわね……」
シュウ「では、ここを出ますよ」
サフィーネ「わかりました。 でも、シュウ様……この前のように何も言わずに 地上へ行っちゃったりしないで下さいね」
サフィーネ「もう私とシュウ様は一心同体…… 離れられない運命ですのよ」
モニカ「ちょっと、サフィーネ! ずうずうしいですわよ!」
チカ「あわわわ……」
シュウ「どうしました、チカ?」
チカ「ごごごごご、ご主人様って、 あたしが思ってたより、ずーっと凄いですね。 あのヴォルクルスを倒しちゃうんだから」
シュウ「フッ……私一人の力で 成し遂げたことではありませんよ」

《神聖ラングラン王国 バオダ州》

[地下神殿跡(大扉の前)]

アルバーダ「……これで、あんたは目的を達成したってわけだ。 次は俺達との約束を守ってもらうぜ」
シュウ「わかっていますが、少々時間を下さい」
アルバーダ「何故だ?」
シュウ「ヴォルクルスとの戦いで、色々と消耗しましたからね。 あなた達の機体も整備が必要でしょう?」
アルバーダ「まあ、そりゃ確かにな」
シュウ「また、ラングランの情勢が変わったでしょうから、 情報を集めたいと思っています」
シュウ「それはあなたにお願いしますよ、サフィーネ」
サフィーネ「承知致しましたわ。 セレーナ、今度も付き合ってもらえるかしら?」
セレーナ「時間外勤務なんだけど……ま、いいわ。 鋼龍戦隊がどうなったか、気になるし」
アハマド「……俺は行くぞ。 ここに留まる理由がなくなったからな」
サフィーネ「あんた、すんなりとここから出られると思ってるの?」
アハマド「邪魔をする気なら、相手になってやるぞ」
サフィーネ「あら、上等じゃないの」
シュウ「サフィーネ、彼を行かせなさい」
サフィーネ「ですが、シュウ様……」
シュウ「構いませんよ。 今回の件がラングラン側に漏れても 支障はありませんし……」
シュウ「このアジトも直に放棄することになりますから」
サフィーネ「……わかりました」
アハマド「俺はしばらくの間、ラングラン王都へ戻らん。 そうだな……10日ほどは」
シュウ「フッ……覚えておきましょう」
アハマド「ではな」
(足音・アハマドが立ち去る)
チカ「ご主人様、どういうことなんです?」
シュウ「彼はしばしの間、私達のことに関して 口をつぐんでくれるようですね」
チカ「へえ……そりゃまた、どういう風の吹き回しで」
シュウ「彼なりに筋を通したということでしょう」
アルバーダ「………」

[地下神殿跡(階段前のホール)]

アルバーダ「……アハマド」
アハマド「何だ? 見送りなど要らんぞ」
アルバーダ「いや、あんたがあっさり去るとは 思ってなかったんでな」
アハマド「ふん、シュウのことか?  奴との決着に拘りはない。貴様もいるからな」
アルバーダ「………」
アハマド「あの男との因縁の清算は容易ではないぞ。 先に自分が命を落とさぬよう気をつけるのだな」
アルバーダ「ご忠告、痛み入るぜ」
アハマド「……貴様は、早死にさせるには惜しい戦士だ。 神の加護があらんことを」
アルバーダ「ああ……あんたも達者でな」


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