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バゴニアの傭兵 ~ 第3話 ~

<海上を味方機が疾走している>

アルバーダ「……それにしても、昨日の魚は旨かったなぁ」
セレーナ「そうね、サーモンに似た味で」
エルマ「オリーブ・オイルがあれば、 さらに美味しく出来たんですけど……」
アルバーダ「あの手の食い物はな、 塩だけバーッと振っときゃいいんだよ」
エルマ「またそんなことを言って……。 アルバーダさんは、もっと繊細な味付けの料理を 食べた方がいいです」
アルバーダ「エル公、時間と手間を掛けてOKなのは、 いい女を口説く時だ」
エルマ「何言ってるんです。B級グルメやものぐさ料理ばかり 食べてるのはどうかと思いますよ。 カロリー計算も適当でしょう?」
アルバーダ「体脂肪率は、きちんと管理してるぜ?」
エルマ「そんなの結果論でしょ!  ちゃんとデータに基づいた計算なくして、 管理とは言えませんよ!」
アルバーダ「馬鹿言え。例え生まれ変わっても、 食と音楽の好みは変えたくねえ」
ガエン「……貴様ら、いい加減にしろ。 ここに至るまでシュテドニアス軍と 遭遇しなかったとは言え……」
ガエン「既にバゴニアの排他的経済水域内に 侵入しているのだぞ」
アルバーダ「へいへい」
セレーナ「ねえ、そのバゴニアっての…… 昨日聞き忘れたんだけど、どんな国なの?」
サフィーネ「正式な名前はバゴニア連邦共和国と言って、 150年ぐらい前にラングランから独立した 新興国家よ」
アルバーダバゴニアは、 ラングランとドンパチやってんのかい?」
サフィーネ「いえ。日和見のバゴニアって言われるぐらいだもの、 今はラングランとの国境付近の警備を固めて、 様子を見ているだけ」
アルバーダ「ふ~ん……。 そんな国をつついて、シュテドニアスの 気を引くことが出来んのかよ?」
シュウ「我々がバゴニア寄りの排他的経済水域に 現れたとなれば、バゴニア軍はヌエット海上の 警戒態勢を強めざるを得ません」
シュウ「そして、シュテドニアス側は それを無視することが出来ないでしょう」
セレーナ(たった5機の私達がちょっかいを出しただけで、 そこまでの事態になるって言うの……?)
アルバーダ「その結果、下手に両国間の緊張が高まって、 戦争になっちまったら、どうすんだ?」
シュウ「サフィーネが言った通り、バゴニアは 決断が遅いことで有名ですからね。現状では、 シュテドニアスに対して宣戦布告などしませんよ」
シュウ「また、シュテドニアスも バゴニアへ侵攻する余裕はありません」
アルバーダ(やれやれ……このままじゃ、 俺達もラ・ギアスのお尋ね者になっちまうぜ。 いや、もう手遅れか)
アルバーダ(だが、俺はシュウの本当の目的が何なのか、 見極めなきゃならねえ。ミッション・デビルを 果たすためにな)
チカ「ご主人様、レーダーに反応多数!  バゴニア方面から接近中です!」
エルマ「セレーナさん、相手は魔装機じゃありません!  全てアーマードモジュールですよ!」
セレーナ「!」


第3話
バゴニアの傭兵

〔戦域:群島〕

(南東にアーマードモジュール群が展開している。北西端近くで出撃準備)
アルバーダ「あの機体、連邦軍じゃねえな。DCの残党か?」
セレーナ「見境なく地上人が召喚されてるのなら、 DC残党がいてもおかしくはないけど……」
ガエン「DCとは何だ?」
アルバーダディバイン・クルセイダーズ…… 地上で大規模な内戦、DC戦争をやらかした連中さ」
アルバーダ「ちなみにシュウ…… あんたは以前、DCに荷担してたんだぜ。 覚えてるか?」
シュウ「………」
トーマス「あいつ、グランゾンに似てやがるな。 本物だったら、とんだサプライズだぜ」
ノイエDC兵「少佐、あれに乗っているのは シュウ・シラカワ博士なのでしょうか?」
トーマス「ま、そうだろうが……念のために確認してみるか」
(ネオ・グランゾンに通信)
チカ「ご主人様、先方から通信が入ってます」
シュウ「つないで下さい」
トーマス「マイ ネーム イズ トーマス・プラット。 ナイスミーチュー」
シュウ「………」
トーマス「あんた、ショウ・クロカワかい?」
シュウ「そのような問いをなさらなくとも、 私は本物のシュウ・シラカワですよ」
トーマス「おっと、こりゃ失礼。 俺はDC戦争中、アイドネウス島にいたことが あってな……俺のことを覚えてねえか?」
シュウ「……いえ」
トーマス「そうかい。だが、こっちはよく知ってるぜ。 ビアン総帥の懐刀と言われたあんたのことをな」
シュウ「……あなたはDC戦争の後、何をしていたのです?」
トーマス「いったんDCを離れたんだが、 何だかんだで戻ったのさ。 やっぱり、戦争屋が性に合ってたんでな」
トーマス「で、ここにいる連中と一緒に ラ・ギアスへ召喚されちまったってわけだ。 アンダスタン?」
シュウ「なるほど…… それで今はバゴニアの傭兵になっていると?」
トーマス「イエース、ザッツライト」
シュウ「どうです?  バゴニアに雇われたまま犬死にするより、 私の所へ来る気はありませんか?」
トーマス「ホワット!?」
ガエン「シュウ……本気か?」
シュウ「そうですよ。 トーマス・プラット少佐……事が済めば、 私が地上に帰して差し上げます」
アルバーダ「おい、何言ってやがる。 あいつらはDC残党なんだぞ。 つまり、俺達の敵だ」
シュウ「それは地上の理です。 このラ・ギアスでは関係ありませんよ」
セレーナ「だからって、向こうが納得するとは思えないけど」
シュウ「……どうでしょう、少佐?」
トーマス「HAHAH!  そう来るたぁ、さしもの俺も予想できなかったぜ!」
シュウ「………」
トーマス「せっかくのお誘いだが、答えはノーだ。 俺はバゴニアで一旗揚げるつもりでな。 排他的経済水域の哨戒任務を任される所まで来たんだ」
トーマス「それに、新型魔装機のテストパイロットの座も 約束されてる。今更なんだよ」
シュウ「地上に未練はないのですか?」
トーマス「あっちは宇宙人やらモンスター共で大騒ぎだ。 今の所、戻る気はねえな」
トーマス「ま、こっちにもあんたらが崇めてる ヴォルクルスっていう邪神がいるみてえだが…… 眉唾物だしな」
セレーナ「邪神……?」
トーマス「おいおい、知らなかったのか?  そいつらはヴォルクルス教団の一員…… つまり、邪教の信者共ってわけだ」
セレーナ(ファンタジーはファンタジーでも ダーク寄りみたいね……)
アルバーダ(何となく予想はついていたがな)
トーマス「シュウ・シラカワ…… あんたこそ、こっちに来る気はねえか?  積もる話もあるしよ。歓迎するぜ」
シュウ「その手には乗りませんよ。 私達が下乗したら、身柄を拘束するつもりでしょう?」
トーマス「ハッ、さすがに見え透いてたか。 お尋ね者を黙過するわけにはいかねえからな、 実力行使でいくぜ」
ノイエDC兵「少佐、相手はあのグランゾンです!  我々の機体では、到底かないません!」
トーマス「シャラップ!  こいつは手柄を立てるまたとないチャンスなんだよ」
ノイエDC兵「う……」
シュウ「あなた方がここから立ち去るのであれば、 私も大人しく引き下がりますがね」
トーマス「面白いジョークだ。 目の前の獲物を見逃すほど、俺は甘くねえぜ」
シュウ「フッ……いいでしょう」
トーマス「各機、聞け。いつまでも傭兵で燻るか、 このチャンスを物にしてのし上がるか…… 二つに一つだ」
ノイエDC兵「………」
トーマス「いつの日か地上へ帰還し、 ビアン総帥やバン大佐の理想を実現するためにも、 あの背教者共を倒せ。いいな?」
ノイエDC兵「りょ、了解! 攻撃を開始します!」
トーマス(グッド。 もっとも、俺は地上に戻るつもりなんかねえし、 DCの再興なんぞに興味はねえ)
トーマス(ついでにお前らがどうなろうが、 知ったこっちゃねえのさ)
アルバーダ「毒を食らわば皿まで、か。 セレーナ、俺達も行くぞ」
セレーナ「了解よ、アル。 食べるのなら、愛情たっぷりのエルマの手料理が 希望だけどね」
(作戦目的表示)

〈vs トーマス〉

[シュウ]

トーマス「グランゾン……随分と仰々しくなったもんだな」
シュウ「見た目だけではありません。 ガーリオンで倒すことなど、不可能ですよ」
トーマス「ふん、やりようはあるさ」
トーマス(グランゾンの脅威からバゴニアを守るため、 命を賭して戦った……それだけでも名が上がる)
トーマス(このビジネス…… どっちに転んでも損にはならねえさ)

[サフィーネ]

サフィーネ「そんな機体で この私を感じさせることが出来るかしら?」
トーマス「シュウ・シラカワに てめえみたいな部下がいたとは…… 奴も存外悪趣味だな」
サフィーネ「言ったわね。 どこもで強がっていられるか、試してあげるわ」

[ガエン]

ガエン「死にたくなければ、さっさと失せろ。地上人」
トーマス「チンケな魔装機に乗っていきがるなよ、坊や!」

[アルバーダ]

トーマス「連邦軍の軍人のくせに シュウ・シラカワに従うなんざ、 随分と物好きだな」
アルバーダ「異世界で立身出世を狙ってるてめえもだ」
トーマス「地上にいるより、事がスムーズに進むんでな。 それに、扱いもいい」
アルバーダ「ふん、実はDCの再興なんて どうでもいいんだろ? 違うか?」
トーマス「ここで死ぬ奴に答える必要はねえぜ!」

[セレーナ]

トーマス「シュウ・シラカワにどう言いくるめられたか 知らねえが…… 邪神の生け贄にされるのが関の山だぜ?」
セレーナ「こっちにも事情があるのよ、色々とね!」

状況選択

ガーリオン・カスタムを撃墜した
ガーリオン・カスタムのHPを8000以下にした


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