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激震の白い大地 宇宙ルート ~ 第57話 ~


第57話
激震の白い大地

〔戦域:ムーンクレイドル周辺〕

(ゲスト軍が出現済み)
ゼゼーナン「ええい、まさかシュウ・シラカワが ロフを救っていたとは……!  あやつめ、どこまでも私も邪魔を……!」
ゼゼーナン「かくなる上は、 私自らの手で全ての決着を付けてくれる!  来るがいい、猿共! そして、裏切り者共よ!」
(ヒリュウ改、オーグバリュー、ビュードリファー、ゼイドラムが出現。出撃準備)
メキボス「進退窮まったな、ゼゼーナン。 投降する気があるなら、受け入れてやるぜ」
ゼゼーナン「愚かなことを。 今の状況は、私にとっては好機なのだよ」
メキボス「ほう」
ゼゼーナン「ここで貴様らを倒せば、後は烏合の衆。 枢密院が地球の現状を知れば、 さらなる戦力投入に二の足を踏むはずだ」
メキボス(そいつは……まあ、当たってるな)
シュウ「前提条件に難がありますね。 私達を倒せると思っているのですか?」
ゼゼーナン「フッ……勝算があるからこそ、私はここにいる」
ミチル「何や、あのおっさん……ここまで追い込まれといて、 えろう自信を持っとるやないけ」
セティ「その根拠はバラン=シュナイルね」
リューネ「何なの、それ?」
セティ「特化した戦力、つまりあなた達のような存在との 戦闘を想定して開発された超大型機動兵器……」
セティ「かつてウェンドロが乗っていた ディカステスを凌駕する性能を持ち、 1機で広範囲戦域の制圧も成し遂げる」
ゼブ「そ~う、ゼゼーナンの切~り札さ。 こ~こから地球の都市を狙撃することだって 出~来るよ」
カチーナ「それがどうしたってんだ?」
ゼブ「はあ?」
リュウセイ「超大型兵器と言うからには、 全長50キロメートルぐらいはあるんだろうな?」
セティ「さ、さすがにそこまでじゃないわよ」
コウタ「ズラだかボラだか知らねえが、 ダークブレイン以上の強さだったら 目ン玉をひんむいてやるぜ」
リュウセイ「こっちはここに来るまで、 異世界から来た連中や、仙人に妖怪共と戦ってんだ。 生半可なメカじゃ、驚かねえ」
ミオ「カッコいいメカだったら、写真撮るんでしょ?」
リュウセイ「そりゃもちろん」
リュウセイ「……って、茶々を入れんなよ」
セティ(余裕あるわね……あたし達は思っていた以上に とんでもない連中を相手にしてたのかも……)
ゼゼーナン「その蛮勇とも言える闘争心…… やはり、貴様ら地球の猿は危険な存在だ」
タスク「出たな、お前らの定番のお題目が」
ユウキ「猿と言うが、見た目は同じだ。 さらに、地球の政治体制を批判するが、 お前達が本国でやっていることもそう変わらん」
ゼゼーナン「私は、かつて地球へ赴いた時、 その歴史を調査した……」
ゼゼーナン「驚いたよ、ここまで愚かな種族が この銀河系に生存しているとはな」
ゼゼーナン「知っているか?  貴様らは何千、何万という種を わずかな期間で絶滅に追いやっているのだぞ」
ユウキ「………」
ゼゼーナン「星間連合種保存法に照らし合わせれば、 無期刑に値する。そのような下等生物に、 自治権を認めるわけにはいかん」
メキボス「俺達も偉そうには言えねえぜ。 星間連合を作り上げるまでの過程で、 絶滅させてしまった種は数多い」
ゼゼーナン「時間の問題なのだよ。 我らと比較にならぬ速さで他種を 滅亡へ追い込んでいるのだ」
ゼゼーナン「そして、同族での殺し合いも続けている。 我らのように戦闘用バイオロイドを用いず、 血で血を洗う戦いを繰り広げているのだ」
メキボス「俺達の世界でも、そのような時代はあった。 それに、今は人間以外の兵士が戦場に立ってるだけで、 戦争そのものがなくなったわけじゃねえ」
ゼゼーナン「だが、我らに比べて地球の猿共の闘争本能が 旺盛であることは、貴様も知っていよう」
メキボス「………」
ゼゼーナン「そして、奴らの軍事技術に関する応用力は、 我らの予想を超えていた」
ゼゼーナン「地球の猿共は、知性と力のバランスが取れていない。 そのような連中が我らの世界へ進出すれば、 必ずや秩序を乱す」
アイビス「あたし達は、戦争をするために 星の海を目指してるんじゃない!」
ゼゼーナン「全ての猿共がそうだと言い切れるか?  現に貴様らは武器を持ち、 ここに集っているではないか」
リューネ「何言ってんのさ!  そもそも、あんた達が一方的に攻めて来たから、 こういうことになってんだよ!」
ゼゼーナン「私は、最初から侵略戦争を意図していたわけではない。 交渉という手段で事を進める気だった。だが、 それを妨害したのは、シュウ・シラカワ……貴様だ」
シュウ「……対等な立場での話し合いでしたら、 南極であのようなことをせず、他の方法を 選ぶ余地はあったのですがね」
ゼゼーナン「貴様らのような蛮族と同じ目線で 交渉を行うなど、あり得ん」
メキボス「それはお前の偏見だ、ゼゼーナン。 地球人は、俺達と対等に話し合える存在だ。 今までの戦いを経て、俺はそう理解した」
ゼゼーナン「愚かな……下等種族に感化されおったか。 ならば、貴様も同罪だ」
ゼブ「あんたに言えることか、それが?」
ゼゼーナン「何?」
ゼブ「色々と大義名分を並べちゃいるが、 本心は地球の利権を独占することだろうが」
ロフ「そして、俺達を欺き、利用し、 挙げ句の果てに切り捨てようとした」
ゼブ「今までは命令だから従ってきたが…… もうあんたの言うことを聞く理由も義理もないね」
セティ「そうよ……あなたの欲のために戦うのは もう止めたわ」
ゼゼーナン「セティ、ゼブ……目を掛けてやった恩を忘れおって!」
セティ「よく言うわね。都合が悪くなると あたし達も切り捨てるつもりだったくせに。 あなたに恩を受けたつもりなんてないわ」
ゼブ「こっちも同意見だ」
マイ「あの人、普通に喋ってる……?」
メキボス「ゼブは本気で怒ると、ああなる時があるのさ」
チカ「なら、普段の喋り方は何なんですかね。 演技? いわゆるキャラ立ち? それとも、ネタ?  異星人でそういうのって、どうなんでしょ」
モニカ「あなたも普段のあの方を見習って、 ゆっくり喋ってみてはどうでしょう……?」
チカ「嫌ですよ。誰かさんとキャラが被っちゃいます。 それにのんびり喋るなんて、あたしには 到底無理ですよ。ねえ、ご主人様?」
シュウ「それ以前に、喋ることを止めなさい」
メキボス「……期待はしていなかったが…… ゼゼーナンとの戦闘は、やっぱり避けられねえか。 すまんな、レフィーナ司令」
レフィーナ「いえ……あなたの考えを聞いたおかげで、 私達とゾヴォークの協調の可能性が 見出せたのではないかと思います」
レフィーナ「ゼゼーナンの言葉は一理あり、 地球人として耳が痛かったことも事実ですが…… 彼を野放しにすることは出来ません」
ゼゼーナン「ほざくな、猿めが。 この月面が貴様らの墓場となるのだ」
イルム「その言葉、そっくり返す。 お前こそ、その野望と共にここで散れ。 月は静かだ、ゆっくり眠れるぜ」
レフィーナ「各機、目標はゼゼーナン! 攻撃開始!」
(作戦目的表示)

〈vs ゼゼーナン〉

[メキボス]

メキボス「ゼゼーナン、 お前の野望が成就することはねえ!」
ゼゼーナン「フン、枢密院の操り人形と化した貴様に 遅れなど取らぬわ」

[ゼブ]

ゼゼーナン「私に与し、楯突いた以上、 貴様も本国での居場所がなくなるぞ」
ゼブ「沈みゆく船に乗り続けるよりはマシさ」

[セティ]

セティ「ゼゼーナン!  あたし達を欺いた報いを受けてもらうわ!」
ゼゼーナン「身の程知らずが……私を誰だと思っているか!」

[ロフ]

ゼゼーナン「傭兵の立場を弁えず、この私に刃を向けるとはな」
ロフ「傭兵は廃業だ……!  しかし、その前にお前との決着を付ける!」

[マサキ]

マサキ「シュウが絡むとロクなことにならねえ…… それを知らなかったのが、運の尽きだな!」
ゼゼーナン「ならば、奴もろとも貴様を倒し、 グランゾンと魔装機神を我が物とする」
マサキ「ヘッ、どっちも てめえなんぞに扱える代物じゃねえんだよ!」

[シュウ]

シュウ「待っていましたよ、この時を。 あなたが追い詰められ、あがきながら 滅び行く時を」
ゼゼーナン「おのれ、シュウ・シラカワ……!  貴様だ、貴様さえいなければ、私の計画は!」
シュウ「そう……悔いなさい、私を利用したことを。 そして、死ぬのです」

[リュウセイ]

リュウセイ「そんな戦艦で俺達は止められねえ!  さっさとバラン=シュナイルってのを 出しやがれ!」
ゼゼーナン「フン、下等な猿が調子に乗るでないわ」

[イルム]

ゼゼーナン「この下等生物めが……!  貴様らと対等の立場になるなど、あり得ん」
イルム「その偏見が、 お前自身を滅ぼすことになるのさ!」

[撃墜]

(ゼラニオが爆発)
マサキ「やったか!?」
セティ「いえ、まだよ!  バラン=シュナイルが出て来るわ!」
【デモムービー『バラン=シュナイル起動』】

<空中に浮かぶバラン=シュナイル>

ゼゼーナン「フフフ……私にこれを使わせるとはな……」
(バラン=シュナイルを正面から見る)
ゼゼーナン「このバラン=シュナイルは、 貴様らのような敵との戦闘を想定し、開発された……」
ゼゼーナン「これさえあれば、群がる猿共を駆逐し…… 地球の支配権をも手にすることが出来る」

〔戦域:ムーンクレイドル周辺〕

(ゼラニオの居た位置にバラン=シュナイルが出現していて、 ムーンクレイドルの近くにライグ=ゲイオスが4機出現)
ライ「たった1機で地球の支配権を得るだと……?  妄言も甚だしい」
リュウセイ「確かにデカいが、驚くほどじゃねえな」
セティ「あれは、あたし達が本来持ってくるはずだった 超大型砲艦の代わりに配備されたものなのよ」
セティ「砲艦並みの火力と、ゲイオス・シリーズを 上回る機動力を併せ持った強力な機体だわ」
リュウセイ「どっちかって言うと、 その超大型砲艦を見た方が驚くかもな」
ギリアム「油断は禁物だ。 ここから地球を狙撃できると言うのであれば、 その有効射程は推して知るべしだ」
ギリアム「幸か不幸か、地上への攻撃はバラルの障壁で 無効化される可能性が高いが……ゼゼーナンが その気になれば、月面都市が消滅しかねんぞ」
リュウセイ「う……!」
カチーナ「だったら、速攻で奴をブチのめせばいい。 これぐらいの修羅場、あたしらは 何度もくぐって来たぜ。これからもそうだ」
タスク「最低でも、あと二つは修羅場があるだろうなぁ」
ギリアム「……シラカワ博士、 前回のムーンクレイドル戦で使った手は?」
メキボス「ああ、俺が仕掛けた重力フィールドを破った あれか。どうなんだ?」
シュウ「使っても構いませんが、動ける機体が限られますよ。 それに、ゼゼーナンもあそこまで豪語した以上、 何らかの対抗手段を用意しているでしょう」
ヴィレッタ「なら、正攻法で行くしかないわね」
シュウ「その方が私にとっても望ましいです」
ゼゼーナン「さあ、来るがいい。 猿には猿に相応しい惨めな死を 与えてやろうではないか」
ヤンロン「その侮りが己を窮地に追い込むと まだ気づかんようだな」
ゼゼーナン「戦うことしか能のない猿が何を言う」
コウタ「猿、猿ってうるせえんだよ、てめえは!  そんなに猿が好きなら、日光にでも行きやがれ!」
ミチル「宇宙人に日光とか言うて、意味わかるんかいな?」
コウタ「てめえもうるせえよ!」
ショウコ「ちょっと!  そんな言い合いしてる場合じゃないでしょ!」
ゼゼーナン「このバラン=シュナイルを前にして 軽口を叩くとは……つくづく愚かだな」
シュウ「彼らの力を甘く見ない方がいいですよ。 私も敗れたことがありますからね」
ゼゼーナン「フン、貴様と私は違う」
シュウ「そうですか。 では、長きに渡るあなたとの因縁を 断ち切ることにしましょう」
シュウ「そして、最大の屈辱を味わっていただきます。 あなたが下等生物と蔑む存在…… それに敗れるという屈辱をね」
ゼゼーナン「私が味わうのは勝利と栄光だ!  貴様らごとき猿が何匹集まろうと、 このバラン=シュナイルは倒せん!」
マサキ「なら、吠え面をかかせてやるぜ!  それこそ、猿みてえにな!」
レフィーナ「各機、攻撃開始! ゼゼーナンを打ち倒し、 ここでゲストとの戦いを終わらせるのです!」
(作戦目的表示)

〈vs ゼゼーナン〉

[メキボス]

メキボス「ゼゼーナン…… そのバラン=シュナイルを出した時点で、 敗色濃厚ってのを暗に認めてることになるぜ?」
ゼゼーナン「フン、勝敗の行方は最後までわからぬものだ。 もっとも、猿に感化された貴様に敗北するなど、 あり得ぬことだがな」
メキボス「その自信……呆れを通り越して、感心するぜ」

[ゼブ]

ゼブ「や~れやれ、 バラン=シュナイルと戦うことになるとはね」
ゼゼーナン「今更悔いても遅い。死の制裁を下してやる」
ゼブ「後悔しているのは、そっちじゃないか?  この情勢、もう覆せないぜ」

[セティ]

ゼゼーナン「部下の不始末は、上官である私が処理せねばな」
セティ「それはこっちの台詞よ!  地球人じゃなく、ゾヴォーク人の手で あなたを倒してみせるわ!」

[ロフ]

ゼゼーナン「ゼイドラムでバラン=シュナイルを 倒すことなど出来ん。私に刃向かったことを 悔いながら死ぬがいい」
ロフ「後悔するのは、今までお前に荷担していたことだ。 この戦いで全てが清算できるとは思えんが……」
ロフ「全力を尽くし、お前を討ち取る!  でなければ、俺は先へ進めん!」

[マサキ]

ゼゼーナン「私はまだ諦めていない。 サイバスター……その技術を我が物とする」
マサキ「てめえは魔装機神の何たるかをわかっちゃいねえ。 似たような物は作れても、そのものは無理なんだよ!」

[ミオ]

ミオ「さんざん猿呼ばわりしてるけどさ、 惑星とか軍団とかが付いたら、侮れないよ?」
ゼゼーナン「何の話だ?」
ミオ「ちなみに、あたしはチンパンジーの方でよろしく!」
ゼゼーナン「だから、何の話なのだ!」

[シュウ]

ゼゼーナン「グランゾンと言えど、 このバラン=シュナイルには歯が立たんぞ」
シュウ「ゲストから提供された技術だけを 用いていれば、そうかも知れませんが……」
シュウ「私のグランゾンは、あなたが想像もつかない力を 秘めているのです」
シュウ「もっとも、 それをお見せする必要はなさそうですがね、ククク」

[リュウセイ(SRX搭乗時)]

ゼゼーナン「その機体に使われている技術は、 我ら由来の物ではない」
リュウセイ「エアロゲイターがてめえらと違うってことぐらい、 知ってるぜ!」
ゼゼーナン「では、彼らの正体がどのようなものか、 わかっているのか?」
リュウセイ「それは……!」
ゼゼーナン「ふん、やはりな」

[イルム]

イルム「さて、いよいよ大詰めだな、ゼゼーナン。 そんな物を持ち出したところで、勝ち目はないぜ」
ゼゼーナン「フン……己の力を知らぬ者は哀れだな」
イルム「その台詞もそっくり返してやるよ!」

[アイビス(ハイペリオン搭乗時)]

アイビス「あたしは銀河を飛んでみせる!  あんたを……全てを乗り越えて!」
ゼゼーナン「貴様ら猿共の進出を誰が許すか!  災いの芽はここで摘んでおく!」
スレイ「お前のような偏見の権化に 兄様と我々の夢を妨げることは出来ない!」
ゼゼーナン「猿が夢を語るか! 笑わせるな!」

[コウタ]

コウタ「そのメカが大口を叩くほどの力を持ってるか、 俺に見せてみやがれ!」
ゼゼーナン「フン、小猿が……後悔するだけでは済まんぞ」

[撃墜]

ゼゼーナン「ば、馬鹿な! あんな下等生物共に!  猿ごときに! 何故だ!?」
メキボス「バラン=シュナイルに取り付く!  道を開けてくれ!」
(グレイターキンIIがバラン=シュナイルに隣接し、捕まえる)
ゼゼーナン「ぬぐっ!?」
イルム「メキボス、何を!?」
メキボス「実は、戦闘になっても 可能な限りゼゼーナンを生かして 連行しろと言われていてな」
ミチル「な、何でやねん!?」
メキボス「余罪を追及し、真相を明らかにするためさ。 それに、ここで奴が死んだら、闇に葬られちまう 事実が増える」
ゼゼーナン「さ、猿共の情けを受け…… 貴様のように生き恥を晒す気などない……!!」
メキボス「ふざけるな!  お前には諸々の責任をきっちり取ってもらう!」
ゼゼーナン「か、かくなる上は……!!」
(バラン=シュナイルに警告シグナル)
メキボス「こ、こいつ! 自爆装置を!?  みんな、奴から離れろ!」
(グレイターキンII以外の味方機がバラン=シュナイルから離れる)
ゼゼーナン「お、覚えておくがいい、メキボス!  貴様も枢密院も、私の計画を阻止したことを 後悔する日が必ず来る!!」
メキボス「チィッ!!」
(グレイターキンIIがバラン=シュナイルを放し、後退する)
ゼゼーナン「いいか、地球は間違いなく銀河の病巣だ!  今のあの星を見ろ! 人外のモノ共に蝕まれている!」
ゼゼーナン「猿共だけではない!  地球から発せられた災いは、 必ずや銀河を覆い尽くす!!」
ゼゼーナン「あの星は呪われているのだ! 災厄の源なのだ!  必ず、必ず後悔する日が来るぞ! 必ずな!!」
ゼゼーナン「いずれ、貴様らも私と同じ運命を辿る!!  悔いろ! 悔いろ!! 悔いるがいいぃぃぃ……!!」
(バラン=シュナイルが爆発)
セティ「ゼゼーナン……」
メキボス(くそっ、計画の暗部を あの世へ持って行きやがったか……)
メキボス(プライドを守ったか、あるいはこの期に及んで ゾガルの先行きを案じたか……)
メキボス(いずれにせよ、 散り際だけは潔かったと言っておいてやるぜ……)

[ムーンクレイドル 内部(中枢部)]

セティ「ともかく……終わったわね……」
メキボス「望まぬ結果だったが…… 地球軍との戦いが終結しただけでも 良しとするか」
ロフ「いや、まだ俺達がいる。 指揮官として参戦していたからには 責任を取る義務がある」
ロフ「ゼゼーナンが死んだ今、 これまでの責任は全て俺が負う」
ゼブ「ロフ……!」
ロフ「だから、後の者の罪は問わないで欲しい。 それを約束してくれれば、この首を喜んで差し出す」
セティ「あなた……」
メキボス「相変わらず固い男だな」
ゼブ「ロフちゃんは傭兵なんだか~ら。 一番重い責任は、俺にあ~るよ」
セティ「それを言ったら、私だって……」
メキボス「お前らの身柄は、いったん俺が預かり、 本国へ戻った後、枢密院に委ねることになる」
メキボス「まあ、厳しい取り調べは覚悟しておいてくれ。 その後の処分は、お偉いさんが決めるこった。 もちろん、俺も口添えをする気だがな」
ロフ「だが、地球軍側はそれで済むまい」
メキボス「そこは俺が何とかする。 お前達は残存戦力を引き揚げさせ、 俺の艦隊に合流してくれ」
メキボス「回収不可能な機体やバイオロイドは破棄して構わん。 地球人の戦利品になるだろうが、仕方がない。 これ以上の戦闘は避けたいんでな」
ゼブ「そ~れで収まらないんじゃな~いの?」
メキボス「地球があの状態だからな…… 今は向こうも追い討ちをかける余裕はないさ」
ゼブ「わ~っかったけど、 メキちゃんはど~する気なんだい?」
メキボス「今から鋼龍戦隊に行って、陳情さ。 お互いの遺恨を少しでも緩和するためにな」
メキボス「とにかく、艦隊に合流して、俺の指示を待ってくれ。 それじゃあな」
(足音・メキボスが立ち去る)
ゼブ「……さ~て、さっさと店仕舞いし~ないとね」
ロフ「ああ……」
セティ「ねえ、ロフ」
ロフ「どうした?」
セティ「……あの……無事に本国へ戻れたら…… それで、もし……」
ロフ「……ああ、わかっている」
セティ「え?」
ロフ「本国でどういう処分を受けるかわからないが…… 全ての償いが終わり、この命があったならば…… 傭兵から足を洗うつもりだ」
ロフ「もはや、家にも戻れんだろう…… それでも、セティ……俺について来てくれるか?」
セティ「も……もちろんよ、ロフ…… あなたが行く所なら、どこにでも……」
ロフ「俺は戦うこと以外、能のない男だが…… それでも良ければ……その、俺と……」
セティ「ロフ……私…… その言葉をずっと待ってたのよ……」
ゼブ(や~れやれ、俺、とんだお邪魔虫だ~ね)

《月 マオ・インダストリー本社》

[マオ・インダストリー本社]

リン「……セレヴィスも解放された。 こちらも社員共に無事だ。 鋼龍戦隊の働きに感謝する」
イルム「まあ、思わぬ助っ人もいたんでな」
リン「インスペクターか。 確かに、かつてここを襲撃した者達が 月の解放に助力するとは意外だった」
イルム「詳しくは言えないが、 向こうには向こうの事情があるみたいでな」
リン「これからお前達はどうするつもりなのだ?」
イルム「さあて……バラルの園へ突撃するか、 それとも地球へ降下するか。今から相談する所さ」
リン「いずれにせよ、 危険なミッションに赴くのは確実か……」
イルム「お、心配してくれるのかい?」
リン「当たり前だ。 私も協力したい所だが、現状では……」
イルム「……東京でさ、いい店を見つけたんだ」
リン「?」
イルム「今から予約を取りに行ってくる。 だからさ、暇を作っておいてくれ」
リン「……キャンセルは受け付けないぞ」
イルム「ああ。ドレスでも選んで、待っていてくれ。 じゃあ、通信を切るぜ」
リン「待て、イルム。常務や社員達のことを……」
イルム「わかってるさ。 もちろん、社運を懸けたエグゼクスバインもな」
リン「それだけじゃない……」
イルムその続きは、東京の夜景を見ながらってことで。 じゃあな」
(通信が切れる)
リン(イルム…………)

《月 近海(ヒリュウ改)》

[ヒリュウ改 ブリーフィング・ルーム]

レフィーナ「私達と同行を……?」
メキボス「ああ、俺一人だがな」
ショーン「目的は何なのです?」
メキボス「枢密院は地球で何が起きているか、知りたがっている。 情報を集めるためってのが建前だな」
ギリアム「では、本音は?」
メキボス「俺自身の興味と……あんた達の人質になることだ」
レフィーナ「人質……?」
メキボス「俺の身柄をあんた達に預ける。 その代わりと言っちゃ何だが、ゼブ達を捕虜として そちらには引き渡さない」
レフィーナ「彼らはどうするのです?」
メキボス「事が終わるまで大人しく待機だ。 あいつらもこれ以上の揉め事は望んでいないしな」
メキボス「それに、地球圏の状況が さらに悪化した場合は、俺の艦隊を加勢させてもいい。 あんた達が望めばの話だが」
レフィーナ「……事が終わった後は?」
メキボス「今の所は、本国へ引き揚げることになっている」
カチーナ「そんなことを言って、 また軍隊を送り込んでくるつもりじゃねえのか?」
メキボス「こっちは、あんた達と事を構えるつもりはない。 だからこそ、ゼゼーナンを止めに来た」
メキボス「もっとも、 そう簡単には信用してもらえねえだろうから…… 俺の身柄をあんた達に預けるぜ」
メキボス「出来れば、枢密院の心証を悪くしないためにも 大人の扱いを期待したい所だがな」
カチーナ「ケッ、都合のいいことばかり言いやがって」
メキボス「自覚はしているさ」
ショーン「さて、いかが致しますか、艦長?  彼が持つゾヴォーク関連の情報は、 得難い物ではありますが」
レフィーナ「……上層部へ判断を仰ごうにも、現状で それは叶わない……また、トラブルを最小限で 防ぐためにも、この案件は私の権限で処理します」
カチーナ「ってことは……」
レフィーナ「メキボス・ボルクェーデ。 あなたの身柄は、引き続き我が隊が預かります」
メキボス「そうしてくれると助かる。 ここには見知った顔が多いからな」
レフィーナ「ただし、行動にはかなりの制限が付きますよ」
メキボス「もちろん。 何なら、俺のグレイターキンを戦力として 使ってくれても構わないぜ」
イルム「殊勝だな」
メキボス「俺自身の興味もあると言っただろう。 ルイーナやバラルってのがどんな連中か、 直に見てえしな」
レフィーナ「……検討しておきましょう」
カチーナ「艦長命令だから仕方がねえが…… 妙な真似をしやがったら、とっちめるだけじゃ 済まねえからな」
メキボス「ああ、覚えておくぜ」
レフィーナ「では、次の議題に移りましょう。 ……シラカワ博士」
シュウ「バラルのバリアの件ですが…… それを突破する方法の目処が付きました」
アヤ「本当なんですか……!?」
シュウ「ええ。 既にご承知の通り、地球にはバラルのバリアで 覆われていない箇所が一つだけあります」
ギリアム「南極だな」
シュウ「そうです。 依然、ファブラ・フォレース上空は ルイーナの結界で覆われており……」
シュウ「バラルのバリアと言えど、 そこを侵蝕するのは不可能のようです」
ヤンロン「だが、ルイーナの結界もまた突破不能ではないか」
シュウ「その通りですが…… バラルとルイーナの結界の間には、 相互不干渉の境目が存在しているのです」
シュウ「そして、 それをこじ開け、結界表面を滑り落ちれば…… 南極へ降下することが可能かもしれません」
ヴィレッタ「その境目をどうやってこじ開けるのだ?」
ツグミ「鍵となるのは、アルテリオンとベガリオンです」
ツグミ「第3世代テスラ・ドライブを搭載した両機は、 ツイン・モーダルと呼ばれるドライブ2基での シンクロ運用を実現しています」
ツグミ「大まかに言えば、これは互いのテスラ・ドライブを 空間内で認識することにより、例え自身の恒常性を 崩壊させてしまうような空間干渉を発現しても……」
ツグミ「相方がその作用を自己領域のみ局所中和するのです」
ツグミ「そして、アルテリオンとベガリオンが 組み合わさり、ハイペリオンとなって テスラ・ドライブの出力を最大限まで上げれば……」
ツグミ「ツイン・モーダルはクワッド・モーダルとなり、 機体周辺にディスクリート・スフィアと呼ばれる 真球体を発現します」
ツグミ「このスフィアは完全鏡面となり、 その内部は球外と不連続な宇宙であることが 理論的に予測されていました」
カチーナ「つ、つまり……どういうことなんでえ?」
ツグミ「ハイペリオンは条件が揃えば……リミッターを 解除し、クワッド・モーダルを発現させれば…… 強力な結界を作り出すことが出来るのです」
ツグミ「フィリオ少佐は時空連続体をも切り裂くことが 可能かも知れないと言っていましたが…… 現段階において、それは夢のまた夢の話です」
イルム「見えてきたぜ。 要は、結界の隙間にハイペリオンのディスクリート・ スフィアという錐をねじ込むんだな?」
ツグミ「はい。 非常に危険度の高い方法ではありますが……」
カチーナ「突っ込んで行って駄目だったら、 全員でお陀仏ってわけかよ」
シュウ「保険はかけますよ。私のグランゾンでね」
ヴィレッタ「具体的な方法は?」
シュウ「まず、降下点に向けて充分な加速空間を確保し、 ハイペリオン、グランゾン、ヒリュウ改の順で 高速移動を開始します」
シュウ「加速しつつ、境界面突入直前に ハイペリオンはディスクリート・スフィアを展開。 穴をこじ開けます」
シュウ「そして、グランゾンは歪曲フィールドで 摩擦によって生じる諸々の余波を拡散しつつ、 開いた穴をさらに広げます」
シュウ「最後にヒリュウ改はブレイク・フィールドを 展開したまま突入……ルイーナの結界上を滑り落ち、 減速して、氷の地に降り立つというわけです」
レフィーナ「……成功確率は?」
シュウ「決して高くありませんが…… バラルの園へ正面から突入するよりは 遥かにましですよ」
ヤンロン「二心はないだろうな、シュウ」
シュウ「もちろん。この私も身体を張るのですから」
ツグミ「他の問題点として、 降下前にバラル、降下後にルイーナの 襲撃を受けるケースが挙げられます」
アヤ「それは……私達で何とかするしかないわね」
ショーン「では、艦長……」
レフィーナ「ええ……これからの事態に対処するためにも 我々は本来の力を取り戻さねばなりません。 シラカワ博士とタカクラチーフの案を採用し……」
レフィーナ「本艦は地球へ帰還します。 各員に作戦内容を伝達し、準備を始めて下さい」

〔戦域:地球付近宙域〕

(ハイペリオン、グランゾン、ヒリュウ改がいる)
ツグミ「……アイビス、スレイ、フェイズ3開始まで あと120秒よ」
アイビス「了解」
スレイ「……ここまでは何事もなく来られたか」
ツグミ「こないだみたいに バラルの軍勢が現れると思っていたけど……」
スレイ「こちらには気づいているはずだ。 何か理由があって、仕掛けて来ないのか……?」
アイビス「今、そんなことを考えても仕方ない。 あたし達は、ディスクリート・スフィアを 発現させることに専念するだけだよ」
ツグミ「そうね。コース取りとタイミングは あなたに懸かっているわ。しっかりね」
アイビス「わかってる。 みんなの命……一時だけど、預からせてもらうよ」
ユン「フェイズ3スタート10秒前……9……8……」
アイビス(必ず……必ず成功させてみせる……!)
ユン「3……2……1……0。 フェイズ3、スタート」
ツグミ「テスラ・ドライブ、シンクロ!  ツイン・モーダル!」
アイビス「行けぇーっ、ハイペリオン!!」

<ハイペリオン、グランゾン、ヒリュウ改が各々フィールドを張って飛行している>

ツグミ「境界面まで、あと10秒!  コースこのまま!」
アイビス「やるよ、ツグミ、スレイ!」
スレイ「ああ!」
ツグミ「テスラ・ドライブ、シンクロ!  クワッド・モーダル!」
アイビス「オーバー・ブーストッ!!」
(ハイペリオンが加速する)
スレイ「行け、アイビス!!」
アイビス「貫けぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
(更にハイペリオンが加速する。閃光)

〔戦域:南極〕

(ルイーナ機が多数いる所にハイペリオンが出現)
アイビス「や、やった! やったよ!  結界をくぐり抜けた!!」
スレイ「グランゾンとヒリュウは!?」
(グランゾンとヒリュウ改がハイペリオンの後ろに出現)
ツグミ「無事だけど、周りに!」
シュウ「やはり、ルイーナが待ち構えていましたね」
レフィーナ「各機、直ちに出撃を!!」
(ハイペリオンの前方にいるルイーナ機が爆発)
レフィーナ「!!」
(ヒリュウ改にアラート)
ユン「高速飛行物体、多数接近!  0時方向より真っ直ぐ!」
(ハイペリオンの前方にカナフとスナピルが多数出現)
ツグミ「ク、クストース!!」
(カナフがルイーナ機を全て撃墜)
アイビス「!!」
スレイ「クストースがルイーナを……!!」
(カナフが撤退)
ユン「クストース、戦域外へ離脱して行きます!」
レフィーナ「彼らは私達を……!?」
アイビス「助けてくれた……の……?」
スレイ「だが、何故だ……? 魚型のクストースは、 我々を攻撃したと言うのに……」
シュウ「………」
(ヒリュウ改に通信)
ユン「艦長、スティール2より入電!  先方はロス海沖にいるようです!」
レフィーナ「!」
ショーン「これは僥倖ですな。 もしや、彼らはオペレーション・アイスブレイカーに 参加しているのでは?」
レフィーナ「かも知れません。 本艦は直ちに現空域から離脱し、 ハガネと合流します」


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