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雷迅昇星 地上ルート ~ 第55話 ~

《パリ 地球連邦軍 統合参謀本部》

[地球連邦軍 統合参謀本部]

ダニエル「……ガイアセイバーズが協定に反し、 鋼龍戦隊へ攻撃を行いました」
ギャスパル「餌に食いついたか……」
ダニエル「アルテウル・シュタインベックへ抗議なされては?」
ギャスパル「その必要はない。彼は我々と訣別した」
ダニエル「訣別……? まさか、反乱を……!?」
ギャスパル「アルテウルは体制側の人間だよ。 武力を用いずとも時を待ち、機を得れば…… この世界の支配者の座に就くことすら可能だ」
ギャスパル「しかし、彼は今の立場をなげうってでも 何かを成し遂げようとしている……」
ギャスパル「そして、その鍵の一つとなるのが鋼龍戦隊だ」
ダニエル「彼らが……?」
ギャスパル「ああ。直ちにグランド・クリスマスへ送り込め。 アルテウルの望み通りにな」
ダニエル「しかし、オペレーション・アイスブレイカー前に そのような……!」
ギャスパル「確かに、ルイーナやバラルは大きな脅威だ。 我々人類は存亡の危機に瀕していると言えよう」
ギャスパル「だが、このような局面で 我らと足並みを揃えぬ体制側の戦力は…… いや、アルテウル・シュタインベックは……」
ギャスパル「やがて、人外の敵に次ぐ脅威になり得ると 考えているのだよ」
ダニエル「で、ですが…… 今、我々が戦わなければならない相手は……」
ギャスパル「バラルは頭上に鎮座して動かず、 ルイーナの動きは沈静化しつつある。 そして、ゲストは地球に手を出せん」
ギャスパル「今がアルテウルを倒す最大の好機なのだ」
ダニエル「……! 元帥、あなたは……」
ギャスパル「アルテウルが独自の行動を取り、 この世界のシステムから逸脱するのであれば…… ガイアセイバーズに利用価値はない」
ギャスパル「戦後の世界の……体制側の軍事力は、 我ら地球連邦軍だけでいい。 バランスを崩す錘など不要だ」
ギャスパル「ガイアセイバーズは、 我々の敵として相応しくない存在なのだよ」
ダニエル「し、しかし…… 我々連邦軍が表立って動くのは……」
ギャスパル「このような時のために鋼龍戦隊を泳がせておいたのだ。 後は、勝てば官軍、負ければ賊軍…… 彼らもその意味を理解するだろう」
ダニエル「とは言え、ハガネ一隻だけで……」
ギャスパル「DC戦争でも彼らは同じことを同じ場所で 成し遂げているが……後の作戦に支障が 出るようであれば、撤退させて構わん」
ギャスパル「ジェイコブもそれで納得するだろう」
ダニエル「了解しました」
ギャスパル(アルテウル・シュタインベック…… お前の思い通りにはさせんよ)

《太平洋上(ハガネ)》

[ハガネ ブリーフィング・ルーム]

テツヤ「グランド・クリスマスへ……?」
ジェイコブ「そう……そして、威力偵察を行ってもらいたい」
レーツェル(やはり、そう来たか……)
テツヤ「つまり、アルテウルの真意を探れと?」
ジェイコブ「そういうことだ」
テツヤ「……ガイアセイバーズが我々の戦力接収ではなく、 殲滅を目的としていた場合、どのように対処すれば よろしいのでしょうか?」
ジェイコブ「……その場合は……」
ジェイコブ「可能であれば、実力を以て彼らを排除し、 グランド・クリスマスを制圧してもらいたい」
テツヤ「……!」
カイ「………」
レーツェル(そこまで思い切ったか……)
ジェイコブ「バラルによって地球が封鎖され、 オペレーション・アイスブレイカーが控えている 状況で、このような作戦を行うのは無謀だが……」
ジェイコブ「ギャスパル元帥は、後顧の憂いを断つ意味でも、 ガイアセイバーズ……いや、アルテウルの真意を 確かめ、この陰謀を暴くべきだと考えておられる」
ジェイコブ「そして……この作戦で、君達の汚名をそそぐための 証拠が見つかるかも知れん」
テツヤ「………」
ジェイコブ「正直に言えば、私はこの危険な作戦を 承伏しかねるのだが……我々の思惑がどうであろうと ガイアセイバーズは君達に襲い掛かるだろう」
テツヤ「それでも、避けられる戦闘は避けたいと考えます。 ルイーナやゲストだけでなく……バラルという 大敵との戦いが控えていますし……」
テツヤ「地球圏を覆う驚異の払拭が 我々の姿勢を世に示すことにもつながりましょう」
ジェイコブ「……そこまで考えていてくれたか、テツヤ中佐。 さしものギャスパル元帥も、その指示は 出していなかったのだが……」
テツヤ「……ダイテツ・ミナセ艦長がいらっしゃれば、 同じ判断を下されるはずです」
ジェイコブ「そうか……そうだろうな、あの男なら」
ジェイコブ「では、状況が不利だと判断した場合は、 速やかに撤退してくれたまえ。君達の戦いは ここで終わるわけではないのだからね」
テツヤ「了解しました」
ジェイコブ「……君達の武運を祈る。以上だ」
(通信が切れる)
カイ「……勝てば官軍、負ければ賊軍というわけか」
レーツェル「ガイアセイバーズ……いや、アルテウルが 賊軍扱いだけで済ますとは思えませんがね」
カイ「因縁の清算か……。 だが、進退は我々に委ねられた。 艦長、どうする?」
テツヤ「……行ける所まで行きます。 それでもなお、彼らが牙を剥くのなら…… その時は……」

《グランド・クリスマス》

[グランド・クリスマス 基地内部(ガイアセイバーズ 総司令部)]

ニブハル「アルテウル様、鋼龍戦隊のハガネは単艦で こちらへ向かっているようです」
アルテウル「フッ……ギャスパル・ギランは実に優秀だな。 己の立場を守りつつ、戦後のバランスのことも 考えている」
アルテウル「我々とルイーナやバラルを同じ天秤に掛けるなど…… 並大抵の軍人には出来ぬことだよ」
ニブハル「アルテウル様の読み通りでしたね」
アルテウル「うむ」
ニブハル「なお、ガンマ・セイバーからの報告によれば、 ハガネにはリ・テクの機体やエグゼクスバインが いるようです」
アルテウル「ああ、わかっている」
ニブハル「既に報告を?」
アルテウル「いや…… この流れでは、そうなって然るべきだからな」
ニブハル「天の配剤というわけですか……」
アルテウル「そう……後は、天秤の傾きを見極めればいい」
ニブハル「では、その錘としてデルタはいかがでしょう?  トオミネ博士からも出撃要請が来ております」
ニブハル「しかも、今回は本人も赴くそうです。 改修されたジンライに対し、 有効な策があるとのことで」
アルテウル「よかろう、許可してやれ。それも……試練だ」

《太平洋上(ハガネ)》

[ハガネ 艦内(格納庫)]

トウマ「せえいっ! でやああああ!!」
(殴る)
アクセル「甘い! でぃぃやっ!!」
(殴る)
トウマ「ぐああっ!!」
アクセル「ふん……まだ浅い。 相手をただ蹴るのではなく、蹴り抜け。 地面を穿つ程にな」
トウマ「はあっ、はあっ……は、はい!」
アクセル「よし……次はシミュレーター訓練だ。 お前のスタイルに合わせたあの技を、 今日こそ極めてみせろ」
トウマ「わ、わかりました!」
アクセル「休んでいる暇はない。行くぞ」
トウマ「はい!」
(扉が開閉する・アクセルとトウマが立ち去る)
リシュウ「……アクセルはああ言っておったが、 飲み込みは早いのう」
カイ「ええ…… しかも、奴はリューネのパワーリストとアンクルを 装着したまま雷鳳に乗っています」
カイ「下手をすれば、命に関わりかねない…… よくやっていると思いますよ」
エクセレン「ホント、驚き……アクセルの面倒見の良さにもね」
ゼンガー「後は一意専心、一点集中の極撃を体得できれば…… 奴は新たな段階へ進めるだろう」
(アラート)
ゼンガー「むっ!」
カイ「敵襲か!?」


第55話
雷迅昇星

〔戦域:群島〕

(北西端にハガネが待機している)
エイタ「目標アルファ、レンジ3へ進入!」
テツヤ「アヅキ、こちらからの警告に対する応答は?」
アヅキ「ありません」
テツヤ「ならば、迎撃する。 前部全主砲、VLSM、攻撃用意!」
エイタ「アルファより降下する物体多数!  量産型ジンライです!」
(ストークと量産型ジンライが多数出現。雷鳳が出撃、出撃準備)
リョウト「一度ならず二度までも…… ガイアセイバーズは本格的に 僕達とやり合う気なのか」
トウマ「なら、受けて立つ……!  ジンライを何度送り込んで来ても、 無駄だとあいつらに教えてやる!」
カオル(フン、出て来たか。これで手間が省けた。 後は奴をレンジ内に誘い込めばいい)
カオル(事を確実に成すため、一つ手を打っておくか……)
(ハガネに通信)
アヅキ「ストーク級から入電!」
テツヤ「今頃、何を……!」
カオル「……聞こえるか、鋼龍戦隊。 私はカオル・トオミネだ」
トウマ「!!」
アリエイル「トオミネ博士があの艦に……!?」
レーツェル「ついに本人が出向いて来たか」
トウマ「あれが……ミナキの父親……!」
カオル「しばしの猶予をやる。 私のジンライと娘を返してもらおうか。 そうすれば、この場から引き揚げてやっても良い」
トウマ「何!?」
ミナキ「と、父様!」
カオル「ミナキ……やはり、鋼龍戦隊にいたか。 残念だよ。身寄りのないお前を私が引き取り、 どれだけ慈しんできたか」
ミナキ「………」
カオル「私の想いを最も良く知っておるのは、お前だろう?  ビアン・ゾルダークから不当な評価を下され、 挫折させられたあの時から……」
カオル「私がどのような想いでジンライを作り上げたか。 再起を期し、どれほどの苦労を重ねたか。 それを忘れてしまったのか、お前は?」
ミナキ「わ、私は……」
カオル「お前をラボに残したのは、私の誤りだった。 私の導きなしでは、道を踏み外してしまう」
カオル「ミナキ、今ならまだ間に合う。私の下に戻れ。 お前には私という存在が必要なのだ。 お前は一人で生きていけぬのだ」
ミナキ「う、う……!」
カオル「そして、ジンライは 私達の下で運用されるべきなのだ。 わかるな?」
ミナキ「で、ですが、BSKモードは…… 何故、あのような物を……!?」
カオル「必要悪なのだよ。ジンライを正しく使うためのな」
トウマ「正しく使うだと!?  あんたに、そんな台詞は言わせない!」
カオル「……!」
トウマ「あんたは、自分の怨みを晴らしたいだけだろうが!  ミナキは……この雷鳳は、そのための道具じゃない!  もうあんたの物じゃないんだ!」
カオル「ほう、貴様がパイロットか。 見た所、軍人には見えん……」
カオル「フッ、やはりシステムLIOHは良く出来ている。 貴様のような者が乗っても、ジンライを コントロールすることが可能なのだからな」
トウマ「ああ、あのシステムのおかげで とんでもない目に遭ったぜ……!」
カオル「………」
トウマ「だが、そっちはもう対処済みだ!  ジンライは雷鳳として生まれ変わったんだ!  あんたには渡さない!」
カオル(フン、対処済み、か)
ミナキ「トウマの言う通りです、父様…… 今という状況で、雷鳳は地球圏を脅威から 救うために使われるべきです」
カオル「そう思うのなら、ジンライを返せ。 あれは私の物だ。ガイアセイバーズで運用し、 ルイーナやバラルを打ち倒してくれる」
レーツェル「……その言葉、信用することは出来んな」
ゼンガー「ああ、今までの行動が証明している。 お前は己の私怨を晴らすためにジンライを使う。 そう、我らのダブルGを倒すために」
エクセレン「って言うか、そのためにここまで来たんでしょ?」
カオル「フッ……確かにその通りだ」
ミナキ「ま、待って下さい、父様!  ジンライを退かせて下さい!  今、ここで争っても……」
トウマ「ミナキ、俺は君の親父さんを止める」
ミナキ「……!」
トウマ「俺のこの手で、親父さんの性根を入れ替えてやる!」
カオル「私の所まで来られるものなら、来るがいい」
トウマ「ああ、行って、教えてやる!  ミナキが雷鳳に込めた想いを!!」
ミナキ(父様……!)
(作戦目的表示)

〈3PP or 量産型ジンライを10機以上撃墜 or ストークのHP90%以下〉

トウマ「トオミネ博士!  このまま一気にあんたの所へ行ってやる!!」
(雷鳳がストークに接近する)
カオル「フッ、レンジ内に入ったな。 これならば、強制起動コードを 確実に送信できる」
カオル「さあ、ジンライよ!  システムLIOHの神髄を見せろ!  お前に与えられた本当の役目を果たすのだ!」
(雷鳳でシステム起動)
トウマ「何だ!? モニターに……」
(雷鳳で出力上昇)
LIOH「システムLIOH、リブート」
トウマ「!!」
LIOH「S-BSKモード起動。OFC、コンタクト」
トウマ「ぐあっ!!」
カイ「トウマ!?」
トウマ「ぐああああああああ!!」
ゼンガー「トウマ!」
アラド「こ、こないだの時と同じだ!!」
イング「暴走……!」
アクア「でも、システムLIOHは機能に 制限をかけてるんでしょう!?」
ミナキ「ま、まさか、父様!」
カオル「ミナキ……お前のやることなど看破している。 システムZLAIを排除し、システムLIOHを 休眠状態にしていることはな」
ミナキ「……!」
カオル「だが、人間がジンライを運用するに当たって、 システムLIOHを排除、もしくは機能全てを カットするわけにはいかぬ」
カオル「五体駆動によるフィードバックに耐えるには、 システムのレジスターを使用しなければならない」
カオル「そう設計したのはお前であり、 そうするよう仕向けたのは私なのだから」
ミナキ「と、父様は……システムLIOHに 外部からの強制起動装置を……!?」
カオル「そうだ、お前の与り知らぬ所でな。 言わば、保険だよ。私の研究成果を 悪用しようとする物に対しての」
カオル「確実に強制起動させ、制御するには いくつか条件があるが……それらはたった今、 全て満たされた」
ミナキ「………」
カオル「お前がシステムZLAIを排除しようと、 システムLIOHがある限り、ジンライは ジンライで在り続ける」
カオル「中に訓練された人間が乗っていれば、 その判断力や直感までも戦闘に応用する」
カオル「人機一体などではない、ジンライにとって 人間など一部品に過ぎぬのだ」
ラミア「人という部品……バルトールと同じか」
カオル「フン、真価を発揮したシステムLIOHは ユルゲンのODEシステムやゲイム・システム、 そしてビアンのJINKI-1を凌駕する」
カオル「さあ、ジンライよ! 与えられた役目を果たせ!  私に屈辱を与えたビアン・ゾルダークの ダブルGを、私の目の前で破壊しろ!」
カオル「そして、あの男より私が優れていたことを 世に証明するのだ!!」
トウマ「があああああああっ!!」
アクセル「この前の二の舞とはな……!」
ジョッシュ「止めるしかないでしょう、俺達の手で!」
カオル「無駄だ!  S-BSKモードは、例えパイロットが 排除されても止まらぬ!」
カオル「そう、中の人間が死んでも動き続けるのだよ!」
ミナキ「!!」
シャイン「そ、そんな!」
トウマ「ぐあああああああ!!」
ミナキ「父様……父様は、 私の行動を看破していると言いましたね……」
ミナキ「ならば、これはどうですか!?」
(雷鳳に爆煙)
カオル「何っ!?」
トウマ「ぐふっ! がはっ!!」
ラーダ「ミ、ミナキ、何をしたの!?」
ミナキ「……万が一に備えて、システムLIOHに 爆破装置を備え付けておいたんです。 暴走した場合、強制的に停止させるために」
ラーダ「!」
トウマ「く、うう……た、助かったぜ、ミナキ……」
リオ「大丈夫なの、トウマ君!?」
トウマ「あ、ああ、何とか……おかげで目が覚めた……」
カオル「ミ、ミナキ! システムを破壊したのか!  私とお前で作り上げた、システムLIOHを!」
ミナキ「ええ、そうです、父様…… BSKモードの存在を知って、私は……」
カオル「お、愚かな真似を!!」
トウマ「あ、あんた……ミナキが一人で生きていけないと 言ったな……」
カオル「……!」
トウマ「ミナキは悲しんだんだ…… あんたがシステムLIOHに あんな物を仕込んでいたと知って……」
トウマ「だけど…… そこで悲しみに呑み込まれはしなかった……」
トウマ「そして、自分の手でシステムLIOHを壊して、 俺と雷鳳を助けてくれた……」
トウマ「それは……ミナキがあんたから離れて 生きていけるって証だ……!」
カオル「若造が知ったようなことを!  システムLIOHの補助なしでは、 満足にジンライを動かせまい!」
(雷鳳の南北に量産型ジンライが出現)
トウマ「!!」
カオル「作戦変更だ! このままジンライを持ち帰る!」
トウマ「か、身体が……重い……! 機体が……!」
カオル「そうだろう!  DMLシステムは、今のお前にとって重き枷よ!」
トウマ「重いぜ……確かに雷鳳は…… こいつで戦うってことは……」
ミナキ「トウマ! 機体を捨てて、逃げて!!」
トウマ「だが、俺は自分で決めたんだ…… 俺は、自分の意志で戦うことを選んだ……!」
ゼンガー「トウマ、岩を穿つ涓滴(けんてき)の落下点を見極めよ。 その一点に己が力を傾注するのだ」
トウマ「!」
ゼンガー「人機は己、己は人機!  抗わず、従えず、一心同体となれ!  これぞ人機一体の極意!」
ゼンガー「一意専心! お前の打と意地を見せよ!」
トウマ(抗わず……従えず……一意専心……!)
アクセル「リストとアンクルを外せ、トウマ!  極めてみせろ、あれを!」
トウマ「!!」
(雷鳳に青白い光)
トウマ「うおおおおおおお!!」
カオル「な、何だ!?」
トウマ「見ていろ、ミナキ!  俺と雷鳳のフィニッシュ・ブローを!!」
【強制戦闘】
トウマ[ライジング・メテオ]vsAI0・M[回避]
(北側の量産型ジンライが爆発)
トウマ「出来た……! 出来たぞ!」
カオル「ば、馬鹿な! 何故だ!?」
トウマ「昔ながらの特訓……とでも言っておくぜ」
カオル「そ、そんなアナログな方法で!!」
トウマ「手段は問題じゃない!  そこにどれだけ己を懸けられるかだ!」
トウマ「人の心を忘れたあんたには 理解できないだろうがな!」
カオル「ぬうう!」
トウマ「だが、それだけじゃない。 誰が作った機体でも、そのまますぐに 全ての力が発揮できるわけじゃないだろう……」
トウマ「その機体を実際に調整して、 送り出す人がいるから動く、戦えるんだ!」
トウマ「例え、これがあんたの手で作られた機体でも…… 今のこいつを動かしているのは、 調整や改造をしたミナキ達の力!」
トウマ「俺を鍛え、力を貸してくれた人達の力!  俺を信じ、共に戦ってくれる人達の力!」
トウマ「そして、俺の力だ!!」
カオル「だが、その状態で長時間の稼働に耐えられるものか!  いくら頑強な身体でも保たぬ! 私のジンライを 返してもらうぞ!」
トウマ「あんたに見せてやる!  これが雷鳳の力……! 地球を守る力だ!!」

〈ストーク撃墜〉

GS艦長「もう艦が保たない! 総員退艦せよ!!」
カオル「馬鹿な、こんな馬鹿な!!  ジンライが! 私のジンライが!」
GS艦長「博士、早く脱出を!」
カオル「あり得ん、あり得ん、あり得ん!  私のジンライが! システムLIOHが!」
カオル「私のシステムは、誰の物より優れている!  ユルゲンより! アズマより! ビアンより!!  そう、私が最も優秀なのだ!!」
カオル「見ているがいい、ミナキ!  私は必ず! 必ずや、ダブルGを…………!!」
(ストークが爆発。残っている量産型ジンライが爆発)
トウマ「………」
ゼンガー「………」
レーツェル(……トオミネ博士の妄執は、これで潰えたか)
ミナキ(……父様……)

[ハガネ 格納庫]

トウマ「ミナキ……すまない。俺は君の父親を……」
ミナキ「……いいんです、トウマ。 父の妄執を断つには、ああするしか……」
ミナキ「それに……ジンライを雷鳳に改修した時点で…… 父の願いを断ち切ったことで……」
ミナキ「この日が来ることは覚悟していました……」
トウマ「ミナキ……」
ミナキ「だから、もう私は過去と決別します……。 父様とジンライと別れて、これからは雷鳳と……」
トウマ(も、もしかして、俺と……って言う!?  それって俺の気持ちが通じたってことか!?)
トウマ(い、いや……そんなことを考えるのは不謹慎だ!  ミナキは父親と悲しい別れをしたばかりだってのに、 俺って奴は……!)
トウマ(だがいつか、時がミナキの心を癒やしてくれる……。 その日まで俺は……俺は……!)
ミナキ「あの……トウマ?」
トウマ「いつまでも待っている!」
ミナキ「え……?」
トウマ「あ……いや!  さっきのは忘れて……いや、忘れられても困る……!  じゃなくて、その……!」
ミナキ「……ありがとう、トウマ。 よくわからないけど……」
トウマ「ミナキ……」
ミナキ「私……これからは雷鳳と鋼龍戦隊の皆さんと共に 戦っていきます」
トウマ(皆さん……ね……。 やっぱり、そうなるか……)
ミナキ「トウマ……あなたも力を貸して下さい。 雷鳳には、あなたが必要なんです」
トウマ「望む所だ。 今日からは君と俺と雷鳳は一つのチームだからな」
ミナキ「はい」
トウマ「約束する、ミナキ。 必ず俺は、君の作った雷鳳で地球を護るよ」
トウマ(そして、いつか必ず、君の中から悲しみを 消し去ってみせる)

(ブリーフィング・ルーム)

テツヤ「……我々に与えられた任務は威力偵察だが、 ガイアセイバーズの対応次第では、 彼らとの決戦もやむなしと考えている」
テツヤ「その場合は苦しい戦いとなるが…… アルテウルの陰謀を暴き、我らに掛けられた嫌疑を 払拭するためにも、奮闘してもらいたい」
エクセレン「……DC戦争のアイドネウス島突入作戦再び、って 感じねぇ。私達は参加してなかったけど」
リオ「でも、あの時より戦力は充実しています」
ヒューゴ「グランド・クリスマスへの突入は望む所だ。 この手でツェントル・プロジェクトを叩き潰し、 隊長やフォリア……クライウルブズの無念を晴らす」
アクア「ええ……そして、エルデとも決着を……!」
リシュウ「間違いなくムラタは我らを待ち受けておろう。 次こそ、あやつとの因縁を完全に断ち切る時ぞ、 ゼンガー」
ゼンガー「……承知」
アラド「おれ達もシエンヌ達に負けるわけにはいかねえ……!」
ゼオラ「そうね……もうここまで来たら……」
ラトゥーニ「私達はこんな所で終われない……」
イング(グランド・クリスマス……僕が生まれた所…… そこには、僕の過去がある……)
リオ「イング……気負い過ぎちゃ駄目よ」
イング「ええ……この戦いで全てが終わるわけじゃない…… そのことはわかっているつもりです」
リョウト「……イング、オオミヤ博士から託された エグゼクスバインの切り札の調整が もうすぐ終わるよ」
イング「わかりました。 必ず使いこなしてみせます……!」


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