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蒼炎の逆鱗 ~ 第40話 ~

(精神世界)

???(……イルイよ……)
イルイ(……だ、誰……?)
???(……イルイ……我が巫女よ……)
イルイ(……みこ……?)
???(神の子、イルイよ…… 汝は我の強念を受け継ぎし者……)
???(見定めよ……剣を……)
イルイ(つる……ぎ……?)

(休憩室)

アラド「夢? どんな?」
イルイ「よく覚えてないけど、 誰かに呼ばれたような気がした……」
ゼオラ「誰かって……?」
イルイ「わからない……」
ゼオラ「怖い夢だったの?」
イルイ「少し……不安で……懐かしい感じも……」
ブリット「懐かしい……?」
クスハ「アイビスさん…… もしかして、イルイちゃんの記憶が 戻る前兆なんじゃ……?」
アイビス「……イルイの……記憶が……」
イルイ「記憶が戻ったら…… アイビス達と一緒にいられなくなるの……?」
アイビス「え……」
イルイ「私がどこから来たか、わかったら…… みんなと離ればなれになるの……?」
アイビス「イルイ……」
イルイ「だったら、私……記憶が戻らなくても……」
アイビス「駄目だよ、そんなことを言っちゃ」
イルイ「で、でも……昔のことを思い出すのが 何だか不安で……」
ゼオラ「……その気持ち、わかるような気がする」
イルイ「え……?」
ゼオラ「イルイとは事情が違うけど…… 私も過去の記憶がないから」
アラド「ゼオラだけじゃない……おれとラトもだ」
イルイ「ど、どうして……?」
アラド「うん、まあ……色々あってね」
ゼオラ「記憶が戻ったら、 何かが変わってしまうかも知れない…… そういう不安はあったもの」
イルイ「………」
ゼオラ「だけど、アラドやラト達がいてくれたから、 何とかやってこられた。みんなとの絆が 支えになったの」
イルイ「絆……」
アイビス「イルイにはあたし達がいるよ」
ブリット「俺達の存在が君の支えになるのなら……」
クスハ「イルイちゃんがそう思ってくれると嬉しいな」
アイビス「イルイはあたし達の大切な友達…… 記憶を取り戻しても、それは変わらないよ」
イルイ「……ありがとう……」

(通路)

リョウト「マサキが?」
レオナ「そう、エーテル通信機に連絡を入れて来たの。 今、リュウセイ達が話しているわ。 あなたも立ち会う?」
リョウト「うん、行くよ」

(通信室)

マサキ「そうか…… そっちはとんでもねえことになってんだな」
リュウセイ「まあ、厳しい状況だけど…… 完全に孤立無援ってわけじゃねえし」
マサキ「だが、インスペクターの仲間も攻めて来てんだろ?」
イルム「初手を封じられたせいか、意外に慎重でね。 とは言え、月は連中に抑えられつつある」
イルム「連邦軍が早く反攻作戦を実行へ移さないと、 制宙権を全て握られかねないな」
エクセレン「私達も気になってるんだけど、 今の立場じゃ、どうしようもないしね」
マサキ「すまねえな、大変な時に連絡しちまって……」
エクセレン「まあ、マーサ達が元気でやってるって わかっただけでも、喜ばしいことよん」
レオナ「そちらの方はどうなの?」
マサキ「何とか落ち着きを取り戻しつつあるよ。 それで、本題なんだが……お前らに連絡したのは、 聞きてえことがあるからなんだ」
リュウセイ「何だ?」
セニア「実は……ルオゾール達を見掛けなくなってね。 あなた達がラ・ギアスにいた頃は 色々と動いていたのに、ここ最近はさっぱりなの」
リュウセイ「それはそれで、いいことなんじゃないの?」
セニア「そうなんだけど、かえって不気味なのよね」
レオナ「確かに……戦後の混乱期は 彼らにとって好都合のはず……」
マサキ「シュウも相変わらず行方知れずだ。 で、もしかしたら、地上にいるんじゃねえかと 思ってよ」
リョウト「今の所、 グランゾンが現れたという情報はないけど……」
マサキ「そうか……」
リョウト「念のため、ギリアム少佐にも聞いておくよ」
マサキ「すまねえ。 それと……もうしばらくしたら、 俺は地上に行って、そっちと合流するぜ」
カーラ「えっ? ラングランの方はいいの?」
マサキ「お前らが大変な目に遭ってるってのに、 放っておけねえだろ。こっちのことは リューネやヤンロン達に任せるさ」
カーラ「マサキが来てくれるんなら、助かるけど…… ホントに大丈夫?」
マサキ「ああ。お前達が向かってる場所のデータを 後で送っといてくれ」
エクセレン「わかったけど、迷子にならないでね。 ……って、言うだけ無駄でしょうけど」
マサキ「る、るせえ」
セニア「私も手伝いたいんだけど…… やらなきゃならない仕事がたくさんあって、 行けそうにないの」
セニア「みんな、大変だと思うけど……挫けずに頑張ってね」
リョウト「うん、そっちも……」

(メディカル・ルーム)

ロバート「何故、俺が呼ばれたか疑問に思っていたが…… こういう事情だったとはな」
ヒューゴ「申し訳ありませんが、このことは……」
ロバート「口外するな、だろう?  カイ少佐から聞いている」
ラーダ「ヒューゴ少尉、検査の結果だけど……」
ラーダ「フレームに自己再生機能を持った 金属細胞らしき物が組み込まれていたわ」
ヒューゴ「!!」
ラーダ「おそらく……ツェントル・プロジェクトで 開発されたというラズムナニウムか、 その亜種じゃないかしら」
ヒューゴ「何でそんな物が……!」
ラーダ「長期間メンテをしなくて済むからだと思うけど…… あなたが服用している薬、あれは拒絶反応を 抑えるだけでなく……」
ラーダ「ラズムナニウムの働きを鈍化させるための物でも あるらしいの」
ヒューゴ「鈍化……?  では、薬がなくなれば、俺はどうなるんです?」
ラーダ「多分……全身がラズムナニウムに侵蝕されるわ」
ヒューゴ「……!!」
ロバート「そうなれば……君は死に至るだろう」
ヒューゴ(くそっ、ミタールめ……!  よくも俺にそんな枷を……!)
ラーダ「あの薬にはよくわからない成分が含まれている…… 今の所、あれはツェントル・プロジェクトでしか 作れないわね……」
ロバート「薬がある内に他の手立てが見つけられるよう、 努力するよ」
ヒューゴ「……わかりました。 すみませんが、お願いします」
(アラート)
ラーダ「!!」

(ヒリュウ改 ブリッジ)

ユン「連邦軍の通信を再度傍受!  間違いありません、エクアドル東岸部で ルイーナ群と交戦中です!」
レフィーナ「状況は?」
ユン「ルイーナが複数地点を同時に襲撃しているため、 連邦軍は対処し切れていないようです!」
レフィーナ「……最大戦速でエクアドル東岸部に向かった場合、 到達までの時間は?」
ショーン「およそ30分といった所ですが…… 転針されるおつもりで? 連邦軍だけでなく、 ガイアセイバーズと遭遇する確率が上がりますぞ」
レフィーナ「この事態を看過するわけにはいきません。 それに、彼らも地球の守護者を名乗る以上、 ルイーナの討伐を優先するでしょう」
ショーン「それでも、リスクは高いですぞ?」
レフィーナ「副長…… 我々もまた地球の危機に立ち向かう者であることを、 行動で示さねばならぬのです」
ショーン「……わかりました」
レフィーナ「では、直ちに転針。ATXチーム、SRXチーム、 特殊戦技教導隊を先行させ、連邦軍が 対処できていない戦域へ向かわせて下さい」


第40話
蒼炎の逆鱗

〔戦域:連邦軍基地周辺〕

(基地の周辺に爆煙多数)
連邦軍兵「隊長、残ったのは我々だけです! このままでは!」
連邦軍兵「ここで退けるか! 増援が来るまで持ち堪えるぞ!」
(北東端にATXチームが出現)
連邦軍兵「あの連中は……!」
キョウスケ「鋼龍戦隊ATXチーム、キョウスケ・ナンブ中尉だ。 これより、そちらを支援する」
連邦軍兵「反逆者の貴様らがか!?」
ブリット「ええ。 義を見てせざるは勇無きなり……などと 言われたくありませんので」
エクセレン「何だったら、 そっちは下がってもらってもOKよん」
連邦軍兵「いや、ここは我らの国だ!  余所者の手を借りずとも、我らの手で守ってみせる!」
キョウスケ「なら、こちらは好きにやらせてもらう」
エクセレン「なかなか骨太な隊長さんじゃない?」
キョウスケ「だからこそ、頼もしいとも言える」
エクセレン「まあ、こっちもメンツが足りないもんねぇ」
キョウスケ「……アサルト1より各機。他地区のことも気になる。 ここは速攻で片づけるぞ」
クスハ「了解です!」
(作戦目的表示)

〈3PP or 敵機10機以上撃墜〉

キョウスケ「……このままでは時間が掛かり過ぎるな。 アサルト1より各機。フォーメーションA3。 正面奥の敵を一気に潰す」
エクセレン「わお! 十八番の強行突破ね!」
ブリット「アサルト3、了解!」
クスハ「アサルト4、了解です!」
(味方機が中央の建物を囲むように移動し、ライン・ヴァイスリッターが着地する。クスハに精神感応)
クスハ「あうっ!」
(ブリットに精神感応)
ブリット「こ、これは!」
クスハ「上空から何かが!」
(ルイーナ機が全滅する)
エクセレン「ルイーナが!」
クスハ「まだ来ますっ!」
(グルンガスト参式に隣接して窮奇王が出現)
ブリット「!!」
【強制戦闘】
窮奇王[超音邪咆]vsブリット[回避]
(回避には失敗し、グルンガスト参式のHP20になる。グルンガスト参式に大きな爆煙)
クスハ「ブ、ブリット君!!」
(龍人機に隣接して饕餮王が出現)
クスハ「ああっ!!」
【強制戦闘】
饕餮王[餓魂玉]vsクスハ[回避]
(回避には失敗し、龍人機のHP20になる。龍人機に大きな爆煙)
キョウスケ「クスハ!」
エクセレン「キョウスケ! 二人を!」
キョウスケ「わかっている!」
(アルトアイゼン・リーゼとライン・ヴァイスリッターを囲むように抱鴞が出現)
エクセレン「ええっ!?」
キョウスケ「チッ!  止められると思うな! クレイモア!」
(アルトアイゼン・リーゼが銃撃し、南西側の抱鴞4機が爆発するが、すぐに抱鴞が4機出現する)
キョウスケ「何!?」
(南側に虎王機、雀武王、マガルガが出現)
夏喃「ああ、無駄だよ。 そいつらの代わりは、いくらでもいる。 だが、君の弾には限りがあるだろう?」
キョウスケ「夏喃か……!」
夏喃「前回は限仙境にて、 なるべく穏やかに説伏しようとしたが……」
夏喃「君達に対しては、 もっと直接的な方法が効果的なようだ」
キョウスケ「……む!?」
エクセレン「機体が動かない!?」
泰北「しばしの間、大人しくしておれ。 と言うても、緊縛咒で動けんじゃろうがの」
エクセレン「くうっ……!」
キョウスケ「チッ、サマ師共が……!」
夏喃「窮奇王、饕餮王。彼らをここへ」
(窮奇王、グルンガスト参式、饕餮王、龍人機が南へ移動)
クスハ「う、ううっ……ブ、ブリット君……」
ブリット「………」
クスハ「ブリット君……返事を……」
夏喃「白虎の操者は人事不省のようだね。 まったく、四凶は加減というものを 知らなくて困る」
クスハ「し、しきょう……?」
夏喃「そう、四神より上位の超機人…… 四凶の饕餮王と窮奇王さ」
クスハ「とうてつおう……きゅうきおう……?」
夏喃「強大な力を持つが、凶悪極まりない連中でね。 最上位級の妖機人とも言える。かつて彼らは 超機人でありながら、バラルの神に刃向かったからね」
夏喃「激戦の末、四凶の内、二体は倒れ…… 残った饕餮王と窮奇王に再び首枷が付けられた。 僕や泰北の手によって」
夏喃「だが、彼らには君達のような強念者が不要なんだ。 何故だかわかるかい?」
クスハ「い、いいえ……」
夏喃「強念者と言えど、危なくて乗せられないのさ。 彼らは人の魂力を吸うのではなく……」
夏喃「肉体そのものを喰らってしまうからね」
クスハ「!!」
(窮奇王が東に移動し龍人機に隣接。饕餮王は北へ移動し、連邦軍兵の南まで移動する)
連邦軍兵「う、うわああっ!!」
【強制戦闘】
饕餮王[餓弩貪牙]vs連邦軍兵[回避]
(回避には失敗し、撃墜される。量産型ヒュッケバインMk-IIが爆発)
夏喃「……四凶の中でも、特に饕餮王は貪欲でね」
(饕餮王が量産型ヒュッケバインMk-IIに狙いを定めて脈動する)
連邦軍兵「う、う、うあああわっ!!」
(饕餮王が量産型ヒュッケバインMk-IIに襲い掛かる)
クスハ「や、やめてぇぇっ!!」
(東側の量産型ヒュッケバインMk-IIが爆発)
夏喃「クスハ。君が真にこの星の未来を憂うのなら、 僕達の下へ来たまえ。一時の感情に流され、 大望大志を見誤ってはいけない」
(饕餮王が量産型ヒュッケバインMk-IIに狙いを定めて脈動する)
連邦軍兵「ひ、ひいっ! わああああ!!」
クスハ「や、やめて下さいっ!!」
夏喃「………」
クスハ「そ、そんな志があるのなら!  今すぐあんなことをやめさせて!  あの超機人を止めて!!」
夏喃「言ったはずだよ。 彼らの命は無駄に散るのではない、とね」
クスハ「!!」
ククル(あの時と同じぞ……夏喃は、ああやって心を折る)
夏喃「だが、彼らと違って、君には大事な役目がある。 君の力の使い所は、ここじゃない」
クスハ「わ、私が代わりになります!  だから、だから! やめて下さい!!」
夏喃「命の重みは、皆同じだが……それぞれの意味は違う。 その命が最も輝ける時というのは、百種百様なんだ」
夏喃「そして、彼の命が一番尊く輝く時…… それは、今だ」
(饕餮王が一瞬消える。探すように視点が左右に動き、正面を向くと眼前に饕餮王が迫っている)
クスハ「あああっ!!」
(量産型ヒュッケバインMk-IIが爆発)
泰北「安らかに……全てはタオの上に。 名も無き兵卒よ……その魂、疎かにはせぬぞ」
クスハ「あ……あああ……」
ククル(心が折れれば、その魂魄は囚われて……)
エクセレン「ク、クスハちゃん!!」
キョウスケ「くっ、ブーストが利かん!」
夏喃「クスハ……深い悲しみの淵へ沈みつつも、 君の心はまだ折れていない。あの時の…… そう、妖機人・鋳人と戦った時のように」
クスハ「……!」
夏喃「クスハ……君は険谷に咲く一輪のスミレ。 手折って、愛でよう。その儚げな花顔を 久遠のものとするために」
クスハ「た、手折る……!?」
夏喃「そう、折るのさ……君の心をね」
(虎龍王がグルンガスト参式に取り付く)
クスハ「!!」
夏喃「さあ、虎王機よ。お前の半身を取り戻せ。 その命を喰らうことによって」
虎王機「グルルル……!」
クスハ「や、やめて! やめて! やめてぇっ!!」
虎王機「………」
ブリット「う……うう……虎王機……?」
クスハ「お、お願いです! やめて下さい!!  私を! 代わりに私を!!」
夏喃「やるんだ、虎王機。 さすれば、お前は本来の姿に戻れる。 そう、バラルの神の下僕にね」
虎王機「ウウウウ……!!」
クスハ「やめてぇぇぇぇぇぇっ!!」
(虎王機がグルンガスト参式を喰らう)
キョウスケ「!!」
エクセレン「ブ、ブリット君っ!!」
クスハ「あ、あああ……うああっ……あ……!!」
クスハ「嫌ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
夏喃「折れたね、心が。 フフッ、君の悲痛な叫び……心地いいよ」
ククル(……妾と同じぞ……。 あの時、妾の父君や母君は、夏喃達に……)
(グルンガスト参式が爆発。雀武王が龍人機に隣接し持ち上げる)
夏喃「さあ、青龍よ。 人間達によって組み込まれた不純物を排除し、 お前も本来の姿へ戻るんだ」
(龍人機に爆煙と同時にスパークが走る)
クスハ「あああああああーーーっ!!」

〔戦域:水辺の連邦軍基地周辺〕

(SRXチームがルイーナと戦っている。リュウセイ機に精神感応)
リュウセイ「うあっ!!」
マイ「い、今のは!?」
アヤ「クスハの念だわ!」
リョウト「で、ですが、さっきの感じは!」
マイ「ただならぬ念だ……まさか!?」
イング(僕も感じた……!  だが、クスハさんの念だけじゃない……)
イング(誰かの……異質な……!)
アヤ「みんな!  ここのルイーナを早く片づけて、 クスハ達の所へ向かうわよ!」
ライ「了解!」

[ヒリュウ改 艦内(個室)]

イルイ「………」
イルイ「……クス……ハ……ブリット……」
イルイ「つる……ぎ……が……」

(精神世界)

クスハ(……何も……何も出来なかった……)
クスハ(ごめんなさい……ブリット君…… 防衛隊の皆さん……そして、龍人機……)
クスハ(キョウスケ中尉……エクセレン少尉……みんな…… もう私は……)
???(イルイ)(……まだ……終わってない……)
クスハ(えっ……!?)
イルイ(まだ終わってない……)
クスハ(イ、イルイちゃん……!?  ど、どうして、あなたの声が…… 姿が見えるの……!?)
イルイ(クスハの心は、まだ折れていない…… 私の呼びかけに応えられているから……)
クスハ(……!)
イルイ(クスハとブリットは、優しくて強い心を持ってる…… だから、龍と虎の神様が力を貸してくれるの……)
イルイ(この世界を……みんなを守れるように……)
クスハ(で、でも、私は……もう……)
クスハ(身体が動かないの…… 龍人機も応えてくれないの……)
イルイ(私も……力を貸してあげる……)
クスハ(え……)
イルイ(この力を使えば…… 私は……私じゃなくなっていくけど……)
イルイ(クスハやブリットを……みんなを助けたいの…… これが今の私の……素直な気持ち……)
クスハ(イ、イルイちゃん……!?)
イルイ(少しの間だけど……あなたに力を……)
(閃光)

〔戦域:連邦軍基地周辺〕

夏喃「さて、これで目的は果たせたかな?」
泰北「彼奴らはどうするのじゃ?」
エクセレン「キョウスケ……!」
キョウスケ「わかっている……!  奴らの命程度では、到底あがなえん……!」
夏喃「南仙たる僕の命を奪うと?  フフッ、大した気迫だ。 彼らの心は、そう簡単には折れないか」
泰北「じゃが、彼奴らを尸解させれば、 この上なき強靭な剣となろうぞ」
夏喃「そうだね……」
泰北「む? この気配は……」
豹のようなもの鮫のようなものが西端に出現)
キョウスケ「奴らは!」
エクセレン「こないだの鮫ロボと……新顔!?」
泰北「フホホッ、また現れおったか」
夏喃「ケレンとカナフ……そして、ザナヴ。 これで、三つの神僕が全て姿を見せたな」
泰北「善哉、善哉」
夏喃「二体同時というのは、少々意外だったが…… 四凶を連れて来たのは、神僕の出現に 備えるためでもあるからね」
夏喃「行け、饕餮王、窮奇王」
(ザナヴに窮奇王、ケレンに饕餮王が隣接)
夏喃「よし、そのまま神僕を抑えておけ。 僕らは青龍とクスハを連れ帰る」
エクセレン「そんなこと、させないわよ!」
夏喃「フッ、君達は心ではなく、身体を折った方が いいかも知れないね」
エクセレン「え!?」
夏喃「案ずることはないよ。 ここで死んでしまっても、尸解すれば 新たな生を得られる」
夏喃「君は僕の好みじゃないが……優しくしてやるよ」
エクセレン「や、やば……!」
(龍人機に閃光と青白い光)
夏喃「何だ!?」
泰北「む? 青龍の五行器が輪転しておるぞ!」
夏喃「馬鹿な、今の青龍にそのようなことが……!」
夏喃「まさか、クスハ! 君か!?」
(龍人機と虎王機が光りの玉になって上空へ上がる)
【デモイベント『龍虎合体』】
(龍虎王が出現)
ククル「何と! 龍虎王が!」
夏喃「あの状態から元の姿を取り戻すとは……!」
泰北「虎王機もろとも装符で修復しおったのか?  武雀王以上の修復力ではないか!」
エクセレン「ク、クスハちゃん! あなた、無事なの!?」
クスハ「……はい。それに、ブリット君も一緒です」
ブリット「………」
キョウスケ「ブリット、お前……!」
ブリット「自分が虎王機に食われた時、 暖かな光に包まれ……誰かに呼ばれ…… 気づいたら、ここに」
クスハ「私も……誰かの声を聞いたような……」
エクセレン「誰かって……龍虎王や虎龍王じゃなくて?」
クスハ「ええ……覚えていないんです……」
夏喃(もしや、巫女の力によって……?)
(ケレンとザナヴが撤退)
泰北「む、神僕が消えおったぞ」
夏喃(やはり、そうか。 巫女が力を使い果たしたのだな)
夏喃(それは僕らにとって好都合…… 彼女が“良心”を取り戻すきっかけとなるからね)
泰北「しかし、龍王機はともかく、 我らが調教した虎王機まで元に戻るとはのう」
ブリット「……お前達の目論見が裏目に出たんだ」
夏喃「何……?」
ブリット「虎王機が俺を食っていなければ、 一体となることは出来なかった」
泰北「ふむ、強念によって枷が外れたか…… あるいは、お主と何度か接触したことによって、 虎王機自身が徐々に呼応しておったか」
夏喃「………」
ククル(夏喃の術をはね除ける人間がいるとは……!  超機人に選ばれし強念者であるが故か?  それとも……)
泰北「いずれにせよ、善哉、善哉!  ワシらが見込んだだけのことはあるわい!  フオッホッホッホ!」
夏喃「思わぬ結果となったが、後々の手間が省けたよ。 仕上がった龍虎王とクスハを連れ帰れば、 バラルにとって即戦力となる」
夏喃「だから……君を僕の物にするよ、必ずね」
クスハ「嫌です」
夏喃「とは言え、龍虎王だけで 僕の雀武王や四凶、マガルガに勝てると 思っているのかい?」
(アルトアイゼン・リーゼの周りの抱鴞が全機爆発)
キョウスケ「!」
(ライン・ヴァイスリッターの周りの抱鴞が全機爆発。ライン・ヴァイスリッターが空中へ)
エクセレン「なになに!?」
(グルンガスト零式、ソウルゲイン、クロガネが出現)
アクセル「体たらくだな、キョウスケ・ナンブ」
キョウスケ「アクセル・アルマー……! 何故、ここに?」
アクセル「クロガネへソウルゲインを取りに行ったついでだ。 ……それで動けるだろう。貸しにしておくぞ」
リシュウ「ブリット、クスハ、無事かの?」
ブリット「リシュウ先生!」
クスハ「先生こそ、大丈夫なんですか!?」
リシュウ「うむ、見ての通りじゃ」
ククル「あの老いぼれ……妾の前に再び姿を現すとは」
夏喃「フッ、あれだけの手勢でどうする気だ」
リシュウ「聞けい、妖仙共よ! 我が名はリシュウ・トウゴウ!  代々に渡るバラルとの因縁、斬艦刀にて断つ!」
夏喃「トウゴウ……?  ああ、なるほど。世代をまたいでの恨み辛み、 人間の業だね」
クスハ「その人間を弄ぶあなた達を…… 防衛隊の人達の命を奪ったあなた達を、 私は許しません……!」
クスハ「あなた達は、私と龍虎王の逆鱗に触れたんです!!」
夏喃「激情は力の源となるが、隙にも転ずる。 心が折れぬのであれば、曲げればいい」
ブリット「屁理屈を!」
夏喃「君達が今ひとつ情況を把握しきれていないのは 若さ故で仕方がないが、それは学ぶことが出来る」
夏喃「痛みを以て、君達にタオの何たるかを説くとしよう。 ……ククル、露払いを」
ククル「はっ……!」
アクセル「フッ、ソウルゲインの慣らしには ちょうどいい相手だ、これがな」
キョウスケ「夏喃、お前達に殺された防衛隊の無念…… おれ達が晴らす」
エクセレン「ええ、ただで済むと思わないでよね」
夏喃「彼らは無駄に命を散らしたわけではないよ。 現に、龍虎王が甦るきっかけとなったじゃないか」
クスハ「よくも……よくも、そんなことを……!」
リシュウ「クスハ、あやつの奸言に乗れば、心に隙が生じる。 清水の念を練り、烈火の如く攻めよ」
クスハ(清水の念……)
夏喃(そう……それでいいのさ、クスハ)
クスハ(……そして、烈火の如く!)
クスハ「四神、青龍の超機人・龍虎王!  人界に仇なす妖仙を討ちます!」
(作戦目的表示)

〈vs 夏喃〉

[ブリット]

夏喃「君を白虎に喰わせたのは、 クスハの心を折るためだけじゃないのさ」
ブリット「俺が虎王機の血肉になれば、 お前がクスハを独占できるからだろうが!」
夏喃「ご名答。 その上で、僕が白虎に乗ろうと思っていた」
ブリット「ふざけるな!  クスハも虎王機も、お前には渡さない!」

[クスハ]

夏喃「クスハ、朱雀が憤っているよ。 彼女は、青龍に恨みがあるからね」
クスハ「その原因を作ったのは、 あなた達じゃないんですか?」
夏喃「ほう……何故、そう思う?  いや、青龍が君に何か伝えたか」
クスハ「敵意と怒り…… そして、今は悲しみも感じます……!」
クスハ「あなた達が超機人の在り方を歪めたから、 四神同士で戦う理由を作ったから、 龍虎王はそう思っているんじゃないですか?」
夏喃「それは、大逆者の勝手な言い分さ」

〈雀武王のHP70%以下〉

(ライン・ヴァイスリッターに警告シグナル)
エクセレン「! みんな、本隊のご到着よん!」
(ヒリュウ改とハガネが出現)
レフィーナ「各機、直ちに出撃を!」
(出撃準備)

ゼンガーは
出撃した 出撃していない


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