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妄念に操られし者(前篇) ~ 第41話 ~

《グランド・クリスマス》

[グランド・クリスマス 基地内部(執務室)]

ニブハル「エクアドル東岸部における対ルイーナ戦の 結果ですが……敵の撃退に成功したものの、 三つの連邦軍基地が壊滅的な損害を被りました」
ニブハル「なお、今回の戦いでメリオルエッセは 確認されておりません」
アルテウル「我が方の戦績は?」
カーリー「エア・クリスマスとアルファ・セイバー、 ベータ・セイバーによって、約60の ルイーナ機を撃墜……損害は軽微です」
アルテウル「ふむ」
カーリー「司令、意見を具申してもよろしいでしょうか」
アルテウル「ああ」
カーリー「南米は旧西暦時代の国家の枠組みを色濃く残しており、 軍組織においても、それは然り……」
カーリー「地球連邦軍の名を冠していても、 旧国軍同士の連携が上手く成されておらず、 方面軍司令部も完全に統轄しているとは言えません」
アルテウル「やむを得まい。 中近東やアフリカほどではないが、欧米主体の 連邦体制を快く思っていない者は多かろう」
カーリー「そこで、PGSの早期承認を…… 特次副大統領権限で、対ルイーナ戦における指揮権を ガイアセイバーズに与えていただければ……」
カーリー「より効率的かつ効果的な作戦の展開が 可能になると考えます」
アルテウル「時期尚早だな」
カーリー「しかし、我らの敵はルイーナだけではないのです。 それに……戦後、反連邦勢力に睨みを利かせる ためにも、南米戦力統轄の礎を今の内から……」
アルテウル「それでは、適度なガス抜きが不可能となる。 仕事を失う者も多かろう」
カーリー「ですが、ガイアセイバーズの存在意義は……」
アルテウル「いつの時代にも必要悪の存在は不可欠だ。 “敵”がいなくなると困る者達は数多いのだよ」
カーリー「ですが……」
アルテウル「下がりたまえ、カーリー・ナウマン」
カーリー「……はっ」
(足音・カーリーが立ち去る)
ニブハル「司令、他にもお耳に入れたいことが」
アルテウル「何だ?」
ニブハル「ルイーナの襲撃を受けた基地の一つに 鋼龍戦隊が現れ……その後、デモンと 交戦したそうです」
アルテウル「ここしばらく、デモンは一貫して 鋼龍戦隊を狙っているようだな。 やはり、彼らが超機人を擁しているからか」
ニブハル「そうだと思われますが…… その場に出現したのは、デモンだけではありません」
ニブハル「基地の生き残りが、 豹型と魚型のアンノウンを目撃したと 証言したそうです」
アルテウル「!」
ニブハル「映像記録は残っておりませんが、 白い彫刻のような物体だったと……」
アルテウル「豹型と魚型……もしや、神僕か?」
ニブハル「私もその可能性が高いと思い……ご報告した次第です」
アルテウル「鳥型が現れれば、確定と言っても良かろうが…… 2体のアンノウンの動向は?」
ニブハル「デモンと敵対するような素振りを見せ、 すぐに姿を消したそうです」
アルテウル「デモンと敵対……? 妙だな」
ニブハル「ええ…… オーダー・ファイルによれば、超機人や妖機人の主は バラルの神であるとされています」
ニブハル「同種の存在ならば、神僕とデモンは争わぬはずです」
アルテウル「鋼龍戦隊を守った……とも受け取れるな」
ニブハル「どういうことなのです?」
アルテウル「伝承によれば、神僕を操ることが出来る存在は 二つしかない。つまり、その片割れが 鋼龍戦隊にいるのかも知れん」
ニブハル「既にマシアフが彼らに接触していると?」
アルテウル「そうだ。鋼龍戦隊には優秀な念動力者が揃っている。 そして、反逆者として追われながらも、ルイーナや ゲストといった外敵と戦っている」
アルテウル「私利私欲でなく、自らの信念や使命に従ってな。 我々が鋼龍戦隊を選んだように、マシアフもまた 彼らを……」
ニブハル「そうであれば、これまでの策が功を奏しましたね」
アルテウル「ああ。並の者ならば、反逆者の汚名を着せられ、 身内から追撃を受けた時点で心が折れるだろうからな」
アルテウル「試練を与えれば与えるほど、彼らは強靭になる。 それは、L5戦役でも証明された。 後はいかにして仕上げるか、だ」
ニブハル「では……?」
アルテウル「各セイバーに鋼龍戦隊を追撃させる。 それが、現状の最優先事項だ」
アルテウル「ナンバー22や念動力者達はともかく…… マシアフが鋼龍戦隊にいるのであれば、 彼らを突くことによって神僕が姿を現すかも知れん」
アルテウル「それで3体目を確認できれば、確定だ。 我らが欲するもう一つの答えが、 自ずと明らかになる可能性も出て来る」
ニブハル「リ・テクの機体はどうします?」
アルテウル「確定するまでは、保険として必要だ。 NVユニットの完成までに 入手しておきたい所だが……」
アルテウル「パイロット込みでなければ、意味がない。 慎重に事を運べ。場合によっては、彼らを 利用する形でも構わん」
ニブハル「了解しました」
アルテウル(神僕……そして、マシアフ……)
アルテウル(彼らがこのタイミングで現れたのであれば、 これぞまさに……神の導きだと言えよう……)

[グランド・クリスマス 基地内部(ラボ)]

ミタール「まもなく、8号機と9号機がロールアウトする。 本来はヒューゴ少尉とアクア少尉を そのパイロットにするつもりだったが……」
ミタール「残念ながら、彼らの協力が得られそうにないのでね。 今、代わりのパイロットを選考中だ」
エルデ「量産型ジンライのように、 AI0を搭載すれば済む話ですのに……」
ミタール「以前にも言った通り、AI1やAI0で DFCを行うことは不可能だ」
エルデ「いえ……いずれ、可能にしてみせますわ」
ミタール「そうだとしても、そこへ至るには 人間が得たDFCデータが必要だろう?」
エルデ「ですが、MODEL-Xは……」
ミタール「今の所、メディウスと同じ仕様にしてある。 つまり、人間のパイロットとAI1によって 機体制御を行う」
ミタール「もちろん、人間だけでも運用が可能だがね」
エルデ「では、次の任務で結果を出してみせます。 AI1が、人間とDFCの組み合わせより 優れているということを……」
エルデ「TEエンジンとラズムナニウム、その両方を 制御するに相応しい存在だということを示します。 それでご判断下さい」
ミタール「いいだろう。 サーベラスとガルムレイド、そのいずれかを 倒せるのであればな」
アルベロ「……ヒューゴとアクアは、もう不要だということか?」
ミタール「そうだ、少佐。 君も息子の存命を望むのなら、結果を出したまえ。 エルデやAI1と共にな」
アルベロ「………」

[グランド・クリスマス 基地内部(格納庫)]

エルデ「次の作戦、ガンマ・セイバーは私達だけで出撃を…… そして、デルタ・セイバーとの連係を希望します」
アルベロ「我らで結果を出すためにか。 だが……何故、デルタまでも?」
エルデ「露払いが必要でしょう?  先陣を譲れば、トオミネ博士は了承しますわ。 今回、我々と彼のターゲットは違うのですから」
アルベロ「………」
エルデ「博士には私から話しておきます。 お互い、結果を出して目的を達成するために 尽力しましょう」
エルデ「あの二人に対して、くれぐれも手心を加えぬように。 あなたにとっては難しい選択でしょうが……」
エルデ「親ならば、子のことを第一に考えるべきです」
アルベロ「……お前にそのようなことを言われる筋合いはない」
(足音・アルベロが立ち去る)
エルデ(フフッ、哀れな男ね……)

[グランド・クリスマス 基地内部(ガイアセイバーズ 総司令部)]

カオル「共同作戦だと?」
エルデ「そうです。 ジンライとAI0の優秀さを示すために……」
カオル「そのようなことを言って…… ガンマの損耗を抑え、手柄を横取りする気だろう?」
エルデ「確かに、こちらはメディウス一機だけですが…… それで挙げられる戦果など、たかが知れています」
カオル「………」
エルデ「私達のターゲットはあくまでもTEアブゾーバー…… ダブルGではありません」
エルデ「それでも納得がいかないのでしたら…… デルタの指示に従って動きます。ただし、ターゲットを 捕捉次第、独自の行動を取らせていただきますが」
カオル「ならば、許可してやろう。 私のジンライがTEアブゾーバーを 撃墜してしまっても、苦情は受け付けぬぞ」
エルデ「……わかりました」

《太平洋 海中(鋼龍戦隊)》

(格納庫)

トウマ「へ~え……Gバンカランを動かすのって、 割と簡単なんだな」
ミチル「そうや、ワイがいきなり乗って戦えるくらいやからな。 身体の動きと連動しとるし、メンドいことは コンピューターがやってくれよる」
ミチル「あれを作ったキサブローはんは、ホンマ天才やで。 さすが、ショウコはんの爺さんや」
トウマ「……じゃあ、俺でもGバンカランを動かせるかな」
ミチル「腕に自信があるんやったらな。 乗る奴が強うないと、木偶の坊やで」
トウマ「俺、ハイスクールじゃ空手をやってたし…… ルスランさんの所で、AMバトリングの 経験もあるんだけど」
ミチル「Gバンカランはワイのモンじゃ。 ワイはあれでショウコはんを守るんや。 おどれには渡さんで」
トウマ「わかってる、わかってるって」
ミチル「そもそも、何でGバンカランの動かし方を 聞いてきたんや? おどれも戦う気か?」
トウマ「それは……」
(扉が開閉する)
ミナキ「………」
トウマ「あ、ミナキ……」
ミチル「何や、ダイゼンガーの所に……」
ミナキ「………」
トウマ「……ダイゼンガーが気になるのかい?」
ミナキ「トウマ……」
トウマ「邪魔……だったら、向こうへ行くけど」
ミナキ「……ダイゼンガーやアウセンザイターは…… ガーディアンという名の通り、この世界を 守護するための存在……」
ミナキ「でも、ジンライは父様の私怨を晴らすための道具…… 地球がゲストやルイーナの脅威に晒されていても、 それは変わらない……」
ミナキ「父様は……私が抱いていた一縷の望みを 打ち砕いてしまった……」
トウマ「一縷の望み……?」
ミナキ「歪んだ目的で作られても…… いずれは世界を守る存在になればと……」
トウマ「だったら……君がそうすればいいじゃないか」
ミナキ「え……?」
トウマ「君の手でジンライを正してやればいいじゃないか」
ミナキ「どうやって……?」
トウマ「まず、何とかしてジンライを捕まえて…… それから、君が改造を……」
ミナキ「私は…… ジンライは破壊するべきだと思っています。 父様の妄執を止めるために……」
トウマ「だけど、それじゃ君のやってきたことが 無駄になるじゃないか」
トウマ「君もジンライの開発に関わっていたのなら、 あれを真っ当にすることだって出来るんじゃ……」
ミナキ「私に……その資格はありません」
(扉が開閉する・ミナキが立ち去る)
トウマ「ミナキ……」

(休憩室)

アクア「えっ、TEリミッターを?」
ヒューゴ「そうだ。あれを解除した時の機体状態を シミュレートしてくれ」
アクア「解除って……そんなことをすれば、 エンジンがオーバーヒートするわよ?」
ヒューゴ「だが、一時的に出力が上がるはずだ」
アクア「で、でも、危険過ぎるわ。 下手をすれば、機体が動かなくなる」
ヒューゴ「メディウス・ロクスにラズムナニウムが 用いられている以上、一気に片をつけなければ すぐにダメージを修復されてしまう」
ヒューゴ「奴を……アルベロ隊長を確実に止めるには、 TEリミッターを解除するしかない」
アクア私達だけで戦っているわけじゃないのよ?  他の人達と上手く連係すれば……」
ヒューゴ「それはわかってる。 だが、少しでも確実性を高めたいんだ」
アクア「こっちのリスクと引き替えにしても?」
ヒューゴ「……ああ」
ヒューゴ(俺にはもう時間がない…… 次のチャンスを逃すわけにはいかない。 何としても隊長から真相を聞き出さなければ……)
ヒューゴ「頼む、アクア。協力してくれ」
アクア「……わかったわ。パートナーの たっての願いを断るわけにはいかないし…… 今からシミュレートしてみるわ」
(足音・アクアが立ち去る)
ヒューゴ(すまん、アクア)
(足音)
アクセル「……ヒューゴ・メディオ、だったな?」
ヒューゴ「……!」
アクセル「直接顔を合わせるのは、初めてだな」
ヒューゴ「え、ええ……」
アクセル「あの状況で生きていたとは…… お前も悪運が強かったようだな」
ヒューゴ「後から話を聞きました…… あなたが俺やアルベロ隊長を逃がしてくれたと……」
アクセル「おれもホワイトスターでお前達に拾われた…… その借りを返したまでだ」
ヒューゴ「ですが、隊長は……」
アクセル「詳しい事情は知らんが…… せっかく拾った命を粗末にするな」
ヒューゴ「何故、自分にそんなことを……?」
アクセル「さてな、おれにもよくわからん。 お前の顔を見て、そう思っただけだ。 あるいは……」
(アラート)
ヒューゴ「!」

(ヒリュウ改 ブリッジ)

ユン「サン・ゴメス島からの救援要請を傍受!  ルイーナの襲撃を受けているようです!」
レフィーナ「サン・ゴメス島……近いですね」
ショーン「ええ…… 絶海の孤島で、物資輸送の中継基地がありますな。 いかが致しますか?」
レフィーナ「救援要請を看過することは出来ません。 クロガネには先にイティイティ島へ行ってもらいます。 我々は直ちに転針、サン・ゴメス島へ急行します」


第41話
妄念に操られし者(前篇)

〔戦域:サン・ゴメス島空港周辺〕

(ルイーナがいる場所にヒリュウ改とハガネが出現)
レフィーナ「各機、直ちに発進せよ!」
(ダイゼンガーとアウセンザイターが出撃、出撃準備)
ジョッシュ「こんな孤島にまでルイーナが現れるとは……!」
ユウキ「手当たり次第なのか、 それとも北米や中央アメリカ方面への 中継点にするつもりなのか……」
ジョッシュ「雑魚をいちいち潰していても駄目だ…… 早く大元を、南極の遺跡を叩かないと……!」
ゼンガー「急くな、ジョシュア。 一転瓦解の機は、必ず来る。 セプテンプルム戦の時の如く」
ゼンガー「今は眼前の敵に集中せよ」
ジョッシュ「……わかりました」
ジョッシュ(言われた通りだ……今はやれることを 一つずつやっていくしかない)
ゼンガー「ガーディアン1より各機!  先陣は俺とレーツェルが務める!  後方の者は、残敵を掃討せよ!」
(作戦目的表示)

〈敵機全滅〉

エイタ「戦域内のルイーナ、反応消えました!」
テツヤ「よし、対空警戒を厳となせ。 エクサランス・レスキューに 空港の救助活動を要請」
(ハガネにアラート)
エイタ「アンノウン接近! 6時方向より斜行!  上空5000、レンジ4、数は1!」
テツヤ「ルイーナの増援か!?」
エイタ「いえ、速度から判断して、 大型輸送機の類だと目されます!」
テツヤ「連邦軍か、それともガイアセイバーズか……」
エイタ「目標アルファより複数の物体、射出!  こちらへ降下!」
テツヤ「先方から何か通達はあったか!?」
アヅキ「いえ!」
テツヤ「なら、連邦軍ではあるまい!  短SAM攻撃用意!」
レーツェル「あれは……!」
(量産型ジンライが複数落下してくる)
ゼンガー「機忍共か!」
テツヤ「短SAM、撃て!」
レーツェル「ゼンガー!」
ゼンガー「ああ、奴らの狙いは我らだ!」
カイ「各機、散開して迎撃用意!」
エイタ「目標群ブラボー、短SAMを撃墜しつつ降下!」
テツヤ「AAWオート、撃ち方始め!」
カイ「来るぞ! 迎撃!」
(量産型ジンライが出現)
コウタ「あいつら、性懲りもなく!」
エクセレン「影の軍団、何するものよって感じねえ」
リュウセイ「それ、猿じゃねえの?」
コウタ「いや、忍者だろ?」
ライ「無駄口を叩いてる場合か」
アクセル「ダブルGの量産型とはな。 勿体ない使い方をする、これがな」
キョウスケ「まだだ、本命が来るぞ」
(ジンライが出現)
リシュウ「ふん、あれが筆頭のジンライか」
(ジンライから通信)
S-ZLAI「ビアン ノ 理想、遺産 皆滅スベシ。 我コソ 至高」
レーツェル「……トオミネ博士の執念に揺らぎはないようだな」
ゼンガー「笑止。 魂無き機忍に、我らのダブルGは倒せん」
ミナキ「ジンライが……父様……!」
レフィーナ「副長、上空の敵輸送機の動きは?」
ショーン「戦域外へ離脱しつつありますが、 軌道から判断すれば、上空で旋回待機する 可能性が高いですな」
レフィーナ「各機へ伝達。上空からの敵増援を警戒。 それと、空戦用機を上がらせ、敵輸送機の 牽制、または撃墜を」
レーツェル「……ゼンガー、 トオミネ博士の妄念にそう何度も 付き合っていられんぞ」
ゼンガー「わかっている」
ゼンガー「ジンライよ!  今日、この地で引導を渡してくれる!」
(作戦目的表示)

〈NEXT PP〉

ミナキ「皆さん……どうかジンライを…… 父様の妄執を打ち砕いてください……!」
トウマ「ミナキ……」
ミナキ「私の願いが叶わないのなら、もう……」
トウマ「本当にそれでいいのか、ミナキ?」
ミナキ「………」
トウマ「正さなくていいのか、ジンライを?  君がやってきたことを全て否定して…… 諦めてしまっていいのか?」
ミナキ「わ、私は……」

〈vs S-ZLAI〉

[ゼンガー]

ゼンガー「ジンライよ、我が剣速を超えられると思うな!」

[レーツェル]

レーツェル「ジンライ、 お前には決定的なものが欠けている…… そして、それが我らを超えられぬ理由となる!」

[リシュウ]

リシュウ「悪機共め、神妙にせい!  このリシュウが剣にて、討ち取ってくれる!」

[コウタ]

コウタ「てめえらが何体束になって掛かって来ようと、 この俺がぶっ飛ばしてやるぜ!」

[アクセル]

アクセル「3番目のダブルGが如何ほどのものか、 見せてもらおうか!」

状況選択

ジンライを撃墜した
ジンライのHPを15000以下にした


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