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追逃逆転 宇宙ルート ~ 第35話 ~

〔戦域:ムーンクレイドル周辺〕

(ムーンクレイドルの上にビュードリファーがいる)
セティ「ゼゼーナン司令、 ムーンクレイドルの内部調査が終了しました」
(南西にゼラニオが4隻いる)
ゼゼーナン「うむ」
セティ「セキュリティ類の完全解除には まだ時間がかかりますが、機能の55%を掌握。 我が方の拠点としての使用に問題はありません」
ゼゼーナン「猿共め、案外素直に明け渡したな」
セティ「月面都市の頭上を抑えられ、生殺与奪権を握られて、 小細工をするほど愚かではないでしょう」
ゼゼーナン「ふん、それはどうかな。 彼らはウェンドロに勝利しているのだ。 そう簡単に服従するとは思えん」
ゼゼーナン「隙あらば、武器を手にし、挑んでくるだろう。 それが野蛮人たる所以だ」
ゼゼーナン「だが、今はまだ反抗的な者を粛正するだけでいい。 猿共の使い道は色々とある。無駄に数を減らすな」
セティ「はっ」
ゼゼーナン「それと、前回にシュウ・シラカワが仕掛けた NNCネットワークのワーム対策は?」
セティ「全バイオロイドに改良型の自閉モードを 設定しています。シミュレーションでは、第一撃時の 感染率を0.01%以下に抑えました」
ゼゼーナン「では、地球軍の月面基地については?」
セティ「半数を制圧しました。 残りはここへ降下した本隊戦力を以て 抑えに掛かります」
ゼゼーナン「ヘブンゲートの方は?」
セティ「まもなく、ゼブとロフが攻撃を開始します」
ゼゼーナン(さて、ここからだ。 この混乱した状況を利用し、巻き返す。 地球圏を我が地盤とするためにな……)

[ハガネ 艦内(個室)]

カイ「そうか、イングがそんなことを……」
リョウト「ガリルナガンとアーマラ・バートンの件で 一番戸惑っているのは、彼だと思いますが……」
カイ「……ヴィレッタ、ラミア。お前達はどう考える?  かつての立場を踏まえた上での意見を聞きたい」
ラミア「イングがガイアセイバーズから送り込まれた 工作員だという可能性はありましょう」
ラミア「彼の過去は彼自身…… そして、ガイアセイバーズに所属していた アリエイルも知らないのですから」
リオ「でも、イングはラウル達が偶然発見し、 ハガネに運び込まれたんです」
リオ「それも、たまたまあの人達が鋼龍戦隊の 演習区域の近くにいたからであって…… 意図的なものは感じられないんですが」
カイ「その点はもっともだ。 鋼龍戦隊と確実に接触するのなら、 アリエイルのような手段を取って然るべきだからな」
カイ「もっとも、彼女が工作員だとしたら、 俺達に手の内を明かし過ぎだが」
ラミア「ええ……ドゥバン・オーグの態度から判断しても、 アリエイルの行動に裏があるとは思えません」
リオ「だったら、イングも……」
ヴィレッタ「だが、記憶を失う前の彼が どのような任務を与えられていたか、 それは不明だ」
ヴィレッタ「本来は別の手段で鋼龍戦隊と接触する予定だったが、 何らかの事故が発生して記憶を失い……」
ヴィレッタ「偶然が重なった結果、 ハガネへの潜入に成功したとも考えられる」
リョウト「そ、そんな……余程の強運の持ち主でない限り、 無理な話です」
ヴィレッタ「同感だが、可能性がゼロだとは言い切れないわ」
ラミア「かつての私は、偶然に近い形でシロガネと 接触しましたが……予めそのようなケースを 想定した上で、段取りが整えられていました」
カイ「そうだったな。 お前は、イスルギ重工から派遣された テストパイロットだということになっていた」
ラミア「さらに私の場合、シャドウミラー本隊との 連絡手段に問題があったのですが……解決策として W16が派遣され、秘密裏に接触しました」
ラミア「仮に、イングがガイアセイバーズの工作員であり、 記憶喪失という問題が生じていたとして……」
ラミア「その対策、または軌道修正が アーマラとガリルナガンだとしたら、 あまりにも杜撰な手でありんす」
ヴィレッタ「そうね……あれではイング自身が疑われるだけ。 その結果、鋼龍戦隊から外されるという リスクを想定していない」
ラミア「ですが、イングの力を引き出そうとしたことで、 アーマラ……いえ、アルテウルが彼を利用し、 何かを企んでいる可能性が出て来ちゃいました」
カイ「………」
リオ「カイ少佐……この後、イングは……」
カイ「戦力が半減している現状で、 アッシュを扱える彼を外すのは得策ではない」
カイ「だが、監視を怠るな。 そして、本人も自覚している通り…… 最悪の場合は非情の選択をせねばならん」
ヴィレッタ「……了解」
カイ「では、以上だ。 10分後に次の作戦のブリーフィングを行う。 遅れるなよ」

[ハガネ 艦内(通路)]

リオ「ねえ、リョウト君…… イングの記憶はこのまま戻らない方が いいんじゃないかしら……」
リョウト「……その是非を決めるのは、彼本人だよ」
リオ「だけど…… もし、あの子が記憶を取り戻して、 私達の敵になってしまったら……」
リョウト「イングも覚悟をしているけど…… その時は、彼を助けよう」
リョウト「念の力を持っているのは、僕達だけじゃない…… みんなで力を合わせれば、何とかなるさ」
リオ「うん、そうね……」

[ハガネ ブリーフィング・ルーム]

カイ「では、ブリーフィングを始める。 まず、この映像を見てもらおう」
(モニターオン)

(ヘブンゲート全景)

カイ「アリエイルから提供された ヘブンゲートの画像データだ」
カイ「破損した部分は補強され、 以前とほぼ変わりない耐久性を 持っていると思われる」
カイ「だが、作戦目的は ヘブンゲートの破壊や奪還ではない」

[ハガネ ブリーフィング・ルーム]

カイ「最優先事項はメリオルエッセ…… イグニスを捕らえることだ」
アクセル「何……? 何故、そんなことを?」
ラミア「彼から地球消失に関する情報を 聞き出すのでございますです」
アクセル「素直に答えるような奴なのか?」
アラド「そんな感じじゃなかったッスけど……」
イルム「まあ、望みは薄いね」
カイ「捕獲が困難であれば、追い詰め、撤退させろ。 それで地球方面へ向かうようなら、都合がいい」
アクセル「ふん……その方がまだ性に合っているな」
カイ「我々はアルファ、ブラボー、チャーリーの 三手に分かれ……」
カイ「足の速い機体で編成されたアルファは、 イグニスをなるべくヘブンゲートから 離れた所へ誘き出す」
カイ「そして、ブラボーは奴の退路を断ち、 チャーリーが捕獲を試みる」
カイ「なお、状況が不利となった場合、 メリオルエッセを確認できない場合は、 速やかに戦域から撤退する」
カイ「何か質問は?」
ライ「メリオルエッセがヘブンゲートへ 撤退してしまった場合は、どうするのです?」
カイ「その時は仕切り直しだ。深追いせぬように。 ヘブンゲートにどれだけの敵戦力がいるか わからんからな」
ライ「了解です」
カイ「では、各員、ベストを尽くせ。以上だ」

《ヘブンゲート付近(ハガネ)》

[ハガネ ブリッジ]

エイタ「ヘブンゲートの第一防衛ライン到達まで、 あと800」
テツヤ「そろそろ敵がこちらに気づく頃だ。 全周警戒を厳となせ
(アラート)
エイタ「艦前方、第二防衛ライン付近に重力震反応多数!  ゲストのSEウェーブ・パターンです!」
テツヤ「ゲスト!? まさか、連中もヘブンゲートを!?」
エイタ「かなりの戦力が転移出現したようです!」
テツヤ「両舷停止! しばらく様子を見る!」

〔戦域:ヘブンゲート周辺宙域〕

(ルイーナが展開している所にゲストの小隊が転移して来て、ルイーナ機を攻撃、 3隊目はルイーナ機に重なるように転移し、ルイーナ機、ゲスト機とも全機爆発。 北東端にオーグバリューとゼイドラムがいる)
ゼブ「あ~らら、第3波は敵機の中に転移しちゃったか」
ロフ「機体を無駄遣いしているだけだ。 ミサイルを転移させた方がいい」
ゼブ「そ~れだと、変化する状況に対応で~きないよ 今の内にヘブンゲートを抑えなきゃ、 後々大変な~んだから」
ロフ「……わかっている」
ゼブ「ま、こっちにも損害が出てるけ~ど、 こ~の様子じゃ、オーグバリューと ゼイドラムの出番はないか~もよ」
ロフ「………」
イグニス「チッ、奴らめ…… 空間を跳ぶなどと、味な真似を……!」
(インペトゥスに通信)
???(コンターギオ)「手こずっているようだな、イグニス」
イグニス「そういう貴様はどうなんだ?」
???(コンターギオ)「ミーレスの数が足りぬな。 このままでは押し切られかねん」
???(コンターギオ)「宇宙に魂を持たぬ軍勢があれほどいるとは、 予想外だった」
イグニス「面倒だ、要塞ごと吹き飛ばすか」
???(コンターギオ)「人間は、一度手に入れた物を失った時、 その重要さに比例して絶望を感じる。 あれは残しておいた方が得策であろうよ」
イグニス「フン、物は言い様だな。 で、俺達はどうする?」
???(コンターギオ)「いったん撤退する。 それに、ウンブラから報告があってな……」
???(コンターギオ)「セプテンプルムに 人間共の軍勢が集結しつつあるようだ。 そこで、その頭上を抑えろと依頼が来た」
イグニス「奴らめ、 アートルム・エクステリオルを破るつもりなのか?  無駄なことを」
???(コンターギオ)「天と地から挟撃されれば、一たまりもあるまい。 そして、そこに集った者達の負の波動を 一気に集められよう」
イグニス「ハハハッ、その方が面白そうだな」
???(コンターギオ)「ならば、地球へ戻る。お前は退路を切り開け」
イグニス「よかろう」
(インペトゥスが撤退)
ゼブ「お~や、大将が逃~げちゃったよ。 勝負あ~ったかな」
ロフ「追撃する。後は任せるぞ、ゼブ」
ゼブ「了解だ~けど、 俺達の任務はヘブンゲートの奪還と制圧。 功を焦って、深追いするんじゃな~いよ」
ロフ「わかっている」
(ゼイドラムが撤退)


第35話
追逃逆転

〔戦域:宇宙空間〕

(ハガネが出現、ハガネにアラート)
エイタ「レーダーに感あり!  ルイーナ群、11時方向、俯角5、レンジ4!  メリオルエッセ機も確認!」
(インペトゥスが出現、アンゲルスが複数出現)
テツヤ「本艦を狙って来たのか!?」
エイタ「いえ、進行コースから判断して、 ヘブンゲート宙域から離脱するようです!」
カイ「艦長、メリオルエッセが現れたのなら好都合だ!  出撃許可を!」
テツヤ「了解! 各機、出撃せよ!」
(出撃準備)
アクセル「……あれがルイーナとやらか。 まったく、この世界は珍妙な来訪者に事欠かんな」
イルム「あんたに言えることじゃないと思うが、同感だぜ」
カイ「イグニスを追い詰めて、捕獲を試みる!  足の速い機体は先行しろ!」
イグニス「今、貴様らと遊んでいる時間はない!  邪魔をするな!」
カイ「各機、雑魚には構うな!  イグニスを狙え!」
(作戦目的表示)

〈インペトゥス以外の敵機全滅 or インペトゥスのHP80%以下〉

イグニス「ハハハッ、貴様らには捕まらんよ! さらばだ!」
(インペトゥスが撤退。残っている敵機が撤退)
エイタ「目標、急加速! 戦域から離脱します!」
テツヤ「逃がすな! 追うんだ!」
(ハガネにアラート)
エイタ「ゲストの機動兵器群、急速接近!」
(ゲスト軍が出現)
テツヤ「彼らもイグニスを追っていたのか……!」
ラトゥーニ「データにない機体が1機いる……!」
ロフ「こんな所に鋼龍戦隊がいるとはな……」
アヤ「この状態でイグニスを追撃したら、 背中から撃たれる……!」
ロフ「ここはゼブが言った通り、 本来の任務を成し遂げるために 彼らを撃退せねばならんな」
ロフ「各機、攻撃目標を鋼龍戦隊に変更せよ」
テツヤ「このままではこちらが包囲されるか……!  各機、本艦の突破口を開け!  その後、現戦域より離脱する!」
イルム「やれやれ…… 追ったり、逃げたり、忙しいこって」
ロフ「ここで退路を断つ!  お前達のことわざにもあるだろう…… 袋の鼠という状況だ!」
イルム「ロフか!  なら、地球のことわざをもう一つ教えてやるぜ…… 窮鼠猫を噛む、ってのをな!」
(作戦目的表示)

〈vs ロフ〉

[イルム]

ロフ「我が友から贈られた友誼(ゆうぎ)の証、 このゼイドラムの力を思い知ってもらおう!」
イルム「いかつい猫だな!  だが、その分、噛み応えがあるってもんさ!」

[アクセル]

アクセル「お前達はかつてのおれ達と同じ…… 招かれざる客だ、これがな」
ロフ「かつての……? 何者だ、お前は?」
アクセル「ウェンドロやヴィガジに聞くがいい…… 冥府でな!」

〈ゲスト軍を25機以上撃墜 or ゼイドラムのHP25000以下〉

エイタ「艦長! 突破口が開かれました!」
テツヤ「よし、現戦域から離脱する! 各機は遅れるな!」
(味方機が全て撤退)
ロフ「……鮮やかな引き際だ。 ならばこそ、強敵だと言える」
(ゼイドラムに通信)
ゼブ「……ロフ、こ~っちはヘブンゲートに取り付いた。 そ~ろそろ戻って来てく~れるかな?」
ロフ「了解した。 周辺宙域の残敵を掃討しつつ、そちらへ向かう」

[ハガネ ブリッジ]

テツヤ「エイタ、イグニスが向かった先はわかるか!?」
エイタ「軌道要素から推測中ですが、 地球へ向かっていると思われます!」
テツヤ「各機の収容を急げ!  その後、最大戦速でイグニスを追跡する!」


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