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偽面の報復者 地上ルート ~ 第33話 ~

《グランド・クリスマス》

[ガイアセイバーズ 総司令部]

アルテウル「……北極海のアンノウンに対し、 地球連邦軍の北米、北欧、極東各方面軍が 共同作戦を展開する」
アルテウル「そして、我らガイアセイバーズも それに参加することになった」
アルテウル「エア・クリスマスとアルファ・セイバーは ベーリング海峡からボーフォート海へ進入せよ」
カーリー「はっ」
アルテウル「アルベロ・エスト……ガンマ・セイバーは イグアスと共にグリーンランド海から 北極海へ進入するのだ」
アルベロ「了解」
エグレッタ「投入する戦力は、それだけ?  オメガとベータは相変わらず、音信不通なのかい?」
アルテウル「ああ、彼らは宇宙に上がっていたのでな」
アルベロ(オメガ……?  我らの他にまだセイバーが存在していたのか)
カオル「アルテウル司令、デルタ・セイバーは…… 私のジンライは引き続き鋼龍戦隊を追撃ということで よろしいですな?」
アルテウル「いや、デルタ・セイバーは、 グランド・クリスマスで待機せよ」
カオル「お言葉ですが、司令…… 前回の結果を懸念されておられるのでしたら、 あれは……」
アルテウル「今、我々が優先すべきは 外敵の排除と陽光の奪還だ」
アルテウル「現在、民衆が最大の関心を寄せている 今回の作戦で成果を出せば、我々の存在意義に 疑念を抱く者は減少するだろう」
エグレッタ「大統領は守れなくても、 地球は守れるってことを証明しなきゃね」
カーリー「エグレッタ・ウーノ、口を慎め!」
エグレッタ「ふん……抜け駆けはありってことでいいのかな?」
アルテウル「そのためのキャニスとエア・クリスマスだ。 お前達の実力を示せ」
エグレッタ「ふふっ、了解」
カーリー「司令、もし北極圏へ向かう途中で、 鋼龍戦隊と接触した場合は、 どう対処すればよろしいでしょうか」
アルテウル「接収を試みろ。 リ・テクノロジストの機体を最優先でな。 あれは、アンノウンとの戦闘で使えるかも知れん」
カーリー「はっ」
アルテウル「接収が不可能だと判断した場合、 または北極圏での作戦に支障が出ると判断した場合は 深追いするな。機会を改めるのだ」
エグレッタ「……僕としちゃ、アンノウンより あの連中とやり合いたいんだけどねぇ」
カオル「私のジンライも、 本来はダブルGを倒すために……」
アルテウル「お前達がそれぞれ何らかの形で 鋼龍戦隊と因縁を持っていることは 承知しているが……」
アルテウル「後々のことを踏まえ、 極力無傷で彼らの機体を入手したい」
アルベロ「それは、ツェントル・プロジェクトの機体も 含めてということでよろしいか?」
アルテウル「その件については、ザパト博士の指示に従え」
アルベロ(……随分と信用が厚いのだな、あの男は。 それとも、単に利用されているだけか)
アルベロ(いずれにせよ、 ヒューゴが真相を知るのは時間の問題か……)
アルテウル「では、エア・クリスマス、アルファ・セイバー、 ガンマ・セイバーは準備が整い次第、出撃せよ。 以上だ」

《太平洋上(ヒリュウ改)》

[ヒリュウ改 格納庫]

アクア「あ、あなた、本気で言ってるの!?」
ヒューゴ「ああ、俺はヒリュウから降りる。 もう決めたことだ。今からレフィーナ大佐と ギリアム少佐に上申してくる」
アクア「何の相談もなく、勝手に!  あなただけの問題じゃないでしょう!」
ヒューゴ「いや、俺だけの問題だ。お前はここに残れ」
アクア「な、何でよ!?  私が足手まといだって言うの!?」
ヒューゴ「お前も気づいているだろうが、 俺とミタール・ザパトには浅からぬ因縁がある。 それにお前を巻き込むわけにはいかない」
アクア「えっ……」
ヒューゴ「いいか、アクア…… お前は、ツェントル・プロジェクトから降りろ。 父親に頼れば、何とかなるだろう?」
アクア「あ、あなた……調べたの?」
ヒューゴ「ああ、テイラー・ケントルム上院議員……それに、 ケントルム・エクスプレス。単なる同姓かと思って いたが、正真正銘の御令嬢だったとはな」
アクア「……娘が反乱者の一員なのよ。 今頃、父達は大わらわだわ」
ヒューゴ「ともかく、これ以上俺に付き合う必要はない。 いいな?」
(足音・ヒューゴが立ち去る)
アクア「………」

[ヒリュウ改 ブリーフィング・ルーム]

レフィーナ「なるほど、シュンパティアが……」
ギリアム「ええ。グラキエースというメリオルエッセは、 ジョッシュを警戒していたようです」
レフィーナ「その話の信憑性は?」
ジョッシュ「……何とも言えません。 俺はシュンパティアを通じて、グラキエースの声を 聞いただけですから」
レーツェル「とは言え、君の機体が貴重な手掛かりであることに 違いはなかろう」
ギリアム「そこで、レフィーナ大佐…… 具申したいことがあります」
レフィーナ「何でしょう?」
ギリアム「ルイーナや次元断層に関する情報を収集するため、 ジェイコブ中将の許可を得て、我々も北極海へ 赴くべきかと考えます」
ジョッシュ「ギリアム少佐……」
ギリアム「君は、例え一人でも 北極へ向かうつもりだったのだろう?  エクセレン少尉が心配していたぞ」
ジョッシュ「それは……」
ギリアム「もはや、君だけの問題ではないのだ。 それに、シュンパティアはルイーナの謎を解く 鍵になり得る……」
ギリアム「あるいは、次元断層に関しても。 君は、そう考えているのだろう?」
ジョッシュ「………」
レフィーナ「こうしている間にも、刻一刻と地球は蝕まれています。 それを食い止められる可能性が少しでもあるのなら、 賭けてみるべきだと判断します」
レフィーナ「ジョッシュ…… 改めて、私達に協力していただけませんか?」
ジョッシュ「あ、いえ……本来なら、こちらの方から お願いしなければならないことです。 気を遣ってもらって、すみません」
レフィーナ「では、民間人をメキシコで降艦させた後、 北極海へ向かいます」
レフィーナ「ギリアム少佐、連邦軍やガイアセイバーズの 北極海進入コースに関するデータを入手できますか?」
ギリアム「やってみましょう」

[ヒリュウ改 艦内(食堂)]

トウマ「しかし、本当に広いな、この艦は。 他のブロックに入ったら、迷子になりそうだ」
コウタ「そりゃまあ、コンパチカイザーみてえな スーパーロボットが何体か入るぐれえだからな」
トウマ「でも、広い割にはクルーの人数が 少ないみたいだな……」
タスク「艦内は色々と自動化されてるからな。 空母なんかより、乗員は遥かに少ないぜ」
(扉が開閉する)
ブリット「……ゼンガー少佐が稽古に付き合って下さるなら、 気合が入ります」
ゼンガー「うむ。 このような時こそ、鍛錬を欠かさぬようにせんとな」
トウマ「……あの人が、ダイゼンガーのパイロット?」
タスク「ああ、親分ことゼンガー・ゾンボルト少佐さ」
トウマ「あ、あの、ゼンガー少佐!」
ゼンガー「む?」
トウマ「俺、トウマ・カノウって言います。 少佐には二度助けていただきました。 そのお礼を言わせて下さい」
ゼンガー「君は……コモディン島の民間人か」
トウマ「はい」
ゼンガー「二度、と言ったな。以前にも?」
コウタ「トウマは修羅の乱の時、函館で修羅将軍のマグナスに 捕まってたんだってさ」
ゼンガー「ふむ……奇縁だな」
トウマ(そうだ……これも何かの縁かも知れない……)

[ヒリュウ改 ブリーフィング・ルーム]

レフィーナ「そうですか……そのような事情が……」
ヒューゴ「……ええ」
レーツェル「アクア少尉や他の者達は知っているのか?」
ヒューゴ「いえ…… カイ少佐には事情を説明してありますが」
ギリアム「………」
ヒューゴ「TEアブゾーバーに発信器が 仕込まれていたことから判断して……」
ヒューゴ「ミタール・ザパトは自分だけでなく、 特殊戦技教導隊……そして、鋼龍戦隊をも利用し、 何かを企んでいる可能性が高い……」
ヒューゴ「あの男の背後にガイアセイバーズがいるなら、 尚更です。それに、上手くいけば、真相を解明する 糸口が掴めるかも知れません」
ギリアム「だが、先方も君の行動を予期しているはずだ。 非常に危険だぞ」
ヒューゴ「わかっています。 ですから、鋼龍戦隊に累が及ばぬよう 別行動を取らせていただきたいのです」
レフィーナ「今、私達が置かれている状況で あなたという戦力が抜けてしまうのは 望ましいことではないのですが……」
レフィーナ「そういう事情であれば、やむを得ません。 降艦を許可します」
ギリアム「……私の部下達もツェントル・プロジェクトに 対する内偵を進めている。彼らに君のサポートを させよう。後で合流ポイントを指定する」
ヒューゴ「ご配慮、ありがとうございます」
レフィーナ「余計な誤解が生じぬよう、他の者達には あなたがギリアム少佐絡みの任務に就くと 説明しておきますが……」
レフィーナ「アクア少尉には、 真実を話さなくてよろしいのですか?」
ヒューゴ「ええ。 ミタールに利用されるのは、自分だけで充分です」
レフィーナ「………」

[ヒリュウ改 艦内(通路)]

カチーナ「ヒューゴ、ヒリュウから降りるそうだな」
ヒューゴ「……逃げ出すわけじゃありませんよ」
カチーナ「そんなこたあ、わかってるよ。 やましいことがあるなら、断りなんざ入れずに トンズラするだろうからな」
ヒューゴ「………」
ジョッシュ「もしかして、例の発信器と関係があるんですか?」
ヒューゴ「そうじゃない」
ジョッシュ「じゃあ、何故?」
ヒューゴ「お前が抱えているほどの事情じゃないさ。 まだ俺一人の問題で済むかも知れんしな」
ジョッシュ「え……?」
ヒューゴ「……ジョッシュ、あまり思い詰めるなよ。 お前は……俺みたいになるな」
(足音・ヒューゴが立ち去る)
ジョッシュ「ヒューゴ少尉……」

[ヒリュウ改 格納庫]

(扉が開閉する)
アクア「……遅かったわね、ヒューゴ」
ヒューゴ「その格好……どういうつもりだ?」
アクア「決まってるじゃない。 私もTEアブゾーバーに乗るのよ」
ヒューゴ「俺に付き合う必要はないと言ったはずだ」
アクア「私だって、プロジェクトの真相を知りたいもの。 それに、途中で敵と遭遇したら、 誰がDFCをやるの?」
ヒューゴ「………」
アクア「少なくとも、ギリアム少佐のスタッフと 接触するまでは一緒に行くわよ」
ヒューゴ「……勝手にしろ」
アクア「ええ、そうさせてもらうわ」


第33話
偽面の報復者

〔戦域:孤島〕

(海中からヒリュウ改が浮上する)
ショーン「艦長、浮上完了しました」
レフィーナ「対空警戒を厳となせ。 ヒューゴ少尉達の発艦後、直ちに潜行」
(ヒリュウ改にアラート)
ユン「ESM探知!  高熱源体複数、2時方向より来ます!」
(ヒリュウ改に爆煙、エア・クリスマスを含む敵機が出現)
レフィーナ「ガイアセイバーズ!」
ショーン「よりにもよって、彼らの旗艦が……!  いかがします、艦長?」
レフィーナ「相手の出方を見ます。初手で有効打を打たなかった ことから判断して、こちらの機体を接収するという 目的は、まだ生きていると思われますから」
ショーン「しかし、彼らは実力行使を厭いませんぞ。 今の所、大義名分は向こうにあるのですからな」
レフィーナ「わかっています。総員、第1種戦闘態勢を維持。 本艦は現在位置でTD滞空。現戦域からの 離脱コース計算。オーバー・ブースト、高速航行準備」
レフィーナ「各機は出撃後、本艦の加速空間の確保を。 ただし、命令あるまで攻撃は禁ず」
ショーン「現戦域からの離脱を最優先、ですな。 賢明なご判断です」
(出撃準備)
ヒューゴ(くそっ、ガイアセイバーズめ、 このタイミングで……!)
アクア「ヒューゴ、どうするの!?」
ヒューゴ(これは……行くなということなのか?)
エグレッタ「フフフ……出て来たな」
エグレッタ(イング…… それに、ブロンゾ28達はいないようだが……)
ゼンガー「………」
エグレッタ(ゼンガー・ゾンボルト…… お前と再び出会える日を待っていたよ)
カーリー「もし、と司令には言ったが、 こうもあっさりと接触するとはな……」
エグレッタ「フフッ、縁があるんだよ」
カーリー「アルファ1、私がヒリュウへ呼びかける。 指示あるまで攻撃を禁止する」
エグレッタ「戦力温存のためかい?  無駄だよ、僕とお前がいる以上は」
カーリー「繰り返す。指示あるまで攻撃を禁止する」
エグレッタ「ふん……もう彼ら相手に正体を隠しても 意味はないのに」
(ヒリュウ改に通信)
ユン「艦長、エア・クリスマスから入電!」
レフィーナ「つないで下さい」
カーリー「……鋼龍戦隊旗艦ヒリュウ改に告げる。 私は、ガイアセイバーズ旗艦、エア・クリスマス艦長、 カーリー・ナウマン大佐だ」
ショーン「あの男は……!」
エクセレン「あ、あれ、リー・リンジュン中佐よね!?」
キョウスケ「ああ……他人の空似でなければな」
コウタ「そのリーってのは、誰なんでえ?」
ブリット「シロガネの艦長だった人物だが……連邦軍から離反し、 シャドウミラーやインスペクター側についた」
コウタ「な、何でそんな奴が ガイアセイバーズにいるんだよ!?」
エクセレン「そこら辺は、 レフィーナ艦長が問い質してくれるでしょ」
カーリー「……貴様らは地球連邦政府に対する反乱者として 指定され、攻撃許可も下されている」
カーリー「速やかに武装解除の上、投降せよ。 これに従わぬ場合は、攻撃を開始する」
レフィーナ「現在、最優先で対処しなければならないのは、 地球を包み込んだ次元断層と無差別殺戮を 繰り返すルイーナなのではありませんか?」
カーリー「問題をすり替えるな。 貴様らは大統領を殺害した罪人なのだぞ」
レフィーナ「では、お聞きします。 何故、あの時、大統領機を発進させたのです?」
カーリー「……!」
レフィーナ「ハガネの針路上には、アーチンが出現しました。 いえ、それ以前に……大統領を脱出させる気なら、 何故、もっと早くそうしなかったのです?」
カーリー「貴様らが素直にアルテウル司令の命令を 受け入れていれば、あのようなことにならなかった」
レフィーナ「現状のGS特権は、連邦軍への命令を 保証するものではありません」
レフィーナ「故に我々は、然るべき筋を通し、 然るべき場所にて、責に対する申し開きを 行うと述べ、大統領への直接説明も希望しました」
レフィーナ「しかし、大統領があの場にいたにも関わらず、 アルテウル司令はそれを拒否したのです」
カーリー「……逆に問うが、大統領が直接命令を下していれば、 貴様らは従ったのか?」
レフィーナ「それが正当なものであれば。 しかし、あなた方は一方的に戦端を開きました。 南極で異常事態が起きているにも関わらず」
カーリー「何が言いたい?」
レフィーナ「アルテウル司令の真の目的は、大統領暗殺…… そして、我々をその犯人に仕立て上げること だったのではありませんか?」
カーリー「……あれが我々側の陰謀だとでも?  言い掛かりも甚だしい」
レフィーナ「そうでしょうか。 あの時の艦隊陣形は、意図的に我々をある方向へ 離脱させるべく組まれたとも思えます」
レフィーナ「そして、その先へ都合良く現れたアーチン…… ゲストの決定打だとしたら、何故、威力偵察用の 機体だけを送り込んだのでしょう?」
カーリー「あれも我々が仕組んだことだと言いたいのか?」
レフィーナ「アーチンは、DC戦争前後から現れていました。 ろ獲し、運用することも可能でしょう」
カーリー「貴様が言っていることは、状況証拠にもならん。 単なる推測だ。どうとでも話は作れる」
レフィーナ「では、人々はあなた方が作り上げ、公表した話を 信じているとも言えますね」
カーリー「屁理屈を。 貴様らが大統領を殺害したのは、 紛れもない事実なのだぞ」
レフィーナ「……ええ、我々は踊らされました。 ですが、ガイアセイバーズは 他にも疑わしい点が多い……」
レフィーナ「あなた方は、本当に地球圏を守護する剣たり得るのか。 それとも、守護者の仮面を被った権力簒奪者なのか」
レフィーナ「我々は、然るべき場所で真実を明らかにしてみせます。 今は、反乱者の汚名を被ろうとも」
レフィーナ「その後で、 我々が犯した罪に対する裁きを受けましょう」
カーリー「大した自信だな。こちらは損耗を抑えるべく、 降伏勧告をしているのだが……」
エグレッタ「……これ以上は時間の無駄だな」
(キャニス・アルタルフから砲撃。ヒリュウ改の前方に爆煙)
アイビス「やっぱり、向こうはやる気なんだ!」
カーリー「アルファ1、貴様!」
エグレッタ「お前もそうだろうが、僕も彼らに借りがあってね。 こういう機会を待っていたのさ」
カーリー「命令に背くつもりか!」
エグレッタ「鋼龍戦隊とは、いずれ決着を付けることになるんだ。 ここで戦力を削いでおいても、 アルテウルは文句を言わないさ」
エグレッタ「リ・テクのマシンを手に入れれば、尚更ね」
カーリー「状況を考えろ!」
エグレッタ「なら、お前は何故、連中を看過しなかった?  さっさと北極へ向かえば良かったじゃないか」
カーリー「………」
エグレッタ「ま、気持ちはわかるよ。 僕が勝手にやったことだと言い訳すればいいさ」
カチーナ「何だ、てめえ……何者だ!?」
エグレッタ「僕はエグレッタ・ウーノ。 君達にはイーグレット・ウルズと名乗った方が わかり易いか」
カーラ「ええっ!?」
ユウキ「イーグレット・ウルズだと!?」
ゼンガー「生きていたのか……!」
エグレッタ「そうさ。 危うく地の底で永遠の眠りにつく所だったけどね」
キョウスケ「……ここにいるサマ師は、一人だけではなかったか」
カチーナ「リーと言い、てめえと言い、 あたしらと戦ってきた連中が地球圏の守護者だと!?  看板に偽りありまくりじゃねえか!」
フィオナ「ガイアセイバーズ…… アリエイルが言っていた以上の胡散臭さね……」
ラウル「正体を明かしたのは失敗だったな。 この事実を公表すれば、ガイアセイバーズは……」
エグレッタ「どうなると言うんだ? 今、体制側にいるのは僕達…… それに、こういう状況だ。人間達は罪人の言い訳より、 守護者の言葉に耳を傾けるよ」
ラウル「だが、お前達が過去にやったことを暴けば!」
エグレッタ「フッ、過去なんてどうとでもなるさ。 君達の中にも、かつてはDCコロニー統合軍に属し、 連邦軍と敵対していた者がいるだろうが」
レーツェル「………」
レオナ「………」
エグレッタ「そういう連中が、地球の守護者面をしている。 何故か? 結果を出し、勝者となったからさ」
エグレッタ「だから、僕達は反乱者を粛正し、 侵略者共を駆逐して、地球圏を護る」
エグレッタ「その時、この仮面の中に疑いを持つ者はいない…… いや、持ったところで無意味だろうけどね」
ギリアム(無意味だと……?)
エグレッタ「今や立場は逆転した。 地球圏の平和は、君達の代わりに僕達が守ってやる」
ゼンガー「それが本意ではあるまい」
エグレッタ「そうだよ。 マシンナリー・チルドレン、そのオリジネイターたる 僕の身体とプライドを打ち砕いた人間共……」
エグレッタ「特にゼンガー・ゾンボルト。 お前がもがき苦しみ、死んでいく姿を モデレーターの中で何度夢見たことか」
ゼンガー「ならば、再び地の底へ戻り、 その夢を見続けるがいい」
エグレッタ「フン……あの時の雪辱を果たしてやるよ」
レフィーナ「副長、戦域離脱までに要する時間は?」
ショーン「あと5分ほどです」
レフィーナ「では、各機に伝達。 本艦は5分後に現戦域からの離脱を試みる。各機は 本艦の護衛と加速空間確保を最優先するように」
ショーン「敵への反撃は?」
レフィーナ「許可します。口火を切ったのは向こうですし…… ここで反撃せずとも、その事実は 歪められるでしょうから」
ショーン「ヒューゴ少尉とアクア少尉は?」
レフィーナ「彼らの判断に任せます」
ヒューゴ「………」
アクア「ねえ、どうするのよ、ヒューゴ!」
ヒューゴ(……ミタールと接触すれば、 鋼龍戦隊を今以上に不利な状況へ追い込みかねん。 薬は……ギリギリまでもたせるしかないか)
ヒューゴ「アクア、俺達も戦闘に参加する」
アクア「ヒューゴ……!」
ヒューゴ「ミタールの掌上で踊らされているとしても これ以上、下手を打つわけにはいかん」
アクア「わかったわ。ガイアセイバーズに対しては、 私の忍耐力も品切れだしね」
エグレッタ「アルファ1より各機。 リ・テクのマシンと指定した機体は破壊せず、ろ獲。 それ以外は潰しても構わない」
(作戦目的表示)

〈vs エグレッタ〉

[ゼンガー]

ゼンガー「貴様はあの時、アースクレイドルで 斬り捨てたはず」
エグレッタ「ああ、おかげで再生にかなりの時間を要した。 これ以上ない屈辱だったよ」
エグレッタ「今度はお前が斬られる番だ。 反乱者として、惨めに死んでいくがいい!」

[ヒューゴ]

ヒューゴ(かつて、俺達クライウルブズが アースクレイドルへ赴いた時…… 奴はあそこから運び出されていたのか?)
ヒューゴ(もしかして、 俺はその片棒を担いでしまったのか……?)

[ジョッシュ]

エグレッタ「あの機体にあいつらの謎を解く鍵があるとはね」
ジョッシュ「あいつ……あの動き、何をするつもりだ!?」

[リム]

エグレッタ「り・テクのマシンか。 戦闘能力を奪って、ろ獲する」
リム(リアナ)「あいつ、こっちの様子を窺ってる……!?」

〈vs カーリー〉

[キョウスケ]

キョウスケ「リー・リンジュン…… どの面を下げて、その艦に乗っている?」
カーリー「軟弱な連邦軍は、理想の軍隊たり得ん。 シャドウミラーなき今、ガイアセイバーズこそが……」
カーリー「最高権力者の剣こそが、我が理想の軍隊。 私を拾って下さったアルテウル司令に報いるべく、 恥を忍んでここにいる」
キョウスケ「ガイアセイバーズが理想の軍隊だと?  サマ師の集団にしか見えんな」

[エクセレン]

エクセレン「マシンナリー・チルドレンの坊やと言い、 あなたと言い……懐かしい顔が揃ったわよね。 嬉しくないけど」
カーリー「エクセレン・ブロウニング…… そのふざけた態度は相変わらずか」
エクセレン「事情は色々とあったんでしょうけど、 カーリーって名前はどうなのかしらん?  バレバレなのよねぇ、かなり」
エクセレン「あなたも仮面をつけた方が 良かったんじゃない?」
カーリー「黙れ。 貴様らは反逆者であり、大統領を殺害した罪人だ。 立場をわきまえろ」
エクセレン「……大統領さんがあんなことになって、 こっちが得をすることなんて何もないのよね」
エクセレン「ドサマギで企んだことでしょうけど…… いずれバレるわよ、あなたのボスの目論みは」

[カチーナ]

カチーナ「よくもまあ、いけしゃあしゃあと そんな所にいられるもんだな!」
カーリー「大義のためならば、生き恥をさらすことも厭わん」
カチーナ「あたしらと大統領をはめておいて、何が大義だ!  ゲストより質が悪いぜ、てめえらはよ!」

〈6PP or エア・クリスマスのHP60%以下 or キャニス・アルタルフのHP50%以下〉

ショーン「艦長、準備が整いました」
レフィーナ「全機に撤退命令!  EAをかけつつ、現戦域より離脱します!」
ユン「ドラゴン2より各機!  まもなく本艦は現戦域より離脱する!  直近の機体、及び低速機は本艦へ取り付け!」
ユン「それ以外の機体は、自力で離脱せよ!」
(ヒリュウ改以外の味方機が全て撤退)
エグレッタ「!」
レフィーナ「面舵一杯、180度回頭!」
(ヒリュウ改が回頭し北を向く)
エグレッタ「おやおや」
レフィーナ「EA展開! オーバー・ブースト!」
(ヒリュウ改が北端まで移動し、撤退)
エグレッタ「フッ……逃げ足が速いな」
カーリー「アルファ1、奴らを追う必要はない。 我々は本来の任務へ戻る」
エグレッタ「ま、いいだろう。その命令……聞いてやるよ」
カーリー「………」

[ヒリュウ改 ブリーフィング・ルーム]

エクセレン「まさか、リー中佐とイーグレット・ウルズが 生きてて、ガイアセイバーズにいるなんてねぇ」
レフィーナ「え? リー中佐? どういうことです?」
エクセレン「艦長、もしかして……気づいてなかった?」
ショーン「エア・クリスマスの艦長、カーリー・ナウマン大佐は リー・リンジュン中佐と同一人物ですぞ」
レフィーナ「そ、そうだったのですか……」
エクセレン「今頃、向こうも何でスルーされたか 疑問に思ってたりして」
レーツェル「ともかく、ガイアセイバーズに関する疑問が また増えたな。アルテウルは何故、連邦側から 追及を受けて然るべき人材を登用したのか……」
レーツェル「偽名や仮面では、彼らの過去全てを 隠し切れんというのに……」
ゼンガー「ああ……」
カチーナ「大統領の手下なら、過去のスキャンダルも 揉み消せるだろ。権力でよ」
レーツェル「いや……ガイアセイバーズの存在を 疑問視する者にとって、彼らは組織の在り方を 追及する恰好の材料となる」
カチーナ「だったら、実力重視で選んだんじゃねえのか。 臑の傷が浅くなる上に、勝てば官軍ってんなら、 協力する奴らは多いだろうよ」
レオナ「それでも、後々で政治的追及を 受けることになると思いますが……」
エクセレン「何て言うか……わざとツッコミ所を作って、 放置しているように思えない?」
キョウスケ「何のためにそんなことを?」
エクセレン「ツッコミを入れてくる人達を叩くためでしょ。 あと、踏み台ね」
ブリット「罪人を仕立て上げ、それを討つことによって 名を上げるというわけですか」
カチーナ「ふん…… あたしだったら、もっと単純に因縁をつけるぜ。 あんな大芝居を打つ必要なんざねえ」
エクセレン「そうよねぇ。 意図的に騒ぎを大きくしてる風にも見えるのよね」
レフィーナ「ともかく、本艦は沿岸部に再度接近し、 民間人を降艦させた後、北極圏へ向かいます」
ショーン「了解しました」
ヒューゴ「……レフィーナ大佐。 お話があるのですが、よろしいでしょうか?」
レフィーナ「わかりました。では、艦長室へ」
アクア「………」

[ヒリュウ改 艦長室]

レフィーナ「……降艦を取りやめるのですか」
ヒューゴ「ええ……今というタイミングでミタールとの 接触を図るのは、危険だと判断しました」
レフィーナ「そうですね……。 ガイアセイバーズの中にはエグレッタのように 私達をはっきりと敵視する者もいますから」
ヒューゴ「自分がミタールの掌上で踊らされているとしても、 下手を打つわけにはいきません。少なくとも、 次元断層打破の目処がつくまでは」
レフィーナ「……身体のことはどうするのです?」
ヒューゴ「何とかもたせてみせます。 このまま終わるつもりはありませんので」

[ヒリュウ改 艦内(通路)]

(扉が開閉する)
ヒューゴ「……いたのか、アクア」
アクア「ええ。あなたに言いたいことがあって……」
ヒューゴ「……アクア、TEアブゾーバーの操縦・戦闘の SLレベルは今、いくつだ?」
アクア「え? 2だけど……」
ヒューゴ「なら、俺が4まで引き上げてやる」
アクア「……どういう風の吹き回しなの?」
ヒューゴ「これから戦いは激化する一方だろう…… お前もTEアブゾーバーで戦うことになるかも知れん。 それに対する備えだ」
アクア「え、ええ……わかったわ。望む所よ」
ヒューゴ「それで……俺に言いたいこととは何だ?」
アクア「……ううん、もういいの。 シミュレーター訓練、お願いするわね」
ヒューゴ「ああ」
ヒューゴ(早くこいつを仕上げなければ…… こっちは時限爆弾を抱えているようなものだからな)


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