グラキエース「くうっ……！」
ゼンガー「動きを止めたか！」
ジョッシュ「グラキエース！」
グラキエース（……あの意志と力………
あれが負に転ずれば、相当な糧になるが……）
グラキエース（我らに触れる者、そのシステムは
北の結界、セプテンプルムに悪影響を
及ぼすかも知れぬ……！）
ジョッシュ「！ 北の結界だと！？」
グラキエース「貴様、私の思念を！？」
ジョッシュ「シュンパティアを通じて、聞こえた！
答えろ！ 北の結界とは、セプテンプルムとは
何だ！？」
グラキエース「くっ、迂闊な……！」
ジョッシュ「お前は何なんだ、グラキエース！」
グラキエース「我らルイーナと貴様達は、
相容れることはない……！」
ジョッシュ「じゃあ、何故、俺達は！？」
グラキエース「“破滅の王”が欲するのは、全ての存在の
死と滅び……絶望と恐怖……ありとあらゆる
負の感情、その波動……」
グラキエース「貴様ら人間は、我らルイーナの糧に過ぎない……！」
（ファービュラリスが撤退、残った敵機も撤退）
ユン「メリオルエッセ機、高速で戦域から離脱！」
ショーン「追撃しますか、艦長？」
レフィーナ「いえ……あの速度では追いつけません。
それに、連邦軍の追撃部隊もそろそろ
ここへやって来るでしょう」
ショーン「ええ……
民間人を降艦させる時間はなさそうですな」
レフィーナ「各機帰艦後、本艦は現戦域から離脱します」
ショーン「了解です」
ジョッシュ「いったい、どういうことなんだ？
あの現象、感覚は何なんだ？」
クリフォード「私にも詳しいことはわからんよ。
シュンパティアが、人間の精神とマシンを
リンクさせる物であることは事実だが……」
クリフォード「リム、君はどうだった？」
リム(クリス)「アクイラやイグニスの時と
そんなに変わらない反応だったけど……」
ジョッシュ「じゃあ、何故、俺とあのメリオルエッセ……
グラキエースだけが？」
クリフォード「シュンパティアを君達の機体に搭載してから、
あのような現象は確認されていなかった。
無論、メリオルエッセという実験台はいなかったが」
ジョッシュ「………」
クリフォード「以前、アヤ・コバヤシ大尉が言った通り……」
クリフォード「メリオルエッセのマシンに
シュンパティアと同様のシステムが
搭載されているのは、もはや間違いない」
ジョッシュ「だが、それだけじゃ説明がつかない」
クリフォード「あるいは……」
ジョッシュ「あるいは……何だ？ 言ってくれ」
クリフォード「君とグラキエースの精神波に
共通する何かがあるのかも知れん」
クリフォード「無論、メリオルエッセが人間と似た精神構造を
持っていると仮定しての話だが」
ジョッシュ（共通点……俺とあいつに……！？）
ギリアム「……ジョッシュ、
君に聞きたいことがあるのだが」
ジョッシュ「何でしょう？」
ギリアム「先程、口にしていた
セプテンプルムという言葉についてだ」
ジョッシュ「おそらく、北の結界……
北極にあるルイーナの何かだと思います」
ジョッシュ「そして、グラキエースは、
シュンパティアがそれに悪影響を及ぼすかも
知れないと言っていました」
ギリアム「……！」
レーツェル「本当か？」
ジョッシュ「あの感じは……嘘じゃないと思います。
ただ、どのような影響が出るのか、
そこまではわかりません」
レーツェル「ギリアム、これは……」
ギリアム「ああ、レフィーナ大佐に報告しよう。
ジョッシュ、君も……」
ジョッシュ「少しだけ……５分だけ休ませて下さい」
ギリアム「……わかった。その後、艦長室まで来てくれ」
ジョッシュ「了解です」
リム(クリス)「お兄ちゃん……大丈夫？」
ジョッシュ「ちょっと疲れただけだ。心配はいらない」
（扉が開閉する・ジョッシュが立ち去る）
リム(クリス)「………」
ジョッシュ（……グラキエース……
あいつは、いったい何なんだ）
ジョッシュ（あいつの意識、あいつの心には
何かがごっそり欠けていた……そんな気がする……）
ジョッシュ（それに、セプテンプルム……
本当にシュンパティアが鍵となるなら、
やはり、俺は……）
エクセレン「……ジョッシー、ちょっといいかしらん」
ジョッシュ「エクセレン少尉……」
エクセレン「もしかして、一人で北極へ行こうとか思ってた？」
ジョッシュ「！」
エクセレン「あらら、図星かしらん？」
ジョッシュ「………」
エクセレン「ま、何でもかんでも一人で背負い込まないでね。
……最近のヒューゴ君もそんな感じっぽいけど」
ジョッシュ「あの人とは……事情が違いますよ。
こっちは訳も分からず、メリオルエッセと……」
エクセレン「諸々溜め込んでね、
爆発しちゃうと本人も周りも結構大変よ。
ウチのキョウスケも、割とそっち系なんだけど」
ジョッシュ「……何故、俺にそんなことを？」
エクセレン「ん……
私もアインスト絡みで色々あったから……ね。
でも、みんなのおかげで何とかなったのよ」
（足音・エクセレンが立ち去る）
ジョッシュ「………」