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揺れる矛先 地上ルート ~ 第29話 ~

[地球連邦政府 記者会見放送]

報道官「……以上が現地よりもたらされた第一報です。 要点を繰り返し伝えます」
報道官「本日連邦標準時10時22分、 地球連邦軍極東方面軍第1独立特殊戦隊…… 通称、鋼龍戦隊が反乱行動を取り……」
報道官「ガイアセイバーズ旗艦、エア・クリスマスから 脱出しようとしたグライエン・グラスマン大統領の 専用機に攻撃を加え、これを撃墜」
報道官「大統領を含む搭乗者は全員死亡。 鋼龍戦隊は戦域からの離脱を図り、現在も逃亡中です」
報道官「なお、事件発生時、ガイアセイバーズは ゲストと戦闘中だったという情報も入っており……」

[ヒリュウ改 ブリッジ]

テツヤ「……やはり、あの機体には大統領が……。 自分は……自分は、取り返しのつかないことを してしまいました……」
レフィーナ「………」
ショーン「あのような発表をする以上、どこかで大統領が 生存している可能性は低いでしょう」
レフィーナ「あの場で私が接収に応じていれば、 このようなことには……。 私の……私の判断が間違っていました……」
テツヤ「いえ、責めを受けるべきは自分です…… 大統領機を破壊したのは、本艦なのですから……」
レーツェル「結果的にはそうなってしまったが、 あのタイミングで大統領機を発進させたことに ついては、作為的なものを感じる」
レーツェル「これは事故ではない…… それを装った大統領暗殺ではないか」
レフィーナ「……!」
ショーン「ガイアセイバーズの…… アルテウル・シュタインベックの目的は、 我が方の機体接収だけではなく……」
ショーン「大統領の殺害……しかも、それに我々を 関わらせることだったようですな」
レフィーナ「そして、我々を反乱者に仕立て上げて……」
ショーン「……ユン、ネットの反応は?」
ユン「陰謀説も散見されますが、 我々を弾劾する意見が圧倒的です」
ショーン「ガイアセイバーズの対応に関しては?」
ユン「責任を追及されていますが、ゲストとの交戦中、 我々が反乱を起こしたのでは対処しきれなかったのも やむなし……という意見もあります」
ショーン「そもそも……何故、あのタイミングで アーチンが現れたのか……」
レーツェル「偵察機だけというのも不自然…… 後々の弁明のために用意された物だとも考えられる」
テツヤ「全て仕組まれていたということですか」
ショーン「おそらく。ガイアセイバーズは我々の行動を予測…… いえ、フォーメーション・ブレイクアウトで 戦域から脱出させるよう仕向けたのでしょう」
テツヤ「ですが、解せません。 元々、ガイアセイバーズには疑わしい部分が 色々とありました……」
テツヤ「それを大統領権限でグレーにしていたはずなのに、 肝心の大統領が亡くなれば、後ろ盾をなくすだけでは 済みません」
ショーン「ですな。 ゲストと交戦中の出来事というお膳立てをしても、 アルテウル自身も後々に責任を追及されるはず……」
ショーン「今は非常時ということで抑えが効いても、 ガイアセイバーズ自体が不利な立場に 追い込まれかねません」
レーツェル「単に鋼龍戦隊を潰し、 大統領を亡きものにすることが目的だったのなら、 他にも方法はあったはず……」
レーツェル「今というタイミングで、我々に大統領殺害の 濡れ衣を着せ、あえて逃亡させることに アルテウルの真意が隠されているのだろうな」
レフィーナ「それは、どのようなものなのでしょうか……」
レーツェル「現状ではまだわかりません。 アルテウルの策は、巧妙なように見えて穴が多い……」
レーツェル「それは、鋼龍戦隊のラ・ギアスへの召喚、 ルイーナ出現という想定外の事件が発生したために 計画が乱れた故なのか……」
レーツェル「あるいは、それすらも踏まえた上でのことなのか」
ショーン「いずれにせよ、状況は圧倒的に不利です。 ガイアセイバーズのみならず、連邦軍も 我々を追撃してくるでしょうな」
レフィーナ「友軍と交戦するわけにはいきません。 統合参謀本部へ直接連絡し、事情を説明しましょう」
レフィーナ「我々に叛意がないことを…… アルテウル・シュタインベックによる 陰謀の可能性があることを訴えなければ……」
レーツェル「しかし、この場に留まるのは危険です。 統合参謀本部とコンタクトを取りつつ、 コモディン島へ向かいませんか?」
レーツェル「そこはクロガネの寄港地であり、 整備と補給も可能です」
レフィーナ「……では、そのお言葉に甘えさせていただきます」
テツヤ「……統合参謀本部は 我々の言い分を聞いてくれるでしょうか……」
レーツェル「それはわからん……」
レーツェル「だが、グライエン・グラスマン大統領は、 我々とは違った形で地球圏の行く末、地球人類の 主権確立を案じておられる方だった……」
レーツェル「その意志を利用した アルテウル・シュタインベックを弾劾し、 その陰謀を暴くことこそが……」
レーツェル「大統領暗殺に荷担してしまった我々の責務であり、 大統領に対する償いになるだろう」
テツヤ「……はい……」
(轟音)
レフィーナ「!」
レーツェル「この振動は……」
レフィーナ「状況の報告を」
ショーン「……テスラ・ドライブ1号基の出力が低下しています。 先程の戦闘と高速航行によるダメージが原因です」
ショーン「2号基の方は異常ありませんが、 今後のことを踏まえて、応急処置が必要かと」
レフィーナ「では、一度着水します。 ハガネは上空で対空警戒を」
テツヤ「了解です」

〔戦域:海上〕

(ヒリュウ改が着水する)
ショーン「艦長、着水完了しました」
レフィーナ「周辺に敵影は?」
ユン「今の所、見当たりません」
レフィーナ「では、直ちにテスラ・ドライブの応急処置を。 全周警戒を厳となせ」
ユン「はっ」
レフィーナ(……敵……ゲストやルイーナだけでなく、 ガイアセイバーズも……)
レフィーナ(私達はこれからどうなるの……)
ショーン「艦長…… 汚名は、行動を以て返上するしかありますまい」
レフィーナ「副長……」
ショーン「私は、艦長のご判断が間違っていたとは思いません」
ショーン「それに、我々に大統領の命を奪うなどという意志は なかった。そのことを証明し、アルテウルの陰謀を 暴かねば、地球圏の命運にも関わる……」
ショーン「私は、そんな気が致します。 ですから、艦長……どうかお気を確かに。 ここで挫けてはなりませんぞ」
レフィーナ「ありがとうございます、副長……」
(ヒリュウ改にアラート)
レフィーナ「!」
ユン「ストーク級、3! 6時方向よりまっすぐ!」

<ストーク級が3機向かって来る>

ショーン「追っ手が来ましたな」
レフィーナ「所属は!?」
ユン「ガイアセイバーズです!」
レフィーナ「急速潜行! ハガネも直ちに離脱を!」
(ストーク級が黒いものに覆われていく)
レフィーナ「空の色が……!?」
(アラート。黒い雲のようなものが広がっていく)
ユン「艦長、上空に異常重力場が!  強力なESウェーブも感知!  ど、どんどん広がっていきます!」
レフィーナ「ESウェーブはどこから来ているのです!?」
ユン「南極方面です!」
レフィーナ「えっ……!?」
ユン「こ、これは…… この辺りの空域を覆うかのように……!!」
(アラート。真っ暗になってから、暗い灰色の雲のようなものが迫ってくる)
ユン「さらに強力なESウェーブ! 来ます!!」
レフィーナ「!!」
(暗い雲の中心に柱があり、柱の中心から赤い光が発せられ、閃光)


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