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揺れる矛先 ~ 第29話 ~

(格納庫)

カイ「まもなく、艦が進発する。 ルイーナはこちらの動きに呼応するだろう。 いつ出撃命令が出るかわからん」
カイ「これから南極圏へ到達するまでの間、 各員はそれぞれの格納庫待機室に詰めておけ」
キョウスケ「了解」
リュウセイ「……南極かぁ。いい思い出がねえんだよな」
フィオナ「え? どうして?」
リュウセイ「まだ新人だった頃、南極事件の現場にいてさ。 グランゾンにコテンパンにされたんだよ」
ライ「ああ……忌まわしい記憶だな」
リュウセイ「あの時、サイバスターが来てくれなかったら、 お陀仏だったぜ……」
フィオナ「そうだったの……」
キョウスケ「………」
エクセレン「あの機体……フリッケライ・ガイストが 気になってるみたいね」
キョウスケ「まあな」
エクセレン「アルトちゃんのパーツが、巡り巡って あの機体にくっついてるなんてね……」
キョウスケ「アクセルのソウルゲインにもぎ取られて、 そのままだと思っていたが……シャドウミラーが あれを回収していたとは」
エクセレン「戦利品だったのかしらん。 しかも、フリッケライ・ガイストのコアは アインストの再々利用品だって言うし……」
エクセレン「ある意味、ライン・ヴァイスちゃんや アルトちゃんの遠い親戚って感じ?」
キョウスケ「ライン・ヴァイスリッターと同じ所に置いて、 反応はないのか?」
エクセレン「ええ……龍人機も。 色々混ざってて、別物になっちゃってるのかもね。 ところで、パイロットの可愛い子ちゃんは?」
キョウスケ「イングと共に監視下にあると聞いている。 ギリアム少佐がこちらに合流次第、 身柄を引き渡すそうだが……」
アクア(……あの二人、 ATXチームのキョウスケ・ナンブ中尉と エクセレン・ブロウニング少尉よね)
アクア(鋼龍戦隊トップエースのコンビ…… さすがの貫録だわ)
エクセレン「あらん、あなた……アクア・ケントルム少尉ね?」
アクア「えっ!? わ、私を御存知なんですか?」
エクセレン「そりゃ、もう。 グラビア・クイーンばりの新人さんが来たって、 噂になってるもの」
アクア(や、やっぱり、そっち系の話で……なのね)
エクセレン「私はああいうパイロット・スーツ、好きよん。 カッコいいじゃなぁい?」
アクア「えっ……」
エクセレン「私のもリニューアルしようかしらん。 シースルー素材をいっぱい使っちゃったりして」
キョウスケ「予算の無駄遣いだ。サインはしないぞ」
エクセレン「あらら。 それじゃあね、アクアちゃん」
(足音・キョウスケとエクセレンが立ち去る)
アクア(か、格好いい……憧れちゃうな、あの二人)

[ヒリュウ改 ブリッジ]

レフィーナ「こちらと接触を?  ガイアセイバーズの旗艦が?」
ショーン「ええ。グライエン・グラスマン大統領、及び アルテウル・シュタインベック特次副大統領から 直々の命令です」
レフィーナ「……妙ですね、この状況下で」
ショーン「アリエイル・オーグ少尉絡みの件なのか…… あるいは、南極で我が隊と共同作戦を 展開するつもりなのでしょうか?」
レフィーナ「それならば、通信だけで事足りるはずです」
ショーン「いかが致します?  統合参謀本部や伊豆に問い合わせますか?」
レフィーナ「大統領命令であるならば、 無視するわけにはいきません。 直ちに針路変更……ハガネにも連絡を」
ショーン「了解致しました」


第29話
揺れる矛先

〔戦域:海上〕

(東端にハガネとヒリュウ改が待機している)
エイタ「ガイアセイバーズ艦隊、現空域へ進入してきます」
テツヤ「いよいよお出ましか……」
エイタ「艦隊が展開……輪形陣を組むようです。 水平面でなく、上空にも……変ですよ、これ」
テツヤ「こちらを包囲する気か……!?」
(エア・クリスマスを含むガイアセイバーズ艦隊が出現)
カーリー「司令、各艦の配置が完了しました」
アルテウル「ご苦労。大統領機の方は?」
カーリー「いつでも発艦可能です」
アルテウル「ニブハル、準備は整っているな?」
ニブハル「ええ。 ……例の物はご確認いただけましたでしょうか?」
アルテウル「ああ、ピューリッツァー賞…… いや、パルム・ドールが狙えるかも知れん」
ニブハル「ありがとうございます」
アルテウル「では、万一の事態が起きた場合、 大統領には現空域から退避していただく」
カーリー「具申します。やはり、今すぐ護衛を付け、 そうすべきかと。ゲストや南極のアンノウンが この空域へ現れる可能性は否めません」
アルテウル「大統領がこの場におられることが肝要なのだよ。 お前も、鋼龍戦隊が素直に従うとは 思っていないだろう?」
カーリー「はっ……ミッション・ハルパーの時もそうでした。 彼らは軍人であるにも関わらず、 主観重視で行動する傾向にあります」
カーリー「もっとも……自分にもそういう時期がありましたが」
アルテウル「だが、お前は己の過ちを悔い、ここにいる。 ガイアセイバーズに貢献すれば、過去は清算される。 そうすれば、名を戻すことが出来るだろう」
カーリー「はっ……」
カーリー(鋼龍戦隊……テツヤ・オノデラ…… お前達は、どう出る……?)
アルテウル「では、鋼龍戦隊との回線を開け」
オペレーター「はっ」
ユン「艦長、ガイアセイバーズ旗艦、 エア・クリスマスより入電です」
レフィーナ「……つないで下さい」
アルテウル「鋼龍戦隊に告ぐ。 私はガイアセイバーズ司令、 アルテウル・シュタインベックだ」
レフィーナ「地球連邦軍極東方面軍第1独立特殊艦隊司令、 レフィーナ・エンフィールド大佐です」
レフィーナ「アルテウル司令、 我々との合流を希望された理由をお教え下さい」
アルテウル「よかろう。 グライエン・グラスマン連邦政府大統領閣下の 命令を伝える」
アルテウル「鋼龍戦隊は現時刻を以て、その任を解く。 直ちに武装解除し、所有する艦船、機動兵器、 その全てを我らに明け渡せ」
レフィーナ「なっ……!!」
テツヤ「何だと!?」
アルテウル「聞こえなかったのか?  お前達が所有する兵器全てを、 我らガイアセイバーズが接収する」
アルテウル「なお、レフィーナ・エンフィールド大佐以下の士官は、 艦船及び機動兵器の接収を円滑に行うため、 一時的にその身柄を拘束する」
レフィーナ「その理由を……理由を聞かせて下さい!」
アルテウル「鋼龍戦隊は、連邦軍の指揮下から離れ、 所在不明となった。その間、敵対勢力と 接触していた疑いがある」
レフィーナ「そ、そんな!」
アルテウル「大統領はそれを懸念され、 厳密な査問を行う必要があると判断された」
レフィーナ「ラ・ギアスの件については、統合参謀本部や 伊豆基地司令部に報告を行いました!」
レフィーナ「我々はケネス・ギャレット司令の命令に従い、 査問を受けるべく伊豆へ出頭するつもりで……!」
アルテウル「大統領のご意志により、我らガイアセイバーズが 鋼龍戦隊の査問を行うことになったのだ」
レフィーナ「それで、この状況下において武装解除などと……!」
テツヤ「現時点で我々がなすべきことは、 ルイーナやゲストの侵攻阻止ではありませんか!?」
アルテウル「問題をすり替えるな。 このような状況下だからこそ、戦局を左右し得る 特化戦力は、より厳格に統制されねばならん」
レフィーナ「だからと言って!」
ショーン(言い掛かりも甚だしい。 まるで、こちら側を煽っているような……)
アルテウル「大統領のお考えは、こうだ。 鋼龍戦隊のような戦力は、軍ではなく、 最高権力下にあって然るべき……」
アルテウル「PGSを行使し、 大統領の意のままに、迅速に動くべきなのだと」
レフィーナ「PGS……!?」
アルテウル「The privilege of the GAIA SABERS…… 通称、GS特権」
アルテウル「軍事問題における大統領特命を 速やかに遂行するために与えられた特殊権利……」
アルテウル「連邦軍とは異なる武装組織を成立させるための ものであり、軍からのあらゆる命令や指示を 拒否する権利だ」
レフィーナ「それならば、我々連邦軍に対する命令権を 保証するものではないでしょう……!」
アルテウル(……フッ、かかったな)
レフィーナ「そもそも、そのGS特権は 連邦議会の承認を受けているのですか?」
アルテウル「現在、審議中だ」
レフィーナ「では、あなた方の接収命令には、 法的根拠がないことになります」
アルテウル「それで?」
レフィーナ「現時点、この場での武装解除には応じられません。 全ての責に対する申し開きは、今回の任務終了後、 極東方面軍伊豆基地にて行います」
レフィーナ「その後、然るべき筋を通していただければ、 そちらの意向にも従いましょう」
カーリー(愚かな選択だ。 この状況を切り抜けられると思っているのか)
アルテウル「あくまでも、我らガイアセイバーズの指示…… 武装解除には応じないと言うのだな?」
レフィーナ「先程も述べた通り……今、ここでは。 統合参謀本部、並びに極東方面軍司令部を通じた 正式な命令が下らない限り」
レフィーナ(これで少しでも時間が稼げれば……)
アルテウル「大統領こそが連邦軍の最高司令官であることを 知らぬわけではあるまい?」
レフィーナ「……では、大統領の戦争権限法は?  連邦議会への説明、報告の義務に関しては?」
アルテウル「非常時の特例だ。 それに、我々は大統領の特別命令書も持っている。 議会に対しては、事後報告を行う」
レフィーナ「ならば、大統領に直接説明をさせて下さい」
アルテウル「………」
カーリー(……司令は、 大統領をこの場に出さないつもりなのか?)
アルテウル「埒が明かんな。 ならば、今回に件に関し、大統領から 全権を委譲されているこの私が……」
アルテウル「鋼龍戦隊に対する強制接収を執行する」
レフィーナ「!!」
アルテウル「全軍へ。彼らがこれに抵抗した場合は、 連邦政府大統領への叛乱行為と見なし、 先制攻撃も許可する」
テツヤ「先制攻撃だと!?」
アヅキ「そっ、そんな!!」
エイタ「い、一方的過ぎますよ!  こんなの無茶苦茶じゃないですか!」
テツヤ「まさか、彼らは最初から……!」
ショーン「ええ、我々を潰す気だったのでしょうな。 本来は然るべき手順を踏み、穏便に 事を進めるつもりだったかも知れませんが……」
ショーン「この様子では武装解除に応じても、我々士官は おそらく無事では済みますまい」
ショーン「それを命令として受け入れるか、抗うか。 いかがしますか、艦長」
レフィーナ「………」
エグレッタ「アルファ1からセイバー1、アルテウル司令へ。 配備完了……いつでも出せる」
アルテウル「よし……」
(エア・クリスマスに通信)
ニブハル「司令、大統領閣下からです」
アルテウル「状況は、“正確に”大統領へ伝わっているな?」
ニブハル「……ええ、“正確に”」
ニブハル(そう、こちらで予め用意した映像を……)
アルテウル「では、回線をつなげ」
ニブハル「はっ」
グライエン「……アルテウル、 鋼龍戦隊が反乱を起こしたようだな」
アルテウル「ええ。 やはり、後ろめたいことがあったようで」
グライエン「あそこまで短絡的だとは思っていなかった。 アルテウル、お前が危惧していた通りだったな」
カーリー(大統領は何を言っているのだ……?  鋼龍戦隊は、接見を申し出たのだぞ)
グライエン「やむを得ん、強制接収を行え。ただし、鋼龍戦隊は 一般大衆にとって幾多の戦役における英雄でもある。 殲滅などという事態は避けるように」
グライエン「彼我の損耗を最小限に抑えつつ、彼らを投降させ、 その言い分を直接聞いてみたい。出来るか?」
アルテウル「大統領閣下の御志に感服致しました。 当職の全力を挙げて、お応え致します」
アルテウル「なお、大統領閣下には専用機にて 現空域から離脱していただきます」
グライエン「わかった。後は任せるぞ」
アルテウル「……艦長。鋼龍戦隊に対し、威嚇攻撃開始。 包囲網を狭める必要はない」
カーリー「それでは彼らに時間を与え、 結果的に取り逃がすおそれがあります」
アルテウル「では、かつてスペースノア級の艦長を 務めていた者としての意見を聞こうか」
カーリー「おそらく、ハガネとヒリュウ改は縦一列陣形を組み、 テスラ・ドライブ連結効果による高速航行で 現空域からの離脱を目論むでしょう」
カーリー「アンノウンとの戦闘を踏まえ、消耗を抑えるためにも、 ここは大統領閣下から鋼龍戦隊へ直接命令を 下していただくべきかと」
アルテウル「模範的な回答だ。 しかし、それでも私は彼らが素直に従うと 思っていない」
カーリー「大統領閣下を目前にして、 反抗的な態度を取るほど愚かだとは思えませんが」
アルテウル「わからんぞ?  窮鼠猫を噛むということもある得る」
カーリー(そもそも、鋼龍戦隊を屈服させるために 大統領をここまで連れて来たのではないのか?)
カーリー(それに、大統領は正確に状況を把握していないように 見受けられたが……)
アルテウル「艦長。大統領閣下のご命令通り、 彼我の損耗を最小限に抑えつつ、 鋼龍戦隊を投降させろ」
アルテウル「先程も言ったが、包囲網を狭める必要はない。 不必要に彼らを煽るな」
カーリー「……はっ」
エイタ「艦長、 ガイアセイバーズ各艦が攻撃態勢に入りました!」
レーツェル「レフィーナ大佐、 ここは我々クロガネのメンバーが出て、 彼らを牽制します。その間に現空域から離脱を」
レフィーナ「ここから逃げろと?」
レーツェル「ええ。 ギリアムやアリエイル・オーグからの情報で、 ガイアセイバーズには色々と疑わしい点がある……」
レーツェル「私やギリアムの伝手を使って、連邦議会にも 働きかけましょう。ここは何とか切り抜け、証拠を 揃えた後、然るべき場で彼らと争うべきです」
レフィーナ「それは……私も考えていました。 しかし、ここでの出撃、並びにガイアセイバーズへの 攻撃や反撃は許可できません」
レーツェル「後々で不利になる要素を、少しでも減らしたいと?  それでは、ヒリュウ改とハガネが集中攻撃を 受けることになります」
レフィーナ「彼らの目的は、こちら側の兵器の接収です。 我々を殲滅する気なら、既に然るべき手を 打っていたはず」
レーツェル「つまり、向こうは手加減してくると……?」
レフィーナ「ある程度は。 それを逆手に取って、ここから離脱するまで Eフィールドでしのぎます」
レフィーナ「それに、各機を発進させれば、 フォーメーション・ブレイクアウトによる高速航行に 取り残されてしまう恐れがあります」
レフィーナ「ここは本艦とハガネで耐えて、 活路を切り開くしかありません。 よろしいですか、テツヤ中佐」
テツヤ「了解です」
レフィーナ「では、我々はあのポイントを目指します」
(洋上の目的ポイントを指す)
ショーン「なるほど、包囲網の切れ目から 加速空間を確保するのですな」
レフィーナ「ええ、敵包囲網が狭められる前に何としても到達を。 ただし、ガイアセイバーズへの攻撃、反撃は 一切禁止します!」
(作戦目的表示)

〈味方母艦が包囲から外へ出る〉

カーリー「司令、ハガネとヒリュウ改は 包囲網の切れ目を目指しています」
カーリー「やはり、高速航行による脱出を目論んでいるかと。 包囲網を狭め、それを妨害します」
アルテウル「彼らを不必要に煽るなと言ったぞ」
カーリー「しかし……!」
アルテウル「威嚇攻撃を続けろ、艦長」
カーリー「……はっ」
カーリー(鋼龍戦隊を逃がせとでも言うのか、司令は……)

〈vs アルテウル〉

[テツヤ]

エイタ「エア・クリスマスの砲塔、 本艦を指向していますっ!!」
テツヤ「くっ! Eフィールドで防げ!」
カーリー「ハガネ……テツヤ・オノデラ。 観念するがいい」

〈ヒリュウ改とハガネが指定ポイントへ移動〉

ショーン「両艦共、目標ポイントへ到達しました」
レフィーナ「ハガネへ伝達!  フォーメーション・ブレイクアウト!」
ユン「了解!  ドラゴン2より、スティール2!  フォーメーション・ブレイクアウト!」
(ハガネが少し前進し、ヒリュウ改がハガネの後ろにつく)
カーリー「あのフォーメーションは……!  目標の推進装置を集中攻撃!」
アルテウル(思っていた以上に事が上手く運んだ。 チェックメイトだな)
レフィーナ「テスラ・ドライブ、出力最大!」
テツヤ「カウントダウン合わせ! スタート!」
(エア・クリスマスにアラート)
オペレーター「艦下方、海面下に熱源反応! 数は8!  浮上して来ます!」
カーリー「識別は!?」
(ヒリュウ改とハガネの針路上にガロイカが浮上してくる)
オペレーター「アーチンです!」
カーリー「ゲストか! こんな時に!」
エグレッタ「アルファ1から各機。 命令するまで、アーチンに手を出すなよ」
量産型MC「………」
エイタ「艦長! 本艦の針路上にアーチンが!」
テツヤ「このまま突撃し、蹴散らす! カウント続行!」
(エア・クリスマスにアラート)
カーリー「今度は何だ!?」
オペレーター「こ、後部デッキから大統領機が発進します!!」
カーリー「馬鹿な、このタイミングで!?  すぐにやめさせろ!!」
オペレーター「ま、間に合いません!!」
テツヤ「行くぞ! 総員、対衝撃防御!」
レフィーナ「オーバー・ブースト!!」
【デモムービー『オペレーション・ブレイクアウトでアーチンを撃破』】

<海上に出ている大統領機>

グライエン「こ、これはどういうことだ!?  何故、発進させた!? アルテウルッ!!」
(ハガネの針路上に大統領機がある)
エイタ「か、艦長! 艦前方に輸送機が!  距離800!!」
テツヤ「緊急回避!!」
エイタ「ま、間に合いませんッ!!」
(レイディバードからハガネを見る)
グライエン「!!!」
(ハガネがレイディバードにぶつかり、撃破して、ヒリュウ改と共に飛び去る)

《南極遺跡》

[南極遺跡 内部]

???(ウンブラ)「……時を同じくして生まれたメリオルエッセよ」
???(イグニス)「………」
???(グラキエース)「………」
???(ウンブラ)「それがお前達の肉の体だ。 人の知恵や心象から、炎と氷が抽出されたようだ」
???(イグニス)「俺は……炎か」
???(グラキエース)「私は氷……」
???(イグニス)「“破滅の王”は?」
???(ウンブラ)「まだ向こう側で眠っておられる。 こちらへお呼びするために、我らメリオルエッセは 糧を集めねばならぬ」
???(グラキエース)「糧……知恵を持つ生命体、その負の思念……」
???(イグニス)「人間共を恐怖、苦悶、憎悪させ、 絶望の中で死に至らしめればいいのだな?」
???(ウンブラ)「その通りだ。今、私は北の果てへ向かっている。 北のセプテンプルムと南のメリデンプルム…… そこからアートルム・エクステリオルが生じれば……」
???(ウンブラ)「人間達は恐怖と絶望の淵に沈む。 お前達の出番は、その後だ」
???(グラキエース)「わかった」
???(イグニス)「ハハハッ、やってやるよ、存分にな」

《パリ 地球連邦軍 統合参謀本部》

[地球連邦軍 統合参謀本部]

ギャスパル「そちらからの情報だけでは不十分だ。 真実かどうか怪しい」
アルテウル「鋼龍戦隊ではなく、我々を疑うのか?」
ギャスパル「立場上、身内を信じたいのでね。 彼らに叛意があったとは思えん」
アルテウル「こちらの調べでは、行方不明となっていた間に 反連邦勢力と接触していた疑いがある」
ギャスパル「だから、大統領の殺害を画策したと言うのか?」
アルテウル「ああ。 そして、目的を果たした彼らは現場から逃亡したよ。 現在、ガイアセイバーズが追跡中だ」
ギャスパル「………」
アルテウル「鋼龍戦隊に属する全将兵の軍籍を剥奪し、逮捕する。 各方面軍にもその旨を伝えてもらおうか」
アルテウル「ただし、そちらが彼らを捕えた場合、 その身柄は我々が預かる。出頭して来た場合も同様だ」
ギャスパル「我々で事情聴取を行い、検証し、真実を知り得た上で 軍事法廷にて裁きを下したいのだがね」
アルテウル「彼らを庇い立てすると、 そちらにも嫌疑が掛かることになるぞ?  追跡命令を出さなかった場合もな」
ギャスパル「随分と居丈高なことだ。 危険を承知の上で大統領を前線まで 連れて行ったことも問題ではないのかね?」
アルテウル「繰り返すが、大統領の命を奪ったのは 紛れもなく鋼龍戦隊だ」
アルテウル「そちらも直ちに彼らを追跡したまえ。 なお、まもなく大統領に昇格するダン・ヘンドリックス 副大統領からも正式な命令が出る」
アルテウル「わかっているだろうが、最高司令官からの命令だ。 拒否することは出来んぞ」
(通信が切れる)
ダニエル「……大変なことになりましたな」
ギャスパル「あそこまで言い切ったのだ…… 経緯はともかく、鋼龍戦隊が大統領を 死に至らしめたのは事実だろう」
ダニエル「その点については、事情聴取を行うまでもないと?」
ギャスパル「そこに偽りあらば、 窮地に陥るのはアルテウルの方だよ」
ダニエル「確かに……」
ギャスパル「さて、ジェイコブ……君はどう考える?」
ジェイコブ「レフィーナ・エンフィールド大佐が叛意を抱き、 大統領の命を奪ったとは思えませんね」
ジェイコブ「彼女はあの歳で戦隊指令、そして戦闘母艦の艦長職に 就いているわけですから、才能は申し分ない」
ジェイコブ「まあ、少々浮世離れした所はありますが……」
ギャスパル「随分と詳しいな。 もうボランジェを振る舞ったのかね?」
ジェイコブ「機を窺っていた所ですよ」
ギャスパル「ふん……それで?」
ジェイコブ「不慮の事故か、あるいは罠か…… アルテウル・シュタインベックの態度が それを裏付けているかと」
ギャスパル「なるほど。 では、ダニエル……鋼龍戦隊に所属する 全将兵の軍籍を剥奪しろ」
ギャスパル「また、各方面軍に命令を出せ。鋼龍戦隊を発見次第、 武装解除させ、将校の身柄を拘束しろとな。 なお、彼らが従わぬ場合は、先制攻撃を許可する」
ダニエル「それでよろしいのですか……?」
ギャスパル「最高司令官の命令だ、受け入れるしかなかろう。 もっとも、レフィーナ・エンフィールドが ジェイコブの評価通りの人物なら……」
ギャスパル「我が軍の部隊に対して、手は出さんだろう。 また、末端部隊の投降命令に応じる可能性は低い」
ダニエル「何故です?」
ギャスパル「彼らは身の潔白を訴える相手として、 極東のケネスではなく、統合参謀本部を選ぶ。 それが最も効果的だからな」
ダニエル「ならば、こちらから出頭命令を出せば……」
ギャスパル「それはいかんよ。 鋼龍戦隊からの通信は全て拒絶…… 出頭を申し出て来ても、無視したまえ」
ダニエル「は?」
ギャスパル「窮鳥を懐に入れれば、 こちらがアルテウルに撃たれることになる。 それが彼の目論見だ」
ダニエル「では……」
ギャスパル「今一度、鋼龍戦隊には行方不明になってもらおう」
ジェイコブ「なるほど…… 非正規の独立遊撃隊として動かすおつもりですか。 それならば、ガイアセイバーズと……」
ギャスパル「そうだ。君がパイプ役となってやれ。 ただし、追撃の手は緩めんぞ」
ギャスパル「また、私は彼らの行動に関与せん。 何せ、こちらの手を離れた反逆者のやることだからな。 ……理解したか、ジェイコブ?」
ジェイコブ「ええ……テープが消滅しそうな話ですな」
ギャスパル「君は00セクションの方だろう?」
ジェイコブ「昔の話ですよ」
ギャスパル「ともかく、君には色々と動いてもらおう。 鋼龍戦隊関係者を監視し、必要とあらば確保せよ。 くれぐれもガイアセイバーズに先を越されぬようにな」
ジェイコブ「関係者の中には、上院議員もいますよ」
ギャスパル「誰だ?」
ジェイコブ「テイラー・ケントルム氏です。 彼は、ハルパーの鎌には触れていませんが」
ギャスパル「ケントルム…… あの一族が、身内から出た反逆者をどう扱うか……」
ジェイコブ「彼らの結束は固いですよ」
ギャスパル「では、ケントルムには手出し無用だ。 それと、調査の件だが……あらゆる手段を用いて、 早急に結果を出したまえ」
ジェイコブ「了解しました」

SELECT-SCENARIO

ルートを選択してください
地上ルート
レフィーナ (ヒリュウ改) ジョッシュ (エール・シュヴァリアー)
キョウスケ (アルトアイゼン・リーゼ) リム (ブランシュネージュ)
エクセレン (ライン・ヴァイスリッター) カチーナ (量産型ゲシュペンストMk-II改)
ブリット (Gラプター) ラッセル (量産型ゲシュペンストMk-II改)
クスハ (龍人機) タスク (ジガンスクード・ドゥロ)
アイビス (アルテリオン) レオナ (ズィーガーリオン)
ゼンガー (ダイゼンガー) Gバイソン
レーツェル (アウセンザイター) ガルムレイド
ユウキ (ラーズアングリフ・レイブン) F-32Vシュヴェールト改
カーラ (ランドグリーズ・レイブン) 量産型ヒュッケバインMk-II
ラウル (エクサランス・レスキュー) アシュセイヴァー
ヒューゴ (サーベラス)
宇宙ルート
テツヤ (ハガネ) ゼオラ (ビルトファルケン)
リュウセイ (R-1) アリエイル (フリッケライ・ガイスト)
ライ (R-2パワード) リョウト (アーマリオン)
アヤ (R-3パワード) リオ (AMガンナー)
マイ (ART-1) シャイン (フェアリオン・タイプG)
ヴィレッタ (R-GUNパワード) フェアリオン・タイプS
イルム (グルンガスト改) アルブレード・カスタム
イング (アッシュ) ヴァイサーガ
カイ (量産型ゲシュペンストMk-II改) F-32Vシュヴェールト改
ラミア (アンジュルグ) 量産型ヒュッケバインMk-II
ラトゥーニ (ビルトラプター・シュナーベル) アシュセイヴァー
アラド (ビルトビルガー)

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