back index next


シュテドニアス追撃 ヒリュウ改に立ち寄る ~ 第15話 ~

《神聖ラングラン王国 バランタイン州 セブ神殿(ヒリュウ改)》

[ヒリュウ改 ブリーフィング・ルーム]

ザッシュ「……僕がここへ来る前に得た情報なのですが、 カークス軍とフェイル軍がレドナ峡谷での戦いで シュテドニアス軍に大打撃を与えたそうです」
ザッシュ「現在、敵はラングランから撤退を始めており、 カークス軍がそれを追撃しています」
ザッシュ「なお、これが予測されている敵の撤退コースです」
(モニターオン。進路予測図を表示する)
レフィーナ「彼らは海へ向かっているようですね」
ヤンロン「ええ、ヌエット海です。 その向こう側にシュテドニアスの領土があります」
(進路予測図が消える)
カチーナ「ここで追い討ちをかければ、 シュテドニアスの連中をラングランから 叩き出せるってことか」
ヤンロン「大佐、僕とゲンナジーはヌエット海へ向かいます。 あなた方はセブ神殿の警備をお願いします」
レフィーナ「………」
ザッシュ「ヤンロンさん、僕も行きます」
ヤンロン「君は駄目だ。 ガルガードを持ち出して脱走したことが 問題になっていないとでも思っているのか」
ザッシュ「で、ですが……」
ヤンロン「君の身柄は僕が預かる。 シュテドニアス軍との戦いが終わった後、 僕は王都へ向かうつもりだ」
ヤンロン「その後、フェイル殿下にお目通りして…… 君の処遇についても相談する」
ザッシュ「………」
リューネ「ヤンロン……あたし、あんたについてくよ」
ヤンロン「リューネ……」
リューネ「この世界じゃ、あたしは部外者だけどね。 何だかんだで色々と絡んじゃったし、 事情もわかってるし……」
リューネ「だから、この戦いを早く終わらせたいんだ。 それに、カークス将軍も止めなきゃならないと 思ってるし。これがあたしの、素直な気持ちだよ」
ザッシュ「リューネさん……」
ヤンロン「……ありがとう、リューネ。 では、君の力を借りよう」
リューネ「あんたからそうストレートに言われると、 何か照れ臭いね」
シャイン「あ、あの、私も…… もし、お力になれることがございましたら……」
ヤンロン「シャイン王女……」
シャイン「所縁はございませんが、ラングラン王家のお話が 他人事とは思えなくて……国は違えど、 平穏を望む民のためならばと考えまして……」
ゼンガー「俺も行こう。義を見てせざるは勇無きなりと言う。 それに、ブルックリン達を助けてもらった恩も 返さねばなるまい」
カチーナ「あたしも行ってもいいぜ。 このまま地上に帰るのは、 何かスッキリしねえからな」
キョウスケ「……まだ行方のわからない者達がいる。 セブ神殿で待っているより、 こちらから動いた方がいいだろう」
ショーン「……その気の者が多いようですな。 いかが致しますか、艦長」
レフィーナ「ヤンロン、地上送還の準備完了まで どれぐらい掛かるのです?」
ヤンロン「早くても、地上時間で一週間は……」
レフィーナ「では、私達にはまだ時間が…… 地上へ戻る前に出来ることがありますね」
ヤンロン「レフィーナ大佐……」
レフィーナ「ラングランの戦乱を一刻も早く収拾するという あなたの目的……今一度、私も助力致しましょう」
ヤンロン「ですが、セブ神殿の防衛は……」
ザッシュ「それは、僕と共に来てくれた人達にお願いします。 ですから、ヤンロンさん……僕も連れて行って下さい」
ザッシュ「地上の人達が協力して下さるのに、 僕が何もしないわけには……」
ヤンロン「……わかった」
レフィーナ「以後の作戦への参加ですが、強制はしません。 各自の判断に委ねます。ただし、一時降艦を 希望する者は、神殿の防衛任務に就いて下さい」

[ヒリュウ改 ブリッジ]

レフィーナ「……副長、一時降艦者の人数は?」
ショーン「秘蔵のブロマイドを使わずに済みました」
レフィーナ「えっ?」
ユン「降艦者がいなかったということですよね、副長」
ショーン「ええ。 まあ、艦長にああ言われて艦を降りる者は いないと思っておりましたが」
ヤンロン「……皆さんのご協力、改めて感謝します」
レフィーナ「では、これより本艦はヌエット海へ向け、進発します。 総員、配置に付け」


第15話
シュテドニアス追撃

〔戦域:ヌエット海海岸周辺〕

ザンボス「今、敵軍は追撃中の友軍しか目に入っておらん。 ここから敵の横腹を突けば、奴らの攻勢を 打ち崩すことが出来る」
ザンボス「さすれば、これまでの失態を取り返して 余りある功績を得られるだろう。各員、奮戦せよ!」
兵士「隊長、レーダーに感あり!  高速飛行物体が接近中! 数は1!」
ザンボス「たった1機で? ふん、命知らずが!」
兵士「いえ、魔装機ではありません!  空中戦艦です!」
ザンボス「何!?」
(東側にヒリュウ改が出現)
レフィーナ「各機、直ちに出撃せよ!」
(出撃準備)
ザンボス「あれがもう一隻の地上人の戦艦か……!」
ヤンロン「シュテドニアス軍部隊に告ぐ。 魔装機神グランヴェールの操者、 ホワン・ヤンロンだ」
ヤンロン「既に戦局は決しつつある。僕は無益な戦いを好まない。 ここから速やかに自国領土へ撤退するのなら、 戦闘を回避する心積もりがある」
ザンボス「何が無益な戦いだ!  こちらは、これからラングラン軍に 一矢報いる所よ!」
ザンボス「しかも、相手が魔装機神であれば、 見逃すつもりはない! 各機、攻撃開始!!」
ヤンロン「ならば、やむを得ん……迎撃する!」
ザッシュ「僕も……戦ってみせる!」
ヤンロン「ザッシュ、ガルガードでの実戦は初めてだろう?  くれぐれも無理をするなよ」
ザッシュ「は、はい!」
ザッシュ(リューネさんに無様な所を 見せるわけにはいかない……!  頼むぞ、ガルガード!)
(作戦目的表示)

〈vs ザンボス〉

[リューネ]

ザンボス「まったく、地上の連中の考えることはよくわからん!  何だ、あの妙ちきりんなデザインは!」
リューネ「どうしてシュテドニアスの連中は、 あたしのヴァルシオーネに文句を付けるのよ!?」

[ヤンロン]

ヤンロン「ここまで来て、まだ戦いを続けるつもりか!」
ザンボス「魔装機神を擁するラングランを 放っておくわけにはいかねえんだよ!」
ヤンロン「もしも、ラングランが災いの種となる日が来たら、 僕は魔装機神操者として、それを食い止める。 生き延びたなら、見届けるがいい」

[ザッシュ]

ザンボス「あの魔装機……カークスの搭乗機だと聞いたが、 まさかな……!」
ザッシュ「ガルガード…… 父さん以上に使いこなしてみせる!」
ザンボス「こいつ……もしや、カークスの息子か!?」
ザッシュ「そうだと言ったら、どうするつもりだ!?」
ザンボス「捕虜にしてやるぜ! 後々で使えるからな!」

[シャイン]

シャイン「あなた達、ラングランから 出て行きなさいませ!」
ザンボス「何だ、子供か!?  しかも、そのマシンはいったい!?  アトラクションか何かか!?」

[HP7000以下]

ザンボス「ええい、これ以上は!  ラングラン領海外まで撤退する!」
(ザンボス機が撤退。残っている敵機も撤退)
ユン「敵機、戦域外へ後退していきます」
レフィーナ「本艦はしばらく現戦域に留まり、 敵軍の動向を監視します。 ヤンロン、それでよろしいですか?」
ヤンロン「ええ」
レフィーナ「では、両舷停止。対地高度70でTD滞空。 全周警戒を厳となせ」

[ヒリュウ改 ブリッジ]

レフィーナ「……あれから時間が経ちましたが、 この周辺にシュテドニアス軍はいないようですね」
ヤンロン「これで彼らとの戦争が終結すれば いいのですが……」
ユン「……艦長、少しよろしいですか?」
レフィーナ「何です?」
ユン「カークス軍内での交信を 傍受していてわかったのですが…… 状況がひどく混乱しているようなのです」
レフィーナ「混乱?  まだどこかでシュテドニアス軍との 戦闘が行われているのですか?」
ユン「いえ、それが……カークス軍本隊が敗北したという 情報や戦闘中止命令、投降命令、再集結命令が 飛び交っていて……」
ヤンロン「カークス軍本隊が敗北? どういうことだ?」
ザッシュ「今回の作戦で、 父の本隊は前線に出ていないはずですが……」
レフィーナ「では、何と戦って敗北を……」
レフィーナ「! まさか、フェイル軍と!?」
ヤンロン「そんな馬鹿な……!  シュテドニアス軍との戦争が終わったか どうかという時に、内乱を起こすなど……!」
ショーン「何か重大な事件が起きたのかも知れませんな」
ヤンロン「レフィーナ大佐、 至急、王都方面へ向かっていただけませんか?  詳しい情報が得られるかも知れませんので」
レフィーナ「……わかりました」
ザッシュ(父さん…… いったい、何があったっていうんだ……?)


back index next