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セブ神殿 ヒリュウ改に立ち寄る ~ 第14話 ~

[ヒリュウ改 ブリーフィング・ルーム]

レフィーナ「カークス将軍の目論見は、 私達の予想を上回っていましたね……」
ショーン「テリウス殿下を推戴して、権力を握るだけでなく…… ラ・ギアス全土の統一まで考えていたとは」
リューネ「上手くいけば、結果的にラ・ギアスが 平和になるかも知れないけど…… 大戦争が起きちゃうよ」
ショーン「目的や大義はともかく、それを成し遂げるまでの 過程に大きな問題がありますな」
リュウセイ「フェイル殿下は、そのことを承知の上で カークス将軍の申し出を受け入れたのか……?」
ヤンロン「現状ではカークス軍の力を借りねば、 シュテドニアス軍を撃退することが不可能だと 判断されたのだろう」
ヤンロン「まず、ラングランを解放しなければ、 その後のことなど成り立たないからな」
クスハ「でも……もし、当面の事態の対策として、 フェイル殿下がテリウス殿下の即位を 認められたのだとしたら……」
クスハ「後でフェイル軍とカークス軍が 戦うことになるかも知れませんよね……?」
ゼンガー「……そうだな」
シャイン「国は違えど、私も王族の一人です。 王位継承権がどのような意味を持つか、 充分承知しているつもりです」
シャイン「我がリクセント公国でも 旧西暦時代に王位を巡っての争いがありました。 もっとも、戦争までには至りませんでしたが……」
シャイン「フェイル殿下のご決断に対しては、 周りの方々が激しく反対したはずです」
シャイン「それを押しのけてまで ご自身の王位継承権を譲り、テリウス殿下の 即位を認められたということは……」
シャイン「この戦乱の収拾以外にも、何か理由が…… 並々ならぬご決意があるのではないでしょうか」
ヤンロン「……シャイン王女のご推察、僕も同意致します」
リューネ「フェイル殿下も 何か別の目的を持ってるっていうこと……?」
ヤンロン「ああ……僕は君達をセブ神殿へ送り届けた後、 それを直接確認しに行くつもりだ。 殿下は今、王都にいるだろうからな」
ヤンロン「もしかしたら、 マサキ達もそこにいるかも知れない」
リューネ「ねえ、通信で確認することは出来ないの?」
ヤンロン「またエーテル流の乱れが激しくなっている。 長距離通信は困難な状況だ」
ヤンロン「それに、セブ神殿を確保しなければ、 君達や他の地上人達を送還することが 出来なくなる」
カチーナ「カークス将軍が送還準備を整えてるってんなら、 あいつの部下が守りについてるんじゃねえのかよ?」
ヤンロン「そうだとは思うが…… ルオゾール達の動きが気になる」
ヤンロン「彼らの手を借りて、 潜伏しているシュテドニアス軍部隊は 他にもいると思われるからな」
リューネ「ねえ、ヤンロン。あたしも……」
ヤンロン「これ以上、君達を巻き込むことは出来ない。 鋼龍戦隊の他のメンバーについては、 僕とゲンナジーが責任を持って捜索しよう」
ヤンロン「君達はセブ神殿で待っていてくれればいい」
リューネ「………」

《神聖ラングラン王国 バランタイン州 セブ神殿(ヒリュウ改)》

[ヒリュウ改 ブリッジ]

ショーン「……艦長、まもなくセブ神殿です」
レフィーナ「ここまでは無事に……」
(アラート)
ユン「艦長!  セブ神殿周辺で、戦闘が行われているようです!」
レフィーナ「ヤンロンの予想が当たりましたね。 総員、第一種戦闘配備。 針路このまま、両舷前進第三戦速!」


第14話
セブ神殿

〔戦域:セブ神殿〕

(ブローウェル6機が機装兵に挟まれている)
兵士「そ、そんな馬鹿な! 機装兵が!!」
シオ「機装兵のデータは事前に手に入れてたし。 僕のアヴニールなら、これぐらいは朝飯前だし」
シオ「さっさとやられちゃってよね」
(ブローウェルが全機爆発)
シオ「偵察しに来ただけなんだけど…… 意外にあっさり制圧できそうだし」
シオ「さて、どうするかな…… 準備が整ってるとして、先に地上へ帰ったら、 シエンヌとシアンは怒るだろうし……」
(ケルベリオン・アヴニールに警告シグナル)
シオ「あ……やっぱり、こっちに来ちゃったか」
(ヒリュウ改が南端に出現)
レフィーナ「各機、直ちに出撃せよ!」
(出撃準備)
ゼンガー「あの機体は…… 地上で我らを襲撃した3機の内の1機だ」
キョウスケ「ならば、3人目のブーステッド・チルドレン……」
ブリット「他の機体は?」
ゲンナジー「あれは神殿警備用の機装兵だ」
クスハ「じゃあ、どうしてカークス軍の魔装機を……!?」
ヤンロン「機装兵は無人機だ。 もしや、奴にハッキングされ、操られているのでは?」
シオ「その通りだよ」
カチーナ「てめえ、あのシエンヌやシアンの仲間だな!  いったい何者なんだ!?」
ゼンガー「そして、何故、あの時……我らを襲った?」
シオ「そんなこと、教える義理なんてないし」
ヤンロン「では、何のためにここへ来た?」
シオ「地上へ帰れるって聞いたから、ちょっと偵察にね」
ヤンロン「誰からその話を聞いた?  まさか、カークス将軍ではあるまいな?」
シオ「……ラングランの人間じゃないってことだけ 教えておくよ」
ヤンロン「………」
シオ「お前達がわざわざここへ来たってことは、 話は本当みたいだし。面倒なのは嫌だから、 僕は帰るよ。じゃあね」
(ケルベリオン・アヴニールが撤退)
カチーナ「あっ! 待ちやがれ!!」
(ヒリュウ改の周りに爆煙)
ユン「機装兵がこちらに攻撃を!」
キョウスケ「……暴走したか」
ヤンロン「このままでは、神殿に累が及ぶ!  やむを得ん、機装兵を破壊するぞ!」
(作戦目的表示)

〈敵機全滅〉

ユン「機装兵、全機機能を停止しました」
カチーナ「……あのガキ共は シュテドニアスに雇われてるんだったな。 いったい、どこから話を聞きつけやがったんだ」
ラッセル「機装兵を制御するには、 そのデータを入手しなければなりませんし……」
リュウセイ「あいつのケルベリオンは 電子戦仕様みたいだったから、 その場でスキャンでもしたんじゃねえの?」
ヤンロン「あるいは、シュテドニアスに協力している ルオゾールあたりから聞き付けたか……」
(ヒリュウ改に警告シグナル)
ユン「艦長、こちらへカークス軍の魔装機が 接近中です。機種はガルガード、ガディフォール、 ブローウェルです」
レフィーナ「ガルガード……? カークス将軍の搭乗機が 何故、ここへ?」
(南西端にガルガード、ガディフォール、ブローウェルが出現)
ヤンロン「……カークス将軍がここへ来るとは思えん。 誰がガルガードに乗っている?」
ザッシュ「僕です、ヤンロンさん」
ヤンロン「ザッシュ、君がどうして……!?」
ザッシュ「父の所から脱走して来ました。 父の強引なやり方に不安を感じている仲間がいて、 僕を助けてくれたんです」
ラッセル「だ、脱走って……将軍のご子息と言えど、 そんなことをしたら!」
ザッシュ「覚悟の上です。 僕はもう、父の下へ戻るつもりはありません」
ヤンロン「しかし、ザッシュ……」
ザッシュ「……もう決めたんです。 僕は、ヤンロンさん達と行動を共にします。 いいですよね、リューネさん?」
リューネ「え? 何で、あたしに振るのよ?  そこはヤンロンでしょ?」
ザッシュ「え……あの……とにかく、よろしくお願いします」

[ヒリュウ改 格納庫]

ヤンロン「ザッシュ、本当にいいんだな?  下手をすれば、君は自分の父親と 戦うことになるんだぞ」
ザッシュ「父かどうかは関係ありません。 僕は、ラングラン軍の戦士として、カークス将軍が やろうとしていることを止めたいんです」
リューネ「ふうん……結構カッコいいよ、あんた」
ザッシュ「そ、そうですか?」
リューネ「でも、マサキには及ばないけどね」
ザッシュ「え? リューネさんは、マサキさんと 知り合いなんですか?」
リューネ「知り合いなんてもんじゃないよ。 こ・い・び・と」
タスク「おろ、いつの間にそんな急接近を?  じゃ、デートぐらいしたのかよ?」
リューネ「デート……!? 知るもんかっ!」
タスク「何だよ、急に怒り出して。 恋人なら、デートぐらいするもんだろ」
リューネ「誰が恋人だって!?」
タスク「マサキだろ?」
リューネ「あんな奴、恋人でも何でもないよ!」
タスク「な、何やねん、その反応は~」
ザッシュ「じゃ、じゃあ…… 今、リューネさんはフリーなんですね」
ザッシュ「こ、こここ今度、その、あの、 デデデッ、デートしてもらえませんか、なんて……」
リューネ「……いいよ」
ザッシュ「ああ、そうですよね…… やっぱ、駄目ですよね、僕なんか……」
リューネ「……いいよって言ったんだよ、あたし」
ザッシュ「えええっ! ホ、ホ、ホ、ホントですか!?」
リューネ「この戦いが終わったらね。 でも、一つだけ条件があるの」
ザッシュ「言って下さい! どんなことでも!」
リューネ「ぜぇーたいに、 デートの約束をすっぽかさないこと!」
ザッシュ「そんなことでいいんですか?  任せて下さい! 何があっても守ってみせますよ!」
ザッシュ「じゃあ、僕はレフィーナ大佐に ご報告することがあるので、これで!」
ヤンロン「いや、待て。それなら僕も行こう」
リューネ「大事な話なら、あたしも」
ザッシュ「もちろん! さあ、行きましょう!」
リューネ「って言うか…… あんた、艦長室がどこにあるか、知らないでしょ」
(足音・ザッシュ、リューネ、ヤンロンが立ち去る)
タスク「……ありゃ、一目惚れだな」
リュウセイ「そうなのか?」
タスク「だってさ、こないだ会った時はタメ口だったのに、 もう敬語だぜ。ザッシュの方が年上なのにさ。 勝ち気で男勝りな女の子がドストライクだと見た」
ブリット「お前と同じだな」
タスク「違う違う、レオナちゃんとリューネじゃ、 PT特機ぐらい違う」
ブリット「よ、よくわからないよ、その例え……」
リュウセイ「なるほど……」
ブリット「って、お前はそれで理解できるのかよ?」
タスク「……あいつ、先にカチーナ中尉と会ってたら、 そっちに一目惚れしたかもな」
カチーナ「ああいうタイプは、まあ嫌いじゃねえぜ。 ちいとなよなよしてる点が気になるが、 ビシバシ鍛えりゃ、一人前にならあ」
ラッセル「や、やめて下さいよ、 彼は前途ある若者なんですから……」
カチーナ「てめえ、そりゃどういう意味だ!?」
クスハ「でも、いいのかしら……デートの約束をして」
タスク「多分、マサキの奴はリューネとのデートを すっぽかしたことがあるんだろ」
タスク「あいつも鈍いしさ、刺激があっていいんじゃないの?  見てる方は面白いしさ」
リュウセイ「マサキも大変だねえ」
タスク(って、お前に言えることじゃねえんだけどな)


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