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テリウス出奔 ヒリュウ改に立ち寄らない ~ 第12話 ~

《神聖ラングラン王国 ラングラン州 王都(ハガネ)》

[神聖ラングラン王国 王宮内(作戦室)]

ノボス「……殿下、カークス将軍から 戴冠式の日時と場所について連絡がありました。 詳細はこちらに」
フェイル「……なるほど……思いの外、早いな。 さすがに王都で式を執り行う気はなかったか」
ノボス「殿下を呼びつけるなど、無礼千万です。 しかも、式の様子を放映するなど……」
ノボス「カークスは、この機に自分の権勢を 民間に対しても見せつける気ですな」
フェイル「………」
ノボス「護衛については、いかがなさいます?」
フェイル「マサキ達の魔装機神と鋼龍戦隊に 要請するつもりだ」
ノボス「なるほど…… ハガネなら、カークスも迂闊に手は出せますまい」
フェイル「ああ。遊撃空母が完成していたなら、 彼らの手を煩わせることもないのだが……」
ノボス「シュテドニアスとの一件で、 建造に遅れが出ておりますからな……」
フェイル「せめて、デュラクシールだけでも 使えるようにしておきたい。カークス将軍が 超魔装機計画を継続させている可能性はあるからな」
(扉が開閉する)
セニア「……兄さん、お待たせ」
フェイル「セニア、わざわざ済まないな」
セニア「私を呼んだ理由は……デュラクシールかしら?」
フェイル「その通りだ。 あれの調整を再開しようと思っている」
セニア「もうこっちに運び込んであるの?」
フェイル「ああ、開発スタッフも既に招集してある」
セニア「じゃあ、仕上げるのにあと2、3日って所ね。 本当はヒュッケバインMk-IIやMk-IIIを 直に見た上で調整をしたかったんだけど……」
セニア「フレームや関節強度の問題は、 機体サイズを変更した上での補強で クリアしてるから、大丈夫かな」
セニア「魔装機や地上の人型機動兵器以上の 性能を保証するわよ」
フェイル「期待しているよ。 それから、テリウスの戴冠式についてだが…… 私の護衛を鋼龍戦隊に要請しようと思っている」
セニア「やっぱり……行くのね?」
フェイル「私が行かねば、話になるまい」
セニア「なら、私も付き合うわ」
フェイル「いや、お前はデュラクシールを……」
セニア「兄さんやテリウスのことが心配だもの。 デュラクシールについては、スタッフに指示を 出しておいて、戻ってから一気に仕上げるわ」
フェイル「……わかった」

(王都の格納庫)

マサキ「フェイル殿下の護衛?」
テュッティ「ええ」
マサキ「例の戴冠式か……。 殿下は本気であれを認めるつもりなのか?」
テュッティ「ええ……その代わり、カークスに対して 発言権を持つつもりらしいけど」
マサキ「無駄だと思うぜ、俺は。 カークスに大義名分を持たせちまったら、 始末に負えなくなるんじゃねえのか?」
テュッティ「そうよね……。 でも、今、ここで私達が議論しても仕方がないわ。 戴冠式の間、私達で殿下を守らないと……」
ミオ「ねえねえ、二人してお出かけ?」
マサキ「ちょいとバランタイン州の方までな」
ミオ「じゃ、お土産でペナントと骸骨のキーホルダー 買って来て」
マサキ「今時、そんなもんがあるか!」
テュッティ「って言うか……あなたも行くのよ、ミオ」
ミオ「え、そうなの? じゃあ、自分で探そっかな。 目玉が飛び出すダルマのキーホルダーとか、 東京タワーの置物とか」
マサキ「……ラングランに東京土産があるわけねえだろうが」

[ハガネ ブリッジ]

フェイル「ここがハガネの第一艦橋……」
ノボス「思っていたより、クルーの数が少ないですな」
テツヤ「スペースノア級万能戦闘母艦は、 出来うる限りの自動管制が図られておりますので。 では、殿下……アドミラル・シートへどうぞ」
フェイル「ありがとうございます。 中佐のお手並みを拝見させていただきます」
アヅキ「……あれがラングランの王子様…… モニター越しで見るより素敵ですねぇ」
エイタ「ご一行は、艦に興味津々って感じだね。 やっぱり、ラ・ギアスには宇宙戦艦なんて ないんだろうな」
テツヤ「そこ! 私語を慎め! 殿下の前だぞ!」
アヅキ「す、すみません!」
ノボス「ふむ……この艦は、規律面において 少々問題があるようですな」
フェイル「いいじゃないか。 堅苦し過ぎるのもどうかと思うよ」
ノボス「いえ。軍隊ですから、規律厳守は重要です」
フェイル「まあ、そうなんだが」
フェイル(これ以上何か言えば、私も説教されかねないな……)
エイタ(な、なんか、授業参観な気分……)
テツヤ「これより本艦は発進シーケンスに入る!  総員、配置につけ!」

〔戦域:川沿いの溪谷〕

(東端にハガネが出現。ゆっくり西へ移動し、中央あたりで止まる)
フェイル「ふむ……これだけの巨体が難なく飛行するとは 大したものだね」
ノボス「ええ、ソディウム級より静かですな」
(通信)
アヅキ「艦長、カークス軍から電文が入りました。 フェイル殿下宛てです」
テツヤ「では、殿下の所へ回してくれ」
アヅキ「了解です……どうぞ、殿下」
フェイル「……これは……!」
ノボス「どういう内容なのです?」
フェイル「先方は戴冠式を延期すると言ってきた。 理由は……大神官ザボド卿の体調不良だそうだ」
ノボス「何ですと……!?」
フェイル「さらに、いったん王都へ戻って欲しいとも言っている。 ……おそらく、ザボド卿の体調不良は嘘だろう。 向こうで何かあったのかも知れぬな」
ノボス「あるいは、罠か……。 私がカークス将軍に連絡し、問い質しましょう」
フェイル「いや、いい。 ……テツヤ中佐、先方に受諾したと 返答していただきたい」
テツヤ「よろしいのですか?」
フェイル「ええ、しばらく様子を見ます。 ハガネはここで待機していただきたいのですが……」
テツヤ「了解しました」

[ハガネ ブリーフィング・ルーム]

マサキ「殿下、いったいどういうことなんだ!?」
テュッティ「マサキ、もう少し口の利き方を……」
フェイル「構わんよ、マサキはそうでなくては面白くない」
マサキ「カークスの野郎はこっちをなめてやがるんだ!  俺達はガキの使いじゃねえんだよ!」
フェイル「いや、私は向こうで不測の事態が 起きたと考えている」
マサキ「不測の事態……!?」
ライ「カークス将軍にとって都合が悪いこと…… そして、殿下に知られたくないことが起きたと?」
フェイル「その通りです、ライディース少尉」
ライ「私を御存知なのですか?」
フェイル「ええ、ハガネの戦力に関する資料は 一通り目を通しているので」
ライ(……さすがだな。 一軍の長を務めるだけのことはある)
(扉が開閉する)
リオ「みんな、大変よ!!」
フェイル「何があったのです?」
リオ「あ、殿下……す、すみません。 ここにいらっしゃると思っていなかったので……」
フェイル「構いません。それで、何が?」
リオ「緊急放送の映像を受信して…… 今から戴冠式が始まるとわかったんです!」
マサキ「な、何だって!?」
テュッティ「式は延期になったはずでは……!?」
ノボス「これは…… 殿下のご予想が的中したかもしれませんな」
フェイル「……マサキ、その映像を ここで見られるように出来るか?」
マサキ「あ、ああ。ちょっと待ってくれ」
(モニターオン)

(中継映像:神殿の礼拝堂)

アナウンサー「……厳かな雰囲気の中、神聖ラングラン王国 第288代国王、テリウス・グラン・ビルセイア陛下の 戴冠の儀が行われようとしています」
アナウンサー「大神官ザボド卿の即位宣言が、 静寂の中にこだましています」
(ザボドとテリウスが現れる)
ザボド「……において、精霊の祝福と共にあり、 そなたが母、ナタリア・ゾラム・ラクシュミーと そなたが父、アルザール・グラン・ビルセイアの……」

[ハガネ ブリーフィング・ルーム]

フェイル「……ゾラムだと……?」
テュッティ「殿下?」
フェイル「まさか……!」
マサキ「殿下、どうしたんだ?」
フェイル「ノボス、私と共に来てくれ。話がある」
ノボス「承知致しました」
フェイル「マサキ、ノボスと二人だけで話せる場所はないか?」
マサキ「だったら、ハガネの俺の部屋を使ってくれ」
クロ「マサキ、あんまし掃除してニャいでしょ。 そこに殿下を案内するニャんて……」
マサキ「そ、そんなことを言ってる場合じゃねえだろ!」
フェイル「その通りだ。すまないが、案内を頼む」

(ハガネ 艦内・マサキの部屋)

フェイル「ノボス…… あのテリウスは、本物ではないかも知れん」
ノボス「な、何ですと!?」
フェイル「テリウスと私は異母兄弟だ。 彼の母はナタリア……世間では貴族出身となっている」
ノボス「私もそう伺っておりますが……」
フェイル「実は違うのだ。彼女はれっきとした王族だった。 今、このことを知っているのは テリウスと私ぐらいなのだが……」
ノボス「それは……しかし、何故、そのような……?」
フェイル「……彼女はあのノーランザ家の出身なのだ」
ノボス「ノーランザ……呪われた一族……!」
フェイル「それは違う!  あれには隠された真相があったのだ。 私はテリウスからそう聞いている」
ノボス「………」
フェイル「テリウスは母の出自を誇りに思っていた。 その証拠に、大人しかった彼が一度だけ 大暴れしたことがある」
フェイル「それは、ナタリアに関する件だった。 テリウスは、彼女を貶める者を決して許さなかった。 彼にとって、母は立派な王族だったのだ」
ノボス「では、先程の名乗りでゾラムと呼ばれていたのは 何故です? 王族ならば、グラニアであるはず……」
フェイル「そこだ。 テリウスは母に関して、強烈なプライドを持っている。 あれが本物ならば、母をあのように呼ばせはせぬ」
ノボス「なるほど……。 それで、殿下を戴冠式に出席させぬよう 取り計らったカークスの意図が読めました」
フェイル「ああ…… 私やセニアが直に会えば、すぐにわかることだからな」
ノボス「いかが致しましょう?  カークスに抗議なさいますか?」
フェイル「いや、証拠がない。ナタリアの件については、 私とテリウスしか知らぬからな」
ノボス「では、本物のテリウス殿下の行方を探りましょう。 ザボド卿の体調不良などという陳腐な言い訳を したぐらいです。先方は混乱しているかと」
フェイル「うむ……事によっては、カークス軍と 一戦交えねばならんかも知れんな……」

[ハガネ ブリッジ]

テツヤ「なるほど、事情はわかりました。 それで、テリウス殿下の行方について、見当は?」
フェイル「セニアに調べさせようと思っているのですが……」
エイタ「艦長、お話中、申し訳ありませんが…… よろしいですか?」
テツヤ「何だ?」
エイタ「0時方向、10キロメートルほど先で 魔装機らしき機体の反応が複数あります」
エイタ「どうも動きが妙で…… 複数の機体が1機を追跡しているようなんです」
テツヤ「この辺りで展開している部隊となると、カークス軍…… 演習でもやっているのか?」
フェイル「もしかしたら……!  中佐、そちらへ向かってもらえませんか?」
テツヤ「了解しました。 念のため、総員に第一種戦闘配置命令を出します」


第12話
テリウス出奔

〔戦域:草原〕

(ガディフォールが出現、ガディフォール2機とブローウェルカスタムが出現。先に出現したガディフォールが振り返る)
ラテル「お止めなさい、テリウス殿下。 それ以上抵抗されるのなら、我々は強硬手段に 訴えざるを得ません」
テリウス「く……来るなっ!」
ラテル「やれやれ…… レスリー、影縛りの用意は出来たか?」
レスリー「あと1分いただけますか」
ラテル「30秒だ」
テリウス「ち、近づくなっ! ぼ、僕は本気だぞ!!」
ラテル「よろしいですか、殿下。命令では、生死を問わぬと 言われておりますが……我々は、あなたを無事 連れて帰ろうと思っているのです」
ラテル「しかし、駄々をこねられるようでしたら、 御身の保証は……」
ミラ「アクロス少佐、 こちらへ地上人の戦艦が接近中です!」
ラテル「ちっ、気づかれたか。 ライオネス少尉、アハマド殿に連絡を」
ミラ「了解!」
(ブローウェルカスタムが黒い煙のような物をテリウス機に向かわせ、ブローウェルカスタムとテリウス機が黒い煙のような物に覆われる)
テリウス「な、何だ!?」
レスリー「……影縛り、完了しました」
テリウス「えっ!? う、動けない!?」
レスリー「無駄ですよ、テリウス殿下。王族と言えど、 この影縛りから逃れることは出来ませぬ。 大人しくなさいますよう」
(南側にハガネが出現。出撃準備)
フェイル「あのガディフォールに乗っているのは、 テリウスか!」
ノボス「テリウス殿下はカークスの下から脱走を……!」
セニア「しかも、魔装機を奪って……あの子が……」
フェイル「マサキ、テュッティ、テリウスを助けてやってくれ。 それで、カークスの目論見を打破できる」
マサキ「わかったぜ!」
ラテル(援軍が来るまで時間を稼ぐしかないか)
テュッティ「……あなた方はカークス軍の部隊ですね。 私は魔装機神ガッデスの操者、 テュッティ・ノールバックです」
ラテル「よく存じ上げていますよ。 私はラテル・アクロス。階級は少佐です」
ラテル「で、このような所へわざわざいらっしゃるとは…… どういうご用件でしょうか?」
エクセレン「あらら、堂々としらばっくれたわねぇ」
アヤ「時間稼ぎが目的なのかも知れないわ」
テュッティ「……アクロス少佐、私達はそこにいらっしゃる テリウス殿下を取り戻しに来たのです」
テリウス「テュ、テュッティ……」
ラテル「お待ち下さい、テュッティ殿。 テリウス殿下は我々にとっても重要な御方。 お渡しするわけにはいきません。例え……」
マサキ「例え、殺してでも……か?」
テリウス「く……うううううっ!!」
(テリウス機が影縛りの呪縛を解き、少し後退する)
マサキ「何っ!?」
テュッティ「え!?」
レスリー「馬鹿な、影縛りを破るなど……!  いくら王族の魔力が高いとは言え、人間技では!」
フェイル「テリウス……!」
テリウス「はあ、はあ……僕は……僕は、もう嫌だ!!  人の言いなりに動くのはもう……」
(北端にグランゾンが出現)
シュウ「その力……私が預かりましょう」
プレシア「!!」
マサキ「シ、シュウ!?」
フェイル「クリストフ……! 何故、ここに!?」
セニア「もしかして、目当ては!?」
プレシア「シュ、シュウ……!!」
マサキ「落ち着け、プレシア!」
テリウス「ク……クリストフ……」
シュウ「テリウス、あなたの力は見せていただきましたよ。 それだけの力があれば、何も怯えることはないのです。 さあ、私の下へおいでなさい」
テリウス「ぼ……僕が? 僕なんかの力が……?」
シュウ「ええ、あなたの力が必要なのです。 しかし、無理強いはしません。 あなた自身の意志が重要なのです」
セニア「クリストフ! あなた、何を言ってるの!?」
テリウス「……ぼ、僕は今まで……いつも誰かの陰に 隠れていたような気がする……」
テリウス「でも……クリストフ……僕の力が必要なら…… 僕と言う存在が必要なら……」
テリウス「僕を……僕を連れて行ってくれ……!」
シュウ「わかりました」
セニア「テリウス、本気なの!?」
マサキ「シュウの戯言に耳を貸すんじゃねえ!」
テリウス「セニア姉さん、マサキ…… 僕はクリストフと一緒に行く。 もう決めたんだ……邪魔しないでくれ……!」
フェイル「待て、テリウス!  お前は王位継承権を放棄する気か!?」
テリウス「に、兄さん……兄さんでも 僕を止めることは出来ない……」
フェイル「……!」
シュウ「では、行きましょう……テリウス」
(グランゾンが高速でテリウス機に隣接してから、グランゾンとテリウス機が西端まで移動し撤退)
マサキ「あ、あの野郎!!」
ラテル「くっ! まさか、あの男が邪魔に入るとは!」
フェイル(テリウス……!)
マサキ「モニカ王女に続いて、テリウス殿下まで……!  シュウめ、いったい何を考えてやがんだ!?」
セニア(クリストフ……あなた、テリウスに 何をさせるつもりなの……?)
イルム「……シュウと殿下を 追いかけた方がいいんじゃないか?」
ヴィレッタ「それは……あの部隊がどう出てくるか次第ね」
テュッティ「アクロス少佐……」
ラテル「……ラテルと呼んでいただいて結構です」
テュッティ「では、ラテル……どうするの?」
ラテル「仕方ありません。 ありのままをカークス将軍に報告します」
ミラ「しかし、それでは!」
ラテル「確かに、捕らえるのが無理であれば、 暗殺せよとの命令が出ているが……私には出来んよ」
レスリー「ですが、それでは偽りのテリウス殿下を立てて 戴冠式を行ったことが公になり、カークス将軍の信望が 地に落ちてしまいますぞ!」
(北端にソルガディが出現)
アハマド「……そうだな。それは良くないことだ」
トールス「あれは……ソルガディ!」
マサキ「アハマド! お前、カークス側についたのか!?」
アハマド「ああ。悪いのか?」
マサキ「当たり前だ! あいつは簒奪者だぞ!」
アハマド「何? 何だって?」
マサキ「さ・ん・だ・つ・しゃ!  力で上の地位を奪う奴のことだ!」
エクセレン「あらん、マーサってば難しい言葉を知ってるのね」
アハマド「それが悪いことだと言うのか、マサキ?  力のある者が、より正当な地位を望む。 これは当然の権利だと思うが?」
マサキ「今のラングランの状況を見て、物を言え!」
アハマド「……俺は戦争がどういうものか、 嫌というほど知っている。 地上でも、この世界でもな」
ミオ「あの人も地上人……!?」
アハマド「いいか? 戦争が勃発してしまった以上、 一刻も早く終結させるのが一番なのだ。 そのためには、力のある者を応援する」
テュッティ「……例え、それが悪であっても?」
アハマド「神の前では、一人の悪意などたかが知れている。 それにカークスは、さほど悪人とは言えんよ」
アハマド「貴様らの推すフェイル王子とて、 俺から見れば善人とは思えん」
フェイル「………」
ノボス「あの男、何という無礼なことを!」
マサキ「見解の相違って奴だな、アハマド。 それで、どうするつもりなんだ?」
アハマド「貴様らにはここで死んでもらう。口封じだよ」
マサキ「てめえ、フェイル殿下を目の前にして それを言うか!」
アハマド「フェイル王子がここにいるなら、尚更のこと 都合がいい。この一戦が、ラングランの動乱を収める きっかけとなるやも知れぬからな」
マサキ「本気か、てめえ……!!」
アハマド「ああ。俺は、俺が信じた道を征く」
ラテル「待って下さい、アハマド殿!  私が全責任を負います! ですから、ここは……」
アハマド「貴公が責任を取って死んだ所で、 事実が変わるわけではないのだ。 ここでカークスを失脚させては、再び戦乱が起きる」
アハマド「いずれ事実が白日の下に晒されると言っても、 今というタイミングは最悪だ。ならば……」
マサキ「上等だぜ、アハマド!!」
ミラ「アハマド殿!」
アハマド「俺の邪魔をするなら、貴様らも斬る」
ラテル「!!」
レスリー「アクロス少佐、ライオネス少尉、 アハマド殿の仰ることはもっともです……!」
レスリー「大義はカークス将軍にあるのです!  フェイル王子に付き従う魔装機神操者、そして 地上人達に正義の鉄槌を下しましょう!」
アハマド「ラシッド中尉の言う通りだ。 貴様らがカークスに従っている理由を思い出せ」
ラテル「……わかりました。 マサキ殿、テュッティ殿、お覚悟を……!」
テュッティ「待って!」
アハマド「問答無用!」
(敵機増援が出現)
マサキ「あいつ、部隊を連れて来てたのか!」
テツヤ「フェイル殿下、この状況では……!」
フェイル「……ここで我々が退いても、 カークスは兵を差し向けてくるでしょう」
フェイル「テリウスの一件で、 彼は我が方との戦いを決意したはず。 もはや、全面衝突は避けられない……」
フェイル「そして、ここで我々が倒れるわけにはいきません。 テツヤ中佐、応戦して下さい」
テツヤ「……了解しました」
マサキ「行くぞ、アハマド!!」
アハマド「来るがいい、マサキ! 容赦はせんぞ!」
(作戦目的表示)

〈ラテル機のHP30%以下〉

ラテル「くうっ、機体が! 後退するしかないか!」
(ラテル機が撤退)

〈ミラ機のHP30%以下〉

ミラ「ここまで押されるとは……! 後退する!」
(ミラ機が撤退)

〈ブローウェルカスタムのHP30%以下〉

レスリー「お、おのれ! 我が正義が通用せんとは……!!」
(ブローウェルカスタムが撤退)

〈vs アハマド〉

[マサキ]

アハマド「今回は敵味方に分かれたな、マサキ。 こういう自由な所は、風の魔装機操者らしいと 思わんか?」
マサキ「誰がそんなこと!  フェイル殿下に刃向かう奴は、この俺が許さねえ!」
アハマド「ほう……いつまでその台詞が言えるか、見物だな」

[テュッティ]

アハマド「何が正しく、何がそうでないか…… 一義的に決めるなど、傲慢だと思わんか?」
テュッティ「今のあなたに そんなことを言われる筋合いはないわ!」

[ミオ]

アハマド「貴様がザムジードの新たな操者か。 だが、その動き……未熟だな」
ミオ「こっちは、日々成長してるつもりなんだから!」

[プレシア]

プレシア「アハマドさん、どうしてこんなことをするの!?  お願いだから、もうやめて!」
アハマド「ディアブロに乗るようになったか、プレシア。 となれば、一人前……容赦はせんぞ」

[セニア]

セニア「兄さんに手出しはさせないわよ、アハマド!」
アハマド「例えセニア様とて、ここは戦場。 覚悟していただこうか」

[HP5500以下]

アハマド「ちっ……やるな。 まあいい、今回は大人しく引き下がってやるよ」
(ソルガディが撤退)
マサキ「退いたか……」
ミオ「これからはカークス軍との戦いになるんだね……」
セニア「………」
アイビス「……マサキ、テリウス殿下のことはどうするの?」
マサキ「アハマドがしゃしゃり出て来なきゃ、 追跡できたんだが……」
セニア「仕方ないわね。クリストフの口振りからして、 あの子に危害を加える気はなさそうだし……」
マサキ「今は、カークス軍の方が問題か」
フェイル「……中佐、大至急王都へ戻って下さい。 カークスは、既に次の手を打っていると 思われますので」
テツヤ「了解しました」


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