back index next


異界の剣 ヒリュウ改に立ち寄る ~ 第11話 ~

[ヒリュウ改 艦内(通路)]

リューネ「ねえ、ヤンロン。 フェイル王子って、テリウス王子の兄貴で 第一王位継承者なんだよね」
ヤンロン「ああ」
リューネ「あんた、カークス将軍と同じぐらい その人のことが気になってるでしょ?」
ヤンロン「ほう……ただガサツなだけかと思っていたが、 結構鋭いな」
リューネ「……あのねぇ、 女の子にそういうこと言うもんじゃないよ!」
ヤンロン「そのような台詞はもっとお淑やかになってから 言うべきだな」
リューネ「まったく、口が減らないんだから。 で、フェイル王子と何かあったの?」
ヤンロン「……君には関係のないことだ」
リューネ「あっ、そう。 それじゃ、フェイル王子ってどんな人なの?」
ヤンロン「悪い人物ではないが…… 時折、目の光に暗いものが混じる。 僕は、それが気になっている」
リューネ(やっぱり、何かあったみたいだね……)
ヤンロン「話はここまでだ。ブリーフィング・ルームへ行くぞ」
リューネ「わかったよ」

[ヒリュウ改 ブリーフィング・ルーム]

ショーン「本来、あの拠点はラングランのものですから、 構造データが存在しています。そこで、囚われている 地上人が何者なのか事前に調査する必要があります」
カチーナ「確かに、ノイエDCの残党とかだったら、 救出作戦を展開する必要はねえしな」
レオナ「誰が拠点への侵入を?」
ヤンロン「僕とランシャオが行く。 シュテドニアス軍兵の制服を着て、“隠れ蓑”を 使えば、敵に気づかれず内部に入れる」
ヤンロン「あと、腕の立つ者がもう一人か二人いれば……」
リューネ「じゃあ、あたしが行くよ」
タスク「なるほど、リューネなら適任だぜ」
ヤンロン「その根拠は?」
リューネ「あたし、運動神経と動体視力には自信があるんだ。 拳銃の弾丸なんか、このリストバンドで受け止めるよ」
ヤンロン「そんなことが可能なのか?」
リューネ「うん、 チタンワイヤーとアラミド繊維で出来てるからね。 あんたこそ、大丈夫なの?」
ヤンロン「僕は北派少林拳の心得がある」
レフィーナ「では、内部調査は二人に任せます。 もし、鋼龍戦隊のメンバーが囚われていた場合は 救出を試みて下さい」
レフィーナ「私達はあなた達からの合図があり次第、 拠点への攻撃を開始します」
ヤンロン「了解しました」
ショーン「問題となるのは、合図があってから我々が 駆け付けるまでのタイムラグですな。事前に本艦が 近づき過ぎれば、こちらの狙いを読まれかねませんし」
リューネ「こっちはこっちで何とかするよ。 後はなる早で来てもらうしかないね」
ヤンロン「では、僕達は一足先に敵拠点へ向かいます」

[シュテドニアス軍 拠点付近(海辺砂浜)]

リューネ「あっはっはっは! 似合ってるよ、ヤンロン!  どっから見てもシュテドニアス軍兵にしか 見えないって!」
(ヤンロンはシュテドニアス軍の制服を着ている)
ヤンロン「……笑っている場合か。君も制服を着るんだ」
リューネ「やだよ、そんな格好。 あたしはこのままの方が動き易いし」
ヤンロン「わがままを言うな」
リューネ「まあ、どうしても着なきゃならなくなったら、着るよ。 それより……あたし、あんたをちょっと見直したよ」
ヤンロン「どういうことだ?」
リューネ「あんたがあたし達の手伝いをしてくれるとは 思ってなかったんだ。すぐにでもカークス将軍の所へ 行くんじゃないかと……」
ヤンロン「そうしたいのは山々だが、現状で最優先すべきは シュテドニアス軍との戦いを終結させることだ」
ヤンロン「それに、君達に色々と手伝ってもらっておいて、 素知らぬふりをするわけにはいくまい」
リューネ「あんた、意外にいい奴なんだね」
ヤンロン「……ランシャオが戻って来たぞ」
ランシャオ「ご主人様、南側の地下水路は封鎖されて おりませんでした」
ランシャオ「また、敵は元からあった監視装置を 使用しているため、“隠れ蓑”を用いれば、 内部に難なく侵入可能です」
ヤンロン「わかった」
リューネ「地上人が捕まってる場所の見当は付いてんの?」
ヤンロン「ああ。では、行くぞ」

[拠点内 格納庫]

リシェル「ここの地上人の情報を流してたって……!?  あんた、どういうつもり!?」
ムラタ「餌に誘き寄せられて来る者を斬るためだ」
リシェル「もしかして、鋼龍戦隊っていう連中?」
ムラタ「本命は、それに近しい男だ」
リシェル「冗談じゃないわよ。 ただでさえ、フェイル軍が王都に近づいていて こっちはバタバタしてるってのに……!」
リシェル「でも、今回はこないだみたいに失敗しないわ。 最初から全員を人質として使ってやるから」
ムラタ「俺としては、真っ向勝負が望ましいが…… ラディウス中尉がそれを許すかな」
リシェル「魔装機に乗ってなければ、押し切れるわよ。 普段はどっちかって言うと大人しい方なんだから。 今すぐ、地上人を独房から出して準備するわ」
(足音・リシェルとムラタが立ち去る)

リューネ「……あそこのハンガーにある機体、 フェアリオンとグルンガスト参式だよ……!」
リューネ「ブリットとクスハはともかく、 シャイン王女まで召喚されてたなんて……」
ヤンロン「では、君の仲間が捕らえられているのは確実か」
リューネ「ムラタっていう厄介な地上人がいるけど、 ブリット達が独房から出された後なら、 助けるチャンスが……!」
ランシャオ「ですが、そのタイミングでは ヒリュウ改の到着が間に合いますかどうか……」
ヤンロン「ともかく、連絡を。 僕達は先回りして独房へ行こう」

[拠点内]

リューネ「……独房はこの先なんだね?」
ヤンロン「待て、誰かが来る。君とランシャオは隠れていろ」
ランシャオ「承知致しました」
リューネ「あ、あんたはどうすんのさ?」
ヤンロン「下手に動くと怪しまれる。 僕はここに立って壁になるから、君達は早く隠れろ」
リューネ「わ、わかったよ」
(リューネが隠れる・足音)
エリス「あ、あの……」
ヤンロン(! 彼女は確か……)
ヤンロン「何でしょう?」
エリス「格納庫へ行く道って、 こ、これで良かったかしら……?」
ヤンロン「は?」
エリス「そ、その……まだここに慣れてなくて……」
ヤンロン「そこを曲がって真っ直ぐ進めば、格納庫です」
エリス「あ、ありがとう」
(足音・エリスが立ち去る)
ヤンロン(間違いない、胞子の谷でも戦った女だ。 戦闘中と随分様子が違うな……)
(サイレン)
ヤンロン「!」
リューネ「な、何!? あたし達、見つかってないよね!?」
ヤンロン「外で何かあったのかも知れん。 ともかく、僕達は独房へ急ごう!」


第11話
異界の剣

〔戦域:ザボール州収容所周辺〕

(ダイゼンガーがいる所にシュテドニアス軍が出現)
エリス「たった1機で攻めて来ただと!?  身の程知らずめ!」
ムラタ「フフフ…… ようやく会えたな、ゼンガー・ゾンボルト」
ゼンガー「ムラタ……お前もこの世界へ来ていたか」
ムラタ「鋼龍戦隊が召喚されていると知り、 もしやと思ったが……読みが的中したぞ」
ゼンガー「この世界でも悪逆非道の剣を振るう気か」
ムラタ「人機が斬れれば、場所は問わん。 ましてや、ゼンガー……相手が貴様ならばな」
リシェル「後で鋼龍戦隊が来るかも知れないわね……!  こうなったら、地上人を人質に……」
エリス「貴様! そんな卑怯な真似が出来るか!」
リシェル「この拠点を失うわけにはいきませんよ、中尉!  それに、もう手はずは整えています!」
エリス「グレノール少尉! 命令違反だぞ!」
リシェル「お叱りは後ほど! 私も後がないのです!」
ゼンガー「……命が惜しくなくば、掛かって来るがいい。 我が眼前に立ちはだかる者は、斬艦刀にて斬り捨てる」
リシェル「こちらには人質がいるのよ!  直ちに武装解除しなさい! さもなくば……」
ゼンガー「黙れッ!」
リシェル「!?」
ゼンガー「そして、聞けッ!」
ゼンガー「我はゼンガー! ゼンガー・ゾンボルト!  悪を断つ剣なり!!」
リシェル「な、何を!? 人の話を聞いてないの!?  後悔することになるわよ!」
ゼンガー「それはこちらの台詞だ! いざ参る!!」
(作戦目的表示)

〈3PP〉

リシェル「あの男、言うだけのことはあるわね……!  早く人質を出しなさい!」
(ソディウム級移動要塞に爆煙)
リシェル「!?」
(拠点の南側にフェアリオン・タイプG、グルンガスト参式が出現)
リシェル「な、何をやってるの!?  機体に乗せろなんて言ってなかったわよ!」
シャイン「あなたの部下はバタンキュー…… いえ、気絶しておりますわよ!」
リシェル「なっ!!」
ブリット「ゼンガー少佐!」
ゼンガー「お前達、無事だったか」
リューネ「少佐、あたし達の通信を聞いて 駆け付けてくれたんだね!」
ゼンガー「ああ」
リシェル「ま、まさか、侵入者がいたとは……!  しかも、あの男が単機で突っ込んで来たのは、 私達の気を逸らし、時間を稼ぐため……!?」
ランシャオ「ご主人様、ヒリュウ改が到着しました」
(ヒリュウ改が南東端に出現)
ブリット「シャイン王女、ここは自分達が引き受けます!  リューネ達をヒリュウ改へ!」
シャイン「わかりました! ぶっ飛びますわ!」
(フェアリオン・タイプGが高速でヒリュウ改に隣接)
レフィーナ「各機、直ちに出撃せよ!」
(出撃準備)
リシェル「くうっ、こないだと同じような展開じゃないの!」
キョウスケ「ブリット、クスハ。 捕らえられていたのは、お前達だけか?」
ブリット「ええ」
クスハ「他の人達は見当たりませんでした……」
カチーナ「なら、後はあの連中をとっちめるだけだな!  行くぞ、野郎共!」
(作戦目的表示)

〈vs ムラタ〉

[ゼンガー]

ムラタ「この時を待ちわびていたぞ、ゼンガー!  貴様との死合、我が剣が打ち震えておるわ!」
ゼンガー「外道の剣で俺を断つことは出来んぞ、ムラタ!」

[ブリット]

ムラタ「リシュウの弟子か!  師匠より先に冥府へ送ってやるわ!」
ブリット「お前のシシオウブレードを 参式獅子王刀で叩き折ってやる!」

[HP12000以下]

ムラタ「むうっ、流れが悪いな……!  この勝負、預けておくぞ!」
(ガーリオン・カスタム“無明”が撤退)

〈vs リシェル〉

[ゼンガー]

リシェル「ざ、斬艦刀って…… まさか、その刀でこの移動要塞を斬るつもり!?」
ゼンガー「言われるまでもない! 行くぞ!!」

[HP8000以下]

リシェル「こ、これ以上は……! 直ちに後退を!」
(ソディウム級移動要塞が撤退)

〈vs エリス〉

[ヤンロン]

ヤンロン「先程、道を聞いた時は随分と様子が違っていたな」
エリス「貴様、あの時の!? 変装していたのか!」

[撃墜]

エリス「ま、またしても……! て、撤退だ!!」
(ギルドーラが撤退。残っている敵機も撤退)
ユン「戦域内の敵機反応、全て消えました」
ショーン「シャイン王女達の救出と拠点の奪還…… 上々の結果ですな」
レフィーナ「ええ…… ゼンガー少佐の件も含め、幸運が重なりましたね」

[ヒリュウ改 格納庫]

シャイン「皆様……助けていただき、深く感謝致しますわ」
ヤンロン「いえ、御身がご無事で何よりです、 シャイン・ハウゼン王女」
リューネ「いや~、ホント、絶妙のタイミングだったよ」
リュウセイ「って言うか、リューネ…… お前、その格好のまんまで潜入したのか?」
リューネ「そうだよ」
リュウセイ「黒豹連れで、よくバレなかったもんだ」
レオナ「そうね……この上なく目立つと思うけど」
リューネ「まあ、誰かさんが完璧な変装をしてたからね。 あんた達にも見せたかったよ」
ヤンロン「僕は冷や汗ものだったがな」
ラッセル「ところで、シャイン王女は どのような経緯でラ・ギアスへ?」
シャイン「リクセントでフェアリオンのコックピットを 掃除していましたら、突然この世界に……」
クスハ「その後、王女がシュテドニアス軍に 捕まった所に私とブリット君が 遭遇したんですが……」
ブリット「王女を人質に取られてしまい、 やむなく彼らに投降したんです」
レオナ「それで、彼らに協力するよう強要されたの?」
クスハ「ううん……あの人達は、私達三人を どこかに移送するつもりだったみたいなの」
キョウスケ「移送だと?」
ブリット「ええ。 そのためか、尋問は受けたものの、 手荒な真似はされませんでした」
カチーナ「その割にゃ、人質にする気だったみてえだがな。 ま、こうやって助け出せたんだから、 結果オーライってことにしとこうぜ」
キョウスケ「……では、ゼンガー少佐は どこからラ・ギアスへ?」
ゼンガー「俺は再調整を行ったダイゼンガーのテストを 行うため、ユウキやカーラ達と太平洋上へ 出たのだが……」
ゼンガー「そこで、3機の新型リオンシリーズらしき機体と 遭遇し、交戦した」
ラッセル「もしや、それはシエンヌ達では……?」
ゼンガー地球連邦軍ノイエDCの機体には 見えなかったが……その後、我らは 突然光に包まれ、この世界へ来た」
ゼンガー「その後、ダイゼンガーを谷間に隠して、 単独行動を取り……地上人があの場所に 囚われているという情報を得たのだ」
ブリット「……じゃあ、少佐と一緒にいた ユウやカーラもラ・ギアスへ来ているかも 知れないんですね」
シャイン「あの……ライディ様や他の皆様は……」
レオナ「この世界へ召喚された可能性が高いのですが…… 消息はまだ掴めていません」
シャイン「そ、そうでございますか……」
リューネ「何だかんだでみんな無事だったんだし、 他の連中もそうだと思いたいけどね……」
ヤンロン「カークス将軍が鋼龍戦隊のメンバーに関する 情報を持っていて、僕達に隠している可能性がある」
ヤンロン「彼の所へ行き、諸々の件を直接問い質そう」


back index next