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信念と疑惑 ヒリュウ改に立ち寄る ~ 第8話 ~

〈ソディウム級移動要塞撃墜〉

ゴドル「も、もはや、ここまでか……!」
カークス「投降せよ、ノーランド少佐」
ゴドル「!」
カークス「ここでの勝敗は決した。貴公にも家族…… そして、ラングランでの知己がいるであろう」
ゴドル「し、しかし、私は……!」
カークス「貴公の命は私が預かる。 この戦争が終わった後で、働いてもらおう」
カークス「ラングランとシュテドニアスだけでなく…… ラ・ギアス全土に秩序と平穏をもたらすためにな」
ゴドル「………」
ヤンロン「………」
ショーン(……カークス・ザン・ヴァルハレヴィア…… 単なる戦争屋というわけではなさそうですな)

[ヒリュウ改 格納庫]

キョウスケ「……無事で何よりだ、リュウセイ」
リュウセイ「ああ、中尉も。こっちに戻れて良かったぜ。 それに……多分、マサキもラ・ギアスに来てるよな」
キョウスケ「あと、おそらくハガネも」
リュウセイ「そうか……みんな、大丈夫かな……」
カチーナ「あたしらもこうやって何とかやってんだ。 ちょっとやそっとじゃ、くたばらねえよ」
リュウセイ「……そうッスね」
タスク「なあ、リュウセイ、金貸してくれよ~。 金目鯛の食べ放題はきっついんだよ~」
リュウセイ「な、何だよ、いきなり」
タスク「おめえにも責任あるようなもんなんだよ~。 頼むよ~」
リュウセイ「はあ?」
ラッセル「タスク少尉とキョウスケ中尉は、 賭けをしてたんですよ。リュウセイ少尉が 地上とラ・ギアス、そのどっちに戻ってくるかって」
リュウセイ「気楽に賭けの対象にしてくれちゃって……」
リューネ「ところで、リュウセイ。 さっき、だいたいの事情はわかってるって言ったよね。 どうしてなの?」
リュウセイ「ああ……俺がラ・ギアスへ転移した後、 ART-1の調子が悪くなっちまってさ」
リュウセイ「そん時にデメクサ・シーエって人に会って、 しばらく厄介になってたんだ。 で、色々と話を聞いたわけ」
ヤンロン「その話、本当か?」
リュウセイ「もしかして、あの人と知り合い?」
ヤンロン「ああ……」
リューネ「誰なの?」
ゲンナジー「俺と同じく地上人で、魔装機の操者だ」
リュウセイ「地上人だってことは聞いてたけど、 魔装機の話はしてなかったな……」
ヤンロン「デメクサはどこにいたんだ?」
リュウセイ「教えてもいいけど、もうあの人はそこにいねえぜ。 俺と別れた後、どっかへ行っちまったからな」
ヤンロン「………」
リュウセイ「カークス軍からの要請で やらなきゃならないことがあるって言ってたけど、 どんな内容なのかは聞いてねえ」
ヤンロン「それで、彼から僕達のことを聞き、 ここへやって来たというわけか……」
リュウセイ「ああ。戦乱が収まるまでは 迂闊に動かない方がいいって諭されたけど…… 俺が仲間達を捜したいと言ったら、教えてくれた」
タスク「そのデメクサって人、 俺達以外の鋼龍戦隊メンバーについて 何か情報を持ってたか?」
リュウセイ「いや、お前らの話以外は……」
ヤンロン「……ゲンナジー、カークス将軍は?」
ゲンナジー「ヒリュウ改の外にいると思うが」
ヤンロン「わかった」

(荒地)

カークス「人払いはしてある。話とは何だ?」
ヤンロン「その前に……デメクサ・シーエが あなたの下で動いているそうですね」
カークス「ああ、言っていなかったな。 彼には、散り散りになった神官達の 行方を調べてもらっている」
ヤンロン「後で地上人を送還するために、ですか」
カークス「……そういうことだ」
ヤンロン「では、本題に入りましょう。 ある筋からの情報でフェイルロード殿下が 生きていると聞きました」
カークス「………」
ヤンロン「何故、将軍はそのことを僕に隠していたんです?」
カークス「……今さら惚けても仕方がないな。 確かに、殿下は生きておられる。 そして、シュテドニアス軍と戦っていると聞く」
ヤンロン「ならば、どうしてフェイル殿下と 合流なさらないのです?」
カークス「……殿下に対し、疑惑があるからだ」
ヤンロン「疑惑……何なのです?」
カークス「多発している地上人召喚事件…… 私は、殿下が仕組んだことではないかと考えている」
ヤンロン「な、何故、そのような……!?」
カークス「まず第一に、 それだけの力を持つ術者は限られている。 そして、殿下もその中に入っている」
カークス「第二に……私はあの方の気性をよく知っている。 公にはなっていないが、殿下は一度魔力テストに 失格されたことがあり……」
カークス「血の滲むような修練の末、再テストに挑まれ、 見事合格された」
ヤンロン「そんなことが……」
カークス「その時からだ、殿下は力に対し コンプレックスを抱かれ始めた……」
カークス「それは、権力でも武力でも同じだ。 フェイル殿下は力を追い求めておられるのだ」
カークス「すなわち、地上の技術と戦力を手に入れる…… そのために今回の大量召喚を決意されたのでは ないだろうか」
ヤンロン「それだけでは……」
カークス「無論、断定は出来ん。 だが、そうであれば、由々しきことだ」
カークス「地上人と兵器を大量に召喚するなど、 この世界を混乱させるだけだからな」
ヤンロン「確かに……。 今回の召喚は意図的なものではなく、 事故だったのではないかと思えるぐらいです」
カークス「殿下は目的のために手段を選ばぬ所がある。 しかも、必要以上にな。だから、私は不安なのだ。 はたして、殿下に力を貸していいものかと……」
ヤンロン「………」
カークス「そして……正直に言えば、私とて野望はある。 この混乱の中で、自分の力がどこまで通用するのか 試してみたいのだ」
ヤンロン「……なるほど、殿下に対する疑惑はわかりました。 今の所はあなたを信用しましょう」
カークス「………」
ヤンロン「しかし、僕は魔装機神の操者です。 もし、あなたが自分の野望に溺れ、 世界に混乱をきたすようになれば……」
カークス「わかっている。 ……では、ヤンロン、私は本陣に戻る。 君はヒリュウ改と共にここで待機してくれ」
カークス「今後の作戦を練った後、改めて要請を出す」
ヤンロン「了解しました」


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