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コーラルキャニオン ヒリュウ改に立ち寄らない ~ 第6話 ~

《神聖ラングラン王国 フラモス州(ハガネ)》

[ハガネ 格納庫]

ツグミ「ねえ、ミオ……その服って、 もしかして自分でアレンジしたの?」
ミオ「あ、わかっちゃいます?」
ツグミ「もちろん。 コルセットベルトとブーツを合わせてる所とか…… その肩のバッジも見方を変えれば斬新だし」
ミオ「えっへん」
マサキ「……女ってのは、 どうしてああも服の話で盛り上がれるもんかね」
リョウト「まあ、男の人でも服が好きな人は多いよ」
マサキ「女でも無類のメカ好きってのがいるもんな。 魔装機の設計とかやってるし」
リョウト「こっちでの知り合い?」
マサキ「ああ。多分、お前と気が合うぜ。 会う機会があったら、紹介するよ」
リョウト「楽しみにしておくよ」
(足音)
リオ「ふ~ん、良かったわね、リョウト君」
リョウト「リ、リオ!」
リオ「はい、これ。 ウィング・バインダーの可動範囲設定修正データ。 それじゃ」
リョウト「ど、どこへ行くの?」
リオ「イング君の様子でも見に行こうかなって。 じゃあね」
(足音・リオが立ち去る)
リョウト「………」
マサキ「追いかけなくていいのか?」
リョウト「うん…… こういう時は、ちょっと間を置いた方がいいんだ。 だいたい8割ぐらいの確率でね」
マサキ(データを取ってんのかよ)
マサキ「ところで、ウィング・バインダーってのは あそこのハンガーのアルブレードもどきに 付いてる奴か?」
リョウト「もどきじゃなくて、 前にリュウセイがテストしていた3号機だよ」
リョウト「ビーム・キャノンやジャケット・アーマー、 テスラ・ドライブを内蔵したバインダーを付けて、 総合的な性能向上を図った機体なんだ」
マサキ「あれ、今までに出撃したことあったっけ?」
リョウト「ううん。まだ調整が終わってなくて……」
シロ「……マサキ、マサキ!」
マサキ「どうした? そんなに慌てて……」
シロ「テュッティから通信が入ったニャ!」
マサキ「何っ、本当か!?」
クロ「そうニャ、すぐにブリッジへ上がってって!」
マサキ「ああ、わかった!」
リョウト「マサキ、その人って……」
マサキ「サイバスターと同じ魔装機神、 ガッデスの操者だよ!」

[ハガネ ブリッジ]

(扉が開閉する)
マサキ「……アヅキ、代わってくれ!」
アヅキ「あ、はい」
マサキ「テュッティ! 俺だ、マサキだ!  聞こえるか!?」
テュッティ「マサキ、今までどこへ行ってたの!?  もう、散々心配させて! お姉さんは怒ってるのよ!」
マサキ「だあーっ! その言い方、やめろっつってんだろ!  戻って来たんだから、いいじゃねえかよ!」
テュッティ「いーえ、そうはいきません。 だいたい、あなたは……」
プレシア「やっほー、お兄ちゃん! 元気してたあ?」
マサキ「ありゃ? プレシア、お前もいるのか?」
プレシア「へへー、テュッティお姉ちゃんについてきちゃった♥ だって、留守番なんて退屈だもん」
マサキ「だ、だからって、お前……」
テュッティ「マサキ、コーラルキャニオンはそちらからも近いわね。 座標を送るから、そこで合流しましょう」
マサキ「ああ、わかったぜ」
(通信が切れる)
エイタ「あんな美人のお姉さんに、めちゃ可愛い妹…… う、羨ましい」
マサキ「どっちも血は繋がってねえよ」
エイタ「な、尚更のこと羨ましい……!」
マサキ「……艦長、あの二人とコーラルキャニオンで 合流してえんだが、そっちへ向かってもらえるか?」
テツヤ「構わんが、シュテドニアス軍と遭遇する可能性は?」
トールス「高いと思われます。 地形的にも待ち伏せに適していますので」
マサキ「そうだな…… あそこはこっそり落ち合うのに都合がいいけど、 それは敵側も同じだからな」
テツヤ「では、第一種戦闘配置命令を出す。 対空対地警戒を厳にしつつ、合流地点を目指そう」


第6話
コーラルキャニオン

〔戦域:コーラルキャニオン〕

(ハガネが出現)
トールス「テュッティ殿が指定した座標は、この辺りですね」
マサキ「あの二人は、まだ来てねえようだな……」
(ハガネにアラート)
エイタ「アンノウン接近、2時方向より真っ直ぐ!」
テツヤ「やはり、伏兵がいたか!  前部全副砲、VLSM、攻撃用意!」
(ソディウム級移動要塞他が出現)
トールス「あれはシュテドニアス軍です!」
テツヤ「各機、直ちに攻撃せよ!」
(出撃準備)
リシェル「うふふ、あれが鋼龍戦隊のハガネね。 例の三人を出撃させなさい」
(南東の高地にR-2パワード、R-3パワード、R-GUNパワードが出現)
マサキ「あ、あの機体は!!」
(R-GUNパワードを指す)
リョウト「SRXチーム!?」
リオ「ど、どうして、シュテドニアス軍に!?」
マサキ「あいつら、事情がわからないまま シュテドニアスの奴らに言いくるめられて、 戦ってるんじゃ……!」
イルム「俺達を目の前にしてか? それはおかしいだろうが」
マサキ「そ、そうか」
イルム「おそらく、何か事情があるんだ。 人質を取られているとかな」
エクセレン「その線はあり得るわね。 R-1とART-1が見当たらないし」
テツヤ「アヅキ、彼らと交信を試みてくれ」
アヅキ「了解!」
アヅキ「スティール2よりR-GUNへ!  応答して下さい!」
(R-GUNパワードの反応はない)
アヅキ「艦長、SRXチームは こちらからの呼びかけに応じません!」
テツヤ「……つまり、交信できない事情があるということか。 イルムの読みが当たってるかも知れんな」
リシェル「あんた達、わかっているわね?  交信したり、怪しい素振りを見せたら、 人質の命はないわよ」
アヤ(くっ、卑怯な……!)
ライ「………」
ヴィレッタ(頼むぞ、アヤ……全てはお前に懸かっている)
アヤ(T-LINKコンタクト…… お願い、気づいて……!)
(精神感応)
ミオ「ねえ、通信以外で連絡を取る方法はないの?  発光信号とか手旗信号とか」
イルム「それが出来れば、もうやってるよ」
ミオ「う~ん…… じゃあ、テレパシーとかでもない限り、無理かぁ」
リョウト「そ、それだっ!」
ミオ「へ?」
イルム「な、何だよ、いきなり」
リョウト「向こうに気づかれず、連絡を取る方法はあります!  アヤ大尉なら!」
エクセレン「そっか、T-LINKシステムね!」
リョウト「スティール2!  大至急、アヤ大尉のT-LINKモデレーターを 起動させて下さい!」
リョウト「もしかしたら、 テレキネシスαパルスのパターンから 何らかのメッセージが拾えるかも知れません!」
テツヤ「了解した。お前達は時間を稼いでくれ。 ただし、SRXチームの機体を落とすなよ」
テツヤ「それと、念のために敵の母艦にも手を出すな。 そこに人質が捕らえられている可能性があるからな」
リシェル「さあ、あんた達……やっておしまいなさい!」
(作戦目的表示)

〈2PP or ソディウム級移動要塞のHP60%以下〉

アヅキ「艦長、リョウト少尉の読み通りです!  T-LINKモデレーターから テレキネシスαパルスの強弱による符号を検出!」
テツヤ「デコードの結果は?」
アヅキ「マイ、ヒトジチ、テキボカン……です!」
テツヤ「マイが敵母艦に囚われているのか……!  直ちに各機へ伝達しろ!」
アヅキ「了解!」
エイタ「艦長、こちらが気づいたことを ヴィレッタ大尉達に伝えた方がいいのでは?」
テツヤ「ああ。ダミーを含めて、信号弾を上げろ」
エイタ「了解!」
アイビス「事情はわかったけど、 どうやってマイを助ければいいの?」
イルム「迂闊に母艦へ近づいたら、盾として使われかねない。 上手く連中の気を引いて、艦内に侵入できれば……」
ゴルド「よろしければ、それがしが。 シュテドニアス軍にいた時、 ソディウム級に乗ったことがありますので」
マサキ「上手く潜り込めたとしても、 おっさんのガタイじゃ、すぐに見つかっちまうぜ」
シロ「おいら達だったら、ハイファミリアで行って 潜り込めるニャ」
マサキ「確かに見つかりにくいだろうけど、 何かあった時は……いや、待てよ。 あいつらなら……」
ミオ「いいアイデアが浮かんだの?」
マサキ「ああ。とりあえず、時間を稼いでくれ」
ライ(……向こうは気づいてくれたか)
ヴィレッタ(でも、問題はこれからね……!)

〈vs ライ、アヤ、ヴィレッタのいずれか〉

[マサキ]

マサキ「当てねえように…… そして、当てられねえようにしねえとな!」

[ミオ]

ミオ「む、向こうは本気で来るのよね……!?」

[リョウト]

リョウト「時間を稼がなきゃ……!」

[リオ]

リオ「同士討ちをさせるなんて……!  卑怯なことを考えるわね、シュテドニアス軍は!」

[イルム]

イルム「シビアな演習だな、こいつは」

[エクセレン]

エクセレン「さてさて、演技力が問われる所ねぇ」

[アイビス]

アイビス「アイビス、命中させては駄目よ!」
アイビス「わ、わかってる!  けど、思ったよりも難しいよ、これ!」

〈4PP or ソディウム級移動要塞のHP8000以下〉

(ハガネに通信)
アヅキ「艦長、テュッティさんからの通信です!」
テツヤ「こちらに回せ」
テュッティ「……マサキから話を聞きました。 人質の救出は私に任せて下さい」
テツヤ「可能なのですか?」
テュッティ「ええ、何とかやってみます。 すみませんが、敵の注意を引き付けておいて下さい」
テツヤ「了解しました」
テツヤ「前部主砲、1番、2番! 攻撃用意!  目標、敵母艦周辺! 艦体に当てるなよ!」
テツヤ「撃てぇっ!!」
(ソディウム級移動要塞周辺に爆煙)
リシェル「あの三人は何をやっているの!  早くハガネを沈めないと、人質が……」
リシェル「いえ、別の使い方をした方が良さそうね。 ここへ人質を連れて来なさい」
マサキ(頼むぜ、テュッティ……!)
テュッティ「ハガネへ! こちらは行動を開始します!」
(ソディウム級移動要塞に砲撃。ソディウム級移動要塞の後部から黒煙が立ち上る)
リシェル「くっ! どこからの攻撃なの!?」
兵士「こ、後方からです!  後部機体搬入口が破損しました!」
(ソディウム級移動要塞の煙を上げている場所に光りの玉が二つ入り込む)
リシェル「何なの、今のは!?」
兵士「破損部から何者かが艦内に侵入したようです!」
リシェル「まさか、人質を狙って……!?  いったい、どうやってこちら側の状況を 知ったと言うの……!?」
リシェル「いえ、それより!  すぐにあの子を独房に戻しなさい!」

[ソディウム級移動要塞 艦内(格納庫)]

(銃声が2回)
兵士「くっ! 何だ、あいつらは! 弾が当たらん!!」
フレキ「……その女性を離していただこうか」
マイ「い、犬が喋った!?」
兵士「ね、狙いは人質か!」
ゲリ「離さぬのであれば!」
兵士「う、うわああっ!!」
(体当たりし、兵士を気絶させる)
フレキ「……思いの外、早く見つけられました。 マイ・コバヤシ殿ですね?」
マイ「う、うん……」
フレキ「私はフレキ、あちらはゲリ。 我らはファミリアです」
マイ「ということは、シロやクロみたいな……?」
フレキ「我らの主は、魔装機神ガッデスの操者です。 あなたを助けに参りました」
マイ「あ……ありがとう」
フレキ「さ、我らが外まで護衛致します」
マイ「ううん、向こう側のハンガーへ行きたい。 そこに大事な機体があるから……」
ゲリ「承知致しました。では、参りましょう」

〔戦域:コーラルキャニオン〕

(ソディウム級移動要塞から光の玉が2つ飛び出る。東側にガッデスが出現し、光の玉がガッデスに戻る)
テュッティ「ご苦労様、フレキ、ゲリ。 人質の子は? 移動要塞の外に逃がしたの?」
フレキ「彼女の機体まで誘導致しました。 まもなく出て来るでしょう」
リョウト「もしかして、あれがガッデス……」
マサキ「そう、水の精霊ガッドと契約した魔装機神だ」
(ソディウム級移動要塞に爆煙)
リシェル「今度は何よ!?」
兵士「か、格納庫内の敵機が 艦外へ出ようとしています!」
リシェル「と、止めなさい! 早く!!」
兵士「ま、間に合いません!」
(R-1が出現)
リオ「R-1が!」
アヤ「マイ、あなたなの!?」
マイ「ああ。見ての通り、リュウのR-1も取り戻した」
アヤ「いったい、どうやって……!?」
マイ「二匹の大きな犬に助けてもらった」
テュッティ「フレキとゲリは 犬じゃなくて、狼のファミリアなのよ」
マイ「あ……ご、ごめん」
テュッティ「ともかく、上手くいって良かったわ」
マサキ「ああ、助かったぜ、テュッティ。 それに、フレキ、ゲリもな」
ヴィレッタ「私からも礼を言わせてもらうわ」
テュッティ「いえ……これで気兼ねなく反撃できますね」
ヴィレッタ「ええ。 アヤ、ライ、マイ、彼らに相応の礼をするわよ」
アヤ「了解です、隊長」
ライ「リシェル・グレノール……ただで済むと思うなよ」
リシェル「こうなったら、まとめて叩き潰してやるわ。 残りの機体を全て出しなさい!」
兵士「はっ!」
(敵機増援が出現)
マサキ「ヘッ、そんなもんで俺達を止められると思うなよ!」
(作戦目的表示)

〈vs リシェル〉

[マサキ]

リシェル「目障りな魔装機神を叩き落とすのよ!」
マサキ「俺のサイバスターとまともにやり合って、 勝てると思ってんのか!」

[テュッティ]

テュッティ「人質を取ったことが仇となったわね!」
リシェル「あんたが余計な真似をしてくれたおかげで、 作戦が台無しだわ!」

[ライ]

ライ「俺達を利用した報いを受けてもらおう」
リシェル「ふん、返り討ちにしてあげるわ!」

[アヤ]

リシェル「敵はどうやって人質のことを知ったの……!?」
アヤ「あなたには想像できない方法があったのよ!」

[ヴィレッタ]

リシェル「あんた達の演技力だけは 褒めておいてあげるわ!」
ヴィレッタ「マイが戻って来た以上、容赦はしない!」

[HP8000以下]

リシェル「くっ、何てこと! 撤退するわよ!!」
(ソディウム級移動要塞が撤退し、残っている敵機も撤退)
エイタ「戦域内の敵機反応、消えました」
テツヤ「よし……対空対地警戒を厳となせ。 SRXチームから順次帰艦させろ」

《神聖ラングラン王国 フラモス州 コーラルキャニオン(ハガネ)》

[ハガネ 艦内(休憩室)]

ヴィレッタ「……私とアヤ、ライは同じ場所に転移したのだか、 マイだけが少し離れた所に出てしまった」
ヴィレッタ「私達が彼女を発見した時、 既にシュテドニアス軍に捕らえられていて…… 彼らの要求を飲まざるを得なかった」
テツヤ「……そうだったのか」
アヤ「でも、こちらからのメッセージに気づいてもらえて 本当に助かりました。一か八かの賭けだったので……」
リオ「それに気づいたのは、リョウト君なんです」
リョウト「いや、きっかけを与えてくれたのはミオだし……」
ミオ「えっへん」
リオ「でも、T-LINKモデレーターの起動を 思いついたのはリョウト君よ。さすがだわ」
マサキ(何でえ、戦闘前は機嫌悪かったのによ)
シロ「……ところで、R-1にはマイが乗ってんだニャ」
マサキ「リュウセイがART-1に乗って 行方不明になっちまったからだろ」
ライ「どうしてそのことを知っている?」
マサキ「エクセレンにも言ったが、 俺はリュウセイやキョウスケと 一緒に行動してたんだ」
ライ「何……!?」
マサキ「多分、リュウセイも地上に戻ったか、 ラ・ギアスに来ているかも知れねえ」
アヤ「それ、本当なの!? リュウは無事なの!?」
マサキ「まあ、こっち側に戻って来てることは確かだぜ」
マイ「じゃあ、すぐに会えるかも知れないんだ……」
アヤ「良かった……ずっと心配してたのよ」
エクセレン「キョウスケもだけど、こっちに来ているのなら、 早く見つけ出さないとね」
テュッティ「地上人のことは、フェイル殿下に合流すれば、 何かわかるかも知れないわ」
マサキ「……おっと、いけねえ。 テュッティとプレシアをちゃんと紹介してなかったな」
マサキ「テュッティは地上人で……魔装機神ガッデスの操者だ」
テュッティ「テュッティ・ノールバックです。 よろしくお願い致します」
イルム「こちらこそ。 私は、イルムガルド・カザハラ中尉です。 この艦でわからないことがあれば、何なりと」
テュッティ「ありがとうございます」
マサキ「で、こっちが俺の妹のプレシアだ」
プレシア「プレシア・ゼノサキスです。 鋼龍戦隊の皆さんには、お兄ちゃんが いつもお世話になってます」
エクセレン「あらん、しっかり者の妹さんねぇ」
リオ「でも、日本人じゃないのね。もしかして……」
マサキ「俺はラングランへ来てから、 プレシアの親父さんの養子になってな。 つまり、義理の妹ってわけだ」
プレシア「皆さん、よろしくお願いします」
イルム「君もわからないことがあったら、何でも聞いてくれよ」
プレシア「はい!」
エクセレン「……さすがイルム中尉。守備範囲が広いことで」
プレシア「守備範囲?」
イルム「……エクセレン、そういうことを言うなっての」
マサキ「テュッティ、俺達は今から王都へ行って モニカ王女を救出しようと思ってんだ」
テュッティ「なるほど……それはいいかもね。 今なら、王都の守りは薄いから」
マサキ「本当か?」
テュッティ「ええ、フェイル殿下がナクート平原で シュテドニアス軍と戦闘中だから」
マサキ「殿下が? そいつは都合がいい。 なら、手薄な西のギナス山から 一気に王都へ突入できるな」
テュッティ「私も一緒に行くわ。 力を合わせて、王女を救出しましょう」
マサキ「ああ、頼むぜ」


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