back index next


それぞれの正義 ヒリュウ改に立ち寄る ~ 第5話 ~

《神聖ラングラン王国 ノーヴァス州 ダンク市》

(宿室内)

(中央にラ・ギアスの勢力地図を見る)
ヤンロン「この赤い部分がシュテドニアスの勢力下にある地域だ。 王都を含め、かなりの州が抑えられているように 見えるが……」
ヤンロン「その実体は線による支配だ。 点と点を結んでいるに過ぎない」
ヤンロン「カークス軍がその線を切断すれば、 状況は一変するはずだ」
ラッセル青い部分が侵略されていないラングランの地域で、 黄色がカークス軍の勢力下ですか……」
カチーナ「じゃあ、今、あたしらは 敵勢力の真っ只中にいるんだな」
ヤンロン「カークス軍以外のラングラン軍部隊も各地で抵抗を 続けているはずだが、王都が制圧されていることも あって情報がまとまらず、詳細はわかっていない」
キョウスケ「……混乱状態が続いているというわけか」
ヤンロン「だが、まもなくカークス軍がトロイア州に向けて 進撃を開始する。僕とゲンナジーは、クエイト市に 駐留している敵部隊に対し、陽動をかけるつもりだ」
リューネ「クエイト市って、どこ?」
ランシャオこの位置です」
ヤンロン「今、クエイト市はシュテドニアス軍の 補給線の要になっている。ここを突けば、 敵も浮き足立つだろう」
(地図が消える)
ラッセル「補給線の要ということは…… それなりの戦力が存在しているんでしょうね」
ゲンナジー「おそらくな」
ヤンロン「リューネ、君達はどうする?  無理に参加してもらう必要はないが……」
リューネ「ここで待ってるのも何だし、あたしも行くよ」
カチーナ「……どうやら、ラングランの解放が 散り散りになってる連中を捜し出し、 地上へ戻る早道みてえだな」
カチーナ「キョウスケ、あたしはヤンロン達を手伝ってやろうと 思ってるが、お前はどうだ?」
キョウスケ「異論はありません」
カチーナ「なら、決まりだ」
ヤンロン「では、クエイト市へ向かおう」
リューネ「また事前に偵察すんの?」
ヤンロン「無論だ」

《神聖ラングラン王国 リストン州 クエイト市(グランヴェール)》

(山間)

タスク「どんな偵察方法かと思いきや、覗き見なんて…… 前時代的だねぇ」
リューネ「ま、ここんとこのパターンだね。 けど、ランシャオは役に立つんだよ。 こまめに動いて、情報を集めてくるし」
タスク「あれで変身が出来りゃ、まるで……」
ランシャオ「……ご主人様、只今戻りました」
ヤンロン「どうだった?」
ランシャオ「ゴリアテ、ナグロットなどの魔装機の他に ソディウム級が1隻おります」
タスク「ソディウム級って何だ?」
ランシャオラ・ギアスの各国で用いられている地上移動要塞で、 魔装機を複数搭載することが可能です」
タスク「機動兵器の母艦ってわけか」
カチーナ「ジガンにゃ、おあつらえ向きの相手だろうが」
タスク「そうッスね」
ヤンロン「では、僕達の戦力で対応できそうだな。 仕掛けるぞ」


第5話
それぞれの正義

〔戦域:クエイト市周辺〕

(敵機は出現済み。南西端にグランヴェール他味方機が出現)
ロドニー「敵襲やて!?  ここら辺にラングラン軍のまとまった戦力は おらんはずとちゃうんか!」
リッジ「それが……相手は地上の機動兵器と魔装機神でして」
ロドニー魔装機神?  もしかして、ラディウス中尉から報告があった グランヴェールかいな?」
リッジ「そ、その通りです!」
ロドニー「あっちゃ~、厄介な奴が来おったで。 こんなことなら、アレの移送を急がせとくんやった」
ロドニー「しかも、地上のメカの数が増えとるし…… あいつらも積極的に地上人を取り込んどるなぁ」
ヤンロン「……魔装機神グランヴェールの操者、 ホワン・ヤンロンだ。ラングランに対する 侵略活動を止め、直ちに立ち去れ」
ロドニー「侵略? せやなあ、確かに……」
リッジ「ジェスハ将軍!」
ロドニー「あ、いや……うむ、そんなことはない。 ワシらの方が正義に決まっとる」
ヤンロン「正義だと? 王都のテロ事件に乗じ、侵略戦争を 仕掛けて来ておきながら、何を言う」
リッジ「ラングランが魔装機神などを作り出さなければ、 我々とて攻め込んだりはしません!」
リッジ「あのような兵器は、存在するだけで脅威なのです!  我々は自分の国を守るため、当然のことをしたまで!」
ヤンロン「魔装機神は、他国を侵略するための兵器ではない。 予言されたラ・ギアスの災厄に対抗するための力だ」
リッジ「それは方便に過ぎません!」
ロドニー「もうええわ、グラスノフ大尉。 どっちに正義があるとか、そんなこと話しとっても 埒があかんわい。所詮、戦争やからな」
ロドニー「ワシらは自分の国を、家族を守るために戦っとる。 それで充分やないけ」
カチーナ「ヘッ……あのおっさん、 なかなか潔いじゃねえか」
ヤンロン「……ならば、これ以上の問答は無用。 戦って、決着を付けるまで!」
ロドニー「……グラスノフ大尉、他の部隊に連絡しとけ。 こっちの救援は必要ない、とな」
リッジ「何故です!?  クエイトを彼らに明け渡すわけにはいきませんよ!」
ロドニー「あいつらは陽動部隊やろ。敵の本命は、他の基地や。 もっとも……もう手遅れかも知れんけどな」
(作戦目的表示)

〈vs リッジ〉

[リューネ]

ロドニー「報告は聞いとったが、ホンマにけったいな機体やな。 まあ、別嬪さんなのは認めるけどな」
リューネ「えっ、ホント!?」
ロドニー「何や、おだてに弱いみたいやな。 ほなら、褒め殺しでいってみよか」
リッジ「将軍、そのようなことを言っている場合では!」

[ヤンロン]

ロドニー「魔装機神ゆうたかて、無敵やないやろ!  いてこましたれ!」
ヤンロン「ふん……後悔することになるぞ」

〈ソディウム級移動要塞以外の敵機全滅 or ソディウム級移動要塞のHP7500以下〉

ロドニー「……ラディウス中尉が言っとった通りやな。 あいつら、強いわ。しゃあない、こうなったら 撤退するしかないで」
リッジ「で、ですが!」
ロドニー「魔装機神をなめたらあかん。 ワシらから出向いて、アレを確実に受け取る方が 後々のためになるわ」
リッジ「りょ、了解しました……撤退します」
(敵機が全て撤退)
カチーナ「逃がすかよ!」
ヤンロン「追う必要はない。 ランシャオ、カークス将軍と連絡を取るぞ」
ランシャオ「承知致しました、ご主人様。 エーテル流に乱れがあるため、少々時間が 掛かるかも知れません」
ヤンロン「わかった」
リューネ「……ところで、ヤンロン。 さっき言ってた、予言されたラ・ギアスの 災厄って何?」
ヤンロン「ああ、それは……」
ランシャオ「ご主人様、カークス将軍との通信がつながりました」
ヤンロン「……思っていたより早かったな」
(グランヴェールに通信)
カークス「……朗報か、ヤンロン?」
ヤンロン「ええ、クエイト市を解放しました」
カークス「よくやってくれた。 こちらもトロイア州の奪還に成功した」
ヤンロン「それは何よりです。 で、モニカ王女に関する情報は入りましたか?」
カークス「いや……いまだ行方知れずだ」
ヤンロン「そうですか……」
カークス「次の要請は後ほど出す。 それまで、休息を取ってくれ」
ヤンロン「休息、ですか……わかりました」
カークス「ではな」
(通信が切れる)
ヤンロン「………」

(クエイト市近郊)

リューネ「……で、カークス将軍は何て?」
ヤンロン「トロイア州の奪還に成功したとのことだ。 これで、戦況は大きく変わる」
ゲンナジー「この後の任務は?」
ヤンロン「しばらく待機だ。 将軍は休息を取れと言っていたが」
カチーナ「へえ、意外と思いやりがあるんだな」
ヤンロン「………」
リューネ「じゃ、さっきの話の続き。 ラ・ギアスの災厄って何さ?」
ヤンロン「以前、ラングラン王宮アカデミーの未来見が このような予言をした」
ヤンロン「『巨大な魔神がラングランを滅ぼす。 そして、それはラ・ギアスに生けるもの全てに 災厄を振りまく』……とな」
ラッセル「魔神……!」
ヤンロン「そして、それに対抗するための手段として、 魔装機魔装機神の開発が決定された」
タスク「予言なんていうあやふやなもんで そこまでやっちまうのか……」
ゲンナジー「この世界の予言は、地上のそれとは違う」
ヤンロン「そう、信頼性が高い。 ただ、予言はあくまでも可能性であり、 人の力で変えることも出来る」
ヤンロン「だからこそ、魔装機魔装機神が作られたのだ」
カチーナ「じゃあ、何でそれに地上人が乗ってんだ?」
ヤンロン「魔装機はその能力の高さ故に、 高いプラーナを持つ人間でなければ 操れぬという欠点がある」
ヤンロン「だが、ラ・ギアスには魔装機操者として相応しい、 荒々しいプラーナを持つ者が少なく……地上から 操者候補の人間を召喚せざるを得なかった」
ヤンロン「そして、僕やゲンナジー、マサキは 地上からこの世界へ呼び込まれたのだ」
キョウスケ「では、おれ達も……?」
ヤンロン「いや、今回の召喚は色々と腑に落ちない点がある。 君達のように搭乗していた機体ごと召喚された者も いれば、そうでない者もいると聞く」
リューネ「確か、マサキは身一つでラ・ギアスに呼び込まれたと 言ってたような……」
タスク「なら、今回は割とテキトーに 召喚されちまってるってこと?」
ヤンロン「誰が仕組んだことなのかわからんが…… 僕は事故に近いのではないかと思っている」
カチーナ「何だ、そりゃ。迷惑な話だぜ」
リューネ「ねえ、ヤンロン。 魔装機神は4体いるって言ってたよね。 グランヴェールとサイバスター……その他は?」
ヤンロン「水の魔装機神ガッデスと大地の魔装機神ザムジード…… 操者は共に地上人だ。もっとも、ザムジードに 選ばれたリカルドは死んでしまったが……」
ゲンナジー「……惜しい男をなくした」
ヤンロン「ああ……。 彼がいれば、状況は変わっていただろうな」
リューネ「……この世界で魔装機神に乗ってるってことには、 特別な意味があるんだね」
カチーナ「もしかして、マサキは ここじゃ有名人だったりするのかよ?」
ヤンロン「……そうだ。 ランドール・ザン・ゼノサキスという聖号を 賜与されたこともあるからな」
リューネ「ふ~ん、あのマサキが……何か不思議な感じ……」


back index next