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ソラティス神殿 ヒリュウ改に立ち寄らない ~ 第4話 ~

《神聖ラングラン王国 ライオット州(ハガネ)》

[ハガネ ブリッジ]

エイタ「艦長、マサキが案内するって…… 大丈夫なんですかね?」
テツヤ「実は、俺も気になっていた……」
マサキ「るせえな。ソラティス神殿はあっちだって、あっち」
トールス「違いますよ、マサキ殿。こちらの方です」
マサキ「何言ってんだ、あっちだっつーの」
クロ「……絶対、マサキの方が間違ってるニャ」
シロ「うん、トールスさんを信じた方がいいニャ」
マサキ「うっ……」
トールス「私が操舵手の方に直接指示を出しましょう。 よろしいですか、艦長殿?」
テツヤ「是非、お願いします」
マサキ「是非って……ちぇっ」
クロ「しょうがニャいわよ、今までのことを考えると」
アヅキ「クロちゃんとシロちゃんを こんなに間近で見られるなんて、感激……!」
シロ「誰ニャ?」
アヅキ「私、アヅキ・サワと言います。 元々は第2艦橋にいたんですが、 第1艦橋に配置換えとなりました」
マサキ「へえ~」
エイタ「つまり、俺の後輩ってわけ。よろしく頼むよ」
クロ「こちらこそ、よろしくニャ」
アヅキ「あ、あの……肉球、触ってもいいですか?」
シロ「構わニャいニャ」
アヅキ「では、早速。 ……わぁ~、プニプニしてるぅ!  プニプニプニプニ!」
シロ「ニャハハ! く、くすぐったいニャ~!」
マサキ「……相当な猫好きみてえだな」
アヅキ「はい!  ですから、マサキさんが羨ましくて、羨ましくて」
マサキ「じゃあ、暇な時は こいつらの相手をしてやってくれよ」
アヅキ「いいんですか!? 是非!」
エイタ「……猫の相手もいいけどさ、 さっきから艦内コール・ランプが光ってるぞ」
アヅキ「あっ! は、はい!」
マサキ「ヘッ、先輩風を吹かしやがって」
エイタ「だって、先輩だからね。 お前もミオっていう可愛い後輩が出来たんだろ?」
マサキ「耳が早いな」
エイタ「仕事柄、迅速な情報収集を心掛けてるんでね」
アヅキ「……艦長、 第3メディカル・ルームから連絡が入りました。 例の少年が目を覚ましたそうです」
テツヤ「分かった。そちらへ行くと伝えてくれ」
アヅキ「了解です」

[ハガネ メディカル・ルーム]

テツヤ「……記憶を失っているだと?」
ドクター「ええ。 会話は出来ますし、一般知識も持っているのですが、 自分のことについて覚えているのは名前ぐらいで……」
リオ「……ねえ、イング君。本当に思い出せないの?」
イング「……はい……」
テツヤ「……私はこの戦艦ハガネの艦長、 テツヤ・オノデラ中佐だ」
イング「……あなたが……。 僕を救っていただいて、ありがとうございます」
テツヤ「君は損傷した機動兵器の脱出ポッドに乗っていた。 つまり、何者かと戦闘を行い、撃墜された可能性が 高い。その件について、心当たりはないのか?」
イング「……ありません。 僕が何者で、どこから来て、何をしていたか…… 覚えていないんです」
テツヤ「………」
リョウト(見た感じでは、 嘘を言っているようには思えないけど……)
テツヤ「……リオ、 保安部員と一緒に彼の様子を見ていてくれ」
リオ「はい」
テツヤ「ドクターとリョウトは外へ。話がある」
リョウト「わかりました」

[ハガネ 艦内(通路)]

テツヤ「……あの歳で機動兵器のパイロットだとすれば、 真っ先に思い浮かぶのはブーステッド・チルドレンだ。 精神操作……リマコンを受けている可能性は?」
ドクター「何度か脳をスキャンしてみましたが、 リマコンの形跡は見当たりません」
ドクター「頭部に打撲傷がありますが……外傷性ではなく、 心因性の逆向性健忘に近いと思われます」
テツヤ「投薬の形跡は?」
ドクター「それもめぼしい物はありません。 また、念のためにTPLテストを行いましたが、 結果は白でした」
リョウト「つまり、念動力者ではない……」
テツヤ「ごく普通の人間だと言うことか?」
ドクター「その言い方は適切ではないですね。 戦闘訓練やパイロット訓練を受けていた 形跡がありましたので」
リョウト「じゃあ、彼がパイロットだということは ほぼ確定なんですね」
テツヤ「リョウト、 彼が乗っていた脱出ポッドの調査結果は?」
リョウト「機種、及びメーカーは特定できませんでした。 これと似たようなケースとして、シャドウミラーが 使用していた機体、そして……」
リョウト「ラウル達が使っていたエクサランスが 挙げられるんですが……」
テツヤ「つまり、並行世界から来た物だということか?」
リョウト「あるいは、連邦軍やマオ・インダストリーイスルギ重工などと関連性のない所…… 例えば、GSで作られたという可能性もあります」
テツヤ「GSか……」
リョウト「あそこは連邦軍からも独立していて、 独自に新型兵器の開発やテストを 行っているんでしょう?」
テツヤ「ああ、グランド・クリスマス…… 以前はアイドネウス島と呼ばれていた所でな」
リョウト「周辺海域が封鎖されている上、 島一帯が特殊シェードで覆われていて、 サテライト・シーカーでも不可視状態だとか」
テツヤ「俺も詳細は知らんが…… 大統領の直轄組織であるにも関わらず、 キナ臭い噂が多いな」
リョウト「イングとの関連を調べようにも、 ラ・ギアスではどうしようもないですね……」
テツヤ「そうだな。 ……ドクター、彼の治療と並行して、記憶の回復を 試みてくれ。ただし、強引な手は使わないように」
ドクター「わかりましたが、 監視態勢の方も厳重にお願いします」
テツヤ「ああ。常時、保安部員を張り付かせるよ」
(扉が開閉する)
リオ「艦長、ブリッジから連絡が入りました。 あと20分程度でソラティス神殿に着くそうです」
テツヤ「わかった。ブリッジへ戻る」


第4話
ソラティス神殿

〔戦域:ソラティス神殿〕

(ハガネが出現)
マサキ「おーい、イブン婆さん!  いるんだろ? 俺だ、マサキだ!」
(反応がない)
クロ「返事がニャいニャ」
マサキ「変だな? いつもなら、この辺で神官共が……」
エイタ「!? 神殿から何かが出て来ます!」
(機装兵が出現)
テツヤ「何だ、あれは?」
マサキ「ああ、心配ねえよ。 あれは機装兵……神殿護衛用の無人ロボットさ」
マサキ「おい、俺達はイブン婆さんに用があって来たんだ。 ここを通しな!」
(機装兵が反応しない)
シロ「反応がニャいニャ」
マサキ「おかしいな……中で何かあったのか?」
(ハガネに爆煙)
マサキ「おわっ!?」
シロ「こ、攻撃して来たニャ!」
マサキ「待て、俺達は敵じゃねえ!」
(ハガネに爆煙)
マサキ「くっ、聞く耳持たねえってか!  だったら、てめえらを全部ぶっ壊して、 神殿の中へ入ってやるぜ!」
テツヤ「……やむを得んな。各機、出撃しろ」
(出撃準備)
イルム「まさか、こういう展開になるとはな。 マサキが言った通り、イブンって女は 一筋縄じゃいかなさそうだ」
リョウト「でも、ここまで来て手ぶらで 帰るわけにはいきませんし……」
エクセレン「まあ、やるしかないわね。 お婆様の相手は、イルム中尉に任せるとして」
イルム「あんまり自信ないんだよな」
エクセレン「ともかく、前哨戦ってことで行ってみましょか!」
(作戦目的表示)

〈2PP or 敵機5機撃墜〉

エイタ「高速飛行物体、接近! 数は1!  識別は……該当データあり!」
エイタ「YAM-008、アルテリオンです!」
テツヤ「!」
(南東にアルテリオン(CF)が出現)
アイビス「やっぱり、ハガネだ! サイバスターもいるよ!」
ツグミ「良かった……ようやく見知った人達に会えたわ」
マサキ「あの機体は……?」
イルム「あれはアイビス達の新型機だ」
リョウト「あの二人もラ・ギアスへ召喚されてたんだ……」
アイビス「マサキ、これはいったいどういう……」
マサキ「その前に、ちょいと手伝ってくれねえか?  あいつらを倒して、神殿の中に行かなきゃ ならねえんだ。諸々の説明は後でするからさ」
アイビス「わ、わかった。あんたがそう言うんなら……」
マサキ「じゃあ、頼むぜ!」

〈初戦闘〉

[マサキ]

マサキ「チッ! 何のつもりだ、あの婆さんは!」

[ミオ]

ミオ「だいぶ感じが掴めてきた! 行くよ、ディアブロ!」

[リョウト]

リョウト「神殿の中へ入られたくない理由があるのか?  それとも、機装兵が暴走しているのか……?」

[アイビス]

ツグミ「運動性はこちらの方が上だけど、油断は禁物よ!」
アイビス「わかってる!  今は、この場を切り抜けることに集中する!」

〈敵機全滅〉

マサキ「よし、片付いた! 中に乗り込んでやるぜ!」

《神聖ラングラン王国 ライオット州 ソラティス神殿》

[ソラティス神殿(室内)]

マサキ「ここにいやがったか、クソババァ!」
イブン「誰じゃ? 研究中は邪魔をするなと…… 何じゃ、マサキか」
マサキ「ふざけるな!  機装兵をけしかけてくるたあ、どういう了見だ!」
イブン「いきなり押し掛けて来て、それか。 相変わらず礼儀を知らぬ奴じゃの」
マサキ「るせえ、今日は婆さんに頼みがあって来たんだ。 ここんとこの地上人召喚事件は知ってるな?  実は……」
イブン「それが人に物を頼む態度か? この無礼者めが」
マサキ「何だと!?  人が下手に出てりゃ、つけあがりやがって!」
ミオ「……いつ下手に出たって?」
マサキ「いいから、さっさとこっちの質問に答えやがれ!」
イルム「よせ、マサキ。 ……突然お邪魔してしまって、申し訳ありません。 我々は、貴女にお願いがあって伺ったのです」
エクセレン(自信ないとか言いながら、チャレンジするのね)
イブン「……知っとるよ。お前さん達は地上から無理矢理 召喚されたのじゃろう? それで、ワシの力で 地上に戻して欲しいと言うのじゃな」
イルム「その通りです」
イブン「しかし、解せん話ではあるの。 いったい、どこの誰が、何のために 大規模な召喚魔法を使ったのか……」
イルム「大神官たる貴女にも心当たりがないのですか?」
イブン「あのようなことが出来る術者は、そう何人もおらん。 ワシを除いては、銀の魔術師カテキスか、 フェイル殿下……テリウス殿下は、少々力不足かの」
マサキ「何だよ、はっきりしねえな。 つーか、俺達がここへ来た理由を察しておきながら、 どうしてあんなことをしやがったんだ?」
イブン「機装兵のことか? ありゃあ、ワシのせいではない。 文句なら、REBに言うんだね。 もっとも、聞いてくれるとは思えんが」
マサキ「REBが……ジャックされたのか!?」
イブン「しかも、質の悪いことに疑似人格を憑依させておる。 おかげで、ワシの研究も滞っておるわい」
イブン「それに、ワシももう年じゃ。 REBのバックアップなしで送還魔法は使えん」
エクセレン「ええっと、どういうことかしらん?」
アイビス「そのREBって、何……?」
マサキ「ここのメイン・コンピューターだ。 それがハッキングされちまったらしい。 多分、シュテドニアスの連中の仕業だろうが……」
イブン「いや、ルオゾールかも知れんの」
リオ「あの……地上に戻れなくなってしまったんですか?」
イブンREBに憑依しておる疑似人格を消せば、 何とかなるが……奴がデモンゴーレムを 召喚したおかげで近づけんのじゃよ」
イブン「ワシに送還魔法を使わせるつもりなら、 あのデモンゴーレムを倒すことじゃな」
マサキ「チッ、機装兵の次はデモンゴーレムかよ……!」
エクセレン「でもまあ、やるしかないんじゃない?」
イルム「ああ。他のメンバーを見つけるまで 地上へ戻るわけにはいかないが…… 帰り道は確保しておきたい」
イブン「では、ワシが疑似人格を抑え込む。あやつがいては、 何をしでかすかわからんでな。最悪の場合、REBを 道連れに自爆するやも知れん」
イブン「ただし、あやつを抑えられるのは5分ぐらいじゃ。 お前さん達は、その間にデモンゴーレムを一掃せい」
マサキ「その後は?」
イブン「ワシが何とかあやつを封印する。 では、神殿の地下へ参るぞ」


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