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荒ぶる星神 ~ 最終話 ~


最終話
荒ぶる星神

〔戦域:地球衛星軌道上〕

(クロガネ、ヒリュウ改、ペルゼイン・リヒカイトが出撃済み、出撃準備)
テツヤ「こ、ここは……!  ここはどこだ!?」
エイタ「艦長代理!  艦の真下に地球が見えます!!」
テツヤ「何だと!?  空間座標軸を確認しろ!!」
エイタ「りょ、了解!」
ラーダ「もしかして、私達は 元の世界へ帰って来たの……!?」
ラッセル「で、でも……あんな所から 簡単に戻ってこられるとは……」
ギリアム「……」
エクセレン「キョウスケ、 ひょっとして、これは……」
キョウスケ「ああ、 おれも同じことを考えていた」
エイタ「座標軸の確認、終了しました!  現在位置は地球の衛星軌道付近、 WA5470です!!」
テツヤ「で、では、俺達は!?」
エイタ「はい!  コルムナとコロニーも確認しました!  本艦は元の世界へ戻ったようです!」
キョウスケ「……だが、 それはおれ達だけではないらしい」
アラド「えっ!?」
(アラート)
ユン「ぜ、前方に 巨大なエネルギー反応!  本艦へ向かって来ますっ!!」
レフィーナ「Eフィールド展開!  回避、急いで!!」
【強制戦闘】
ノイレジセイア[エルプズユンデ]vsレフィーナ[防御](援護防御(アルフィミィ))
レフィーナ「い、今のは!?」
ユン「ペ、ペルゼインが本艦の盾に!!」
アルフィミィ「う、うう……」
エクセレン「お、お嬢ちゃん!」
アルフィミィ「私は大丈夫ですの……。 それより……」
(アラート)
エイタ「11時方向にアインスト群!  さ、さらに超巨大な物体が!!」
テツヤ「何っ!?」
エイタ「先程のエネルギー体は、 それから発せられたものだと 思われます!!」
カチーナ「あのバカでけえ奴……!  あいつもアインストなのかよ!?」
レーツェル「全長35…… いや、40キロメートルはあるぞ」
マサキ「まだ上のアインストが いたってことかよ!」
アルフィミィ「いえ…… あれはノイ・レジセイアですの」
マサキ「さっきの奴だってのか!?  サイズが違い過ぎるぜ!」
キョウスケ「どういうことだ?  アルフィミィ」
アルフィミィ「ノイ・レジセイアは 空間をつなげた後……」
アルフィミィ「こちら側での存在を 安定させるため、自分の依り代となる 物を必要としていましたの……」
アルフィミィ「そして…… 私達が集めたデータから 最終的に選ばれたのが……」
アルフィミィ「あなた達が ホワイトスターと呼ぶ物体ですの」
キョウスケ「何……!?」
ヴィレッタ「なら、あれは ホワイトスターとノイ・レジセイアの 融合体……!」
アルフィミィ「はい……。 あれこそが彼の最終形態……」
アルフィミィ「そのために…… あの時、私達はホワイトスターを 手に入れようとしましたの……」
(アラート)
エイタ「艦長代理!  アインスト群が移動を開始しました!」
テツヤ「何だと!?  すぐに予測コースを計算しろ!」
ツグミ「は、はい!」
(通信)
ツグミ「こ、これは……!!」
(アインストの目的地を指す)
ツグミ「大気圏内への突入コース…… アインスト群は地球を目指しています!」
テツヤ「!!」
キョウスケ「なら、 まさにここが水際か……!」
アラド「だったら、 おれ達で食い止めるまでッスよ!!」
???(ノイレジセイア)「……そうはいかぬ……。 始まりの地の者達よ……」
アラド「!!」
???(ノイレジセイア)「この地は 一度は滅びねばならぬ……。 過ちを正すために……」
???(ノイレジセイア)「新たな宇宙を創造するために。 そして、そこにお前達のような 欠陥品は要らぬ……」
アラド「欠陥品、欠陥品って うるせえんだよ!  そいつはてめえも同じだろうが!」
???(ノイレジセイア)「…………」
アラド「ホワイトスターと 合体しなきゃならないなんて、 随分とお粗末な話じゃねえか!!」
???(ノイレジセイア)「我は礎……。 完全なるものは我から生まれる……」
???(ノイレジセイア)「我は混沌……。 しかれど、純粋なるものは 我が胎内から誕生する……」
エクセレン「それは無理な話よ、 女王蜂さん。あなたにそんなものを 生み出すことなんて出来ないわ」
???(ノイレジセイア)「我は選ばれた存在……。 お前とは違う……」
エクセレン「何に選ばれたって言うの?  あなたよりもっと上の存在?  それとも、神様って奴?」
???(ノイレジセイア)「…………」
エクセレン「そんなの、 いてもいなくても同じじゃない?」
エクセレン「だって、お嬢ちゃんは あなたの意思から離れたし、 私達はここにいるもの」
アルフィミィ「エクセレン……」
???(ノイレジセイア)「…………」
エクセレン「あなたも私達と同じく、 この宇宙に存在するものなのよ。 特別な何かなんかじゃないわ」
???(ノイレジセイア)「理解不可能……」
キョウスケ「理解する必要はない。 そして、おれ達はお前が創り出す 新しい宇宙など望んではいない」
???(ノイレジセイア)「我の使命は…… 始まりの地の消去……そして、 新たな宇宙と生命体の創造……」
キョウスケ「お前が それをあくまでも守ると言うのなら、 おれ達はおれ達の使命を守るだけだ」
リュウセイ「ああ。 あんな化け物なんぞに 地球を潰されてたまるか……!」
リュウセイ「あの忌々しい星ごと 奴をここで消し去ってやる!!」
マイ「そうだ……私は私自身の手で、 過去の因縁を断つ……!」
???(ノイレジセイア)「お前達が…… 今の……始まりの地の守護者と いうことか……」
ブリット「だからこそ、 虎龍王と龍虎王は今の時代に 目覚めたはずだ!」
ブリット「お前達という存在を 食い止めるために!」
クスハ「そして、その想いは 私達も同じなんです!」
ギリアム「俺も…… 再びこの世界に舞い戻ったのは そのためだと信じたい」
ギリアム「まだこの世界で 成すべきことが残されていると 思いたい」
カイ「そうだ、ギリアム。 そして、それはラミア…… お前も同じだ」
ラミア「この世界で成すべきこと……」
イルム「ま、最後にデカいのと戦うのは お約束みたいなもんだしな」
タスク「せっかく元の世界へ 帰って来たのに、ここでご破算ってのも 寝覚めが悪いッスからね」
レオナ「ここまで生き残った私達が 果たさなければならないこと…… それは……」
リオ「アインストから私達の星を 私達自身の手で守る……!」
シャイン「私達は それを成し遂げるために ここへ戻ってきたのですわ!」
カーラ「もう辛い思いをするのは ゴメンだからね……何があっても、 ここは通さないよ!」
???(ノイレジセイア)「無駄だ。お前達の思念、力…… それらを我が全て取り込み、 世界新生の原動力とする」
ゼオラ「冗談じゃないわ!  利用されるのはもうたくさんよ!」
ラトゥーニ「私達は あなたの道具じゃない…… そんな物にはならない」
ユウキ「そして、お前などの裁きを 受けるつもりもない」
カチーナ「ここであたしらがてめえを 本物のお星様って奴にしてやるぜ!」
???(ノイレジセイア)「だが、人間による宇宙の汚染を これ以上広げるわけにはいかぬ……」
???(ノイレジセイア)「お前達が繰り広げる戦いで 宇宙の静寂を乱すわけにはいかぬ」
ツグミ「勝手な決めつけを!  私達は戦うために銀河へと旅立とうと しているわけじゃないわ!」
アイビス「ここよりも もっと広い世界を見るために あたし達は飛ぶのよ!」
???(ノイレジセイア)「愚かな……。 その意思こそがお前達の罪なのだ」
ライ「それが事実なら、俺達は ここで敗れ去る運命にあるだろう。 だが、まだ結果は出ていない」
???(ノイレジセイア)「…………」
アヤ「そう、私達には選択権が 残されているはず……」
アヤ「あなたが言う罪と共に ここで滅びるか……それとも、 それを背負って生きていくか」
???(ノイレジセイア)「お前達に そのような未来は用意されていない。 故に我が存在している」
リョウト「人間は お前達が言うほど愚かじゃない!  僕はそう信じる!」
???(ノイレジセイア)「ならば、 その思念を抱いて滅するがいい」
ゼンガー「もはや問答無用!  レフィーナ艦長、我らに攻撃命令を!」
レフィーナ「いえ、 それを下すのは私ではなく…… テツヤ大尉、あなたです」
テツヤ「!」
レフィーナ「ダイテツ中佐の遺志を 受け継いだあなたこそが、 最後の攻撃命令を!」
テツヤ「………」
テツヤ「了解です!!」
テツヤ「総員に告ぐ!  これがアインストとの最終決戦である!」
テツヤ「ダイテツ中佐や多くの同胞達の 死を無駄にしないために、我々は 奴らを地球へ行かせてはならない!」
テツヤ「今もアインストと 戦っている者達のために、我々は この最終防衛線を守らねばならない!」
テツヤ「全機、決して諦めるな!  そして、あの魔星を撃て!」
テツヤ「撃って、 我らの活路を切り開くのだ!!」

〈シュテルンレジセイア撃墜〉

???(ノイレジセイア)「……何故…… 完全な……新しい生命に…… なれなかった……」
エクセレン「あなたも…… 選ばれていなかったってことよ」
???(ノイレジセイア)「……理解……出来ない……」
エクセレン「あなたは地球を…… 始まりの地からのルーツを……」
エクセレン「知恵を得た生命体の 進化を見守ることだけが役割だった」
キョウスケ「そして、お前達を倒すのが おれ達の役目だった」
???(ノイレジセイア)「……………」
アルフィミィ「………」
???(ノイレジセイア)「何故だ……?  我は……始まりの地を……」
???(ノイレジセイア)「様々な……危険な力…… 始まりの地に芽生えた……力…… 次元すらも超越する……」
ギリアム「……」
ラミア「……」
???(ノイレジセイア)「もう一つのルーツからの…… 干渉……それによる混沌を…… 正すために……」
???(ノイレジセイア)「我らの役目を阻む…… もう一つの……守護者のしもべを…… 抹消するために……」
ブリット「……」
クスハ「……」
???(ノイレジセイア)「『門』を開き…… 古の記憶に触れる者を 排除するために……」
リュウセイ「……」
ヴィレッタ「……」
???(ノイレジセイア)「宇宙の静寂と秩序を…… 守るために……」
???(ノイレジセイア)「始まりの地の者から…… 不純物を……取り除き…… 新たな……人間を……」
???(ノイレジセイア)「そのために……サンプルを……」
エクセレン「それで、あなた達が 目をつけたのが……私とキョウスケ」
エクセレン「私達が乗ったシャトルと 衝突したのは……アインストだった」
アルフィミィ「エクセレン…… あなたの肉体は……あの炎の中で ほぼ朽ちておりましたの……」
アルフィミィ「だから、私達の一部を 移植し……ペルゼイン・リヒカイトの 中で再生させましたのよ……」
エクセレン「……」
ラミア「それでエクセ姉様は アインストとのつながりが……」
アヤ「キョウスケ中尉や私達以上に 彼らの声を聞いていたのは、 そのせいだったのね……」
マイ「……エクセレン少尉も 私と同じように……」
エクセレン「ま、 私の場合はマイちゃんと違って、 色々混じってたみたいだけど」
マイ「……」
エクセレン「でも、私は私よん。 マイちゃんがマイちゃんで あるように、ね」
マイ「うん……」
ギリアム「……では、 ペルゼインの中でエクセレン少尉が 甦った後、創られたのが……」
アルフィミィ「そう……私ですの」
キョウスケ「ならば、 何故エクセレンだけを選んだ?」
キョウスケ「おれも引っ張れば…… こうはならなかったかも知れん」
???(ノイレジセイア)「それは……出来ない……。 何故なら……お前は……」
アルフィミィ「キョウスケ…… あなたはあの状況で死んで いなかったから……」
キョウスケ「……!」
リューネ「じゃあ、 シャトルが爆発して、キョウスケは 素で生き残ったってこと!?」
タスク「さ、さすが、 キョウスケ中尉……!」
イルム「……まあ、ビルトラプターが 墜落しても生きてた奴だからな」
アラド「ま、負けたッス。 ハンパじゃねえ悪運の強さだ……」
ライ「……それで、 エクセレン少尉を基に新たな人間を 創り出そうとしたわけか」
???(ノイレジセイア)「…………」
カチーナ「その割にゃ、 てめえは人間とは似ても似つかねえ 化け物じゃねえか?」
アイビス「あの子は 私達と同じ姿をしているのに…… どうして……?」
アルフィミィ「私は…… コピーに過ぎませんの……。 空っぽの……」
(ノイレジセイアに爆煙)
???(ノイレジセイア)「……理解……不可能……」
(ノイレジセイアに爆煙)
???(ノイレジセイア)「何故……我は……新たな……」
(ノイレジセイアに爆煙)
???(ノイレジセイア)「新たな……生命を…… 人間を……創れ……なかった……?」
???(ノイレジセイア)「理解……不……可能…… 何故……わ……れ……は……」
???(ノイレジセイア)「……な……ぜ……?」
(ノイレジセイア爆発・他のアインストも消滅)
アヤ「!!」
マイ「あのアインストの思念が……!」
リョウト「き、消えた……」
アイビス「こ、これで…… 終わったの……?」
アルフィミィ「……」
エクセレン「……私だけを さらったのが失敗ね、 アルフィミィちゃん」
アルフィミィ「どういう……ことですの?」
エクセレン「そりゃ、 新しい生命を誕生させる……ってのに、 女の私しか調べないんだもの」
エクセレン「人間なんか 出来るわけないじゃない?」
アルフィミィ「……」
ラーダ「まさか、それって……」
レーツェル「人にとっては まったく当たり前のことが…… アインストには欠けていたのか」
ツグミ「あれだけの力を 持っていた彼らが……そんなことに 気づかなかったなんて……」
リョウト「彼らも 欠陥品だったと言うことなのか……?」
ギリアム(……それだけとは思えんが)
キョウスケ「遥か太古より…… 地球を監視してきた者達の最期には 相応しくないかも知れないな」
イルム「ま……案外そんなもんさ、 世の中ってのはな」
エクセレン「とにかく…… 母艦に帰りましょっか。 アルフィミィちゃんも、ね?」
アルフィミィ「え?」
シャイン「あなたは 私達に協力して下さいましたもの」
シャイン「あの恐ろしい者達から、 私達の宇宙を救うお手伝いを……」
シャイン「だから、 もう立派なお仲間だったりしますわ」
アルフィミィ「……」
マイ「行こう……アルフィミィ。 お前の居場所も…… きっとみんなの所にある」
ラミア「そう…… お前が自分の意思で決めるのなら」
アルフィミィ「……」
エクセレン「こういう人達 ばかりなのよね、こっちの宇宙は」
エクセレン「……いらっしゃいな」
アルフィミィ「この気持ち…… エクセレン、あなたのものなんですの?  それとも……」
キョウスケ「自分で思うのなら…… そうなんだろう」
アルフィミィ「嬉しいですの……。 でも……私はもう……」
(ペルゼインに煙の後、反応しなくなる)
マイ「ペ、ペルゼインが!」
クスハ「く、崩れていく……!!」
エクセレン「アルフィミィ!  早く脱出して!!」
アルフィミィ「無駄ですの……。 私は……ペルゼインで生まれた……」
アルフィミィ「そして…… ここから外に出ることは出来ない 欠陥品……ですの……」
キョウスケ「アルフィミィ!」
アルフィミィ「私は……結局……誰にも なれなかったんですの……」
アルフィミィ「私は…… 私になりたかったのに……」
エクセレン「アルフィミィ!」
アルフィミィ「さよならですの…… エクセレン……キョウスケ……」
アルフィミィ「最期に…… 私を……受け入れて……くれて……」
アルフィミィ「ありがとう…… です……の…………」
(ペルゼインに煙、その後爆発)
エクセレン「!!」
マイ「ア、アルフィミィ!!」
クスハ「あ、ああ……そんな……!」
エクセレン「嘘……嘘でしょう……!?」
ラーダ「あの子も他の個体と…… 同じで……」
アヤ「宿命から…… 逃れられなかったと言うの……?」
エクセレン「で、でも……私は……」
キョウスケ「……言うな」
エクセレン「……」
キョウスケ「アルフィミィは…… 最後に自分の意思で決断を下した。 そして、それは……」
ラミア「紛れもなく、 彼女が彼女であった証……」
キョウスケ「……そうだ」
エクセレン「……」
キョウスケ「残酷な結末だな……」
キョウスケ「だが、それは…… 奴自身が望んだものだったのかも 知れん…………」

41話でエクセレンがレモンを
撃墜した 撃墜していない


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