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亡国の姫君 ~ 第14話 ~

《連邦軍伊豆基地》

ヴィレッタ「……アフリカ戦線の 状況は悪化しつつあるようね」
アヤ「はい…… リュウ達も苦戦しているようです」
ヴィレッタ「まもなく北欧方面軍と 北米方面軍が動くらしい……」
ヴィレッタ「彼らの支援があれば、 戦況は好転するでしょう」
アヤ「だといいんですが……」
ヴィレッタ「アヤ、 こんな時に悪いけど…… 私はホワイトスターへ行くわ」
アヤ「え?」
ヴィレッタ「ギリアム少佐から 要請があり、向こうで彼の任務を 手伝うことになったのよ」
アヤ「それは…… ケースEに備えてのことですか?」
ヴィレッタ「ええ。 マオ社を襲撃した正体不明の 機動兵器が決め手になったようね」
ヴィレッタ「ノイエDCも 気がかりだけど、事が大きくなるのは あちらの方かも知れない」
ヴィレッタ「だから…… ホワイトスターへ行くわ」
アヤ「わ、わかりました」
ヴィレッタ「くれぐれも R-GUNパワードの調整と…… 彼女のことを頼むわね」
アヤ「……」
アヤ「あれは…… あの時、コアから出てきたのは……」
アヤ「本当にあの子なんでしょうか?」
ヴィレッタ「……」
ヴィレッタ「オペレーションSRWで 撃墜されたジュデッカのコアは……」
ヴィレッタ「地球へ落下し、 セプタギンに回収された」
ヴィレッタ「そして、コアを構成する ズフィルードクリスタルの性能から 判断すれば、本人だと言えるわ」
アヤ「しかし、あの子は……」
ヴィレッタ「ええ……。 コアの損傷が激しかったため、 彼女の再生は不完全だった」
ヴィレッタ「そして、力や………記憶も」
アヤ「……父はあの子もSRX計画に 引き込むつもりなのでしょうか?」
ヴィレッタ「おそらくね」
アヤ「……」
ヴィレッタ「それに…… 彼女は来たるべくして私達の下へ 来たのかも知れない」
アヤ「……」
アヤ(来るべくして…… 私達の下へ……)

《アースクレイドル内部》

バン「現在、アフリカ北西部の敵部隊は 地中海沿岸まで後退し、そこで戦力の 再集結を行っている」
バン「そこで、ヴィンデル大佐率いる 部隊が彼らに対し、牽制をかける。 その間にお前達は地中海を渡り……」
バン「リクセント公国を制圧せよ」
アーチボルド「リクセント…… 連邦の特別自治区の一つですね。 風光明媚な上、金山もあるとか」
バン「そうだ。あの地を手に入れ、 連邦の主要拠点の一つである アビアノ基地攻略の橋頭堡(きょうとうほ)とする」
アーチボルド「わかりました。 僕も砂漠や荒地ばかりの風景に 飽きていたところです……」
アーチボルド「ここいらでバカンスを 楽しませていただきましょう」
バン「ただし、リクセントに対する 必要以上の攻撃は禁ずる。 民間への被害も極力抑えよ」
アーチボルド「ほう……何故です?」
バン「我々が旧DCと違うことを 世に知らしめるためだ」
バン「前大戦中、あの地は 彼らの襲撃を受けているからな」
アーチボルド(おやおや…… 反地球連邦運動を支援しておいて、 何を今さら)
アーチボルド(いくらお題目を 唱えたところで……所詮、あなたも 僕と同種の人間なのですよ)
バン「……よいな、少佐?」
アーチボルド「わかりました。 心に止めておきましょう」
バン「では、以上だ。直ちに出撃せよ」
(扉が開閉する・バンが立ち去る)
アーチボルド(この僕に あんなことを言うとは……)
アーチボルド(ノイエDCへの忠誠心を 試されているというわけですね)
アーチボルド(ま、いいでしょう。今回は 大人しく命令に従っておきますか)

《ハガネ艦内》

キョウスケ「おれに話とは何だ?  エクセレン」
エクセレン「うん…… アルフィミィのことなんだけど」
キョウスケ「お前も宇宙であいつと 遭遇したらしいな?」
エクセレン「そ。 ストーンサークルの中でね」
キョウスケ「謎の多い奴だ。 他のアインストとは違い、 みんなにも奴の声が聞こえた」
エクセレン「でも、 聞こえない時もあるみたい。 わざとそうしてるのかしら?」
キョウスケ「ブリットは アルフィミィの気配を察知したが…… それ以上のことはわからないと言った」
エクセレン「こっちでも リュウセイ君達が同じようなことを 言ってたわね」
キョウスケ「おれとお前に あの力……念動力はない」
エクセレン「ええ……TPLテストの 結果はシロだったものね」
キョウスケ「だが、おれ達は蚩尤塚で アインストの声を聞いた」
キョウスケ「ブリットやリュウセイには 聞こえなかったにも拘わらず、だ」
エクセレン「そうね、何で私たちだけ……」
キョウスケ「それに、 あいつはおれのことを知っていた。 お前の方は?」
エクセレン「うん…… 私のことも知ってたみたい。 どうしてかしら?」
キョウスケ「こっちが聞きたいぐらいだ」
エクセレン「それに私…… どっかであの子とあったような気が するのよね……」
キョウスケ「……」
キョウスケ「おれは…… お前とあいつの雰囲気が 似ているような気がした」
キョウスケ「それについては?」
エクセレン「ん~ 私に姉妹はいないし…… よくわからないわね」
キョウスケ「……」
エクセレン「そもそも、 どうして私達にはアインストの声が 聞こえるのかしらん?」
キョウスケ「ラトゥーニ達が言った通り、 おれ達の共通点と何か関係が あるのかも知れん」
エクセレン「共通点…… 同じATXチームの所属だとか?」
キョウスケ「だったら、 ブリットやラミアはどうなる?」
エクセレン「そうねぇ…… 他の共通点と言えば、士官学校の時の シャトル墜落事故かしら?」
キョウスケ「ああ。 おれとお前しか助からなかった…… あの事故……」
キョウスケ「だが、 あれとアインストに何の関係が?」
エクセレン「さあ……」
キョウスケ「……」
エクセレン「ともかく、 あのお嬢ちゃんがまた私達の前に 現れるのは確実でしょうね」
キョウスケ「……ああ」
(アラート)
キョウスケ「!!」
エクセレン「な、何なの!?」

《ハガネ艦橋》

ダイテツ「何!?  本隊が敵の奇襲を受けただと!?」
エイタ「は、はい!  現在も交戦中です!」
テツヤ「あれだけの部隊を 展開させておきながら、 まだそんな戦力があったのか……!」
ダイテツ「状況は!?」
エイタ「友軍が劣勢……! 敵機の中に 量産型アルブレードや斬艦刀装備の 特機が確認されているそうです!」
ダイテツ「……!」
テツヤ「艦長、すぐに本隊の支援を!」
ダイテツ「うむ、総員第一種戦闘配置!  シロガネも同行させる!」
テツヤ「はっ!」

〔戦域:リクセント城周辺〕

NDC艦長「……少佐、 城内の制圧と近衛部隊の 武装解除が終了しました」
アーチボルド「結構。 それで、アフリカ北東部の敵本隊は?」
NDC艦長「ヴィンデル隊に破れ、 アビアノ方面へ撤退中です」
アーチボルド「おやおや、 諦めの早い人達ですね」
NDC艦長「ヴィンデル隊の電撃作戦が 功を奏したということでしょう」
アーチボルド「ま、彼にはバン大佐に 対するメンツもあるでしょうからね。 では、クレイドルへ結果報告を」
NDC艦長「はっ」
アーチボルド「……というわけで、 しばらくバカンスを楽しませて もらいますよ、ルダール卿」
ジョイス「貴公ら、一度ならず 二度までも我が国を……!」
アーチボルド「すみませんね。 この国は今回の作戦にとって 位置的に都合がいいものでして」
ジョイス「国民の安全は 保障してもらえるのでしょうな?」
アーチボルド「それは あなた達の心がけ次第ですが…… 抵抗運動は歓迎しますよ」
アーチボルド「その方が 僕も楽しめますからねえ」
ジョイス「……!」
アーチボルド「ところで、 プリンセス・シャインはどちらに?  ご挨拶させていただきたいのですが」
ジョイス「……今、王女は公務で 国外へ出ておられます」
アーチボルド「はて、面妖な。 こちらで得た情報と違いますね」
ジョイス「……」
(アラート)
NDC艦長「少佐、領土内から北へ 脱出する飛行隊を発見しました」
ジョイス「!」
アーチボルド(なるほど、 そういうことですか)
アーチボルド「直ちに追撃隊を…… あ、いや、僕が行きましょう」
NDC艦長「は?」
アーチボルド「バン大佐の命令の おかげで、欲求不満気味でしてね」
アーチボルド「ここいらで 狩りを楽しませてもらいますよ」
ジョイス「か、狩り……?」
アーチボルド「おや?  敵の敗残兵をどう処理しようと 僕の勝手でしょう?」
ジョイス「う……」
アーチボルド「それに、 上手くいけば別の獲物が 釣れるかも知れませんしね」
ジョイス「……」
ジョイス(シャイン様……。 どうか……どうかご無事で……)

《ハガネ艦橋》

テツヤ「……艦長、 残存戦力の集結が完了しました」
ダイテツ「では、シロガネに先導させ、 アビアノ基地へ向かわせろ」
テツヤ「はっ」
ダイテツ「それと、 リクセント公国からの応答は?」
テツヤ「……ありません。 すでにノイエDC軍によって 占拠されたかと……」
ダイテツ「……」
テツヤ「これで…… 敵軍のヨーロッパ進出を 許すことになってしまいました」
ダイテツ「うむ……これでは DC戦争初期の状況と同じだ」
テツヤ「量産型ヒュッケバインの数が 揃っていれば……」
ダイテツ「敵もそれを見越して 作戦を開始したのだろうが……」
ダイテツ「例の特機やアルブレード、 彼らが保有する戦力には 大きな疑問が残るな」
(アラート)
テツヤ「何だ!?」
エイタ「リクセント公国所属と 思われる部隊からの救助信号を キャッチしました!」
テツヤ「リクセントの所属だと?  位置は!?」
エイタ「第6ラインぎりぎりの所…… 敵の追撃を受けているようです!」
ダイテツ(このタイミングで脱出…… もしや……?)
ダイテツ「総員、第一種戦闘配置!  PT各機、出撃準備!  本艦は第6ラインまで前進する!」
ダイテツ「なお、シロガネには 現地点で待機しろと伝えろ!」
テツヤ「了解!」
(アラート)
エイタ「艦長、 シロガネのリー艦長より通信です!」
ダイテツ「こちらに回せ」
エイタ「はっ!」
リー「こちらプラチナム1。 ダイテツ中佐、先程の命令変更は どういうことです?」
ダイテツ「……これより我々は リクセント公国部隊の救援に向かう」
ダイテツ「貴艦は本艦の代わりに ここへ止まり、友軍残存戦力の 集結と護衛を行え」
リー「お言葉ですが、中佐。 今は残存戦力をアビアノへ送ることが 最優先事項だと考えます」
ダイテツ「……」
リー「にも拘わらず、たかだか一部隊の 救助のためにハガネを動かすとは…… あまりにも非合理的すぎます」
ダイテツ「ワシの勘が当たっておれば、 あの部隊には助け出さねばならん 人物がいる」
リー(勘だと? 何を馬鹿な)
ダイテツ「この件に関しては ワシが全責任を持つ。 後は任せるぞ、リー中佐」
リー「……了解です」

《ハガネ格納庫》

ラトゥーニ「え?  リクセント公国から……!?」
ブリット「ああ。 敵に追われ、こっちへ逃げてきている 機体をキャッチしたらしい」
タスク「こんな状況下で、敵がわざわざ 追いかけてくるってことは……」
ラミア「追う価値のある人間が 乗っている可能性が高いですことね」
エクセレン「もしかしてもしかすると、 王女様が……!?」
キョウスケ「充分あり得るな」
ライ「……」
ラトゥーニ「シャイン王女が ノイエDCに捕まったら、 その立場を利用されるかも……」
リュウセイ「だったら、 急いで助けに行った方が いいんじゃねえのか!?」
ブリット「ああ。カイ少佐に言って、 足の速い機体から先に……」
ラトゥーニ「私、行くわ……!」
(扉が開閉する・ラトゥーニが立ち去る)
リュウセイ「ラトゥーニ!」
ライ「……R-2で出る。 リュウセイ、バックスは任せるぞ」
(扉が開閉する・ライが立ち去る)
リュウセイ「バックスって、 お前……!」
エクセレン「あらら…… 色男さんとラトちゃんってば、 せっかちさんなんだから」
ラミア(命令も出ていないのに、 危険を冒して助けに行くなどと。 しかも、この状況下で……)
ラミア(わからん…… 何故、この隊の者達はこうなのだ?  理解出来ん)
タスク「……俺達も ぐずぐずしてられないッスよ!」
キョウスケ「ああ、行くぞ。 ノイエDCへの意趣返しも含めてな」
エクセレン「そうねぇ。 やられっぱなしってのも何だし、 ここらで一泡ふきましょっか」
タスク「泡ふいてどうすんスか!  ふかせる、でしょ!」
エクセレン「ん~…… ま、どっちでもいいじゃなぁい?」
タスク「よくない!」
キョウスケ「……そこまでにしろ。 フォーメーションの件は、 おれからもカイ少佐に話しておく」
キョウスケ「みんなは 出撃準備を急いでくれ」
リュウセイ「ああ、わかったぜ!」


第14話
亡国の姫君

〔戦域:海辺〕

(味方のリオンFと戦闘機が出現)
連邦兵「こちらルーメン4!  自分がここで盾になります!  隊長は先に行って下さい!」
連邦兵「ここまで来て諦めるな!  何としてでもついてこい!」
シャイン「……いえ、もう結構ですわ」
連邦兵「姫様!」
シャイン「ルーメン4、 それ以上は無理でございましょう。 機体を捨てて脱出なさい」
連邦兵「いえ、自分はここで!」
シャイン「……今まで 私を持ってくれて嬉しく思います、 ルーメン4……いえ、フランシス」
連邦兵「ひ、姫様……!  自分は最後までお供したく……!」
シャイン「お互い生きていれば、 また会える日も来ちゃったり…… いえ、来ることでしょう」
連邦兵「し、しかし……!」
シャイン「さ、早く脱出なさいませ。 これは命令ですわ」
連邦兵「も、申し訳ありません……!  姫様、どうかご無事で……!」
(戦闘機が撤退)
シャイン(ありがとう、 フランシス……あなたも無事で)
連邦兵「姫様……!」
シャイン「マルコ、あなたと 私だけになってしまいましたが…… お願いします。何としても国外まで」
シャイン「私を逃がしてくれた ジョイスや衛兵達の気持ちに 報いるためにも……」
シャイン「私の国をノイエDCから 取り戻すためにも……!」
連邦兵(姫様……。 おつらい気持ちを我慢なされて……)
(精神感応)
シャイン「!」
シャイン「追っ手が来ましたわ!」
(敵戦闘機が出現)
連邦兵「くっ! 姫様、 しっかりつかまっていて下さい!」
シャイン「は、はい!」
シャイン(諦めません……!  私は……私は……絶対に!)

〈1EP〉

連邦兵「何とかして 追っ手を振り切らなければ……!!」
シャイン「……」
(精神感応)
シャイン「!」
シャイン「こ、これは……!?」
連邦兵「どうなされました、姫様!?」
シャイン「マルコ、機を あの辺りへ向けてく下さいませ!」
(南東の山の辺りを指す)
連邦兵「あの位置に?  も、もしや、姫様……!?」
シャイン「ええ、助けが来ます……!  そんな予感がしたりするの!」
連邦兵「りょ、了解しました!」

《2PP》

(R-2パワード、ラトゥーニ機、ハガネが出現、出撃準備、R-2パワードを指す)
シャイン「! あの機体は!!」
ライ「……間に合ったか?」
シャイン「ライディ様!」
ラトゥーニ「やっぱり、 シャイン王女……!」
シャイン「ラトゥーニ!」
ラトゥーニ「王女、よくご無事で……」
シャイン「ああ……あなた達が 助けに来てくれるなんて……!」
エクセレン「まさに 『地獄にホットケーキ』って感じ?」
シャイン「え?」
タスク「それを言うなら、 『地獄に仏』!!」
ラミア(『仏』と 『ホットケーキ』をかけたのか)
ラミア(だが、 『キ』はどこから出てきたのだ?)
(アラート)
テツヤ「何だ!?」
エイタ「敵の追撃隊が 戦闘エリア内に突入してきます!」
テツヤ「各機、警戒せよ!」
(アーチボルド機などが出現)
アーチボルド「フフフ、 これはまた大物が釣れましたねえ」
アーチボルド「それに、彼も……ね」
ライ「……」
イルム「よくもまあ、ゾロゾロと。 王女様の見送りにしちゃ、 物騒過ぎるぜ」
ラッセル「もしかして、自分達は敵に 誘き出されたのでしょうか……?」
イルム「かも知れんな」
アーチボルド「では、この機会に 狩れるだけ狩っておきますか。 各機、攻撃を開始して下さい」
ライ「来るか……!」
シャイン「ラ、ライディ様……!」
ライ「御身は我々が守ります。 どうかご安心を」
シャイン「はい……!」
ダイテツ「各員へ。シャイン王女が ノイエDCの手に落ちれば、彼らの プロパガンダに利用されかねん」
ダイテツ「今後の情勢のためにも、 必ず王女を救出せよ」
テツヤ「はっ!  スティール2からリクセント機へ!  敵機はこちらのPT隊で牽制する!」
テツヤ「貴機は 本艦へたどり着かれたし!」
連邦兵「了解!」
カイ「ライ、ラトゥーニ!  お前達はそのままフォワードに回り、 王女機の突破口を開け!」
ライ「了解。R-2、突撃する」
(ライに『集中』『加速』)
ラトゥーニ「シャイン王女、 待っていて……!」
(ラトゥーニに『集中』『加速』)
カイ「残りの者は 王女機の援護と敵機の牽制に回れ!」
カチーナ「おおっしゃ!  こっちも気合入れて行くぞ!」
タスク「合点承知!」
キョウスケ「……アサルト各機、 ここで奴らに一矢報いておく。 ぬかるなよ」
ブリット「アサルト3、了解!」
エクセレン「ラミアちゃんは 本当に一矢報いちゃってね?」
ラミア(本当に……?  なるほど、イリュージョン・アローで 矢つながりということか)
ラミア「……わかりましてございます、 エクセ姉様」
ラミア(今は……合わせるしかないな)
ライ「レオナ、リュウセイ、 王女機の誘導と援護を頼むぞ」
レオナ「よくてよ、ライディース」
リュウセイ「ラトゥーニと 一緒に突っ込み過ぎんじゃねえぞ?」
ライ「フッ…… お前に言われるまでもない」
リュウセイ「ヘッ、そうかい。 バックスは俺達に任せな。 その代わり、お姫さんを頼むぜ」
ライ「ああ。 ……行くぞ、ラトゥーニ」
ラトゥーニ「はい……!」

〈vs アーチボルド〉

[キョウスケ]

アーチボルド「またお会いしましたね、 キョウスケ・ナンブ君」
キョウスケ「この声…… 確か、ヒューストン基地で……?」
アーチボルド「そう、 あの時に言ったでしょう?  長いお付き合いをよろしくとね」
キョウスケ「なら、 こちらの返答は同じだ。 ……断る」

[エクセレン]

エクセレン「あら?  もしかして、いつぞやの泥棒さん?」
アーチボルド「ご名答。 覚えていて下さって光栄ですよ」
エクセレン「さしずめ、今回の狙いは 王女様のハートってトコかしらん?」
アーチボルド「出来れば、あなたの命も 頂戴したいところですね」
エクセレン「いやん、口説き文句ならぬ 殺し文句って奴? 悪いけど、 そういうのは間に合ってんのよね」

[ライ]

ライ「貴様の相手は俺がする……!」
アーチボルド(因縁があるとは言え、 直にやり合うのは初めてですね)
アーチボルド(では、 ブランシュタイン家の次男の お手並み拝見といきましょうか)
ライ「こいつは……?」

[連邦兵]

アーチボルド「フフフ…… 逃がしはしませんよ、 プリンセス・シャイン」
シャイン「こんな所で…… こんな所で終わったりしませんわ!」
アーチボルド「お命を頂戴するつもりは ありませんが……可愛い悲鳴ぐらいは 聞かせてもらいましょうか」

〈アーチボルド機以外全滅〉

アーチボルド「いけませんね、 こちらの手勢が……!」
テツヤ「よし、今の内に シャイン王女のリオンを回収しろ!」
(リオンFがハガネに隣接し搭載)
エイタ「回収、完了しました」
ダイテツ「よし、 本艦はこの空域より離脱する。 PT各機、援護せよ」
ライ「了解」
アーチボルド「やれやれ、 釣った獲物が大き過ぎましたか」
アーチボルド「さすがはハガネ、 不要な欲は禁物と言いたい ところですが……」
アーチボルド「引き上げる前に 一矢報わせてもらいますよ」
(アーチボルド機が西の海上まで移動、通信)
ライ「! 通信だと?」
アーチボルド「聞こえますか?  ライディース……ライディース・F・ ブランシュタイン君」
ライ「俺の名を? 何者だ?」
アーチボルド「僕は ブランシュタイン家と縁ある者……」
ライ「何……!?」
アーチボルド「僕の名はグリムズ。 アーチボルド・グリムズ。 ……聞き覚えがあるでしょう?」
ライ「! アーチボルドだと!?」
レオナ「ま、まさか、 あの男がノイエDCに!?」
タスク「レオナ、 あいつのことを知ってんのか!?」
アーチボルド「フフフ……こうして お会いするのは初めてですねえ、 ライディース君?」
ライ「貴様………ッ!!」
(ライに『気合』)
ライ「貴様ァァァッ!!」
(R-2パワードがアーチボルド機に接近)
リュウセイ「ライ!?」
アーチボルド「フフフ…… 表面上は冷静でも、このような時に 激情を制することが出来ない」
アーチボルド「そこがあなたの兄上と 違うところであり……」
アーチボルド「僕が 付け入る隙でもあるわけです」
ライ「!!」
【強制戦闘】
[ハイゾルランチャー]vsアーチボルド[ランチャー]
(R-2パワードのHP10%)
リュウセイ「ラ、ライ!!」
シャイン「ラ、ライディ様ぁっ!!」
レオナ「ライディース!!」
(ライの反応なし)
リュウセイ「ライ!  返事しろ、ライッ!!」
アーチボルド「ほう、防ぎきりましたか。 さすがですね、ライディース君」
アーチボルド「あの暴走事故から 生還しただけのことはある」
リュウセイ「て、てめえっ!  よくもやりやがつたな!!」
アーチボルド「ま、 今日の所はご挨拶ということで」
アーチボルド「では、 またお会いしましょう…… ライディース君」
(アーチボルド機が撤退)
エイタ「敵機、撤退しました!」
テツヤ「直ちにR-2を回収しろ!  急げ!!」

《ハガネ艦橋》

シャイン「……そうでございますか。 リクセントはもうノイエDCに……」
ダイテツ「お気持ちはお察しする。 だが、御身をこうして救い出せたのが 不幸中の幸いだった」
シャイン「いえ。私の気持ちなど……。 国に残された者達のことを思えば、 何でもないことでございます」
ラトゥーニ「シャイン王女……」
シャイン「心配はいりません。 一国を預かる身として、これから 何をしなければならないか……」
シャイン「決意と覚悟は すでに出来ておりますもの」
ラトゥーニ(覚悟……?)
テツヤ「シャイン王女、 我が連邦軍はアビアノ基地を 中心として戦力を立て直し……」
テツヤ「ノイエDCに対し、 反攻作戦を敢行する予定です」
テツヤ「その折には 必ずやリクセントの奪還も……」
シャイン「でも、それは今後の 戦況次第なのでございましょう?」
テツヤ「……ええ。 ですが、奪還作戦に参加した際は 尽力することをお約束します」
シャイン「お気遣い感謝いたします」
ダイテツ「御身には このまま我々と共にアビアノ基地へ 行っていただく」
ダイテツ「その後の処遇は 連邦政府へ委ねることになるが、 よろしいか?」
シャイン「……」
シャイン「……はい」
ダイテツ(王位継承者とは言え、 まだ子供……不憫な)
シャイン「ところで、あの…… ライディさまの……ご容態は?」
エクセレン「大丈夫。 頑丈なR-2ちゃんのおかげで、 色男さんは無事よん」
シャイン「そうでございますか……。 では、私……ライディ様の お見舞いに行ってきます」
エイタ「じゃあ、自分が案内を……」
シャイン「大丈夫ですわ。 この艦に乗るのは初めてでは ありませんもの」
(扉が開閉する・シャインが立ち去る)
エクセレン「……王女様、 しばらく見ない間に 随分しっかりしたんじゃない?」
ラトゥーニ「でも……無理してる」
ラトゥーニ「そして…… それを私達に悟られまいとして……」
エクセレン「そうね……」
ラトゥーニ「……」
エクセレン「でも、奪われた物は 取り返すっきゃないでしょ。 ラトちゃんも、ね?」
ラトゥーニ「はい……」

《ブリーフィングルーム》

カチーナ「……で、 R-2の方はどうだったんだ?」
イルム「右腕と プラスパーツがごっそりやられた」
イルム「交換用のパーツは 伊豆からアビアノへ輸送中だが、 しばらくは使い物にならないね」
カチーナ「爆発しなかっただけでも マシってことか」
リュウセイ「けど、 いつはクールなあいつが……」
リュウセイ「あ、 最近はそうでもねえような 気もするけど……」
リュウセイ「とにかく、 ライがあそこまで怒るなんてよ」
イルム「ああ…… 奴らしくなかったな」
レオナ「……」
キョウスケ「あの男…… アーチボルド・グリムズと言ったか」
キョウスケ「今までも 何回かやり合ったことがあるが、 何者だ?」
レオナ「あの男は エルザム様とライディースの…… いえ、ブランシュタイン家の仇敵(きゅうてき)
キョウスケ「仇敵……?」
レオナ「そう。彼はあのエルピス事件を 仕組んだテロリスト……」
レオナ「エルザム様の妻であり、 ライディースの義姉…… カトライア様の仇と言える人物よ」
リュウセイ「な、何だって!?」

《???》

ライ「…………」
ライ「……義姉上……」
ライ「……義姉上、 ここにいらっしゃったのですか?」
カトライア「ええ、 この子の相手をしていたのです」
トロンベ「ブルルル……」
ライ「何も義姉上が トロンベの世話をなさらなくとも…… 係りの者もおりますのに」
カトライア「いえ、 この子はエルと私以外の方に 背中を預けませんから……」
カトライア「こうして私が 暇を見て相手をしてあげないと」
トロンベ「……」
カトライア「トロンベ…… エルに会えなくて寂しいの?」
トロンベ「ブルル……」
カトライア「大丈夫、 私はあなたの傍にいるわ。 だから、元気を出して頂戴」
カトライア「そして、このエルピスで 一緒にエルの帰りを待ちましょう」
トロンベ「……」
ライ「俺なら……義姉上に そのような思いをさせません」
カトライア「……ありがとう、ライ」
ライ「……」
カトライア「でも、エルは ブランシュタイン家の次期当主として 何かと忙しい身……」
カトライア「あの人の留守を守るのは、 妻である私の役目なのです」
ライ「……」
カトライア「それに、 私はエルが傍にいなくても 寂しくはありません」
カトライア「私の周りには あなたやレオナ、トロンベが いてくれますし……」
カトライア「エルの留守中に 新しいレシピを考え出すのが 楽しいのです」
カトライア「それも、 彼が驚くようなレシピを……ね」
ライ「……」
カトライア「ところで、ライ。 茶室の準備をして下さる? この間の レッスンの続きをしましょう」
ライ「はい、義姉上……」

《ハガネ医務室》

ライ「う……」
シャイン「ライディ様……」
ライ「シャイン王女……」
シャイン「お具合は いかがでございましょう?」
ライ「……どうかお気になさらずに。 それより、御身が無事で何よりです」
シャイン「はい……。 私を逃がしてくれた国の者達…… そして、ハガネの皆のおかげです」
ライ「……」
シャイン「ライディ様、 申し訳ございません。 私のせいで、こんな……」
ライ「いえ、 これは御身の責任ではありません。 自分が未熟だったまでのこと」
シャイン「でも、私は…… ライディ様から守るべき場所を守れと 言われていましたのに……」
シャイン「なのに、私は国を……」
ライ「それも戦いでありましょう」
シャイン「え?」
ライ「御身が決意と覚悟を持って 脱出されたのなら…… それは逃げではありません」
ライ「後は…… 成すべきことを成すだけです」
シャイン「……はい、わかっております」
ライ「……御身のお気持ちを察せず、 差し出がましいことを申しました。 お許し下さい」
シャイン「いえ……」
ライ「ですが…… 成長なさいましたね、王女」
シャイン「ライディ様……」
ライ「………」
シャイン「あの……」
シャイン「少しだけ……今だけ…… 泣いてもよろしいですか……?」
ライ「……ええ」
シャイン「……」
シャイン「う、ううっ……う……」
シャイン「ううう……うええん……」
ライ「………」
ライ(アーチボルド・グリムズ……。 リクセント公国を制圧したのは あの男か……)
ライ(俺の仇敵……俺の過去に もう一つの楔を打ち込んだ男……)
ライ(許さん……。 奴だけは……俺のこの手で……)
ライ(必ず……!)

《ノイエDC戦艦艦橋》

レモン「敵本隊はアビアノ方面へ撤退、 リクセント公国の占拠にも成功…… 上々の結果ね」
ヴィンデル「でなければ、 我々が陽動に出た意味がない」
レモン「ええ。 これでバン大佐への示しもつくし」
レモン「でも、 この目でハガネを見られなかったのが 少し残念だわ」
ヴィンデル「うむ。 連中は間に合わなかったようだな」
ウォーダン「……」
レモン「ご苦労様。 あなたが活躍してくれたおかげで、 色々と上手くいったわ」
ウォーダン「……俺は俺の任務を 果たしたまで」
レモン「身体の調子の方はどうかしら?  頭とか痛まない?」
ウォーダン「問題ない」
レモン「そう。 でも、念のため調整機へ入りなさい。 メイガスとのリンクのためにね」
ウォーダン「承知した」
(扉が開閉する・ウォーダンが立ち去る)
ヴィンデル「フン…… 不遜な口の利き方をする奴だ」
レモン「仕方がないわね。 でも、彼……指令には忠実よ?」
ヴィンデル「それは メイガスを通した上での話だろう」
レモン「テストケースよ。 今後のためのね」
ヴィンデル「中途半端なものに なるぐらいなら、記憶や人格など 消去した方がマシではないのか?」
レモン「……」
レモン「そうかも、ね」
(通信)
エキドナ「ヴィンデル様……」
ヴィンデル「何だ?」
エキドナ「本艦へ 接近中の物体を感知しました」
ヴィンデル「敵か?」
エキドナ「いえ…… こちら側の識別信号を出しています」
ヴィンデル「では、 ノイエDCの別働隊か?」
エキドナ「それも違います。 ……このコードは我々の物です」
ヴィンデル「何だと……!」
レモン「W16、 その物体の識別コードは何なの?」
エキドナ「EG-X……ソウルゲインです」
レモン「!!」


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