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侵略者の影 リュウセイルート ~ 第20話 ~

《艦長室》

テツヤ「報告します、艦長。 本艦のテスラ・ドライブの 応急修理作業が完了しました」
ダイテツ「予定より早かったな」
テツヤ「幸いにも参番艦クロガネの ドックが使用可能でしたので。 しかし、まだ戦闘は不可能です」
ダイテツ「そうか。 では、このアイドネウス島周辺の DC残党の動きは?」
テツヤ「ありません。参番艦クロガネも 依然消息不明です」
ダイテツ「では、本艦はしばらくの間、 アイドネウス島に駐留する。乗組員に 半舷休息命令を出しておけ」
テツヤ「了解です」
ダイテツ「ところで…どうだ、大尉?  たまには一杯付き合わんか」
テツヤ「は? 一杯といいますと…」
ダイテツ「フフフ…これだ。 京都伏見の酒、『振り袖』。 ワシのとっておきだ」
テツヤ「か、艦長…軍規では、艦内への アルコール類の持ち込みは禁止に…」
ダイテツ「艦長特権だ。それに… 古来から酒類は、気付け薬として 船に持ち込まれておるものだ」
テツヤ「し、しかし、自分は…」
ダイテツ「いいから、そこへ座れ」
テツヤ「は、はあ…」
ダイテツ「遠慮はいらん。 ただし、このことは内密にな。 今、杯を出す」
テツヤ「で、では…頂きます……」

《シミュレーター》

イルム「シミュレーターの 模擬戦闘の結果は、6勝4敗で リョウトの勝ちだ。よくやったな」
リョウト「はい、何とか… パーソナルトルーパーの操縦にも 慣れてきましたし…」
リオ「…私が負けたなんて…」
イルム「ま、そう悔しがるなよ。 お前もいい勝負してたぜ、リオ」
リオ「…リョウト君…」
リョウト「何?」
リオ「もう一回勝負よ!!」
リョウト「ええっ!? 10セット 勝負の約束だったはずじゃあ…」
イルム「おいおい、リオ。 悔しいのはわかるがな…」
リオ「悔しいんじゃありません!  勝負に負けた自分がふがいなくて、 情けないだけです!」
イルム「そりゃ、同じだって」
リオ「さあ…リョウト君、行くわよ!  今度は絶対に負けないからね!」
リョウト「で、でも、 せっかくの半舷休息なのに…」
リオ「あなた、男でしょ!?  グダグダ言わないの!」
イルム(やれやれ、リョウトも えらいのに見込まれちまったな)
リョウト「イ、イルム中尉、 助けてください!」
イルム「相手が悪かったと 思ってあきらめろ。それに…」
イルム「イングラム少佐からも お前達を早く一人前にするように 頼まれてるんでな」
リョウト「そんな…」
リオ「ほら、早く行くわよ!」

《ハガネ艦橋》

エイタ「え? コロニー統合軍の 旗艦の行方ですか?」
ライ「ああ。 何か情報が入って来ていないか?」
エイタ「情報部からの報告によれば、 コロニー統合軍の旗艦マハトは…」
エイタ「衛星軌道上での ヒリュウ改との戦闘において 大破…」
エイタ「そのまま大気圏へ突入し、 燃え尽きたそうです」
ライ「……そうか。 あの男が……死んだか…」
(扉が開閉する・ライが立ち去る)
エイタ「?  何でそんなことを聞くんだろ?」
エイタ「そうか…! 少尉の親父さんは 確かコロニー統合軍の…」

《ハガネ格納庫》

ライ(…ビアン・ゾルダークが エアロゲイターへの対抗勢力を 育てるために…)
ライ(今回の戦争を 仕組んだのだとしたら、 あの男も同じ理由で…)
ライ(…結局、俺はあの男を 越えることも出来ず…手のひらの上で 踊っていただけに過ぎんのか)
ライ(そして…奴は、俺達に 地球圏の今後を託したというのか…)
ライ(…あの男はいつもそうだった。 こちらのことはお構いなしで、 自分勝手な都合を押しつける…)
ライ(…カトライア義姉さんが 死んだ時もそうだった。だから、 俺はあの家を見限ったのだ…)
アヤ「どうしたの、ライ?  浮かない顔して…」
ライ「…何でもありません」
アヤ「嘘よ。お父様のことを 考えていたんでしょ?」
ライ「………」
アヤ「ねえ、ライ。悩み事があったら 相談してね。たまには私にも リーダーらしいことをさせてよ」
ライ「お気遣いありがとうございます。 今はそのお気持ちだけで十分です」
アヤ「………」
(扉が開閉する)
マサキ「よう…ライ、アヤ」
アヤ「マサキ…。もう行くの?」
マサキ「ああ。 色々と世話になっちまったことだし、 挨拶しとこうと思ってな」
ライ「やはり、シュウを追うのか?」
マサキ「ああ…。奴はあの後、 姿をくらませちまったからな」
マサキ「自分勝手な都合で すまねえが…ここらで奴を追うのに 専念させてもらうぜ」
アヤ「ううん、気にすることはないわ。 今まで自分勝手な都合を押しつけて いたのはこっちだもの」
マサキ「いや、地上の危機を 見過ごすわけにはいかねえよ。 …まだ異星人も残ってるしな」
マサキ「…もし、シュウとのケリが ついたら…またここへ戻って来るぜ」
アヤ「……ありがとう、マサキ」
マサキ「じゃあ、元気でな」
アヤ「ええ、あなたもね」


第20話
侵略者の影

〔戦域:アイドネウス島DC本部周辺〕

(サイバスターが出現し、西へ移動し撤退)
ジャーダ「マサキの奴、 行っちまったか…」
ガーネット「寂しくなるわねえ」
ジャーダ「あいつが 抜けるのは痛いけど…その分は 俺達で頑張ろうぜ」
ガーネット「うん…」
ジャーダ「ま、あいつのことだから… また迷って、俺達の前に現れるかも 知れねえけどよ」
ガーネット「フフッ、そうね」
ガーネット「ところで、ジャーダ。 こうやって、二人で星空を 眺めるなんて久しぶりねえ」
ジャーダ「………」
ガーネット「? 何見てんの?」
(メテオ3を見る)
ジャーダ「ほ~う、あれがメテオ3か。 何か妙だな」
ガーネット「ちょっと! せっかく、 あたしがムード出してんのに…」
ジャーダ「あ? ムードだぁ?」
ガーネット「こんな美人を前にして あんな石コロに気を取られるなんて、 どうかしてんじゃないの?」
ジャーダ「お前、あの隕石を見て 変だと思わないのか?」
ガーネット「別にぃ」
ジャーダ「…あのな。 あれだけデカいのが落ちてきたら、 地球は今頃壊滅してるはずだろ?」
ガーネット「…言われてみればそうね。 昔、アメリカとロシアに落ちた隕石は もっと小さかったらしいし」
ジャーダ「なのに、 あれだけ原型を留めてるなんて… 変を通り越して、異常だぜ」
ガーネット「何なのよ、もう。普段は そういうこと気にもしないくせに。 何インテリぶってんだか」
ジャーダ「?」
ガーネット「…あんたって、ホントに デリバリーないんだから」
ジャーダ「…それを言うなら、 デリカシーだ、デリカシー」
ラトゥーニ「…メテオ3は 落着寸前に減速したらしいの」
ガーネット「!」
ジャーダ「お、ラトゥーニ。 お前も隕石を見に来てたのか?」
ラトゥーニ「うん…。 色々と気になることがあって…」
ジャーダ「そうだよなあ。 普通、気になるよな」
ガーネット「何言ってんのよ。あ~あ、 久々のチャンスだったのに…」
ジャーダ「チャンス? 何の?」
ガーネット「あんた、それを 女の口から言わせる気!?」
ジャーダ「あ…なるほど。 そういうことか。 そ、そりゃ悪かったな…」
ガーネット「今頃気付いたって 遅いわよ。それから、ラトゥーニ…」
ラトゥーニ「なに?」
ガーネット「今度、こういう い~い雰囲気になれそうな所へ 来る時には…」
ガーネット「男の子を誘ってくンのよ。 例えば、リュウセイとか」
ラトゥーニ「え?  ど、どうして、あの人を…?」
ガーネット(はは~ん…)
ガーネット(前から そうじゃないかなとは思ってたけど、 これはもしかして、もしかすると…)
ラトゥーニ「………」
ジャーダ「で、ラトゥーニ…あの隕石が 減速したってのはホントなのか?」
ラトゥーニ「うん。それで 当時のEOTI機関のメンバーは、 あれが人工物だと気づいたの」
ジャーダ「人工物…?  あの石コロがか?」
(メギロートが出現)
ガーネット「! あれはバグス!?」
ジャーダ「エアロゲイターの 偵察機か! ガーネット、 ラトゥーニ、急いで戻るぞ!!」
ガーネット「わかったわ!」
エイタ「テツヤ大尉!  エアロゲイターのバグスが 出現しました!!」
エイタ「……?」
エイタ「大尉、どうしました!?」
テツヤ「な…何でもない…。 少し、気分が悪いだけだ…。 う…ううっ…」
エイタ「た、大尉、大丈夫ですか?」
テツヤ「…すまんが、エイタ…。 艦長がここへ来るまで… お前に…指揮を任せる…ぞ」
エイタ「え、ええっ!?」
テツヤ「た、頼む…。う…うっぷ… だ、駄目だ…吐き気と目まいが…」
エイタ「わ、わかりました。艦長が 来るまでの指揮は任せて下さい!」
エイタ「前からこういうのを 一度やってみたかったんです!!」
テツヤ「!?」
エイタ「あ、あ~。ゴホ、ゴホン。 テス、テス、テス。よ~し…」
エイタ「緊急事態発生!  PT各機、スクランブル!!」
(出撃準備)
エイタ「司令部より各機へ!  バグスを迎撃せよ!」
イングラム「………」
ガーネット「今の…エイタよね?」
ジャーダ「あ、ああ。モニターに 映ってたのは確かに奴だったぜ」
ガーネット「何で あの子が指揮してんの?」
ジャーダ「さあな。ブリッジで 何かあったんじゃねえのか?  えらく声が裏返ってたし…」
エイタ(マ、マズい… 緊張し過ぎて、声が…)
リオ「エイタ! 何で、あなたが そんな命令を出してるのよ!  テツヤ大尉はどうしたの!?」
エイタ「事情があって、自分は 艦長が司令部に来られるまで、 指揮権を委ねられている!」
リュウセイ「事情って何なんだよ!?」
エイタ「え、え~と…。 説明している時間はない!」
リュウセイ「は!?」
エイタ「なお、ハガネは 武装修理中のため、出撃できない!  各機の奮闘を期待する!」
エイタ(く~っ、キマった…!)
リオ(…まったく、もう。 なにカッコつけてんだか)
イングラム「…やむをえん。 各機、各個に敵機を迎撃せよ」

〈敵機全滅〉

(基地北側に敵機増援が出現)
エイタ「敵の増援が出現!  各機、迎撃せよ!!」
リュウセイ「チッ!  あの虫共、何が目的なんだ!?」
イングラム(我々の力を 試しに来たのか…?)
イングラム(あるいは… メテオ3の再調査が目的か…)

〈敵機全滅〉

(基地南側に敵機増援が出現)
アヤ「また敵が現れたわ!!」
ジャーダ「何だ、あいつは… バグスとは形が違うぞ!」
ラトゥーニ「データで 見たことがある。あれは AGX-02スパイダー…」
ガーネット「ね、ねえ… このまま敵が増え続けたら、 あたし達じゃ対応しきれないわよ!」
ジャーダ「弱音を吐いてる場合か!  片っ端からブチ落とすしかねえだろ!」
エイタ(スパイダーまで現れるなんて… ど、どうすりゃいいんだ!?)
ダイテツ「遅れてすまん!」
エイタ「か、艦長! よ、良かった…」
ダイテツ「状況を報告せよ!」
エイタ「こ、こちらが押されています!  これ以上、敵が増えれば… PT部隊では抑え切れません!」
ダイテツ「やむをえん、 ハガネに発進準備をさせろ。 最悪の場合、この島から脱出する」
エイタ「りょ、了解!」

〈NEXT PP〉

(南西の海の上に敵機増援が出現)
エイタ「か、艦長!  また敵の増援が現れました!!」
ダイテツ「…!」
イルム「まずいな。長引けば、 こっちの弾がなくなっちまうぜ」
ガーネット「まさか、 敵の狙いって、それなの!?」
ライ「物量作戦というわけか。 今の俺達には有効な手だ…」
アヤ「それに、私達の機体じゃ 同時に複数の敵を攻撃なんて できないし…!」
リュウセイ「くっ、こんな時に マサキが…サイバスターが いてくれりゃあ…!」
???「何をなさけねえことを 言ってやがんだ、リュウセイ!」
リュウセイ「何!? 今の声は…!」
(西側からサイバスターが出現し、サイフラッシュで最後の増援を一掃)
マサキ「どうだ… ざっとこんなもんよ!!」
リュウセイ「マ、マサキ!!」
アヤ「あなた…どうして!?」
マサキ「やっぱ、仲間がピンチに 陥っているのは見過ごせなくてよ。 ま、行きがけの駄賃って奴だ」
アヤ「マサキ…!」
マサキ「さあ、みんな!  さっさと虫共を片づけようぜ!」

〈敵機全滅〉

エイタ「敵機、全滅!  他の機影は見当たりません!」
ダイテツ「何とか、 この場はしのげたか…」
マサキ「よし… これで一段落ついたようだな」
リュウセイ「マサキ… やっぱり、行っちまうのか?」
マサキ「ああ。 俺にはやらなきゃならねえことが あるからな」
リュウセイ「そうか…そうだよな」
ライ「…マサキ」
マサキ「何だ?」
ライ「死ぬなよ」
マサキ「ヘッ…てめえから そんな台詞を聞けるとはな。だが、 そっちこそ死に急ぐんじゃねえぞ」
ライ「フッ、覚えておこう」
ラトゥーニ「クロとシロも…元気でね」
クロ「…うん…」
シロ「ニャごり惜しいニャ」
ダイテツ「マサキ… お前とサイバスターの武運を祈る」
マサキ「ありがとよ、おっさん。 あんた達も元気でな」
リュウセイ「また会おうぜ、マサキ」
マサキ「ああ。じゃ、あばよ!」
(サイバスターが西へ移動し撤退)

《ハガネ艦橋》

エイタ「サイバスター、本艦の レーダー範囲内から消えました」
テツヤ「そうか…。現れた時も去る時も まさに風のごとし、か」
エイタ「何か寂しくなりますね」
テツヤ「エイタ、 サイバスターの識別コードは そのままにしておけよ」
テツヤ「あいつが いつ戻ってきてもいいようにな」
エイタ「もちろんです。 ところで、大尉…大丈夫ですか?  まだ顔色が青いですよ」
テツヤ「何とか持ち直したんだが…」
ダイテツ「無理はするな、大尉」
テツヤ「艦長…申し訳ありません。 肝心な時に指揮を執れなくて…」
ダイテツ「いや、 謝るのはワシの方だ。まさか、お前が あそこまでの下戸だったとはな…」
テツヤ「す、すみません…」
エイタ「? 下戸って… 酒でも飲んでたんですか?」
ダイテツ「む…。何でもない」

《ブリーフィングルーム》

ジャーダ「それにしても、 バグスとスパイダーは何しに この島へ来たんだろうな」
リオ「いつもと同じで… 偵察でしょうか?」
ロバート「もしかすると、 ウチの部隊の戦力データを 取るのが目的だったのかも知れん」
リョウト「戦力データを…?」
ロバート「ああ。お前達は、 機動兵器じゃ最強の部類に入る ヴァルシオンを倒したからな」
リョウト「じゃあ、ハガネはDCに 代わる戦力として、エアロゲイターに 認められたってことですか?」
ロバート「かも知れん。 いずれにせよ、敵の注目度は 高くなるだろうな」
リョウト「はあ…。 これから先が思いやられますね」
リオ「あら… 敵にマークされたってこと、少しは 光栄に思ったっていいんじゃない?」
リョウト「現実的な問題を考えたら、 とてもそんな気楽なことは 言ってられないよ」
リオ「別に楽観視をしてるわけ じゃないわ。けど、自信を持つことは 大事よ。何事もね」
リョウト「前向きなのはいいけど…」
リョウト「エアロゲイターの戦力が どれぐらいのものか、ほとんど わかってないんだよ?」
ジャーダ「そうだな。今のところ、 奴らはメテオ3と偵察機ぐらいしか 地球へ送り込んで来てねえしなあ」
ロバート「メテオ3か…。あの隕石も まだ不明な点が多いからな」
リオ「あら、かつてのEOTI機関は、 メテオ3の内部の超技術を、全て 発見したと報告したんでしょう?」
リオ「だったら、今のメテオ3は ただの巨大な岩じゃないんですか?」
ロバート「そのはずだが、 あの隕石にしかけられていた厳重な プロテクトが気になってね」
ジャーダ「そりゃ当然だろ。 何たってEOTの卵だったんだから」
ロバート「いや、 メテオ3には重力アンカーが 仕掛けられていたみたいなんだ」
ジャーダ「重力アンカー?」
ロバート「ああ。あいつの 動きを封じるかのようにな…」
リオ「動きを封じるって… あれ、隕石なんでしょう?」
ジャーダ「そういや、 ラトゥーニがメテオ3は人工物 だって言ってたなあ」
リオ「本当ですか!?  どう見ても岩のカタマリだけど…。 リョウト君は何か知らないの?」
リョウト「ううん。 DC内でもメテオ3に関することは トップシークレットだったから…」
リョウト「僕みたいなパイロットに 詳しいことは知らされてないよ」
リオ「ふ~ん…。ねえ、博士… DC本部のコンピューターに、 データは残っていないんですか?」
ロバート「ああ。メテオ3どころか、 全部のデータがきれいさっぱり 消されていた」
ロバート「おそらく、アードラー・ コッホの仕業だろうな」
リオ「そうなんですか…」
ロバート「何にせよ…メテオ3には、 まだ秘密が残されているとみて 間違いないだろうな」
ロバート「そして、それはDCが この島に本拠地を置いた理由と 密接な関係があるのかも知れん」
リョウト(もしかして…)
リョウト(ビアン博士はメテオ3を 封印、監視するために…?)

《ハガネ艦橋》

エイタ「艦長、極東支部の レイカー司令より通信です」
ダイテツ「回してくれ」
(通信)
レイカー「任務ご苦労だった、 ダイテツ。無事で何よりだ」
ダイテツ「いや、 また死に損なっただけだ」
レイカー「そういうな。 お前の指揮あっての作戦成功だ」
ダイテツ「若い者達が頑張ってくれた おかげだよ。それで、要件は?」
レイカー「お前達の活躍により、DCは 中枢部を失ったが…残存部隊が 各地でゲリラ戦を展開しつつある」
レイカー「また、コロニー統合軍の 残存部隊も地球に降下して来て、 彼らと合流しているようだ」
レイカー「そして、現状の連邦軍は 彼らに対処しきれていない」
ダイテツ「無理もない。 DCの電撃作戦で、制圧された 支部基地がいくつかあったからな」
レイカー「ああ。 軍上層部も未だに混乱状態だ」
レイカー「とりあえず、 ノーマン・スレイ少将を中心とする 地球圏防衛委員会が…」
レイカー「軍組織の統率を 行っているが、正常に機能を 発揮しているとは言い難い」
ダイテツ「EOT特別審議会の 横ヤリが入っているのか?」
レイカー「うむ。混乱に乗じて カール・シュトレーゼマン議長が…」
レイカー「安全保障委員会を通じ、 軍上層部の完全な掌握を 目論んでいるようだ」
ダイテツ「あの男は、 徹底抗戦派のノーマン少将や 我々を抑えるつもりか…」
レイカー「現在の状況で、 エアロゲイターの侵略を受ければ 地球圏はひとたまりもない」
レイカー「だから、シュトレーゼマン 議長は独自のパイプを通じて、 彼らと交渉を再開する気なのだ」
ダイテツ「フン… 南極の二の舞いにならねばいいが」
レイカー「いずれにせよ、 アイドネウス島はEOT特別審議会の 管轄下となることが決定した」
レイカー「まもなく、 彼ら子飼いの連邦軍艦隊が到着し、 その島へ駐留することになる」
ダイテツ「だったら、ワシらは早々に 退散するとしよう。昔から 審議会とは折り合いが悪いからな」
レイカー「それと…お前達には 誠に申し訳ないのだが…」
レイカー「アイドネウス島陥落の手柄は これから来る艦隊のもの…つまり、 EOT特別審議会のものとなるだろう」
ダイテツ「今回の功績で、 軍や政府内での発言力を さらに強める気か」
ダイテツ「フン…密かに異星人へ 降伏しようとしていたシュトレーゼマンの 考えそうなことだ」
レイカー「すまん。 私とノーマン少将の力では ハガネの現状維持が精一杯だった」
ダイテツ「気にするな。 ワシは、自分の手柄を立てるために 戦っておるのではない」
ダイテツ「で…これからの任務は?」
レイカー「Rシリーズや 新型機の調整を急いでもらいたい ところだが…現状ではそうもいかん」
レイカー「ハガネはDC残存部隊を 掃討しつつ、彼等の旗艦クロガネの 行方を追ってくれ」
ダイテツ「それは、異星人が 本格的な行動を起こすまでの 任務と考えていいのだな?」
レイカー「無論だ」
ダイテツ「了解した。本艦は これよりクロガネ追撃任務へ移る」


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