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決死の突破作戦 前編 アーク

(ネェルアーガマで日本から梁山泊まで移動)
ブライト「やはり、梁山泊もだめか……」
クワトロ「しかしな……軍事拠点でもない、 こんな場所をねらう必要性が
 わからんな」
万丈「ああ、連中が何を探しているにして も、ここにあったとは思えないね」
ギャリソン「ふむ……それがわかればあるいは、 なにか有効な対抗手段と
 なりうるやもしれませんな」
万丈「わかれば、の話さ。アラン、 銀鈴の方はどうだい?」
アラン「いま探している。俺たちがいても 何を探しているか、わからんから
 引きあげてきたんだ」

銀鈴「……どこかにきっと、あるはず なんだけど……」
村雨「やぁ、ファルメール。くるだろうと 思っていたよ」
銀鈴「健二さん? もしかして私たちを 待っていてくれたの?」
村雨「いや、俺もあとから来たクチさ。 ところで捜し物はあれじゃないのか?」
銀鈴「あんなところに……ええ、そうよ。 あれを探していたの。もう確認した?」
村雨「ああ。長官たちは攻撃を 受ける前に脱出した
 反抗勢力の要となりそうな 人物は、ほとんど一緒にいるとさ」
(足音)
銀鈴「……そうね。西へ向かう、か」
村雨「長官のことだ、君がいれば、 すぐ見つけられるよう、目印を
 つけてるだろう」
銀鈴「健二さん……やっぱり私たちとは、 こないの?」
村雨「俺の能力は1人でいる時が 最大に発揮できる
 知ってるだろう、ファルメール?」
銀鈴「健二さん……」
村雨「おっと、そんな顔はするなよ。 大作少年は元気でやってるか?」
銀鈴「え、ええ。がんばってくれているわ。 気になる?」
村雨「俺は、あいつの親父さん…… 草間博士は救うことが
 できなかったからな……」

アストナージ「……これもまだ使えるな……」
アムロ「何をやってるんだ、アストナージ?」
アストナージ「え? ああ、残骸の中にけっこう 使えそうなものが混ざっているんで
 集めているところですよ」
アムロ「へえ、そうなのか?」
チェーン「アストナージさん、またいくつか見つけま したよ。あ、アムロさん」
アムロ「やぁ、チェーン。何を見つけたんだ?」
チェーン「主にパーツ類です。機体の補修 に使えそうなものもあります
 あとのことを考えたら、少しでも 資材が多い方がいいですから」
アストナージ「こういう時にシャリーやジャネットが いてくれると助かるんですがね」
アムロ「大変そうだね」
チェーン「そう思うんでしたら、あとでお茶でも ご一緒してください」
アムロ「その程度でよければ、かまわないさ」
チェーン「約束ですよ。ベルトーチカさんに とめられた、なんていうのはナシですからね」
アムロ「あ、ああ……努力するよ」

アラン「……なるほど、そっちもうまく 片づいたようだな」
甲児「ああ。奴らが人間狩りをやらせていた “超獣”っていう化け物は
 オレたちがやっつけちまったからな。 もう大丈夫だろう」
万丈「みんな、ご苦労さん。そういえば、 豹馬がケガをしたと聞いたが?」
さやか「ええ、今、ちずると一緒に ハサン先生のところへ行っています」
万丈「ひどいのか?」
ビューティ「そんなにひどくはないから、大丈夫 だと思うわ、万丈」
ギャリソン「それは、ようございましたな」
大介「それで、こちらの方は?」
アラン「ああ、銀鈴が残されていた メッセージを発見した。やはり
 中条長官たちは、無事に 脱出していたようだ」
さやか「……あの、お父さまは……?」
アラン「弓教授? 確か、一緒にいる らしいと聞いたよ。安心したまえ」
甲児「よかったじゃないか、さやかさん」
さやか「ええ……ありがとう、甲児くん。 お父さまが無事で、本当に
 よかったわ」
小介「四谷博士はどうなんでしょう?」
万丈「もちろん四谷博士も一緒だ。 僕たちが宇宙へあがる前に
 中条長官たちと合流できるよう 手配しておいたからね」
十三「やったやないか、小介。これで合流 できればコン・バトラーもパワーアップ
 間違いなしや」
レイカ「それで、どうするの万丈?  合流はできそうなの?」
万丈「ああ。彼らはとりあえず西に向かった そうだが、国際警察機構の
 エキスパートが使う合図があるそうだ 銀鈴なら見つけられるといっていたよ」

ベルトーチカ「艦長、まもなくドモンたちも 帰還します」
ブライト「わかった」

ブライト「そうか……ついにデビルガンダムとの 決着がついたか」
デュオ「ああ、あそこまでやっときゃ、もう 復活はしないぜ」
ジョルジュ「そうですね。これまではロームフェラを 隠れみのにした、ウォンと
 東方不敗とがデビルガンダムを 秘匿し、復活させていました
 もう、その2人もいません」
リョウ「しかし……ドモンは大丈夫なのか?」
アルゴ「肉体的には問題ない」
カトル「ええ、あの人の心の問題です。あの 人はこれまでデビルガンダムを倒すと
 いうことを最大の目的としてきまし た。それがなくなったのですから」
アムロ「しかしな……」
チボデー「なぁに、心配はいらねぇよ。 あいつもシャッフルの紋章を持つ身
 まだやることが残ってるってのは よくわかってるさ」
アルゴ「うむ、心配することはない」
ジョルジュ「それに、ドモンは石破天驚拳を 身につけ、また一回り強く
 なりましたからね」
サイ・サイシー「そうそう、アニキの新技はすげぇんだぜ」
リョウ「ま、みんながそういうんなら 大丈夫だろう。すぐに忙しくなる
 少し、休ませておいてやろう」
アムロ「ああ、そうだな」

アラン「艦長、全員もどったことだし、 そろそろ出発しよう」
ギャリソン「現在のところ銀河帝国軍の 動きは降下当初よりは
 活発でなくなっており、状況は 小康状態です。今のうちに
 合流できれば、それにこしたことは ありませんな」
ブライト「そうだな。よし、全員に伝達して くれ。我々は2時間後に
 ここを離れる」
(ネェルアーガマで西へ移動、砂漠の西端で止まる)
アムロ「どうだい?」
銀鈴「大丈夫です、ルートは確認しまし た。もうすぐ接触できます」
アラン「思ったよりも時間がかかって しまったな」
ブライト「やむを得んさ」

中条長官「むっ、敵に発見されてしまったか!?  しかたがない、みなさんは離れてください
 ここは私が……」
弓教授「待ってください、中条長官。 例のオーラシップの船影が見えます
 あれはマーチウィンドに違いありま せん。“静かなる中条”の
 お力を使うことはないでしょう」
中条長官「……そうか。やはり銀鈴くんが メッセージに気づいてくれたとみえる
 ジュリアくん、彼らが来てくれた。 君のいっていたことが
 実現できるかもしれん」
ジュリア「はい……」

中条長官「みんな、よく来てくれた。もしも敵に 発見されていたら、私の力を
 使うしかないところだった」
銀鈴「長官の!? そんなことにならずに よかったですわ」
中条長官「ははははははっ」
ブライト「博士たちもご一緒ですね。とにかく みなさんご無事でよかった」
万丈「こんなところで立ち話もない。中へ 入りましょう。ガンドールでいいですね
 葉月博士」
葉月博士「もちろんだ。移動要塞ガンドールへ ようこそ。博士方には
 研究設備もご提供できますよ」

甲児「銀鈴さん、中条長官の力って なんなんだい?
 ずいぶんびっくりしてたみたいだけど」
銀鈴「……実は、私も見たことがないのよ。 というより、誰も見たことがないの」
沙羅「なんだい、どういうことなのさ?」
銀鈴「“静かなる中条”の力は、 ビッグバン・パンチと呼ばれる
 自爆技なの。だから1度きりしか 使えないそうよ」
ボス「自爆……なんだか心が揺さぶられる 言葉だわさ」
デュオ「おいおい、自爆は勘弁してくれよ。 なぁヒイロ」
ヒイロ「必要ならばそれもいいだろう」
デュオ「……まったくこれだもんなぁ」
甲児「でも、どの程度なんだよ、それ」
銀鈴「あくまでも噂だけどマーチウィンド の艦隊を、まるごと吹き飛ばせる
 くらいの威力はあるそうよ」
マーベル「……冗談でしょう?」
銀鈴「そんな顔しないでよ、マーベル。 あくまでも噂よ。本当のことは
 誰も知らないわ。ご本人も 知らないのではないかしら」
甲児「なんだよ、人騒がせな力だな。 そういえばエキスパートっていうからには
 銀鈴さんも何か、力があるんだろ?  どういう力なんだ?」
銀鈴「え……内緒よ。そのうち、教えて あげるわ」
甲児「ちぇっ、いっつもそうなんだよなぁ、 銀鈴さんは」

アラン「……というわけで、事態は予断を 許しません」
中条長官「なるほど……トレーズから連絡があった といったね」
アラン「ええ。OZのトレーズ・クシュリナーダは 状況がこのまま悪化の一途を
 たどる前に総力をあげての反抗 作戦を計画しているようです。が
 それも勝算があるとはいいがたいのは 本人も認めているところです」
万丈「そう、なにしろ地上の敵さえ掃討 できる可能性は低い。しかも
 奴らの本陣は宇宙だからね……」
四谷博士「……人類はおろか、この地球さえも 風前のともし火というわけか……」
大介「奴らが地球を残しておく理由は 思い当たりません。それに
 どのみちマーズが死ねば太陽系 そのものが……」
早乙女博士「四谷博士、やはりあの話にのって みるしかないのじゃないかね」
ブライト「何のお話です?」
中条長官「うむ……実は我々は、地球の 防衛の切り札となりうるかも
 しれない情報を持っている」
アムロ「本当ですか!? それはいったい……?」
中条長官「ここから先は、ジュリアくんに話して もらった方がいいだろう」
エイジ「姉さん? 何を……」
ジュリア「……この地球には、 “グラドスの刻印”と呼ばれる
 ものが眠っています」
エイジ「グラドスの……刻印?  やはり姉さんは……」
ブライト「エイジ、話の腰をおるな。続けて ください。ジュリアさん」
ジュリア「これをお話するには、まず私たち グラドスと、地球との関係について
 お話ししなければなりません。 ムゲゾルバドス帝国を構成する
 グラドスではなく、1つの独立した 惑星文明としてのグラドスのことを」
クワトロ「グラドスと地球の関係……?」
ジュリア「皆さんはまず、両者が生命種と して兄弟にあることを知らなければ
 なりません。グラドス人と地球人 とは、同じ根から発生したのです」
ゲイル「な……なんだと?」
アラン「ばかな! あのグレスコやル・カインが、 我々地球人と同じだったと!?
 エイジ、君は、君はそれを知っていた のか!?」
エイジ「ええ……知っていました。 ご存じのように僕たちは、地球と
 グラドスの混血です。この僕と 姉さんの存在が、なによりもそれを
 裏づけています」
アラン「し、しかし……」
エイジ「3年前……偶然からそれを知った 僕はそれを根拠にグレスコ提督に
 戦いをやめさせようとしました。 ……結果は、ご存じの通りです」
ゲイル「そうか……そうだったのか……」
アムロ「だが、いったいなぜ……?」
ジュリア「宇宙に進出した先住グラドス 人は、すでに種としての限界を
 迎えつつありました。4万年前、 彼らの宇宙船がこの惑星
 地球を発見します。当時 地球では、原人類ともいうべき
 生命が誕生していました。 調査の結果、それが種として
 自分たちと極めて近しいと 判断した先住グラドス人たちは
 滅びゆく種の存続のために、1つの 試みをしました。地球の
 原人類の生命核を、自らに 移植することで、再び強い
 生命力を得ようとしたのです」
葉月博士「しかし……しかしそれでは、もはや 別の種となってしまう」
ジュリア「そうです。種の亡びを止める ことができないと知った
 先住グラドス人たちは、自分たち の文明を受け継ぐべき存在を
 作りたかったのです」
葉月博士「そうか……それが今のグラドス人…… つまり先住グラドス人とは違う
 我々地球人類の兄弟種と いうわけか」
ジュリア「そして、そのとき先住グラドス人 たちは、地球にひとつの機構を
 設置しました。彼らは銀河に すでに無数の星間文明が
 存在していることを考慮し、 自分たちの後継者となった種の
 兄弟である地球人類を、 やがてくる不幸な出会いから
 守ろうとしたのです」
アーク「不幸な……出会い?」
ジュリア「地球人類が未成熟なまま、それと 知らずに出会った兄弟たちが
 互いに滅ぼしあってしまうような 出会い。他の星間種族と
 接触して未熟な地球人たちが 滅ぼされてしまう危険。……
 そういった出会いから守るための セーフティ機構」
アーク「そうか……それが“グラドスの 刻印”なんだ」
クワトロ「ふむ……事情はだいたい飲みこめたと 思う。それで、その機構がどのような
 働きをするものなのかだが……」
ジュリア「空間を遮蔽するもの、と認識 しております」
クワトロ「空間を……?」
ジュリア「これによりグラドスからも銀河帝国 からもこの太陽系へは、くることが
 できなくなります」
アラン「すると、ムゲゾルバドス帝国もか」
ジュリア「……ゾルバドス星は、そもそもこの 銀河系宇宙にはありません
 異次元にあると聞いております。 それがどのように影響するのか
 わたくしにはわかりませんが……」
葉月博士「ともかく銀河帝国とのつながりが 断てるだけでも十分な意味がある
 これはすごいことだよ」
早乙女博士「うむ……わしらには想像もつかん ことだ。機会があれば、ぜひ
 研究してみたいが……」
万丈「みんな、ちょっと待ってくれないか。 確かにそれがすごいものであるのはわかる
 だが、行き来できなくなるだけだ。 銀河帝国がこれ以上増援を
 送ってこれないからといって、いま 地球圏に来ている軍勢が
 消えてなくなるわけではない。 そうでしょう?」
ジュリア「その通りです。しかし自らの国へ 帰ることができなくなった兵士は
 なんらよるべき大義なくして士気を 保てるのでしょうか?」
クワトロ「……無理だな。万丈、確かに 帝国軍は残留するが、もしも
 刻印が発動できれば勝機はある 軍隊とはそういうものだ」
万丈「……悪かった。信じよう、大尉。 どのみち、他に選ぶべき道は
 存在しない」
アーク「……それで、“グラドスの刻印”は どこにあるというのです?」
ジュリア「クスコです」
ブライト「クスコ……?」
ジュリア「みなさん、行きましょう。私をクスコへ 連れて行ってください。おごれるものの
 力をはばむのです。先人たちの 偉大な知恵の力を借りて」

ブライト「……というわけで“グラドスの 刻印”の発動が可能なら
 我々人類にもまだチャンスはあると いうことです」
トレーズ「なるほど、了解した」
ブライト「では……」
トレーズ「私にもそれ以外の方策は思い つかない。ムゲゾルバドス帝国に
 征服されていたことが、 銀河帝国への反抗の機会に
 つながるとは……つくづく歴史と いうものは不思議なものだ」
アムロ「しかし、もしもムゲ帝国がいなければ、 こんなことには、ならなかったかもしれない
 そうは考えないのか?」
トレーズ「歴史に“もしも”はないよ、 アムロ・レイ
 そこにあるのは、人の生と死、 その日々の積み重ねだけだ
 それは、よくわかっているのではないかね?  かつての連邦のエース・パイロット
 ニュータイプのアムロ・レイならば」
アムロ「トレーズ……あなたとニュータイプ論を 戦わせる気はない」
トレーズ「そうか……そこにシャア・アズナブルが いないのは残念だ。かつてのジオンの
 赤い彗星が、いま何を考えている のかも、聞いてみたかったのだが」
ブライト「よけいな話は終わりにしましょう。 時間を無駄にしたくない」
トレーズ「ああ、そうだった。さっそくクスコへ 兵力を集中させるよう
 手配しよう。人類の愚かな 歴史のフィナーレを飾るかもしれない
 戦いなのだから。…… が、君たちは太平洋を
 横断するわけにはいくまい。独力で 銀河帝国軍の勢力圏を
 突破してもらわねばならないな」
ブライト「わかっている。こちらも相応の 覚悟はできています」
トレーズ「ああ……無論、君たちはそうだろう。 健闘を祈る
 君たちが来てくれなければ、 何の意味もないのだからね」

アラン「OZが動いたようだな」
万丈「さすがに早いね。だが、そのOZの 動きで、銀河帝国軍にも再び
 動きが出ている。小康状態は 終わったようだ」
ギャリソン「さようですな。再び各地で侵攻を 開始したようです」
リョウ「我々も、クスコへ急ぎましょう」
甲児「まずは邪魔な敵をぶっつぶしてな」
ハヤト「ああ、敵の勢力圏を突破 できなけりゃ、俺たちは終わりだ」
シーラ「それは正しい見方でしょう。 艦長、我らも急ぎクスコとやらへ
 向かいましょう」
チャム「シーラ様ぁ、あたしたち勝てるの?」
シーラ「チャム、あなたもここまで聖戦士と ともに戦ってきたのでしょう。もっと
 意識を高く持ちなさい。最後に ものをいうのは、強い覚悟をもった
 心なのですよ」
ショウ「シーラ・ラパーナ……」
シーラ「ショウ・ザマ。バイストンウェルの戦乱 の源はオーラマシンそのものであると
 かつて、あなたはいいましたね。その時に 私の申したこと、覚えておいでか?」
ショウ「時がくれば、自分の乗った グラン・ガランでも沈めてくれるか、と」
シーラ「そうです。あなたは必要とあれば そうすると答えてくれましたね」
ショウ「はい」
リョウ「ショウ、お前そんなことを……」
シーラ「みなもお聞きなさい。自ら望んだに せよ、望まぬにせよ、すでに我らは
 未来を担う運命の中にあります それには覚悟が必要です。命を
 捨てる覚悟ではなく、何があろう とも為すべきことを為さしめるという
 覚悟が、です。それを忘れては なりません」

甲児「しかし、シーラさんもすごいよな。よく あれだけのことがいえるもんだぜ」
シモーヌ「ノーブレス・オブリージってやつね。 バイストンウェルにはまだ、確固たる
 思想としてあるんだわ」
甲児「ノーブレス……なんだって?」
アーク「ノーブレス・オブリージさ。 たしか……高貴な身分にともなう
 義務とでもいうんじゃなかったかな」
シモーヌ「そう。あたしたちの世界では、とっくの 昔になくなってしまったものよ。もっとも
 ロームフェラでは、言葉としてはいまだ に使う連中もいたけど、かつて
 その言葉のもとに命までかけた 貴族たちに失礼というものだわ」
鉄也「つまり、あの人はそうあるべきものとして 育ったので、あれが普通というわけか」
ジュドー「やだやだ、俺は平民でよかったぜ」
ルー「ばかね、あたしたちは基本的にみんな そうでしょ」
マーベル「でも、あの方みたいな王は バイストンウェルでも、そうはいないわ」
「まぁ、だからこそドレイクに対抗する 勢力として出たんだろうがな」
甲児「負けちゃいらんねぇな。みんな、 オレたちも覚悟決めていこうぜ!」

ブライト「よし、これより我々 マーチウィンドは敵勢力圏を
 突破し、クスコへ向かう。 総員、配置につけ!!」

小介「みんな、ちょっと聞いてください」
十三「なんや小介、今いそがしいんや。 手短に頼むで」
小介「前に話していたコン・バトラーVの 強化についてなんですけど……」
豹馬「おっ! どこかパワーアップしたのか!?」
四谷博士「あいかわらず気が早いな。小介は まだ何もいっておらんじゃないか」
豹馬「でも、そういうことだろ」
四谷博士「ああ、そのとおりだ。小介と 協力してコン・バトラーVに新しく
 武器を取りつけたんじゃ」
豹馬「博士、もったいぶらずに早く話して くれよ」
四谷博士「グランダッシャーとツインランサー、それに Vレーザー、ビッグブラストディバイダーだ」
豹馬「4っつも増えるのか!? 名前を 聞いただけでも強そうじゃねえか」
四谷博士「豹馬、武器というものは 効果的に使ってこそ絶大な
 能力を発揮するんじゃ。お前の ようにむやみに使うものではないぞ
 それこそ無駄使いというものじゃ。 わかっておるのか!?」
豹馬「はいはい、わかってますよーだ。 カミナリが落ちる前に退散しましょ」
四谷博士「こら、豹馬! どこへ行く!?  ちょっと待たんか!」

〈宇宙〉

ズール皇帝「ワール、例の件はどうだ」
ワール「いまだ発見には、いたっておりません。 しかし陛下、地球制圧は
 目前です。それほどお気になさること もないのではありませんか? おそらく
 地球人どもは存在すら知らぬの でしょう」
ズール皇帝「ワールよ、油断は禁物だ。マーズの 件はワシがうかつであったが、もう1度
 それを繰り返すつもりはない」
ワール「はっ」
(通信)
ワール「なんだ?」
ギシン星兵「地上のジャネラ様より報告です」
ワール「よし、出せ」

ジャネラ「ワール司令、陛下、地球人 どもが動き始めたようです。おそらく
 この地域に集結するつもりと 思われます」

ワール「ふむ……いったいどういうつもりか。もはや 勝ち目はないと知って、我らに
 最後の決戦でも挑もうというのか」
ズール皇帝「待て、ワール。例の候補地で 地球人どもがおらぬ場所が、まだ
 残っておったな。表示を重ねてみよ」
ワール「はい陛下…………これは!」
ズール皇帝「どうだ、ワール」
ワール「しかし陛下、あの大陸にはこれまで にも地球人の重要拠点が
 おかれていたこともあります。 偶然ではないかと……」
ズール皇帝「黙れ! ジャネラよ、 その大陸へ戦力を集中させい
 ワール、お前もガンダルとともに地上 へ降りるのだ。4万年の昔のこと
 あれが使われた場合、どれほどの 影響があるのかわからぬ。そこにあれば
 破壊せよ。そうでなくても、ここで 地球人どもをせん滅すればよい」
ワール「はっ、かしこまりました」

〈砂漠の西側〉

(ネェルアーガマで南西に移動、サハラ砂漠の南西側まで移動)
ベルトーチカ「発見されました。 前方に敵部隊です」
ブライト「いよいよか。 総員、第一戦闘配置
 なんとしてもクスコへたどり着くんだ」


決死の突破作戦 前編

(敵機が出現、戦艦選択・出撃選択)
クワトロ「作戦は伝達した通りだ。 一刻も早く、敵部隊を
 突破することだけを考えろ」
ブライト「そういうことだ」
(エリア表示)
ブライト「ここまでたどりついた者から戦線を 離脱する。いいな!」

〈3PP〉

(サーバインが出現)
チャム「ショウ、あれ見て!」
ショウ「なんだ……オーラバトラーなのか?」
トッド「ショウ、どうやらお前らもオーラバトラー ごと、地上に残ったクチらしいな」
ショウ「トッド!? 生きていたのか!?」
トッド「ああ、この通りだぜ」
ショウ「どういうつもりだ、トッド?」
トッド「どういうつもりもクソもあるかよ!  俺だって、地球人だぜ
 銀河帝国ってのがどういう奴らか ってことぐらい、俺だって聞いてるんだ
 貴様への恨みをチャラにする気は ないが、何をするべきかは
 わかってるつもりだぜ」
ショウ「トッド……」
チャム「トッドが味方してくれるの!?  ウッソォ!」
トッド「ウソはないだろう、ミ・フェラリオの……」
チャム「チャム・ファウよ!」
トッド「チャム。いいんだろう、ショウ」
ショウ「ああ、助かる、トッド。しかし、その オーラバトラーはなんだ?」
トッド「さあな。俺も知らん。あとで説明 してやるよ」
ショウ「わかった。いまは敵を撃退することが 先だものな」
シルキー「いいの、トッド?」
トッド「ああ、まずはとにかく、あの異星人 どもを倒す」
チャム「ミ・フェラリオがいるの!?」
シルキー「シルキー・マウよ」
トッド「話はあとだっていったろ」

〈サハラ砂漠の南西側〉

ブライト「片づいたか。よし、先を急ぐぞ。 いつ敵と遭遇するか、わからん
 総員、第二戦闘配置のまま 待機だ」

ブライト「なるほど。それで我々と、ともに 来たいと?」
トッド「ああ、そうだ。今度の奴らは 地球人を生かしておくつもりが
 ないと聞いた。俺も地球人だ、 何をするべきなのかは、わかっている
 つもりだぜ。このままじゃ、おふくろだって やばい」
ブライト「ショウ、君はどうだ?」
ショウ「俺はトッドを信じます」
チャム「うん、大丈夫よ。ね、マーベル」
マーベル「そうね……信じたいわね」
トッド「そいつはどうも」
ブライト「そうか……シーラ女王はどうですか?」
シーラ「ドレイクにくみした男……しかし 今、この地上にオーラマシンとともに
 残っているということは、彼もまた はたすべき役割をもたされているのだと
 考えます。それに今のトッド・ギネスに は聖戦士としての力を感じます
 信用してもよろしいのでは ないでしょうか」
ブライト「わかりました。トッド・ギネス、我々は 今かなり厳しい状態にある
 それでもいいのだな?」
トッド「ああ、かまわんさ」
ブライト「よし、すぐにでも出てもらうかもしれん。 休んでおけ」
ガラリア「足ひっぱるんじゃないよ、トッド」
トッド「ああ、せいぜい努力させてもらうぜ」
チャム「トッド、しっかり活躍しないと 承知しないんだから!」
トッド「フェラリオに、いわれるまでもない」
チャム「チャム・ファウよ!」

ショウ「で、このオーラバトラーは何なんだ?」
トッド「正直いって、俺にもわからん。俺は お前らにやられたあと、なんとか命を
 とりとめた。だが、気がついた時には、 ライネックは消えちまってた」
マーベル「シーラさまのお力ね。 私たちのマシンも、本当はすべて
 消えてしまうはずだったわ」
トッド「だろうな。ま、そのあと俺は、 ずっと療養してたのさ。ところが
 最近になって、突然こいつを 発見した。そうだな、ちょうど
 銀河帝国とやらが、地球圏に 来た頃のことだ」
ショウ「銀河帝国か……何か、関係が あるんだろうか……」
トッド「さあな。女王さんのいってた、果たす べき役割ってやつかもしれないがね
 どっちみち、やらなきゃならんことだ。 あのオーラバトラーは力がある。なんなら
 お前が使ってもいいんだぜ、ショウ」


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