(南東端にラストールとジェイファーが出現する)
ジノ「助太刀に来たぞ」
プレシア「あ、ジノさん。お帰りなさい」
ジノ「プレシア、君に再会したい一心で、
仕事の方もはかどったよ」
マサキ「ジノとロザリーか。助かるぜ」
ロザリー「ふっふー、まーかせて!」
ジノ「む、やはり君か……リコ・サンドリーブ」
ニコ「間違えないで!
あたしはニコよ、ジノおじさん!」
ジノ「す、すまん。
ともかく、手加減はできんぞ」
ニコ「わかってる!」
ニコ「あ……ロザリーちゃん?」
ロザリー「あら、えーと……あんた、ニコちゃん?
それともリコちゃん?」
ニコ「あたしはニコ!
いい加減覚えてよ!」
ロザリー「だったら、見分けがつく様に
工夫すればいいのに。
ま、それはともかく手は抜かないから!」
ニコ「あたしもよ、ロザリーちゃん!」
ギド「今度はどんな策を弄した?
アクレイド!」
アクレイド「別に大した事はしていないよ、
ゼーホーファーさん」
ギド「ほう……私の名を知っていてくれたとは
光栄だな」
(経験値入手)
(通信が入る)
コレット「北部軍、バロム少佐から通信です」
ワグネル「通信ですか?
降伏交渉でしょうかね?」
コレット「繋ぎますか?」
ワグネル「はい、メインに回してください」
(モニターオン)
アクレイド「どうも。この要塞の司令官、
アクレイド・バロム少佐です」
ワグネル「確か、資料では、つい先日まで
中尉だったと記されていましたが……
お早い出世ですね」
アクレイド「いやあ、軍も人手不足なものでして」
マサキ「前置きはいい。何の用だよ?」
アクレイド「降伏したいんですが、ダメですかね?」
ワグネル「ダメなんて事ありませんよ。
歓迎します」
マサキ「降伏ねぇ……やけにあっさり決めたな」
アクレイド「アンティラス隊の実力は
痛いほど知ってますからね。
これ以上の抵抗は無意味です」
マサキ「だったら最初っから
降伏しとけってんだよ」
アクレイド「そうしたいのは山々なんですけどね……
あ、痛い! 何するんだよ、
グレノール大尉。
あー、失礼。
まあ、こちらも命令を受けてる身ですから、
少しは抵抗しないと」
マサキ「まあ、降伏するってんなら、こっちは
その方がありがたいがな。
内部突入で肉弾戦なんてやりたかねぇ」
アクレイド「まったくです。
部下の命は大事にしないと」
ワグネル「それで、そちらは何名いらっしゃるん
ですか?
我が艦の収容人数にも限りがありますので、
多すぎては、全員の収容は不可能です」
アクレイド「ああ、それでしたらご心配なく。
私を含めて18人しかいませんから」
セニア「ウソッ!?
たった18人で要塞を護ってたワケ?」
ギド「いくら自動化しているとはいえ……
少なすぎるぞ」
アクレイド「少数精鋭主義でして」
シモーヌ「隠したりしてないだろうね?」
アクレイド「もちろん。なんなら心行くまで
内部を調べてもらって結構ですよ」
ワグネル「いえ、そんな必要はありませんよ。
では、全員収容します。
自由行動はさすがに無理ですが」
アクレイド「もちろんです。捕虜としての待遇を
保障してもらえるんなら」
ワグネル「ええ、条約に則った待遇は
保証いたします」
アクレイド「では、武装を解除しますので
乗艦の許可をお願いします」
テュッティ「セニア様、センサーのチェックを
お願いします」
セニア「了解。ほら、ファング、手伝って」
ファング「はい」
アクレイド「へぇ……これがフリングホルニの
ブリッジですか。いやあ、大したもんだ」
ギド「いいんですか、セニア様。
ブリッジを見せて」
セニア「見ただけじゃ、この艦の真価は
わからないわよ。特に機密が
あるワケでもなし」
アクレイド「まあ、あったとしても私は
メカ音痴ですから、何がどうなのか
さっぱりわかりませんけどね」
マサキ「……妙に余裕があるじゃねぇか」
アクレイド「いやあ、緊張感に欠けるって
よく言われますよ」
ニコ「捕虜返還の交渉は終わったのか?」
テュッティ「今詰めている所よ」
アクレイド「まあ、私はともかく、サンドリーブ大尉は
我が軍のアイドルですからね。
ふっかけても大丈夫ですよ」
テュッティ「別に金額だけの問題じゃ
ないんだけど……」
マサキ「よっ、ジノ、ロザリー。
ようやく戻ってきたな」
ロザリー「ほーんと、大変だったんだから」
ジノ「いや、ロザリーはそれほど
苦労していないだろうが」
ロザリー「お偉いさんが多くて気苦労したの」
マサキ「ははっ、相変わらずだな。
で、バゴニアは大丈夫なんだな?」
ジノ「ああ、心配ない。
我々の活動を認めてくれる勢力もできた」
ロザリー「なんと、現職の大臣も理解を
示してくれたのよ」
マサキ「へぇ、そいつは大したもんだ。
ジノって顔が広かったんだな」
ジノ「不易久遠流の同門に力添えを
頼んだからな」
ロザリー「先生に感謝、だよね」
ジノ「ああ……そうだな」
ギド「やあ、ウェンディ。少しいいかな?」
ウェンディ「あら、ギドさん。何ですか?」
ギド「ちょっと相談なんだが……
実は、直してもらいたいものがあってね」
ウェンディ「? 何をです?」
ギド「これなんだが……」
ウェンディ「これは……地上の腕時計ですね?」
ギド「ああ、昔軍にいた頃もらったものでね。
おそらくただの電池切れだと思うが」
ウェンディ「そうですね……太陽電池付きですが、
パネルも液晶も老朽化してますし……
電池もこちらとは規格が違いますから……
すみません、ちょっと私には荷が重い
修理です」
ギド「やは……ああいや、そうか。
思い出の品なので、できたら修理して
欲しかったんだが……
では、こういう物の修理ができそうな
場所は知らないか?」
ウェンディ「ああ、それでしたら心当たりがあります。
この近くに、そういった地上の物なども
扱っているジャンク屋がありますよ」
ギド「おお、それは良かった!
すまないが案内してもらえるかな?」
ウェンディ「え? 案内って……私がですか?」
ギド「ああ、忙しいのなら無理にとは言わない。
だが、一緒に来てもらえると助かる。
どうも私はナビ通りに動くのが苦手でね。
マサキほどではないが、方向音痴なのかも
しれないな」
ウェンディ「ふふ……マサキのあれは強烈ですから。
そうですね……いいですよ。
時間もありますし、手も空いていますから」
ギド「そうか、ありがとう。
では早速フローラーを用意する」
ウェンディ「はい」
セニア「…………」
(扉が開く)
セニア「出かけるわよ、マサキ!
急いで!!」
マサキ「……いきなり人の部屋に、
ノックもなしで入ってきて、
何を言い出すんだ? お前は」
セニア「事情は道すがら説明するから、
とにかく急ぐの!!」
マサキ「お、おいこら!
引っ張るな!」
セニア「……と、まあ、そういうワケなのよ」
マサキ「……事情はわかった。
けど、二つ質問がある。
まず一つ目。何でお前、ここの場所が
わかったんだ?」
セニア「だって、ギドはウェンディに訊く前に
同じ事をあたしに訊いたもん」
マサキ「ん? て事は、ギドはここの事を
知っていて、ウェンディを誘ったのか?」
セニア「そういう事ね。なかなかの作戦だわ。
ジャンク屋ならウェンディを連れ出すには
絶好のポイントよ」
マサキ「……普通は高級レストランなんかが
いいと思うんだが。
まあいい。で、二つ目の質問だ。
何で俺とお前がここにいる?」
セニア「その方が面白いから」
マサキ「お前なっ!」
セニア「しっ! 見つかってもいいの?」
マサキ「う……
し、しかしな、こんな風に隠れて
ストーカーみたいなマネすんのは……」
セニア「あれ? ウェンディの事、
気にならないの?」
マサキ「……別に、ギドと買い物するくらい
いいじゃねぇか」
セニア「何言ってんのよ。
相手はあのギドよ」
マサキ「あのって何だよ、あのって」
セニア「フリングホルニの独身女性全員に
粉かけたってウワサもあるわ」
マサキ「何だと? そこまで徹底してたのか、
あいつは……
ん? ちょっと待て。
すると、お前やリューネもナンパされた
事があんのか?」
セニア「うん。速攻断ったけど。
リューネもね」
マサキ「そ、そうか」
セニア「安心した?」
マサキ「……いいだろ、そんな事は。
ん? おい、独身女性って、まさか
プレシアまで入ってないだろうな?」
セニア「さすがにそこまでは、ね。
ジノがお目付役やってるし」
マサキ「……それはそれで、安心していいのか
悪いのか」
セニア「ジノは紳士だし、安心して
いいんじゃない?
ほら、それよりあの二人、ちょっと
近づきすぎてない?」
マサキ「何っ!?」
セニア「こら! 身を乗り出しちゃダメだってば。
今、指向性マイクで音声拾うから」
マサキ「……本格的にストーカーじみてきたな」
ギド「ほう……これは地上のリチウム電池と
同じものなのか」
ウェンディ「ええ、サイズも電圧も、地上の規格と
同じにしてあります。けど、中身は
半永久電池ですけどね」
ギド「半永久か……
大した物だな、ここの技術は」
ウェンディ「ええ、このお店の職人さんは、
とことんこだわる性質ですから。
地上の物でも完璧に再現します」
ギド「ああ、いや、そうじゃなくて。
単にラ・ギアスは技術が進んでいると
言いたかっただけなんだが」
ウェンディ「そうですね……確かに技術的には
進んでいると思います。
でも、手に余る様な技術は封印して
いますし、生活水準ではそんなに
変わらないと聞いていますけど」
ギド「生活水準か……
確かにその点では、何と言うか、
ゆったりしているな、この世界は。
敢えて走らず、立ち止まって景色を
眺めている……そんな気分だ」
ウェンディ「ああ、いい喩えですね。
でも、最近は色々と事件も多くて、
慌ただしくなっていますけど」
ギド「うむ、この混乱を早く収めたいものだ。
ところで、これは何かな?」
ウェンディ「え? あ……これは……
すごい、こんなのまであるのね!」
ギド「ほう……
あなたがこれほど夢中になるとは……
よほど珍しいものなのかな?」
ウェンディ「ええ! 100年前に生産中止になった
クリスタルメモリですよ、これ」
ギド「クリスタルメモリ?」
ウェンディ「クリスタルの中心部に、レーザーで
映像や音声を記録したものです。
可愛いでしょう?」
ギド「なるほど。
見た目はアクセサリーの様だな」
ウェンディ「はい、アクセサリーとしても
重宝されていました」
ギド「しかし、なぜ生産中止に?」
ウェンディ「元がクリスタルですから、壊れやすいし、
容量もさほどありませんでしたから……」
ギド「では、それを一つもらおうか。
あなたへのプレゼントとして」
ウェンディ「え? ぷ、プレゼントですか? 私に?」
ギド「ええ、受け取ってくれるかな?」
ウェンディ「で、でも、これって結構高価ですし……」
ギド「なに、それであなたの笑顔が見られるなら
安いものだよ」
ウェンディ「え……」
セニア「定番だけど、効果的ね。
あー、あたしも欲しい!」
マサキ「…………」
セニア「おっ? マサキ、妬いてる?」
マサキ「ば、バカ言え!」
セニア「あ、受け取った」
マサキ「何っ?」
ウェンディ「そうですね……
では、遠慮なく頂きます」
ギド「それはありがたい」
ウェンディ「お礼を言うのは私の方です。
ありがとうございます」
ギド「いや、わざわざ付き合ってもらった礼だと
思ってくれればいい」
ウェンディ「あ、はい」
ギド「さて、少し小腹が空いたが、
どうかな、食事でも?」
ウェンディ「あ……その、ごめんなさい。
私、この後は仕事がありますから」
ギド「ふむ……
やはりまだそこまでのステップアップは
望めんか」
ウェンディ「はい? 今何かおっしゃいました?」
ギド「いやいや、ただの独り言だよ。
気にしないでいい。
……こっそり聞いている人間が
いるかも知れんがな」
セニア「!? 侮ってたわ、ギド」
マサキ「どうかしたのか?」
セニア「多分、ギドはあたし達の事、気付いてる」
マサキ「何だと!?」
セニア「考えてみれば、当然よね。
ギドはあれで、元諜報部員なんだし。
あ、今でも現役か」
マサキ「…………」
ギド「では、フリングホルニに戻ろうか」
ウェンディ「はい」
ギド「心配は要らないぞ。
ただのエスコートだからな」
ウェンディ「? あの、誰に向かって
喋ってるんです?」
ギド「独り言だよ、独り言」
ウェンディ「は、はぁ……」
ギド「ただまあ、一言だけ忠告しておくと、
私は諦めたワケではない、とだけ
言っておこうか」
ウェンディ「あの、どういう意味でしょう?」
ギド「要するに、また誘ってもいいかな?
と、訊いているだけだよ」
ウェンディ「え、ええ……
その、時間があれば、ですが」
ギド「ありがとう。
では、帰るとしよう」
セニア「……あー、あれってやっぱ、
宣戦布告かなぁ。
マサキ、ぼやぼやしてられないよ」
マサキ「うっせぇ。俺達も帰るぞ」
セニア「……ホント、素直じゃないんだから」
マサキ「何か言ったか?」
セニア「べっつに~」