マサキ「……さあ、教えてもらおうか」
エラン「……参ったな。
この短期間でここまで腕を上げてたとはね。
仕方がない、約束だ。教えてやるよ。
それじゃ、フリングホルニに
お邪魔させてもらうとしようか」
マサキ「誰も乗艦を許可なんかしてねぇぞ」
エラン「許可? この僕に?
ハッ! バカバカしい。
僕が乗ってやると言ってるんだ。
そっちは大人しく従え」
マサキ「こいつは……負けたくせに、
何でそこまで偉そうにできる……」
マサキ「それじゃ、ヴォルクルスの呪いについて、
詳しい事を話してもらうぞ」
エラン「わかってるさ。
けどその前に、そっちが知ってる事を
まず話してくれないか?
説明が二度手間になるのは
効率が悪いからね」
マサキ「……いいだろう。
俺達がシュウから聞いた話だが……」
エラン「……ふうん、シュウはそこまで
掴んでたのか……」
マサキ「さあ、お前の知ってる事を教えろ」
エラン「そうだな……呪いに関しては、
シュウの説明で大体正解だよ。
プレシアはゼオルートが死んでから
成長が止まった。それはヴォルクルスの
呪いによるものだ。
ヴォルクルスにアストラル界を通じて、
回線が開いた状態、と言えば
君にもわかるかな?」
マサキ「回線? プレシアとヴォルクルスが
繋がってるってのか?」
エラン「一方的に、だけどね。
プレシアのプラーナは、ヴォルクルスに
常に少しずつ吸い取られてる状態なのさ。
ゼオルートが生きていれば、その
プラーナによって回線は断ち切られていた
はずだった。
けど、ゼオルートが死んだ事によって
回線が開きっぱなしになってしまった。
その影響が、プレシアの成長の停止だ」
マサキ「それで、どうやったらその呪いを
解けるんだ?」
エラン「ゼノサキス一族には、その呪いを
抑える技が伝授されてる。
それは、女の子が生まれて7歳になったら、
誰にでも教えられる技だ」
マサキ「7歳で? それじゃ、プレシアは
その技を知っているのか?」
エラン「正しい使い方は知らないよ。
それは、神祇無窮流の奥義に属する
秘伝だからね。
教えられるのは、基本となる型だ。
通常、螺旋の型、と呼ばれている」
マサキ「螺旋の型? 聞いた事ねぇな……」
エラン「プレシアは知っているよ。
そして、その型を応用して、自分で
独自の技を開発している。
その技は、君も知っているはずだ。
螺旋を利用した技、といえば
心当たりがあるだろう?」
マサキ「あ……くるみ割り人形か!?」
エラン「ああ、そうだ。
あれは螺旋の型をプレシアが独自に
アレンジしたものだよ。
本来は両手を使う技だが、
彼女は片手で行っている様だね」
マサキ「そういや、あの技は、おっさんに
教わった技をアレンジしたとか
言ってたな……」
エラン「基礎は出来ているから、後は
それを両手で行えば、技は完成する」
マサキ「その技を使えば、プレシアの呪いが
解けるのか?」
エラン「いや、その技は敵に対して
使うものだろ? パワーアップには
なるかもしれないが、呪いには効果がない」
マサキ「何だと!?
どういう事だ、ここまでさんざん
能書きたれて、効果ないだと!?」
エラン「……やめた。
呪いを解く方法はあるが、教えない。
君の相手は疲れる」
マサキ「なっ……ちょっと待て!」
エラン「ちょっとした事ですぐに怒鳴り返して
こられちゃ、こっちだって話す気が
なくなるってものさ」
マサキ「くっ……」
エラン「それに、約束はヴォルクルスの呪いに
ついて教えるって事だったはずだ。
それ以上の話はできないな」
マサキ「なっ……
ま、待て! 確かにそう言ったかも
しれねぇが、それは……」
エラン「等価交換で応じるよ」
マサキ「等価……交換?」
エラン「魔術の基本だよ。知らないのか?
何かを得るには、何かを手放さないと
いけないって事さ」
マサキ「ちっ……てめぇ、シュウとおんなじ事
言ってやがるな。あいつと何か
示し合わせでもしたのか?」
エラン「僕が? あのシュウと?
バカ言っちゃいけないな。
あいつと同じだと思われるだけで迷惑だよ」
ウェンディ「……マサキと同じ反応してるわね、
あなた」
マサキ&エラン「何だってっ!?」
マサキ「こんなヤツと一緒にするなっ!」
リューネ「……何でそこでハモるのよ」