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エルシーネの疑惑

<No.079:泳ぎの練習

シモーヌ「はい、いち、に、いち、に」
テュッティ「こ、こう?」
シモーヌ「ダメダメ!  バタ足はもっと脚を伸ばして、 全体で蹴るの。膝曲げちゃダメ」
テュッティ「そんな事言ったって……」
シモーヌ「顔もちゃんと水に浸ける」
テュッティ「そんな事したら息ができないじゃない」
シモーヌ「苦しくなったら、顔上げてもいいから」
テュッティ「そ、それじゃ……
 せーの……
 ぶはぁ!」
シモーヌ「短っ!?  何で10秒ともたないのよ?」
テュッティ「だって……真っ暗だと不安で」
シモーヌ「ちょっと待った!  テュッティ、あんた水の中で目を 開けてないの?」
テュッティ「え? だって、目を開けるなんて 怖いじゃない」
シモーヌ「……はぁ。 まさかそこから始めないと いけないなんて……」

[フリングホルニ プール]

リューネ「あれ? 珍しいね。 テュッティがプール?」
テュッティ「あ……リューネ。 えーと、その、ちょっとね……」
シモーヌ「今更恥ずかしがっても しょうがないだろ。 泳ぎの練習だよ」
テュッティ「ま、まあ、そういう事」
リューネ「あー、そういえばカナヅチなんだっけ。 シモーヌさんって、泳ぎうまいの?」
シモーヌ「あたしは人並み程度だよ。 得意ってほどじゃない」
リューネ「ふーん、だったらテュッティ、 ゲンナジーに教えてもらえばいいのに。
 元水泳金メダリストで、しかも コーチとしても優秀だよ」
テュッティ「……優秀すぎてダメなのよ。 どうせ泳げる人には、泳げない人間の 気持ちなんてわからないの。
 人と魚がわかり合えない様に」
リューネ「ワケわかんない理屈だけど…… 要するに、ゲンナジーにも さじを投げられたって事……」
ゲンナジー「呼んだか?」
リューネ「うひゃあっ!?」
(飛び込む)
テュッティ「げ……ゲンナジー、いたの?」
ゲンナジー「いや、今し方、俺の名前を呼ばれた 気がしたので来ただけだ」
シモーヌ「ゲンナジー、いきなり人の後ろに 立っちゃダメでしょ。
 ほら、リューネなんてびっくりして、 プールに落ちちゃった……
 あれ?  上がってこないね?」
テュッティ「え? でも、リューネは泳げるはずよ。 溺れたりは……
 あっ!? リストバンド!?」
シモーヌ「そういや……あのリストバンドって、 片方で5キロあるって言ってたっけ」
テュッティ「このプールって…… 私でも足がつかない深さよね……」
シモーヌ「まずっ!!  助けないと……」
リューネ「ぷはぁ!!  びっくりしたぁ……」
テュッティ「リューネ!?」
シモーヌ「リューネ、あんた、大丈夫なの?」
リューネ「え? 大丈夫って、何が?」
シモーヌ「いや、あんた確か、5キロもある リストバンドをしてるって……」
リューネ「ああ、これの事?  大丈夫、大丈夫。これ付けたままで 泳ぐのなんて、いつもの事だから」
シモーヌ「……なんかもう、人間の域を 超えてる気がする」
ゲンナジー「うむ、いい水泳フォームだ、リューネ」
リューネ「……ゲンナジー、あんまり人を 脅かさないでよね」
ゲンナジー「すまん」
テュッティ「……なんだか、リューネの方が 水の精霊と相性がいいみたい……」

[フリングホルニ ブリーフィングルーム]

ギド「南部に潜入しているアハマドから、 重要な情報が入った」
マサキ「南部が動くのか?」
ギド「ああ、どうやらエリアル王国への 侵攻作戦を計画しているらしい」
マサキエリアル王国?  何で急にあの国に攻め込もうってんだ?」
ワグネル「部品の調達ですね」
ギド「ああ、間違いないだろう」
マサキ「あ……そういや、そんな話があったな。 南部だけじゃ、魔装機の整備にも 限界があるって。
 それで、部品を調達するために エリアル王国に侵攻……て事か」
ウェンディ「ええ、魔装機の基本パーツには エリアル王国製の部品が多いから。
 重要拠点を占領すれば、 工場も自由に使えるもの」
マサキ「そんな勝手な事、させるかよ!  場所はわかってるのか?」
ギド「さすがに、いくらアハマドでも そこまでの情報は手に入れていない」
セニア「その代わり、監視飛空船からの 映像を分析して、いくつか候補地が 浮かび上がったわ」
マサキ「いくつかって事は、絞り切れて ねぇのか?」
セニア「残念ながらね。 部隊の動きからだけじゃ、 そこまではわからないのよ」
マサキ「……片っ端から当たっていくしか ねぇのか?」
リューネ「あんまり効率が良くないよね。 行き違いになる可能性もあるし」
ロザリー「あ、だったらさ、相手が狙ってそうな 場所に先に行って、迎え撃てば……」
ギド「残念ながら、目的となりそうな場所も 複数存在する。
 それに、水際作戦は被害も大きくなるから、 戦術としては下策だ」
ロザリー「……そっかぁ」
(通信が入る)
セニア「え? あ、ちょっと待って!  今通信が……
 えっ!? クリストフから!?」
マサキ「シュウだと!?」
セニア「えーと、どうする?  こっちに回す?」
マサキ「今はそれどころじゃねぇ!
 ……と、言いたい所だが、こういう タイミングであいつが連絡を取って くるって事は、何かあるんだよな……
 とにかく話だけでも聞いてみるか。 回してくれ」
セニア「了解」
(モニターオン)
シュウ「どうやらお困りの様ですね、皆さん」
マサキ「ちょっと待て!  お前、何でいきなりそんな事がわかる!?」
シュウ「忘れたんですか? アハマドはかつて私と 行動を共にして事もある仲間ですよ。 私にも情報は入っています」
セニア「あー、そういえばアハマド、 そんな事言ってたっけ」
マサキ「で、てめぇは嫌味を言うために わざわざ連絡してきたってのか?」
シュウ「まさか。南部の侵攻ルートが 判明したので、教えて差し上げようかと」
マサキ「……何でてめぇがそれを知ってる?」
シュウ「ヴォルクルス教団絡みで、情報を 入手したんですよ。彼らが南部と 繋がっているのはご存知でしょう?」
マサキ「ヴォルクルス教団から?  てめぇはヴォルクルス教団内にも 協力者がいるのか?」
シュウ「さあ、詳しい事はお話しできません。 もしいれば、その人に災難が 及ぶでしょうし」
マサキ「……確かにな。 で、信用できるのか?」
シュウ「私が自身で出向くつもりでいる程度には、 信頼度が高いと思いますよ」
マサキ「回りくどい言い方しやがって。 要するに、てめぇが信じるだけの 根拠はあるってんだな?
 いいだろう、今回は信用してやる。 場所を教えろ」
シュウ「おや、マサキにしては妙に 物わかりがいいですね」
マサキ「うるせぇ!  時間がねぇんだ、早くしろ!!」
シュウ「わかりました。 暗号回線を使って、データをそちらへ 送ります」
マサキ「了解した。 ……そこにはてめぇも来るのか?」
シュウ「少しばかり、先に片付ける用事が ありますので、遅れるかもしれませんが、 必ず参りますよ」
マサキ「……わかった。 ま、別に来なくてもいいがな」
シュウ「なるほど、そうまで期待されては 行かないワケにはいきませんね。 それでは」
(通信が切れる)
リューネ「……なんていうか、マサキとシュウって、 仲が悪いのに会話の連携がいいよね」
ウェンディ「あ、リューネもそう思う?  私もずっと気になってたの」
マサキ「こら、こそこそ言ってねぇで準備しろ!」
リューネ「はーい」
ウェンディ「あら、ごめんなさい」

≪デルハット市ダレンティ地下回廊≫


エルシーネの疑惑

〔戦域:洞窟〕

(敵機が出現する)
ザンボス「サンドリーブ大尉!  結界から外れかけてるぞ!」
リコ「あっ……す、すみません」
ザンボス「どうした、大尉。 注意散漫など、大尉らしくないな。
 ……そんなに嫌か、この作戦が」
(通信が入る)
リコ「あ……パーソナル通信…… いえ、中佐。任務は任務ですし、 それに……」
ザンボス「ダスドレーシュ将軍か…… 確かに、あの仕打ちは感心せんな。 あれではまるで人質だ。
 だが、命令である以上、我々は 全力を尽くさねばならん。 特に、部下の前ではな」
リコ「……はい」
ザンボス「しかしまあ、そうは言っても 正直俺も、ヴォルクルス教団の連中と 一緒に行動するのは願い下げだがな」
グレプス「ナセル中佐、サンドリーブ大尉。 作戦行動中に個人回線の使用は 慎んで頂きたい」
ザンボス「ああ、わかっている。 もう用事は済んだ」
(レーダー警告がする)
ウーフ「……精霊レーダーに反応だ。 まっすぐこちらに向かってくる。 おそらく敵だな」
ザンボス「むっ……総員迎撃体制!」
(南端にフリングホルニが出現する)
ベッキー「南部軍とヴォルクルス教団…… こいつら、マジで手を組んで やがったのかい!」
ヤンロン「それにしてもどういう事だ?  なぜ精霊レーダーに反応しない?」
デメクサ「あー……これ、結構強力な結界 張ってますよ。隠形の術の強化版です」
テュッティ「これだけの規模をカバーするなんて…… 相当な術者がいるみたいね」
マサキ「そんな詮索は後でいい!  こいつらをここで撃退するのが先だ!」
ワグネル「アンティラス隊の強制執行を許可します」
リューネ「了解!」
(作戦目的表示、出撃選択、フリングホルニが撤退する)

〈vs リコ〉

[ジノ]

ジノ「どうした、リコ。 気合いが入っていないぞ」
リコ「……ジノおじさん」
ジノ「む……何か理由がありそうだな。 無理はするな。こんな戦いで 命を落とすなどくだらんからな」
リコ「うん」

[ロザリー]

ロザリー「リコちゃん、何か動きが鈍いよ!」
リコ「ロザリーちゃん……あたし……」
ロザリー「うーん…… 何か色々ありそうだけど、 集中しないとしんじゃうよ!」

[撃墜]

リコ「やられた…… 撤退していいんだよね?」
(キョウメイ蒼が爆発する)

〈vs ザンボス〉

[マサキ]

マサキ「ヴォルクルス教団と手を組むとは、 落ちぶれたもんだな!!」
ザンボス「うるさいっ!  俺が好きでやっていると思うか!」
マサキ「お? おっさん、意外と まともだったんだな」
ザンボス「失敬な!」

[撃墜]

ザンボス「ふん、これだからこんな作戦など 気が乗らんかったんだ」
(エウリードが爆発する)

〈グレプス機撃墜〉

グレプス「くっ、改造が足りんかったか」
(グレプス機が爆発する)

ロザリーとファングがここまでの戦闘でムデカと
戦った 戦っていない


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