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非道の作戦

[フリングホルニ 食堂]

ギド「相席よろしいかな?」
シモーヌ「ああ、構わないけど」
ギド「それでは失礼。 おや、本格的なフレンチだな」
シモーヌ「まあね。ちょっと無理言ってサトさんに 作ってもらった。そういうあんたは ドイツ料理かい?」
ギド「ああ、やはりジャガイモとソーセージ、 ザワークラウトは欠かせんよ」
シモーヌ「ジャガイモねぇ…… ま、ドイツらしいけど」
ギド「何だ? ジャガイモは嫌いか?」
シモーヌ「嫌いっていうか、野暮ったい」
ギド「む、ジャガイモは優れた救荒作物だぞ。 料理の幅も広い。質実剛健、 ジャーマン精神の現れといってもいい」
シモーヌ「けど、パサパサしてるしねぇ」
ギド「そんなバターや生クリームばかりの ゴテゴテした料理を食べていては太るぞ。
 ほら、このザワークラウトをあげるから、 野菜をしっかりとれ」
シモーヌ「要らない。あたしそれ嫌い。 もしかして嫌味?  キャベツ踏みって太い足の事だろ」
ギド「ああ、そういう言い回しもあったな」
シモーヌ「何よ、あたしの足が太いっての?」
ギド「穿ちすぎだ。しかし、食事のバランスは 考えておけよ。今はいいが、歳をとると 一気に反動が来るぞ」
シモーヌ「余計なお世話。あたしは太らない 体質なんだよ」
ギド「自信過剰だな」
シモーヌ「……いちいち突っかかるね」
ギド「突っかかっているのはそっちだろう。 私は忠告しているだけだ。
 統計的にもフランス女性は30代に 入ると急激に……」
シモーヌ「あー、もう、いちいち理屈っぽいんだよ、 ドイツ人は。大人しくジャガイモ食ってろ」
ギド「なら君はカエルでも食べておけ」
シモーヌ「……言ってくれたね!」
ギド「売り言葉に買い言葉だ」
ベッキー「ちょっと、ちょっと、二人共よしな」
ギド「味覚音痴の国は」
シモーヌ「引っ込んでな!」
ベッキー「うっ!?」
マサキ「おいおい、何ケンカしてんだ?  そろそろブリーフィングの時間だぞ」
ギド「む、そうだったな。 この続きはまた後にしよう」
シモーヌ「ちっ、まあいいけど……」

[フリングホルニ ブリーフィングルーム]

ギド「現在、シュテドニアス南北戦争は、 北部優位で推移している。 南部から北部に転向した州は全部で四つ。
 戦力比はおおよそ、北部3に対し、 南部2といったところだ」
ワグネル「このまま推移すれば、近いうちに 北部の勝利は確定しそうですね」
シモーヌ「アクレイドは大したものよ。 どっかの作戦参謀も見習って 欲しいものね」
ギド「突っかかるな。さっき言い返せ なかったからって、まだ根に 持っているのか?」
シモーヌ「まだ終わっちゃいないよ!  そっちこそ……」
ヤンロン「それくらいにしておけ。 今はブリーフィング中だぞ」
(通信が入る)
セニア「ロドニーから通信よ」
マサキ「ロドニーから?  なんかあったのか?  メインに回してくれ」
ロドニー「すまん! お前らの力を借りたいんや!  助けてくれ!」
マサキ「助けてくれって…… 南部が攻撃してきたのか?」
ロドニー「ああ、完全に不意打ちされた。 こっちの援軍は間に合わん!」
マサキ「奇襲かよ……それで場所は?」
ロドニー「ワイドント市や」
ワグネル「ワイドント市ですか?  あそこには軍事施設など ありませんが……」
ロドニー「連中、工場を攻撃しとるんや!」
ウェンディ「工場って…… そんな、条約違反よ!」
ロドニー「ああ、聯盟に訴えるつもりや。 そやけどその前に、まずは救援せんと」
マサキ「地図出してくれ。 ワイドント市は……なるほど、 ここからなら20分ほどだな」
ロドニー「引き受けてくれるんか?」
マサキ「当然だ!  非戦闘員を巻き込むなんざ、 赦せるかよ!」
ワグネル「ええ、その通りです。 至急ワイドント市に向かいましょう」

≪ヒドゥカ市郊外ワイドント市≫


非道の作戦

〔戦域:工場〕

(中央にフリングホルニが出現する)
マサキ「ひでぇ…… 辺り一面廃墟じゃねぇか……」
シャリアン「まだかなりのケガ人がいる様だ。 フリングホルニはここに待機。 ケガ人の収容を最優先とする」
ブラッドロイ「うむ。フリングホルニ、投錨!」
(敵機が出現する)
オンガレッド「ほう、ようやくお越しか。 遅かったね、アンティラス隊の諸君」
テュッティ「あなたは……オンガレッド!?  大統領補佐官、自らお出まし?」
ヤンロン「貴様……どういうつもりだ!?  市街地への攻撃は、条約で 禁止されているんだぞ!!」
オンガレッド「条約を守って戦争に負けるより、 条約を破ってでも戦争に勝つ方が 大事なのだよ」
ヤンロン「卑劣なっ!」
オンガレッド「君達地上人に言われたくはないな。 君達のやり方を参考にしただけだ。
 勝ったものが歴史を作る…… 地上の歴史はそうなのだろう?」
テュッティ「だからといって、これが赦される 行為だと思ってるの!?」
オンガレッド「ここは北部の魔装機の重要パーツ工場だ。 即ち、ここもまた軍事施設」
マサキ「屁理屈こねるなっ!  民間人を巻き込んで言う事かっ!」
オンガレッド「総力戦ともなれば、前線も銃後も なかろう」
ファング「地上の悪いところをマネてどうする!  何のための条約だ!」
オンガレッド「我々は負けるワケにはいかんのだよ!  負けたものがどうなるか、我々は 身に染みて知っているのだからな!」
マサキ「てめぇは…… 前々から思ってたが、 心底腐ってやがるぜ!」
(作戦目的表示、出撃選択)

〈vs オンガレッド〉

[ザッシュ]

ザッシュ「父さんだって、あのラセツだって、 民間人には手を出さなかった!  それなのに、あなたはっ!」
オンガレッド「カークス将軍の息子か…… カークス将軍は大義に縛られすぎていた。 勝つための非情さが足りなかった。
 だから敗者となったのだよ」
ザッシュ「あなたはっ…… いや、お前はっ!  このままにはしておけないっ!」

[ファング]

ファング「貴様には騎士道精神がないのか!?」
オンガレッド「私は効率だけを考えているのでね。 論理的に考えれば、当然の帰結だよ」
ファング「大昔の悲惨な戦争を繰り返す気か!?」
オンガレッド「戦争に負けるよりはマシだからね」
ファング「貴様っ!!」

[マサキ]

マサキ「やっぱ、てめぇはただのテロリストだ!  民間人を巻き込まねぇってのが、 この世界の最低限のルールだろうが!」
オンガレッド「例の召喚事故事件で、ラ・ギアスの 人々の意識も変わったのだ。 ならば、戦い方も変わるのは当然の事」
マサキ「!? 殿下のせいだってのか!?  責任逃れも大概にしろっ!」

〈オンガレッド機撃墜 or 5EP〉

オンガレッド「……そろそろ時間だな。 では、私はここで失礼させてもらう」
マサキ「てめぇっ! 逃げる気か!?」
オンガレッド「君達だけの相手をしているほど 暇ではなくてね。 後は彼らに任せるよ」
(西側に敵機増援が出現する)
レッフェン「…………」
オンガレッド「さて、後の事は頼んだよ、 ダスドレーシュ将軍」
レッフェン「わかっている」
オンガレッド「虎の子のエウリードを与えているのだ。 それなりの成果は見せてくれたまえ」
(オンガレッド機が撤退する)
リコ「……将軍」
レッフェン「この様な非道な作戦の一端を 担わねばならんとはな……」

〈vs リコ〉

[ジノ]

ジノ「リコ、君の事だから心配は要らないと 思うが……無理はするな」
リコ「わかってる、ジノおじさん」

[マサキ]

マサキ「リコ・サンドリーブか…… やりにくい相手だな」
リコ「遠慮は要らない!」

[ロザリー]

ロザリー「参ったな…… こんな戦いでリコちゃんと やり合わなきゃなんないなんて……」
リコ「うん……ただの剣術の仕合だったら どんなに良かったか……」

[撃墜]

リコ「やりたくないけど…… やれるだけの事はやった。 撤退する」
(キョウメイ蒼が爆発する)

〈vs レッフェン〉

[ジノ]

ジノ「……将軍、提案があります」
レッフェン「よせ。この会話も記録されている。 迂闊な事を言えば、隊の全員に 連帯責任が及ぶ」
ジノ「……オンガレッドはそこまで手を 回していましたか……
 わかりました。 ですが、死に急ぐ事だけは避けてください」
レッフェン「ああ、こんなくだらん事で 死ぬワケにはいかんよ」

[テュッティ]

テュッティ「ダスドレーシュ将軍…… 軍は退けないのですね?」
レッフェン「ああ、オンガレッドは督戦隊まで 組織している。たとえ私でも、 戦意をみせねば後ろから撃たれる」
テュッティ「やはり元凶はオンガレッド…… このままにしてはおけない……」

[マサキ]

マサキ「ダスドレーシュ将軍…… あんたがこんな作戦に手を貸すとはな」
レッフェン「決まってしまった事だからな。 後は命令を遂行するしかない」
マサキ「……命令違反はできねぇって事か」
レッフェン「責任を回避するつもりはないが、 できるだけの反対はした」
マサキ「……大変だな、あんたも」

[ロザリー]

ロザリー「レッフェンおじさん…… おじさんでも、この作戦は 止められなかったの?」
レッフェン「すまんな、ロザリー…… 私の力不足だ」
ロザリー「おじさん……」

[撃墜]

レッフェン「……最後の1機まで戦え、か。 まったく、無理な命令を…… 撤退する」
(レッフェン機が爆発する)

〈敵機全滅〉

(経験値入手)

[フリングホルニ ブリーフィングルーム]

ウェンディ「オンガレッドは、なりふり構わなくなって きたわね……」
セニア聯盟の緊急決議が出たわ。 南部の今回の行動について、制裁措置を とるって。
 どうやら正式に、南部への実力行使を あたし達に依頼してきそうね」
ワグネル聯盟にしては素早い決議ですね。 よほど今回の件は腹に 据えかねたんでしょう」
マサキ聯盟の決議なんざ、俺達には必要ねぇ。 オンガレッドはこのままにしちゃ おけねぇんだ」
テュッティ「そうね……民間人を巻き込むなんて 卑劣な事、赦してはおけない」
ミオ「それに、ヴォルクルス教団との 繋がりって疑惑もあるしね」
ヤンロン「セニア様、オンガレッドの動きは わかりますか?」
セニア「探ってるけど…… 南部は情報が少ないのよね。 もっと人員を増やさないと」
マサキ「それはまた後での話だ。 今はとにかく手持ちの情報網で 何とかあいつの動向を探ってくれ」
セニア「うん、まあ、できるだけやってみる。 メフィル、手伝って」
メフィル「わかりましたぁ」
マサキ「頼んだぜ、セニア、メフィル。 オンガレッドは……赦さねぇ」
テュッティ「ケガ人の収容はどう?」
ベッキー「大体終わったよ。 けど、ここの治療施設じゃ人手が足りない。 近くの治療院まで運ばないと」
テュッティ「そうね、至急近くの治療院に連絡を。 私も治療の手伝いに行くわ」

[フリングホルニ 食堂]

ギド「やれやれ…… やっと人心地ついたな」
シモーヌ「ケガ人の運搬も終わったし、 後は北部の部隊に任せておけばよし。 さ、食事食事。腹減って死にそうよ」
ギド「ん? 何か厨房が騒がしい様だが……」
シモーヌ「あれ? あ、ホントだ。 かけ声というか、叫び声というか…… 何だろ?」

<No.076:あんた、料理できたの?

ヤンロン「はっ! ふっ! ほわあっ!」
シモーヌ「ヤンロン!?  あんた、何やってんの?」
ヤンロン「見れはわかるだろう。 料理を作っている」
シモーヌ「料理って……あんた、料理できたの?」
ヤンロン「ああ、それなりの腕は 持っているつもりだ」
マサキ「何かいい匂いがすんな」
ミオ「中華かな?  あれ? ヤンロンさん?」
ヤンロン「千客万来だな。 まあいい、量は多めに作っている」
マサキ「ヤンロン、お前…… 料理できたのか」
ヤンロン「やれやれ、皆同じ事を訊く。 そんなに珍しいか?」
ミオ「うん、珍しい」
ヤンロン「中華料理は炎が命だ。 炎の精霊の加護を受けている僕には ふさわしいだろう」
ミオ「いやいや、関係ないから、 それって」
マサキ「それにしたってなぁ。 今までそんな姿、見せた事ないだろうが」
ヤンロン「昔はよく作ったものだ。 それに、修行していた時にも、 こうやって自炊していた」
ランシャオ「ご主人様の腕前は、私が保証します」

[フリングホルニ 食堂]

ヤンロン「よし、できたぞ。 カキのオイスター炒めだ」
ミオ「へぇ、広東料理なんだ」
ヤンロン「食は広州に在りと言ってな」
ミオ「ヤンロンさんって、上海出身だったの?」
ヤンロン「いや。ただ、若い頃は修行で 色々な所を巡ったからな」
ミオ「修行って…… 料理の修行じゃないよね?」
ヤンロン「拳法だ。さあ、それより できた料理を運んでくれ。 まだまだあるぞ」
ミオ「りょーかい」
マサキ「OK」
マサキ「へぇ、うまそうじゃねぇか」
シモーヌ「ホント。それにしてもヤンロン、 どうして急に料理を?」
ヤンロン「なに、君とギドが料理の事で ケンカしていると小耳に挟んだのでな。
 フランスとドイツが料理でもめたのなら、 中華で解決するのが一番だ」
ミオ「普通もめるのはフランスとイタリアだと 思うけど……おいしそうだからいっか」
ギド「む……そうか。 手間をかけてしまったな、ヤンロン」
シモーヌ「へぇ、こんな料理が食べられるんなら、 これからちょくちょくギドとケンカしても いいかな」
ヤンロン「シモーヌ、それは本末転倒だ。 大体お前達は食文化に対して 狭量すぎるのがいかんのだ。
 いいか、中華四千年の料理の歴史は、 異民族の文化、食材、調理法を吸収し、 医食同源薬食帰一の思想と共に……」
マサキ「ストップ!  また説教始める気かよ!  せっかくの料理が冷めるぜ」
ヤンロン「ふむ……まあよかろう。 この続きは食事が終わってからにしよう」
シモーヌ「……ギド、食べ終わったら、 速攻で逃げるよ」
ギド「……同感だ。説教などされては、 折角のごちそうが胃にもたれる」
シモーヌ「ふふ、今回は意見が一致したね」
ギド「ああ、そうだな」


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