セニア「さて、これで準備OKと」
ユノー「念を押しますが、余計な事は
しないでください」
セニア「大丈夫、大丈夫。
あんたがそうやって監視してるんだし、
やらないってば」
ユノー「では、パスワードを言います。
○△×〒¥$?&◎□……」
マサキ「うおっ?
長ぇ上に早口」
ミオ「びっくりした。
文字化けしたかと思った」
セニア「静かに!」
ユノー「……×〒¥△×?&□。
以上です」
セニア「OK! 入力完了!
これでアドミニ権限でログイン可能!」
マサキ「嬉しそうだな、おい。
余計な事はすんなよ」
セニア「もう、マサキまで。
信用しなさいっての」
マサキ「そう言われてもなぁ……」
セニア「あっ! あったあった!
消したつもりだろうけど、
破片がひっかかった!」
メフィル「修復ツール、起動しますぅ」
(起動シグナル)
セニア「OK、そっちは任せた。
こっちは追跡ツールと分散ツールで
サーバ間の整合を確認」
メフィル「修復完了まで、およそ3分」
セニア「こっちも迂回路の確保まで
4分少々掛かるわ。じゃ、
ちょっと待ちましょ」
メフィル「はい~」
マサキ「ん? なんだよ、さっきまですげぇ
スピードで色々やってたのに……
そんなにゆっくりしてていいのか?」
セニア「ハッキングはツール勝負よ。
どれだけの種類のツールを用意して
おくかが重要なの。
もちろん、その場で緊急にプログラムを
変更したりする事はあるけど、
基本的に手持ちのツール勝負よ」
マサキ「ふーん、そういうもんなのか」
セニア「そりゃあね。その場その場で
プログラミングなんてしてたら、
時間がいくらあっても足りないもん」
ミオ「電脳空間に入っていって、
キャラを擬人化するとか、そういうのって
ないの?」
セニア「あー、大昔にそういうの、
流行ったらしいわね。
ムダに処理食うだけだから廃れたわ」
ミオ「夢がないなぁ」
(成功シグナル)
メフィル「修復完了です~」
セニア「了解。解析ツール起動、と。
ふーん、暗号化は当然としても……
凝ってるわね、これ」
メフィル「はい。このクセは間違いなく……」
セニア「渾沌ね。
この間の借り、利子つけて返してやるわ!」
マサキ「根に持ってんなぁ……」
セニア「このあたしが!
裏をかかれたのよ!
当然でしょ!」
マサキ「……ま、いいけどな」
セニア「よし、解析完了。
メインコンピュータは切断して、
外部との接続、迂回路確保完了っと。
ここからが勝負ね。
外部検索かけて、痕跡情報収集。
相手の本丸に乗り込まなきゃ。
さあて、忙しくなるわよ。
準備はいい? メフィル」
メフィル「いつでもいいです~」
セニア「じゃ、予定通り、各種ツール起動。
対逆探知トラップOK?」
メフィル「ダミー取り混ぜて745種類、
準備してますぅ」
セニア「保護障壁は28層か……
これだけあれば万全ね」
(情報シグナル)
メフィル「痕跡、発見ですぅ」
セニア「確認したわ。18から241への
ノードをチェック」
メフィル「ウィルス、ありません~」
セニア「念のため、あたし特製の洗浄ツールに
かけてみて」
(警告シグナル)
メフィル「あ……遅延ウィルス発見!」
セニア「やっぱり。同じ手に何度も
引っかかると思ってんのかしらね。
除去できる?」
メフィル「ええーと……どのツールを使えば
いいですかぁ?」
セニア「この前と同じなら88-2番だけど……
念には念を入れて、88-3でやっといて」
メフィル「了解ですぅ」
セニア「一度使った手は二度と使わない、
それくらい用心しないと……」
メフィル「ああっ!?」
セニア「どうしたの!?」
メフィル「疑似ウィルスですぅ!
逆感染してますぅ!」
セニア「ウソッ!?
こっちの手を読んだ!?」
メフィル「ノード削除しますぅ!」
セニア「ダメ! それじゃ手がかりが……」
メフィル「でもぉ……」
セニア「1分だけ! 88-3は感染には
強いから、それだけ待って!
他に使えるツールは……」
メフィル「あ」
セニア「何かあるの?」
メフィル「え、えーと……
あ、そうそう。
こういう事もあろうかと思って、
用意してましたぁ」
セニア「ワクチンを?」
メフィル「はい。投与してみますねぇ」
セニア「そうね、お願い」
メフィル「はい~」
(操作シグナル)
セニア「……どう? 効いてる?」
メフィル「えーと……
(成功シグナル)
やったぁ! 成功ですぅ!」
セニア「そう……良かった。
こうなったら、もうこっちのものね」
メフィル「はい~。データ検索完了ですぅ」
セニア「ウィルスは……出てきた出てきた。
初歩的なのからさっきのまで。
全部対応可能ね?」
メフィル「えーと……駆除完了ですぅ」
セニア「さっきは助かったわ。
いつの間にそんなワクチン作ってたの?」
メフィル「実はそのぅ……セニア様のお手伝い
してるときに、勉強のつもりでぇ」
セニア「ああ、そういう事ね。
なるほど、88-3に更に対応した
バージョンを作ってたんだ」
メフィル「たまたまですけどね~」
セニア「さっきは、こんな事もあろうかと、
なんて言ってたくせに」
メフィル「うふふ~。
一度言ってみたかったんですよぉ」
セニア「ま、なんにせよ助かったわ。
渾沌め、やってくれるじゃない」
メフィル「多分、セニア様が有名すぎるから
ですよ~。色々発表してるから、
クセも盗まれやすいんですぅ」
セニア「ん~……まあ、確かにね。
ハッカーとして有名になるのも
痛し痒しかぁ」
メフィル「今後は、あまり派手な行動は
しない方がいいと思いますよぉ?」
セニア「うっ……
あんたにまで言われるとは」
メフィル「うふふ~」
セニア「とにかく、これで問題は解決っと。
ちょっと、マサキ!
起きなさいよっ!」
(叩く)
マサキ「んあっ?」
マサキ「ほら、他のみんなも起きて!
ユノーさん、あんたまで眠ってる?」
ユノー「いえ、起きてます」
セニア「……反応ないから、
目開けて眠ってるのかと思った」
ミオ「な~に?
終わったの~?」
セニア「まったく、あんた達は!
あたしとメフィルの血湧き肉躍る
一大スペクタクルを見てて寝る?」
マサキ「そういうがな、傍で見てる分には
TVゲームやってんのと変わんないぞ」
ミオ「そうそう。色々言ってるけど、
何が何だかわからなかったし」
セニア「これだから一般人は……」
ミオ「あたしの属性には、コンピュータヲタクは
ないもん」
マサキ「属性ってなんだよ、属性って」
メフィル「ま~ま~。
私はセニア様を尊敬してますからぁ~」
セニア「ありがと、メフィル。
いい子ね~。これからも色々手伝ってね」
メフィル「もちろんですぅ」
セニア「さっきみたいな事がない様に、
先を読んで対策しましょ」
マサキ「なんか、知らない内にお前ら、
仲良くなってんのな」
セニア「だから言ったでしょ。
さっきは一大スペクタクルだったって。
メフィルは共に乗り越えた仲間なの」
マサキ「ま、何でもいいがな。
それより何か分かったのか?」
セニア「当然! ダミーも多いから、解析には
1時間ほどかかるけど、データはとれたわ」
マサキ「よし、じゃ、1時間後にブリーフィング
ルームに集合だな」
セニア「……というワケで、渾沌の居場所は
この近辺、半径10ゼクゴーツ内よ」
ライコウ「そこは……誰も人がいない場所ですが」
セニア「リレーポイントがあるでしょ。
そこが中心になってるの」
マサキ「ちょっと範囲が広すぎねぇか?」
セニア「心配ご無用。
近くに行けば電波をたどれるから」
ベッキー「今も活動していれば、だろ?」
セニア「そこも大丈夫。
色々といたずらしておいたから、
まだ当分、そこから動かないわ。
そうね……少なくとも今日中は」
ワグネル「ゼフェンバー大尉、エリアル検察の
意向はどうなってますか?」
ライコウ「データ改竄の犯人が判明した場合、
身柄の確保はアンティラス隊に
一任するとの通達がありました。
……正直、渾沌ほどのクラッカー相手では
検察や警察では荷が重いんでしょう」
ワグネル「我々が任務を代行する事に
問題はないんですね?」
ライコウ「相手は国際指名手配犯ですから」
ワグネル「では、急いでそこに向かいましょう」
ホーリー「目標建造物、目視で確認!」
マサキ「あれか?
ただの掘っ立て小屋にしか見えねぇが……」
セニア「間違いないわ。
発信源を確認した」
ワグネル「証拠が揃いましたね。
アンティラス隊の強制執行を許可します」
マサキ「よし、部隊を展開するぞ!」
(東端にフリングホルニが出現し、西端の小屋を指す)
ミオ「あれって、家だよね?」
ライコウ「森林管理官の番所らしいが……」
テュッティ「どう見ても怪しいわね」
(敵機が出現する)
ディーゴ「くそっ、どうやってここを見つけた!?」
デミン「渾沌も地に落ちたもんですな」
ディーゴ「てめぇ! その名を口にするな!
正体がはっきりしたら、渾沌は死ぬって、
てめぇが言ったんだろうが!」
デミン「ありゃ、そうでしたかね」
セニア「えっ?
まさか……渾沌って、
あんただったの、ディーゴ!?」
ディーゴ「ちっ、今更言いつくろっても
手遅れか……
ああ、そうだよ。
俺が渾沌だ」
セニア「あんた……よくもあたしの
裏をかいてくれたわね!」
ディーゴ「そいつはお互い様だ。
俺だって、何度あんたに計画を
邪魔されたかわからねぇ」
デミン「おやおや、お二人は不倶戴天の仲って
こってすかい」
ディーゴ「積もる恨み、今こそ晴らしてやるぜっ!」
(サイバスターとスヴェンド・ニーダムが出撃する、作戦目的表示、出撃選択、フリングホルニが撤退する)
デミン「いい機会ですし、そろそろ死んで
もらえませんかね、ダンナ」
マサキ「何だと!?」
デミン「ダンナの首には莫大な賞金が
かかってやしてね。
あっしの飯の種になっておくんなさい」
マサキ「バカ言えっ!!」
セニア「もしかして、2年前の情報局
ハッキング事件もあんたの仕業!?」
ディーゴ「へぇ……よくわかったな。
あの時はまだ、渾沌って
名乗ってなかったのに」
セニア「やっぱり!」
ディーゴ「あの時、邪魔してくれたのは
あんただって事かい」
セニア「当然でしょ!」
ディーゴ「ははっ、こいつはいいや。
あんたとはあの頃からライバル
だったんだな!」