エラン「ふん……大口を叩いておいて、
結局自分では何もしないのか。
他人任せにもほどがあるな」
マサキ「うるせぇ!
仲間を信頼してるだけだ!」
エラン「正直に言っていいんだよ。
僕と戦うのが恐かったんだろ?」
マサキ「んなワケねぇだろうが!」
エラン「何にせよ、君と戦えなかったのは
少しばかり心残りだけど、
約束は約束だ。
君の力は大体把握できたし、
今回はここで引き下がってやるよ」
(ゼルヴォイドが撤退する)
マサキ「……逃げやがったか」
(南端にディンフレイルが出現する)
ギド「ほう……さすがだな。
もう終わっていたか」
マサキ「ん? あんた……どっかで会った様な」
ギド「晩餐会以来だな、マサキ」
マサキ「ああ、思い出したぜ!
ギド……なんとかだ」
クロ「思い出せてニャいじゃニャい。
ギド・ゼーホーファーさんでしょ」
マサキ「ああ、それそれ。
それで、何であんたが?」
ギド「この度、正式にアンティラス隊に
配属になった。この新型機、
ディンフレイルと共にな」
マサキ「そうか……ティアンのおっさんの後釜か」
ギド「そういう事になる。
よろしくな」
(一瞬マップに戻るが、すぐに暗転する)
ワグネル「それでは、改めて紹介しましょう。
ギド・ゼーホーファー。
新型魔装機、ディンフレイルの操者です」
ギド「ギド・ゼーホーファーだ。
よろしく頼む。特にお嬢さん方は」
マサキ「相変わらず、男は目に入ってねぇ
みてぇだな」
シモーヌ「……ドイツ人かい?」
ギド「ああ、ドルトムント出身だ。
よろしく、フロイライン」
シモーヌ「その言い方はよしな。
あたしはドイツ人は嫌いなんでね」
ギド「それは残念。私はフランス人は
好きなんだがね。特に美人は」
シモーヌ「……あんた、ドイツ人なのに
フランス人みたいな口説き方するね」
ギド「それは、褒め言葉として受け取って
いいのかな?」
シモーヌ「好きにすれば?」
セニア「ギドは、地上にいた時、MADっていう
諜報機関に所属してたのよね?」
ギド「その通り」
セニア「じゃ、あたしの諜報機関の手伝い
頼んでいい?」
ギド「喜んで」
セニア「やった! 人員確保!」
マサキ「諜報機関ねぇ……
そんなに必要なのかよ?」
ギド「おやおや、モトジロー・アカシや
ナカノ・スクールを生んだ国の人間の
発言とは思えんな」
ミオ「現代っ子だから、そういうもんよ」
セニア「マサキには一度、情報戦の大切さを
じっくり教えなきゃダメみたいね」
マサキ「わかった、わかった。
反対はしねぇよ」
テュッティ「それと、アハマドがアンティラス隊から
除隊になる事も決定したわ」
マサキ「何っ!?
何だ、それは!?
初耳だぞ!」
テュッティ「アハマド自身が、以前から言ってたのよ。
自分は独自に動きたいって」
マサキ「俺は聞いてねぇぞ!
代表! どういう事だよ!?」
ワグネル「んー、アハマド自身から、
黙っていてくれと言われましてね。
私も困ってまして」
テュッティ「多分、今のあなたに言ったら
反対されるのがわかってるからじゃない?」
マサキ「アハマドはどこだ!?
まだいるんだろ!?」
テュッティ「多分格納庫よ。
もう、出るっていってたから」
マサキ「あの野郎……
引きずり戻してやる!!」
ミオ「……最近マサキ、少し
情緒不安定じゃない?」
ベッキー「まあ、色々あったみたいだしね」
ミオ「気持ちはわかるけど……
アハマドさん、マサキに色々言われたく
ないから、黙って出ていこうとしてたのに」
テュッティ「私は、アハマドとマサキは、直接
話した方がいいと思う」
リューネ「…………」
ウェンディ「…………」
マサキ「待てっ! アハマド!!」
アハマド「やれやれ……あれだけマサキには
言うなと念を押したのに」
マサキ「アンティラス隊を除隊って、
どういう事だ!?」
アハマド「今のアンティラス隊には、
味方が少ない」
マサキ「は? それとこれと、何の関係が
あるってんだ?」
アハマド「わからんか? 俺はこれでも
顔が広くてな。シュテドニアスでも
バゴニアでも顔が利く。
それらの国々と、アンティラス隊の
繋ぎ役をやってやろうと言っているのだ」
マサキ「それは……
魔装機操者としての義務を放棄してまで
やる事なのか?」
アハマド「わかっておらんな、お前は。
俺は魔装機操者をやめるのではない。
アンティラス隊をやめるのだ」
マサキ「同じ事だろうが!」
アハマド「いいや、違う。俺は、魔装機操者として
この世界を救う事を考えている。そのために
必要なのが、アンティラス隊の味方だ」
マサキ「う……た、確かにそうだが……」
アハマド「アンティラス隊から抜けたフリーの
状態なら、行動の制限も少ない。
隠密行動もとれるしな」
マサキ「……お前の言いたい事はわかった。
けどよ……ティアン、ロドニー、エリス。
これで4人目だ。
こう次々となじみの連中がいなく
なるってのはよ……」
アハマド「なに、気が向けばその内顔くらいは
見せにやってきてやる」
マサキ「けどよ、大丈夫なのか?
アンティラス隊って後ろ盾がなくなるって
事は、何も保障がなくなるって事だぞ」
アハマド「そんな事は、これまで散々経験してきた。
今更心配する必要もあるまい。
それに、予備のガディフォールを、
俺に預けてもらったからな。テントより
魔装機の方が寝心地がいい」
マサキ「……わかった。
引き留めてもムダなんだろ。
だったら、笑って見送ってやるよ」
アハマド「そうしてくれるとありがたい。
ではまた、いずれ、な」
インフォメーション
ソルガディの
改造費が返還されました
マサキ「……また一人……いなくなった、か」
マサキ「やっぱりここだったか、ウェンディ」
ウェンディ「あ、マサキ……」
マサキ「あの、ゼルヴォイドってヤツの事、
調べてたのか?」
ウェンディ「え、ええ……」
マサキ「それで、何かわかったのか?」
ウェンディ「もしかすると……姉さんが関わってた
かもしれないの」
マサキ「姉さんって……
テューディはもういないんだろ?」
ウェンディ「ええ……けど、サイバスターの設計時には
姉さんは私の中にいた……
はっきりと出てはいなかったけど……」
マサキ「ん? どういう意味だよ、それ」
ウェンディ「サイバスターは明らかに、他の魔装機神と
設計思想が違うのは気が付いてる?」
マサキ「ああ、それは何となくわかる。
変形するしな」
ウェンディ「最初は、私自身のインスピレーションだと
思ってたの……でも、もしかしたら
姉さんに引きずられて……」
マサキ「けど、テューディが表に出始めたのは
王都が襲撃された日からなんだろ?」
ウェンディ「でも、何らかの影響を知らずに
受けていた、とも考えられるわ。
それで、姉さんが参考にした機体が
あのゼルヴォイドだったら……」
マサキ「待て待て。何もあのゼルヴォイドが
オリジナルだって証拠はねぇんだ。
エランが言ってるだけだろ」
ウェンディ「そうなんだけど……」
マサキ「あんなヤツの言う事を真に受けるな。
サイバスターはウェンディの最高傑作だよ」
ウェンディ「……ありがとう、マサキ」
セニア「というワケだから、あんたには
アハマドの乗っていたソルガディを
引き継いで貰うわ」
ガエン「……いきなり、というワケだから、
等と言われても、事情がわからん」
セニア「それくらい察しなさいよ。
あたしにとって、デュラクシールが
どういう存在か、わかるでしょ」
ガエン「感傷など意味がない」
セニア「あっそ。じゃ、言い直すわ。
デュラクシールはまだ、完全じゃないの。
あんたには扱いきれないのよ」
ガエン「ふむ、なるほど」
セニア「練金学士としては、不完全なものを
表に出すのは落ち着かないの。
いい? これは命令よ」
ガエン「命令か。ならば従おう」
セニア「……自分で言っといて何だけど、
あんた、それで不満はないワケ?」
ガエン「実を言うと、俺もデュラクシールは
もてあましていた。確かに今の俺には
過ぎた魔装機だ」
セニア「へぇ……あんたもそう感じてたんだ」
ガエン「だが問題は、俺がソルガディに
受け入れて貰えるかどうかだ」
セニア「それなら心配ないって。
魔装機神と違って、普通の魔装機は
それほど操者を選ばないし。
第一、あのアハマドでさえ
乗りこなせたのよ」
ガエン「なるほど……この上なく説得力のある
言葉だな。褒めているのか、
けなしているのか、判然としないが」
セニア「それだけソルガディの懐が広いって
褒めてんのよ」
ガエン「わかった。いいだろう。
俺がソルガディを引き継ごう」
セニア「デュラクシールはしばらく封印ね。
あれは、もっと改良しないと」