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応えよ、オルファン ~ 第44話 ~

《ドクーガ本部・WORLD AREA》

[ネオネロス執務室]

カットナル「ケルナグール、 貴様、アフリカで大暴れしてきた そうだな」
ケルナグール「グハハ!  おうよ! ミケーネの連中相手に いい汗かいてきたわい」
ブンドル「フン…単純な奴め…。 ミケーネ帝国と人類の戦いは 二つの種の生存を懸けた戦い…」
ブンドル「勝者には青き地球、 敗者には絶滅…背負うものが大きいほど 戦いは悲壮で美しい…」
ケルナグール「ま~た始まったか…。 このキザ男は…」
カットナル「放っておけ。 戦争が起これば、ドクーガの各部門は 巨額の利益を得るのだ」
カットナル「まさに戦争様々よ」
ケルナグール「まったくだ。 おまけにワシ達の趣味ある戦いも 楽しめるしな」
ネオネロス「…だが、我々の目的は 世界経済の支配だけではないぞ。 それを忘れてはいないだろうな…?」
ネオネロス「ビムラーの奪取こそが ドクーガの真の目的だ」
ブンドル「無論です、ネオネロス様。 ビムラー探知レーダーはジッター博士の 手により間もなく完成を迎えます」
ブンドル「グッドサンダーの所在も すぐに判明するでしょう」
ネオネロス「それでは遅いのだ。 …我々に残された時間は もうわずかしかないのだ…」
ブンドル「…わかりました。 では、策を用いてグッドサンダーを 誘い出してみせましょう」
ネオネロス「うむ…」
カットナル「しかし、ネオネロス様…、 ビムラーを手に入れる事に どのような意味があるのでしょうか?」
ネオネロス「………」
ブンドル「超空間航法は既に実用化に 入っております。ドクーガの総力を あげるほどの技術とは思えませんが…」
ケルナグール「そうです。 その点はワシも気になっていた事です」
ネオネロス「…そこまでだ、3人共。 お前達はワシの命令に従えばよい」
カットナル「………」
ケルナグール「………」
ブンドル「………」
ネオネロス「不服か?」
カットナル「…いいえ。私としては 目前に迫りつつある地球連邦上院議員 選挙の方が重大事ですので」
ケルナグール「ワシは戦いが出来れば 特に不満はございません」
ブンドル「フ…私としても ビムラーの謎が簡単に明かされては 面白くありません…」
ネオネロス「フフフ…、 さすがはワシが見込んだ者達だ。 では、吉報を待たせてもらうぞ」
(足音・ネオネロスが立ち去る)
ブンドル「残された時間はわずかか…。 ビムラー…まったくもって 不可解なエネルギーだ…」
ケルナグール「気取っている場合か!  貴様、どうやってグッドサンダーを 誘い出すつもりだ?」
ブンドル「単細胞め…。貴様が ミケーネ相手に暴れまわっている内に 既にその準備は終わっている」
カットナル「ほう…その自慢の策、 聞かせてもらおうではないか」
ブンドル「フ…全ての鍵は ビムラーと引き合う孤独な女神が 握っている…」
ケルナグール「女神だと…?  こいつ、酒の飲みすぎで 頭がおかしくなったか…!?」
ブンドル「むう…ロマンを解せぬ奴…!」
ブンドル「まあいい…。 今回の作戦の実行はお前達に任せる。 せいぜい派手に暴れてくれ…」

《Gアイランドシティ・JAPANESE AREA》

[ビッグオーダールーム]

(通信)
ブライト「ハヤト、無事だったか」
ハヤト「ええ。北米では 各戦線の踏ん張りでミケーネとの戦況を 五分に戻しつつあります」
ハヤト「これもαナンバーズの勝利が 市民達を勇気づけているためでしょう」
ブライト「…だが、市民が戦いに 参加せざるを得ない現状は、軍人として 憂えるべきだな」
ハヤト「確かにそうですね。 …しかし、市民の生活を脅かすのは ミケーネだけではありません」
シナプス「どういう事だ?」
ハヤト「こちらでは大規模な インフレが発生する気配があります」
ハヤト「これは闇の企業連合による 生活物資の価格吊り上げが 原因でしょう」
万丈「闇の企業連合…ドクーガか…」
ブライト「この非常時に 自己の利益しか考えていないものが いるとは…!」
ハヤト「そのドクーガですが 北米を中心とする部隊が 大規模な行動を起こす模様です」
ブライト「連中め… 経済支配では飽き足らず実力行使で 地球を支配する気か…?」
ハヤト「詳しい事については こちらが派遣したベルトーチカから お聞き下さい」
ハヤト「順調なフライトなら そろそろ、そちらに到着する頃です」
アムロ「そうか…彼女が来るのか…」
ハヤト「では、これで通信終わります。 カツによろしく伝えて下さい」
シナプス「うむ…諸君らも健闘を祈る」
(通信切れる)
大河「このままドクーガを 野放しにしていては市民達はいずれ 恐慌に陥るだろう」
万丈「彼らの保有する戦力も かなりのものです。彼らが実力行使に 出るなら我々が受けて立つべきでしょう」
スワン「長官! プリベンターの エージェントの機体が 着陸許可を求めていマス」
大河「よし…状況によっては αナンバーズは対ドクーガのために 出動してもらおう」

[マザー・バンガード・休憩室]

アムロ「ドクーガの標的が オルファンだと…!?」
ベルトーチカ「確かな筋からの情報よ。 信用に値するわ」
レミー「確かな筋からねぇ…。 あのドクーガが、そんなに簡単に 尻尾をつかませるかしら…」
ベルトーチカ「その辺は 彼女に聞いてもらいたいわね」
アムロ「君と一緒に来た あの女性か…」
イザベル「はじめまして、 私、ジャーナリストのイザベル・ クロンカイトと申します」
キリー「フフフ…俺好み…」
レミー「何よ、ヘンな笑い方して…」
真吾「キリー… 鼻の下を伸ばしていては、 ブロンクスの狼の名が泣くぜ」
イザベル「あなた方が グッドサンダーチームの皆さんですね?」
キリー「お…!  俺達、ちょっとした有名人?」
イザベル「ええ。 父の資料には、あなた方の お名前は何度も出ています」
真吾「父…?」
レミー「もしかして クロンカイトって…あの!?」
イザベル「はい。私の父はドクーガを 長年追ってきたジャーナリスト、 アート・クロンカイトです」
キリー「親子二代の ドクーガ番の記者さんってわけね…」
イザベル「はい。 そして、私がここに来たのは 情報提供のためだけではありません」
イザベル「私、ジャーナリストとして 平和のために戦う皆さんを ぜひ記事にしたいんです」
アムロ「俺達を…」
万丈「取材だって!?」
イザベル「αナンバーズの活躍は 世界中の人達を勇気づけています」
イザベル「皆さんがドクーガと 戦う姿を世界中に報道すれば 反ドクーガの気運が高まるでしょう」
アムロ「しかし…」
万丈「いいんじゃないの、アムロ大尉?  戦っているのは僕達だけではないんだ」
万丈「僕達の姿で世界中の人達の 士気が上がるのならば、それも一つの 戦い方だろう」
レミー「そうね…こういう方法で 反撃するのも悪くないわね」
ベルトーチカ「アムロ…、 みんなの言う通り、私も報道は 戦う力になると思うわ」
アムロ「…そうだな。 わかったよ、ベルトーチカ」
万丈「…では、決まりだ。 イザベル、ブライト艦長達には アムロ大尉と僕から話しておくよ」
イザベル「ありがとうございます!  連邦の白き流星と破嵐財閥当主の 口添えだなんて感激です!」
レミー「ふうん…、 意外にミーハーなのね…」
アムロ「…だが、ドクーガとの 戦闘になれば身の安全は保証出来ないぞ」
イザベル「それは承知しています。 私も報道に生命を懸けていますから」
万丈「と言っても、部隊内で君を 世話する役が必要だろう…」
イザベル「それでしたら、私、 グッドサンダーチームの皆さんを 指名させていただきます」
真吾「え…俺達…?」
イザベル「はい! 父の資料を見た時から 私、あなた方に憧れていたんです。 人知れず平和を守るヒーローだって…」
レミー「あらら… 随分と美化してくれちゃって…」
キリー「フフフ…、 俺としては歓迎するぜ、子猫ちゃん」
イザベル「では、お願いします!  オルファンを巡るドクーガとの戦い、 ばっちり報道させてもらいます!」
真吾「やれやれ…、 こりゃゴーショーグンに ワックスがけが必要だな…」
レミー「私もお肌の方に ワックスがけしなくちゃ…」

《太平洋上・WORLD AREA》

[大空魔竜・個室]

(タイプライターのキー操作)
キリー「キリー・ギャグレー作ブロンクスの狼、 第1章。俺には何もなかった。 親も兄弟も友達も、何もなかった」
キリー「ん~。ええい、ダメだっ!」
(ノック)
キリー「アカリか?  コーヒーなら、そこに置いてくれ」
(扉が開閉する)
イザベル「では、お邪魔します」
キリー「な…イザベル!?  アカリ、クマゾー! どうして 彼女を連れてきたんだ!?」
アカリ「だって、イザベルさんが 困っていたから…」
クマゾー「困っていたも!」
イザベル「子供達を怒らないで下さい。 他の皆さんに取材を断られた 私のためにやってくれたんです」
キリー「断られた?」
イザベル「ええ…孤高の戦士・剣鉄也…、 プロスポーツ選手からの転身・ ツワブキ・サンシロー…」
イザベル「少年の見た赤い彗星・ カミーユ・ビダン…、 深海を発して・伊佐未勇…」
イザベル「…他にも取材しようと思った ネタはたくさんあったのですが 全て断られてしまいました…」
キリー「やれやれ… 貧乏クジは俺が引いちまったか…」
イザベル「あら? この文章は…」
キリー「あ! そ…それは…!」
イザベル「キリー・ギャグレー作、 ブロンクスの狼…。 すごい! 自伝をお書きなのですね!」
イザベル「暗黒街の狼とおそれられた あなたが、今や正義のために 戦い続ける我らの星…素敵です!」
キリー「あの…その…」
イザベル「完成したら、ぜひ読ませて 下さい…きっとベストセラーですわ!」
キリー「あのな…」
イザベル「はい!」
キリー「正義のために戦い続ける 希望の星が今、君に望んでいる事を 教えましょう」
イザベル「はい!」
キリー「…君がここから出ていくか、 それともこのまま俺と夜明けの コーヒーを飲むか、どちらかだ?」
イザベル「え…!?」
クマゾー「夜明けのコーヒーって何?」
アカリ「朝まで徹夜でお仕事するって 意味じゃない?」
キリー「その気がないなら、 部屋の外へバイバイだ」
イザベル「…は…はい…」

《太平洋 ノヴィス・ノア・WORLD AREA》

[ノヴィス・ノア・ブリッジ]

ベラ「アイリーン艦長、 もうすっかり艦長の貫禄ですね」
アイリーン「いえ…クルーの協力で アノーア艦長の代理を務めさせて もらっているまでです」
比瑪(そうか…。 アノーア艦長はまだ行方不明の ままなのね…)
麗雄「アイリーン艦長、 浮上後のオルファンについて 説明をお願いします」
アイリーン「…既にご存知の通り、 隕石落下と時を同じくしてオルファンは 太平洋より浮上しました」
カント「これは、地球のダメージ… 言い換えればオーガニック・エナジーの 喪失に恐怖しての行動と思われます…」
「お前は…あの時の…!」
比瑪「この子を知っているの、勇?」
「ああ…対策会議で親父に 議論をふっかけていたやつ… 確か、カントとか言ったな…」
カント「………」
アイリーン「カント君には アドバイザーとしてこの艦に 乗船してもらっています」
「それで天才少年君は今でも オルファンが地球を癒してくれると 主張するのか?」
カント「はい…。オーガニック・ エンジンを搭載したこの艦に乗って それは確信に変わりました」
カント「これは浮上後のオルファンの 移動コースです」
(モニターオン)
ベラ「浮上した後のオルファンは ユーラシア大陸に上陸したのですね…」
カント「僕の見立てでは オルファンの目指す地点は ここでしょう」
比瑪「ここって…」
「チベットのラサ…。 ネオ・ジオンが隕石を落とした場所か…」
カント「はい…。これを知った僕は オルファンが傷ついた地球を 悼んでいる事を知りました」
カント「そして、僕の予想通り、 オルファンの通った場所では 植物の繁殖が活性化しています」
麗雄「ふむ…オルファンによる地球の オーガニック・エナジーの活性化は 認めざるを得ないな」
カント「ええ…オルファンの飛翔は 地球にとってネガティブなものではないと 僕は思っています」
「………」
比瑪「勇…再リバイバルした時、 ネリーさんと勇のブレン、一緒に なったって…そう言ったよね、勇…?」
「そう言った…そうか!」
「地球の問題やオルファンの事って、 全てが絶望的な事じゃないかも 知れないんだな?」
比瑪「そうよ!  ブレンは空を飛んでんだもの!」
「うまくいくって事だ!」
比瑪「そうだよ、絶対!」
「そうだよなあ!  誰が絶望するもんか!」
比瑪「そうそう!」
(比瑪と勇が立ち去る)
ベラ「勇…比瑪…」
麗雄「理論的な結論とは思えんな…」
アイリーン「ですが、あの子達は 私達よりもオーガニック的なものに 触れている時間が長いのです…」
麗雄「その直感を信じたいと?」
アイリーン「ええ…獅子王博士も 同じ意見と思いましたが…」
麗雄「その通りじゃ。 そして、何よりワシ自身も オルファンをこの目で見てみたい」
アイリーン「カント君も言っていましたが オルファンの力は人間の手には 余るものです」
アイリーン「私はオルファンを 人間が管理している今の状況こそが 不自然だと思います」
ベラ「では、リクレイマーを オルファンから排除すべきだと?」
アイリーン「はい…。 オルファンの安全性が明らかになれば そうするのが最も自然でしょう」
麗雄「ふむ…オルファンを 山や海のような自然物と考えるか…」
ベラ「アイリーン艦長、 やはり我々はオルファンに 向わねばなりません」
ベラ「そして、自分の目で オルファンとは何であるかを 確かめたいと思います」
カント「わかりました。 オルファン…ひいては地球の未来を 見てきて下さい」


第44話
応えよ、オルファン

〔戦域:森の中のオルファン周辺〕

(アルビオンが出撃、母艦出撃選択、オルファン入り口を指す)
甲児「お、おい…」
トビア「大きいとは 聞いていたけど…」
豹馬「この山みたいなのが オルファンなのかよ…!」
ジュドー「このサイズ… コロニーよりもはるかに大きいぜ…!」
「こんな巨大な物体が 空を飛ぶとは信じられないぜ…」
シモン「周囲には我々とオルファン以外の 反応はありません」
シナプス「どうやらドクーガに 先んじる事が出来たか…」
比瑪「見て、勇!」
(オルファンの前の地面を指す)
「花…? 花が咲いているのか?」
麗雄「ふむ…カント君の言う通りだ。 オルファンが周囲のオーガニック・ エナジーを活性化させているらしい」
「傷ついた地球をオルファンが 治してくれているんだ…」
ケン太「うん…。 オルファンの周りには友達たちが 集まってきているよ…!」
(敵機が出現)
「姉さん!」
カナン「あの白い奴… ジョナサンの新しいアンチボディね」
ラッセ「ああ…。こっちまで 狂暴な気が伝わってくる…!」
シナプス「リクレイマー、応答願う。 こちらはαナンバーズの エイパー・シナプス大佐だ」
シナプス「我々は 話し合いのためにここに来た。 応答を願う」
???(ゲイブリッジ)「………」
ジョナサン「通信に応じないのですか、 ガバナー?」
???(ゲイブリッジ)「………」
ジョナサン「かつてのお仲間と 戦うのは、さすがにためらわれるの ですかな…?」
???(ゲイブリッジ)「………」
伊佐未直子「………」
???(ゲイブリッジ)「明言しておく。 彼らのやり方では人類の未来は 築けない…」
???(ゲイブリッジ)「だから、私は ガバナーとしての職務を果たすため オルファンに戻ったのだ」
伊佐未直子(勇…比瑪ちゃん…)
バロン「………」
シモン「オルファンから応答ありません!」
シナプス「やむを得んか…。 機動部隊発進だ!」
(出撃準備)
キリー「やれやれ…、 いきなりの修羅場のようだ、 イザベル」
イザベル「平気です!  謎に包まれていたオルファンを 報道するのもジャーナリストの義務です」
キリー「ふうん…、 仕事熱心な女性も悪くないね」
イザベル「キ…キリーさん… 冗談はやめて下さい!」
ベルトーチカ「イザベル!  ゴーショーグンで撮影した映像は こちらから世界中に放映されるわ」
ベルトーチカ「オルファン問題も 今や世界中の人々の関心の的よ。 スクープを頼むわね」
イザベル「はい、ベルトーチカさん!」
シナプス「応答願う! こちらも グランチャーが攻撃を仕掛けてきたら 応戦せざるを得ない!」
シナプス「伊佐未博士、応答願う!」
???(ゲイブリッジ)「シナプス大佐、 現在、オルファンの指揮権は この私…ガバナーが握っている」
比瑪「この声って…!?」
「まさか…!  いや、そんな馬鹿な…!」
比瑪「でも、間違いない…!  この声…ゲイブリッジ司令だ!」
比瑪「ゲイブリッジ司令がガバナー…?  ガバナーって何なんです!?」
ゲシブリッジ「リクレイマーの統括者で オルファンの力を調整しようとする者が ガバナーだ」
比瑪「リクレイマーの…?  そんな…ノヴィス・ノアの人達や 私達をずっと騙して…」
ゲイブリッジ「………」
シナプス「ゲイブリッジ司令…」
麗雄「司令は政府との交渉のために、 ノヴィス・ノアを降りたはずでは…」
ゲイブリッジ「そう…。 その後に私は真の職務であるガバナーに 戻ったのだ」
比瑪「…あなたって人は なんて大人なんでしょう!」
ゲイブリッジ「比瑪ちゃんの気持ちは わかるが…」
比瑪「比瑪ちゃんじゃない!」
ゲイブリッジ「………」
シナプス「ゲイブリッジ司令…、 あなたがガバナーである事は 認めざるを得ません…」
シナプス「ですが、聞かせてもらいたい。 何故、我々との話し合いに応じようと しないのです?」
ゲイブリッジ「君達と話をしても 無駄という事だ」
「何…!?」
ゲイブリッジ「君達のやり方では いつまで経っても人類は次のステップに 進めないのだ」
カミーユ「アムロ大尉…!」
アムロ「ああ…このプレッシャー、 シャアと同種のものだ…」
ゲイブリッジ「シャア・アズナブル…、 ネオ・ジオンの赤い彗星か…」
ゲイブリッジ「全人類を宇宙に 上げることで人の革新を促す方法論は 誤りではない…」
カミーユ「あなたも地球を破壊する事が 人類の未来への道と考えるのか!」
ゲイブリッジ「そうではない。 …少なくとも私は彼のやり方については 賛同は出来ない」
ゲイブリッジ「私は天然自然の為すものに 人類が畏敬の念を起こしてほしいと 願っているのだ…」
「何…」
ゲイブリッジ「物事が人の願い事通りに 都合よくいくものではないと 教えたいのだよ」
比瑪「ゲイブリッジ司令…」
ゲイブリッジ「…少なくとも オルファンの力で、社会に変革を もたらす事は出来る」
ジュドー「何を言っているんだ!  あんたは地球を死の星にすれば いいって言うのかよ!」
比瑪「ゲイブリッジ司令!  それはオルファン自身も 望んでいる事なんですか!?」
ゲイブリッジ「………」
ゲイブリッジ「グランチャー部隊、 攻撃を開始せよ」
ゲイブリッジ「彼らの強い意志は 人類に余計な希望を与える…。 よって排除せよ」
伊佐未直子「ゲイブ…あなたって人は… あなたって人は人の生命を 何だと思っているのですか!?」
ゲイブリッジ「文明を盲信する人類の目を 開かせるためには、こんな方法しか なかったのです」
ゲイブリッジ「直子さん、 私がこんな役目を喜んでやっているとでも 思いますか?」
伊佐未直子「あなたは… こんな事をする方ではなかった…」
ゲイブリッジ「僕は変わっていませんよ。 昔からこの旧態然とした社会に 変革をもたらそうと考えていました」
ゲイブリッジ「そのためだったら 大量虐殺の汚名を着せられても 受けるつもりです」
ゲイブリッジ「人類粛清の汚名は 全て僕がかぶるつもりです」
伊佐未直子「………」
ゲイブリッジ「しかし、ここまでの オルファンの動きは人類滅亡の方向に 進んでいるのです」
伊佐未直子「ゲイブ…」
ゲイブリッジ「しかし、オルファンの もたらす結果が地球の生態系全てを 根絶やしにするとも思えないのです」
ゲイブリッジ「ですからね、直子さん…。 あなたには…あなただけには、 この気持ちを理解して欲しかった…」
伊佐未直子「………」
伊佐未直子「わかりました…。 もう私は何も言いません…。 もうあなたから離れませんから…」
ゲイブリッジ「ありがとうございます…」
クインシィ「ガバナーの命は下った。 グランチャー部隊、αナンバーズを 片づけるぞ!」
ナンガ「どうします、シナプス大佐!?」
シナプス「………」
比瑪「シナプス大佐! 私に オルファンと話をさせて下さい!」
「比瑪…お前…!」
比瑪「ゲイブリッジさんは あんな事を言っているけど それは人間の勝手な考え方だと思う!」
比瑪「だから、私… 直接オルファンに話を聞いて みたいんです!」
ケン太「僕も比瑪さんに賛成だよ!」
OVA「ケン太君!」
真吾「おいおい、ケン太!  いつの間にゴーショーグンに!?」
ケン太「へへへ…イザベルさんの 器材積み込みのどさくさに 紛れ込んだのさ」
イルイ「私達、どうしても オルファンを近くで見たくて…」
ジュドー「イルイもいるのか!?」
レミー「…デートなら、 もう少し余裕のある時にしてよね…」
イルイ「ごめんなさい…」
ケン太「お願いだよ、真吾!  僕もオルファンと話をしてみたいんだ!」
真吾「…話と言っても、 相手は山か島みたいなものだぞ」
比瑪「とにかくオルファンさんの近くに 行ってみるしかないわよ!」
「僕もそう思います!」
クマゾー「思うも!」
シモン「君達!  いつの間にブリッジに!?」
アカリ「お願いです、シナプス艦長!」
ユキオ「比瑪ねえちゃんとケン太を オルファンに行かせてあげて下さい!」
「シナプス艦長…、 俺も子供達の意見に賛成だ」
「ゲイブリッジ司令の考えが オルファンの意志なら俺達は 奴を破壊しなくてはならない…」
「だが、比瑪や友達と話せる ケン太ならオルファンと交信出来るかも 知れない!」
シナプス「………」
比瑪「勇…」
シナプス「…わかった。 各機は比瑪とケン太がオルファンに 近づくのを援護しろ」
「了解!」
比瑪「ありがとうございます、 シナプス艦長!」
真吾「そういう事だとさ。 準備はいいかい、イザベル?」
イザベル「はい!  この戦い、私の生命を懸けても 世界中に伝えます!」
レミー「それじゃあ、 オルファンとのご対面に向けて レッツゴー!」
(目標地点を指す)
「あそこまで行くぞ、比瑪!」
比瑪「うん!」
カナン「ラッセ!」
ラッセ「心配するな、カナン。 俺は勇と比瑪のエスコートに徹する。 無理はしないさ」
ラッセ「もっと、カナンと 生きたいからな」
カナン「ええ…」
ヒギンズ「カナン… ラッセの言葉は信用出来るわ」
カナン「わかったわ、ヒギンズ。 私もオルファンの心を知りたい…」
伊佐未翠「ガバナー、 あの黒いロボット、戦いの様子を 全世界に放映する気のようですが…」
ゲイブリッジ「放っておけばいい。 ここでαナンバーズが倒れれば、 民衆はよりオルファンに傾倒する」
バロン「…αナンバーズの力は 侮るべきものではありませんぞ」
ゲイブリッジ「それは理解している。 だが、報道の力は使いようによれば こちらにも有利に働く…」
バロン「わかった…。 ガバナーには考えがあるようだ」
(作戦目的表示)

〈1EP〉

ケン太「怖くない、イルイ?」
イルイ「大丈夫…」
ケン太「でも、さっきから 震えているみたいだけど…」
イルイ「………」
イルイ「…ケン太はオルファンに会って 何をするつもりなの?」
ケン太「…実はさ…、 あんまり考えてないんだ…」
イルイ「え…?」
ケン太「だだ、護も言っていたけど オルファンが僕達を呼んでいるような 気がするんだ…」
ケン太「そう…友達と同じように 何かを伝えようとしてさ…」
イルイ「………」

〈2PP〉

イザベル「………」
キリー「どうした、イザベル?  戦闘は初めてか?」
イザベル「え…ええ…」
キリー「心配するな。 俺達がいる限り、君に銃弾一発、 指一本触れさせやしないさ」
イザベル「ありがとう、キリー…。 やはり、あなた達は私が夢見ていた 正義のヒーローです」
キリー「正義のヒーロー?  よしてくれよ、他の連中はともかく 俺達3人とは別世界の話さ」
レミー「ごめんね、イザベル。 私達、SF映画のヒーローなんかじゃ ないのよね」
真吾「そう。 悪いけど正義とか平和とか 関係ないんじゃないの」
イザベル「じゃあ、あなた方は 何のために戦うのです?」
キリー「乗りかかった船、 いや、逃げ込んだ船さ」
キリー「ここには俺を追っかける うるさいデカもいないし、メシも ちゃ~んと食える。ニヒッ」
レミー「まあ、地球圏がこんな状態だしね。 戦わなきゃしゃあないのよね」
真吾「俺達は3人共ファイターだ。 戦うのが仕事でね」
イザベル「困ります!  絶対、それ、困ります!」
キリー「おいおい、君の台本に合わせて 俺達は戦ってんじゃないのよ」
イザベル「でも…それでは パパとママが可哀想です…」
レミー「パパとママ?」
イザベル「ドクーガの存在をスクープした パパはママとの旅行中に何者かに 殺されたんです…」
真吾「ドクーガのしわざか…」
キリー「………」
レミー「結局、あなたはご両親の仇を 討ちたいのね…」
イザベル「え…」
キリー「なるほど…そのためには ドクーガと戦う俺達が正義の味方じゃ なきゃ格好つかないな」
イザベル「…いいえ…違います。 私、報道の力で平和を…」
レミー「無理しないの。 誰だって自分の都合でケンカを しているんだから」
真吾「そう…俺達みたいなビジネスで 戦う奴がいれば、信念や理想のために 戦い奴もいる…」
真吾「君のパパやαナンバーズの 連中のようにね」
キリー「そういうこと。 自分の都合に御大層な能書きは いらないさ」
イザベル「………」
真吾「心配するな、イザベル。 本音を聞かせてもらったからには 俺達は最後まで協力するぜ」
レミー「だから、しっかりね。 ちなみに私の撮影は左45度から よろしく!」
イザベル「皆さん…」
キリー「ま、早い話、 真吾もレミーも君の事を 気に入ったのさ…無論、俺もね」
イザベル「キリー…」
キリー「泣き顔のリポーターじゃ 視聴者はがっかりだ。 さあ、飛びっきりのスマイルで頼むぜ」
イザベル「はい…!」

〈3PP or 味方機がオルファンに近づく or 敵機全滅〉

(ドクーガが出現)
真吾「来たぞ、ドクーガだ!」
ケルナグール「ええい、ブンドルめ!  何がオルファンを襲えば グッドサンダーが出てくるだ!」
ケルナグール「こんな戦闘の只中に ワシ達を送り込みおって!」
カットナル「そう言うな、ケルナグール。 お前もαナンバーズとは 戦ってみたいと言っていたではないか」
ケルナグール「おうよ!  地球圏最強の特殊部隊と噂されている 連中だからな」
カットナル「では、リクレイマーと 奴らの戦いに乗じて、ワシ達は オルファンを奪取するとしよう」
カットナル「そうすれば、 その内にグッドサンダーも やってくるだろう」
ケルナグール「グフフ… 欠席部長というやつだな」
カットナル「それを言うなら 一石二鳥だ!」
レミー「随分と勝手な事を 言ってくれるわね!」
キリー「聞いたかい、イザベル。 あれが君の追っているドクーガの やり方だ」
イザベル「はい…。 彼らの暴挙は許してはおけません!」
シナプス「ゲイブリッジ司令!  ドクーガの狙いはオルファンだ。 我々が争っている場合ではない!」
ゲイブリッジ「私から見れば ドクーガも諸君らも大差はない」
ゲイブリッジ「よって諸君らには 最後通告を与える」
ゲイブリッジ「…5分後に 我々は最終攻撃を敢行する」
「何っ…!?」
ゲイブリッジ「グランチャー部隊、 ドクーガもオルファンの敵だ。 こちらに近づけるな」
「く…」
真吾「どうする、勇!  一時、後退するか!?」
「いや…オルファンにここまで 接近出来るチャンスはそうはない。 強行突破する!」
レミー「そう来なくっちゃ、 ヒーローの名がすたるってものね!」
シナプス「各機はブレンと ゴーショーグンを援護しろ!」
シナプス「5分以内に目的を果たし、 速やかに戦場から離脱するぞ!」
(作戦目的表示)

〈NEXT PP〉

シナプス「急げ!  残り時間はあと4分だ!」

〈NEXT PP〉

シモン「作戦時間は残り3分です!  各機は急いで下さい!」

〈NEXT PP〉

シナプス「残り時間はあと2分だ。 敵の撃墜よりも作戦目的の達成を 優先しろ!」

〈NEXT PP〉

シモン「シナプス大佐!  最終攻撃まであと1分です!」
シナプス「前線の小隊は 危険を承知で戦っている!  我々もぎりぎりまで耐えるぞ!」
パサロフ「了解!」

〈シラー機撃墜〉

シラー「いかん! ここは後退する!」
(シラー機に爆煙×2、撤退)

〈vs クインシィ〉

[勇]

「姉さん、そこをどいてくれ!  比瑪をオルファンに行かせて やってくれ!」
クインシィ「馬鹿を言うな!  異物であるブレンをオルファンに 近づけさせてたまるか!」
「く…聞く耳持たずかよ!  いつになったら直るんだ、 その性格は!」

[比瑪]

比瑪「このグランチャー、 勇のお姉さんの依衣子さんですよね!」
クインシィ「気安いぞ、小娘!  私はグランチャー部隊の指揮官の クインシィ・イッサーだ!」
比瑪「じゃあ、グランチャーを 引き上げさせて下さい! 私達は オルファンと話がしたいだけなんです!」
クインシィ「それが気安いと言うんだ!」

[撃墜]

クインシィ「αナンバーズめ…!  よくも…!」
(クインシィ機に爆煙×2、撤退)

〈vs ジョナサン〉

[勇]

ジョナサン「勇!  そいつがお前の新しいブレンか!」
「どけよ、ジョナサン!  今日はお前に構っている暇はない!」
ジョナサン「ハ…!  バロンズゥに恐れをないたか!  ならば苦しまずに片づけてやろう!」
「ここにもわからず屋がいる…!  オルファンはこんな連中を集めて 何がしたいんだよ!」

[比瑪]

比瑪「このアンチボディ…、 グランチャーより狂暴な気を感じる…!」
ジョナサン「そうさ!  バロンから授かったバロンズゥの力、 貴様にも見せてやるさ!」

[撃墜]

ジョナサン「まだまだ!  バロンの前で無様な戦いを 見せるわけにはいかないんだよっ!」
バロン「下がるのだ、ジョナサン。 今はお前の生命を懸ける時ではない」
ジョナサン「しかし…!」
バロン「私の言葉が聞こえないか?」
ジョナサン「…了解だ、 バロン・マクシミリアン…」
(バロンズゥに爆煙×2、撤退)

〈vs カットナル〉

[真吾]

真吾「大人しくしてたと思ったら やっぱり混乱に乗じて出てきたか」
カットナル「フフフ…地球全体が闇に 包まれようとしているのだ。闇に生きる 我々が出てくるのは当然だろう」
レミー「ふうん…行動様式は ゴキブリにそっくりね…」
イザベル「スグーニ・カットナル氏 連邦上院議員候補のあなたがドクーガの 幹部という噂、本当だったのですね!」
カットナル「な…何だ、お前は!?」
イザベル「私は、この戦いを 世界中に放映するレポーターの イザベル・クロンカイトです」
カットナル「この戦いが 放映されているだと!?  何たることだ!」
レミー「あらら…スキャンダルを 気にするなんてドクーガの幹部も 随分と小悪党ね…」
カットナル「ええい、黙れ!  上院議員当選は、このカットナルの 子供の頃からの夢だったのよ!」

[撃墜]

カットナル「くーっ!  グッドサンダーも現れんし、これでは 骨折り損のくたびれ儲けではないか!」
カットナル「脱出するぞ!」
(カットナル艦に爆煙×2、撤退)

〈ケルナグール艦撃墜〉

ケルナグール「ヌハハ!  今日のワシは一味違うぞ!」
(ケルナグールに『ド根性』)
レミー「あきれたしぶとさね…。 まるで野生動物みたい…」
真吾「あんなのを相手していたら こっちの体力がもたないぜ」
キリー「そういう事。 プロはプロらしく、さっさと目的を 果たしますか!」

〈ゴーショーグンとヒメ・ブレンが目標地点へ到達〉

シモン「ゴーショーグンとヒメ・ブレン、 目標地点に到達しました!」
シナプス「各小隊は2機を援護しろ!  敵を周囲に近づけるな!」
真吾「これがオルファンか…」
レミー「近くで見るとすごい迫力ね…」
比瑪「きれい…。 これが雲で空で…太陽で オルファン…!」
「改めてオルファンという奴が 海底にいた時とはまるで違ったものに 見える…」
比瑪「そうよね…!  宇宙に飛び立とうとする羽衣… 銀河の羽衣を着た女神だわ!」
ケン太「うん… 僕にも、そう思えるよ…!」
「銀河の羽衣…。 あれを見て、そんな事を言うなんて おかしいとは言わないけど…」
「そうは見える…。 優しいんだな、お前…」
比瑪「そうかな…。 見える事、言っただけだよ」
「リバイバルしたそのブレンと 出会った時、お前は物怖じ しなかったよな…」
「俺はグランチャーに乗る時は 縮み上がったのに」
比瑪「それはきっと グランチャーだったからよ…」
「いや、そうじゃない…。 そうじゃないよ、きっと…」
(オルファンより、 比瑪の方こそ女神なのかも知れない…)
(そういう感じ方をする心を 持っているんだから…)
比瑪「オルファーン! 聞こえて?  聞いて欲しいことがあるの!  オルファンさーん!」
比瑪「オルファンさーん! わかり合える はずなのに、戦うなんて絶対におかしいって 思いません? オルファンさん!」
ケルナグール「ええい!  奴らは一体、何をしている!?」
カットナル「落ち着け、ケルナグール!  ここは一度退いて…」
ケルナグール「そんな悠長な事を 言ってられるか! 背中を見せたら やられるのはこっちだ!」
ケルナグール「こうなったら…!」
(ケルナグール艦がオルファンの南側へ移動。ケルナグール艦の北側にミサイル×5が出現)
ケルナグール「秘蔵の核ミサイルで 奴らに一撃食らわせてやるわ!」
カットナル「いかーんっ!  早まるな、ケルナグール!」
ケルナグール「うるさいっ!  カッとなるのはお前の専売特許だ!  巻き込まれたくなければ後退しろ!」
伊佐未翠「ガバナー!  ドクーガの核ミサイルがこちらに 標的を定めています!」
ゲイブリッジ「うろたえるな。 オルファンはダメージを受けるが、 銀河を飛ぶ事に支障はないだろう」
ゲイブリッジ「それよりも ドクター伊佐未、準備はよろしいか?」
伊佐未研作「いつでも」
ゲイブリッジ「よし…この光景を世界に 放映している回線をジャックしろ」
(雑音)
イザベル「え…」
キリー「どうした、イザベル?」
イザベル「強力な電波が こっちの回線に侵入してきます!」
ベルトーチカ「これでは私達の 回線が乗っ取られるわ!」
アムロ「何だと!?」
(通信)
ゲイブリッジ「この放送を ご覧になっている世界中の方々に 伝える!」
ゲシブリッジ「αナンバーズは 我々オルファンに対し、卑怯にも 核ミサイルを発射してきた」
ゲイブリッジ「オルファンは既に 数万の難民を収容しているにも関わらず この愚挙に及んだのだ!」
イザベル「これは…!?」
甲児「ちょっと待てよ!  これじゃ俺達が悪者じゃないかよ!」
万丈「都合のいいところで 回線を乗っ取り、自分達の正当性のみを 世界に主張するか…」
万丈「どうやら、やられたようだ…!  ゲイブリッジ司令の狙いは これにあったのか!」
ゲイブリッジ「だが、我々と オルファンは何者からの攻撃にも 屈しはしない」
ゲイブリッジ「それを皆さんは もうすぐ目の当たりにするだろう」
カットナル「ケルナグール!  攻撃を中止しろ! 奴はこちらの攻撃を プロパガンダに利用するつもりだぞ!」
ケルナグール「プロパンガスだか シロクロパンダだか知らんが、 もう遅い!」
ケルナグール「車とミサイルは 急には止まれんわ!」
ヒギンズ「勇! オルファンは 核を受けても無事なの!?」
「自信があるからリクレイマーは 撃たせるんだろうさ!」
「だが、オルファンは無事でも この周囲の自然は破壊され 放射能は近くの街まで流れる!」
ケン太「オルファンの周りの木や草、 風や雲が怯えている…!」
比瑪「…そうよね、オルファンさん。 そんな事我慢出来ないよね…!」
「比瑪…」
「…ナンガ、ラッセ!  手伝ってくれ!」
ラッセ「手伝うって何を!?」
「説明は後でする!  俺の指示する位置へ動いてくれ!」
(ユウ・ブレンがヒメ・ブレンから離脱し、ナンガ・ブレンとラッセ・ブレンも離脱して四体でひし形を作る)
ナンガ「このフォーメーションは…」
「チャクラでトライアングルを作る!  そのシールドで核ミサイルを 止めるんだ!」
比瑪「勇!」
「心配するな!  比瑪はオルファンの側に いてやってくれ!」
「みんなは俺達の後ろに回るんだ!  みんなのオーガニック・エナジーを ブレンで集める!」
アムロ「了解!  各機はブレンの作るトライアングルの 後方に回り込め!」
(各小隊がオルファン前に整列)
ラッセ「だが、俺達3人では ミサイル全てをカバー出来ないぞ!」
ナンガ「泣き言を言っても仕方ない!  俺達は俺達で出来る事をするだけだ!」
「もっと広がれ!  俺達の後ろにはオルファンと比瑪が いるんだぞ!」
(グランチャー×2とバロンズゥが出現)
真吾「グランチャーが出てきたぞ!」
「姉さん…!」
クインシィ「………」
(ナンガ・ブレンの南にクインシィ機、ラッセ・ブレンの南にシラー機、北側にバロンズゥが移動し、ブレンパワードとは逆の三角を作り六角形になる)
ナンガ「こいつら…」
ラッセ「協力してくれている…?」
シラー「クインシィ、ジョナサン… 何故ですか!?」
ジョナサン「ガバナーはαナンバーズを 社会的に抹殺するために ミサイルを受ける気でいる…」
ジョナサン「奴の思い通りに させる気はないっ!!」
クインシィ「オルファンが 傷つけられるのを、黙って 見ていられるか!」
「姉さん! クインシィ・イッサー」
クインシィ「わかってる、勇!!」
(バロンズゥから赤い光が出て、クインシィ機とシラー機に、ユウ・ブレンから青緑の光がナンガ・ブレンとラッセ・ブレンに走り、六芒星になり、オレンジの光が広がり続ける。ミサイルが六芒星の傍まで移動)
「とまれー!」
「みんなぁっ! 力をぉぉぉぉぉっ!!」
(閃光)

[光の中]

比瑪「こんなもの!  なくったって、人は!  生きていけます!!」
比瑪「めぇ、でしょーっ!!」
ジョナサン「これが!  アンチボディの力かよ!?」
クインシィ「不思議だ…… 不思議な感覚だ……涙が…涙が…… あふれる…」
比瑪「え…この感じ…」

[銀河とオリオン大星雲]

少女「………」
比瑪「さあ、もう泣かないで。 寂しくないよ」
少女「………」
比瑪「私だって、あなたに触れるから 寂しくない」
少女「………」
比瑪「寂しがる殻というのがあってね。 いつまでも、そこに閉じこもっていると 泣いちゃうんだよ」
少女「寂しがる殻?」
比瑪「うん…その殻の中にいるとね、 ずっと泣いちゃうんだよ。 だからね、そこからは出るの」
少女「殻から出るの?」
比瑪「そう!  私は宇都宮比瑪って言うんだ」
少女「比瑪姉ちゃん?」
比瑪「そうだよ」
少女「そうか!  あたしね、比瑪姉ちゃんを ずっと待ってたんだ!」
比瑪「あなた…?」
(オルファンの飛翔、閃光)

[地球]

比瑪「オルファン…。 こんなに優しいあなたが地球に ひどい事するはずないよね」
比瑪「地球ってね、こんな想い出を いっぱい持ってる生き物たちが、 たくさん住んでる星なのよ!」
比瑪「え…? あれは…!」
比瑪「オルファンが二人……… 戦ってるの…?」
比瑪「それで地球に落ちてきたの…。 もう一人のオルファンは どうなったかわからないの…?」
比瑪「ブレンとグランチャーって 別々のオルファンの子供だったの…」
比瑪「………」
比瑪「オルファーン、ありがとう!  あたし達のこと、嫌いじゃないんだね!  ならさ、あたしのお話だって聞いてよ!」
比瑪「寂しがり屋さんというの、 恥ずかしいことじゃないんだよ!」
(閃光)

《中国北部・WORLD AREA》

[医務室]

比瑪「………」
比瑪「ここは…!?」
アカリ「比瑪姉ちゃん!」
ユキオ「勇! 比瑪姉ちゃんが目を 覚ましたよ!」
「気がついたか、比瑪!」
比瑪「勇…」
「比瑪…あなたは気を失って ブレンに艦まで運ばれたのよ」
比瑪「オルファンは…!?  ミサイルはどうなったの!?」
「落ち着けよ、比瑪。 ミサイルはチャクラトライアングルの シールドで停止したよ」
比瑪「停止って…?」
OVA「文字通り止まったんです。 ミサイルは推力を失って不発のまま 地上に落ちました」
「大スペクタル映像だったわよ。 あとでイザベルさんの撮ったビデオを 見せてもらうといいわ」
「その映像のおかげで 俺達はオルファンを守った側の扱い、 悪いのは全てドクーガになったよ」
「もっとも…あの場は 後退せざるを得なかったがな」
ナンガ「結局、今回の作戦は 骨折り損に終わったってわけだ」
比瑪「ううん… そんなことはありません…」
ケン太「比瑪さん…もしかして…」
比瑪「オルファンは約束してくれたよ。 地球とそこに住む人達の想い出を 大事にするって」
ケン太「比瑪さんも オルファンに会ったんだね」
比瑪「うん…」
「あの時の感覚… やはり、あれはオルファンが もたらしたものだったのか…」
比瑪「じゃあ、みんなも感じたんですね?」
「ええ…あの瞬間、 その場にいた全ての人間がオルファンと 何らかの接触をしたらしいの」
OVA「ロボットの私でさえ 不思議な刺激をメインコンピュータに 感じましたが…」
OVA「ケン太君や護君、クマゾー君達は 特にその印象が強烈だったみたいです」
「アムロ大尉やカミーユの話では ニュータイプ同士の心の接触に 近い感じだったそうだ」
比瑪「そうか…」
ラッセ「だからといって オルファンの安全性が確認された わけじゃない」
「ああ…それに俺は ゲイブリッジ司令のやり方を 認める気はない…」
「もちろん、俺も同感だ。 そのためにも人類が滅びない事を 俺達の手で証明してやるさ」
比瑪「そうね…。 オルファンさんだって自分の殻から 脱しようとしているもの…」
比瑪「人間だって頑張れるところを 見せなくちゃね」
「ああ…」
カナン「外を見て…。 オルファンが動き出すみたいよ」
「オルファンが…大地を離れる…!」
比瑪「飛べばいいんだよ、オルファン」

[草原]

アムロ「本当にこんなところで いいのかい、ベルトーチカ?」
ベルトーチカ「ええ。 ここまでくれば近くの街まで すぐだから」
アムロ「気を付けてな、ベルトーチカ」
ベルトーチカ「優しいのね、アムロ。 …チェーンにも、そんな調子なの?」
アムロ「それは…」
ベルトーチカ「いいわ。 今のアムロはシャア・アズナブルとの 決着の方が大切だもの…」
ベルトーチカ「でも、忘れないでね。 アムロ・レイを撃墜するのは赤い彗星でも チェーンでもなく私だって事を」
アムロ「ああ…覚えておくよ」

真吾「ここでお別れだな、イザベル」
イザベル「はい…」
レミー「あなたの報道のおかげで ドクーガの行動開始は世界中に 知られる事になったわ」
キリー「ま…少しだけリクレイマーが プロデュースした脚色が 入っているけどな」
イザベル「…これでパパとママも 浮かばれると思います」
レミー「で、仇討ちを果たした あなたのこれからは?」
イザベル「…決まっています。 報道の力で人々の生活を脅かす悪と 戦っていくつもりです」
イザベル「今度はパパとママの ためではなく自分の意志で…」
真吾「そいつは結構だ。 また一人、頼もしい味方の誕生だな」
イザベル「はい…。 私、皆さんの戦いを世界中の人達に 伝えます」
イザベル「そして、私が皆さんに もらった勇気を世界中の人達にも 届けます」
キリー「イザベル…この戦いが終わって もし俺が生きていたら、自伝は君に 送るぜ」
イザベル「キリー…」
レミー(ふうん…キリーにしては 奥床しいアプローチじゃない…)
真吾「さあ、そろそろ時間だ。 グッドラック、イザベル」
レミー「シーユーアゲン」
キリー「また…フフフ…会おうぜ」
イザベル「はい…!  皆さんの勝利を祈ります!」


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