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銀河を旅する船 ゼンガー ~ 第18話 ~

《太平洋 オルファン・WORLD AREA》

[深海]

(……俺の誕生日なんて、 誰も覚えてないだろうな…)
(…宇都宮比瑪……。 確か、そう言ってたよな。 …どういう子なんだろ?)
(…俺、17歳になってしまった。 カナン…悪いけど…!)

[オルファン・ブリッジ]

伊佐未研作「…オルファンの活性化と 例のエネルギーには、何らかの関係が あるのかも知れん」
伊佐未翠「この間、プレートがリバイバルした 地域で検出されたという…?」
伊佐未研作「うむ。 ガバナーはビムラーと呼んでいたな」
伊佐未翠「オーガニック・エナジーの 一種ですか?」
伊佐未研作「もっと異質なものだと思うがね。 いずれにせよ、相互関係は調べねばならん」
伊佐未翠「ええ。 上の騒ぎが大きくならない内に」
伊佐未研作「…前大戦で確認された 海底への強力なバイタル・グロウブ…」
伊佐未研作「そして、 日本近海に落下したジュピトリアンの 巨大サイコミュ装置…」
伊佐未研作「オルファンは我々の予想以上に 外部からの影響を受けている。 このままでは……」
(扉が開閉する)
「………」
伊佐未翠「あら、ちょうど良かった。 もう一度あなたのデータを取りたいの。 準備してくれる?」
(銃を構える)
伊佐未研作「! 勇…!」
「………」
伊佐未翠「銃を下ろしなさい…!」
「オルファンが海から浮上したら 人類はみんな死ぬんだろ? そういうのを 手伝う仕事なんか…もう嫌だ!」
伊佐未翠「あなたもリクレイマーになって 7年…。オルファン浮上のために…」
「精神も肉体もグランチャーに合わせて アンチボディになることは辛いんだぞ!」
伊佐未研作「勇、冷静に!」
「親父の研究のおかげで 子供が実験台にされたんだ…!」
「お袋だって姉さんだって ここに来てから、まるでオルファンの アンチボディじゃないか!」
(銃声)
「! 姉さん!?」
クインシィ「裏切り者はっ!」
伊佐未研作「待て、依衣子!」
クインシィ「私はクインシィ・イッサー。 伊佐未依衣子ではない!」
「くっ!」
(勇が立ち去る)
クインシィ「! 逃がすか!!」
伊佐未翠「これが…オルファンの意志と いうのですか…!?」
伊佐未研作「そうなのか…?」

[格納デッキ]

(アラート、非常灯点灯)
「おい、付き合ってくれるな?」
ユウ・ブレン「………」
「お前だって… 光って言うのを見たいだろ?」
ユウ・ブレン「………」
(ブレンパワードとの共鳴)
「そうだ! お前は オルファンにいるような奴じゃない」
「急げよ…!  こんなブレンパワードのごみ箱で 金属の塊にはなりたくないだろ?」
ユウ・ブレン「………」
(システム起動)
「海中に出るぞ。耐圧、かけられるな?  ようし…いい子だ!」
「さあ、行こうか! 頼むぞ!」
(ブレンパワードとの共鳴)

《Gアイランドシティ・JAPANESE AREA》

[大空魔竜・ブリーフィングルーム]

アカリ「あ~っ! ユキオ、ずるい!  ケーキ二つも取ったぁ!」
ユキオ「俺は大きいんだから、 一つじゃ足りないの!」
ロペット「皆サン、 ケンカ ハ イケマセンヨ」
ハチロー「じゃあ、もう一個ちょうだい」
クマゾー「イルイも食べるも?」
ケン太「じゃあ、僕ももう一個!」
イルイ「ううん。 私、もうお腹がいっぱいだから…」
ケン太「じゃあ、僕がもらっていいかい?」
イルイ「うん…」
ケン太「じゃあ、ロペット。 もう一個ケーキを出してよ」
ロペット「OVA ノ 許可ガ 出ナイト 駄目デス」
ケン太「え~っ!? 何それ!?」
OVA「ケン太君、甘い物を 食べ過ぎると虫歯になっちゃいますよ」
ケン太「もう!  うるさいなぁ、おばさんは」
OVA「私の名前はOVAです。 『さん』はいらないって何度言えば わかってくれるんです?」
ケン太「イ~ッ、だ!  百回言われてもわかんないよ~だ!」
OVA「もうっ、ケン太君たら!」
(扉が開閉する)
サンシロー「おいおい… 何の騒ぎだ、こりゃあ?」
比瑪「いったい、何をやってたの?」
OVA「すみません…ご覧のとおりで。 私、教育ロボットの自信を なくしてしまいそうです…」
ロペット「仕方アリマセン。 人数ガ 人数デスカラ」
OVA「は、はあ…面目ありません…」
比瑪「ユキオ、アカリ、クマゾー!  ダメじゃない、ちゃんとOVAの いうことを聞かなきゃ!」
ユキオ「ご、ごめんよ、比瑪姉ちゃん」
クマゾー「ごめんなさいだも!」
サンシロー「まあまあ、いいじゃないか。 子供ってのは元気が一番なんだからさ」
比瑪「でも、結局この子達も大空魔竜へ お邪魔することになっちゃったし、 あまり迷惑をかけるわけには…」
サンシロー「いいって、いいって。 大空魔竜の中は広いんだ。 気にするこたあないよ」
ハチロー「ねえねえ、サンシローさん!  この子達に野球を教えてやってよ!」
サンシロー「おう、いいぜ」
ユキオ「すっげぇ~! プロの選手に 教えてもらえるなんて、感激~!」
サンシロー「この代わり、練習は厳しいぞ?」
クマゾー「僕、頑張るも!」
イルイ「………」
OVA「あら、イルイちゃん。 どうしたんです?」
イルイ「……来る………」
OVA「え? 何がです?」
イルイ「…わからない………」
比瑪「わからないって…イルイちゃん…?」

[大空魔竜・ブリッジ]

(アラート)
大文字「何だ!?」
ミドリ「ノヴィス・ノアより受信!  Gアイランドシティ方面へ 接近する所属不明の機体あり!」
大文字「機種は判別できんのかね!?」
ミドリ「アンチボディ、グランチャー… いえ、ブレンパワードです!」
大文字「!!」
ピート「ブレンパワードなら、ノヴィス・ ノアの所属じゃないんですか!?」
大文字「念のために照会を!  各員は警戒態勢!」
ピート「了解!」


第18話
銀河を旅する船

〔戦域:宇宙開発公団タワー周辺〕

(ユウ・ブレンが出現)
(このブレンパワードは俺に合っている…。 親父達の言うことは間違っていた…!)
大河「ノヴィス・ノアからの返答は?」
「あれは 未確認のブレンパワードだそうです」
麗雄「ブレンならリクレイマーではない。 じゃが、ここへ何をしに来おったんじゃ?」
牛山「さあ…? 迷子なんでしょうかねえ」
火麻「何をノンキな!  念のためにαナンバーズに 出撃を要請しろ!」
スワン「いえ!  すでに出撃態勢に入っていマス!」
(大空魔竜が出撃、母艦出撃選択、出撃準備)
ナンガ「見慣れないブレンパワードだな」
ラッセ「どこでリバイバルした奴だ?」
比瑪(あのブレン…もしかして…!)
火麻「さっさと奴の武装を解除させろ!」
大河「待て。 向こうに攻撃の意思はないようだ。 命君、回線を開いてくれたまえ」
「了解!」
大河「ブレンパワードに告ぐ。 君がここへ来た理由は何だ?」
「…GGG長官、大河幸太郎だな?  お前達が所有するビー・プレートの 研究データをよこすんだ」
大河「ふむ…私の正体を知っているとはね。 それにビー・プレートのことまで…」
「ここがノヴィス・ノアの 寄港地であることも知っている」
「さらに、お前達がビー・プレートを 保管していることもな」
麗雄「長官、彼は……」
大河「ああ、見当はついている」
比瑪「あの子、間違いないわ!」
ルー「比瑪! どこへ行くの!?」
(ヒメ・ブレンがユウ・ブレンの所へ移動)
比瑪「君っ!」
「その声! 宇都宮比瑪か…?」
比瑪「ああ!  伊佐未勇か…! 勇君かぁ!!」
ナンガ「何だって!? じゃあ、あいつは いつぞやのリクレイマーか!?」
豹馬「ええっ!?  リクレイマーって、ブレンパワードを 使わねえんだろ!?」
小介「は、はい」
豹馬「なのに、 何であいつはブレンに乗ってんだよ!?」
(警報)
スワン「長官!  ノヴィス・ノアより緊急通信!  リクレイマー部隊が接近中デス!」
大河「何ぃっ!?」
(グランチャー群が出現)
ケン太「あのメカは…!!」
イルイ「…………」
OVA「ケン太君、イルイちゃん!  危ないですから、奥の方に!!」
シラー「…オルファンから 脱走しようってのかい、勇!!」
「!」
シラー「カナン!  あんたの役目はあたしの援護だ!  わかってるな!?」
カナン「……了解」
カナン(シラー・グラス…!  勇を沈めるつもり?)
「カナン…ついてきてくれないか?  俺の気持ちは話してきたはずだ!」
カナン「地球は再生させない方がいいから… オルファンを浮上させるんだと 言っていたのは、勇でしょ!」
「カナン…! 話せばわかるはずだ!」
火麻「おい!  このままじゃ、またGアイランドシティに 被害が出るぞ!!」
ジュドー「くそっ! こないだ、あの子達を 守ったばかりだってのに!」
比瑪「艦にはクマゾーやアカリ達もいる!  リクレイマーなんかの好きにはさせないわ!」
大河「やむをえん…!  各機、リクレイマーを迎撃せよ!」
(作戦目的表示)

〈vs カナン〉

[比瑪]

カナン「あの時のブレンパワードね!」
カナン「あなたに会わなければ、 勇もあたしも迷うことなんか なかったのに!!」
比瑪「!!」

〈1EP〉

「カナン!」
カナン「何で相談してくれなかったの!」
「相談したよ!  でも、カナンはいつも自分のことばかり 喋っていただろ!」
カナン「あたしが…?」
「あの時、ブレンパワードに会ってから ずっとだよ…!」
カナン「そうだったの……!」
「カナン… オルファンを捨ててくれないか?」
カナン「出来るわけないでしょ!  …出来ないわ!」
「シラーもジョナサンも クインシィに親父やお袋…カナンもだけど みんなオルファンによりかかっているよ!」
「それでは子供のままじゃないか!」
カナン「思い通りにならないからって お家を飛び出してしまう方が ずっと子供だと思わない?」
「俺はオルファンの間違いに気がついたんだ。 オルファンでは選ばれた人間だけが 生き残れるって教えられた…!」
「オルファンに呼ばれた リクレイマーだけ生き残るって…。 それってさ…絶対間違ってるよ!」
カナン「………」
「俺さ…ブレンパワードに乗った時に わかったんだ」
「オルファンではちゃんと動かなかった あれさ…動いてくれたんだぜ」
カナン「私は…あなたと違って 帰る場所はオルファンにしかないのよ!」
比瑪「ちょっと、君!  これって、どういうことなの!?」
「口を出すな!  これは俺とカナンの問題なんだ!」
比瑪「何でさ!  あの人あんたの姉さんなの!?  恋人かぁ!?」
「馬鹿言うな!  グランチャーが来るぞ!!」
【NPC戦闘】
[ソードエクステンション(射撃)]vsカナン[防御]
「カナン!  オルファンを頼ってる限り、 幸せにはなれないぞ!!」
カナン「私は…私はただ、生まれてきたことを 後悔したくないだけ!」
「だったら、なおさらオルファンから 離れなきゃ駄目だ!」
シラー「カナン!  ブレンパワードに汚染されている者の 言葉など聞くことはない!」
「カナンは誰にも愛されていないって 思い込まされてるんだ!」
カナン「あたはし生まれる前から 愛されていなかった!!」
(戦闘)
カナン「な、何なの!?  動かない!? 拒絶反応…!!」
シラー「カナン!  グランチャーに見捨てられたねえ!!」
(シラー機がカナン機に隣接)
カナン「私は 勇を連れ戻したかっただけよ!!」
シラー「伊佐未勇は邪魔なんだ!  ジョナサンやあたしにはね!  あんたも一緒に死んでもらうよ!!」
カナン「!!」
【強制戦闘】
シラー[ソードエクステンション(斬撃)]vsカナン[防御]
(カナン機が爆発)
「カナンッ!!」
比瑪「心配いらないわ」
「何…!?」
カナン「な、何故、助けてくれたの…?」
比瑪「私じゃなくて、この子が助けたの。 あなた…リクレイマーじゃないって 言ってるわ」
カナン「!!」
「お、お前……!」
シラー「隙を見せたねぇっ!  あんた達も一緒に片づけてやるよっ!!」
比瑪「!!」
(あいつとなら…いけるかも知れない!)
比瑪「どうするの!? 伊佐未勇!!」
「比瑪ちゃん、ひっつけよ!」
比瑪「ひっつく? くっくつの!?」
(ヒメ・ブレンがユウ・ブレンに合流、勇に『気迫』)
シラー「勇と一緒に 仲良く死なせてあげるよ!!」
比瑪「狙えないよ!!」
「狙うことはない!」
【強制戦闘】
勇&比瑪[チャクラエクステンション]vsシラー[防御]
シラー「な、何!?  こ、このオーガニック・ウェーブはっ!?」
ラッセ「今の光は…!!」
ウモン「二人で力を合わせおったのか!?」
比瑪「何だったの? 今の…!  伊佐未勇…君?」
「オーガニック・ウェーブ… アンチボディのチャクラ・ウェーブ・ モーションって奴かも知れないけど…」
バニング「各機、この機を逃すな!  グランチャーを迎撃するんだ!」

〈シラー機撃墜〉

シラー「いかん!  これ以上は幾らグランチャーでも…!」

〈敵機全滅〉

(敵機増援が出現)
ジョナサン「…奴ら相手では、 先発隊もそう長く保ちはしなかったか」
エッガ「どのみち、ここはもう終わりだ。 俺達はそれまでの時間を稼げばいい」
「ジョナサン!」
ジョナサン「勇…!  そんな機能不全のアンチボディで!」
「ジョナサン! 俺達が戦ったって、 何にもならないんだぞ!」
ジョナサン「オルファンが やろうとしていることを邪魔する奴は、 全て排除する!」
ジョナサン「貴様の任務も 同じだったはずだ!」
「今は違う!  グランチャーの任務もオルファンの 目的だっておかしいんだ!」
ジョナサン「おかしくはない!」
「グランチャー部隊の任務なんて 嘘っぱちだ!」
ジョナサン「オルファンの永遠は 人類の永遠である!」
「その前に人間が滅ぼされちまう!」
ジョナサン「人類の遺伝子はオルファンと グランチャーに残るんだよ!」
カミーユ「あの男…! あの考え方は…」
キンケドゥ「ネオ・ジオンや 木星帝国に似ている…!」
デュオ「どいつもこいつも 極端な考えに極端な方法ってわけね」
カツ「結局、組織が変わるだけで やることは同じなのか…!」
ケーラ「文句を言ったって始まらないよ。 今のあたし達の任務は Gアイランドシティを守ること…」
ケーラ「一般市民を、これ以上戦火に さらすわけにはいかないだろ?」
カツ「わかってます!」
エッガ「…どのみち、貴様らは ここで死ぬことになるんだよ」
エッガ「だから、 戦士らしい最期の時を迎えてみせろ!」
(作戦目的表示)

〈エッガ機撃墜〉

エッガ「ええい!  どうしたのだ、グランチャー!」

〈vs ジョナサン〉

[勇]

ジョナサン「そんな機能不全の ブレンパワードでっ!」
「ジョナサン・グレーン!」
ジョナサン「死ねよやぁぁぁぁぁっ!!」

[比瑪]

比瑪「あんた達!  ここには人がたくさん住んでるのよ!」
ジョナサン「そんなもの、 GGGの隠れミノだろうが!!」

[撃墜]

「ジョナサン・グレーン! 姉さんと 親父とお袋に伝えるんだ! オルファンに 従うことは絶対に正義じゃない!」
「オルファンで人類を抹殺することも、 地球を死の星にすることも、 絶対にさせない!!」
ジョナサン「勇ゥゥッ!」
「今言ったことを伝えるんだ!  行けぇっ!!」
(ジョナサン機が北へ移動)
ジョナサン「うわあっ! ゆ、勇めぇっ!!」
「伝えろ! そのために狙撃はしない!」
ジョナサン「ゆ、勇は…俺をメッセンジャー ボーイにしたのか! そのために見逃して くれたというのか、あやつはっ!!」
(ジョナサン機が撤退)
ミドリ「大文字博士、 グランチャーの後退を確認しました」
大文字「よし…各機には帰還指示を」
ミドリ「ま、待って下さい!  新たな敵機が接近中です!!」
大文字「!!」
(バーム軍が出現)
一矢「奴らは…!?」
ゼンガー「バーム軍…!」
(通信)
ハレック「聞こえるか、竜崎一矢」
一矢「俺を名指しで!? 誰だ!?」
ハレック「俺の名はガーニー・ハレック!  バーム星武術師範の名に賭けて お前に決闘を申し込む!」
一矢「決闘だと!?」
ハレック「共に 母星の誇りを賭けた一対一の勝負だ。 どうだ、この挑戦を受けるか!?」
一矢「………」

一矢選択

「その勝負、受けて立つ!」
「その手には乗らないぞ!」


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