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木星からの帰還者 ゼンガー ~ 第12話 ~

《火星 小バーム・SPACE AREA》

[小バーム]

リヒテル「何!?  妹が…エリカが行方不明だと?」
バルバス「も、申し訳ございません!  火星でリヒテル様をお待ちの際、外に出て 戦闘に巻き込まれた模様で…」
ライザ「その後、戦場を捜索したのですが 残念ながらお姿は発見できませんでした」
バルバス「おそらく地球人に とらわれたものと…。ですが、 それならばまだご存命の望みが…」
リヒテル「黙れ、バルバス!  余の妹が地球人ごときにとらわれ、 おめおめと生き長らえると思うか!?」
バルバス「は…はあ…その通りで…」
リヒテル「エリカも誇り高いバームの女だ。 父を殺した地球人にとらわれるなど 死に勝る屈辱…」
リヒテル「かような羽目に陥らば、 エリカは自らの手で死を選ぶに違いない。 よいか、余の妹のことは忘れろ」
マルガレーテ「お待ちください、若!」
リヒテル「マルガレーテか…」
マルガレーテ「若はたった一人の 妹君であるおひいさまを… エリカ様をお見捨てになるのですか?」
リヒテル「黙れ、マルガレーテ!  今は地球攻略こそが余に課せられた 最大にして唯一の使命なのだ」
マルガレーテ「嘆かわしい…。亡きお父上 リオン大元帥がお聞きになられたら、 どれほどお悲しみになることか…」
マルガレーテ「加えて、ボアザンや 素性も知らぬゼーラの輩の力を借りるなど バームの誇りはどこに行ったのです?」
ライザ「マルガレーテ!  リヒテル様とエリカ様の乳母と言えど、 口が過ぎるぞ!」
マルガレーテ「………」
リヒテル「余もエリカの身を案じている。 …だが、今は成すべきことがあるのだ。 それはエリカもわかってくれよう…」
ライザ「偵察部隊の報告では、 現在、地球は本星とその周囲との間で 勢力争いの只中にあるとのことです」
リヒテル「バルバス、ライザ!  ボアザンのド・ベルガン殿と協力して 地球侵攻の第一陣を早急に準備せよ!」
リヒテル「この好機に一気に 地球へ攻撃部隊を送り込むぞ!」
バルバス「はっ…!」
ライザ「リヒテル様の仰せのままに…」
マルガレーテ(ああ…おひいさま…。 どうか…どうかご無事で……)

《移動中 火星から地球へ・SPACE AREA》

[大空魔竜・個室]

エリカ「う…うん…」
一矢「…気がついたかい?」
エリカ「こ…ここは…?」
一矢「心配しなくていい。 ここは大空魔竜の中だ。 今、この艦は地球に向かっている」
エリカ「大空魔竜…? 地球…?」
一矢「俺は竜崎一矢。 火星で倒れていた君をここまで 運んだ者だ。…君の名前は?」
エリカ「エリ…カ…」
一矢「エリカか…。 君にぴったりのきれいな名前だ…」
エリカ「………」
一矢「…もう少し君のことを 聞かせてくれないか?  火星での所属とか、家族のこととか…」
エリカ「わ…わからない…!」
一矢「え…?」
エリカ「な…何も覚えていない…。 自分が誰であったのかも…ああ…!」
一矢「落ち着いて、エリカ。 今はショックで思い出せないだけだよ。 焦らなくてもいいんだ」
エリカ「………」
一矢「今はゆっくり身体を休めてくれ。 また、見舞いに来るよ」
エリカ「ありがとう…ございます…」

[大空魔竜・ブリーフィングルーム]

ナナ「どうだった?  お兄ちゃんが助けた女の人の様子…」
一矢「意識は取り戻したよ。 今はOVAがついてくれている」
一矢「けれど、エリカという名前以外は 思い出せないそうだ」
健一「記憶喪失か…。 戦場でのショックが原因だろう…」
鉄也「だったら、いいんだがな」
ナナ「え…? どういうこと?」
鉄也「向こう側には大使以外の人間も何人か 来ていた。それに加え、あの混乱だ…」
鉄也「本当に記憶をなくしているかどうか 知れたもんじゃないぜ」
一矢「彼女が バームのスパイだって言うのか?」
鉄也「ああ、そのとおりだ」
ナナ「嘘…!  あんなきれいな女の人が…!?」
京四郎「わからんぜ。 きれいなバラにはトゲがあるってな」
レミー「そそ。あたしみたいにね」
キリー「…レミーはトゲだけだろ?」
レミー「あ~ら、そういうこと言ってると 刺さっちゃうわよ? トゲが」
真吾「…ご両人、 茶化していい空気じゃないようだぜ」
一矢「彼女は… エリカはスパイなんかじゃない!」
京四郎「フン。 ゲーテ曰く『恋は盲目』か…」
キリー「さらに、 『一目惚れと勘違いは紙一重』…」
真吾「それ、誰の格言なんだ?」
キリー「俺のオリジナルさ」
レミー「ダメだ、こりゃ」
京四郎「一矢…今のお前は父を失い、 さらに女の色香にたぶらかされ 正常な判断力を失っている…!」
一矢「京四郎! 俺がまともな 判断力を失ってるって言うのか!?」
京四郎「ああ。そうやってムキになって 突っかかって来るようじゃあな」
健一「二人とも、そこまでだ。彼女の 素性は今後、調べていけばわかる。 今、争ったって何にもならないぞ」
一矢「く…」
(足音・一矢が立ち去る)
ナナ「お兄ちゃん…」
京四郎「放っておけ。 今の一矢は親父を亡くしたショックで 女に走ったふぬけだ」
真吾「それに、エリカって子には 正直腑に落ちない点もあるしな」
ナナ「どういうこと?」
真吾「考えても見ろよ、 あの子は会談場の近くにいたんだぜ?」
キリー「そう、 一般人立ち入り禁止の場所にな」
ナナ「あ…!」
鉄也「それに、バーム人と俺達の外見の違いは 背中の翼ぐらいだ」
鉄也「上手く変装をすれば、入植者の中に 紛れ込むのは容易なはず…」
京四郎「ああ。 ここは疑ってかかった方がよさそうだな」
健一「………」

[大空魔竜・個室]

(扉が開閉する)
OVA「あら、一矢さん」
一矢「エリカさんの具合は?」
OVA「…相変わらずです。 こちらの問いかけにも ほとんど答えてくれません…」

エリカ「………」
一矢「エリカ…気分はどうだい?」
エリカ「一矢…さん…」
一矢「一矢でいいよ。その代わり、 俺も君のことをエリカって呼ぶよ」
OVA「じゃあ、一矢さん、 私はケン太君の所へ行って来ますので…」
(扉が開閉する・OVAが立ち去る)
一矢(…OVA、 気を遣ってくれたのかな…?)
エリカ「………」
一矢「そうだ!  君にプレゼントがあるんだ」
エリカ「え…これ、お花…?」
一矢「大空魔竜の中で育てた花だよ。 理由を話して分けてもらったんだ」
エリカ「きれい…」
一矢(君もきれいだ…)
エリカ「一矢…?」
一矢「あ…その…やっと笑ったね…」
エリカ「ありがとう…。 あなたの優しさが嬉しくて…」
エリカ「でも、 あなたは寂しそうな瞳をしている…」
一矢「そうかい…?」
エリカ「ごめんなさい…。 何だか無理をしているように見えて…」
一矢「火星で…父さんを亡くしたんだ…。 バーム星人に殺されて…」
エリカ「………」
一矢「平和を愛する父さんを 卑怯者呼ばわりして殺したバーム星人… 俺は奴らを絶対に許せない…!」
一矢「君が記憶喪失になったのも バーム星人の攻撃のためだ。 …奴らを倒すために俺は戦うつもりだ」
エリカ「………」
エリカ「でも、それでお父様は お喜びになるでしょうか…?」
一矢「え…?」
エリカ「あなたのお父様が亡くなられた 事情は私にはわかりません…」
エリカ「ですが、平和を愛するお父様が 仇討ちをお喜びになるとは 思えないのです…」
一矢(…その通りだ…。 俺は怒りのあまり、父さんの教えを 忘れるところだった…)
エリカ「出過ぎたことを言って ごめんなさい。でも、あなたの… 一矢の瞳があまりに悲しそうだったから…」
一矢「いや…ありがとう、エリカ。 君の言葉で目が覚めたような気がするよ」
一矢「そうだよな…。復讐のために戦って、 あの父さんが喜ぶはずがない…」
エリカ「一矢…」
一矢「不思議だ…君を前にすると自分の心に 正直になれる…。こんなことは初めてだ…」
エリカ(私も、この人を前にすると 自分の心を素直に語ることが出来る…)
エリカ(でも…何故なの…?  何故、この人の話を聞くと、 私は言いようのない不安を感じるの…?)
エリカ(まるで、この人の側にいては いけないかのような…)

[大空魔竜・ブリーフィングルーム]

大文字「…火星の件は バーム側の陰謀ですと?」
リリーナ「はい。こちら側にはリオン大元帥を 暗殺する理由がありません」
剛健太郎「さらに、あのタイミングで 毒を盛れる者はどう考えても……」
レディ「あの会談が バーム側の内部抗争に利用されたかも 知れないということですね?」
剛健太郎「ええ。極東支部の三輪長官の ように、バーム星人の中にも今回の会談に 反対していた勢力がいると思われます」
大文字「ならば、リオン大元帥が 暗殺された今、その勢力が…」
(アラート)
剛健太郎「!」
ミドリ「博士、本艦へ接近してくる艦を キャッチしました」
大文字「地球の艦かね?」
ミドリ「…識別信号は出していませんが、 大きさやその他のデータから判断して サウザンスジュピターだと思われます」
大文字「木星船団か……」
レディ「現在、木星圏への船団派遣は 一時的に中断されているはずです」
ノイン「…怪しいですね」
大文字「うむ、調査の必要があるな。 ノイン君、メンバーを選抜して くれたまえ」
ノイン「了解です」
大文字「場合によっては戦闘もありうる。 本艦はこの位置で固定… 総員、第2戦闘配置につけ」

[休憩室]

万丈「…わかったよ、ノイン。 僕もサウザンスジュピターへ行こう」
ノイン「すまんな」
トッポ「万丈兄ちゃん、おいらも行くよ!」
万丈「ダメダメ。トッポはビューティや レイカと一緒に留守番だ」
トッポ「え~!? そんなのつまんないよ!」
万丈「あのね、 遊びに行くんじゃないんだから」
トッポ「チェッ。せっかく、 トビアと計画を立ててたのにさぁ」
万丈「それを聞いたら、 なおさら連れて行けないね」
ノイン「出来れば、もう一名ほど 一緒に来てもらいたいのだが…」
甲児「じゃあ、俺が行こうかな。 ボス、ボロットを貸してくれよ」
ボス「何でだわさ?」
甲児「ほら、あれに乗ってけば 向こうが変に警戒しねえだろ?」
ボス「あ、な~るほど」
ボス「…って、どういう意味だわさ!」
「…俺が行くぜ」
万丈「君は確か……」
「司馬宙だ。俺なら 変身すれば宇宙空間でも大丈夫だからな」
万丈(変身…? あれが…?)
「…そうだろ、ミッチー?」
美和「え? ええ」
甲児「なあ、宙。 前から不思議に思ってたんだけどさ…」
甲児「お前がジーグの頭になる前のカッコ… ありゃ何なんだ?」
「…そいつは俺が聞きたいぐらいだぜ」
美和「あ…あれは…そう、強化スーツよ。 宙さんが手袋を合わせれば、 瞬間的に装着されるの」
豹馬「へ~え…便利なモンだね。 俺にもその手袋、ちょっと貸してくれよ」
「…ああ、いいぜ」
美和(あっ…!)
豹馬「へへへ…よ~し、行くぜ」
豹馬「鋼鉄! ジィィィィグッ!!」
ボス「!!」
豹馬「ありゃ? 何も起きねえぜ?」
(どういうことだ…!?)
美和「あ、あの強化スーツは… 宙さんじゃなきゃダメなの」
豹馬「なぁんだ、そうだったのか。 それを先に言ってくれよ」
(…もしかして…あの変身は 手袋のせいじゃねえってのか…?)
万丈「…………」
ノイン「…ところで、 宙が我々に同行するということで いいんだな?」
「あ、ああ……」
(扉が開閉する)
カラス「…では、 私もご一緒させて頂きましょう」
ノイン「…ここは 民間人立ち入り禁止区域だが?」
カラス「申し訳ございません。うっかり 迷い込んでしまいました。その時に 皆さんのお話が聞こえましたもので…」
万丈「お気持ちはありがたいのですが… あなたが僕達に同行する理由は何です?」
カラス「私は若い頃、 サウザンスジュピターの艦内に 入ったことがありましてね」
カラス「何かあった場合、先方の艦内構造に 詳しい人間がいた方がいいと思いまして」
万丈「…なるほど、それは助かります。 じゃあ、ご協力をお願いしましょうか」


第12話
木星からの帰還者

〔戦域:サウザンスジュピター周辺宙域〕

(大空魔竜から小型艇が出現、傍にマサアロケットがいる)
ノイン「…万丈、先方と連絡が取れた。 向こうは木星圏の避難民を乗せて 地球へ向かっているらしい」
万丈「ふ~ん…」
ノイン「やはり、怪しいな」
万丈「…そうだね」
カラス「攻撃する意思があるのなら、とっくに モビルスーツを出撃させているでしょう。 …考え過ぎなのではありませんか?」
万丈「………」
万丈「ノイン 僕達は輸送艦内に入る。後は頼むよ」
ノイン「ああ。気をつけてな」
トビア(せ、せまいな…。 でも、忍び込んでることがバレたら、 確実にマサアロケットに送り返される…)
トビア(カラス先生、ごめんなさい。 でも、僕…木星から来たジュピトリスを どうしてもこの目で見たいんです)
???(もしもし…。 そろそろ着艦のようですよ。 身体を固定した方がよろしいかと)
トビア(あ、あなた…誰です…!?)
???(お静かに。あなたと同じ密航者です。 お互いの目的のためにも、どうかご内密に)
トビア(…わ、わかりました…)
(小型艇がサウザンスジュピターに着艦)

[サウザンスジュピター・ブリッジ]

輸送艦艦長「先程話したとおり、我々は かつてのジュピトリアンと関係がない」
輸送艦艦長「だから、 妙な疑いをかけるのは止めてもらおう」
万丈「なら、船倉ブロックを 見せてくれてもいいでしょう?」
輸送艦艦長「あそこには ヘリウム3のタンクしかない。 それを君達に見せる必要はない」
「どうやら、よっぽど見られちゃ 困る物を積んでるらしいな…」
輸送艦艦長「馬鹿なことを 言ってもらっちゃ困るよ、君」
カラス「…艦長、あなた方の 身の潔白を証明するには、彼らに船倉の中を 見せるしかないと思いますが…?」
輸送艦艦長「あ、あなたは…!  わ、わかりました……」
万丈「………」
(アラート)
船員「艦長!  例の宇宙海賊が現れました!  本艦へ接近中です!!」
輸送艦艦長「何だと!?」
万丈「…宙、僕達はシャトルに帰ろう」
「船倉を調べなくていいのかよ?」
万丈「ああ。 そんなことをしている場合じゃないからね」
カラス「………」
万丈「では、艦長…僕達はこれで」
輸送艦艦長「な、何を言っている!  今、外に出るのは危険だぞ!」
万丈「いえいえ、お構いなく。 あ、見送りも結構ですから」
万丈(ギャリソン、後は任せるよ…)

[艦内通路]

船員「現在、密航者を追跡中!  発見次第、射殺します!」
トビア「見つかった!?  それにしてもいきなり射殺だなんて 大ゲサ過ぎないか!?」
(速い足音)
トビア「誰だ!?」
ベルナデット「ち、違います!  私は密航者なんかじゃありません!  お願いします! 助けて下さい!」
トビア「追われているのは君か!?」
ベルナデット「助けて下さい!  私は…私はただっ…ただ!」
トビア「安心していいよ。 実は僕もこの艦への密航者なんだ」
ベルナデット「あなたも…!?」
トビア「僕の名前はトビア。 火星を脱出した船からこっちに 忍び込んだんだ」
ベルナデット「私はベルナデット… ベルナデット・プリエットです…」
(ざわめき、速い足音)
ベルナデット「は、早く逃げないと…!」
トビア「そうだね。 いきなり射殺されちゃたまらない。 とにかく身を隠そう」

〔戦域:サウザンスジュピター周辺宙域〕

(大空魔竜が少し前進している)
レイカ「所属不明艦、来るわよ!」
(宇宙海賊が出現)
ピート「大文字博士、 クロスボーン・バンガードです!  すぐに出撃命令を!」
大文字「待て、あれは……」
(クロスボーン・ガンダムX1がサウザンスジュピターの南側に出現)
輸送艦艦長「しまった!  正面は陽動か!」
甲児「リョウ! あの時の連中だぜ!」
竜馬「あ、ああ…。 シーブック達……なのか?」
(クロスボーン・ガンダムX1が北へ移動し、サウザンスジュピターを攻撃、爆煙)
ベルナデット「きゃあっ!」
トビア「…機体チェック…… 要領は作業用のモビルスーツと同じ…」
トビア「よ、よし… これなら何とか外に出られる!」
ベルナデット「ト…トビア…」
トビア「心配しないで、ベルナデット。 僕が必ず君を守る。……行くよ!!」
(バタラが出現)
トビア「!!」
(クロスボーン・ガンダムX1がトビア機に隣接)
ベルナデット「きゃあっ!」
トビア「あ、あのモビルスーツは… ガ、ガンダム…!!」
ベルナデット「ト、トビアッ!!」
【強制戦闘】
トビア[ビーム・ライフル]vsキンケドゥ[ブランド・マーカー]
(キンケドゥは避ける。トビア機のHP1%に)
キンケドゥ「飛び降りろ!」
トビア「え…!?」
キンケドゥ「コックピットを潰すぞ!」
トビア「わああっ! 脱出をっ!!」
(トビア機に爆煙、撤退)
トビア「何だ? 何故だ?  あの海賊…僕達を…殺さなかった…?」
???(キンケドゥ)「………」
(クロスボーン・ガンダムX1がマザー・バンガードの傍へ戻る、木星帝国軍が出現)
ミドリ「博士!  輸送艦からモビルスーツが!!」
大文字「各機、緊急出撃!  マサアロケットはこの宙域から後退を!」
レイカ「了解!」
(マサアロケットが撤退)
万丈「さあて、僕達は 今の内に大空魔竜へ戻るとするか」
「おう!」
ピート「博士、各機スタンバイOKです!」
大文字「よし…大空魔竜戦隊、出撃せよ!」
(出撃準備)
万丈「…さて、これで隠し事をする必要は なくなったみたいだね」
ベラ「……私達は 宇宙海賊クロスボーン・バンガード。 木星の闇に潜む敵を打ち砕く者です」
万丈「…久しぶりだね、セシリー。 いや、ベラ・ロナと呼ぶべきかな?」
ベラ「ええ、今はそう名乗っています。 その方が私達の目的を達成するのに 都合がいいので」
さやか「や、やっぱり…!」
ルー「あの人、セシリーなの!?」
甲児「ってことは…やっぱり、 あのガンダムに乗っているのは……」
万丈「ああ…かつての僕達の仲間さ」
キンケドゥ「…出来れば、証拠を押さえたい。 あの輸送艦は沈めないでくれ」
万丈「それなら、 すでに手を打ってあるからご心配なく」
キンケドゥ「…そういうところは 相変わらずですね、万丈さん」
万丈「まあ、情報はなるべく早めに おさえておく主義なんでね」
万丈「…ついでに言わせてもらえば、 そっちにはかつて僕達の敵だった人間が いるようだが?」
ザビーネ「私は クロスボーン・バンガードの 非道な殲滅作戦に嫌気が差し…」
ザビーネ「正統な主の下へ… ベラ・ロナ様の下へつくことを選択した。 …この答えでは不服か?」
万丈「…とりあえず、今は信用しておくよ。 ベラ艦長と彼の顔に免じてね」
キンケドゥ「………」
ベラ「各小隊へ。今回の作戦目的は 敵輸送艦の戦闘力を奪うことです。 決して撃沈させてはなりません!」
一矢(エリカ…君が言ったとおり、 俺は憎しみでは戦わない)
一矢(父さんも見ていてくれ…。 俺は父さんが残してくれた ダイモスで平和のために戦う…!)
(作戦目的表示)

〈サウザンスジュピターのHP規定値以下〉

ザビーネ「キンケドゥ、 サウザンスジュピターの動きは 止まった」
キンケドゥ「よし… 後は艦内に乗り込むぞ」

[格納デッキ]

(爆発)
トビア「くっ! ううっ!」
ベルナデット「きゃあっ!!」
トビア「は、早くここから 逃げ出さなくちゃ…!」
トビア「ベルナデット、 格納庫がどこにあるかわかるかい!?」
ベルナデット「この船倉ブロックの 先にあると思うけど…」
トビア「ん? 何だ、あれ…?  タンクがたくさん並んでる…」
トビア「!!  あ、あのマーク…まさか、毒ガス…!?」
トビア「な、何で… ここにこんな物があるんだ…!?」
カラス「なに… 単なる表示ミス…悪い冗談だよ…」
トビア「カラス先生!?」
カラス「嘘だと思うなら バルブを一つひねってみたまえ。 天国へ上る気分が味わえるよ…」
トビア「せ、先生…!?」
(銃を構える)
トビア「やめて下さい、カラス先生!  どうしたんですか!? どうして、 僕に銃を向けるんです!?」
カラス「私は正常だよ、アロナクス君。 だが、君は見てはいけないものを 見てしまったんだ」
カラス「…死にたまえ」
トビア「な、何を言ってるんです!?  何のつもりなんです、先生!!」
カラス「ジュピトリアン軍を滅ぼされ、 イージス計画からも見放された我々が… 地球の人間に復讐するための計画…」
カラス「その計画を君一人に… たかがあの海賊ごときにかぎつけられた 程度のことで…」
カラス「諦めるわけには いかないだろう…?」
トビア「カ、カラス先生…!?」
カラス「私は地球連邦に潜り込み… 我々の計画のために情報を収集し、 火星に同胞を導いた」
トビア「……!」
カラス「全ては総統クラックス・ ドゥガチの御心のままに!」
カラス「地球に巣食う連邦という名の ウジ虫どもを皆殺しにし!」
カラス「母なる大地を 我ら木星帝国のものとするのだ!」
トビア「木星…帝国…!!」
カラス「死・ね…!」
ベルナデット「駄目っ!!」
カラス「! 何!?」
(銃声)
トビア「!!」
トビア「あ、あれ…? 撃たれてない…」
カラス「く! 何者だ!?」
???(ギャリソン)「……ふむ。私めの射撃の腕も まだまだ衰えておらぬようですな」
トビア「あ、あなたは…!」
カラス「貴様、破嵐万丈の執事か…!  いつの間にこの艦へ…!?」
ギャリソン「以前から、あなたのことを 疑っておりましてな。そこのトビア様と ご一緒に密航した次第でございます」
カラス「私を疑っていただと?  …ただの老いぼれではないな?」
ギャリソン「それはお互い様ですな」
カラス(……それよりも… まさか、あのお方がこの艦に 乗っておられたとは……)
(爆発、振動)
カラス「何!?」
トビア「う、うわあああっ!!」

[格納デッキ]

トビア「な、何だ…?  モビルスーツ…突っ込んで来た!?」
(モビルスーツが動く)
???(キンケドゥ)「大丈夫か?  俺のいうことがわかるか?」
トビア「な、何が…」
トビア「何が起こっているんですか!?  僕達の知らない所で…いったい…!」
キンケドゥ「………」
キンケドゥ「お前の取るべき道は二つある。 一つは何も聞かずに地球へ帰り… 全てを忘れ、貝のように口をつぐむこと」
トビア「………」
キンケドゥ「そして、もう一つは… 我らと共に……真実に立ち向かうことだ」
トビア「あ、あなたは…?」
キンケドゥ「宇宙海賊クロスボーン・ バンガード。俺の名はキンケドゥ…… キンケドゥ・ナウだ」

[マザー・バンガード・ブリッジ]

ベラ「ようこそ、 我がマザー・バンガードのブリッジへ」
甲児「………」
ベラ「どうしたの?」
甲児「いや、 何か感じが変わったなって思ってさ」
ベラ「え? そうかしら?」
ルー「当然でしょ。前の時と違って、 今は戦艦の艦長さんだもの」
豹馬「しかも、宇宙海賊の親分かぁ…。 ビックリしたぜ、まったく」
比瑪「親分って…。 それだと、男の人じゃない」
甲児「ああ。 ゼンガー少佐ならともかくよ」
豹馬「じゃ、女頭目?」
ルー「ちょっとあこがれちゃうかも…」
キンケドゥ「おいおい、海賊ってのは偽装で… 宝物とかを奪ってるわけじゃないんだぞ」
甲児「その割には ドクロ付きのガンダムとか海賊船とか… 結構本格的だよな?」
キンケドゥ「ふふ…正体を謎めかすためには その方が良かったんだよ」
万丈「ま… 何にしても、君達が無事で良かったよ」
甲児「まったくだぜ」
ベラ「隠すつもりはなかったのですが… 彼らと戦うには、こうするより他に 手がなかったのです」
万丈「事情は理解しているつもりだよ、 ベラ・ロナ。そして…キンケドゥ・ナウ」
キンケドゥ「すみません、万丈さん。 あなた達を前にして、この名前を 名乗るのも何ですが…」
キンケドゥ「あえて、ロナ家の名を 冠するベラの決意を汲んでやって下さい」
万丈「ああ、わかった…」
レディ「早速だが、ベラ艦長… 木星帝国について教えてもらいたい」
ベラ「…彼らの目的は 一言で言えば、地球人類の粛清です」
ノイン「つまり、 かつてのジュピトリアンと同じだと?」
ベラ「ええ。前大戦時、 クラックス・ドゥガチ率いる木星帝国は 表に出て来ませんでしたが…」
ベラ「ジュピトリアンがあれだけの戦力を 持っていたのは、ドゥガチの後ろ盾が あったからこそだと言えます」
ナンガ「前回は精神波による攻撃を… 今回は毒ガスを使って、自分達の 目的を達成するつもりか」
キンケドゥ「ええ」
ラッセ「なるほどね。毒ガスなら準備に それほど手間がかからないな」
ナンガ「ああ。方法が単純なだけに、 成功する確率も高いってことだ」
ラッセ「ま、 こんな所で見つかってちゃ世話ないけどね」
比瑪「あの人達…避難民と一緒に そんなものを運んでいたんですか…?」
ベラ「…ええ。 地球に住む者を抹殺するためにね」
比瑪「そんな…! 同じ地球人なのに…」
万丈「…ところで、君達は いつ木星帝国のことを知ったんだい?」
ベラ「前大戦の後、 私達はクロスボーン・バンガードを 追って独自に行動をしていました」
ベラ「その時、彼らの背後に巨大な組織が 存在していることを知ったんです」
レディ「それが木星帝国だったのか」
ベラ「ええ。彼らは巧妙にその存在を カムフラージュし、暗躍を始めていました」
万丈「…だろうね。情けない話だけど、 僕やプリベンターは彼らの動きに 気づかなかった…」
キンケドゥ「そこで俺達は名前や過去を捨て、 あえてクロスボーンの旗を掲げ… 木星帝国に接近しようとした」
甲児「そりゃまた、 随分と思い切った方法を取ったな…」
ベラ「…クロスボーン・バンガードの中で 内部抗争があり…私がベラの名を名乗った 方が人や戦力を集めやすかったのです」
ノイン「我々プリベンターに 申し出てくれれば、協力できたのに…」
ベラ「私達が行動を開始した時、 ロンド・ベル隊はティターンズによって 一時解散させられ……」
ベラ「プリベンターはマリーメイア軍との 戦闘を始めていました」
ベラ「そんな時に、 あなた方へ協力をお願いすることは とても出来なかったのです」
ベラ「そして…元々、この戦いはロナ家に 生まれた私個人の戦いです。それに他人を… あなた方を巻き込んでよいものかと…」
キンケドゥ「ベラ……」
甲児「おいおい、水くせえこと言うなって」
ルー「そうそう。いつものことじゃない」
万丈「それぞれ事情や理由は違えど、 目的は同じ。だからこそ、力を合わせて エアロゲイターを倒すことが出来た」
万丈「今さら、そういうことは 言いっこなしにしようじゃないの」
ベラ「…ありがとう、万丈さん」
万丈「…で、 君達は木星圏へ向かうつもりなのか?」
ベラ「いえ。すでに木星帝国の主力艦隊は クロスボーン・バンガードの導きで 地球圏へ向かっています」
ナンガ「何!?」
比瑪「もう地球へ!?」
ベラ「ええ。私達は 何としても木星帝国の侵攻を 食い止めなければならないのです…!」

《火星・SPACE AREA》

[メガノイド基地]

???(コロス)「………時は満ちました……」
???(コロス)「…これより、 新たな計画を始動させます……」
???(コロス)「……今度こそ…… 成功させなければなりません………」
???(コロス)「そう、人類の未来のために……」
???(コロス)「そして、あなたの夢のために…」

『セシリーのパン』を入手した
『ガンダムF91』を入手した


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