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ロンデニオン強襲 アラド ~ 第11話 ~

《L5宙域付近・EARTH AREA》

[ヤザン艦・ブリッジ]

ヤザン「…よくもこれだけの ティターンズ残党を集められたものだ」
???(オサリバン)「…君に人望があると いうことだよ。無論、君達のこれからの 行動についてはすでに言い含めてある」
ヤザン「手際が良くて結構だな」
???(オサリバン)「彼らは現在の連邦へ疑念を 持っている者ばかりだ。一緒に向こう側へ 連れて行ってもらっても構わんよ?」
ヤザン(…と言いつつ、この狸のことだ。 本物が何人か紛れ込んでいると見て 間違いないな)
???(オサリバン)「…そちらが要求してきた物は 揃えたが、私の依頼は引き続き 受けてもらえるのだろうな?」
ヤザン「心配するな。 売られた恩は貰ってやる。 そのための補充戦力だからな…」

[ヤザン艦・ブリッジ]

ラムサス「…ロンデニオンを 襲撃するのでありますか?」
ヤザン「ああ。 ロンド・ベル隊は今、戦力を立て直すために 艦隊を集結させている」
ヤザン「俺達はその艦隊の一部になりすまして ロンデニオンへ接近する」
ゼオラ「…大丈夫なのですか?」
ヤザン「正規の認識コードも入手済みだ。 奴らに俺達の区別は出来んよ」
ラムサス「今回の作戦の目的は?」
ヤザン「土産を持ち帰ることだ」
ラムサス「土産…でありますか?」
ヤザン「そうだ。 時間を稼ぐだけでは、今後の俺達の立場に 支障が出るからな」
ゼオラ(…今後の立場って…?)
ヤザン「ゼオラ、俺達がオトリをやってやる。 お前は何人かを率いて一足先に ロンデニオンへ潜入し…」
ヤザン「土産を持ち帰って来い。何なら、 自分の新しい機体を見つけてきてもいいぞ」
ゼオラ「はっ。ラー・カイラムを 沈めるぐらいの覚悟でやります」
ヤザン「気負い過ぎるなよ。 ロンド・ベルの連中はじっくりと いたぶってやればいい」
ゼオラ「はい…!  アラドの仇を討つためにも…!」

《サイド1 ロンデニオン・EARTH AREA》

[マザー・バンガード・ブリッジ]

キンケドゥ「トビア!  こいつ…よくも無事で!」
トビア「へへへ… 皆さんもお元気そうで…。まあ、 あんまり心配はしてませんでしたけど…」
キンケドゥ「馬鹿!  心配してたのはこっちだ!」
トビア「…ありがとうごさいます…」
ベラ「本当によく戻れましたね、トビア」
トビア「ジュドー達のおかげですよ」
ジュドー「ま、それはお互い様ってことさ」
ジュドー「それにしても、 シー…じゃなかった、キンケドゥさん達… しばらく見ない内に少し老けた?」
ジュドー「おまけに 宇宙海賊をやってたって聞くし…」
キンケドゥ「それを言うな、ジュドー。 色々あったのさ」
ジュドー「でも、ロンデニオンの基地も 何だかすごいことになってきたなあ。 海賊船に恐竜…まるで遊園地みたいだ」
キンケドゥ「見た目の インパクトってのは意外に重要だからな」
ジュドー「それでガンダムの頭に ドクロマークを付けたのかい?」
キンケドゥ「フフフ…さあね」
ベラ「ところで、ベルナデットは…?」
トビア「…彼女はクラックス・ドゥガチを 説得すると言って残りました」
ベラ「そう…気を落とさないようにね…」
トビア「はい、わかっています。 望みがないってわけじゃありませんから」
キンケドゥ「自分の手でベルナデットを 取り戻すつもりなら、アラドと一緒に モビルスーツの操縦技術を仕込んでやる」
トビア「はい。是非お願いします」
ベラ「キンケドゥ…」
キンケドゥ「こいつの決意は確かですよ」
ベラ「しかし、これ以上この子を 戦いへ巻き込むわけには…」
トビア「ちょっと待って下さいよ。 こんな所まで首をつっこんじゃって 今さら自分だけ抜けたりしたら…」
トビア「かえって気になってしまいます。 最後まで見届けさせて下さい」
ベラ「あなたは 本当に良くやってくれたわ、トビア」
ベラ「でも、今後のことは私達に任せて… 家に帰りなさい。ご両親はきっと 心配しておられますよ」
トビア「…トーマスおじさんと レイチェルおばさんでしたら、心配は いらないと思いますよ」
トビア「確かに公平に見て 息子と僕をわけへだてなく あ…愛してくれていましたから」
トビア「深く…悲しみはするでしょうけど… でも、実の息子のギルは しっかりした奴ですし」
トビア「僕に万が一のことがあったとしても、 長く心を痛め続けることはないと 思いますよ」
ベラ「……」
トビア「大丈夫!  それに僕は子供じゃありませんよ、艦長」
ベラ「わかりました、トビア。 では、キンケドゥ…後はお願いします」
キンケドゥ「了解。 確か…この後はブライト艦長と ミーティングだったっけ?」
ベラ「ええ。 ロンデニオンへ行ってきます」

[執務室]

シナプス「…火星にバーム軍、 月軌道外の宙域に木星帝国軍、そして ネオ・ジオン軍…」
大文字「それに加え、 地球ではオルファン問題、リクレイマーと 地下勢力の暗躍…」
大文字「前回並の戦乱が勃発するのは 時間の問題ですな」
ベラ「…ブライト艦長。ネオ・ジオンの艦隊が サイド3方面へ向かっているというのは 本当なのですか?」
ブライト「ああ。 アクシズが本命だと思っていたが、 あそこには連邦軍の艦隊が駐留している」
ブライト「彼らの狙いは… スウィート・ウォーターだと考えるのが 妥当だな」
シナプス「難民用の急増コロニーか…。 確かに、あそこの住人は反連邦意識が強い」
ブライト「数回に渡るロンド・ベル隊の 調査でもボロを出しませんでした。証拠が なければ、手出しは出来ません」
シナプス「連邦政府と連邦軍は 嫌われているからな。ガードが固いのは 当然だろう」
ブライト「その中でも特にロンド・ベルは 軍上層部でも厄介者扱いです。ここへの 艦隊集結もままなりません」
シナプス「…横槍を入れているのは アデナウアー参謀次官か」
シナプス「リクレイマーや 地下勢力はまだしも、ジオンと 事を荒立てたくはないのだろうな」
ベラ「話し合いで解決出来る相手では ないことは前大戦で証明済みですのに…」
シナプス「で、ブライト中佐… どうするつもりかね?」
ブライト「おそらく、次に動くのは ネオ・ジオン軍だと思われます」
ブライト「こちらの戦力が整い次第、 出撃し…サイド3へ入る前のネオ・ジオン 本隊を叩きます」
シナプス「了解した。 では、アルビオンは警戒任務も兼ねて 先に出航しておこう」

[モビルスーツデッキ]

健一「…次の艦が入港して来たぞ。 搬入を急がなきゃ、ブライト艦長の雷が 落ちるぜ?」
カミーユ「ちょっと待ってくれ。 この荷物はチェック態勢が整うまで、 ここに置いておきたいんだが…」
健一「荷物って… 月から運ばれてきた新型機だっけ?」
カミーユ「ああ、ちょっとわけありでね」
健一「じゃあ、 カミーユの言うとおりにしよう」
京四郎「…しかし、 本当に人使いの荒い部隊だな。 まだイモむきの方がマシだぜ」
サンシロー「コンテナなんか ガイキングやダイモスで 運んじまえば楽なのにな」
デュオ「そうだな。 ダイモスはトレーラーに変形するから、 牽引車代わりになるってのに」
ヒイロ「…サイズが違い過ぎる」
デュオ「上に載せちまえばいいんだよ。 一矢に頼んでみようぜ」
京四郎「…やめとけ。今のあいつは 心ここにあらず…って奴だ。事故でも 起こされちゃたまらん」
健一「…エリカのことが原因なのか?」
京四郎「ああ。 何でもないフリを装っちゃいるが… 無理をしているのは一目瞭然だな」
サンシロー「仕方のないこととは言え、 ひどいフラれ方だったからな、 時間が解決してくれるとは思うが…」
サンシロー「敵味方にわかれちまったのは さすがにキツいよな」
デュオ「確か… アラドの奴もそんな感じなんだろ?」
ヒイロ「ああ」
アラド「…俺がどうかした?」
デュオ「何だ、お前…いたのかよ?」
アラド「人手が足りないって言われて 来たんだけど……」
アラド「! 何だ? あの機体は…!」
カミーユ「月から運ばれてきた 新型のパーソナルトルーパーさ。 名前は『ビルトファルケン』……」
カミーユ「高機動戦闘と射撃戦闘を 得意とする機体だそうだ」
アラド「へ~え…。 ちょっと華奢だけど、いい感じですね」
健一「パイロットは まだ決まってないらしいぞ。 志願してみたらどうだい?」
アラド「いや、 おれはヒュッケバインの性能だって 完全に引き出せてないし…」
アラド「どっちかって言うと、 格闘戦の方が好みなんですよ」
デュオ「お! いいこと言うねえ」
ヒイロ「フ…。 何も考えずに突撃する者同士で 気が合うようだな」
デュオ「…お前に そういうこと、言われたかないね」
カミーユ「…聞いた話じゃ、 ビルトファルケンは二対で開発されていて、 もう片方は接近戦用の機体らしいよ」
アラド「そっちは来てないんですか?」
カミーユ「ああ。 開発が遅れているんじゃないか?」
(扉が開閉する)
トッポ「あ!  アラド兄ちゃん、ここにいたんだ。 バニングさんが呼んでるよ」
アラド「バニング大尉が?」
トッポ「うん。 戦闘訓練やるから来いってさ」
アラド「うえ~。またしぼられんのか…」
サンシロー「ここの手伝いはいいから、 行ってこいよ」
アラド「はい。それじゃ…」
デュオ「じゃ、 俺達はさっさと仕事を済ませますか」
京四郎「ああ。これ以上、補充兵や物資が 増えない内にな」

ゼオラ「………」
ゼオラ(…何とか無事に 潜入することが出来たわ…)
ゼオラ(…ヤザン大尉がどういうつもりなのか わからないけど、これも任務…)
ゼオラ(悔しいけど、アラドの 仇討ちは後回しにしなきゃ…)
ゼオラ(! あの機体は……)


第11話
ロンデニオン強襲

〔戦域:ロンデニオン周辺宙域〕

(アルビオンが出撃)
パサロフ「艦長、 新たな艦隊が合流して来ます」
シナプス「うむ」
(戦艦3隻が出現)
シモン「ロンデニオンへ集結してくる艦隊は あれで最後です」
シナプス「受け入れ態勢が整うまで、 もうしばらく時間がかかる。現在位置で 待機するように言ってくれ」
シモン「了解です」
シナプス「では、 バニング大尉…始めてくれれたまえ」
バニング「はっ、 モンシア、アラド、トビア… 発進しろ」
(ヒュッケバインMk-IIIとガンダム試作2号機が出撃)
アラド「うえ~…。 戦闘訓練の相手がガンダム2号機だなんて、 ますますついてない…」
トビア「…あれ、 核装備型のガンダムなんでしょ?」
モンシア「心配するな。 こいつは武装を換えたバージョンだ。 核なんざブチ込みゃしねえよ」
モンシア「ただし!  このモンシア様とガンダムの組み合わせは ウニに鉄棒! 覚悟しろよ、ガキ共!」
アラド「あ、あの、中尉…。 鬼に金棒じゃないッスか?」
モンシア「う、うるせえ!  おめえらの緊張をほぐしてやろうと 思っただけだ!」
バニング「モンシア、今回の訓練は そいつのテストも兼ねている。 無茶はするな」
モンシア「わかってまさあ!」
キンケドゥ「トビア、アラド。2号機の 懐へうかつに飛び込むんじゃないぞ。 俺が教えたとおりにやるんだ」
アラド「お願いします、モンシア中尉!」
モンシア「おうっ!  どっからでもかかってこいっ!」
(作戦目的表示)

〈vs モンシア〉

[トビア or アラド]

モンシア「遠慮はいらねえ!  本当の戦闘だと思え!!」
アラド「はいっ!」
トビア「行きますっ!!」

[撃墜]

モンシア「ぬおおっ!?  あのガキども、やりやがるぜ!!」
バニング「モンシアめ…油断したな。 帰ってきたら腕立て伏せから やり直しだ!」
ヤザン「…クックック…俺は運がいい。 最適な土産が目の前に ぶら下がっているとはな」
ヤザン「ゼオラの首尾の方はどうだ?」
ダンゲル「上手くやったようです」
ヤザン「頃合だな。各機、出撃だ!」
(ヤザン隊が出現)
シモン「艦隊よりモビルスーツ部隊が 発進しました! 全機、武装しています!」
シナプス「何のつもりだ!?  理由を問いただせ!」
ヤザン「艦隊! 砲撃を開始しろ!」
(アルビオンの周りに爆発)
アラド「み、味方が撃ってきたっ!?」
モンシア「な、何しやがんでえっ!!」
ヤザン「今だ! ガンダム2号機を!」
(バーザム2機がガンダム試作2号機に隣接)
モンシア「こっ、こいつら! 何を!?」
ヤザン「そのまま戦域から離脱しろ!」
(ガンダム試作2号機とバーザムが東に移動し、撤退)
シモン「艦長! ガンダム2号機がっ!!」
シナプス「うぬっ!!」
キンケドゥ「まさか、奴らは!?」
シナプス「そのとおりだ!  各機、緊急出撃を!!」
(母艦出撃選択、出撃準備)
ジュドー「ま、またこの展開かよ!?」
キース「これで何回目なんだ!?  もう勘弁してくれよっ!!」
万丈「まったくもって同感だね。 僕達の心構えが甘かったか…!」
コウ「くそっ!  歴史は繰り返すとでも言うのか!」
ヤザン「ハハハ! 過去の教訓を 生かせなかったようだな、ロンド・ベル!」
カミーユ「ヤザン! 貴様かっ!!」
ヤザン「カミーユ!  2号機を狙っているのがジオンだけだと 思っていたか?」
カミーユ「あのガンダムは 核装備をしていない! 貴様の 目論みどおりにはいかないぞ!」
ヤザン「クックック…核なんざ必要ない。 要は貴様らの面子が潰せればいいのさ」
カミーユ「面子だと!?」
ヤザン「そうだ。あれは いわくつきのガンダムだからな。 他にも利用したがる連中がいるのさ」
コウ「何だって!? もしかして…!」
シナプス「2号機の追撃は 他の部隊にやらせる! ロンド・ベル隊は 敵機の迎撃を!!」
アラド(ヤザン大尉の部隊…!  もしかして、ゼオラ…お前もいるのか!?)
(作戦目的表示)

〈2EP〉

(ビーコン)
シナプス「今度は何だ!?」
シモン「ロンデニオンのドック内で 異常発生!!」
シナプス「!」
(ビルトファルケンが出撃)
健一「ビルトファルケン!?」
サンシロー「まさか、あいつも 盗まれたってんじゃないだろうな!?」
ゼオラ(……使えるわ、これ…!)
ゼオラ(…アラド、見てて!  このビルトファルケンで あなたの仇を討ってあげる…!!)
アラド「あの機体の動き…!  もしかして!!」
ゼオラ「!  ヒュッケバインMk-III!?  まさか、アラドなの!?」
アラド「ゼオラッ!!」
ゼオラ(ううん、そんなことない…!  あの爆発で生きているわけが…!)
アラド「くそっ! 周波数が!!」
ゼオラ「…許せない…!  あの子が乗っていた機体を 使うなんてっ!!」
ヤザン「そこまでだ、ゼオラ。 お前はすぐに戦域から離脱し、 2号機を追った部隊を撃破しろ」
ゼオラ「え!? し、しかしっ!!」
ヤザン「そいつも貴重な土産になる。 いいな?」
ゼオラ「う…! りょ、了解…!」
(ビルトファルケンが西へ移動し撤退)
アラド「ゼオラッ!!  おれだ! アラドだ!  おれ、生きてんだよっ!!」
トビア「ダメです、アラドさん!  あのスピードじゃ追いつけない…!」
アラド「く、くそっ!!」
ヤザン「さて…時間稼ぎをさせてもらうぞ!」

〈vs ヤザン〉

[カミーユ]

カミーユ「よくも姑息な手を…!」
ヤザン「頭は使いようだと言うことだ、 カミーユ。これからもじっくりと 追い詰めてやるぜ」
カミーユ「させるかよ!!」

[ヒイロ]

ヒイロ「以前は世話になったな。 今、その借りを返す」
ヤザン「気にするな。 最初から承知のうえだったことだ」

[五飛]

ヤザン「ハッハッハ!  やはり、貴様らとはこうでなくてはな!」
五飛「貴様を倒して ティターンズに真の終止符を打つ…!」

[アラド]

アラド「ヤザン大尉っ!!」
ヤザン「ほう…生きていたか、アラド。 奴らに捕まって、再教育でもされたか?」
アラド「違います! 俺は… 守るべきものと戦うべき敵が何なのか わかったんです!」
ヤザン「ならば、 それをゼオラに教えてやるんだな」
アラド「言われなくてもっ!  あいつは返してもらいます!」
ヤザン「返す? 笑わせるな。 奴はお前と違って任務に忠実な兵士だ…」
ヤザン「お前が ロンド・ベルに捕まって、精神操作を 受けたとでも言っておいてやる」
アラド「あ… あんたって人はっ!!」

[ダンゲル機撃墜]

ダンゲル「こ、後退する!」

[ラムサス機撃墜]

ラムサス「だ、脱出する!」

[ヤザン機撃墜]

ヤザン「時間稼ぎは充分…ここが潮時だな」

〈敵機全滅〉

シモン「…敵機の全滅を確認…!」
シナプス「ガンダム2号機と ビルトファルケンは?」
シモン「追撃隊は全機撃墜…… 2機ともロストしました…」
シナプス「……………」
シナプス「…この件は私の責任だ。 全機収容、ロンデニオンへ一時帰還する」

《サイド1 ロンデニオン・EARTH AREA》

[モビルスーツデッキ]

モンシア「す、すみません、バニング大尉。 機体から脱出するのが精一杯で…!  こ、この責任は…」
バニング「…あの状況では仕方がない」
モンシア「し、しかし!」
ベイト「ま、 2号機に核装備をしてなかったのが 不幸中の幸いだったってことさ」
コウ「…そうですよ、モンシア中尉。 中尉が生きて戻ってこられただけで 充分です」
コウ「それに、 責任は自分達にもあると思います」
モンシア「ウラキ…おめえって奴ぁ…」
バニング「…気になるのは ヤザンの言葉だ。2号機の利用を 目論んでいる連中となると…」
アデル「やはり、ジオンでしょうね」
ベイト「奴ら、 またコンペイトウあたりにでも 核をブチ込むつもりか?」
バニング「核は連邦政府が厳重に 管理をしている。そう簡単に 入手することは出来んはずだ」
バニング「それより、ヤザンやジオンの 目的が俺達の立場を危うくすることなら…」
バニング「今回の件は 予想以上の効果を生むかも知れんぞ」
コウ「…ええ」
バニング「とにかく、俺達はすぐに サイド3へ向けて出撃だ。今回の失態は 戦果を挙げることで取り返すぞ」
コウ「はい…!」

[休憩室]

アラド(……ゼオラに おれが生きていることを 伝えられなかった…)
アラド(…このまま戦いが大きくなれば、 お互い生き残れる保証はない…。 急がなきゃ…)
アラド(でも、あいつ…思い込んだら 周りが見えなくなるタチだからなぁ)
アラド(おれがロンド・ベルにいるって 知ったら、余計に怒って大変なことに なるだろうなぁ)
アラド(はあぁ…どうすりゃいいんだ?)
トビア「あの…アラドさん」
アラド「ん?」
トビア「失礼かも知れないんですが… あのビルトファルケンに乗っていたのは…」
アラド「ああ、俺の元同僚さ」
トビア「そうですか…。 僕と同じような感じなんですね」
アラド「いやいや、 あいつは恋人なんかじゃないって。 そうだな…口やかましい幼なじみだよ」
京四郎「…お前さんも 思ってることが顔に出やすいタチだな。 一矢と同じだぜ」
アラド「だから、違いますって!」
京四郎「ま、程々にしておくことだ。 甘い感情は戦場じゃ命取りになるぜ」
一矢「…それは違うぞ、京四郎」
京四郎「一矢…」
一矢「守りたい人、助けたい人がいるから… 戦う力が湧いてくるんだ。 …少なくとも、俺はそう思いたい」
京四郎「………」
トビア「………」
一矢「それに…エリカとだって、 いつの日にか会うことが出来る。 お互いにわかり合えることが出来る…」
一矢「…俺は そう信じてこれからも戦うぜ」
京四郎(…吹っ切れやがったか。 もう心配はいらないようだな)
アラド(…信じる、か。そうだよな…。 あいつとの約束を守るには……)

[アルビオン・ブリッジ]

シナプス「…とにかく、 我々は余計な足止めを食らってしまった」
ブライト「ええ…」
シナプス「もう間に合わんかも知れんが、 本艦と大空魔竜、マザー・バンガードは サイド3方面へ出撃する」
ブライト「では、我々本隊は ネオ・ジオン以外の敵組織に対処するため、 ロンデニオンへ残ります」
シナプス「うむ。 それから、アデナウアー参謀次官が先の件の 説明を求めてきたら…」
シナプス「全て私の責任にしたまえ」
ブライト「え? し、しかし、それでは…」
シナプス「元々、ガンダム2号機は 私が預かっていたものだからな」
シナプス「少しでもロンド・ベル隊への 圧力が薄れるのなら、それでいい」
ブライト「シナプス大佐……」
(通信)
シモン「艦長、大空魔竜戦隊と マザー・バンガードの出撃準備が 終了しました」
シナプス「では、これより本艦は ネオ・ジオン艦隊の追撃に移る!」
シナプス「アルビオン、発進せよ!」


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