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少年達の決意 アイビス ~ 第10話 ~

《月軌道外宙域・EARTH AREA》

[独房]

トビア「う…ううん…」
トビア「俺…生きているのか…?  こ…ここは…?」
トビア「そうか…!  カラスに撃墜されて…俺は…」
カラス「お目覚めかね、トビア君?」
トビア「その声は…カラス!」
トビア「俺をどうする気だ!?  ここはどこだ!? マザー・バンガードと 大空魔竜はどうなった!?」
カラス「ここは既に我らの旗艦、 ジュピトリス9の中…。 君はとらわれの身というわけです」
カラス「君のお仲間達も残念なことに 地球圏にたどり着いたようです。 おっと…今の君に話しても無意味ですね」
トビア「ベルナデットはどうした!?  ベルナデットを返せ!」
トビア「彼女にひどいことをしたら ただじゃ済まさないぞ!」
カラス「馬鹿なことを言ってはいけません。 テテニス様は元々木星帝国の姫君…」
カラス「今まで海賊にとらえられていたのを 救出しただけのこと…。 何を勘違いしているのです?」
トビア「う…」
カラス「返せなど筋違いも いいところでしょう?  あなたが心配することではありませんよ」
トビア「………」
カラス「ククク…それに残念ですが 君は帝国軍法会議で死刑の判決が 下されています」
トビア「何だって!?」
カラス「君は海賊に荷担していたの ですからね、当然ですよ」
カラス「処刑には凝った演出を 用意しておきますよ。 楽しみにしていて下さい」
トビア「ふざけるな!  ここから出せ、カラス!」
(カラスが立ち去る)
トビア「くそう…!  こんなことで負けるものか…。 待っていろ、ベルナデット…!」

[ドゥガチの居場]

ドゥガチ「…そちらの意図は理解した。 かねてからの約束通り、木星帝国は ネオ・ジオンに全面的に協力しよう」
???(シャア)「感謝する、ドゥガチ総統」
ドゥガチ「しかし、お前がネオ・ジオンの 総帥として立ったことを知れば、かつての ワシの同志達は冥土で何を思うかな…?」
???(シャア)「………」
ドゥガチ「エゥーゴ、 そしてロンド・ベル隊の一員として ジュピトリアンの野望を打ち砕いた男…」
ドゥガチ「あのクワトロ・バジーナが地球を 破壊しようと考えているのだからな…」
シャア「…その名は過去のものだ。 今の私はシャア・アズナブル… 父ジオン・ダイクンの意志を継ぐ者だ」
シャア「私の決意を疑うのなら、 今回の同盟は白紙に戻させてもらう」
ドゥガチ「…冗談が過ぎたようだ。 フフフ、年をとると人の業までも 下らぬことに思えるようになってな」
シャア「こちらは早速、 政権樹立のための準備に入りたい。 これで失礼させてもらう」
ドゥガチ「そう急ぐ必要はなかろう。 面白い趣向を用意してある。 存分に楽しんでいってくれ」
シャア(趣向だと…?)
ドゥガチ「カラス、 総帥一行を控え室にご案内しろ」
カラス「仰せのままに」
(足音・シャアとカラスが立ち去る)
ベルナデット「………」
ドゥガチ「どうした、テテニス…?  気分が優れぬか?」
ベルナデット「機械人形などに 用はありません!  本当のお父様をお出しなさい!」
ドゥガチ「フフ…ワシは本物だよ。 ワシが本物ではないという 何か証拠があるのかね?」
ベルナデット「………」
ドゥガチ「それとも…」
(フードが開く)
ベルナデット「ああっ!?」
ドゥガチ「それとも…」
ドゥガチ「それとも…」
ドゥガチ「それとも、 この中のどれが本物か…」
ドゥガチ「見分けがつくというのかね?」
ドゥガチ「ワシは…」
ドゥガチ「ワシらは本物なのだよ!」
ドゥガチ「全てな!  本当のクラックス・ドゥガチなのだ!  いや…」
ドゥガチ「肉体というしがらみに 縛られぬ分、ドゥガチそのものに より近い存在だと言える…」
ベルナデット「お…お父様が9人…!」
ドゥガチ「ドゥガチに何を望む、テテニス?  自由か?」
ベルナデット「地…地球への侵攻を や…やめていただきたいのです!」
ベルナデット「それが木星の民に 豊かな土地を与えたいというもので あっても決して正しい方法とは…」
ドゥガチ「フフ…フフフフフフ…」
ドゥガチ「地球侵攻?」
ドゥガチ「地球侵攻をやめろだと?  先程のシャアとの会談を正確には 理解していなかったようだな…」
ドゥガチ「ハハハ… 無理もないな! 木星帝国の国民には そう教えておいたのだからな」
ドゥガチ「ハハハハハ…これはよい!」
ベルナデット「お…お父様…?」
ドゥガチ「テテニス…、 お前が吸っている空気は何だ?」
ベルナデット「え…?」
ドゥガチ「お前が飲んでいる水は何だ?  よく考えてみるのだな」
ベルナデット「………」
ドゥガチ「ここには地球から 持ってきたものは何もないのだよ!  何もな!」
ドゥガチ「フフフ… 全ては人工でまかなえる…。 ならば…!」
ドゥガチ「地球など手に入れたところで どれほどの意味がある?」
ベルナデット「………」
ドゥガチ「テテニス…ワシはお前など 愛してもおらぬし、どこで何をして 死のうと構いはせぬ…」
ドゥガチ「だが、総統の娘であるお前が 側にいないと周りの者が余計な気を回す。 じっとしておれ。よいな?」
ベルナデット「お…お父様…お父様は いったい何をするつもりなのです…?」
ドゥガチ「人類の支配に 地球など要らぬと言っておる…!」
ベルナデット「………」

[執務室]

ギュネイ「………」
ナナイ「どうした、ギュネイ。 何を苛立っている?」
ギュネイ「自分には このジュピトリス9内の空気が肌に 合いません。プレッシャーを感じます」
ナナイ「………」
シャア(…この全てを包むような 暗く、冷たいプレッシャーは あのパプテマス・シロッコと同質のものだ)
シャア(いや…クラックス・ドゥガチの 発する気は、より純粋な憎悪に近いか…)
ギュネイ「大佐…本当に この艦の連中と手を組む気なのですか?」
ナナイ「口が過ぎるぞ、ギュネイ」
シャア「構わん。 ギュネイが疑問に思うのも当然だ」
ギュネイ「………」
シャア「いいか、ギュネイ。新たな異星人が 現れた今の状況で、目的を達成するための 手段は選んでいられん」
シャア「故に私は危険を承知で ドゥガチと手を組むことにしたのだ」
ギュネイ「それは、あのアムロ・レイと 決着を付けるためにも…ですか?」
シャア「…宇宙に出た人類全てを ニュータイプにするためだ」
ギュネイ「………」

[独房]

ギリ「フフフフ…どうだい?  少しは本当のことを話す気になったかい?」
ザビーネ「…う…ぐ……」
ギリ「お前の目的は何だ? ザビーネ?」
ザビーネ「わ、私の目的は… ドゥガチ様にお仕えすること…」
(ドリルが動く)
ザビーネ「ぐおおっ!!」
ギリ「僕が聞きたいのはそんなことじゃない」
ザビーネ「ドゥガチ様の考えこそが… き、貴族主義の理想に最も近く… わ、私はそれを実現するために…っ…」
木星帝国兵「どうします?」
ギリ「続けろ。 こいつの本当の考えを引き出すまでは 危なくて使うわけにもいかないからねえ」
ギリ「ザビーネ、君だって すぐに信用してもらえるなんて 思っていなかっただろう?」

バーンズ「………」
ローズマリー「おや?  どうしたんだい、バーンズ?」
バーンズ「悪いが、 俺はこういうのは性に合わねえ。 いくら木星のためとは言えな」
ローズマリー「わたしゃ、こういうのは 嫌いじゃないねえ。ゾクゾクするよ」
バーンズ「大体、あのギリって子供は 何なんだ? まるで人を人とも 思っちゃいねえ…」
ローズマリー「私も詳しくは知らない。 どうやら総統の秘蔵っ子の ニュータイプの一人らしいよ」
ローズマリー「ドゥガチ総統が次の時代の 指導者にするべく英才教育を施した… 未来のエリート様ってワケだ」
ローズマリー「私達を指揮しているのは いわば腕試し。まあ奴にしてみりゃ お遊びみたいなもんなんだろう?」
ローズマリー「わたしゃ何だっていいのさ。 わたしが儲かりさえすればね」
バーンズ「………」
ローズマリー「…そろそろ例のイベントの 時間だねえ。じゃあ、私は行くよ」
バーンズ(…あの小僧の処刑か…)


第10話
少年達の決意

〔戦域:ジュピトリス9内コロシアム周辺〕

木星帝国兵「これより艦内コロシアムにて、 海賊軍メンバーの公開処刑を行う!」
(歓声)
トビア「いくらジュピトリス9が でかいからって、こりゃまた 広いのを作ったもんだ…」
木星帝国兵「お前はここで戦って死ぬのだ。 それがお前に与えられた刑罰だ」
トビア「くそっ…!」
カラス「トビア君、勝ちたまえよ」
トビア「は!?」
カラス「生き延びたまえ!  その時は君をもう一度、 私の生徒にしてあげましょう」
トビア「な…何を…?」
カラス「この世はね、トビア君… 強き者だけが生き残り、全てを 手にする権利があるのです」
カラス「弱き者は淘汰されてしかるべき なのです。私が木星帝国に力を貸すのは 帝国の力を認めたからこそなのです…」
カラス「トビア君、君はまだまだ強くなる。 ここで死なすには惜しい人材だと 思っているのですよ」
カラス「だから生き延びたまえ、 何としても。私の下で私の信念を もっと教えてあげますよ…」
トビア「そりゃ、どうも…」
???(デュオ)「時間だ。 お前はこのモビルスーツに乗れ」
トビア「!?」
シャア「…これがドゥガチの趣向か」
ナナイ「艦内に公開処刑を行うための 施設があるとは…何と悪趣味な」
シャア「人が人を粛正する様を あえて私に見せる気か、あの男は…」
シャア(だが、事はそう上手く運ぶまい)
ベルナデット「ト、トビア!!」
(南の門前にザクIIF2型が出現)
トビア「ノーマルのザクII!?  これで木星帝国のモビルスーツと 戦えっていうのか!?」
???(デュオ)「ああ、そうだ。 だが、最後まで諦めるんじゃねえぜ。 チャンスは必ずあるからな」
トビア「あ、あなたは…!?」
???(デュオ)「さあ、行きな」
トビア「……!」
(ザクIIF2型がコロシアムの中央へ移動)
トビア「こうなりゃヤケクソだ!  どんな奴とでもやってやらあ…!」
トビア「俺の相手はどこだ!  さっさと出しやがれっ!」
(クロスボーン・ガンダムX2がコロシアムの北側に出現し、着地する)
トビア「エ…X2だって!?」
(クロスボーン・ガンダムX2が少し南へ移動)
トビア「わ…ちょ…ちょっと待った…!」
ベルナデット「トビア!!」
トビア「じょ…冗談でしょ!?」
木星帝国兵「海賊メンバーの処刑は 彼らから奪ったモビルスーツによって 行われる!」
木星帝国兵「また、この戦いに 勝利した場合のみ恩赦を与えよとの 総統のお言葉である!」
ローズマリー「フフ…そのモビルスーツで 脱出しようと思ったって無駄だよ。 私からは逃げられやしないからねえ」
トビア「くそっ!  ザクでどうやってX2と戦えってんだ!?」
(作戦目的表示)

〈1EP〉

ギュネイ「勝負は見えましたね」
シャア「モビルスーツの性能の差は 戦力の決定的な差にならない。 あのザクの少年にも勝ち目はある」
ギュネイ「まさか…」
ベルナデット(ああ、神様… どうかトビアをお守り下さい…!)

〈2PP〉

バーンズ「何をやっているんだ、 ローズマリー! 相手はザクだぞ!  ちっとは加減してやれ!」
ローズマリー「馬鹿言うんじゃないよ!  こっちは慣れない機体でまともに 動かすだけで精一杯だよ!」
ローズマリー「加減なんて効くもんかい!」
ベルナデット「ああ、トビア…逃げて!」
シャア「心配することはない」
ベルナデット「え…?」
シャア「あの少年は懸命に戦っている。 まだ諦めてはいない」
ベルナデット「あなたは…?」
シャア「彼には素質がある。 上手くチャンスをつかめば 生き延びることが出来るだろう」
ベルナデット「………」
トビア「相手の足さえ止めれば 何とかなる! 何とかなるはずだ!!」
(ザクIIF2型に通信)
トビア「通信!? 誰だ!?」
???(デュオ)「よう、俺の声が聞こえるか?」
トビア「あ…あなたはさっきの…!?」
???(デュオ)「いいか、よく聞けよ。 あっちのガンダムの駆動部に ちょいと細工をしてある」
トビア「細工って!?」
???(デュオ)「いいから、 ガンダムの胴体部分を狙うんだ」
トビア「ど、どういうこと!?」
???(デュオ)「死にたくなければ、 言われた通りにしな!」
ローズマリー「さあ、 そろそろ終わりにさせてもらうよ!」
(クロスボーン・ガンダムX2がザクIIF2型に隣接)
トビア「こうなりゃヤケだ!  やってやるっ!」
(トビアに『気合』)
【強制戦闘】
ローズマリー[ブランド・マーカー]vsトビア[ヒート・ホーク]
(トビアは相手の攻撃をかわし、自分の攻撃は当てる。クロスボーン・ガンダムX2に爆煙)
ローズマリー「何…電気系のトラブルか!?  ジェネレーターが半分死んだ!」
???(デュオ)「へえ、やるじゃねえか。 一発で命中させやがったぜ」
???(デュオ)「じゃ、こっちも五飛と合流して ズラかるとするか」
トビア「X2の動きが止まった…?  チャンスだ!」

クロスボーン・ガンダムX2を
HP1000以下にした 撃墜した


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