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少年達の決意 アイビス ~ 第10話 ~

〈クロスボーン・ガンダムX2のHP1000以下〉

ローズマリー「あのボウヤ、よくも…!」
(ザクIIF2型がクロスボーン・ガンダムX2の北側に隣接)
トビア「X2から降りろ!  そうすれば命までは奪わない!」
ローズマリー「ち…!」
トビア「早く降りるんだっ!!」
ローズマリー「…わかったよ、ボウヤ。 わたしゃ自分の命が一番大事だからね」
トビア「思った通りだ。少し配線を直せば、 すぐにジェネレーターは回復する!  だったら!!」
(クロスボーン・ガンダムX2が北の観客席に隣接、サイレン)
木星帝国兵「うわああっ!!」
トビア「ベルナデット!  いるのなら返事をしてくれ!」
ベルナデット「トビア!」
木星帝国兵「あ…テテニス様っ!」
(モビルスーツが動く)
ベルナデット「トビア!」
トビア「へへへ…、 助けに来たぜ、ベルナデット」
ベルナデット「うん…!  トビアが来てくれるのを信じてた…」
トビア「さあ… しっかりつかまっていてくれよ!」
(クロスボーン・ガンダムX2が入口まで移動)
トビア「どけーっ!  加減なんか効かねえぞ!!」
(入口を壊して脱出後、クロスボーン・ガンダムX2が撤退)
シャア「…思った通りの結果だったな」
ナナイ「大佐は最初から あの少年が勝つと思われていたのですか?」
シャア「ああ。昔見た顔が 彼を手助けしていたようだからな」
シャア「そして、何より あの少年からは良い資質を感じた…」
ナナイ「………」
シャア「ナナイ、もうここに用はない。 レウルーラへ戻るぞ」
ナナイ「はっ」
カラス「フフフ…素晴らしい…。 素晴らしいよ、トビア君!」
カラス「ますます君を 私の生徒にしたくなりましたよ!  ハハハハハ!」

[ジュピトリス9格納庫]

トビア「急いで、ベルナデット!  積めるだけ酸素ボンベを積むんだ!」
ベルナデット「う…うん…。 だけど、どうして追っ手がこちらに 来ないのかしら…?」
トビア「わからない。…けど、 今の内にモビルスーツで脱出するよ!」
ベルナデット「ど、どこへ逃げるの?」
トビア「ここは、もう地球圏だ。 ジュピトリス9さえ振り切れば きっと誰かが見つけてくれる…」
ベルナデット「………」
トビア「大丈夫だよ、何とかなるって!  僕を信じなよ!」
ベルナデット「うん…」

(銃を構える)
バーンズ「冗談言っちゃあいけねえ!」
トビア「バーンズ大尉…!」
バーンズ「動くな! 動くと…撃つぞ!」
トビア「………」
ベルナデット「………」
バーンズ「俺は…」
トビア「え…?」
バーンズ「俺はお前が嫌いじゃねえ…。 どこか死んだ息子に似てやがるからな…。 だから、お前は見逃してやってもいい」
トビア「バーンズ大尉…」
バーンズ「だがテテニス様は置いて行け!  それが出来ねえってんなら、 ここで俺はお前を撃つ!」
トビア「それは…出来ない…!」
バーンズ「小僧…!」
(銃声)

ベルナデット「トビア!」
トビア「だ、大丈夫だ… 撃たれたのは僕じゃない…っ!」
バーンズ「ぐうっ…!?」
五飛「次は狙いを外さんぞ」
バーンズ「お前ら、何者だ!?」
デュオ「見ての通り、タダの侵入者さ」
トビア「あ、あなたは…あの時の!?」
デュオ「さっきは良くやったな。 ついでにもうひと頑張り頼むぜ」
トビア「何をやるって言うんです!?」
デュオ「もちろん、ここから脱出するんだよ。 …五飛、モビルスーツは見つかったか?」
五飛「ああ。木星帝国軍の物だがな」
トビア「あなた方はいったい!?」
デュオ「そいつは脱出してから教えてやるよ。 おっと、そこのオッサンは動くなよ」
バーンズ「お前ら、ここから逃げられると 思っているのか!?」
デュオ「悪いが、こういうのは 俺達の専売特許なんでね。さあ、行くぜ」
トビア「はい!」
ベルナデット「トビア…私はここに残るわ…」
トビア「ベルナ…デット?」
ベルナデット「ううん… あなたを信じないんじゃない。 怖いんじゃない…」
ベルナデット「だけど、トビア… 私の目的はこの戦争を止めること… お父様を説得することだったのよ」
ベルナデット「そのためには、 ここにいた方がいいと… いいえ、いるべきなのだわ」
ベルナデット「…わかって。 お父様を今、止められるのは 私しかいないの…」
トビア「だけど…!」
五飛「そこまでにしておけ。 その女は自分の正義を見つけたんだ。 その信念を砕くことは無理だ」
デュオ「こうなると女ってのは強いぜ。 男に出来るのは、それを見守るぐらいだな」
トビア「ベルナデット…」
ベルナデット「大丈夫よ。 私はここのお姫様だもの…」
ベルナデット「ありがとう…心配してくれて。 本当に嬉しかった…でも…今は…」
トビア「………」
ベルナデット「それでね…それでも、もし… 私が怖い目にあうことになったら… その時は…」
ベルナデット「その時は… その時はもう一度、助けに来て…」
トビア「わかったよ。 もう一度約束するよ、ベルナデット。 君は僕が守ってみせる」
ベルナデット「信じてるよ…」
トビア「ああ…!」

〔戦域:宇宙空間〕

(クロスボーン・ガンダムX2、バタラ×2が出現。南東端辺りにジュピトリス9とレウルーラを含む艦隊が待機している)
ナナイ「レウルーラ、急速回頭!  本艦はこの宙域を離脱して スウィートウォーターへ向かう!」
シャア(生き延びろよ、少年達。 そしてアムロ・レイに伝えるがいい。 ……私がここにいることをな)
(レウルーラが撤退)
五飛「レウルーラは行ったか…」
デュオ「…いつかはこういう日が 来るんじゃないかと思ってたが、 いざ現実になっちまうとな…」
五飛「あの男は既に俺の敵となった。 ならば、倒すまでだ」
デュオ「お前のそういう割り切り方が たまにうらやましくなるよ」
トビア(ベルナデット… 必ず君を助けるからね…)
デュオ「トビアとか言ったな。 俺達についてこられるか?」
トビア「は、はい!」
デュオ「いい返事だ。 とりあえず度胸は合格ってとこだな」
五飛「デュオ、追手が来たぞ」
(ジュピトリス9の側にモビルスーツが多数出現)
トビア「すごい数だ…」
デュオ「こりゃまた 随分と豪勢な見送りだな」
五飛「フッ… いつもの死神の口上はやらんのか?」
デュオ「馬鹿言え。デスサイズに 乗ってるんならともかく、こんな機体じゃ こっちが死神に導かれちまう」
デュオ「やれやれ…こんなことに なるんだったら、あの時にガンダムを 捨てるんじゃなかったぜ」
トビア(ガンダムって…!?  この人達はいったい何者なんだ?  僕とそう歳も変わらないのに…)
五飛「愚痴を言っても始まらん。 覚悟を決めろ、デュオ」
デュオ「ちぇっ… 他人事みたいに言いやがって」
トビア「ど、どうするんです!?」
デュオ「こういう時はな… 三十六計逃げるにしかず、だ!」
(クロスボーン・ガンダムX2、デュオ機、五飛機が少し東へ移動、クロスボーン・ガンダムX2が止まり西を向く)
デュオ「どうした、トビア!?」
トビア「先に行って下さい。 僕が少しでも敵を食い止めます!」
デュオ「おいおい、無茶言うな!  状況が見えてねえのかよ!」
トビア「これでも冷静なつもりです!  ベルナデットが戦うのなら、 僕も戦います! 早く行って下さい!」
デュオ「だから、そう熱くなるなって。 俺達だって何の考えもなしに 逃げてるわけじゃねえんだから」
トビア「えっ!?」
五飛「迎えが来たぞ」
(東側にZZガンダム、キュベレイMk-II、百式が出現)
ジュドー「お待たせ!  ガンダムチーム、参上だぜ!!」
エル「ルーとゼータはいないけどね」
プル「ヤッホー!  迎えに来たよ、デュオ、五飛!」
デュオ「いいタイミングだ、助かったぜ」
プルツー「安心するのはまだ早いよ。 敵の追撃を振り切って、ここから 脱出しなきゃ」
ビーチャ「こらこら、リーダーは俺だぜ。 勝手に命令を出すんじゃねえっつーの!」
ジュドー「そんなのどうでもいいから、 早いトコ逃げようぜ!」
ビーチャ「ど、どうでもいいだと!?  俺はな、ちゃんとブライトさんから リーダー役を仰せつかってんだぞ!」
イーノ「二人とも、今は ケンカしてる場合じゃないと思うけど…」
トビア(また僕と同じぐらいの パイロットだ…しかも、ガンダムチームと ネオ・ジオンのキュベレイ…)
エル「ねえねえ、デュオ…その子、誰?」
デュオ「ああ、そいつはトビアって言って… 宇宙海賊のメンバーなんだ。木星帝国に 捕まってたのを俺達で助け出した」
ジュドー「宇宙海賊って… もしかしたら、シーブックさんの?」
プルツー「違うよ、ジュドー。あの人、 今はキンケドゥって名乗ってるよ」
トビア「!!  キンケドゥさんを知ってるんですか!?」
ジュドー「ああ。前にロンド・ベル隊で 一緒に戦ったことがあるんだ」
トビア「ってことは、あなた達も…!?」
デュオ「その通り。ま、今はプリベンターに 出向ってことになってるけどな」
プル「ねえ、 早くここから逃げちゃおうよ!」
ジュドー「おっと、いけねえ。 じゃ、リーダーさん、ご命令をどうぞ」
ビーチャ「ん。 わかってるじゃねえか、ジュドー」
エル「いいから、早く命令を出しなよ」
ビーチャ「お前はいちいちうるさいんだよ。 …シャングリラ・リーダーから各機へ!  いいか? ここまで移動するんだ」
(北端を示す)
ビーチャ「わかったな!  みんなでちゃんと脱出するんだぞ!」
デュオ「んじゃ、悪いが 俺達は先に行かせてもらうぜ!」
(デュオ機と五飛機が北端まで移動し撤退、作戦目的表示)

〈2EP〉

(クァバーゼが出現)
トビア「あ、あのモビルスーツ隊は…!」
ギリ「フフフ… 逃がしはしないよ、海賊少年」
ギリ「バーンズ、あいつらを 逃がした責任を取ってもらうよ?」
バーンズ「チッ…」
ローズマリー「坊や…さっきのお礼は たっぷりとさせてもらうからねえ」
(作戦目的表示)

〈ザムス・ガル撃墜〉

ジレ「いかん!  総員退避だ!」

〈vs ギリ〉

[トビア]

トビア「やめて下さい、バーンズ大尉!  僕はあなたと戦いたくない!」
バーンズ「俺達は戦争をやりたくて やってるわけじゃない!」
トビア「!」
バーンズ「あの超重力崩壊が起きた時、 お前達、地球の人間は何をした!?」
バーンズ「イージス計画とやらで 地球圏を守っただけだろうが!」
トビア「そ、それは…!」
バーンズ「俺達は衝撃波すら自分達で 何とかしなければならなかったんだっ!!」

[ジュドー]

(ニュータイプの共感)
ジュドー「こいつ…!?」
ギリ「フフフ…君もニュータイプか。 どうだい、木星帝国に来ないかい?」
ジュドー「な…!?」
ギリ「フフフ…ドゥガチ総統は君のような 人間を必要としている」
ギリ「何故なら、僕達のような力を持った 人間が人類を支配するべきだからね」
ジュドー「あんた達は まだそんなことを考えてんのかよ!!」

[プル or プルツー]

プル「!? この感じ…!」
ギリ「ネオ・ジオンのキュベレイMk-II…。 なら、乗っているのはニュータイプだね」
プル「あ、あいつも…!?」
ギリ「フフフ…僕の所へ来るというのなら、 命だけは助けてやる」
プル「嫌だよ! あたしはジュドーと 一緒にいるって決めたんだから!!」
ギリ「…ならば、もう一人の方はどうだい?」
プルツー「……!」
ギリ「君達の力はドゥガチ総統のために 使うべきだ。そうすれば、人類は より良い方向へ進化出来る」
プルツー「そんなことをいう人間が 何をするか…あたしにはわかるよ!  だから、あんた達には力を貸さない!」

[アビジョ撃墜]

ローズマリー「これ以上は、 幾ら金を積まれても御免だね!」

[トトゥガ撃墜]

バーンズ「くそっ!  俺達の覚悟を甘く見るなよ…!」

[クァバーゼ撃墜]

ギリ「やってくれるね…。 でも、次はこうはいかないよ」

〈ジュピトリス9のHP60000以下〉

ドゥガチ「こんなところで無駄に 戦力を消耗させる必要はない…。 各艦に後退を指示しろ」
(ジュピトリス9が撤退)

《移動中・EARTH AREA》

[メガライダー・ブリッジ]

モンド「みんな、お帰り」
ビーチャ「留守番ご苦労だったな、モンド。 ロンデニオンのブライトさんに通信を 入れてくれ。任務完了ってな」
モンド「ああ、わかったよ」
(通信)
ブライト「…ご苦労だったな、ビーチャ。 それで、調査の結果は?」
ビーチャ「残念ながら、ブライトさんや アムロさんの予想通りだったぜ」
ブライト「そうか…」
ビーチャ「詳しい話は デュオと五飛に聞いてくれよ」
ブライト「デュオ、くわとろ大尉を… いや、シャアを確認したのか?」
デュオ「ああ、随分と貫禄がついてたぜ。 おまけに目撃したのはジュピトリス9の 中で…だ」
ブライト「何だと…!?」
五飛「あの男は木星帝国のドゥガチと 会談をしていたようだった」
デュオ「どうやら、ヤバい連中同士が 手を結んだらしいぜ」
ジュドー「そんな馬鹿な! クワトロ大尉は 俺達と一緒に戦った時、木星圏の人間が 何をやったか知ってるはずだろ!?」
ジュドー「なのに、どうしてなんだよ!?」
デュオ「それだけ本気だってことだろ」
ジュドー「……!」
ブライト「…デュオ、ジュピトリス9と レウルーラの位置は?」
デュオ「ジュピトリス9がいたポイントは Z2235。レウルーラはすぐに ジュピトリス9から離脱したが…」
デュオ「方向から考えて、 サイド3に向かったみたいだ」
ブライト「サイド3…? そうか、 あそこはジオン公国発祥の地だったな…」
デュオ「つまり、ネオ・ジオンの 新しい本拠地にするには最適ってことだ」
ビーチャ「…ブライトさん、 このまま俺達、レウルーラを追おうか?」
ブライト「いや、お前達の任務はこれまでだ。 ロンデニオンへ帰還してくれ」
ビーチャ「それ、どういう意味だよ?」
ブライト「これ以上、お前達を 戦いに巻き込むわけにはいかん。 後は我々に任せるんだ」
ジュドー「ちょっと!  今さらそんな水くさいこと 言いっこなしだぜ、ブライトさん!」
エル「そうだよ。 前はお休みもらっちゃったから、 今回はあたし達も働くって」
イーノ「今は少しでも 戦力が必要な時なんでしょう?」
ブライト「お前達……」
ジュドー「俺達だってロンド・ベル隊の 一員なんだ。それに、ダブルゼータに 俺が乗らなくってどうすんの?」
ブライト「いいのか、ジュドー?」
ジュドー「また大きな戦いが起きる…。 リィナが安心して暮らせるために、 俺も何かをしたいんだ」
ジュドー「それに、クワトロ大尉が 何を考えているか知りたい…!」
ジュドー「何であの人が俺達を裏切り、 木星帝国なんかと手を結んだかを…!」
ブライト「ジュドー…」
ビーチャ「ってことで、俺達 シャングリラチームは引き続き ロンド・ベル隊に協力させてもらいます!」
ブライト「…わかった。 ならば、お前達はアクシズへ向かってくれ」
ビーチャ「アクシズ?  サイド3に行かなくていいの?」
ブライト「あそこには連邦軍の艦隊が 駐留している。それに、私も ロンド・ベル本隊を率いて向かう」
ブライト「お前達は アクシズにいる大空魔竜戦隊と アルビオン隊に合流するんだ」
ビーチャ「了解!」

《アクシズ・EARTH AREA》

[アクシズ内部]

キンケドゥ「トビア!  こいつ…よくも無事で!」
トビア「へへへ…皆さんもお元気そうで…。 まあ、あまり心配は してませんでしたけど…」
キンケドゥ「馬鹿!  心配してたのはこっちだ!」
トビア「…ありがとうごさいます…」
ベラ「本当によくもどれましたね、トビア」
トビア「ベラ艦長…」
ベラ「ところで、ベルナデットは…?」
トビア「…彼女はクラックス・ドゥガチを 説得すると言って残りました」
ベラ「そう…気を落とさないようにね…」
トビア「はい…わかっています。 これで、終わりってわけじゃありません…」
トビア(ベルナデット…、 俺…もっともっと強くなる…。 今度会うまでに…きっと…!)
トビア(そして君を今度こそ 救い出してみせる。木星からじゃなく、 ドゥガチの娘だという運命から…きっと…)
ルー「それにしても、すごいしぶとさね。 本当にジュドー並だわ」
ジュドー「ちぇっ、本人を目の前にして 言ってくれるよ」
ルー「あら…来てたの、ジュドー?」
ジュドー「まったく…。久しぶりに 会ったんだから、もうちょっと 歓迎してくれてもいいんじゃない?」
エル「ジュドー、 そんな女、放っときなって」
ルー「エルも来てたんだ?  相変わらずガキっぽいわね… 少しは女らしくしたら?」
エル「あんたの方はますますフケたね。 そろそろお肌も曲がり角なんじゃない?」
ルー「余計なお世話よ!」
キース「やれやれ、会った早々にこれかよ…」

[アクシズ内部]

サンシロー「随分とにぎやかな一団だな。 しかも子供ばっかり」
ベイト「まったくだぜ。 ガキのお遊びにつき合う暇は無いって 言うのにな」
バニング「連中もバルマー戦役の時、 一緒に戦った仲間だ。腕は確かだぞ」
ナナ「あんな子供なのに…!?」
京四郎「お前だってまだ子供だろうが」
ナナ「う~、ワン! 失礼しちゃうわ!」
アイビス「物好きは トビアだけじゃないのね…」
ツグミ「そうね…。まだ親に甘えていても おかしくない年頃なのに、自ら戦いに 参加しようなんて…」
万丈「戦おうとする意志は大人も子供も 関係ないさ。そして、彼らの決意は 見た目ほど軽くはない」
ウモン「いいこと言うなあ、若いの!  まあワシから見れば、お前ら全員 ヒヨッコ同然だがな」
ギャリソン「そうでございますな」
万丈「やれやれ… 人生の大先輩にはかなわないね」
アイビス(意志…決意か…。 あの子達と比べて、あたしは…)

[アクシズ内部]

レディ「では、シャア・アズナブルは サイド3へ向かったのか?」
五飛「ああ」
デュオ「ブライトさんはロンド・ベル本隊を サイド3へ向かわせるって言ってたぜ」
レディ「…今のタイミングで 間に合うとは思えんな」
ノイン「サイド3に駐留している 連邦軍艦隊が時間稼ぎをしてくれれば あるいは…」
デュオ「とにかく先手を 打たれちまったって感じだな。 さて、これからどうなることやら…」
レディ「………」
五飛「今後は俺も前線に出させてもらう。 プリベンターとしての潜入任務は 他の工作員に依頼してくれ」
デュオ「俺もそうさせてもらうぜ。 殴ってやりたい相手が出来たんでね」
ノイン「フッ…そう言うだろうと思っていた」
レディ「こちらもそのつもりだ。 ガンダムというわけにはいかないが お前達の機体も用意させよう」
デュオ「おっと、それなら心配いらないぜ。 レウルーラに潜入している間に 死神の居場所も突き止めたんでね」
レディ「! 本当か?」
五飛「ああ。 ネオ・ジオンは俺達のガンダムを 秘密裏に回収しているらしい」
デュオ「というわけなんで、 砂漠の王子と名無しのピエロにも 連絡を頼むぜ」
デュオ「俺達の戦いがまた始まるってな…」

[マザー・バンガード・休憩室]

アデナウアー「シナプス大佐、 任務ご苦労だった」
シナプス「いえ…」
サンシロー「よう、ミドリ。 あのスーツを着た人は誰だ?」
ミドリ「アデナウアー・パラヤ参謀次官よ。 さっき、参謀本部からアクシズに来たの」
サンシロー「へえ…お偉方が こんな前線まで来るなんて珍しいな」
ピート「フン…自分の権限を 俺達に見せつけておきたいだけだろう」
アデナウアー「諸君らの活躍により デラーズ・フリート残党の野望は もろくも崩れ去った」
シナプス「次官、お言葉を返すようですが 彼らがネオ・ジオンに合流した以上、 事態はますます悪化しているのです」
アデナウアー「わかっている。 だからこそ、こうして私が参謀本部から 直接の命令をもって来たのだ」
アデナウアー「今後、地球連邦は 火星の異星人を含む多くの敵の脅威に さらされることが予想される」
アデナウアー「本日を以ってアルビオン隊、 大空魔竜戦隊、プリベンターは アクシズ特務部隊に編入…」
アデナウアー「それに協力する民間人、 マザー・バンガードのメンバーも アクシズ特務部隊付けとなる」
アデナウアー「特務部隊の管轄は 地球内外の全域、原則として 独立行動権も認める」

[マザー・バンガード・休憩室]

キンケドゥ「つまり、 俺達の判断で自由に動けるということか。 随分と寛容な処置だな」
ウモン「そうじゃな。ワシ達 海賊はてっきりお縄にかかるもんだと 思っておったからのう」
万丈「頭の固い参謀本部にしては 思い切った判断だね。 僕達の自由にさせてくれるなんて」
ピート「そうとも言えんさ。 参謀本部は敵を引きつけるオトリ役を 俺達にやらせるつもりなのだろう」
万丈「ま、大空魔竜やマザー・バンガードは 何かと目立つからねえ」
キンケドゥ「元祖ド派手の万丈さんには 言われたくないですがね」
ウモン「じゃが、犯罪者扱いを 受けるよりははるかにマシじゃ」

[マザー・バンガード・休憩室]

アデナウアー「質問がなければ、 これで一時解散とする。 細かな事項は追って通達する」
ルー「参謀次官、質問があります。 アクシズ特務部隊というのは 正式な部隊名なんですか?」
アデナウアー「何か不服でもあるのか?」
ルー「アクシズって名前は ネオ・ジオンが付けたものだし… ちょっと抵抗があるんですけど」
アデナウアー「ならば、お前達の好きにしろ」
ナナ「じゃあ、 部隊名はあたし達で決めていいのね!」
ビーチャ「やれやれ、助かったぜ。 あんなダサイ名前の部隊じゃ やる気がおきないもんな」
サンシロー「よし!  みんなで部隊名を考えようぜ!」
ビーチャ「では、シャングリラチームの リーダーである俺から…」
ビーチャ「『宇宙独立愚連隊』ってのは どうだ? 最高にイカしてるだろ?」
モンシア「そんな名前を付けるのは てめえの小隊だけにしろってんだ。 この悪ガキめ!」
キース「ちょっとシャレた感じで、 『スターダスト・メモリー』ってのは どうかなあ?」
モーラ「何か、 バーかクラブの名前みたいだね」
ナナ「地球を守るんだから 『ガイアセイバーズ』ってのはどう?  昔、そんな特殊部隊があったんでしょ」
ツグミ「それじゃ二番煎じになるじゃない」
ウモン「ええい、めんどくせえ!  この際、皆で『宇宙海賊クロスボーン・ バンガード』を名乗るのはどうだ?」
京四郎「おいおい、じいさん。 俺達の機体にまでドクロマークを 付ける気かよ?」
サンシロー「じゃあ『レッドサン』!」
ヤマガタケ「そりゃ、 てめえの野球チームの名前じゃねえか!」
一平「だったら『アイフル』でどうだ?」
京四郎「それは何だ?」
一平「俺の愛馬の名前さ」
京四郎「何で俺達の部隊にお前の馬の名前を つけなきゃならん…」
ピート「俺は『ベストガイ』を推す。 極東のトップガンとしてな」
一矢「『シャッフル・ユニオン』はどうだ?」
日吉「『スペースファルコン』じゃ駄目?」
コウ「アムロ大尉がいてくれたら こういう時、皆をまとめてくれるのに…」
アンナマリー「キンケドゥ、 さっきから黙っているけど、あなたは 意見はないの?」
キンケドゥ「そうだな…、 『αナンバーズ』なんかどうだろう?」
ピート「『α部隊』といったところか…。 『α』の意味は?」
キンケドゥ「大いなる最初の一歩、 さらに期待の未知数ってところかな…」
万丈「ほう、シャレてるじゃないか。 それに語呂も悪くない」
ビューティ「でも、 ちょっと素っ気無い感じもするわねえ」
アデル「それに、連邦のどこかに 似た名前の部隊があったような気が…」
ツグミ「さらに、かなり昔に 似たような名前の特殊部隊が存在した 記憶があるんですが…」
大文字「ふむ…ここまで意見が 割れてしまっては仕方がない。 公正な人物に決定してもらおう」
万丈「では、大文字博士。 まだ一度も意見を述べていない アイビスに決めてもらいましょう」
アイビス「え…? あたしが…」
万丈「ああ、そうだ。 君が名前を思い付かなかった時は 『αナンバーズ』に決定だ」
アイビス「………」
(部隊名入力)

[マザー・バンガード・休憩室]

ベラ「では、αナンバーズに 決定ですね」
大文字「本日を以って我々は αナンバーズとして 地球圏の脅威と戦っていく」
シナプス「戦いはこれまで以上に 厳しくなっていくことが予想される。 以後の諸君らの働きに期待する」

アイビス「αナンバーズ…。 あたしの新しい居場所か…」


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