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世紀のマグネ・ロボット ゼンガー ~ 第3話 ~

《邪魔大王国本拠地 UNKNOWN・JAPANESE AREA》

[祭壇]

ミマシ「何!?  ミケーネ共がこの国に現れただと!?」
ククル「はっ…」
アマソ「どういうことだ?  アルゴスの話と食い違っておるぞ」
ミマシ「うむ。ミケーネはこの国へ 干渉をせんことになっていたはずだ」
ククル「ハーディアスによれば、 あの協定はアルゴスが 勝手に結んだものだと…」
ミマシ「…で、お前は そんな戯言を聞き、おめおめと ここへ戻って来たのか?」
ククル「……!」
アマソ「ふん、 子供の使いではあるまいし…その程度なら、 ハニワ兵士でも充分事足りるわ」
ミマシ「うむ。 所詮、こやつは部外者…ヒミカ様のお情けで 生き長らえている女だからな」
ククル「く……!」
ヒミカ「もうよい。そこまでにいたせ」
アマソ「! ヒミカ様…!」
ヒミカ「ククルは己の命と引きかえにわらわへ 忠誠を誓った者じゃ。出自は違えど、 我が王国の一員であることに違いはない」
ヒミカ「それに、ククルの働きで 人間共の地中要塞から例の物を 奪取できたのじゃからな」
ククル「ヒミカ様…」
アマソ(ふん…。場所さえわかっておれば、 誰にでもできる仕事だ)
ミマシ「しかし、 ミケーネの件はいかがなさるのです?」
ヒミカ「放っておけ。 おそらく、諜報軍はわらわ達に他軍団の 牽制をさせるつもりであろうが…」
ヒミカ「それは奴らが 一枚岩ではないことを証明しておる」
ミマシ「なるほど…」
ヒミカ「逆に奴らの権力争いを利用し… 後で事をわらわ達の有利になるよう 運べばよい」
ミマシ「ははっ」
ヒミカ「それより、ミマシよ… 盗まれた銅鐸の行方はわかったのか?」
ミマシ「い、いえ…」
アマソ「現在、イキマが手掛かりを知る 人間を捕らえに向かっております」
ヒミカ「司馬遷次郎とか申す者じゃな。 では、ククル…イキマの加勢に行け。 おそらく邪魔が入るであろうからな」
ククル「はっ」
(足音・ククルが立ち去る)
ヒミカ(フフフフ…。 わらわのためにせいぜい働くがよい。 そなたの一族のためにな…)

《移動中・JAPANESE AREA》

[草原]

(爆発、ブレーキと衝撃)
遷次郎「き、貴様…何者だ!?」
イキマ「ふふふふ… 我々のことはよくご存じのはず」
遷次郎「貴様! まさか、ヒミカの!?」
イキマ「さすがは司馬博士。 …我々の邪魔大王国は復活したのだ!」
遷次郎「邪魔大王国!?  ヒ、ヒミカが甦ったのか!?」
イキマ「そのとおりだ。 俺はヒミカ女王に仕える三大幹部の一人… イキマ!」
遷次郎「それで私に何の用があるのだ!?」
イキマ「知れたことよ。 銅鐸の隠し場所を教えてもらいたい」
遷次郎「銅鐸…!?  何のことか私にはわからん!」
イキマ「とぼけても駄目だ。 あの銅鐸は我々邪魔大王国の再建にとっては なくてはならぬもの…!」
イキマ「日本はおろか、全世界を手中に 収めるためにもなくてはならんのだ。 さあ、隠し場所を言え!」
遷次郎「断る!  お前達に言う必要はない!」
イキマ「何ぃ? 言いたくなければ、 こちらから言わせてやる! やれい!」
ハニワ兵士「ははっ!」
(殴る)
遷次郎「ううっ!!」
イキマ「さあ、言え! 銅鐸の隠し場所を!」
遷次郎「世界の平和を守るためだ!  殺されても言わんぞ!!」
イキマ「貴様!!」
(光線で攻撃)
遷次郎「ぐあっ!」
イキマ「ふはは、もう後がないぞ。 ハニワ兵士共よ、博士を捕まえろ!」
ハニワ兵士「ははっ!」
遷次郎「うわあぁぁぁぁぁぁっ!?」
(機械が動き、乗り物が破損した)
イキマ「ぬ、ぬう! しまった!」
(バイクの走行)
イキマ「む、誰か来る!?  ここはいったん引き上げて、司馬博士の ビルドベースへ向かうぞ!!」
ハニワ兵士「はっ!」

(ブレーキ)
美和「! あ、あれは…博士の車だわ!」
美和「博士! 司馬博士!!  どこにいらっしゃるんです!?」
美和「博士ぇぇっ!!」

[日本家屋内部]

まゆみ「遅いわねえ、お父さん…」
菊枝「本当ね…。 今日帰るって連絡があったのに…」
まゆみ「きっとお土産買うのに 時間が掛かってんのよ」
菊枝「そうだといいんだけど…」
「…親父の言うことが当てになるかよ」
菊枝「宙……」
「母さん、親父はね… 自分の家族より研究の方が大事なんだ。 そういう冷たい人間なんだよ」
「だから、俺は……」
(木製の扉が開閉する)
美和「宙さん! おばさま!!」
「どうした、ミッチー!?」
遷次郎「ひ…宙…!」
「と、父さん!」
菊枝「あ、あなたっ!!」
「どうしたんだ、その傷は!?」
美和「宙さん、早く…早くお医者様を!!」
「あ、ああ!」
遷次郎「ま、待て、宙…!  私はもう助からん…」
「えっ!?」
遷次郎「ひ、宙…! これを……!!」
「グローブとペンダント…!?  いったい、これは何の意味だ!?」
遷次郎「………………」
美和「ああっ! おじさまっ!!」
「父さん! 父さんっ!!」
美和「そ、そんな……!!」
(通信)
美和「! ビルドベースから!?」
大利「聞こえるか、卯月君!?  ワシじゃ、大利じゃ!!」
美和「は、はい!」
大利「ビルドベースは今、 邪魔大王国の者達に襲撃されておる!」
美和「な、なんですって!?」
大利「司馬博士の予想は当たっておった!  すぐに宙君を連れて戻って来てくれ!」
美和「わ、わかりました!!」
「ミッチー、どういうことだ!?  邪魔大王国って何なんだ!?」
美和「そ、それは……!」
「もしかして、親父はそいつらに!?」
美和「宙さん、今は詳しいことを 説明している時間がないわ…!  私と一緒にビルドベースへ行って!」
「な、何で 俺が親父の研究所なんかに!!」
美和「今はそんなことを 言ってる場合じゃないのよ!!」
「うるせえ!  そんなの、俺の知ったことか!!」
(速い足音・宙が走り去る)
美和「宙さん!!」
大利「どうした、卯月君!?」
美和「す、すみません、大利所長…!  宙さんが…!」
大利「仕方がない、ビッグシューターの 発進準備をさせる! 君だけでも ビルドベースへ戻ってくれたまえ!」
美和「は、はいっ!!」

[草原]

「親父のバカヤロウ…!  勝手に死にやがってよ…!」
「くそ…!  ガキじゃあるまいし、こんなグローブと ペンダントなんか!!」
(特殊通信)
遷次郎「……宙……宙…!」
「親父の声!?  でも、そんな馬鹿なことが…!!」
遷次郎「宙、私だ…」
「空耳じゃない! 父さん、どこだ!?」
遷次郎「…宙……ビルドベースへ…… ビルドベースへ行くのだ……」
「………!!」


第3話
世紀のマグネ・ロボット

〔戦域:ビルドベース周辺〕

(サイレン)
大利「卯月君、準備はいいかね!?」
美和「はい、所長!!」
大利「よし、発進じゃ!!」
美和「ビッグシューター、ゴー!!」
(ビッグシューターが湖の中から出現)
大利「卯月君! ハニワ幻人を ビルドベースに近づけてはならんぞ!」
大利「ここが破壊されたら、 取り返しのつかんことになる!!」
(ビルドベースを指す)
美和「はい! ビッグシューターで 敵を足止めします!」
大利「頼んだぞ!!」
美和(宙さん、何をしているの…!?)
(作戦目的表示)

〈2PP〉

イキマ「ハニワ幻人よ、 一刻も早くビルドベースへ向かえ!  あそこには銅鐸があるはずだ!」
イキマ「あれさえ手に入れば、 この世界はヒミカ様のものとなる!!」
(ビルドベースの北側の道上を移動するものを指す)
美和「! あれは…宙さん!?」
「父さん、どこだ!?」
イキマ「む! 何奴だ!?」
「どこなんだ!? 父さん!!」
イキマ「ビルドベースへ行く気か!  そうはさせんぞ!!」
(ハニワ幻人が北に移動し宙に攻撃)
「うおあああっ!?」
美和「ひ、宙さんっ!!」
イキマ「ふははは! 非力な人間め!  あの世で己の不運を嘆くがいいわ!」
「…お、俺は…!?」
イキマ「何っ、馬鹿な!  あの爆発で生きているだと!?」
「こ、これはいったい…!?  俺の身体は…!?」
イキマ「ええい、ハニワ幻人よ!  もう一度攻撃だ!!」
美和「宙さん! 早くそこから逃げて!!」
「くそっ! こんな所で わけもわからず殺されてたまるか!!」
遷次郎「宙!!」
「父さん!?」
遷次郎「宙!  手袋を合わせ、『鋼鉄ジーグ』と叫べ!!」
「なっ…!?」
遷次郎「その時、 お前は鋼鉄ジーグに変身するのだ!!」
「何をワケのわからねえことを!  父さんは死んだんじゃなかったのか!?」
遷次郎「いいから、言うとおりにするんだ!  母さんやまゆみが邪魔大王国の 手にかかってしまっていいのか!?」
「邪魔大王国…!  もしかして、あいつらのことか!?」
遷次郎「早く鋼鉄ジーグになるんだ!  今、奴らを倒せるのはお前しかいない!!」
「よ、よし…! わかったぜ!!」
【デモムービー『ビルドアップ 鋼鉄ジーグ』】
(鋼鉄ジーグが出現)
イキマ「な、何だ、あれは!?」
美和「やったわね、宙さん!」
鋼鉄ジーグ「こ、これは…!?」
遷次郎「その姿こそ鋼鉄ジーグだ!」
美和「宙さん、鋼鉄ジーグは ビッグシューターのサポートがあって 初めて能力を100%発揮出来るわ!」
美和「だから、全ての武器を使うには ジーグパーツの射出範囲内にいなければ ならないことを忘れないで!」
鋼鉄ジーグ「要はミッチーと 一緒に戦った方がいいってことだな!?」
美和「ええ!」
遷次郎「戦え、宙!  邪魔大王国の野望を打ち砕くのだ!!」
(ビッグシューターが移動し、鋼鉄ジーグに合流)
イキマ「鋼鉄ジーグだと…? 司馬の奴め、 あんなものを用意していたとは…!」
イキマ「ええい、ビルドベースと銅鐸は 後回しだ! 先に奴を倒せ!」
鋼鉄ジーグ「さあ来い、ハニワ幻人!  鋼鉄ジーグが相手だ!!」
(作戦目的表示)

〈初戦闘〉

[鋼鉄ジーグ]

鋼鉄ジーグ「行くぜ、バケモノ!  親父の仇を討たせてもらうぞ!」

〈敵機全滅〉

(敵機増援が出現)
ククル「イキマ様、加勢に参りました」
イキマ「よし…!」
(ヤマタノオロチが移動し、イキマを収容)
イキマ「鋼鉄ジーグとやら、覚悟しろ。 このヤマタノオロチで圧し潰してやる」
鋼鉄ジーグ「ちっ! あんな大軍と どうやって戦えって言うんだ!?」
遷次郎「弱音を吐くな、宙! お前は今日から 戦士として生きねばならんのだぞ!!」
鋼鉄ジーグ「お説教ならたくさんだぜ!  特にあんたの口からはな!」
大利「宙君、卯月君!  ビルドベースもある程度なら敵からの 攻撃を耐えることが出来る!」
大利「ビルドベースが破壊される前に 敵のハニワ幻人を倒すんだ!」
美和「宙さん、今はビルドベースを 守ることが先決よ!」
鋼鉄ジーグ「言われなくてもわかってる!  …とにかく近づいて来る奴らから 倒していくぞ!」
(作戦目的表示)

〈NEXT PP〉

(ビルドベース傍にグルンガスト参式が出現)
ククル「! ここにも現れたか…」
ゼンガー「…逃がさんと言ったはずだ」
ククル「見上げた執念だな。 仲間を殺されたことが よほど腹にすえかねたらしい」
ゼンガー「人であるならば、 当然の感情だ。もっとも、貴様に 理解できるかどうかは知らんが」
ククル「……!」
ゼンガー「…ネート博士達の無念は この手で晴らす」
ゼンガー「それが 生き残った俺に果たせる最後の使命…!」
ククル「使命だと?  生ける屍同然の身で…笑わせるな」
ゼンガー「黙れ!  例えこの命が尽きようと、 我が太刀で貴様らを断つ!!」
鋼鉄ジーグ「ミッチー!  何なんだ、あいつは!?」
美和「わ、私にもわからないわ…」
(大空魔竜が出現)
大利「おお! あれは大空魔竜じゃ!」
美和「宙さん、 味方が助けに来てくれたわ!」
鋼鉄ジーグ「味方!? あいつらが?」
大文字「これより、 ビルドベースの防衛に回る!  各機、発進してくれたまえ!」
(出撃準備)
ゼンガー「………」
サンシロー「…またあいつか。 俺達の行く先々に現れやがるぜ」
ピート「奴に構うな。 お前達は敵の迎撃に専念しろ」
ジュン「鉄也……」
鉄也「様子見だ。今はな」
ジュン「…わかったわ」
ボス「おいおい、二人で 意味深な会話をするんじゃねえよ!  何の話か、俺にも教えろって!」
鋼鉄ジーグ「…ミッチー、 あんな連中が頼りになるのかよ?」
美和「え!?」
鋼鉄ジーグ「見た目はご大層だが、 頼りになるかって聞いてるんだ」
ファン・リー「…少なくとも、 あんたよりは場慣れしているつもりだが?」
鋼鉄ジーグ「…口先だけなら何とでも言えるぜ」
美和「宙さん、いいかげんにして!  あの人達と協力して戦うのよ!」
イキマ「フン、 雑魚が何匹増えようと同じこと!  まとめて始末してやるわ!!」

〈vs イキマ〉

[鋼鉄ジーグ]

イキマ「冥土の土産に教えてやる!  俺の名はイキマ! 女王ヒミカ様に 仕える三大幹部の一人よ!!」
鋼鉄ジーグ「女王…ヒミカだと!?」
イキマ「さあ、 貴様の命をヒミカ様に捧げるがいい!」

[鉄也]

鉄也「こいつら…科学要塞研究所に 現れた連中の仲間か!」
イキマ「そのとおり! 我らは邪魔大王国… この国の真の支配者だ!」
鉄也「真の支配者だと…!?」

[サンシロー]

サンシロー「お前ら、 いったい何者なんだ!?」
イキマ「知らぬのも無理はない。俺達は 長き眠りから目覚めたばかりだからな」
サンシロー「長き眠りだって…!?」

[ピート]

イキマ「人間共の戦艦など、 ヤマタノオロチで蹴散らせい!」
ピート「八岐の大蛇…!?  この国土着の敵だというのか…!?」

[ゼンガー]

イキマ「不運な奴よ。ここに現れねば、 死なずに済んだものを…」
ゼンガー「我が前に 立ち塞がる者は…何人であろうとも 斬り捨てるのみッ!!」

〈vs ククル〉

[ゼンガー]

ククル「来るがいい!  お前に黄泉の国を見せてやる!」
ゼンガー「よかろう!  貴様の命が見物料代わりだッ!!」

[撃墜]

ククル「くっ…!!」
(マガルガが北端中央へ逃げ、グルンガスト参式が途中まで追いかける)
ゼンガー「逃がさん!!」
ゼンガー「覚悟はいいかッ!!」
(マガルガに近づくとグルンガスト参式に爆煙)
ククル「やむを得ん…かくなる上は!!」
(グルンガスト参式が1歩後退)
ゼンガー「むうっ、参式が!  貴様、何をした!?」
ククル「その人形へ術を仕掛けた… しかし、その必要はなかったかも知れんな」
ゼンガー「なッ…!  機体が…動かん!?」
ククル「昼夜を通し、 ただひたすらに私を追ってきたのだろう…?  それでは、限界を迎えて当然だ…」
ククル「その人形も……貴様もな」
ゼンガー「不覚……!!」
(マガルガが撤退)
ヤマガタケ「お、おい!  あいつ、動かなくなっちまっぞ!!」
(グルンガスト参式を指す)
サンシロー「まさか… やられちまったのか!?」
ピート「構うな、サンシロー!  敵の迎撃に専念しろと言ったはずだ!」
サンシロー「わ、わかってるよ!!」

〈イキマ機撃墜〉

イキマ「お、おのれ…!  今日のところは引きあげだ!」
(幻魔要塞ヤマタノオロチが撤退)
ファン・リー「何とか撃退出来たか…」
(グルンガスト参式を指す)
大文字「ミドリ君、 あのグルンガストの状態は?」
ミドリ「どうやら、 行動不能に陥っているようです」
大文字「…では、ピート君。 あのグルンガストを回収してくれたまえ」
ピート「本気ですか、博士?  奴は我々とは無関係の人間ですよ」
大文字「いや… 彼と出会うのは今回で三度目だ。 これも何かの縁かも知れん」
ピート「…同情をしたとでも?」
大文字「いや…参式の戦力は捨てがたい。 彼に事情を話し、協力を頼んでみよう」
ピート「…了解です」
大利「…宙君、卯月君。 ひとまずビルドベースへ戻ってきて くれたまえ。君達に話したいことがある」
美和「わかりました、所長」
鋼鉄ジーグ(…親父…どこにいる?  あんたは死んだはずじゃなかったのか?)
美和「さあ、宙さん。私達も行きましょう」
鋼鉄ジーグ「…ああ」

《ビルドベース・JAPANESE AREA》

[ビルドベース]

大利「いやいや…本当に助かりました。 礼を言いますぞ、大文字博士」
大文字「いえ。 …ところで、大利所長。 司馬遷次郎博士はどこに?」
大利「う…む…。実は……」
「…親父なら死んだぜ」
大文字「!?」
サンシロー「その声…そのペンダント…。 もしかして、あんたがジーグの パイロットかよ?」
「………」
大利「…パイロットというより、 彼はジーグそのものなんじゃ」
サンシロー「そのものって…。 じゃあ、ジーグはあんたが変身でも してるっていうのか?」
「…それは俺が聞きたいぐらいだぜ」
サンシロー「?」
大利「宙君…」
「…所長、教えて下さい。 何故、死んだはずの親父が 俺に話しかけてくるんです?」
大利「…いいじゃろう。 私についてきてくれたまえ……」

[ビッグファザー前]

「こ、ここは…!?」
大文字「見たところ、 コンピュータルームのようだが…」
遷次郎「…宙………」
「! と、父さん!! その姿は!?」
遷次郎「宙…驚かせてすまなかった。 私の身に万一のことがあった時に備えて…」
遷次郎「このコンピュータに 私の全てを記憶させておいたのだ」
「な、何だって…!?」
遷次郎「事の始まりは今から25年前だ」
遷次郎「考古学者として日本の歴史を 研究していた私は…ある日、九州の古墳で 1個の銅鐸を発見したのだ」
遷次郎「その銅鐸に刻まれた古代文字を 解読したところ…大変なことがわかった」
「大変なこと!?」
遷次郎「そうだ。 かつて日本には恐るべき古代文明があった」
遷次郎「それが、異次元科学を使う独裁者・ ヒミカの支配する邪魔大王国だ」
遷次郎「銅鐸に書かれた予言によれば、 ヒミカは千数百年の後、眠りから覚めて…」
遷次郎「異次元科学の力を使い、この日本の 支配を目論んでいると言うのだ」
遷次郎「…私は 自由を愛する一人の人間として、ヒミカの 野望を断じて許すわけにはいかない」
遷次郎「そこで…ヒミカと戦う基地として、 このビルドベースを造った」
遷次郎「そして、 彼らと戦えるのは鋼鉄ジーグ…」
遷次郎「さらに、大文字博士…あなた方の 大空魔竜戦隊やバルマー戦役を勝ち抜いた ロンド・ベル隊しかいないのです」
大文字「そういうわけだったのですか…」
「…で、父さんはこのペンダントと グローブを俺に渡したのか」
遷次郎「宙…全ては人類の平和のためだ」
「…父さんはいつもそうだ!  俺や母さん、まゆみに結果だけを 押し付けてくる…!」
「そんな父さんの言いなりになるのは、 まっぴら御免だぜ!」
遷次郎「…私の言うことが聞けんのか?」
「地球の平和なら、ここにいる連中が 守ってくれるさ。俺には母さんとまゆみを 養うことの方が大事なんだ」
「それに、父さんの都合に振り回されるのは もうたくさんだ! このペンダントと グローブも返すぜ!!」
(グローブを投げ捨てた)
遷次郎「宙、どこに行くつもりだ!?」
「うるせえ! 俺に構うな!!」
(扉が開閉する)
美和「宙さん…!」
遷次郎「放っておけ、卯月君。 今の宙には何を話しても無駄だ…」
美和「で、でも…」
(扉が開閉する)
菊枝「あなた…」
遷次郎「菊枝、見てのとおりだ。 ついに恐れていた日が来た……」
菊枝「はい…覚悟は出来ていました。 ですが、宙は…」
遷次郎「宙が全てを理解し、 心を決めるには、まだ時間が必要だ」
遷次郎「だが、我々に… いや、人類に残された時間は限りがある」
遷次郎「それまでに 宙には何としても一人前の戦士として 立ち上がってもらわねばならんのだ」
菊枝「………」

《邪魔大王国本拠地 UNKNOWN・JAPANESE AREA》

[祭壇]

ヒミカ「この愚か者めが!  銅鐸を手に入れられなかったどころか、 ハニワ幻人までも失いおって…!」
イキマ「お、お許し下さい、ヒミカ様…!  まさか、司馬遷次郎があのような物を 作っていたとは夢にも思わず…」
ヒミカ「ええい!  言い訳なぞ聞きたくはない!  わらわの怒りを思い知らせてくれる!!」
(落雷、振動)
イキマ「お…お許しを、ヒミカ様!」
アマソ「フン、イキマよ。人間共の力を 甘く見ておったお前が悪いのだ」
ミマシ「何を言う、アマソ。我らが人間に 劣るとでも考えているのか?」
アマソ「ああ、数の上ではな」
ヒミカ「アマソの申す通りじゃ。 我ら邪魔大王国が眠りについている間に 地上には人間共が溢れかえっておった」
ヒミカ「奴らから地上を取り戻すためには、 銅鐸に秘められし方法にて地獄の帝王を 復活させるのが最も得策であろう…!」
ミマシ「地獄の帝王…。 全てを破滅に導く破壊の化身…」
アマソ「その力さえ手に入れば、 もはや恐れるものなどありませんな」
ヒミカ「よいか…イキマ、アマソ、ミマシ。 そして、ククルよ」
ククル「はっ…」
ヒミカ「我ら邪魔大王国存亡の鍵は、 司馬遷次郎の持つ銅鐸の秘密にある!」
ヒミカ「まずは銅鐸のありかを捜せ!  そして、その邪魔をする者共には 死と恐怖を与えるのじゃ!」
???「フフフ……では、俺も それに協力させてもらうとしよう」
ヒミカ「! そこにおるのは誰じゃ!」
(虎の咆哮)
???(ゴーゴン)「これは失礼した。 女王の声が耳に入ったのでな…」
ヒミカ「む…! ゴーゴン大公か」
ゴーゴン「ふふふ…いかにも」
ククル「貴様…どの面を下げて!」
ゴーゴン「何の話だ?」
ククル「ハーディアスの件… 知らぬとは言わせんぞ!」
ゴーゴン「…悪霊将軍は我が諜報軍の 管轄ではない。文句があるのなら、 直接ハーディアスに言ってもらおう」
ククル「よくもぬけぬけと…!」
ヒミカ「もうよい。 そやつの情報のおかげでわらわ達は 例の物を手に入れられたのじゃからな」
ククル「は、ははっ…」
ヒミカ「ところで、ゴーゴンよ。 そなた…地獄の帝王について、 何か知っておらぬか?」
ゴーゴン「……我が諜報軍でも 少しばかりの情報は入手しているが、 詳細は不明だ」
ヒミカ「…なるほど。それで、そなたは わらわ達に接触してきたというわけか」
ゴーゴン「そのとおり。 我が諜報軍の目的は銅鐸の秘密を知ること… 日本の制圧などに興味はない」
ヒミカ「面白い。 わざわざ諜報軍と銘打ったか。 …じゃが、信用するわけにはいかぬな」
ゴーゴン「では、俺がそこにおる者達より先に 銅鐸を発見してみせよう」
アマソ「何…!?」
イキマ「貴様、調子に乗りおって…!」
ヒミカ「フフフ… ゴーゴンよ、大口を叩きおったな。 ならば、結果を示してみせよ」
ゴーゴン「…もとより、そのつもりだ」
ヒミカ「…わらわの期待を裏切っては ならぬぞ、ゴーゴン大公」
ゴーゴン「…承知」
ゴーゴン(…フフフ…これでいい。 邪魔大王国を利用すれば 銅鐸を手に入れるのも容易かろう…)
ヒミカ(愚か者めが…。 銅鐸を見つけても、その封印は わらわでなければ解けぬのだ)
ヒミカ(ミケーネ帝国諜報軍… わらわのためにせいぜい働いてもらうぞ)


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