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眠れ、地の底に アースクレイドルへ行く ~ 第44話 ~

[アースクレイドル 内部]

アーチボルド「……僕に用とは何です?  もう出なければならないんですが」
アギラ「ラピエサージュと アウルム1の仕上げが終わった。 お前の手勢として使うがいい」
アーチボルド「大丈夫なんでしょうね?  可愛い妹や弟の前で改心……なんて お約束の展開は見たくありませんよ」
アギラ「改心?  フェフェフェ、改心などしようがないわ」
クエルボ「ま……まさか、セトメ博士…… あなた一人でオウカの調整を 行っていた理由は……!?」
アギラ「そうじゃ。 お前はアレには反対じゃったからのう」
クエルボ「そ、そんな……!  では、オウカは……!」
アーチボルド「で、 改心しようがないというのは どういうことなんです?」
アギラ「フェフェフェ…… ラピエサージュのコックピットの中を 見るがいい」
(モニターオン)
オウカ「……」
アーチボルド「……!」
クエルボ「オ、オウカ……!」
オウカ「……」
アギラ「見ての通り、ゲイム・システムに 長時間対応できるようにしてある」
アーチボルド「……」
アギラ「そして……量産タイプのWシリーズと同じく、 指令コードでお前の意のままに動く」
アーチボルド「なるほど…… 名実共に人形と化した、と?」
アギラ「そうじゃ。 こやつを使い、クロガネの者共を打ち倒せ」
アーチボルド「おや…… サンプルを手に入れなくていいんですか?」
アギラ「奴らより、 ここの設備とデータの方が重要じゃ」
アギラ「それらを守るためなら、 ワシも奴らと戦うことを辞さぬつもりじゃ」
アーチボルド「……わかりました。 じゃあ、アウルム1を使わせていただきますよ」
(扉が開閉する・アーチボルドが立ち去る)
アギラ「クエルボ、 アウルム1のバックアップメモリーを ラピエサージュに移しておけ」
アギラ「万が一の場合の 保険ぐらいにはなるじゃろう」
クエルボ「セ、セトメ博士……!」
アギラ「何じゃ、その顔は?  アウルム1をああしたことに文句でもあるのかえ?」
クエルボ「……」
アギラ「フン、今さら善人面するでない。 お前とて、ブーステッド・チルドレンを 自分の研究材料にしておったろうが」
クエルボ「う……!」
アギラ「クエルボよ、 実験体には感情移入するなと 言っておいたはずじゃ」
クエルボ「し、しかし…… あれでは彼女があまりにも……」
アギラ「それとも何か?  お前はここで今までの研究を 無駄にするつもりかえ?」
クエルボ「そ、それは……」
アギラ「どのみち、 アウルム1の身体はそう長く保たん」
アギラ「どうせなら、最期までワシらの 役に立ってもらおうではないか」
クエルボ「………」
クエルボ(もう……手遅れか……)
クエルボ(ならば、 僕も覚悟を決めるしかないようだな……)


第44話
眠れ、地の底に

〔戦域:アースクレイドル内部 中枢区画〕

(クロガネが出現)
エイタ「艦長代理、クレイドルの 中央ブロックに進入しました!  前方に敵機多数!」
テツヤ「各機、出撃せよ!」
(R-2パワード、アラド機、ゼオラ機、ラトゥーニ機、ラーダ機、アウセンザイターが出撃、出撃準備)
マイ「中に こんな広い空間があるなんて……!」
ユウキ「ここは 機動兵器のプラント兼格納庫だ。 そして、あの隔壁の向こうに……」
(中枢の位置を指す)
ユウキアースクレイドルの中枢、 メイガス・ゲボのブロックがある」
シャイン「私、この場所に 見覚えがありますわ……!」
マイ「え?」
シャイン「前の戦争の時、 私はDCの人達に捕まって ここへ連れてこられたの……!」
アーチボルド「……ふふふ、あなたの データはゲイム・システムの確立に 役立ったようですよ、プリンセス」
シャイン「!」
ライ「アーチボルド……!」
アーチボルド「いやいや、しつこいのは アインストだけかと思ってましたが…… あなた達のことを忘れてました」
ライ「なら、永遠に忘れさせてやる」
アーチボルド「逆恨みは困りますねえ、 ライディース君」
アーチボルド「前にも言いましたが、 君の義姉上を亡き者にしたのは 僕じゃありませんよ」
ライ「……」
アーチボルド「君が復讐すべき相手…… 君の大切な女性を撃った男は ほら、そこに」
レーツェル「……」
アーチボルド「いくらコロニーの住民の ためとは言え、自分の妻を手にかける なんて……僕にはとてもとても」
カーラ「よくもぬけぬけと!  だいたいあんた、独身だろ!?」
レオナ「それ以前に、 エルピス事件を仕組んだのは 他ならぬあなたではなくて!?」
アーチボルド「……僕は 反コロニー派の人間から受けた 依頼をこなしただけです」
アーチボルド「もっとも、 依頼主はL5戦役の折りに 南極で亡くなられたようですが」
レオナ「南極……!?」
ヴィレッタ「依頼主は カール・シュトレーゼマン…… EOT特別審議会の議長か」
アーチボルド「ええ、 スペースコロニー独立反対派の 中心的人物でもありましたからね」
アーチボルド「あの事件は コロニー側の暴走ではなく…… 地球側が仕組んだものだったのです」
アーチボルド「つまり、 僕は危険極まりないテロリストの役を 演じたんですよ」
アーチボルド「コロニーの人間は、 自分達の目的を達成するためには 毒ガスの使用も厭わず……」
アーチボルド「同胞達をも犠牲にする 危険な存在だということを 世に知らしめたんです」
レーツェル「……」
アーチボルド「まぁ、結果的には コロニーの独立を阻止させるまでには 至りませんでしたがね」
アーチボルド「そして、 事件の首謀者であるシュトレーゼマンは すでに死亡……」
アーチボルド「ですから、エルザム君、 ライディース君……君達の復讐は 既に果たされているんですよ」
ライ「……」
アーチボルド「いつまでも過去に拘るのは よくないですよ。スクールや特脳研の 被験者を見ればわかる通り……」
アーチボルド「人間の過去は 割と簡単に書き換えられるもの ですからねえ」
アヤ「黙りなさい!  実験者に被験者の気持ちが わかるものですか!」
アーチボルド「いえいえ、わかりますよ。 抵抗できず、成すがままにされる者の 気持ちは……」
アーチボルド「僕はそういう人達を 見るのが大好きなんです。特に 自分が当事者だったりする場合はね」
アヤ「なら、今日で それを終わりにしてあげるわ!」
アーチボルド「いいでしょう、 僕もそろそろ君達との縁を切りたいと 思っていたところです」
アーチボルド「因縁、怨恨、復讐…… いつまでもそんな物に引きずられている 人達に付き合ってはいられません」
アーチボルド「人は 過去のみに生きているわけでは ありませんからねえ」
ライ「貴様に言えることか!」
アーチボルド「それはごもっとも。 じゃ、最後の宴を始めましょうか。 ……全機、攻撃開始」
量産型W「了解」
テツヤ「来るぞ! 全機、迎撃せよ!」
(作戦目的表示)

〈vs アーチボルド〉

[ライ or SRX]

ライ「今までの所業の報いを受けろ、 アーチボルド!」
アーチボルド「義憤心に燃えるのは わかりますがね、君だって 僕と同じじゃないですか」
ライ「……!」
アーチボルド「忘れたとは 言わせませんよ。ヒュッケバインの 暴走事故を……」
アーチボルド「あなたは 自分の命と引きかえに、多くの命を 犠牲にしたんでしょう?」
ライ「……そうだ。 俺もお前と同じ業を背負った人間だ」
ライ「いずれ、その報いを受ける日が 来るだろう」
アーチボルド「僕はごめんですね。 そんなことを言い出したら、命が いくつあっても足りませんから」
ライ「だが、 貴様という命が存在し続ければ、 さらに多くの命が犠牲となる!」
ライ「俺は それを許すわけにはいかない!」

[レーツェル]

レーツェル「アーチボルド・グリムズ…… 再び私の前に姿を現すとはな」
アーチボルド「いえいえ、 君の方から来たんじゃないですか」
アーチボルド「でも、ライディース君と 違って、僕との決着に固執している わけではなさそうですね」
レーツェル「……」
アーチボルド「君のそういうところ、 僕は評価してますよ」
アーチボルド「多くの命を助けるため、 自分の妻を犠牲にし……なおかつ、 復讐に囚われることもない」
アーチボルド「どちらかと言えば 君は僕と同じ人種ですね」
レーツェル「そうかも知れん。 だが、報いを受けるのが早いか、 遅いか……その差はある!」

[撃墜]

カーラ「やったの!?」
ユウキ「いや、まだだ!」
カーラ「え!?」
(ジガンスパーダと量産型アシュセイヴァーが出現)
カーラ「何、あの機体!?」
レオナ「あ、あれは!!」
レーツェル「ジガンスクード……!?」
アラド「え!?  でも、形が違うッスよ!!」
レーツェル「あれは 改修前のジガンクードの姿に 似ている……!」
タスク「い、言われてみれば…… 手足が付く前のジガンそっくりだ」
アーチボルド「ふふふ……驚きましたか?」
レオナ「アーチボルド!」
ユウキ「やはり、生きていたか」
タスク「チッ!  スパイ映画のタイトルじゃ あるめえし!」
アーチボルド「アーチボルドは 二度死ぬ……ですか?」
アーチボルド「とは言え、 さすがに二度も死んだフリを するわけにはいきませんからね」
レオナ「そんなことより、 その機体は……!!」
アーチボルド「ああ、これ。 ジガンスパーダって言うんです」
アーチボルド「シャドウミラーの 皆さんが、『向こう側』から 持ってきたんですよ」
レオナ「何ですって……!?」
アーチボルド「言うなれば、 もう一つのジガンスクード。 いや、本当の……ですかね」
アーチボルド「“スパーダ”だけに、 ちょっと矛盾している所があるかも 知れませんけど」
タスク「チッ、上手いこと言いやがって!  “盾”じゃ“矛”は倒せねえってか!?」
アーチボルド「そうですね。 じゃ、盛り上がっていきましょうか。 本番はここからですので」
タスク「本番どころか、ここで あんたの出番を終わらせてやるぜ!」
アーチボルド「それはどうでしょう。 まだこちらには出番待ちの役者が 残っているんですよ」
(ラピエサージュが出現)
アラド「ラ、ラピエサージュ!  オウカ姉さんかっ!」
オウカ「……」
ラトゥーニ「ね、姉様……!?」
オウカ「……ターゲット…… ラトゥーニ11……」
ラトゥーニ「!?」
ゼオラ「ね、姉様……!  ラトをその名で呼ぶなんて!」
オウカ「ブロンゾ27……確認」
ゼオラ「!!」
アラド「姉さんの様子が変だぞ!?」
オウカ「ブロンゾ28……確認……。 スベテ……撃破スル」
アラド「げ、撃破!?  ラトやゼオラもかよ!?」
オウカ「ターゲットハ…… 全テ……撃破スル」
アラド「ど、どうしちまったんだ、 オウカ姉さん!?」
アヤ「まさか、あの状態は……!?」
ラーダ「そう……!  彼女はゲイム・システムに 取り込まれてしまっているわ」
シャイン「あ、あの時の私と同じで ございますの!?」
ラーダ「いえ、 それ以上かも知れません……!」
シャイン「え!?」
ラーダ「以前の彼女はゲイム・ システムに対して、ある程度の 耐性を持っているようでした」
ラーダ「にも拘わらず、 ああなっているのはシステムそのものが 強化されている可能性が……」
ゼオラ「そ……そんな!」
アラド「くそっ!  それもアギラの仕業かよ!!」
アーチボルド「ええ。 セトメ博士はあなた達に 見切りをつけたんですよ」
アーチボルド「ですから、昔馴染みで 仲良く殺し合って下さい」
アラド「冗談じゃねえ!  おれ達はアギラの人形じゃねえんだ!」
アーチボルド「いえ、操り人形ですよ。 Wシリーズと同じくね」
レーツェル「……自ら操り糸を 断ち切った者は、もはや人形ではない」
レーツェル「そして、 人間を人形として扱った者は その報いを受けることになる」
アーチボルド「おやおや…… あなたもかつては操る側の 人間だったでしょう?」
レーツェル「だから、報いを受けたのだ。 父も……そして、私も」
アーチボルド「それで僕を怨むと 言うのなら、単なる私怨ですねえ」
レーツェル「その通りだ。 私にカトライアの仇を討つ資格はない」
レーツェル「あの時、引き金を引いたのは 他でもないこの私だからな」
ライ「兄さん……」
レオナ「エルザム様……」
レーツェル「ライ、レオナ。 私はエルザム・V・ブランシュタインとして ではなく……」
レーツェル「レーツェル・ ファインシュメッカーとして、 お前達と共にアーチボルドを討つ」
レーツェル「エルピス事件のような悲劇が 二度と起きぬようにな」
ライ「……ああ」
レオナ「わかりました……!」
シャイン「アラド、ラトゥーニ、ゼオラ。 今日こそあなた達の姉君を 取り戻しなさいませ」
シャイン「ライディ様達が私を 助けてくれたように……姉君を あのシステムから解き放つのです!」
ラトゥーニ「はい……!」
リュウセイ「俺も手伝うぜ、ラトゥーニ」
ラトゥーニ「リュウセイ……!」
リュウセイ「もう終わらせよう、 こんなことは」
リュウセイ「人を操り、戦わせる……。 そんなの、もうたくさんだ……!」
マイ「……私も協力する。 お前達の姉の操り糸を切るために……」
ラトゥーニ「ありがとう…… リュウセイ、マイ……」
カーラ「アーチボルドのやり方には いい加減嫌気が差してるからね。 あたし達も力になるよ」
ユウキ「ああ。 ラピエサージュ以外の連中は 俺達で引き受ける」
アラド「ユウキ少尉……!」
カーラ「……血はつながってなくても、 あの人はあんた達の姉さんなんだろ?  まだ間に合う……まだ取り返せるよ」
カーラ「あたしとは違ってね」
ゼオラ「リルカーラ少尉……!」
アーチボルド「ふふふ…… ユウキ君、カーラ君。もうすっかり 連邦の軍人気取りですか」
アーチボルド「部下への示しのためにも、 裏切り者はきちんと始末させて いただきますよ」
カーラ「よく言うよ!  裏切り者はあんたの方じゃないか!」
アーチボルド「違いますよ。 僕は時勢を見極めただけです」
アーチボルド「だって、沈み行く船に 乗っていたって仕方がないでしょう?」
ユウキ「沈むのはお前達の方だ。 このアースクレイドルでな」
アーチボルド「結構。ここであなた達を 処刑し、遺体は見せしめのために 冷凍保存することにしましょう」
アーチボルド「コード発信…… 全機、攻撃開始」
量産型W「了解」
オウカ「ターゲット……全テ撃破」
オウカ「ゲイム・システム、起動…… シンクロ……」
(オウカに『集中』『ひらめき』『必中』)
ラーダ「システムを起動させた!?」
ラーダ「ラトゥーニ、アラド、ゼオラ!  急いでゲイム・システムを 破壊するのよ!」
アラド「は、はい!」
オウカ「攻撃……開始……」
ゼオラ「行きます、オウカ姉様……!  あなたを助けるために!」
ラトゥーニ「スクールの…… そして、セトメ博士の呪縛から 解き放つために!」
(作戦目的表示)

〈vs オウカ〉

[アラド]

アラド「今日で終わらせる……!  アギラの研究も、スクールも!」
オウカ「……ブロンゾ28…… 撃破スル……」
アラド「そして、 姉さんの苦しみもな!!」
オウカ「……!」

[ゼオラ]

ゼオラ「姉様! オウカ姉様!」
オウカ「ターゲット…… ブロンゾ27……」
ゼオラ「違う!  私はゼオラ・シュバイツァーよ!」
オウカ「ブロンゾ27…… ターゲット・ロック……」
ゼオラ「くっ……姉様、やっぱり 私達の声が聞こえていないの……!?」
オウカ「……」
ゼオラ「でも、諦めない!  必ずあなたを助け出してみせる!」

[ラトゥーニ]

ラトゥーニ「オウカ姉様、 ゲイムシステムに 取り込まれてはダメ!」
オウカ「……ラトゥーニ11…… 撃破……スル……」
ラトゥーニ「姉様、 もうスクールは終わらせなければ ならないの……!」
オウカ「……スクール……」
ラトゥーニ「生き残った者も 私達だけ……また新たな犠牲者を 生み出すわけにはいかない!」
オウカ「………」
ラトゥーニ「もう 終わりにしなきゃならないの!」
ラトゥーニ「だから、 そんなシステムに負けないで!  オウカ姉様!」
オウカ「……!」

状況選択

ラピエサージュのHPを40%以下にした
ジガンスパーダのHPを80%以下にした


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