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仕組まれた子供たち アビアノ基地に残る ~ 第30話 ~

〈スリサズ機撃墜〉

スリサズ「ば、馬鹿な! ベルゲルミルに ここまでのダメージを与えるなんて!  たかが人間ごときが!!」
アラド「これで勝負あったぜ!!」
スリサズ「ぼ、僕を…… 僕を本気で怒らせたな!!」
(スリサズに『ど根性』)
アラド「な、何っ!?」
シャイン「こ、壊れた所が!!」
ラトゥーニ「じ、自己修復機能……!?」
ヴィレッタ(あれは……まさか……!?)
スリサズ「さあ、これで仕切直しだ」
アラド「て、てめえ! 卑怯だぞ!!」
スリサズ「そうかい?  なら、お前にも打ち込んでやるよ…… このマシンセルをな!」
(スリサズ機に通信)
ウルズ「……そこまでだ、スリサズ」
スリサズ「ウルズ!?」
ウルズ「ベルゲルミルのテストは もう充分だろう。後退するんだ」
スリサズ「嫌だ!  ブロンゾ28を殺すんだ!!」
ウルズ「僕の言うことが聞けないのか?」
アンサズ「そうだよ、スリサズ。 ウルズに逆らうと後が怖いよ、 フフフフ」
ウルズ「帰ってくるんだ。 パパもお前を待っている」
スリサズ「くっ……!」
スリサズ「お前達、命拾いしたな……!」
(スリサズ機が撤退)
アラド「くそっ、逃がすかよ!  オウカ姉さんを返せ!!」
カイ「やめろ、アラド。 今から追っても無駄だ」
アラド「しょ、少佐……!」
カイ「こちらの消耗も大きい。 そして、俺達の任務がサマ基地の 奪還であることを忘れるな」
アラド「……」
アラド「わ、わかりました……」

[ハガネ 格納庫]

アラド「くっ……!  オウカ姉さんまでおれのことを 完全に敵だと思ってるなんて……」
ラーダ「どうやらセトメ博士達は、 彼女やゼオラにとって都合の悪い 記憶を次々と修正しているようね」
ツグミ「そんな……!  人の記憶をまるでコンピューターの データのように……」
ラーダ(そして、クエルボもそれに荷担して……)
ライ「しかも、その上にゲイム・システムを 持ち出してくるとはな」
アイビス「あのシステムって、 どういうものなの?」
ライ「機体を人に合わせるのではなく、 人を機体に合わせるための装置だ」
ライ「それによって、 パイロットの力は極限まで 引き出されるが……」
ライ「その代償は大きい。 DC戦争ではあれを暴走させ、 精神崩壊に至った者もいた」
リュウセイ「ああ、テンザンやテンペストは……」
シャイン「私も運が悪ければ…… ライディ様や皆様があのシステムを 壊して下さらなければ……」
アイビス「でも、シャイン王女という 前例があるってことは……」
ライ「ああ。時間勝負になるが、 オウカを救い出すことは不可能ではない」
シャイン「ラトゥーニ、アラド…… あなた達の姉君も、きっと……」
ラトゥーニ「はい…… 諦めたりはしません……」
アラド「例え、姉さんがおれのことを 敵だと思っていても……必ず助け出してみせます」
ラーダ「アラド……」
アラド「セロ博士はともかく、 やっぱりアギラはおれ達のことを 実験体としか思っちゃいない……」
アラド「これ以上 姉さんやゼオラをあいつの好きに させるわけにはいかない」
ラーダ「……ええ……」
ツグミ「ところで、 彼女の後に現れた子供達……彼らはいったい?」
リュウセイ「あいつらもスクールの出身なのか?」
ラトゥーニ「ううん……違うと思う」
アラド「あの連中…… アースクレイドルでも見たことないです」
アラド(それに、あいつら…… いったいおれに何の恨みがあるって言うんだ……?)

[ハガネ ブリッジ]

テツヤ「ダイテツ艦長、 後発隊がサマ基地に到着しました」
テツヤ「以後、彼らが基地の防衛任務に就くそうです」
ダイテツ「了解した。 では、我々は撤収の準備を」
テツヤ「はっ」
(通信)
エイタ「艦長、極東方面軍のレイカー司令から 通信が入っています」
ダイテツ「こちらに回してくれ」
エイタ「了解です」
(モニンターオン)
レイカー「ダイテツ、 ダンスト司令から話は聞いた。 サマ基地の奪還に成功したそうだな」
ダイテツ「ああ。現在、ノイエDC軍は リビア地区から撤退しつつある」
レイカー「そうか……」
ダイテツ「……そちらで何かあったのか?」
レイカー「うむ……。 ハワイ地区がインスペクターの 攻撃を受け、彼らに占拠された」
ダイテツ「!」
テツヤ「では、インスペクターは 太平洋や極東方面に……!?」
レイカー「そうだ。 彼らはハワイを足掛かりにし、こちらへ 侵攻するつもりだと思われる」
ダイテツ「なら、もう時間はないな」
レイカー「うむ。 この事態に反応するため……」
レイカー「予定より早く オペレーション・プランタジネットを発動させる」
レイカー「お前達もすぐに伊豆へ向かってくれ」
ダイテツ「了解した」
レイカー「では、以上だ」
(通信切れる)
ダイテツ「大尉、 各員に伝達し、撤収準備を急がせろ。 本艦はこれより日本・伊豆基地へ向かう」
テツヤ「はっ!」

《パリ 連邦政府・大統領府》

[連邦政府・大統領府 議事室]

ブライアン「……5日後の午前0時?」
ニブハル「ええ。 それがオペレーション・プランタジネットの 開始日時です」
ブライアン「予定より少し早まったようだね。 やはり、ハワイの件が原因で?」
グライエン「そうだ」
ブライアン「作戦指揮官は 当初の予定通り、極東方面軍のレイカー少将かい?」
グライエン「ああ。 それにケネス・ギャレットが オブザーバーとしてつく」
ブライアン「ほう……あの二人は犬猿の仲だと 聞いているが、大丈夫なのか?」
グライエン「ケネスは 北米方面軍の司令官であり、 インスペクターとの交戦経験者だ」
グライエン「彼の知識は オペレーション・プランタジネットの 作戦指揮に役立つ」
ブライアン「つまり、敗軍の将が兵を語るわけだね」
グライエン「何が言いたい?」
ブライアン「いや、別に。 ところで、あなたが進めている ノイエDCとの交渉の方は?」
グライエン「根回しは済んでいる。 後はバンの確約を得るだけだ。 作戦開始までには間に合わせる」
ブライアン「そうか…… それをきっかけに連邦軍とノイエDCの 戦いが終わればいいんだが」
ブライアン「いや…… そういう流れになっているかな?」
グライエン「……」
グライエン(こやつ……気づいておるのか?)
ブライアン「では、ムブハル補佐官。 インスペクターとの交渉の方は?」
ニブハル「残念ながら、未だ彼らとの パイプは見つかっておりません」
ブライアン「ふうん…… 意外と近くにあるんじゃないのかい?」
ニブハル「……」
ブライアン「まあいい。 プランタジネット発動後も彼らとの コンタクトを試みてくれたまえ」
ニブハル「承知致しました」
ブライアン「さて……後は待つだけか」
グライエン(フン…… お前が今後のことを気に病む必要はない)
グライエン(オペレーション・プランタジネットが 始まった時……)
グライエン(お前は その椅子に座っていないのだからな)

[シロガネ ブリッジ]

レモン「そう…ハガネは極東へ向かったのね」
エキドナ「おそらく、 オペレーション・プランタジネットに 参加するためだと思われます」
ヴィンデル「だが、我々の方が一足早かったな」
レモン「ええ。 W16、あなたが持ってきてくれた このシロガネのおかげでね」
エキドナ「はっ」
レモン「じゃ、下がっていいわ。 次の任務までゆっくり体を休めるのよ?」
エキドナ「では……」
(扉が開閉する・エキドナが立ち去る)
ヴィンデル「ところで、 リー・リンジュンの様子は?」
レモン「独房で大人しくしているみたいだけど…… どうかしらね」
ヴィンデル「リーはハガネやヒリュウと 行動を共にしていた……」
ヴィンデル「だから、 彼らを排除せねばならぬ状況を 迎えた時、あの男の経験が役に立つ」
レモン「素直にこちらの言うことを聞くと思う?」
ヴィンデル「心配はいらん。 奴は異星人と戦う力を求めている」
ヴィンデル「そして、それを我らが与えれば……」
ヴィンデル「いずれ、 混沌をも望むようになるだろう」
レモン「つまり、ローズのお嬢ちゃんや フェフ博士と同じように…こちらの手の内を 見せるってこと?」
レモン「…最近サービスしすぎじゃなくて?」
ヴィンデル「その方が早い。 時間はあまりないのだからな」
(扉が開閉する)
アクセル「…今、戻った」
ヴィンデル「任務ご苦労。 ……自重したようだな、アクセル」
アクセル「挨拶は済んだ。…確認したいこともな」
ヴィンデル「では、これより我々は日本近海に潜伏し、 ハルパーの発動を待つ」
(扉が開閉する・ヴィンデルが立ち去る)
レモン「で、どうだったの?  ヒリュウ改の狼さんは?」
アクセル「機体の外見や性能は違っていた。 そして、ベーオウルフ本人は……普通の人間だった」
レモン「普通の人間…やっぱり…」
アクセル「ああ、『向こう側』の奴は…異常だった。 だからこそ、『こちら側』のベーオウルフは 今のうちに叩いておくべきなのかもしれん」
レモン「その彼… あなたのことをどう認識していたの?」
アクセル「…この世界にも特殊任務実行部隊は 存在しているが…名称と構成員が違う」
アクセル「奴もおれのことは知らなかった、これがな」
レモン「ええ、 その調べはもうついているわ」
レモン「その特殊任務実行部隊… 今は私達と関係のない所で任務遂行中…ってね」
アクセル「だから、おれ達のことを知る者はいない。 …ヘリオスを除いてな」
レモン「そうね……。それに、彼女も……」
アクセル「……」
アクセル「…戦闘中、 レモン…貴様と同じ姓を持った女と接触した」
レモン「え!?」
アクセル「シャトル事故で死んだという 貴様の妹…まだ名前を聞いていなかったな」
アクセル「…エクセレン…か?」
レモン「……!」
アクセル「どうなんだ?」
レモン「……」
レモン「……正解、よ」
アクセル「……」
レモン(そう……。 こちらではそうなっているの……)
アクセル「…その女もベーオウルフと同じ… おれ達のことは知らなかった」
アクセル「そういう存在だ。 共通点はあっても…お前の妹ではない、こいつがな」
レモン「……ええ、わかっているわ。 あの子は……もう死んだもの」
アクセル「……」
レモン(エクセレン…… エクセレン・ブロウニング……)
レモン(あなたがこちらにいるのなら、私は……)

《地球連邦軍極東方面軍伊豆基地》

[SRX計画ラボ]

スタッフ「……R-GUN、 スタンバイモードで起動」
ケンゾウ「T-LINKコネクター、 1番から10番までを接続しろ」
スタッフ「……接続。 パイロットの脳波、脈拍共に異常なし」
ケンゾウ「R-3の方は?」
スタッフ「すでに準備は出来ています」
ケンゾウ「よし……。 アヤ、T-LINKツインコンタクトの テストを開始するぞ」
アヤ「わかりました」
ケンゾウ「仮想サイコドライブ、起動。 R-GUN、T-LINK開始」
(データ送信)
スタッフ「R-GUN、 T-LINKコンタクト確認」
ケンゾウ「アヤ、 マイのTPレベルが4に到達した時点で ツインコンタクトを始めろ」
アヤ「はい……」

[不明]

(念動感応)
マイ「う、うう……!」
???(レビ)「……」
マイ「ま、また……お前か……!」
???(レビ)「お前はそこで何をしている……?」
???(レビ)「そんな物に乗って 何をしている……?」
マイ「お、お前は……誰だ……?  何故、私に語りかけてくる……?」
???(レビ)「まだ私のことがわからないのか……?」
マイ「うう、う……!」
???(レビ)「思い出せ……私の名を……」
マイ「ううう……!」
レビ「レビ・トーラー…… お前の真の名を……思い出せ」
マイ「レ、レビ……!?」
(念動感応)
マイ「うっ! うあああっ!!」
(念動感応)
アヤ「マイ、どうしたの!?  しっかりして!」
マイ「ア、アヤ……!!」
レビ「また……あの女か……!」

[SRX計画ラボ]

(アラート)
マイ「うあああああっ!!」
スタッフ「念が逆流します!  自我境界線、レッドゾーンに!!」
マイ「あああ……ああああっ!」
アヤ「マ、マイ!!」
ケンゾウ「……」
スタッフ「博士、このままでは危険です!!」
ケンゾウ「T-LINK中止。 R-GUNのサイコ・クラッチを切れ」
スタッフ「は、はいっ!」
(システムダウン)
マイ「はあっ、はあっ……は……」
ケンゾウ「……」
ケンゾウ(マイ……もしや、お前は……?)

[伊豆基地 医務室]

アヤ「マイ……大丈夫?」
マイ「……」
アヤ「何があったの?  ツインコンタクト中に……」
マイ「夢を……見た」
アヤ「夢?  あなた、この間もそんなことを……」
マイ「アヤ……教えて。 あれはいったい誰……?」
アヤ「え……?」
マイ「私と同じ顔をした者……あれはいったい……?」
アヤ「!!」
マイ「レビ・トーラー…… あの子は……私の何なの……?」
アヤ(そ、そんな……!  彼女がまだマイの中に……!?)
マイ「もしかして……私が失った記憶と関係が……?」
アヤ「そ、それは……」
マイ「怖い……自分が自分で なくなるような感じが……」
マイ「あの時、アヤが 呼びかけてくれなかったら……」
マイ「アヤが 私を助けてくれなかったら、私は……」
アヤ「マ、マイ……」

[SRX計画ラボ]

ロバート「何ですって!?  マイにあの時の記憶が!?」
ケンゾウ「ああ。 もしかしたら、深層意識の中に 彼女が残っているのかも知れん」
ロバート「そ、その根拠は?」
ケンゾウ「本人がレビの名を口にした」
ロバート「!!」
ケンゾウ「それに、 ツインコンタクトのテスト中に 不可解なテレキネシスα波が検出された」
ケンゾウ「その時のTPレベルは14…… 今のマイの倍近い」
ロバート「……ど、どうするんです?  あの子に事実を教えるんですか?」
ケンゾウ「いや。 現状でもアヤとマイのツインコンタクトは 予想以上の結果を出している……」
ケンゾウ「これにリュウセイの力が 加われば、SRXは安定した状態で HTBキャノンを使用できるだろう」
ロバート「しかし、今のあの子が 自分の過去のことを知ったら……!」
ケンゾウ「マイとアヤには口止めしてある。 このことは我々の間での秘密にするぞ」
ロバート「そんな!  いずれはわかることです!  隠し通せはしない!」
ケンゾウ「それでも、だ。 今、マイの自我を崩壊させるわけには いかん。全ては計画のためだ」
ロバート「……」

『大型ジェネレーター』を入手した。
『アポジモーター』を入手した。
『メガブースター』を入手した。

『アーマーブレイカー』を入手した。


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